JPH11300125A - 濾 材 - Google Patents

濾 材

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JPH11300125A
JPH11300125A JP12817498A JP12817498A JPH11300125A JP H11300125 A JPH11300125 A JP H11300125A JP 12817498 A JP12817498 A JP 12817498A JP 12817498 A JP12817498 A JP 12817498A JP H11300125 A JPH11300125 A JP H11300125A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 混抄材を用いることなくカーボン粒子の濾過
効率を高めたフィルター濾材を安価に、かつ簡便な方法
で得る。 【解決手段】 セルロース繊維を主体とする濾材繊維に
表面改質剤であるサイズ剤を用いてサイズ処理を行うこ
とにより親油基を導入する。このようにして親油基を導
入することにより濾材表面は無処理の濾材表面よりもフ
ァンデルワールス力が高められた状態となるため、潤滑
油中のカーボン粒子を分子間力を利用して効率的に捕捉
することができる。このような方法で得られる濾材は金
属繊維や微細化した有機繊維等の混抄材を用いていない
ため、これら混抄繊維の離脱による被潤滑部の摩耗促進
や、微細有機繊維の融解による潤滑油の粘度増加等の問
題を生ずることがない。また、使用するサイズ剤は安価
でありその処理方法も容易なためフィルタ濾材を安価
に、かつ簡便な方法で得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフィルタ用の濾材に係
り、より詳しくは内燃機関や工作機械、油圧機械等に使
用される潤滑油や作動油、燃料、空気等に含まれるカー
ボン粒子を捕捉、除去するためのフィルタ用濾材に関す
る。
【0002】
【従来の技術】内燃機関や工作機械等では潤滑のため多
くの潤滑油が使用されている。このような潤滑油中には
長時間の使用により金属摩耗粉やスラッジ、すす、ダス
ト等が発生し蓄積されてくる。特に自動車のガソリンエ
ンジンやディーゼルエンジン等内燃機関においてはエン
ジンでの不完全燃焼によりカーボン粒子が発生するが、
これが潤滑油であるエンジンオイル中に分散し蓄積され
てくると潤滑油の粘度増大に伴う潤滑不良や摩耗の増
大、あるいは潤滑油寿命の短縮等の問題を発生する。こ
のため、これら潤滑油の潤滑回路中にはこれらの金属摩
耗粉やダスト、カーボン粒子等を捕捉し、濾過するフィ
ルタが用いられている。
【0003】従来から用いられているフィルタ濾材とし
ては、セルロース繊維を主体として抄造した濾紙や、セ
ルロースと合成繊維の混抄による濾紙が多く用いられ、
主にこれら濾紙の孔径を細かくすることにより、または
これら濾紙の厚みを増すことにより、物理的に金属摩耗
分やダスト、カーボン粒子等を捕捉することが行われて
きた。しかしこのような濾材では、潤滑油中でカーボン
粒子が加熱凝集されスラッジ化した状態では捕捉可能で
あっても、潤滑油中に均一分散したカーボン粒子を捕捉
することは難しく、カーボン除去効率を高めるために濾
材の孔径を小さくしたものでは濾過寿命が著しく短くな
るなどの問題があった。
【0004】特に近年では排ガス規制に対応するため、
内燃機関における排ガス再循環システム(EGR)の検
討が進められているが、これはエンジンから排出される
排気ガスの一部を取り出し吸気系に再循環させるシステ
ムであるため、今後は潤滑油中のカーボン粒子量はさら
に増加することが確認されている。また、カーボン粒子
がエンジン中で凝集しスラッジ化したり、さらにこのス
ラッジに金属摩耗分やダスト等を巻き込むと、潤滑油の
流動性を阻害したり潤滑面を傷つけたりすることとなる
ため、潤滑油中にカーボン粒子の凝集を防ぎカーボン粒
子を均一に分散させる分散剤(オイル添加剤)が用いら
れている。この分散剤についても近年では開発が進み、
潤滑油中に分散するカーボン粒子のコロイド径はさらに
微細化する傾向が高くなっている。
【0005】そこで、これらの対策としては、単に濾材
の孔径を細かくするという構造面ばかりでなく、カーボ
ン粒子と濾材との相互作用を高め、オイル中のカーボン
粒子をより効率的に吸着するという見地からも研究が進
められている。例えば特開平2−21915号公報には
チタン酸カリウムウィスカーを他の繊維に混抄したフィ
ルタ濾材が開示され、特開平7−60027号公報には
カーボン粒子の帯電性を利用し、ポリプロピレン等の帯
電させた有機繊維を用いてフィルタ濾材を構成した例が
開示されている。これは潤滑油中に漂うカーボン粒子が
負の電荷を有することに着目し、正に帯電させた有機繊
維によりクーロン力を利用して吸着させようとするもの
である。従って従来では捕捉効率の低かった濾材孔径よ
りも小さい粒径のカーボン粒子を効率的に濾過すること
ができる。また特開平10−5515号公報には有機繊
維素材を叩解し、フィブリル化した極細分割繊維にカチ
オン性樹脂を混抄した例が開示されているが、この濾材
はフィブリル化した有機繊維による物理的捕捉とカチオ
ン樹脂による電気的吸着との両作用を利用するものであ
る。従ってフィブリル化した有機繊維により金属摩耗粉
等の非溶解成分や比較的粒径の大きいカーボン粒子を捕
捉するとともに、カチオン樹脂により微細なカーボン粒
子を吸着しようとするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記特開平2
−21915号公報に記載されたチタン酸カリウムウィ
スカーやケイ酸アルミニウムウィスカー等の金属繊維を
セルロース等他の繊維中に混抄した濾材については、セ
ルロース繊維のみで構成した濾材に比べて確かにカーボ
ン粒子除去効率の面では有効であるが、金属繊維自身が
他の繊維に対して親和性が低い上に金属繊維が硬い繊維
であることから、もし金属繊維が濾材から離脱した場合
には逆にエンジンの摩耗促進を生ずるおそれがあった。
また金属繊維を均一分散させる抄紙の困難さ、抄紙コス
トの高価格化などの問題があった。
【0007】また特開平7−60027号公報や特開平
10−5515号公報に記載されたような有機繊維を微
細化した濾材やこれらをセルロース繊維に混抄した濾
材、カチオン樹脂を混抄した濾材などでは、構成する有
機繊維がフィブリル化され微細化されることに伴い、エ
ンジンで発生する熱によってフィブリル化された微細有
機繊維の融解やカチオン樹脂の脱離等による潤滑油の粘
度増加,潤滑油寿命の短縮化が生じたり、微細有機繊維
の熱変形(凝縮変形など)によるカーボン粒子除去効率
の低下が生ずる等の問題があった。
【0008】本発明は係る問題に鑑みてなされたもので
あり、エンジンや工作機械,油圧機器等の被潤滑部や作
動機器に対して摩耗促進を生ずるような金属繊維を混抄
せず、またエンジン等の被潤滑部(被冷却部)の発熱に
よって油温が上昇し、濾材構成繊維の凝縮熱変形を生ず
るおそれのある微細化した有機繊維を使用することな
く、エンジンオイル等の潤滑油や作動油、ガソリン,軽
油等の燃料、空気などの流体中に分散するカーボン粒子
を高効率で捕捉し濾過するフィルタ濾材を提供すること
を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明ではセルロース(パルプ)繊維等の濾材繊維
に親油基を導入し、濾材繊維とカーボン粒子間の分子間
引力すなわちファンデルワールス力を高めることによっ
てカーボン粒子を効率的に吸着するものである。濾材繊
維に親油基を導入するとは、セルロース繊維等の濾材繊
維表面に対して一端が化学的に結合され、他端に有する
親油基が繊維の外側に向けて配向されるように構成する
ことをいう。なお濾材表面または濾材繊維表面とはマク
ロ的にはフィルタ表面をさすが、ミクロ的には潤滑油と
接する面をいい、外観的に濾材内部であっても多くの微
細な孔で構成される濾材においては潤滑油と接液する繊
維面はすべて濾材繊維表面といえる。本発明においても
表面というときにはこのような内容を示すものとして説
明する。
【0010】このように繊維表面に親油基を導入するこ
とにより、この濾材繊維表面は何も処理されていない繊
維表面と比較してカーボン粒子に対して働くファンデル
ワールス力がより高められた状態となる。従ってカーボ
ン粒子はこの分子間引力によって濾材表面に導入された
親油基に化学的に吸着されることとなり、濾目よりも細
かいカーボン粒子を効率的に吸着する濾材を得ることが
できる。従って濾目を必要以上に細かくすること無く、
カーボン粒子を濾材内部の繊維表面で化学的に捕捉する
ことができるため、その分多くの摩耗粉やダスト等をマ
クロ的なフィルタ表面で捕捉することが可能となる。
【0011】このように繊維表面に親油基を導入するた
めの一手段として、本発明においては表面改質剤である
サイズ剤を用いた例を示す。サイズ剤は製紙行程におい
て多量に消費される表面改質剤である。すなわち、紙は
一般的にパルプ繊維を湿式抄紙法により製造するため通
常40〜70%の空隙率を持つ。従ってミクロ的には多
数の毛細管を持つ多孔質構造であり、パルプ繊維自身が
親水性であることとの相乗効果により水を良く吸収す
る。そこで例えばティッシュペーパのように吸水性が要
求される紙を除き、大部分の印刷用並びにもしくは筆記
用の紙については例えばきれいな印刷を得るため、ある
いは水性インクのにじみを止めるため適当に吸水性を制
限し耐水性を持たせることが必要となる。この目的で使
用される表面改質剤がサイズ剤であり、サイズ剤を用い
て紙に耐水性を与える工程はサイジングとよばれる。サ
イズ剤にはパルプスラリーに混合し均一に分散定着させ
た後抄紙する内添サイズ剤と、抄紙後の紙に塗布したり
含浸させる表面サイズ剤とがある。
【0012】このサイズ剤の定着機構及び耐水性発現の
機構(サイズ効果の発現機構)は未だ十分に解明された
といえないが、その基本概念は例えば中性のサイズ剤に
ついてみれば、サイズ剤の反応基が繊維表面と直接反応
して結合され、ついで紙の加熱乾燥工程でサイズ剤の疎
水基(親油基)が外部に向かうように配列されることに
よって疎水性を持つようになるといわれている。このサ
イズ効果の利用については、本来的には前述のように印
刷用もしくは筆記用の紙に対する印刷性の向上や筆記性
の向上という面から要求される適度な耐水性付与にあ
り、またこのような見地から研究が進められている。こ
のため現在では種々のサイズ剤が市場に豊富に供給され
ているが、これまでこのサイズ剤を濾材に適用した例は
見られなかった。本発明ではこのサイズ剤の疎水基(親
油基)に着目し、濾材繊維にサイジングすることにより
親油基を導入し、この親油基とカーボン粒子との相互作
用によってカーボン粒子の吸着が効率的に行われるか否
かを鋭意研究した結果、以下の実施形態に示すような良
好な結果を得たものである。
【0013】このように繊維に表面処理剤であるサイズ
剤により親油基を導入するに当たり、このサイズ剤の種
別は特に限定を要するものでなく、例えば内添サイズ剤
であっても表面サイズ剤であっても良く、酸性サイズ剤
であっても中性サイズ剤であっても良い。より具体的に
は例えば酸性サイズ剤であるアルケニルコハク酸(合成
サイズ剤)であっても中性サイズ剤であるロジン系サイ
ズ剤(天然サイズ剤)あるいはアルケニルコハク酸無水
物(合成サイズ剤)であっても良い。ただし、処理の容
易さや処理コスト、処理の結果として得られる効果等を
考慮すると中性サイズ剤であることが望ましく、特にア
ルケニルコハク酸無水物やロジン系サイズ剤を含む表面
処理剤であることが望ましい。
【0014】なお、ベースとなる繊維については特に限
定するものでなく、例えば木材パルプ、麻、コットン、
エスパルトや再生セルロース等の天然セルロース繊維、
フィブリル化されていないレーヨン等の有機繊維などを
1種以上適宜選択して用いることができる。また、本発
明の濾材には必要に応じて濾材の特性を阻害しない範囲
で混抄剤の使用または添加剤の配合をすることも可能で
ある。
【0015】以上示したように、表面改質剤を用いて繊
維表面に親油基を導入することにより、カーボン粒子に
対して働くファンデルワールス力がより高められた状態
となる。このためカーボン粒子はこの分子間引力によっ
て濾材表面に導入された親油基に化学的に吸着されるこ
ととなり、濾目よりも細かいカーボン粒子を効率的に吸
着する濾材を得ることができる。従って濾目を必要以上
に細かくすること無く、カーボン粒子を濾材内部の繊維
表面で化学的に捕捉することができるようになるため、
その分多くの摩耗粉やダスト等をマクロ的なフィルタ表
面で捕捉することが可能となる。
【0016】また特開平2−21915号公報に記載さ
れたようなチタン酸カリウムウィスカーやケイ酸アルミ
ウィスカーの様な硬質の金属繊維を混抄していないた
め、これら金属繊維の離脱に起因するエンジン等被潤滑
部品の摩耗等の問題が発生する懸念がない。さらに例え
ば特開平7−60027号公報や特開平10−5515
号公報に記載されたような有機繊維を微細化した繊維や
カチオン樹脂等を混抄していないためエンジンで発生す
る熱によってフィブリル化された微細有機繊維の融解や
カチオン樹脂の脱離等による潤滑油の粘度増加,潤滑油
寿命の短縮化が生じたり、微細有機繊維の熱変形(凝縮
変形など)によるカーボン粒子除去効率の低下が生ずる
ことがない。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明に係る濾材は、例えば木材
パルプを主体とし、傾斜ワイヤー抄紙機や丸網多層抄紙
機などの抄紙機により公知の湿式抄紙法により抄造され
た濾紙に、表面サイズ剤を用いて表面処理することによ
り得られる。例えば中性の合成サイズ剤であるアルケニ
ルコハク酸無水物をメチルエチルケトン等の溶剤中に重
量%で0.2%程度に希釈して、含浸、刷毛塗り、スプ
レーコーティング、ロールコーティング等を行い、加熱
乾燥させることによって得られる。このときのサイズ剤
の濃度は例えば含浸処理によるときには0.1〜1.0
%程度が望ましい。このサイズ剤濃度は0.1%以上で
あれば改質効果が認められるが、この範囲より少なくな
るとカーボン粒子捕捉効果が低くなり、またこの範囲以
上ではサイズ剤が余剰となり、処理コスト上の無駄を招
くことになるからである。なお天然サイズ剤であるロジ
ン系サイズ剤についても前記アルケニルコハク酸無水物
と同様の方法で処理することができる。
【0018】また内添サイズ剤を用いるときには、例え
ば水を張ったビーター中に木材パルプを投入し混練しパ
ルプスラリーとした後、このパルプスラリーに乳化剤が
混合されエマルジョン状態のアルケニルコハク酸無水物
等を作用させて均一に分散させ、抄紙した後に加熱乾燥
させることで得ることができる。
【0019】以下、本発明に係る濾材について実施例を
上げてより具体的に説明する。 実施例1,2 合成サイズ剤であるアルケニルコハク酸無水物(乳化剤
を含まず)を溶剤であるメチルエチルケトンに0.2%
(実施例2),0.4%(実施例1)の濃度で溶解し、
この溶液中に木材パルプを主体として抄造された濾紙を
浸漬して、吸着させ、その後加熱乾燥して乾燥重量90
g/cm2厚さ0.45mmの濾材を得た。 実施例3 天然サイズ剤であるロジン系サイズ剤(乳化剤を含ま
ず)を溶剤であるメチルエチルケトンに0.4%の濃度
で溶解し、この溶液中に木材パルプを主体として抄造さ
れた濾紙を浸漬して、吸着させ、その後加熱乾燥して乾
燥重量90g/cm2厚さ0.45mmの濾材を得た。
【0020】比較例1 ペンキ等に配合剤として混入され、パルプ繊維表面に親
油性を付与する目的で使用される芳香族系石油樹脂を、
溶剤であるメチルエチルケトンに1%濃度で溶解し、こ
の溶液中に木材パルプを主体として抄造された濾紙を浸
漬して、吸着させ、その後加熱乾燥して乾燥重量90g/
cm2厚さ0.45mmの濾材を得た。 比較例2 木材パルプを主体として抄造された乾燥重量90g/cm2
厚さ0.45mmの無処理の濾材。なお、これは前記実施
例1〜3及び比較例1に記載した処理を行う前の濾紙で
ある。
【0021】これら実施例及び比較例に記載した方法に
より得た濾材に対して、カーボン粒子の除去効果につい
て比較濾過試験を行った。このときの試験条件を示す。 (試験条件) 1)使用油 実機回収油 2)濾過状態 定圧試験 (入口圧が392kPaで一定となるように維持) 3)試験温度 80℃ 4)濾過面積 2500cm2 5)試験時間 6時間 6)測定方法 試験開始初期及び試験時間経過後のカーボン量を 重量測定。 7)濾過効率 濾過効率を次式で定義し算出結果を評価する。 濾過効率(%)=(初期濃度−試験時間経過後の濃度)/初期濃度×100
【0022】上記試験方法により得られた結果を表1に
示す。
【表1】 例 表面改質剤,処理濃度 濾過効率 実施例1 アルケニルコハク酸無水物,0.4% 10.1% 実施例2 アルケニルコハク酸無水物,0.2% 9.6% 実施例3 ロジン系サイズ剤 ,0.4% 8.0% 比較例1 芳香族石油樹脂 ,1.0% 1.0% 比較例2 無処理 0.8%
【0023】以上の試験の結果、比較例1はパルプ繊維
表面に親油性を付与する目的で芳香族石油樹脂を用いて
表面処理を施した例であるが、比較例2に示す無処理の
濾材と比較してカーボン粒子の濾過効率の向上はさほど
明確ではない。これに対し、実施例1及び実施例2は合
成サイズ剤であるアルケニルコハク酸無水物を用いて表
面処理を施し、実施例3は天然サイズ剤であるロジン系
サイズ剤を用いて表面処理を施し、これら表面処理の結
果としてともにパルプ繊維に親油基を導入した濾材であ
るが、無処理の濾材である比較例2に対しカーボン粒子
の濾過効率が飛躍的に向上していることが解る。
【0024】なお、ともに繊維表面に親油性を付与する
目的で使用し、比較した比較例1と実施例1〜3との比
較では、サイズ剤を用いて親油基を導入した実施例1〜
3の方が非サイズ剤である芳香族石油樹脂を用いて親油
性を付与した比較例1よりも明らかに高い濾過効率を示
している。これは、サイズ剤を用いて親油基を導入した
実施例1〜3ではサイズ剤がパルプ繊維と直接化学的に
結合するのに対し、芳香族石油樹脂を用いて親油性を付
与したにすぎない比較例1は樹脂と繊維とが化学的な結
合を持たずパルプ表面に付着しているにすぎないため、
油中での循環テスト中に樹脂が剥離し流出してしまうこ
とに起因すると考えられる。
【0025】
【発明の効果】本発明に係る濾材によれば、表面改質剤
を用いて繊維表面に親油基を導入することにより、カー
ボン粒子を化学的に吸着する。このため濾材孔径を必要
以上に細かくすることなく濾目よりも細かいカーボン粒
子を効率的に吸着することができる。従って潤滑油等の
流体の流量を犠牲にすることなく、また濾材寿命を短縮
化することなくカーボン粒子を捕捉するフィルタを構成
することができる。
【0026】また、本発明に係る濾材では、チタン酸カ
リウムやケイ酸アルミ等の硬質の金属繊維を混抄してい
ない。従ってこれら繊維の離脱に起因するエンジン等の
被潤滑部品や油圧回路の作動部品等に摩耗促進を生じさ
せるような懸念がない。また、本発明に係る濾材では有
機繊維を微細化した繊維やカチオン樹脂等を混抄してい
ない。このためエンジンで発生する熱によってフィブリ
ル化された微細有機繊維の融解やカチオン樹脂の脱落等
が起こらない。従ってこれらに起因する潤滑油の粘度増
加,潤滑油寿命の短縮化が生じたり、微細有機繊維の熱
変形によるカーボン粒子除去効率の低下を生ずることが
ない。
【0027】さらに、本発明に係る濾材で使用する表面
改質剤は製紙の過程で大量に使用されるサイズ剤を応用
して安価にかつ簡単な工程で濾材繊維に強固に化学結合
する親油基を導入する。このため、金属繊維や微細化し
た有機繊維等を混抄する場合のように抄紙工程における
混抄材(金属繊維や微細化した有機繊維、カチオン樹脂
等)を均一分散させる抄紙の困難さ、これら混抄材のコ
ストや抄紙コストの高価格化など濾材生産上の問題点を
大幅に改善することできる。従って、簡便な方法で安価
にカーボン捕捉率を高めた濾材を提供することができ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維に、表面改質剤を用いて親油基を導
    入したことを特徴とする濾材。
  2. 【請求項2】 前記表面改質剤は合成サイズ剤であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の濾材。
  3. 【請求項3】 前記表面改質剤はアルケニルコハク酸無
    水物を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載の濾材。
  4. 【請求項4】 前記表面改質剤は天然サイズ剤であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の濾材。
  5. 【請求項5】 前記表面改質剤はロジン系サイズ剤を含
    むことを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の濾
    材。
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