JPH09313830A

JPH09313830A - オイル処理用濾過材及びオイル処理用フィルター

Info

Publication number: JPH09313830A
Application number: JP8150446A
Authority: JP
Inventors: Yasuo Namita; 波田靖夫
Original assignee: Nitto Kogyo Co Ltd
Current assignee: Nitto Kogyo Co Ltd
Priority date: 1996-05-23
Filing date: 1996-05-23
Publication date: 1997-12-09

Abstract

(57)【要約】【目的】自動車用オイル処理用フィルター等においてオ
イルに発生するカーポン微粒子の吸着性の良く、しかも
オイルの透過性を損なわないオイル処理用フィルターを
提供すること。【構成】塩基性高分子化合物、ケイ酸塩の少なくとも１
種の塩基性物質の溶液を濾紙等の濾過材に塗布し、薄膜
を形成させたオイル処理用濾過材。これを用いたオイル
処理用フィルター。【効果】上記目的を達成し、フィルターの用途に応じた
濾過材、塩基性物質の選択による対応が容易である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車の潤
滑油のオイル処理用濾過材及びこれを用いたオイル処理
用フィルタ−に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車分野、機械製造分野、機械加工分
野、工作機分野、船舶分野等においては、潤滑油等のオ
イルが使用されており、オイルを濾過するオイル処理用
フィルターが用いられている。例えば、自動車ではエン
ジンのシリンダーとピストンヘッドの摩擦を軽減するた
めの潤滑剤としてオイルを循環して使用することが行わ
れているが、エンジンの動作に伴って発生する熱により
オイルは加熱され、これが長時間継続されると、オイル
は劣化し、その著しいものは炭化してカーボン微粒子を
生じ、このカーボン微粒子は潤滑作用を減殺するので、
これを濾過するオイル処理用フィルターが用いられる。
このような自動車用オイル処理用フィルターとしては、
金属製のケースに濾過材を内装して一体構造とし、その
全体を交換できるようした、いわゆるカートリッジフィ
ルターが用いられている。自動車用オイル処理用フィル
ターに用いられる濾過材としては、セルロース繊維から
抄造した濾紙や、セルロースと合成繊維の混抄による濾
紙を用い、主としてこれら濾紙の孔径を細かくすること
により、あるいは濾紙の厚みを増すことによりオイル中
に存在するカーボン微粒子及びその他の微粒子を捕捉す
ることが行われている。ところで、オイル中に発生した
カーボン微粒子が相互に凝集して大きな粒塊になると、
オイルの流動性を害したり、潤滑する面を傷付けたりす
るので、その凝集を起こり難くするために、カーボン微
粒子をオイル中に安定に分散させておくために分散剤が
用いられる。最近、その分散剤の進歩に伴い、このオイ
ル中のカーボン微粒子の粒径はさらに細かくなる傾向が
あり、そのため濾紙の孔径を細かくするだけではカーボ
ン微粒子を捕捉しきれない状況になっている。その対策
としては、単なる濾紙の孔径に関する構造によるだけで
はなく、カーボン微粒子と濾紙との相互作用を高めるこ
とにより、カーボン微粒子を濾紙に効果的に吸着させよ
うとする試みがなされるようになってきた。その相互作
用を高める添加剤としては、針状チタン酸カリウム、針
状炭酸カルシウム、針状ケイ酸アルミニウム等が知られ
ている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の添加剤はパルプスラリーに混合され、この混合物が抄
造されることにより濾紙が製造されるので、これらの添
加剤はパルプ繊維とともに水中に分散状態で抄き上げら
れることになり、両者の接触はいはば固体粒子同志の接
触になり、その添加剤とパルプ繊維が万遍なく接触する
ことは期し難く、その結果濾紙内の添加剤の分布に偏り
が生じ易く、また、その分布の少ない部分を多くしよう
として添加剤の添加量を増やすと、分布の多い部分は過
度に添加剤が添加されることになり濾紙の空隙部の細孔
を塞ぎ、オイルの透過量を低下させるという問題を生じ
る。

【０００４】本発明の第１の目的は、塩基性物質を表面
に均一に分布させたオイル処理用濾過材及びオイル処理
用フィルターを提供することにある。本発明の第２の目
的は、オイルの透過量を損なわないオイル処理用濾過材
及びオイル処理用フィルターを提供することにある。本
発明の第３の目的は、フィルターの用途に応じ塩基性物
質あるいは濾過材を適宜代え易いオイル処理用濾過材及
びオイル処理用フィルターを提供することにある。本発
明の第４の目的は、自動車用潤滑油等の高温に加熱され
カーボン微粒子等を生じるオイルの処理においてその除
去効率を高めることができる自動車用オイルフィルター
等に用いられるオイル処理用濾過材及びオイル処理用フ
ィルターを提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、（１）、オイルを濾過する処理を行うの
に用いる濾過材において、該濾過材表面に塩基性物質の
溶液の塗布膜を形成したオイル処理用濾過材を提供する
ものである。また、本発明は、（２）、オイルはカーボ
ン微粒子を含有し、塩基性物質は塩基性高分子化合物及
びケイサン塩の少なくとも１種であり、濾過材が濾紙又
は不織布である上記（１）のオイル処理用濾過材、
（３）、上記（１）又は（２）のオイル処理用濾過材を
用いたオイル処理用フィルタ−を提供するものである。

【０００６】次に本発明を詳細に説明する。本発明にお
いて濾過材としては、濾紙、不織布等を用いることがで
き、これらの材料として天然繊維、合成繊維のいずれか
一方あるいは両方を用いることができる。例えば繊維と
してセルロース繊維や合成繊維を単独に用いて抄造した
濾紙及び両者を混抄した濾紙等の少なくとも１種を用い
ることができる。これら濾過材には例えば樹脂等を抄紙
や不織布を形成する段階で添加したり、あるいは抄紙後
や不織布を形成した後にその溶液の塗布により加え、あ
るいはこれらの両方を行って紙力や布力等を向上させた
ものでも良い。樹脂としてはフェノール樹脂、エポキシ
樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリアクリルアミド系の熱可塑
性樹脂が挙げられる。濾過材の形状としては、板状ある
いはプリーツ形状等その形状は特に限定はされない。

【０００７】また、塩基性物質としては、特にカーボン
微粒子に対する吸着性の良い塩基性化合物が好ましい。
塩基性物質は、表面が酸性側にあると考えられるカーボ
ン微粒子の吸着性を良くすることができるが、カーボン
微粒子に限らず、カーボン粒子その他酸性物質は同様に
塩基性物質に吸着される。なお、カーボン（微）粒子と
は、炭素のみの場合もあるが、オイルの炭化の程度が完
全でない粒子の場合でも良い。これらのことから、「オ
イルを濾過し該オイル中の酸性粒子分散物を除去する処
理を行う濾過材において、該濾過材表面に該酸性粒子分
散物の吸着性を有する塩基性物質の溶液の塗布膜を形成
したオイル処理用濾過材。」の発明を構成してもも良
く、さらに「酸性粒子分散物」を「酸性固形粒子分散
物」としても良い。また、「塩基性物質」を「カーボン
（微）粒子の吸着性を有する塩基性物質」としても良
い。

【０００８】塩基性物質としては、例えばポリエチレン
イミン、ポリアリルアミン、ポリビニルピリジン、ポリ
ビニルピロリドン等の塩基性高分子化合物、ケイ酸ナト
リウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩が挙げられ、これ
らは単独又は複数混合して用いられる。これらの塩基性
物質は、塩基性高分子化合物の場合には、水及び有機溶
剤の少なくとも１種の溶液、すなわち水溶液、有機溶剤
溶液、両者の混合溶液を調製し、また、ケイ酸塩の場合
には、液状ケイ酸塩を用意し、あるいはケイ酸塩水溶液
を調製し、また、両者の塩基性物質を併用する場合はこ
れらの任意の液を混合し、それぞれの液をロールコーテ
ィング、刷毛塗り、含浸塗布、スプレーコーティング等
により塗布する。塗布後は乾燥することが好ましい。こ
れらの塩基性物質の塗布量は濾過材に対して３〜３０重
量％が好ましく、これより少ないとカーボン微粒子等の
吸着能が十分ではなく、これより多いとオイルの透過性
低下につながり易い。

【０００９】このように、塩基性物質の溶液を濾過材に
塗布すると、塩基性物質は分子レベルで溶解しており、
その濃度を適宜変えることができ、しかもその塗布膜は
濾過材に均一膜厚で形成させることができるので、塩基
性物質を濾過材表面に均一に分布させその厚さも容易に
変えることができ、薄膜にすることもできる。これは、
上述した従来の抄造による方法のように、パルプスラリ
ー中に分散させる例えばケイ酸アルミニウムは粉末粒子
として使用され、粉末粒子は多数の分子の凝集物であ
り、しかもその粉末粒子とパルプとの混合は機械的操作
により行うからその混合度合もその操作しだいで変わ
り、したがってその混合物を網で抄き上げた抄造紙にお
けるケイ酸アルミニウムの分布も均一にすることは容易
ではないのとは顕著な相違である。また、このように塩
基性物質の溶液を濾紙等の濾過材に塗布すると、濾過材
は適宜代えることができ、塩基性物質の種類を変えたそ
の溶液も容易に適宜な量得られ易いので、抄造の際塩基
性物質を添加する場合には一旦抄造を開始するとパルプ
の種類や塩基性物質の種類を変えることが容易ではない
のとは異なり、オイル処理用濾過材の用途に応じて臨機
に対応する、いわゆる小回りがきくので便利である。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下の実施
例により説明する。

【００１１】

【実施例】次に本発明の実施例を説明する。実施例１〜３木材パルプを主体として抄造された濾紙を１％ポリエチ
レンイミン水溶液に浸漬し、その後乾燥させ、この浸漬
と乾燥を繰り返してその繰り返し回数を変化させ、３種
のポリエチレンイミン含浸量（濾紙に対する塗布量８．
８重量％（実施例１）、１１．６重量％（実施例２）、
１３．８重量％（実施例３））の異なるオイル処理用濾
紙のサンプルを作製した。これらサンプルについて濾過
効率の試験、透気度試験を後述する方法により行った結
果を表１に示す。

【００１２】

【表１】

【００１３】実施例４〜６実施例１において、ポリエチレンイミンの代わりにポリ
アリルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリ
ドンをそれぞれ用い、その濾紙に対する含浸量をそれぞ
れ１３．２重量％（実施例４）、１２．９重量％（実施
例５）、１４．１重量％（実施例６）とした以外は同様
にしてオイル処理用濾紙のサンプルを作製し、これらに
ついても実施例１と同様に試験した結果を表２に示す。

【００１４】

【表２】

【００１５】実施例７実施例１〜３で用いたと同様の濾紙にフェノール樹脂を
含浸させてからプリーツ化を行った後、フェノール樹脂
の硬化を行い、さらに実施例３と同様にポリエチレンイ
ミン水溶液を塗布して濾紙に対して１３．８重量％のポ
リエチレンイミンを含浸させたオイル処理用濾紙のサン
プルを作製し、これを図１に示すようにカートリッジに
組立てる。すなわち、図１に示すように、有底円筒状の
ケース部材１に図２に示す通水性を有する中央円筒体２
ａの周側にプリーツ構造の濾紙のサンプル２ｂを備えた
濾過体２をその下端に板バネ３を介して配置し、濾過体
２の中央円筒体２ａの上端を延長して設けた突出部端面
に、ゴム等の可撓性材からなり上記ケース部材１の上端
の開口をほぼ覆う皿状の弁体４ａを有する弁用管体４の
端面の凹条溝を当接する。その弁用管体４の上端面拡開
部内面に、板厚の大きい板材であって、中央に濾過体２
の中央円筒体２ａに連通する例えばねじ孔５ａ、その一
側に例えばねじ孔５ｂを形成した天井板部材５を当接
し、この天井板部材５をケース部材１の上端に巻き締
め、これにより板バネ３の弾性力により濾過体２を弁用
管体４を介して天井板部材５に押圧して支持し、固定す
る。このようにして金属製ケース６に濾過体２を内装し
たカートリッジオイルフィルター７が得られる。その使
用法は、例えば図示省略した導入管をねじ孔５ｂ、導出
管をねじ孔５ａにねじ込み、被処理用流体を流通させる
と、その流体はカートリッジオイルフィルター７に流入
され、ここで濾過されて導出管から排出され処理された
流体が得られるが、カートリッジオイルフィルター７で
は、流入した被処理用流体は弁体４ａをその流体圧で変
形させてその端部とケース部材１の内面との間に隙間を
形成し、そこから流入し、オイル処理用濾紙のサンプル
２ｂを通って中央円筒体２ａを上昇し、弁用管体４を介
して導出管に排出される。この際、流体が逆流しようと
しても弁体４ａは原形に復するのでその逆止弁となる。
ここで、ケース部材１の高さ７５ｍｍ、外径６５ｍｍ、
図２に示すプリーツの外径１９ｍｍのオイル処理用濾紙
（濾過面積約７５０ｃｍ²) のサンプル２ｂを用いた自
動車用カートリッジオイルフィルターを作製した。作製
した自動車用カートリッジオイルフィルターを用いた濾
過効率試験、濾過ライフ試験を後述する方法により行っ
た結果を表３に示す。上述した実施例のように、塩基性
高分子化合物を用いると濾過材に対する接着性が良く、
その離脱を起こし難くし、また、有機溶剤を使用できる
ので塗布液の乾燥性を高め、生産性を高めることができ
る。

【００１６】

【表３】

【００１７】実施例８〜１０実施例１〜３で用いたと同様の濾紙を２％ケイ酸ナトリ
ウム水溶液に浸漬し、その後乾燥させ、この浸漬と乾燥
を繰り返してその繰り返し回数を変化させ、３種のケイ
酸ナトリウム含浸量（濾紙に対する塗布量１０．１重量
％（実施例８）、１３．４重量％（実施例９）、１７．
０重量％（実施例１０））の異なるオイル処理用濾紙の
サンプルを作製した。これらサンプルについて濾過効率
の試験、透気度試験を後述する方法により行った結果を
表４に示す。

【００１８】

【表４】

【００１９】実施例１１〜１２実施例８において、ケイ酸ナトリウムの代わりにケイ酸
カリウムを用い、その濾紙に対する含浸量をそれぞれ１
１．３重量％（実施例１１）、１６．１重量％（実施例
１２）とした以外は同様にしてオイル処理用濾紙のサン
プルを作製し、これらについても実施例１と同様に試験
した結果を表５に示す。

【００２０】

【表５】

【００２１】実施例１３実施例１〜３（実施例８〜１０）で用いたと同様の濾紙
にフェノール樹脂を含浸させてからプリーツ化を行った
後、フェノール樹脂の硬化を行い、さらに濾紙に対する
ケイ酸ナトリウムの塗布量を１３．８重量％とした以外
は実施例８と同様にしてオイル処理用濾紙のサンプルを
作製し、これを実施例７と同様にカートリッジに組立て
て自動車用カートリッジオイルフィルターを作製し、、
実施例７と同様の試験をした結果を表６に示す。ケイ酸
塩は無機物であるので耐熱性塩基性物質であり、高熱オ
イル濾過用の濾過材に塗布して用いれば、劣化し難いの
で耐久性を高めることができる。上記実施例７、１３に
おいて、濾紙にフェノール樹脂を含浸させるときに、上
記塩基性高分子化合物、ケイ酸塩等の塩基性物質を混合
し、同時に処理しても良い。この際、硬化剤としての作
用を有するものはこれを兼用しても良い。

【００２２】

【表６】

【００２３】比較例１実施例１〜３（実施例８〜１０）で用いたと同様の濾紙
を使用した以外は実施例１〜３（実施例８〜１０）と同
様な試験を行った結果を表７に示す。

【００２４】

【表７】

【００２５】比較例２濾紙にポリエチレンイミン（ケイ酸ナトウム）を含浸さ
せなかった以外は実施例７（実施例１３）で用いたと同
様の自動車用カートリッジオイルフィルターを作製し、
これについて実施例７（実施例１３）と同様に試験した
結果を表８に示す。

【００２６】

【表８】

【００２７】上記実施例、比較例における試験の試験方
法は以下の通りである。（１）濾過効率の試験後述の試験用コンタミナント０．９％を含む後述のオイ
ル５０ｇを有効濾過面積２ｃｍ²の上記オイル処理用濾
紙のサンプル（実施例１〜６、８〜１２）あるいは濾紙
（比較例１）に１回通した後、濾液を灯油で希釈し、
０．４５μのメンプレンで濾過して残渣重量がら濾液中
のコンタミネント量を求めた。濾過効率は次の式から求
めた。濾過効率（％）＝（当初油中コンタミナント量−濾液中
のコンタミナント量）÷当初油中コンタミナント量

【００２８】（２）透気度試験ＪＩＳＰ８１３１「紙及び板紙の透気度試験方法」に
準じて行った。その測定値は直径１０ｍｍの円形試験片
を３００ｃｃの空気が透過する時間で表示する。

【００２９】（３）カートリッジオイルフィルターを用
いた濾過ライフ試験ＪＩＳＤ１６１１「自動車用濾過器試験方法」によ
る。すなわち、図３に示すように、オイルタンク１１に
収容したオイルにコンタミナント１０を混入し、これを
ポンプ１２によりカートリッジオイルフィルター１３に
通し、その両側に圧力計１４、１５を設けてその圧を測
定できるようにし、さらに流量計１６を設けてその流量
を測定できるようにしたオイル循環回路を構成する。な
お、１７、１８はバルブである。この循環回路を次の条
件で作動させる。使用する試験用オイル：後述のＳＡＥ♯３０オイルの流通速度：１０リットル／分オイル温度：８０℃ コンタミナント：ＳＯＦＴＣ−２Ａコンタミナント（後述）添加量：０．６ｇ（固形分）／
時間上記の規定量のコンタミナントを連続投入し、上記の自
動車用カートリッジオイルフィルター１３（実施例７、
１３、比較例２の各々）の前後の差圧が１．０Ｋｇ／ｃ
ｍ²に達するまで行う。１．０Ｋｇ／ｃｍ²に達するま
での時間を濾過ライフの値とする。これが大きいほどオ
イル処理用濾紙のサンプルの細孔は塞がれず、いわゆる
目詰まりし難いことを示す。

【００３０】（４）カートリッジオイルフィルターを用
いた濾過効率試験ＪＩＳＤ１６１１「自動車用濾過器試験方法」によ
る。すなわち、図３のカートリッジオイルフィルター１
３の前後の圧力計１４、１５による差圧が１．０Ｋｇ／
ｃｍ²に達したとき、カートリッジオイルフィルター１
３（実施例７、１３、比較例２の各々）が捉えたコンタ
ミナント量を測定する。濾過効率は上記（１）の濾過効
率（％）を求めたものに準じて次の式により算出する。濾過効率（％）＝（投入コンタミナント量−オイルタン
ク１１内残留コンタミナント）／投入コンタミナント量

【００３１】上記試験に使用したオイル、コンタミナン
トは次のとおりである。（試験用オイル）ＪＩＳＤ１６１１に記載されている
品と同様のもので、ＪＩＳＫ２２１６の１種３号の潤
滑油でＳＡＥ♯３０（商品名）（試験用コンタミナント）ＳＯＦＴＣ−２Ａ（米国Ｐ
ＴＩ社製、輸入元理工貿易（株））を使用。その内容
は、次に示す組成で良く混合したものとし、重量百分率
（％）で表す。カーボンブラック（平均粒径８０μ）１６％酸化第二鉄（粒径５μ以下を９５％含んだもの）２％石油系アスファルト樹脂粉末４％使用油７８％なお、石油系アスファルト樹脂粉末は、ＪＩＳＺ８８
０１による篩を使用し、５９０μ篩上０％、１７７μ篩
上１０％、７４μ篩上０％の粒径分布を示すものであ
る。

【００３２】以上の結果、実施例１〜６、８〜１２のオ
イル処理用濾紙のサンプルは比較例１の濾紙のサンプル
に比べ、透気度はほぼ同じであるのに、濾過効率は５０
〜１００％向上し、実施例７、１３の自動車用カートリ
ッジオイルフィルターも透気度、濾過ライフははほぼ同
じであるのに、濾過効率は６〜７％増加していることが
分かる。

【００３３】これらのことから、上記（１）〜（３）の
発明のほかに、（４）、「オイルを濾過する処理を行う
のに用いる濾過材において、該濾過材表面に塩基性物質
の溶液の塗布膜であって、透気度を維持し、濾過効率を
向上する（少なくとも５０％、好ましくはほぼ１００％
向上する）薄膜を形成したオイル処理用濾過材。」の発
明を構成することができる。また、（５）、「このオイ
ル処理用濾過材を用いたオイル処理用フィルター」、
（６）、「上記（１）又は（２）又は（４）のオイル処
理用濾過材を用いたオイル処理用フィルターであって、
透気度、濾過ライフを維持し、濾過効率を向上する（濾
過効率を６〜７％向上する）オイル処理用フィルター
（オイル処理用カートリッジフィルター）」の発明を構
成することができる。なお、上記発明において、「オイ
ル処理用濾過材」、「オイル処理用フィルター」をそれ
ぞれ「オイル処理用濾過材の製造方法」、「オイル処理
用フィルターの製造方法」とし、それぞれの限定構成を
準用しても良い。

【００３４】

【発明の効果】本発明によれば、塩基性物質を表面に均
一に分布させ、しかもオイルの透過量を損なわないオイ
ル処理用濾過材及びオイル処理用フィルターを提供する
ことができる。また、フィルターの用途に応じ塩基性物
質あるいは濾過材を適宜代え易いオイル処理用濾過材及
びオイル処理用フィルターを提供することができ、ま
た、特に自動車用潤滑油等の高温に加熱されカーボン微
粒子を発生するオイルの処理においてカーボン微粒子の
除去効率の良い、自動車用オイルフィルター等に用いら
れるオイル処理用濾過材及びオイル処理用フィルターを
提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のオイル処理用フィルターの一実施例と
しての自動車用カートリッジオイルフィルターの断面図
である。

【図２】その濾過材の平面図である。

【図３】カートリッジオイルフィルターを用いた濾過ラ
イフ試験、濾過効率試験を行うオイル循環回路図であ
る。

【符合の説明】

２ｂオイル処理用濾過材としての濾紙のサンプル７カートリッジオイルフィルター

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】オイルを濾過する処理を行うのに用いる
濾過材において、該濾過材表面に塩基性物質の溶液の塗
布膜を形成したオイル処理用濾過材。
【請求項２】オイルはカーボン微粒子を含有し、塩基
性物質は塩基性高分子化合物及びケイサン塩の少なくと
も１種であり、濾過材が濾紙又は不織布である請求項１
に記載のオイル処理用濾過材。
【請求項３】請求項１又は２に記載のオイル処理用濾
過材を用いたオイル処理用フィルタ−。