JPH1129628A - 耐ブリードアウト性の優れた乳酸系共重合ポリエステル - Google Patents

耐ブリードアウト性の優れた乳酸系共重合ポリエステル

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JPH1129628A
JPH1129628A JP18636797A JP18636797A JPH1129628A JP H1129628 A JPH1129628 A JP H1129628A JP 18636797 A JP18636797 A JP 18636797A JP 18636797 A JP18636797 A JP 18636797A JP H1129628 A JPH1129628 A JP H1129628A
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JP
Japan
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polyester
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lactic acid
aliphatic
molecular weight
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JP18636797A
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Toshiro Ariga
利郎 有賀
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DIC Corp
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明が解決しようとする課題は、優れた生
分解性、成形性、透明性、耐ブリードアウト性を有する
乳酸系共重合ポリエステルの製造方法、並びに該製造方
法により製造される耐ブリードアウト性の優れた乳酸系
共重合ポリエステル、それを必須成分として成る成型物
を提供することにある。 【解決手段】 炭素数2〜8の直鎖状脂肪族ジオール
(A1)と炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸(B)
とを必須成分として成る脂肪族ポリエステル(I)とラ
クタイド(II)とを、重量比(I)/(II)が2/
98〜80/20で開環重合触媒の存在下に共重合させ
た、耐ブリードアウト性の優れた乳酸系共重合ポリエス
テル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はブロー成形、押出成
形、射出成形、インフレーション成形、積層成形、プレ
ス成形、押出発泡成形等の種々の方法での成形加工が可
能な、優れた耐ブリードアウト性及び生分解性を有する
乳酸系共重合ポリエステル、その製造方法、及び該乳酸
系共重合ポリエステルを必須成分としてなる成型物に関
する。
【0002】詳しくは本発明の乳酸系共重合ポリエステ
ルは、成形用樹脂、シート・フィルム用材料、塗料用樹
脂、インキ用樹脂、接着剤樹脂、紙へのラミネーショ
ン、発泡樹脂材料等に有用であり、とりわけその優れた
耐ブリードアウト性と透明性の故に、特に包装材料のシ
ート・フィルム、例えば、シートとしては、トレー、カ
ップ、皿、ブリスター、PTP等に、フィルムとして
は、ラップフィルム、食品包装袋、その他一般包装袋、
ゴミ袋、レジ袋、一般規格袋、重袋等の袋類等に有用で
ある。
【0003】
【従来の技術】近年、環境問題から、優れた生分解性を
有する乳酸系ポリマーの開発が盛んに行われている。ポ
リ乳酸は優れた生分解性を有し、透明性に優れている反
面、耐衝撃性や柔軟性に乏しいという欠点がある。これ
を改善するために、例えば、特開平6−3145661
号公報ではラクトン類をあらかじめ重合し、そのホモポ
リマーとの共重合によってポリ乳酸の軟質化を行ってい
るが、得られたコポリマーは、いずれも融点及びガラス
転移温度が低く、結晶化により不透明化するという問題
点があった。
【0004】米国特許5202413号公報には、数平
均分子量3,400のポリエチレンアジペートまたは数
平均分子量2,000のポリカプロラクトンとラクタイ
ドを共重合してポリラクタイドを軟質化する記載があ
る。しかし、脂肪族ポリエステル含量が全体の15〜3
0重量部以上になると、乳酸系コポリマーの透明性が低
下するという問題点があり、逆に、透明性を持たせるた
めにポリエステル含量を低下させると、コポリマーの柔
軟性が低くなり、フィルムやシートなどの引っ張り伸び
や衝撃強度が要求される成形品には不向きとなる。
【0005】また、特開平1−108226号公報に
は、ポリ乳酸の軟質化を図るために生分解性を有するポ
リエーテルポリオールとラクタイドとを共重合したブロ
ック共重合体の製造方法、共重合体フィルム、共重合体
繊維について記載されている。しかし、これらの方法で
は、ポリオールの共重合量を多くすれば、より軟質化さ
れるものの、生成する乳酸系共重合ポリエステルの重量
平均分子量が1万〜5万と低いため、十分な強度のポリ
マーが得られず、成形性が悪いという問題点があった。
【0006】これは、分子量の低いポリエーテルは単位
重量当たりの末端水酸基が多い為にポリ乳酸重合活性末
端が連鎖移動しやすくなるためと考えられる。しかしな
がら、これまでの重合技術では重量平均分子量で7〜1
0万といった超高分子量のポリエーテルを得ることはで
きないため、この共重合方法では十分な強度のポリ乳酸
共重合体を得ることはできない。
【0007】特開平6−306111号公報では、高分
子量の脂肪族ポリエステルの存在下にラクタイドの開環
重合を行うことによって脂肪族ポリエステルブロックを
有する乳酸コポリマーを得ている。このコポリマーは、
脂肪族ポリエステルの導入によって軟質化され、ポリ乳
酸のもろさを解消し、更には高い透明性も実現してい
る。しかし、高温多湿の条件下で、該コポリマーが徐々
に加水分解されることによって生じる脂肪族ポリエステ
ルとポリ乳酸は、相溶性が低いものが多く、ポリエステ
ル成分やそのオリゴマー等が成形物の表面にブリードア
ウトする問題があった。このようなブリードアウト現象
は、製品の保存時のべとつき、ブロッキング、不透明化
などの種々の問題を生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明が解決
しようとする課題は、優れた生分解性、成形性、透明
性、耐ブリードアウト性を有する乳酸系共重合ポリエス
テルの製造方法、並びに該製造方法により製造される耐
ブリードアウト性の優れた乳酸系共重合ポリエステル、
それを必須成分として成る成型物を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決する為に研究を行った結果、特定の炭素数を有す
る脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を必須成分とし
て成る脂肪族ポリエステル(I)を、ラクタイド(I
I)と開環重合触媒の存在下に共重合することにより製
造される乳酸系共重合ポリエステルは、優れた耐ブリー
ドアウト性、成形性、生分解性、透明性、ヒートシール
性を有し、汎用性の包装材料や成形材料に有用であるこ
とを見いだし、本発明を完成するに到った。
【0010】即ち、本発明は、(1)炭素数2〜8の直
鎖状脂肪族ジオール(A1)と炭素数8〜12の脂肪族
ジカルボン酸(B)とを必須成分として成る脂肪族ポリ
エステル(I)とラクタイド(II)とを、重量比
(I)/(II)が2/98〜80/20で開環重合触
媒の存在下に共重合させた、耐ブリードアウト性の優れ
た乳酸系共重合ポリエステル、
【0011】(2)脂肪族ポリエステル(I)が、エチ
レングリコール(A1)と炭素数8〜12の脂肪族ジカ
ルボン酸(B)とを必須成分として成る脂肪族ポリエス
テルであることを特徴とする(1)に記載の乳酸系共重
合ポリエステル、(3)脂肪族ジカルボン酸(B)が、
セバシン酸であることを特徴とする(1)又は(2)に
記載の乳酸系共重合ポリエステル、
【0012】(4)脂肪族ポリエステル(I)のジオー
ル成分として、炭素数2〜8の直鎖状脂肪族ジオール
(A1)以外に、分岐鎖を有していても良い脂肪族ジオ
ール(A2)を、モル比(A1)/(A2)が100/
0〜20/80で含有することを特徴とする上記の
(1)〜(3)のいずれか一つに記載の乳酸系共重合ポ
リエステル、
【0013】(5)脂肪族ポリエステル(I)が、酸無
水物または多官能イソシアネートで高分子量化された脂
肪族ポリエステルであることを特徴とする上記の(1)
〜(4)のいずれか一つに記載の乳酸系共重合ポリエス
テル、(6)炭素数2〜8の直鎖状脂肪族ジオール(A
1)と炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸(B)とを
必須成分として成る脂肪族ポリエステル(I)とラクタ
イド(II)とを、重量比(I)/(II)が2/98
〜80/20で開環重合触媒の存在下に共重合させるこ
とを特徴とする、耐ブリードアウト性の優れた乳酸系共
重合ポリエステルの製造方法、
【0014】(7)脂肪族ポリエステル(I)が、エチ
レングリコール(A1)と炭素数8〜12の脂肪族ジカ
ルボン酸(B)とを必須成分として成る脂肪族ポリエス
テルであることを特徴とする(6)に記載の乳酸系共重
合ポリエステルの製造方法、(8)脂肪族ジカルボン酸
(B)が、セバシン酸であることを特徴とする(6)又
は(7)に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方
法、及び、(9)上記の(1)〜(5)のいずれか一つ
に記載の耐ブリードアウト性の優れた乳酸系共重合ポリ
エステルを必須成分としてなる成型物を含むものであ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明で使用するラクタイドは、
乳酸2分子が脱水縮合で環状2量化した化合物で、立体
異性体を有するモノマーである。即ち、ラクタイドには
L−乳酸2分子からなるL−ラクタイド、D−乳酸2分
子からなるD−ラクタイドおよびD−乳酸およびL−乳
酸からなるmeso−ラクタイドが存在する。L−ラク
タイド、またはD−ラクタイドのみを含む共重合体は結
晶化し高融点である。本発明の乳酸系共重合ポリエステ
ルでは、用途に応じて3種類のラクタイドを種々の割合
で組み合わせることにより、好ましい樹脂特性を実現で
きる。
【0016】本発明で用いる脂肪族ポリエステルの炭素
数2〜8の直鎖状脂肪族ジオール(A1)としては、エ
チレングリコール、1、3−プロパンジオール、1,4
−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,
8−オクタンジオールである。更に、本発明で用いられ
る脂肪族ポリエステル(I)のジオール成分としては、
炭素数2〜8の直鎖状脂肪族ジオール(A1)以外に、
分岐鎖を有していても良い脂肪族ジオール(A2)を、
モル比(A1)/(A2)が100/0〜20/80で
含有していても良い。
【0017】また、この炭素数2〜8の直鎖状脂肪族ジ
オール(A1)と併用される脂肪族ジオール(A2)と
しては、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブタ
ンジオール、1,2−ブタンジオール、ネオペンチルグ
リコール、3,3−ジエチル−1,3−プロパンジオー
ル、3,3−ジブチル−1,3−プロパンジオール、
1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、
【0018】1,3−ペンタンジオール、2,3−ペン
タンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,4−ペ
ンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−
ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5
−ヘキサンジオール、n−ブトキシエチレングリコール
などの分岐構造を有するジオールや、1,9−ノナンジ
オール、1,10−デカンジオールなどの炭素数9以上
の直鎖状ジオール、エーテル酸素を有するジエチレング
リコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリ
コール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコール等である。
【0019】ポリエステル中におけるジオール成分A1
とA2の構成比率は100:0〜20:80が好ましい
が100:0〜50:50の範囲内がさらに好ましい。
これは、A2の成分が増加するにつれ、乳酸共重合体か
らブリードアウトが始まるまでの日数が短くなるためで
ある。このような構成からなる乳酸系コポリマーは、3
5℃、80%湿度中の、加速試験において40日以上ブ
リード物が現れない。
【0020】本発明によって得られる乳酸系共重合ポリ
エステルは透明性の良い樹脂であり、45℃以上のガラ
ス転移温度や140℃以上の融点を有するコポリマーも
合成可能である。高い耐熱性を付与する為には、脂肪族
ポリエステル(I)とラクタイド(II)の構成比は重
量比で(I)/(II)が80/20〜2/98である
ことが好ましく、更に好ましくは50/50〜2/98
である。更に、ガラス転移温度が50℃以上のコポリマ
ーの合成は、脂肪族ポリエステルの構成要素にも依存す
る。
【0021】乳酸系共重合体は、高分子量を有するもの
が広い温度範囲で成形加工が可能であるために好まし
く、具体的には重量平均分子量で5万〜40万の乳酸系
共重合ポリエステルが好ましい。この分子量範囲を有す
る乳酸系共重合ポリエステルをシート化し、レオメトリ
クス株式会社製のRSAIIで測定したところ室温での
貯蔵弾性率は5000〜3万kg/cm2であった。
【0022】このような高分子量の乳酸系共重合ポリエ
ステルを合成するには、原料として用いる脂肪族ポリエ
ステルの分子量が十分に高いことが好ましい。通常のポ
リエステル製造に際しては、高温で長時間の加熱と高真
空下でのエステル交換反応がポリエステルの高分子量化
に用いられている。
【0023】本発明では、チタン、錫、亜鉛、ジルコニ
ウム等の金属触媒をポリエステルに対して50〜100
0ppm用いてエステル交換を行い、更に亜リン酸エス
テル化合物等の酸化防止剤を50〜1000ppm添加
することによって、エステル交換反応時に問題となる着
色を低減させることができる。
【0024】通常、分子量10万以上の脂肪族ポリエス
テルを全く着色無しに得ることは、困難である。それ
故、反応温度を230℃以下に抑えて分子量2万〜3万
のポリエステルを合成し、これを多官能イソシアネー
ト、カルボン酸無水物等を反応させることにより、ポリ
エステルの分子量を10万以上に高分子量化することが
できる。
【0025】脂肪族ポリエステルと、カルボン酸無水物
もしくはイソシアネートとの反応は、ジオールとジカル
ボン酸とのポリエステルの重合反応が完結した直後の反
応物にカルボン酸無水物もしくはイソシアネートを混合
し、短時間溶融状態で攪拌して反応させる方法、或いは
重合により得られたポリエステルに改めて添加し、溶融
混合する方法でも良い。特に好ましいのは、脂肪族ポリ
エステルとカルボン酸無水物またはイソシアネートの両
者を共溶剤に溶解させ、加熱して反応させる方法であ
る。これにより非常に均一にカルボン酸無水物、イソシ
アネートを脂肪族ポリエステル中に分散させることが出
来る。
【0026】脂肪族ポリエステルにカルボン酸無水物も
しくはイソシアネートを混合、反応させる温度は、通常
70℃〜220℃、好ましくは100℃〜190℃であ
る。又、多官能イソシアネートの反応に際しては、N,
N−ジメチルアニリン、オクタン酸錫、ジブチル錫ジラ
ウレート、テトライソプロピルチタネート等のエステル
重合触媒、或いはウレタン触媒を使用することが好まし
い。
【0027】上記のカルボン酸無水物、多官能イソシア
ネートは、必要に応じて混合して用いることができる。
また、これらの使用量は、脂肪族ポリエステルの0.0
1重量%〜5重量%が好ましく、更に好ましくは0.1
重量%〜1重量%である。
【0028】次に、製造方法を順に説明する。2種類の
ジオールとジカルボン酸をモル比で1.2〜1.5:1
で窒素雰囲気下にて130℃〜220℃まで1時間に5
〜10℃の割合で徐々に昇温させながら攪拌して水を留
去する。6〜12時間反応後、10〜0.5torrで
徐々に減圧度を上げながら過剰のグリコールを留去す
る。
【0029】2〜3時間減圧後、エステル交換触媒、及
び酸化防止剤を添加して0.5torrで減圧しながら
230℃で4〜12時間反応すると粘性の高いポリエス
テルが得られる。180℃〜210℃で、このポリエス
テルにカルボン酸無水物または多官能イソシアネートを
添加し、カルボン酸無水物の場合は3〜0.5torr
で減圧しながら、イソシアネートの場合は常圧で3時間
反応を行うことにより高分子量のポリエステルが得られ
る。反応系内に酸素が入り込むと着色および分解の原因
になるので、触媒添加等の減圧を解除する際には、窒素
等の不活性ガスでの置換を十分に行うことが好ましい。
【0030】ラクタイドの開環重合は着色及び分解を防
ぐという点で185℃以下、好ましくは180℃以下の
反応温度が好ましく、また、ラクタイドの分解、着色を
防ぐため、窒素及びアルゴン等の不活性ガスの雰囲気下
で反応を行うことが好ましい。また反応系内の水分の存
在は好ましくない為、使用する脂肪族ポリエステルは十
分に乾燥させておく必要がある。
【0031】次に共重合の方法について説明する。脂肪
族ポリエステル(I)およびラクタイド(II)を、こ
れらの合計重量に対して15〜30重量部のトルエンと
混合し、窒素雰囲気下140〜180℃で開環重合触
媒、例えば、オクタン酸錫をポリエステル及びラクタイ
ドの合計重量に対して50〜2000ppm添加する。
【0032】ラクタイドは種々の溶剤に可溶であり、例
えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼ
ン、クロロベンゼン等の溶媒を用いて共重合することが
できる。重合反応は、ポリエステルの末端水酸基に重合
開始剤が反応し、これがラクタイドの開環重合を開始す
るという機構によって共重合反応が進行すると考えられ
る。
【0033】ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)で重合転化率を測定すると160〜180℃
で、3〜6時間反応することにより、この重合反応の転
化率は、90〜99%に達する。この際に未反応の残留
モノマーは、コポリマーの力学的物性値を低下させるだ
けでなく、コポリマーの分解、更にはブリードアウトを
も加速する。従って、コポリマー中の残留モノマーは
0.5%以下に低減させることが好ましい。
【0034】二軸押し出し機のような表面更新力に優れ
た機器を用いれば0.5%以下の残留モノマーレベルを
達成することができる。また、コポリマーをシートのよ
うな表面積の大きい形に成形後、100℃で減圧1KP
a以下で減圧することによっても残留モノマーを低減で
きる。本発明においても、このような手段によって残留
モノマーを0.5%以下に低減させることが好ましい。
【0035】更に0.1%以下の低残留モノマーのコポ
リマーを得るには、溶融状態において減圧下でモノマー
留去しても、モノマーがポリマーの活性末端から再生
し、残留モノマーが極めて少ないポリマーを得ることは
困難である。従って、重合反応終了後、触媒失活剤、例
えばアルキルホスフェートやアルキルホスホネートなど
を添加することにより、残留モノマー量を減少でき、優
れた樹脂特性を実現できる。
【0036】本発明の乳酸系共重合ポリエステルは、通
常の反応釜を使用して製造することも可能であるが、高
分子量化に伴う高粘度化の為に、通常の反応釜を使用し
た共重合反応では攪拌効率が低下し、局部加熱による着
色や反応率の低下を招く。この為、本発明においては、
均一に攪拌され、せん断応力の小さいスタティックミキ
サーの使用が好ましい。また、スタティックミキサーの
みで本反応を行うこともできるが、粘度が低い段階では
通常の反応釜を使用し、重合後期の高粘度化する前にス
タティックミキサーを使用する方法が重合開始剤を均一
に混合するという意味で更に好ましい。
【0037】乳酸系共重合ポリエステルの室温における
粘弾性は、共重合に用いる脂肪族ポリエステルを構成す
るジオールとジカルボン酸の主鎖の炭素数が多いほど軟
質となる。本発明で得られる軟化温度が30℃以下の乳
酸系共重合ポリエステルは、成形時に冷媒を用いて室温
まで急冷すると250μmの厚さでヘイズ5%以下の透
明なシートが得られるが、室温付近で徐冷するとラクタ
イド部分の結晶化が一部進行しシートのヘイズが10〜
20%となり透明性がやや低下する。
【0038】ブリードアウトとは、共重合ポリエステル
が固体である際は白色の粉末として観察され、液体であ
る場合は表面に液状物が観察されることを言う。ポリマ
ー成形物(10×10cm正方形、250μm厚のシー
ト)を35℃、湿度80%の恒温恒湿器に保存する加速
試験を実施したとき、本発明のポリマー成形物は表面か
ら40日以上ブリード物が現れない。また、本発明にお
いては、上記の加速試験において、透明な成形物表面に
白色の濁りや液状物が見られた日をブリード開始日と
し、同試験において、40日以上ブリード物が現れない
ものを耐ブリードアウト性の優れた乳酸系共重合ポリエ
ステルと称する。
【0039】炭素数2〜8の直鎖状脂肪族ジオールと炭
素数8〜12のジカルボン酸を含まないポリエステルと
ラクタイドを共重合した場合、35℃、湿度80%の恒
温恒湿器内での加速試験では、40日以内に固体もしく
は液状のブリード物が観察される。本発明で得られる乳
酸系共重合ポリエステルは、良好な生分解性を有し、海
中に投棄された場合でも、加水分解、生分解等による分
解を受ける。海水中では数カ月の間に樹脂としての強度
が劣化し、外形を保たないまでに分解可能である。また
コンポストを用いると、更に短期間で原形をとどめない
までに生分解される。
【0040】本発明の乳酸系共重合ポリエステルは、成
形用樹脂、シート・フィルム用材料、塗料用樹脂、イン
キ用樹脂、トナー用樹脂、接着剤樹脂、紙へのラミネー
ション、発泡樹脂材料等、特に包装材料として有用であ
る。包装材料としては、例えば、シートとしてはトレ
ー、カップ、皿、ブリスター等、フィルムとしては、ラ
ップフィルム、食品包装、その他一般包装、ゴミ袋、レ
ジ袋、一般規格袋、重袋等の袋類等に有用である。
【0041】また、その他の用途としてブロー成形品と
しても有用に用いられ、例えば、シャンプー瓶、化粧品
瓶、飲料瓶、オイル容器等に、また衛生用品として、紙
おむつ、生理用品、更には、医療用として人工腎臓、縫
合糸等に、また農業資材として、発芽シート、種ヒモ、
農業用マルチフィルム、緩効性農薬及び肥料のコーテイ
ング剤、防鳥ネット、養生シート、苗木ポット等に有用
である。
【0042】また、漁業資材としては漁網、海苔養殖
網、釣り糸、船底塗料等に、また射出成形品としては、
ゴルフティー、綿棒の芯、キャンディーの棒、ブラシ、
歯ブラシ、注射筒、皿、カップ、櫛、剃刀の柄、テープ
のカセット、使い捨てのスプーン・フォーク、ボールペ
ン等の文房具等に有用である。
【0043】また紙へのラミネーション製品としては、
トレー、カップ、皿、メガホン等に、その他に、結束テ
ープ、プリペイカード、風船、パンティーストッキン
グ、ヘアーキャップ、スポンジ、セロハンテープ、傘、
合羽、プラ手袋、ヘアーキャップ、ロープ、不織布、チ
ューブ、発泡トレー、発泡緩衝材、緩衝材、梱包材、ホ
ットメルト接着剤、煙草のフィルター等が挙げられる。
以下に実施例及び比較例により、本発明を更に具体的に
説明する。
【0044】
【実施例】
(参考例1)(脂肪族ポリエステルC−1の合成) 攪拌器、精留器、ガス導入管を付した50L反応槽に、
1モル当量のセバシン酸(SeA)と1.35モル当量
のエチレングリコール(EG)を仕込み、窒素気流下で
150℃から1時間に7℃ずつ昇温させながら加熱攪拌
した。生成する水を留去しながら220℃まで昇温し、
水の留出が止まったらエステル交換触媒としてチタンテ
トライソプロポキシドを70ppm添加し、最高0.5
torrまで減圧しながら15時間攪拌した。
【0045】グリコールの留出が止まってから230℃
で4時間反応を継続することにより粘ちょうな脂肪族ポ
リエステル(C−1と称する。)を得た。このポリマー
の数平均分子量はポリスチレン換算のゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー(以下GPCと略す)で34,
000、重量平均分子量は55,000であった。
【0046】(参考例2)(脂肪族ポリエステルC−2
の合成) 攪拌器、精留器、ガス導入管を付した50L反応槽に、
1モル当量のセバシン酸と0.5モル当量の1,6−ヘ
キサンジオール(HD)、0.7モル当量のエチレング
リコールを仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に
10℃昇温させながら加熱攪拌した。生成する水を留去
しながら220℃まで昇温し、水の留出が止まってから
再びエチレングリコールを0.2モル当量添加した。1
80℃で1時間攪拌を行った後、230℃まで昇温し
た。グリコールの留出が止まってからオクタン酸錫を6
0ppm添加して0.5torrまで徐々に減圧しなが
ら12時間攪拌した。
【0047】更に230℃で7時間反応を継続すること
によりGPCで数平均分子量33,000、重量平均分
子量65,000の脂肪族ポリエステル(C−2と称す
る。)が得られた。このポリエステルは、融点62℃、
ガラス転移温度36℃の固体で、1HNMRより、1,
6−ヘキサンジオールとエチレングリコール構造が1:
1の比であることが確認された。
【0048】(参考例3)(脂肪族ポリエステルC−3
の合成) 攪拌器、精留器、ガス導入管を付した反応釜に、セバシ
ン酸1モル当量、1,3−ブタンジオール(1,3−B
G)0.35モル当量、エチレングリコール1モル当量
を仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に10℃昇
温させながら加熱攪拌した。
【0049】生成する水を留去しながら220℃まで昇
温し、水の留出が止まってから再びエチレングリコール
を0.2モル当量添加した。180℃で1時間攪拌を行
った後、230℃まで昇温した。グリコールの留出が止
まってからチタンオキシアセチルアセトナートを120
ppm添加し、1.5torrまで減圧しながら2時間
攪拌し、230℃で16時間反応を継続して、数平均分
子量42,000、重量平均分子量62,000の脂肪
族ポリエステル(C−3と称する。)が得られた。この
ポリエステルは、融点55℃、ガラス転移温度35℃の
固体で、1HNMRより、1,3−ブタンジオールとエ
チレングリコール構造が3:7の比であることが確認さ
れた。
【0050】(参考例4)(脂肪族ポリエステルC−4
の合成) 攪拌器、精留器、ガス導入管を付した4つ口フラスコ
に、セバシン酸1モル当量、プロピレングリコール(P
G)0.1モル当量、エチレングリコール0.9モル当
量を仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に10℃
昇温させながら加熱攪拌した。生成する水を留去しなが
ら220℃まで昇温し、水の留出が止まってから再びエ
チレングリコールを0.3モル当量、プロピレングリコ
ールを0.05モル当量添加した。180℃で1時間攪
拌を行った後、230℃まで昇温し、過剰のグリコール
を留去した。留出が少なくなってからチタンテトラ−n
−ブトキシドを70ppm添加して0.6torrまで
減圧しながら4時間反応を行った。
【0051】更にグリコールの留出が止まってから23
0℃で9時間反応を継続することにより数平均分子量4
3,000、重量平均分子量77,000の脂肪族ポリ
エステル(C−4と称する。)が得られた。このポリエ
ステルは、融点68℃、ガラス転移温度36℃の固体
で、1HNMRより、プロピレングリコールとエチレン
グリコール構造が1:9の比であることが確認された。
【0052】(参考例5)(脂肪族ポリエステルC−5
の合成) 攪拌器、精留器、ガス導入管を付した4つ口フラスコ
に、セバシン酸1モル当量、1,4−ブタンジオール
(1,4−BG)0.35モル当量、ネオペンチルグリ
コール(NPG)0.3モル当量、エチレングリコール
0.4モル当量を仕込み、窒素気流下で150℃から1
時間に10℃昇温させながら加熱攪拌した。
【0053】生成する水を留去しながら220℃まで昇
温し、水の留出が止まってから再びエチレングリコール
を0.2モル当量添加した。180℃で1時間攪拌を行
った後、230℃まで昇温した。グリコールの留出が止
まってからチタンオキシアセチルアセトナートを120
ppm添加し、1.5torrまで減圧しながら2時間
攪拌し、230℃で12時間反応を継続して、数平均分
子量30,000、重量平均分子量52,000の脂肪
族ポリエステル(C−5と称する。)が得られた。この
ポリエステルは、融点、ガラス転移温度を示さない固体
で、1HNMRより、1,4−ブタンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、エチレングリコール構造が3:3:
4の比であることが確認された。
【0054】(参考例6)(脂肪族ポリエステルC−6
の合成) 攪拌器、精留器、ガス導入管を付した4つ口フラスコ
に、セバシン酸1モル当量、1,5−ペンタンジオール
(PD)0.7モル当量、エチレングリコール0.5モ
ル当量を仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に1
0℃昇温させながら加熱攪拌した。
【0055】生成する水を留去しながら220℃まで昇
温し、水の留出が止まってからラウリル酸スズを350
ppm添加して最高0.5torrまで減圧しながら攪
拌した。グリコールの留出が止まってから230℃で1
時間反応を継続することにより数平均分子量20,00
0、重量平均分子量30,000の脂肪族ポリエステル
(C−6と称する。)が得られた。このポリエステル
は、融点56℃でガラス転移温度を示さない固体であっ
た。1HNMRより、1,5−ペンタンジオール、エチ
レングリコール構造が7:3の比であることが確認され
た。
【0056】(参考例7)(脂肪族ポリエステルC−7
の合成) 攪拌器、精留器、ガス導入管を付した4つ口フラスコ
に、セバシン酸1モル当量、1,9−ノナンジオール
(ND)0.2モル当量、エチレングリコール1モル当
量を仕込み、窒素気流下で150℃から220℃まで1
時間に10℃昇温させながら加熱攪拌した。水の留出が
止まってから酢酸亜鉛を120ppm添加して最高0.
7torrに減圧しながら4時間攪拌した。更に230
℃で1時間反応を継続することにより数平均分子量1
9,000、重量平均分子量34,000の脂肪族ポリ
エステル(C−7と称する。)が得られた。このポリエ
ステルは、融点66℃でガラス転移温度36℃の固体で
あった。1HNMRより、1,9−ノナンジオール、エ
チレングリコール構造が8:2の比であることが確認さ
れた。
【0057】(参考例8)(脂肪族ポリエステルC−8
の合成) 攪拌器、精留器、ガス導入管を付した4つ口フラスコ
に、セバシン酸1モル当量、ジエチレングリコール(D
EG)0.3モル当量、エチレングリコール1モル当量
を仕込み、窒素気流下で150℃から220℃まで1時
間に10℃昇温させながら加熱攪拌した。水の留出が止
まってから酢酸亜鉛を120ppm添加して最高0.7
torrに減圧しながら4時間攪拌した。更に230℃
で12時間反応を継続することにより数平均分子量3
9,000、重量平均分子量64,000の脂肪族ポリ
エステル(C−8と称する。)が得られた。このポリエ
ステルは、融点64℃でガラス転移温度35℃の固体で
あった。1HNMRより、ジエチレングリコール、エチ
レングリコール構造が3:7の比であることが確認され
た。
【0058】(参考例9)(脂肪族ポリエステルC−9
の合成) 攪拌器、精留器、ガス導入管を付した4つ口フラスコ
に、デカンジカルボン酸(DeA)1モル当量、エチレ
ングリコール0.7モル当量、1,6−ヘキサンジオー
ル0.5モル当量を仕込み、窒素気流下で150℃から
220℃まで1時間に10℃昇温させながら加熱攪拌し
た。水の留出が止まってから酢酸亜鉛を120ppm添
加して最高0.7torrに減圧しながら14時間攪拌
した。更に230℃で3時間反応を継続することにより
数平均分子量37,000、重量平均分子量71,00
0の脂肪族ポリエステル(C−9と称する。)が得られ
た。このポリエステルは、融点55℃でガラス転移温度
28℃の固体であった。1HNMRより、ヘキサンジオ
ール、エチレングリコール構造が1:1の比であること
が確認された。
【0059】(参考例10)(脂肪族ポリエステルC−
10の合成) 攪拌器、精留器、ガス導入管を付した4つ口フラスコ
に、デカンジカルボン酸1モル当量、エチレングリコー
ル0.9モル当量、プロピレングリコール0.3モル当
量を仕込み、窒素気流下で150℃から220℃まで1
時間に10℃昇温させながら加熱攪拌した。水の留出が
止まってから酢酸スズを120ppm添加して最高0.
7torrに減圧しながら14時間攪拌した。更に23
0℃で5時間反応を継続することにより数平均分子量3
5,000、重量平均分子量65,000の脂肪族ポリ
エステル(C−10と称する。)が得られた。このポリ
エステルは、融点50℃の固体であった。1HNMRよ
り、プロピレングリコール、エチレングリコール構造が
3:7の比であることが確認された。
【0060】(参考例11)(脂肪族ポリエステルC−
11の合成) 攪拌器、精留器、ガス導入管を付した4つ口フラスコ
に、セバシン酸1モル当量、ネオペンチルグリコール
0.3モル当量、1,6−ヘキサンジオール1.1モル
当量を仕込み、窒素気流下で150℃から220℃まで
1時間に10〜20℃昇温させながら加熱攪拌した。水
の留出が止まってから酢酸亜鉛を120ppm添加して
最高0.7torrに減圧しながら10時間攪拌した。
更に230℃で5時間反応を継続することにより数平均
分子量15,000、重量平均分子量35,000の脂
肪族ポリエステル(C−11と称する。)が得られた。
このポリエステルは、融点27℃の固体であった。1
NMRより、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコー
ル構造が8:2の比であることが確認された。
【0061】(参考例12)(高分子量の脂肪族ポリエ
ステルC−12の合成) 参考例11で合成した脂肪族ポリエステル(C−11)
をセパラブルフラスコに取り、無水ピロメリット酸(P
MDA)0.1重量部を添加して210℃に加熱しなが
ら1torrで減圧しながら攪拌した。3時間後、粘度
が急激に上昇した。 得られたポリマーは、テトラヒド
ロフラン(THF)やトルエンに可溶でありゲル化して
いないことが確認された。このポリマーは、GPCで数
平均分子量41,000、重量平均分子量105,00
0の高分子量の脂肪族ポリエステル(C−12と称す
る。)であることが確認された。
【0062】(参考例13)(高分子量の脂肪族ポリエ
ステルC−13の合成) 参考例7で合成した脂肪族ポリエステル(C−7)をセ
パラブルフラスコに取り、酸無水物として新日本理化株
式会社製リカシッドTH(THA)0.2重量部を添加
して180℃に加熱して1時間攪拌した。次に、210
℃で加熱しながら1torrまで減圧して攪拌した。4
時間後、粘度の上昇が認められた。得られたポリマー
は、数平均分子量3,2000、重量平均分子量87,
000の高分子量の脂肪族ポリエステル(C−13)が
得られた。
【0063】(参考例14)(高分子量の脂肪族ポリエ
ステルC−14の合成) 参考例11で合成した脂肪族ポリエステル(C−11)
をセパラブルフラスコに取り、ジイソシアネートとして
ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)0.1重
量部を添加して180℃に加熱して1時間攪拌した。得
られたポリマーは、数平均分子量3,0000、重量平
均分子量102,000の高分子量の脂肪族ポリエステ
ル(C−14)が得られた。
【0064】(参考例15)(脂肪族ポリエステルC−
15の合成) 攪拌器、精留器、ガス導入管を付した4つ口フラスコ
に、セバシン酸1モル当量、ポリエチレングリコール
(数平均分子量1,000)0.1モル当量、エチレン
グリコール1.3モル当量を仕込み、窒素気流下で15
0℃から220℃まで1時間に10℃昇温させながら加
熱攪拌した。水の留出が止まってから酢酸亜鉛を120
ppm添加して最高0.7torrに減圧しながら10
時間攪拌した。更に230℃で5時間反応を継続するこ
とにより数平均分子量35,000、重量平均分子量6
5,000の脂肪族ポリエステル(C−15と称す
る。)が得られた。このポリエステルは、1HNMRよ
り、ポリエチレングリコールとエチレングリコールの構
造の比が1:9であることが確認された。
【0065】(参考例16)(脂肪族ポリエステルC−
16の合成) 攪拌器、精留器、ガス導入管を付した4つ口フラスコ
に、セバシン酸1モル当量、ポリプロピレングリコール
(数平均分子量1,000)0.5モル当量、エチレン
グリコール0.8モル当量を仕込み、窒素気流下で15
0℃から220℃まで1時間に10℃昇温させながら加
熱攪拌した。水の留出が止まってから酢酸亜鉛を120
ppm添加して最高0.7torrに減圧しながら10
時間攪拌した。更に230℃で5時間反応を継続するこ
とにより数平均分子量30,000、重量平均分子量5
4,000の脂肪族ポリエステル(C−16と称す
る。)が得られた。このポリエステルは、1HNMRよ
り、ポリプロピレングリコールとエチレングリコールの
構造の比が1:1であることが確認された。
【0066】(実施例1)(乳酸系共重合ポリエステル
の合成) 参考例1で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル(C
−1)8.5重量部と、L−ラクタイド91重量部と、
D−ラクタイド0.5重量部と、及びラクタイドと脂肪
族ポリエステルの合計量に対し15重量部のトルエンと
をセパラブルフラスコに入れ、170℃で溶融した。溶
液が均一になってからオクタン酸スズ200ppmを添
加し、170℃で3.5時間攪拌した。重合終了後にエ
チルヘキサン酸ホスフェートを500ppm添加した。
得られた乳酸系共重合ポリエステルは、GPCで数平均
分子量111,000、重量平均分子量182,000
の共重合体であることが確認された。このポリマーのガ
ラス転移温度は示差式熱量計(DSC)で56℃であっ
た。
【0067】(実施例2)(乳酸系共重合ポリエステル
の合成) 参考例1で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル(C
−1)15重量部と、L−ラクタイド83.9重量部
と、D−ラクタイド1.1重量部と、及びラクタイドと
脂肪族ポリエステルの合計量に対し15重量部のトルエ
ンとをセパラブルフラスコに入れ、170℃で溶融し
た。溶液が均一になってからオクタン酸スズ200pp
mを添加し、165℃で4時間攪拌した。重合終了後に
エチルヘキサン酸ホスフェートを500ppm添加し
た。得られた乳酸系共重合ポリエステルは、GPCで数
平均分子量88,000、重量平均分子量148,00
0の共重合体で、ガラス転移温度は示差式熱量計(DS
C)で55℃であった。
【0068】(実施例3)(乳酸系共重合ポリエステル
の合成) 参考例1で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル(C
−1)30重量部と、L−ラクタイド69.5重量部
と、D−ラクタイド0.5重量部と、及びラクタイドと
脂肪族ポリエステルの合計量に対し15重量部のトルエ
ンとをセパラブルフラスコに入れ、170℃で溶融し
た。溶液が均一になってからオクタン酸スズ200pp
mを添加し、160℃で5時間攪拌した。重合終了後に
エチルヘキサン酸ホスフェートを500ppm添加し
た。得られた乳酸系共重合ポリエステルは、GPCで数
平均分子量55,000、重量平均分子量96,000
の共重合体で、ガラス転移温度は示差式熱量計(DS
C)で53℃であった。
【0069】(実施例4)(乳酸系共重合ポリエステル
の合成) 参考例2で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル(C
−2)20重量部と、L−ラクタイド80重量部、及び
ラクタイド、ポリエステルの合計量に対してトルエン1
5重量部とをセパラブルフラスコに取り、170℃で溶
融した。溶液が均一になってからオクタン酸亜鉛500
ppmを添加し、173℃で4時間攪拌した。得られた
ポリマーはGPCで数平均分子量73,000、重量平
均分子量125,000の共重合体で、ガラス転移温度
は57℃であった。
【0070】(実施例5)(乳酸系共重合ポリエステル
の合成) 参考例2で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル(C
−2)40重量部と、L−ラクタイド59.5重量部
と、D−ラクタイド0.5重量部と、及びラクタイドと
ポリエステルの合計量に対してトルエン15重量部とを
セパラブルフラスコに取り、170℃で溶融した。溶液
が均一になってからオクタン酸亜鉛500ppmを添加
し、175℃で4時間攪拌した。得られたポリマーはG
PCで数平均分子量40,000、重量平均分子量7
2,000の共重合体で、ガラス転移温度は52℃であ
った。
【0071】(実施例6)(乳酸系共重合ポリエステル
の合成) 参考例3で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル(C
−3)50重量部と、L−ラクタイド49.0重量部
と、D−ラクタイド1重量部と、及びラクタイドとポリ
エステルの合計量に対してトルエン15重量部とをセパ
ラブルフラスコに取り、170℃で溶融した。溶液が均
一になってからオクタン酸スズ500ppmを添加し、
180℃で3時間攪拌した。得られたポリマーはGPC
で数平均分子量36,000、重量平均分子量66,0
00の共重合体で、ガラス転移温度は48℃であった。
【0072】(実施例7)(乳酸系共重合ポリエステル
の合成) 参考例4で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル(C
−4)60重量部と、L−ラクタイド40重量部及びラ
クタイドとポリエステルの合計量に対してトルエン15
重量部とをセパラブルフラスコに取り、170℃で溶融
した。溶液が均一になってからオクタン酸亜鉛500p
pmを添加し、163℃で6時間攪拌した。重合終了後
にエチルヘキサン酸ホスフェートを500ppm添加し
た。得られたポリマーはGPCで数平均分子量27,0
00、重量平均分子量55,000の共重合体であり、
ガラス転移温度は34℃であった。
【0073】(実施例8)(乳酸系共重合ポリエステル
の合成) 参考例5で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル(C
−5)30重量部と、L−ラクタイド69重量部と、D
−ラクタイド1重量部と、及びラクタイドとポリエステ
ルの合計量に対してトルエン15重量部とをセパラブル
フラスコに取り、170℃で溶融した。溶液が均一にな
ってからオクタン酸亜鉛500ppmを添加し、175
℃で4時間攪拌した。得られたポリマーはGPCで数平
均分子量51,000、重量平均分子量81,000の
共重合体で、ガラス転移温度は52℃であった。
【0074】(実施例9)(乳酸系共重合ポリエステル
の合成) 参考例8で合成した脂肪族ポリエステル(C−8)20
重量部と、L−ラクタイド78.5重量部と、D−ラク
タイド1.5重量部と、及びラクタイドとポリエステル
の合計量に対してトルエン15重量部とをセパラブルフ
ラスコに取り、170℃で溶融した。溶液が均一になっ
てからオクタン酸亜鉛300ppmを添加し、173℃
で4時間攪拌した。得られたポリマーはGPCで数平均
分子量74,000、重量平均分子量125,000の
共重合体で、ガラス転移温度は58℃であった。
【0075】(実施例10)(乳酸系共重合ポリエステ
ルの合成) 参考例8で合成した脂肪族ポリエステル(C−8)5重
量部と、L−ラクタイド94.2重量部と、D−ラクタ
イド0.8重量部と、及びラクタイドとポリエステルの
合計量に対してトルエン15重量部とをセパラブルフラ
スコに取り、170℃で溶融した。溶液が均一になって
からオクタン酸亜鉛500ppmを添加し、170℃で
4時間攪拌した。得られたポリマーはGPCで数平均分
子量110,000、重量平均分子量190,000の
共重合体で、ガラス転移温度は56℃であった。
【0076】(実施例11)(乳酸系共重合ポリエステ
ルの合成) 参考例9で合成した脂肪族ポリエステル(C−9)5重
量部と、ε−カプロラクトン2重量部と、L−ラクタイ
ド93重量部及びラクタイドとポリエステルの合計量に
対してトルエン15重量部とを還流器を付けたセパラブ
ルフラスコに取り、170℃で溶融した。溶液が均一に
なってからチタンテトライソプロポキシド150ppm
を添加し、165℃で6時間攪拌した。得られたポリマ
ーはGPCで数平均分子量125,000、重量平均分
子量205,000の共重合体で、ガラス転移温度は5
5℃であった。
【0077】(実施例12)(乳酸系共重合ポリエステ
ルの合成) 参考例9で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル(C
−9)50重量部と、L−ラクタイド49重量部と、D
−ラクタイド1重量部及びラクタイドとポリエステルの
合計量に対してトルエン15重量部とを還流器を付けた
セパラブルフラスコに取り、170℃で溶融した。溶液
が均一になってからテトラメトキシスタネート400p
pmを添加し、175℃で2時間攪拌してから、このポ
リマーを165℃のスタティックミキサーに5L/時間
で供給し、得られたポリマーをペレット化した。得られ
たポリマーはGPCで数平均分子量29,000、重量
平均分子量63,000の共重合体で、ポリマーのガラ
ス転移温度は45℃であった。
【0078】(実施例13)(乳酸系共重合ポリエステ
ルの合成) 参考例10で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル
(C−10)30重量部と、L−ラクタイド69重量部
と、D−ラクタイド1重量部及びラクタイドとポリエス
テルの合計量に対してトルエン15重量部とを還流器を
付けたセパラブルフラスコに取り、170℃で溶融し
た。溶液が均一になってからテトラメトキシスタネート
400ppmを添加し、175℃で2時間攪拌してか
ら、このポリマーを175℃のスタティックミキサーに
5L/時間で供給し、得られたポリマーをペレット化し
た。得られたポリマーはGPCで数平均分子量59,0
00、重量平均分子量94,000の共重合体で、ポリ
マーのガラス転移温度は54℃であった。
【0079】(実施例14)(乳酸系共重合ポリエステ
ルの合成) 参考例12で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル
(C−12)30重量部と、L−ラクタイド68重量部
と、D−ラクタイド2重量部及びラクタイドとポリエス
テルの合計量に対してトルエン15重量部とを還流器を
付けたセパラブルフラスコに取り、170℃で溶融し
た。溶液が均一になってからオクタン酸スズ400pp
mを添加し、175℃で2時間攪拌してから、このポリ
マーを175℃のスタティックミキサーに3L/時間で
供給し、得られたポリマーをペレット化した。得られた
ポリマーはGPCで数平均分子量69,000、重量平
均分子量117,000の共重合体で、ポリマーのガラ
ス転移温度は52℃であった。
【0080】(実施例15)(乳酸系共重合ポリエステ
ルの合成) 参考例13で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル
(C−13)35重量部と、L−ラクタイド62.5重
量部と、D−ラクタイド2.5重量部及びラクタイドと
ポリエステルの合計量に対してトルエン15重量部とを
還流器を付けたセパラブルフラスコに取り、170℃で
溶融した。溶液が均一になってからオクタン酸スズ40
0ppmを添加し、175℃で2時間攪拌してから、こ
のポリマーを175℃の小型スタティックミキサーに5
00mL/時間で供給し、得られたポリマーをペレット
化した。得られたポリマーはGPCで数平均分子量5
7,000、重量平均分子量91,000の共重合体
で、ポリマーのガラス転移温度は50℃であった。
【0081】(実施例16)(乳酸系共重合ポリエステ
ルの合成) 参考例14で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル
(C−14)10重量部と、L−ラクタイド90重量
部、及びラクタイドとポリエステルの合計量に対してト
ルエン15重量部とを還流器を付けたセパラブルフラス
コに取り、170℃で溶融した。溶液が均一になってか
らオクタン酸スズ400ppmを添加し、185℃で2
時間攪拌してから、このポリマーを180℃の小型スタ
ティックミキサーに500mL/時間で供給し、得られ
たポリマーをペレット化した。得られたポリマーはGP
Cで数平均分子量129,000、重量平均分子量17
6,000の共重合体で、ポリマーのガラス転移温度は
59℃であった。
【0082】(実施例17)(乳酸系共重合ポリエステ
ルの合成) 参考例14で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル
(C−14)40重量部と、L−ラクタイド60重量
部、及びラクタイドとポリエステルの合計量に対してト
ルエン15重量部とを還流器を付けたセパラブルフラス
コに取り、170℃で溶融した。溶液が均一になってか
らオクタン酸スズ400ppmを添加し、185℃で2
時間攪拌してから、このポリマーを180℃の小型スタ
ティックミキサーに500mL/時間で供給し、得られ
たポリマーをペレット化した。得られたポリマーはGP
Cで数平均分子量49,000、重量平均分子量81,
000の共重合体で、ポリマーのガラス転移温度は55
℃であった。
【0083】(実施例18)(乳酸系共重合ポリエステ
ルの合成) 参考例14で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル
(C−14)70重量部と、L−ラクタイド30重量
部、及びラクタイドとポリエステルの合計量に対してト
ルエン15重量部とを還流器を付けたセパラブルフラス
コに取り、170℃で溶融した。溶液が均一になってか
らオクタン酸スズ400ppmを添加し、175℃で2
時間攪拌してから、このポリマーを175℃のフラスコ
中で4時間反応した。得られたポリマーはGPCで数平
均分子量28,000、重量平均分子量40,000の
共重合体で、ポリマーのガラス転移温度は27℃であっ
た。
【0084】(実施例19)(乳酸系共重合ポリエステ
ルの合成) 参考例15で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル
(C−15)30重量部と、L−ラクタイド70重量
部、及びラクタイドとポリエステルの合計量に対してト
ルエン15重量部とを還流器を付けたセパラブルフラス
コに取り、170℃で溶融した。溶液が均一になってか
らオクタン酸スズ400ppmを添加し、175℃で2
時間攪拌してから、このポリマーを175℃のフラスコ
中で4時間反応した。得られたポリマーはGPCで数平
均分子量47,000、重量平均分子量91,000の
共重合体で、ポリマーのガラス転移温度は57℃であっ
た。
【0085】(実施例20)(乳酸系共重合ポリエステ
ルの合成) 参考例16で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル
(C−16)30重量部と、L−ラクタイド70重量
部、及びラクタイドとポリエステルの合計量に対してト
ルエン15重量部とを還流器を付けたセパラブルフラス
コに取り、170℃で溶融した。溶液が均一になってか
らオクタン酸スズ400ppmを添加し、175℃で2
時間攪拌してから、このポリマーを175℃のフラスコ
中で4時間反応した。得られたポリマーはGPCで数平
均分子量57,000、重量平均分子量112,000
の共重合体で、ポリマーのガラス転移温度は57℃であ
った。
【0086】(実施例21)(乳酸系共重合ポリエステ
ルの残留モノマー除去) 実施例1で得られた乳酸系共重合ポリエステルをクロロ
ホルムに溶解し、膜厚1mm程度のキャストフィルムを
作成した。これを100℃の真空乾燥器中でで6時間加
熱減圧乾燥した。GPCにより残留モノマー量を測定し
たところ、2.9%残っていたモノマーが0.2%にま
で低減された。
【0087】(実施例22)(乳酸系共重合ポリエステ
ルシートの作成) 実施例21で得られた乳酸系共重合ポリエステルを3.
3gと10cm×10cmの正方形をくり貫いた厚さ2
50μmのPETシートを厚さ100μmのPETシー
トではさみ、170℃で加熱溶融しながら200kg/
cm2の圧力で1分間プレスした。次に、このシートを
10分間水冷プレス機にかけ、取り出し後、24時間室
温に放置した。得られた10cm×10cm、厚さ25
0μmのシートのヘイズをJIS−K−7127により
ヘイズ測定したところ、このシートのヘイズは0.5%
であった。
【0088】(実施例23)(乳酸系共重合ポリエステ
ルシートのブリードアウト試験) 実施例21で得られた乳酸系共重合ポリエステルシート
を35℃、湿度80%に保ったタバイエスペック社製恒
温恒湿器PR−2F中に保存し、定期的にシートの状態
を観察した結果、200日経過時もブリードアウトが見
られなかった。
【0089】(実施例24)(乳酸系共重合ポリエステ
ルシートのブリードアウト試験) 実施例3で得られた乳酸系共重合ポリエステルのシート
を35℃、湿度80%に保ったタバイエスペック社製恒
温恒湿器PR−2F中に保存し、シートの状態を観察し
た結果、72日経過時から白色粉末のブリードアウトが
確認された。他のポリ乳酸シートについても同様の試験
を行ったが、40日以上ブリード物は確認されなかっ
た。他の乳酸系コポリマーの結果は表1〜5に示した。
【0090】(比較例1)(乳酸系共重合ポリエステル
の合成) エチレングリコールとコハク酸(SuA)から合成した
重量平均分子量45,000の脂肪族ポリエステル30
重量部と、L−ラクタイド68.9重量部と、D−ラク
タイド1.1重量部と、及びラクタイドと脂肪族ポリエ
ステルの合計量に対し15重量部のトルエンとをセパラ
ブルフラスコに入れ、170℃で溶融した。溶液が均一
になってからオクタン酸スズ200ppmを添加し、1
70℃で3.5時間攪拌した。得られた乳酸系共重合ポ
リエステルは、GPCで数平均分子量47,000、重
量平均分子量77,000の共重合体で、ガラス転移温
度は示差式熱量計(DSC)で34℃であった。
【0091】(比較例2)(乳酸系共重合ポリエステル
の合成) エチレングリコールとアジピン酸(AA)から合成した
重量平均分子量35,000の脂肪族ポリエステル30
重量部と、L−ラクタイド68.9重量部と、D−ラク
タイド1.1重量部とを、ラクタイドと脂肪族ポリエス
テルの合計量に対し15重量部のトルエンとセパラブル
フラスコに入れ、170℃で溶融した。溶液が均一にな
ってからオクタン酸スズ200ppmを添加し、170
℃で3.5時間攪拌した。得られた乳酸系共重合ポリエ
ステルは、GPCで数平均分子量37,000、重量平
均分子量60,000の共重合体で、ガラス転移温度は
示差式熱量計(DSC)で30℃であった。
【0092】(比較例3)(乳酸系共重合ポリエステル
の合成) エチレングリコールとアジピン酸(AA)から合成した
重量平均分子量35,000の脂肪族ポリエステル20
重量部と、L−ラクタイド80重量部を、ラクタイドと
脂肪族ポリエステルの合計量に対し15重量部のトルエ
ンとセパラブルフラスコに入れ、170℃で溶融した。
溶液が均一になってからオクタン酸スズ200ppmを
添加し、175℃で3.5時間攪拌した。得られた乳酸
系共重合ポリエステルは、GPCで数平均分子量47,
000、重量平均分子量89,000の共重合体で、ガ
ラス転移温度は44℃であった。
【0093】(比較例4)(乳酸系共重合ポリエステル
の合成) エチレングリコールとアジピン酸(AA)から合成した
重量平均分子量35,000の脂肪族ポリエステル40
重量部と、L−ラクタイド59.1重量部と、D−ラク
タイド0.9重量部とを、ラクタイドと脂肪族ポリエス
テルの合計量に対し15重量部のトルエンとセパラブル
フラスコに入れ、170℃で溶融した。溶液が均一にな
ってからオクタン酸スズ200ppmを添加し、170
℃で3.5時間攪拌した。得られた乳酸系共重合ポリエ
ステルは、GPCで数平均分子量27,000、重量平
均分子量49,000の共重合体で、ガラス転移温度は
25℃であった。
【0094】(比較例5)(乳酸系共重合ポリエステル
の合成) プロピレングリコールとセバシン酸から合成した重量平
均分子量90,000の脂肪族ポリエステル30重量部
と、L−ラクタイド68.9重量部と、D−ラクタイド
1.1重量部と、及びラクタイドと脂肪族ポリエステル
の合計量に対し15重量部のトルエンとをセパラブルフ
ラスコに入れ、170℃で溶融した。溶液が均一になっ
てからオクタン酸スズ200ppmを添加し、170℃
で3.5時間攪拌した。得られた乳酸系共重合ポリエス
テルは、GPCで数平均分子量58,000、重量平均
分子量105,000の共重合体で、ガラス転移温度は
55℃であった。
【0095】(比較例6)(乳酸系共重合ポリエステル
の合成) 1,4−ブタンジオールとアジピン酸から合成した数平
均分子量26,000、重量平均分子量32,000の
脂肪族ポリエステル15重量部と、L−ラクタイド8
3.9重量部と、D−ラクタイド1.1重量部と、及び
ラクタイドと脂肪族ポリエステルの合計量に対し15重
量部のトルエンとをセパラブルフラスコに入れ、170
℃で溶融した。溶液が均一になってからオクタン酸スズ
200ppmを添加し、170℃で3.5時間攪拌し
た。得られた乳酸系共重合ポリエステルは、GPCで数
平均分子量79,000、重量平均分子量129,00
0の共重合体で、ガラス転移温度は44℃であった。
【0096】(比較例7)(乳酸系共重合ポリエステル
の合成) 1,4−ブタンジオールとアジピン酸から合成した数平
均分子量16,000重量平均分子量32,000の脂
肪族ポリエステル30重量部と、L−ラクタイド69.
1重量部と、D−ラクタイド0.9重量部と、及びラク
タイドと脂肪族ポリエステルの合計量に対し15重量部
のトルエンとをセパラブルフラスコに入れ、170℃で
溶融した。溶液が均一になってからオクタン酸スズ20
0ppmを添加し、170℃で3.5時間攪拌した。得
られた乳酸系共重合ポリエステルは、GPCで数平均分
子量49,000、重量平均分子量79,000の共重
合体で、ガラス転移温度は39℃であった。
【0097】(比較例8)(乳酸系共重合ポリエステル
の合成) 1,5−ペンタンジオールとアジピン酸から合成したG
PCで数平均分子量32,000、重量平均分子量5
7,000の脂肪族ポリエステル30重量部、L−ラク
タイド69.1重量部、D−ラクタイド0.9重量部、
ラクタイドとポリエステルの合計量に対し15重量部の
トルエンを還流器を付けたセパラブルフラスコに取り、
170℃で溶融した。溶液が均一になってからオクタン
酸スズ150ppmを添加し攪拌した。反応1時間で粘
度が増大し、2時間後ワイゼンベルグ現象が見られた。
4時間後にポリマーを冷却して反応を停止すると白濁し
た硬質な樹脂となった。この乳酸系共重合ポリエステル
は、GPCで数平均分子量54,000、重量平均分子
量89,000の共重合体で、ガラス転移温度は40℃
であった。
【0098】(比較例9)(乳酸系共重合ポリエステル
の合成) 1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸から合成した、
GPCで数平均分子量35,000、重量平均分子量1
47,000の脂肪族ポリエステル20重量部、L−ラ
クタイド80重量部、ラクタイドとポリエステルの合計
量に対し15重量部のトルエンを還流器を付けたセパラ
ブルフラスコに取り、170℃で溶融した。溶液が均一
になってからオクタン酸スズ150ppmを添加し攪拌
した。反応1時間で粘度が増大し、4時間後に反応を停
止した。ポリマーを冷却して反応を停止すると透明で硬
質な樹脂となった。この乳酸系共重合ポリエステルは数
平均分子量78,000、重量平均分子量220,00
0の共重合体で、ガラス転移温度は56℃であった。
【0099】(比較例10)(乳酸系共重合ポリエステ
ルの合成) 1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸から合成したG
PCで数平均分子量35,000、重量平均分子量14
7,000の脂肪族ポリエステル30重量部、L−ラク
タイド70重量部、ラクタイドとポリエステルの合計量
に対し15重量部のトルエンを還流器を付けたセパラブ
ルフラスコに取り、175℃で溶融した。溶液が均一に
なってからオクタン酸スズ250ppmを添加し攪拌し
た。反応1時間で粘度が増大し、4時間後に反応を停止
した。ポリマーを冷却して反応を停止すると白濁した硬
質な樹脂となった。この乳酸系共重合ポリエステルは数
平均分子量80,000、重量平均分子量167,00
0の共重合体で、ガラス転移温度は48℃であった。
【0100】(比較例11)(乳酸系共重合ポリエステ
ルの合成) 1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸から合成したG
PCで数平均分子量35,000、重量平均分子量14
7,000の脂肪族ポリエステル40重量部、L−ラク
タイド60重量部、ラクタイドとポリエステルの合計量
に対し10重量部のトルエンを還流器を付けたセパラブ
ルフラスコに取り、170℃で溶融した。溶液が均一に
なってからオクタン酸スズ150ppmを添加し攪拌し
た。反応1時間で粘度が増大し、4時間後に反応を停止
した。このポリマーの重量平均分子量は113,00
0、ガラス転移温度は42℃であった。
【0101】(比較例12)(乳酸系共重合ポリエステ
ルの合成) プロピレングリコールとアジピン酸から合成したGPC
で数平均分子量45,000、重量平均分子量100,
000の脂肪族ポリエステル30重量部、L−ラクタイ
ド70重量部、ラクタイドとポリエステルの合計量に対
し10重量部のトルエンを還流器を付けたセパラブルフ
ラスコに取り、170℃で溶融した。溶液が均一になっ
てからオクタン酸スズ150ppmを添加し攪拌した。
反応1時間で粘度が増大し、4時間後に反応を停止し
た。このポリマーの重量平均分子量は、GPCで12
5,000、ガラス転移温度は28℃であった。
【0102】(比較例13)比較例1で合成した乳酸系
共重合ポリエステルを実施例15と同様な方法でシート
成形した。得られたシートを35℃、湿度80%の恒温
恒湿器中に保存した。30日でブリードアウトが確認さ
れた。これらの結果を表1から表8に示す。表9、10
にNMRによる組成解析結果を示す。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】
【表5】
【0108】
【表6】
【0109】
【表7】
【0110】
【表8】
【0111】
【表9】
【0112】
【表10】
【0113】
【発明の効果】本発明は、優れた生分解性、成形性、透
明性、耐ブリードアウト性を有する乳酸系共重合ポリエ
ステルの製造方法、並びに該製造方法により製造される
耐ブリードアウト性の優れた乳酸系共重合ポリエステ
ル、それを必須成分として成る成型物を提供することが
できる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数2〜8の直鎖状脂肪族ジオール
    (A1)と炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸(B)
    とを必須成分として成る脂肪族ポリエステル(I)とラ
    クタイド(II)とを、重量比(I)/(II)が2/
    98〜80/20で開環重合触媒の存在下に共重合させ
    た、耐ブリードアウト性の優れた乳酸系共重合ポリエス
    テル。
  2. 【請求項2】 脂肪族ポリエステル(I)が、エチレン
    グリコール(A1)と炭素数8〜12の脂肪族ジカルボ
    ン酸(B)とを必須成分として成る脂肪族ポリエステル
    であることを特徴とする請求項1に記載の乳酸系共重合
    ポリエステル。
  3. 【請求項3】 脂肪族ジカルボン酸(B)が、セバシン
    酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の乳酸
    系共重合ポリエステル。
  4. 【請求項4】 脂肪族ポリエステル(I)のジオール成
    分として、炭素数2〜8の直鎖状脂肪族ジオール(A
    1)以外に、分岐鎖を有していても良い脂肪族ジオール
    (A2)を、モル比(A1)/(A2)が100/0〜
    20/80で含有することを特徴とする請求項1〜3の
    いずれか一つに記載の乳酸系共重合ポリエステル。
  5. 【請求項5】 脂肪族ポリエステル(I)が、酸無水物
    または多官能イソシアネートで高分子量化された脂肪族
    ポリエステルであることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれか一つに記載の乳酸系共重合ポリエステル。
  6. 【請求項6】 炭素数2〜8の直鎖状脂肪族ジオール
    (A1)と炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸(B)
    とを必須成分として成る脂肪族ポリエステル(I)とラ
    クタイド(II)とを、重量比(I)/(II)が2/
    98〜80/20で開環重合触媒の存在下に共重合させ
    ることを特徴とする、耐ブリードアウト性の優れた乳酸
    系共重合ポリエステルの製造方法。
  7. 【請求項7】 脂肪族ポリエステル(I)が、エチレン
    グリコール(A1)と炭素数8〜12の脂肪族ジカルボ
    ン酸(B)とを必須成分として成る脂肪族ポリエステル
    であることを特徴とする請求項6に記載の乳酸系共重合
    ポリエステルの製造方法。
  8. 【請求項8】 脂肪族ジカルボン酸(B)が、セバシン
    酸であることを特徴とする請求項6又は7に記載の乳酸
    系共重合ポリエステルの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜5のいずれか一つに記載の耐
    ブリードアウト性の優れた乳酸系共重合ポリエステルを
    必須成分としてなる成型物。
JP18636797A 1997-07-11 1997-07-11 耐ブリードアウト性の優れた乳酸系共重合ポリエステル Pending JPH1129628A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013514402A (ja) * 2009-12-18 2013-04-25 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 難溶性活性成分を可溶化するための疎水性中核部を有する超分岐ポリエステル
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US10457660B2 (en) 2012-02-09 2019-10-29 Novus International, Inc. Heteroatom containing cyclic dimers

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