JP4085325B2 - ポリ乳酸共重合体の製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸共重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ乳酸共重合体の新規な製造方法、ポリ乳酸用改質剤、及びポリエステル組成物に関する。更に詳しくは、柔軟性、透明性、耐衝撃性、分解性などの優れた特性を有するポリ乳酸共重合体の製造方法、該製造方法により得られるポリ乳酸共重合体を含有するポリ乳酸用改質剤、及び該ポリ乳酸用改質剤とポリ乳酸を含有するポリエステル組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ乳酸をはじめとするポリヒドロキシカルボン酸は、トウモロコシなどの天然原料から合成され、脂肪族ポリエステルと比して透明性、耐熱性、溶融成形性、靱性、剛性などに優れている。なかでもポリ乳酸は、更に生分解性という特性も有することが知られているが、かかるポリ乳酸は脆いため、工業的用途が限定されているのが実情である。このため、従来からポリ乳酸を改質する試みが行われ、例えば、ポリ乳酸用改質剤としては、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ジオール成分及びジカルボン酸成分とからなるポリエステル、並びにその他重合体が用いられてきた。
【0003】
これらの中で、ポリエチレングリコールの如きポリアルキレンエーテルを用いたポリ乳酸共重合体の製造方法に関する提案がなされており、例えばラクチドと、分子量1,000以上のポリアルキレングリコールとの共重合において、分子量1,000以下のOH基含有アルコール化合物を添加することにより高重合度の共重合体の製造方法が挙げられる(例えば特許文献1参照)。しかし、かかる共重合体の製造方法は、触媒存在下で末端OH基成分がイニシエーターとなり、ラクチドを開環重合させるものであり、かかる製造方法で得られた共重合体を含有するポリエステル組成物を用いて作成したシートの柔軟性、透明性及び耐衝撃性等の物性は、必ずしも充分でなく、かかるシートにブリードアウト等が生じるという問題があった。
【0004】
一方、ポリ乳酸とポリアルキレングリコールとを直接共重合させる製造方法もまた知られており、例えば、ジカルボキシル化させたポリ乳酸と、ポリエチレングリコールとを直接エステル化させる方法が挙げられる(例えば特許文献2参照)。しかし、これらの製造方法では、効率的に高分子量の共重合体を得ることは難しい。また、ポリ乳酸とポリエチレングリコールとを加熱溶融させることによって、共重合体を得る製造方法も開示されているが(例えば特許文献3参照)、加熱溶融反応だけでは十分な共重合化が起こりにくい。
【0005】
【特許文献1】
特許3318153号明細書(請求項1)
【非特許文献2】
ソン−ヨル(Seung-Yeol Lee et. al)著, 「ヨーロピアンポリマージャーナル(European Polymer Journal)」,1996年,Vol.35,p.2147−2153
【特許文献3】
特開平2−78629号公報(第3頁左下欄7〜15行)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリ乳酸及びヒドロキシル基を少なくとも1個有するポリアルキレンエーテルを含有して得られるポリ乳酸共重合体の製造方法において、エステル交換反応を行うことで、効率的に高分子量のポリ乳酸共重合体を製造する方法を提供することである。さらに上記したポリアルキレングリコールの存在下、ラクチドを開環重合させて得られる共重合体に比して、優れた柔軟性、透明性、分解性等の優れたポリ乳酸用改質剤及びポリエステル組成物を提供することであり、さらに、かかるポリエステル組成物を用いてフィルムを作成した際に、ブリードアウトの起こりにくいポリエステル組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させるに到った。
【0008】
即ち、本発明は、重量平均分子量が5,000〜400,000の範囲のポリ乳酸(A)及び重量平均分子量が500〜50,000の範囲でヒドロキシル基を少なくとも1個有するポリアルキレンエーテル(B)とを溶融させ、次いでエステル交換触媒(C)を添加し、減圧下で、且つ、層状珪酸塩及び/又はカーボンナノチューブ非存在下で、エステル交換反応させることを特徴とするポリ乳酸共重合体の製造方法に関するものであり、好ましくはエステル交換触媒(C)が、Ti(OC2n+1 〔式中、nは1〜8の整数を示す〕であり、好ましくは減圧下における減圧度が5,000パスカル以下であり、好ましくはポリ乳酸(A)と、ポリアルキレンエーテル(B)との質量比が99:1〜5:95であるポリ乳酸共重合体の製造方法に関するものである。
【0009】
更に、本発明は、前記のポリ乳酸共重合体の製造方法により得られるポリ乳酸共重合体からなるポリ乳酸用改質剤に関するものであり、好ましくは重量平均分子量が5,000以上であり、且つガラス転移温度が65℃以下であるポリ乳酸用改質剤に関するものである。
【0010】
更に、本発明は前記のポリ乳酸用改質剤とポリ乳酸を含有するポリエステル組成物を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明を実施するにあたり、必要な事項を具体的に以下に述べる。
本発明に使用するポリ乳酸(A)について説明する。ポリ乳酸は繰り返し単位中に不斉炭素を有するため、光学異性体が存在するがL体、D体、L体とD体の混合物(混合比率は特に限定しない)、ラセミ体の何れであってもよい。
【0012】
また、上記したポリ乳酸(A)の重量平均分子量は、5,000〜400,000の範囲であり、10,000〜300,000の範囲が好ましく、10,000〜250,000の範囲がより好ましい。
【0013】
次に,本発明で使用するポリアルキレンエーテル(B)としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレンジオール等やこれら2種以上からなる共重合物又は混合物等を挙げることができる。
【0014】
本発明で使用するポリアルキレンエーテル(B)の重量平均分子量に関しては、500〜50,000の範囲であり、1,000〜40,000の範囲が好ましく、2,000〜30,000の範囲がより好ましい。
【0015】
次に、上記したポリ乳酸およびヒドロキシル基を少なくとも1個有するポリアルキレンエーテル(B)を用いて得られる本発明のポリ乳酸共重合体の製造方法について、以下に詳細に説明する。
【0016】
本発明のポリ乳酸共重合体の製造方法は、原料であるポリ乳酸(A)とポリアルキレンエーテル(B)とを反応器に供給し、不活性ガス雰囲気下で好ましくは150〜250℃の範囲、より好ましくは150℃〜230℃の範囲の温度条件で溶融させる。かかる温度範囲であればポリ乳酸が溶融しやすくなり、且つ熱分解しにくくなる。また、かかる原料に関しては、予め充分に乾燥せしめたポリ乳酸を用いることが好ましく、予め乾燥せしめたポリ乳酸を用いることで、溶融時に加水分解、粘度低下、樹脂の着色が起こらず、製品品質の安定性等の優れた溶融混合物となる。
【0017】
次に、ポリ乳酸(A)およびポリアルキレンエーテル(B)を溶融するときに用いられる反応器としては、特に限定されるものではないが、例えばバッチ式反応器として高真空に対応した、縦型又は横型タンク式リアクター又はニーダー等が挙げられる。連続式反応器として2軸混練押出機等が好ましく挙げられる。2軸混練押出機は、同方向又は異方向に回転する軸に、互いにかみ合うスクリューを取り付けたもので、更にシリンダー(筒状部)には、原料や添加剤の供給及び脱揮、不活性ガスの供給、減圧下での反応のための減圧装置、及びその排気等を行なうベント孔、即ち、開口面積が大きく、多数個の孔、具体的には1個から5個設けたもの等を用いることができる。これらを付設した2軸混練押出機は、原料、又は重合中及び重合後のポリマーを極めて効果的に撹拌、溶融混合、移送することができ、反応を速やかに進行させることができる。この他に1軸混練押出機を使用することもできるが、混練効率の観点から2軸混練押出機を用いることが好ましい。
【0018】
ポリ乳酸(A)とポリアルキレンエーテル(B)との溶融方法は特に限定しないが、不活性雰囲気下で行なうことが好ましい。また、不活性雰囲気下で両者を同時に反応器に供給した後に溶融せしめても良いし、ポリアルキレンエーテル(B)が液状の場合、予めポリアルキレンエーテル(B)を反応器に仕込んだ後、固体のポリ乳酸を添加したり、押出し機等を用いて溶融させてから添加した後にこれらを溶融せしめても良い。
【0019】
ポリ乳酸(A)と、ポリアルキレンエーテル(B)との仕込み質量比に関しては、特に限定されるものではないが、好ましくは重量比で99:1〜5:95の範囲あり、より好ましくは95:5〜10:90の範囲である。とりわけ、上記製造方法により得られるポリ乳酸共重合体をポリ乳酸用改質剤として用いる場合には、上記したポリ乳酸用改質剤とポリ乳酸との相溶性を高めるため、ポリ乳酸(A)と、ポリアルキレンエーテル(B)との重量比は70:30〜30:70の範囲であることが特に好ましい。
【0020】
次に、ポリ乳酸(A)とポリアルキレンエーテル(B)との溶融混合物に、エステル交換触媒を添加し、好ましくは反応温度150〜230℃、減圧度5,000パスカル(以下、Paと省略する)以下でエステル交換反応を行なう。
【0021】
ここで、本発明でいうエステル交換反応とは、エステルにアルコール、酸又は他のエステルを作用させて酸基またはアルキル基の交換を起こさせ、別種のエステルを生成させる反応のことである。
【0022】
本発明に使用するエステル交換触媒(C)としては、周期律表2〜4族の何れかに属する1種以上の元素又は該元素を含む化合物が挙げられ、周期律表2〜4族に属する元素としては、例えばTi、Sn、Zn、Mg、Al等が好ましい。該元素を含む化合物としては、Ti(OCn2n+14 〔式中のnは、1〜8の整数〕が特に好ましく、より具体的にはチタンテトライソプロポキシド、又はチタンテトラブトキシド等が挙げられる。
【0023】
該エステル交換触媒(C)の使用量としては、以下に示したエステル交換反応過程における反応条件、即ち、反応温度、反応時間、減圧度等により異なるが、ポリ乳酸(A)とポリアルキレンエーテル(B)との全量に対し、好ましくは10〜1000ppmの範囲であり、より好ましくは20〜800ppmの範囲であり、特に好ましくは30〜500ppmの範囲である。エステル交換触媒の使用量がかかる範囲であれば、得られるポリ乳酸共重合体の着色やポリ乳酸の解重合反応の進行を最小限にとどめることができる。
【0024】
本発明で行うエステル交換反応時の反応温度は、上記のポリ乳酸(A)とポリアルキレンエーテル(B)の溶融温度であれば特に限定されないが、エステル交換反応の反応速度、及びポリ乳酸の熱分解反応、及びポリ乳酸の解重合反応を考慮すると、好ましくは150〜240℃の範囲であり、より好ましくは160〜220℃の範囲であり、特に好ましくは170〜210℃の範囲である。
【0025】
本発明で行うエステル交換反応時の減圧度は、ポリ乳酸(A)とポリアルキレンエーテル(B)とのエステル交換反応を効果的に進行させるために必須であり、その減圧度は好ましくは5,000Pa以下であり、より好ましくは2,000Pa以下であり、特に好ましくは500Pa以下である。また、減圧度の下限値に関しては、使用する機械の性能によって異なるが、通常、5〜30Paが減圧度の下限値として設定できる。
【0026】
また、本発明のエステル交換反応の時間は、ポリ乳酸(A)とポリアルキレンエーテル(B)との溶融混合物の溶融粘度と比較して粘度上昇が見られる反応時間であればよく、具体的にはエステル交換反応時間は30分以上が特に好ましい。
【0027】
本発明の製造方法により得られるポリ乳酸共重合体は、従来公知の方法で該共重合体中に残留するモノマーやエステル交換触媒の除去及びエステル交換触媒(C)を失活させることにより、その保存安定性を更に向上させることができる。
【0028】
本発明に使用するエステル交換触媒(C)を失活させる方法としては、例えばエステル交換反応終了後に、エステル交換反応触媒の失活剤としてキレート化剤を添加する方法などが挙げられる。上記したキレート化剤としては、公知公用の有機系キレート化剤及び、無機系キレート化剤が挙げられる。
【0029】
かかる有機系キレート化剤としては、例えばアミノ酸、フェノール類、ヒドロキシカルボン酸、ジケトン類、アミン類、オキシム、フェナントロリン類、ピリジン化合物、ジチオ化合物、ジアゾ化合物、チオール類、ポルフィリン類、配位原子としてN含有のフェノール類やカルボン酸等が好ましく、無機キレート化剤としては、例えばリン酸、リン酸エステル、亜リン酸、亜リン酸エステル等のリン化合物が好ましい。
【0030】
上記したいずれのキレート化剤も、ポリマー鎖の切断を最小に抑えることができる。上記した有機系キレート化剤と無機系キレート化剤に関しては、単独又は混合して使用しても差し支えなく、好ましくはリン酸エステル類、より好ましくは酸性リン酸エステル類が挙げられる。
【0031】
かかる酸性リン酸エステル類としては、例えば酸性リン酸エステル、ホスホン酸エステル、アルキルホスホン酸等及びこれら混合物である。
【0032】
さらに具体的には、酸性リン酸エステルとしては、例えばリン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸モノエチル、リン酸ジエチル、リン酸モノプロピル、リン酸ジプロピル、リン酸モノイソプロピル、リン酸ジイソプロピル、リン酸モノブチル、リン酸ジブチル、リン酸モノペンチル、リン酸ジペンチル、リン酸モノヘキシル、リン酸ジヘキシル、リン酸モノオクチル、リン酸ジオクチル、リン酸モノエチルヘキシル、リン酸ジエチルヘキシル、リン酸モノデシル、リン酸ジデシル、リン酸モノイソデシル、リン酸ジイソデシル、リン酸モノウンデシル、リン酸ジウンデシル、リン酸モノドデシル、リン酸ジドデシル、リン酸モノテトラデシル、リン酸ジテトラデシル、リン酸モノヘキサデシル、リン酸ジヘキサデシル、リン酸モノオクタデシル、リン酸ジオクタデシル、リン酸モノフェニル、リン酸ジフェニル、リン酸モノベンジル、リン酸ジベンジル等が挙げられ、好ましくはリン酸モノエチルヘキシルが用いられ、例えばリン酸2−ヘチルヘキシルが用いられる。
【0033】
また、ホスホン酸エステルとしては、例えばホスホン酸モノメチル、ホスホン酸モノエチル、ホスホン酸モノプロピル、ホスホン酸モノイソプロピル、ホスホン酸モノブチル、ホスホン酸モノペンチル、ホスホン酸モノヘキシル、ホスホン酸モノオクチル、ホスホン酸モノエチルヘキシル、ホスホン酸モノデシル、ホスホン酸モノイソデシル、ホスホン酸モノウンデシル、ホスホン酸モノドデシル、ホスホン酸モノテトラデシル、ホスホン酸モノヘキサデシル、ホスホン酸モノオクタデシル、ホスホン酸モノフェニル、ホスホン酸モノベンジル等が挙げられる。
【0034】
また、アルキルホスホン酸としては、例えばモノメチルホスホン酸、ジメチルホスホン酸、モノエチルホスホン酸、ジエチルホスホン酸、モノプロピルホスホン酸、ジプロピルホスホン酸、モノイソプロピルホスホン酸、ジイソプロピルホスホン酸、モノブチルホスホン酸、ジブチルホスホン酸、モノペンチルホスホン酸、ジペンチルホスホン酸、モノヘキシルホスホン酸、ジヘキシルホスホン酸、イソオクチルホスホン酸、ジオクチルホスホン酸、モノエチルヘキシルホスホン酸、ジエチルヘキシルホスホン酸、モノデシルホスホン酸、ジデシルホスホン酸、モノイソデシルホスホン酸、ジイソデシルホスホン酸、モノウンデシルホスホン酸、ジウンデシルホスホン酸、モノドデシルホスホン酸、ジドデシルホスホン酸、モノテトラデシルホスホン酸、ジテトラデシルホスホン酸、モノヘキサデシルホスホン酸、ジヘキサデシルホスホン酸、モノオクタデシルホスホン酸、ジオクタデシルホスホン酸などや、モノフェニルホスホン酸、ジフェニルホスホン酸、モノベンジルホスホン酸、ジベンジルホスホン酸など、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0035】
また、エステル交換反応触媒(C)の失活剤の添加量としては、ポリ乳酸共重合体の製造に用いたエステル交換触媒を失活させる量であればよく、特に限定されるものではない。より具体的には、質量換算でエステル交換触媒1質量部に対し、0.001〜10質量部使用することが好ましく、0.1〜5質量部使用することがより好ましく、0.5〜2質量部使用することが特に好ましい。
【0036】
次に、残留するモノマーの除去方法としては、例えば上記したエステル交換触媒失活処理後に減圧脱揮により除去すればよい。また、エステル交換触媒の除去方法としては、例えば溶媒としてメタノール/塩酸水溶液、又はアセトン/塩酸水溶液、又はこれらの混合溶液に、ポリ乳酸共重合組成物を漬け込んだり、ポリ乳酸共重合組成物を溶液状態で上記溶液に混合してポリマーを沈殿させながら洗浄する方法等が挙げられる。このような方法により、微量な残留モノマーや、オリゴマーなども同時に洗浄除去できる。
【0037】
かくして得られた本発明のポリ乳酸共重合体の重量平均分子量は、1,000〜400,000の範囲であることが好ましく、3,000〜300,000の範囲であることがより好ましく、5,000〜250,000の範囲であることが特に好ましい。
【0038】
また、ポリ乳酸をA成分、ポリアルキレンエーテルをB成分とした時の共重合の形態としては、A成分及びB成分の仕込み比率及びこれら成分の分子量により異なるが、AB型ブロック共重合体、ABA型ブロック共重合体、その他のブロック共重合体等挙げられ、これらに未反応物としてA成分、B成分などを含んでいてもよい。
【0039】
本発明の製造方法により得られたポリ乳酸共重合体は、ポリ乳酸用改質剤として用いることができる。かかるポリ乳酸用改質剤の重量平均分子量としては、15,000以上、より具体的には透明性を維持し、ブリードアウトを抑制し、且つ優れた柔軟性を付与するために、重量平均分子量が5,000〜300,000の範囲が好ましく、8,000〜250,000の範囲がより好ましく、10,000〜200,000の範囲が特に好ましい。また、そのガラス転移温度(以下、Tgと省略する)としては、65℃以下が好ましく、−70〜65℃の範囲がより好ましく、−65〜65℃の範囲が特に好ましい。かくして得られたポリ乳酸用改質剤を、ポリ乳酸に添加することにより、ポリ乳酸の柔軟性を向上させ、透明性を維持し、ブリードアウトの発生を抑制することができる。
【0040】
次に、本発明のポリ乳酸用改質剤とポリ乳酸とを含有するポリエステル組成物について説明する。ここで本発明において、通常、厚みによりシートとフィルムを慣用的に使い分けているが、混乱を避けるために総称してフィルムとする。また、本発明で用いるフィルムの厚みには特に制限はないが、5μm〜2mmの範囲のものを使用する。
【0041】
本発明のポリエステル組成物は、本発明の前記ポリ乳酸用改質剤とポリ乳酸とを含有することを特徴とする。本発明のポリエステル組成物に用いるポリ乳酸の重量平均分子量は、10,000〜400,000の範囲であることが好ましく、50,000〜400,000の範囲がより好ましく、100,000〜400,000の範囲が特に好ましい。本発明のポリエステル組成物に用いるポリ乳酸がかかる重量平均分子量であれば、優れた機械的強度を有する。
【0042】
本発明のポリエステル組成物は、ポリ乳酸とポリ乳酸用改質剤とを溶融混練してもよいし、予めポリ乳酸に高濃度のポリ乳酸用改質剤をブレンドしたマスターバッチとして用いることもできる。また、本発明のポリエステル組成物におけるポリ乳酸とポリ乳酸用改質剤との混合割合は、特に限定されるものではないが、ポリ乳酸100質量部に対して、ポリ乳酸用改質剤を3〜70質量部添加するのが好ましく、5〜60質量部の範囲がより好ましく、5〜50質量部の範囲が特に好ましい。ポリエステル組成物において、かかる混合割合であれば、耐衝撃性、柔軟性が向上し、且つポリ乳酸の耐熱性を維持しつつ、ブリードアウトの発生を抑制することができる。かかるポリ乳酸の耐熱性に関しては、例えばポリ乳酸100質量部に対して本発明のポリ乳酸用改質剤を30質量部添加した場合、そのTgは40℃以上であり、ポリ乳酸のTg(55〜65℃)の大幅な低下を抑えることができる。
【0043】
本発明のポリエステル組成物の耐衝撃性に関しては、ポリ乳酸用改質剤の添加量を調製することにより、例えば厚さ200μmの無延伸フィルムでデュポン衝撃強度値を0.10〜5.0Jの範囲、厚さ50μmの延伸フィルムでフィルムインパクト値0.5〜5Jの範囲で調製することができる。
【0044】
本発明のポリエステル組成物の柔軟性に関しては、ポリ乳酸用改質剤単独又は本発明のポリエステル組成物を用いて厚さ200μmのフィルムを作製し、レオメトリクス株式会社製のRSAIIを用いて測定温度25℃、測定周波数6.28(rad/s)の条件で貯蔵弾性率(E')を測定したところ、ポリ乳酸の貯蔵弾性率が3.0〜3.5GPaを示すのに対し、本発明のポリエステル組成物の貯蔵弾性率は、1.0〜3.0GPaであり、ポリ乳酸100質量部に対してポリ乳酸用改質剤の添加量が40質量部以上、かつポリ乳酸改質剤中のポリアルキレングリコール含有量が50質量部以上の場合、ポリエステル組成物の貯蔵弾性率は、0.5〜2.4GPaを示し、さらに優れた柔軟性を示す。
【0045】
更に本発明のポリ乳酸用改質剤は、ポリ乳酸の透明性を損なわない。例えば、ポリ乳酸用改質剤の添加量が、ポリ乳酸100質量部に対して30質量部以下のポリエステル組成物を用いた100μmの厚さのプレスフィルムのヘーズ値としては、10%以下の透明なフィルムを得ることができる。また、このような優れた透明性を示す理由として、ポリ乳酸とポリアルキレンエーテルとの屈折率値が大きく起因しているものと考えられる。屈折率測定は、フィルム化した試料をアッベ屈折計(アタゴ社製)を用いて常温にて測定することができる。より具体的には、ポリ乳酸(A)とポリアルキレンエーテル(B)との光学的な界面の打ち消しあいによりポリ乳酸改質剤(C)がポリ乳酸固有の優れた透明性をポリエステル組成物に付与することができる。さらに具体的には、ポリアルキレンエーテル(B)の屈折率値をポリ乳酸(A)の屈折率値に近づけることにより、ポリ乳酸(A)と重合体(B)との光学的な界面の打ち消しあいが達成することができる。例えば、ポリ乳酸は屈折率値が1.4570〜1.4580の範囲を示すのに対して、例えば、ポリエチレングリコールは屈折率値が1.4620〜1.4640の範囲を示す。よって、両成分を含んだポリ乳酸用改質剤(C)は、少なくとも屈折率値が1.4570〜1.4640の範囲を示し、ポリ乳酸組成物とした場合、ポリ乳酸(D)とポリ乳酸用改質剤の光学的な界面が打ち消し効果が高まりより優れた透明性を発現する。
【0046】
また、本発明の製造方法によって得られるポリ乳酸共重合体及び本発明のポリエステル組成物には、公知慣用の有機フィラー、無機フィラー、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、滑剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、着色剤、発泡剤、可塑剤、改質剤、その他樹脂等の添加剤を必要に応じて使用することもできる。これら添加剤の添加量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に限定されるものではないが、ポリエステル組成物に対して 、質量換算で0.01〜30%の範囲で添加することが好ましく、質量換算で0.01〜20%の範囲で添加することがより好ましく、質量換算で0.01〜10%の範囲で添加することが特に好ましい。
【0047】
本発明の製造方法によって得られるポリ乳酸共重合体及び本発明のポリエステル組成物を用いた成形品又はフィルム(10cm×10cmの正方形、250μm厚)を35℃、湿度80%の恒温恒湿器に放置したとき、これら成形品表面から200日以上もの間ブリード物が発生し難い。更に良好な分解性を有し、海中に投棄された場合でも、加水分解、生分解等による分解を受ける。海水中では数カ月の間に外形を保たないまでに分解可能である。また、コンポストを用いると、更に短期間で原形をとどめないまでに分解され、また焼却しても有毒ガスや有毒物質を排出することはない。
【0048】
本発明の製造方法によって得られるポリ乳酸共重合体及び本発明のポリエステル組成物は、各種成形品、成形用樹脂、包装用材料、塗料用樹脂、インキ用樹脂、トナー用樹脂、接着剤用樹脂、衛生材料、医療用材料、繊維材料、農業資材、漁業資材、紙等へのラミネーション用材料、発泡樹脂材料等として有用である。各種成形品としては、例えばトレー、カップ、皿、ブリスター、ブロー成形品、シャンプー瓶、化粧品瓶、飲料瓶、オイル容器、射出成形品(ゴルフティー、綿棒の芯、キャンディーの棒、ブラシ、歯ブラシ、注射筒、皿、カップ、櫛、ヘルメット、剃刀の柄、テープのカセットおよびケース、使い捨てのスプーンやフォーク、ボールペン等の文房具等)等に有用である。包装材料としては、例えばシート用材料、フィルム用材料等、より具体的には、シュリンクフィルム、蒸着フィルム、ラップフィルム、食品包装、その他一般包装、ゴミ袋、レジ袋、一般規格袋、重袋等の袋類等、衛生材料としては紙おむつ、生理用品、医療用材料としては創傷被覆材、縫合糸等、繊維材料としては織物や編物をはじめ、レース、組物、網、フェルト、不織布等、農業資材として発芽フィルム、種ヒモ、農業用マルチフィルム、緩効性農薬及び肥料のコーテイング剤、防鳥ネット、養生フィルム、苗木ポット等、漁業資材としては漁網、海苔養殖網、釣り糸、船底塗料等、また、紙へのラミネーション製品としては、トレー、カップ、皿、メガホン等に、その他に、結束テープ(結束バンド)、プリペイカード、風船、パンティーストッキング、ヘアーキャップ、スポンジ、セロハンテープ、傘、合羽、プラ手袋、ヘアーキャップ、ロープ、チューブ、発泡トレー、発泡緩衝材、緩衝材、梱包材、煙草のフィルター等、多岐にわたる用途が挙げられる。
【0049】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、これら実施例に何ら限定されるものではない。また、実施例において特に断りがない限り「部」又は「%」は重量換算とする。尚、諸特性は以下に記載した方法により測定した。
【0050】
[分子量の測定方法]
東ソー株式会社製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置(以下、GPCと省略する)「HLC−8020」を使用し、展開溶媒としてテトラヒドロフランを用いて標準ポリスチレンとの比較で測定を行った。
【0051】
[熱的物性の測定方法]
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量測定装置「DSC 220C」(以下、DSCと省略する)を用いてガラス転移温度(Tg)及び融点(Tm)をJIS K 7121に準拠して測定した。
【0052】
[プロトン核磁気共鳴(以下、1H−NMRと省略)の測定方法]
1H−NMR装置(日本電子株式会社製、JNM−LA300)を用い、ポリ乳酸共重合体中のポリ乳酸(A)とポリアルキレングリコール(B)(以下、PAGと省略する)との質量比を決定するために、クロロホルム−d(CDCl)の溶液として測定した。
【0053】
[透明性の測定方法]
厚さ200μmのポリ乳酸共重合組成物、及びポリエステル組成物のフィルムを5cm×5cmの正方形に切り抜き、濁度計(日本電色工業株式会社製ND−1001DP)にてヘーズ測定を行った。
【0054】
[デュポン衝撃強度の試験方法]
デュポン衝撃強度測定装置を用いて、一定重さの重錘の高さを変えて落下させ、破壊の有無により、先に得られたフィルムの50%破壊エネルギーを求めた(JIS K 5400に準拠)。
【0055】
[貯蔵弾性率(E')の測定方法]
レオメトリックス社製RSAIIを用い、厚さ200μm×幅5mm×長さ35mmのポリ乳酸共重合組成物、及びポリエステル組成物の試験片をFILM TEXTUREジオメトリーで測定した。
【0056】
[ブリードアウトの試験方法及び評価方法]
厚さ200μmのポリエステル組成物フィルムを35℃、湿度80%に保ってタバイエスパック社製高温恒湿器PR−2F中に放置し、200日以上経過してもブリードアウトしないものを○、ブリードアウトしたものを×と表記した。
【0057】
[総合評価の方法]
上記の透明性試験、デュポン衝撃強度試験、貯蔵弾性率(E')測定、ブリードアウト試験を総合的に4段階評価(◎:優、○:良、△:可、×:不可)した。
【0058】
《実施例1》ポリ乳酸共重合体(A−1)の製造
反応器にポリエチレングリコール〔PEG1と省略する。数平均分子量(以下、Mnと省略する)が14,000、重量平均分子量(以下、Mwと省略する)が15,000〕を30部仕込み、窒素雰囲気下、ジャケット温度200℃で加熱溶融させた。その後、ポリ乳酸〔Mnが92,000、Mwが170,000、L体:D体=98.5:1.5(モル比)のもの;以下、PLA1と省略する〕を70部添加して溶融混合させた。PEG1とPLA1とが均一に溶融混合したのを目視で確認した後、チタンテトラブトキシドを溶融混合物に対して200ppm添加し、減圧度80Paで195℃、4時間反応させた。反応終了後に2−エチルヘキサン酸ホスフェートを反応物に対して400ppmを添加して、Mnが28,000、Mwが36,000のポリ乳酸共重合体(A−1)を得た。得られた(A−1)は、性状は白色固体であった。また、GPC測定で単峰性のスペクトルを示した。
【0059】
《実施例2》ポリ乳酸共重合体(A−2)の製造
反応器にPEG1を50部仕込み、窒素雰囲気下、ジャケット温度200℃で加熱溶融させた。その後、PLA1を50部添加して溶融混合させた。PEG1とPLA1とが均一に溶融混合したのを目視で確認した後、チタンテトラブトキシドを溶融混合物に対して100ppm添加し、減圧度133Paで190℃、4時間反応させた。反応終了後に2−エチルヘキサン酸ホスフェートを反応物に対して300ppmを添加して、Mnが21,000、Mwが25,500のポリ乳酸共重合組成物(A−2)を得た。得られた(A−2)は、性状は白色固体であり、GPC測定で単峰性のスペクトルを示した。
【0060】
《実施例3》ポリ乳酸共重合組成物(A−3)の製造
反応器にPEG1を70部仕込み、窒素雰囲気下、ジャケット温度200℃で加熱溶融させた。その後、PLA1を30部添加して溶融混合させた。PEG1とPLA1とが均一に溶融混合したのを目視で確認した後、チタンテトラブトキシドを溶融混合物に対して100ppm添加し、減圧度200Paで190℃、4時間反応させた。反応終了後に2−エチルヘキサン酸ホスフェートを反応物に対して200ppmを添加して、Mnが17,000、Mwが20,000のポリ乳酸共重合組成物(A−3)を得た。得られた(A−3)は溶融後は黄色固体であり、GPC測定で単峰性のスペクトルを示した。
【0061】
《実施例4》ポリ乳酸共重合体(A−4)の製造
反応器にポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体(共重合モル比50/50、以下、PEGPPG1と省略する)(Mnが7,000、Mwが8,000)を50部仕込み、窒素雰囲気下、ジャケット温度200℃で加熱溶融させた。その後、PLA1を50部添加して溶融混合させた。PEGPPG1とPLA1とが均一に溶融混合したのを目視で確認した。その後、チタンテトラブトキシドを溶融混合物に対して150ppm添加し、減圧度200Paで190℃、4時間反応させた。反応終了後に2−エチルヘキサン酸ホスフェートを反応物に対して300ppmを添加して、Mnが9,500、Mwが15,000のポリ乳酸共重合体(A−4)を得た。得られた(A−4)は固体であり、GPC測定で単峰性のスペクトルを示した。
【0062】
《比較例1》(A−5)の製造
反応器にPEG1を30部仕込み、窒素雰囲気下、ジャケット温度200℃で加熱溶融させた。その後、PLA1を70部添加して溶融混合させた。PEG1とPLA1とが均一に溶融混合したのを目視で確認した後、190℃にて4時間撹拌させ取り出し得られたものを(A−5)とした。得られた(A−5)の性状は白色固体、GPC測定で双峰性のスペクトルを示した。
【0063】
《比較例2》(A−6)の製造
反応器にPEG1を30部仕込み、窒素雰囲気下、ジャケット温度200℃で加熱溶融させた。その後、PLA1を70部添加して溶融混合させた。ポリエチレングリコールとPLA1とが均一に溶融混合したのを目視で確認した。その後、チタンテトラブトキシドを溶融混合物に対して100ppm添加し、190℃にて4時間反応させた。反応終了後に2−エチルヘキサン酸ホスフェートを反応物に対して300ppmを添加して得られた、Mnが26,000、Mwが34,000のものを(A−6)とした。得られた(A−6)の性状は黄色固体、GPC測定で単峰性のスペクトルを示した。
【0064】
《比較例3》(A−7)の製造
反応器にPEG1を30部仕込み、窒素雰囲気下、ジャケット温度180℃で加熱溶融させた。その後、L―ラクタイドを70部添加して溶融混合させた。ポリエチレングリコールとL―ラクタイドとが均一になったのを目視で確認した後、オクチル酸スズを溶融混合物に対して300ppm添加し、180℃にて5時間反応させた。反応終了後に2−エチルヘキサン酸ホスフェートを反応物に対して450ppmを添加して得られた、Mnが30,000、Mwが37,000のものを(A−7)とした。得られたA−7は、黄色固体であり、GPC測定で単峰性のスペクトルを示した。
【0065】
上記の実施例1〜4、及び比較例1〜3について、表1にまとめた。また、DSC測定において、明瞭なガラス転移点は認められなかった。
【0066】
【表1】
Figure 0004085325
【0067】
本発明中に記載の表中の略号は、以下を意味する。
PAG:ポリアルキレングリコール
表1において、共重合体とはポリ乳酸共重合体を云う。
表1において、仕込量の単位は特に断りのない限り、質量基準である。
【0068】
実施例6〜9、比較例5〜8で得られたフィルムについて、ヘ−ズ測定、デュポン衝撃強度測定、貯蔵弾性率(以下、E'と省略する)測定、ブリードアウト評価の結果、総合評価を表2及び表3に示した。
【0069】
《実施例5》
実施例1で得られたポリ乳酸重合組成物(A−1)を60℃で3時間減圧乾燥させた後、加熱プレス機を用いて、195℃にて厚さ200μmのフィルムを作製した。このフィルムはヘーズ値が2%、デュポン衝撃値が1.0J以上、25℃における貯蔵弾性率(以下、E'と省略する)が0.9GPa、ブリードアウト評価結果は○、総合評価は◎であった。
【0070】
《比較例4》
比較例3で得られたポリ乳酸重合組成物(A−7)を60℃で3時間減圧乾燥させた後、加熱プレス機を用いて、195℃にて厚さ200μmのフィルムを作製した。このフィルムはヘーズ値が2%、デュポン衝撃値が1.0J以上、25℃におけるE'が1.3GPa、ブリードアウト評価結果は×、総合評価は×であった。
【0071】
《実施例6〜9》及び《比較例5〜8》
PLA1、及び実施例1〜4で得られた(A−1)〜(A−4)、及び比較例1〜3で得られた(A−5)〜(A−7)を十分に乾燥した後、表2に示す配合比にて、東洋精機社製ラボプラストミルミキサーを用いて190℃、10分間溶融混練してポリエステル組成物(P−1)〜(P−8)を得た。得られたポリエステル組成物及びPLA1を60℃で3時間減圧乾燥させた後、加熱プレス機を用いて、195℃にて厚さ200μmのフィルムを作製した。
【0072】
【表2】
Figure 0004085325
【0073】
【表3】
Figure 0004085325
【0074】
表2,表3において、共重合体とはポリ乳酸共重合体を云う。また、配合部数の単位は特に断りのない限り、質量基準である。
【0075】
実施例6〜9に示したように、ポリ乳酸共重合体を改質剤として含有するポリエステル組成物は、比較例4〜8で示した大気圧下で反応させて得られた組成物、又は触媒を添加して得られた組成物、又はポリアルキレングリコールの存在下に触媒を用いてラクチドを開環重合させて得られた組成物、又はポリ乳酸に比して、優れた耐衝撃性、又は柔軟性、透明性、耐ブリードアウト特性を有する。
【0076】
《実施例10》分解性試験
実施例1〜9で得られたポリ乳酸共重合体、及びポリエステル組成物の塊状又は金網に挟んだフィルムを45℃に保った電動コンポスト中に埋設した。30日後に金網を取り出したところ、ポリ乳酸共重合体、及びポリエステル組成物は殆ど原形をとどめていなかった。更に60日後には、確認できない程に分解が進んでいた。このことから、本発明で得られるポリ乳酸共重合体、及びポリエステル組成物は分解性にも優れる。
【0077】
【発明の効果】
本発明は、ポリ乳酸(A)と、ヒドロキシル基を少なくとも1個有するポリアルキレンエーテル(B)を含有して得られるポリ乳酸共重合体の製造方法において、エステル交換反応を行うことでポリ乳酸の解重合反応を最小限に抑制し、効率的に高分子量のポリ乳酸共重合体を製造する方法である。さらにポリアルキレングリコールの存在下、ラクチドを開環重合させて得られる共重合体に比して、優れた柔軟性、透明性、分解性等の優れたポリ乳酸用改質剤、及びポリエステル組成物であり、かかるポリエステル組成物を用いてフィルムを作製した場合、その表面にブリードアウトの生じにくいポリエステル組成物である。

Claims (7)

  1. 重量平均分子量が5,000〜400,000の範囲のポリ乳酸(A)及び重量平均分子量が500〜50,000の範囲でヒドロキシル基を少なくとも1個有するポリアルキレンエーテル(B)とを溶融させ、次いでエステル交換触媒(C)を添加し、減圧下で、且つ、層状珪酸塩及び/又はカーボンナノチューブ非存在下で、エステル交換反応させることを特徴とするポリ乳酸共重合体の製造方法。
  2. エステル交換触媒(C)が、Ti(OC2n+1 〔式中、nは1〜8の整数を示す〕である請求項1に記載のポリ乳酸共重合体の製造方法。
  3. 減圧度が5,000パスカル以下である請求項1又は2に記載のポリ乳酸共重合体の製造方法。
  4. ポリ乳酸(A)と、ヒドロキシル基を少なくとも1個有するポリアルキレンエーテルとの質量比が99:1〜5:95である請求項1〜3の何れかに記載のポリ乳酸共重合体の製造方法。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載のポリ乳酸共重合体の製造方法により得られるポリ乳酸共重合体を含有するポリ乳酸用改質剤。
  6. 重量平均分子量が5,000以上であり、且つガラス転移温度が65℃以下である請求項5記載のポリ乳酸用改質剤。
  7. 請求項5又は6記載のポリ乳酸用改質剤と、ポリ乳酸を含有してなるポリエステル組成物。
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