JP4552298B2 - 乳酸系共重合ポリエステルの製造方法 - Google Patents

乳酸系共重合ポリエステルの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は優れた耐加水分解性、耐ブリードアウト性及び生分解性を有し、ブロー成形、押出成形、射出成形、インフレーション成形、積層成形、プレス成形、押出発泡成形等の種々の方法により成形加工を行うことが可能な、乳酸系共重合ポリエステルの製造方法に関する。
【0002】
本発明の乳酸系共重合ポリエステルは、生体材料用樹脂、成形用樹脂、シート・フィルム用材料、塗料用樹脂、インキ用樹脂、接着剤樹脂、紙へのラミネーション、発泡樹脂材料等に有用であり、中でもその優れた透明性故に、特に包装材料として有用である。
【0003】
包装材料としては、例えば、シートとしては、トレー、カップ、皿、ブリスター、PTP等に、フィルムとしては、ラップフィルム、食品包装袋、その他一般包装袋、ゴミ袋、レジ袋、一般規格袋、重袋等の袋類等に有用である。
【0004】
【従来の技術】
ポリ乳酸は、古くから、乳酸の重縮合法や環状モノマーであるラクタイドの開環重合により得られることが知られており、主に縫合糸や生体内分解成形材料として用いられてきた。重縮合法では、乳酸を出発原料として、脱水反応を進行させ、最高で数万のポリ乳酸を得ることができる。この反応では、末端基濃度が低まった、数千から数万の領域での縮合反応が遅くなるため、高分子量化には多くの時間を要する。特開平06−065360号公報のように、特殊な溶剤と触媒を用いて、10万以上のポリ乳酸を得た例もあるが、ここでも重合時間が大きな問題として残っている。
【0005】
一方、ラクタイドと呼ばれる乳酸の環状モノマーの開環重合では、20万以上の高分子量ポリ乳酸を得ることができる。この重合方法では、ポリ乳酸が非常に高い溶融粘度を有していること、熱分解が非常に起きやすいポリマーであることが問題点である。特開平5−93050号公報では攪拌式反応槽を直列につないだCSTR方式を用いたポリ乳酸の連続製造方法について開示されている。特開平8−100057号公報ではスタティックミキサーとCSTRを組み合わせた製造方法に関して開示されている。これらの製造法では、連続重合によって、バッチ式生産では問題となる反応釜からの抜き出し時の問題や残留モノマーの効率的な除去が達成されている。
【0006】
このポリ乳酸は、剛性が高い反面、柔軟性が低くもろい点が問題であり、この点を改良すべく様々な技術が開発されている。その中で、ソフトなポリエステルやポリエーテルを共重合する手法が知られている。
【0007】
特開平6−306111号公報では、高分子量の脂肪族ポリエステルの存在下、ラクタイドの開環重合を行うことによって脂肪族ポリエステルブロックを有する乳酸コポリマーを得ている。このコポリマーは、脂肪族ポリエステルの導入によって軟質化され、ポリ乳酸のもろさを解消し、さらには高い透明性も実現している。さらに、その添加量と、成分によってはポリ乳酸の耐熱性をほとんど損なわずにフィルム、シートへの加工に適するほどの軟質化された材料が提供可能である。
【0008】
この乳酸系共重合ポリエステルの製造方法として、特開平7−026001号公報では、スタティックミキサーを備えた連続反応装置にヒドロキシカルボン酸の二分子間環状エステル、ラクトン、水酸基及び/またはエステル結合を有するポリマーから成る群から選ばれるモノマーもしくはポリマーを連続的に供給し、溶剤の存在下または非存在下に、反応率85%以上で連続的に反応させ、次いで脱揮により残存モノマーを除去し、重量平均分子量10,000以上の乳酸系共重合ポリエステルの連続製造方法を開示している。
【0009】
特開平7−233245号公報では、3つ以上の攪拌式反応器を直列に連結した連続反応装置の第一番目の反応器に、ラクタイドと、水酸基を有するポリマー2〜50重量部とを、融解もしくは溶媒に溶解して、連続的に供給し、更に第一番目の反応器から直列に連結した各反応器へ、順次移送し、第一番目の反応器および連結した各反応器内で、開環共重合させる乳酸系共重合ポリエステルの連続製造方法について開示している。
【0010】
しかし、上述したこれらの重合反応は、粘性が非常に高いポリ乳酸系共重合体に適しているものの、共重合モノマーまたはポリマーがラクタイドと相溶しない組成比の乳酸系共重合体を得る場合は適切な溶剤を選択し用いる必要があった。
【0011】
しかしながら、ポリ乳酸の重合反応に用いることができる溶剤は非常に限られているため、コモノマーやコポリマーの選択によっては、所望の共重合比でかつ均一条件下で共重合を進行させることが困難な場合が多かった。
【0012】
さらに、最近の環境問題に関連して、脱溶剤化が叫ばれているうえ、溶剤を用いると処理費用がかかるだけでなく、残留モノマーを再回収して使用するシステムも、溶剤を併用することによりその効率が低下するため、無溶剤下での乳酸系共重合ポリエステルを製造することが望まれていた。
【0013】
このように、共重合モノマーまたはポリマーがラクタイドと相溶しない組成比の乳酸系共重合体を得る場合、無溶剤下で製造する方法については一切知られていなかった。
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、無溶剤下では相溶しない混合比の共重合モノマー又はポリマーとラクタイドとからなる透明性、引張り伸びに優れる乳酸系共重合体を、無溶剤下で製造する方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決する為に鋭意研究を行った結果、多くの脂肪族ポリエステルの場合、ラクタイドと均一混合できない濃度領域はラクタイドが過剰な場合であり、ポリエステル過剰になった場合はほとんどのポリエステルがラクタイドと均一混合が可能であることを見いだした。
【0015】
そして、ラクタイド(A)と共重合する脂肪族ポリエステル(B)を所望の比率と異なる、両者が均一混合が可能な比率で共重合を開始しておき、均一混合を保った状態で、連続的又は段階的にラクタイド(A)を所望の最終組成比となるように添加することで所望の組成比の乳酸系共重合体を無用剤下で製造することを見出し本発明を完成するに至った。即ち、
【0016】
(1) ラクタイド(A)と、脂肪族ジオール(I)と脂肪族ジカルボン酸(II)とからなる脂肪族ポリエステル(B)とを、初発組成比(A)/(B)で均一混合し、重合触媒を添加して共重合を開始し、更に均一混合を保ちつつラクタイド(A)を初発組成比から最終組成比にいたるまで段階的又は連続的に添加し共重合を行う乳酸系共重合ポリエステルの製造方法、
【0017】
(2) 初発組成比が(A)/(B)=1/99〜70/30であることを特徴とする(1)に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法、
【0018】
(3) 最終組成比が(A)/(B)=97/3〜50/50である(1)又(2)記載の製造方法、
【0019】
(4) 初発組成比で添加したラクタイド(A)に対して100〜300重量部のラクタイド(A)を初発組成比から最終組成比にいたるまで段階的又は連続的に添加し共重合を行うことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法、
【0020】
(5) 脂肪族ジオール(I)がダイマージオールを含む脂肪族ジオール(I)であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法、
【0021】
(6) 脂肪族ジカルボン酸(II)が、ダイマー酸を含む脂肪族ジカルボン酸(II)であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法、
【0022】
(7) 脂肪族ジオール(I)と脂肪族ジカルボン酸(II)とからなる脂肪族ポリエステル(B)が、酸無水物成分又は多官能性イソシアネート成分で高分子量化された脂肪酸ポリエステル(B)である(1)〜(6)のいずれか一に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法、
【0023】
(8) 脂肪族ジオール(I)と脂肪族ジカルボン酸(II)とからなる脂肪族ポリエステル(B)が、芳香族ジカルボン酸を含んでいても良い脂肪族ポリエステル(B)である(1)〜(7)のいずれか一に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法、
【0024】
(9) 共重合を攪拌式反応槽及び/又はスタティックミキサーを用いて行うことを特徴とする(1)〜(8)のいずれか一に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法、
【0025】
(10) 初発組成比(A)/(B)で重合触媒を添加し、攪拌式反応槽を用いて共重合を開始し、かつ、ラクタイド(A)を初発組成比から最終組成比にいたるまで段階的又は連続的に添加し、スタティックミキサーを用いて共重合を行うことを特徴とする(1)〜(9)のいずれか一に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法、
【0026】
(11) 均一混合となる初発組成比(A)/(B)で重合触媒を添加して共重合を開始し、更にループ式反応槽を用いて一部共重合体を循環させながら共重合を行うことを特徴とする(1)〜(10)のいずれか一に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法、
【0027】
(12) 脱揮槽を設け、ラクタイド(A)の未反応モノマーを該脱揮槽で留去し、ラクタイド備蓄槽に再回収することを特徴とする(1)〜(11)のいずれか一に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法、を提供するものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について順に説明する。
【0029】
まず、本発明の製造方法で使用する原料であるラクタイド(A)について説明する。本発明で使用するラクタイド(A)は、乳酸2分子が脱水縮合で環状2量化した化合物で、立体異性体を有するモノマーである。即ち、ラクタイドとしてはL−乳酸2分子からなるL−ラクタイド、D−乳酸2分子からなるD−ラクタイドおよびD−乳酸およびL−乳酸からなるmeso−ラクタイドが挙げられる。
【0030】
L−ラクタイド、またはD−ラクタイドのみを含む共重合体は結晶化し、高融点である。本発明の乳酸系共重合ポリエステルでは、用途に応じて3種類のラクタイドを種々の割合で組み合わせることにより好ましい樹脂特性を実現できる。本発明においてはこれらの光学異性体のモノマーを単独で用いてもかまわなく、これらの群の中から選択される複数の光学異性モノマーから構成されていてもかまわない。ただし、好ましい樹脂特性を発現するためには、L−ラクタイドまたはD−ラクタイドをラクタイドモノマー中において95重量部以上用いることが好ましい。
【0031】
続いて、本発明の製造方法で使用する原料である脂肪族ポリエステル(B)について説明する。本発明に用いる脂肪族ポリエステル(B)は、ラクタイドに不溶な濃度領域を持つものが好ましい。ラクタイド、及びポリ乳酸は、酸素原子が多いため、単位あたりの炭素原子数の多い脂肪族ポリエステル(B)とは均一混合しにくい傾向にある。したがって、炭素数の多いジオールやジカルボン酸を用いる場合は特に有効である。
【0032】
本発明で用いることができる脂肪族ポリエステル(B)は、ジオールとジカルボン酸からなるポリエステル、ヒドロキシカルボン酸からなるポリエステルおよびこれらのコポリマーである。
【0033】
本発明で用いることができる脂肪族ジオール(I)は、炭素数2〜45のジオールである。具体例としては、エチレングリコール、1、3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、
【0034】
1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3,3−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、
【0035】
1,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、n−ブトキシエチレングリコールなどのジオールや、ダイマー酸の還元体であるダイマージオール、エーテル酸素を有するジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、芳香族基を有するキシリレングリコール、フェニルエチレングリコール等である。
【0036】
本発明で用いることができる脂肪族ジカルボン酸(II)は、炭素数4〜45のジカルボン酸が好適である。具体例としては、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などがあげられる。
【0037】
このほかにも、芳香族ジカルボン酸を脂肪族ジカルボン酸と併用することも可能である。たとえば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ビスフェノールA、ビフェノールなどが本発明で用いることができる。ただし、これらのジカルボン酸を用いる量は、全ジカルボン酸成分量に対して50モル%を超えない範囲で用いることが好ましい。これは、脂肪族ポリエステル(B)の融点が上昇することにより、ラクタイド(A)との共重合に適さない温度での重合が必要となったり、ラクタイド(A)と完全不溶になる場合があるためである。
【0038】
本発明では、特にダイマー酸、ダイマージオールといった、炭素数が30を超えるような構造単位を用いた場合、ラクタイド(A)が脂肪族ポリエステル(B)の仕込量を上回るような場合は2層化する場合が多い。このようなコンディションで重合を行う場合は、攪拌条件によって再現性よい製造が困難となる。
【0039】
本発明に用いることができるダイマー酸またはダイマージオールは、炭素数12以上の不飽和脂肪酸または不飽和脂肪族アルコールの熱2量化反応などによって生成する炭素数24以上のジカルボン酸またはその還元体であるジオールである。ダイマー酸の出発原料は、オレイン酸やトール油脂肪酸であり、毒性が低い。
【0040】
反応機構は様々なものが提案されているが、加熱によるDiels−Alder環化反応が主な機構であると考えられおり、分子内に脂環構造を含むものが多い。分子内に不飽和二重結合を持つものと水添によって飽和化された脂肪酸がある。市販のダイマー酸は、モノマー酸やトリマー酸を若干含むものが多い。
【0041】
これらを用いた脂肪族ポリエステル(B)やポリアミドは柔軟性や、塗工性の優れた樹脂、塗料を提供することが知られている。特にポリアミド系のホットメルト接着剤への用途は大きい。本発明においては、不飽和のダイマー酸、飽和のダイマー酸のいずれを用いてもよい。また、ダイマー酸の純度は90%以上好ましくは95%以上更に好ましくは99%以上のものが望ましい。
【0042】
本発明で用いる脂肪族ポリエステル(B)は、ダイマー酸やダイマージオールを用いたものが好ましいが、とくに、これらのジカルボン酸、ジオール以外のものを併用した脂肪族ポリエステル(B)も使用可能である。この際のダイマージオール、またはダイマー酸の含量が、全ジオール、または全ジカルボン酸の重量に対して、50重量部を超えた脂肪族ポリエステル(B)が、ラクタイド(A)と不溶な領域を有するものが多く、このような場合に本発明は特に好適である。
【0043】
しかしながら、本発明は、ラクタイド(A)と不溶な脂肪族ポリエステル(B)に限るものでなく、脂肪族ポリエステル(B)にいかなる濃度領域でも可溶な脂肪族ポリエステル(B)についても適用可能である。
【0044】
脂肪族ポリエステル(B)は、上述した脂肪族ジオール(I)と脂肪族ジカルボン酸(II)とを従来公知の方法によって製造すればよい。例えば、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸をモル比で1.2〜1.5:1で不活性ガス雰囲気下にて130〜220℃まで1時間に5〜10℃の割合で徐々に昇温させながら撹拌して水を留去する。
【0045】
6〜12時間反応後、0.1〜10KPaで徐々に減圧度を上げながら、過剰のジオール成分を留去する。2〜3時間減圧後、エステル交換触媒及び必要に応じて酸化防止剤を添加して1KPa以下で減圧しながら210〜230℃で4〜12時間反応することによって、脂肪族ポリエステルを得ることができる。
【0046】
上述したエステル交換触媒としては、チタン、錫、亜鉛、ジルコニウム等の金属触媒を脂肪族ポリエステル(B)に対して10〜1000ppm用いることができ、酸化防止剤としては亜リン酸エステル化合物等を10〜1000ppm添加することによって、エステル交換反応時に問題となる着色を低減させることができる。
【0047】
ダイマー酸の含量が少ない場合、分子量10万以上の脂肪族ポリエステル(B)を得ることは、困難である。それ故、反応温度を220℃以下に抑えて重量平均分子量4万〜5万の脂肪族ポリエステル(B)を合成し、これを多官能性イソシアネート、カルボン酸無水物等を反応させることにより、脂肪族ポリエステル(B)の分子量を10万以上に高分子量化することができる。
【0048】
溶融粘性低減のために脂肪族ポリエステル(B)を分岐状にする場合も、脂肪族ポリエステル(B)と多官能性イソシアネートや酸無水物等を反応させることができる。
【0049】
本発明で使用する酸無水物とは、1分子内に2つ以上のカルボキシル基を持ったもののカルボン酸無水物である。カルボン酸無水物の具体例としては、例えば、無水コハク酸、無水シクロヘキサンジカルボン酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸二無水物またはこれらの混合物が挙げられる。
【0050】
本発明で言う多官能性イソシアネートとは、2つ以上のイソシアネート基を持ったものを言う。特に官能基の種類としてイソシアネート基のみを持つものが好ましい。得られるウレタン結合含有ポリエステルが実質上、線状構造を有するものを得る目的の場合には、2官能性のものが好ましい。
【0051】
2官能性イソシアネートの具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0052】
更に、多官能性イソシアネートが3官能性以上のものも用いることができる。この場合、得られたポリマー鎖はスター状になる。このようなものを得る為には、ペンタエリスリトールに2官能性イソシアネートで修飾したものに代表される、多価アルコールに2官能性イソシアネートで修飾した化合物が挙げられる。
【0053】
本発明で使用する多官能性イソシアネートとしては、数種の多官能性イソシアネートを併用することも可能で、少量の3官能性以上のイソシアネートを2官能性イソシアネートに併用し、ゲル化させずに反応し高分子量化させることができる。
【0054】
脂肪族ポリエステル(B)と、カルボン酸無水物もしくはジもしくはトリイソシアネートとの反応は、ジオールとジカルボン酸との脂肪族ポリエステル(B)の重合反応が完結した直後の反応物にカルボン酸無水物もしくはイソシアネートを混合し、短時間溶融状態で撹拌して反応させる方法、或いは重合により得られた脂肪族ポリエステル(B)に改めて添加し、溶融混合する方法でも良い。
【0055】
脂肪族ポリエステル(B)と、カルボン酸無水物もしくはイソシアネートとの反応は、ジオールとジカルボン酸との脂肪族ポリエステル(B)の重合反応が完結した直後の反応物にカルボン酸無水物もしくはイソシアネートを混合し、短時間溶融状態で撹拌して反応させる方法、或いは重合により得られた脂肪族ポリエステル(B)に改めて添加し、溶融混合する方法でも良い。
【0056】
脂肪族ポリエステル(B)にカルボン酸無水物もしくはイソシアネートを混合、反応させる温度は、通常70℃〜220℃、好ましくは100℃〜190℃である。又、多官能性イソシアネートの反応に際しては、N,N−ジメチルアニリン、オクタン酸錫、ジブチル錫ジラウレート、テトライソプロピルチタネート等のエステル重合触媒、或いはウレタン触媒を使用することが好ましい。
【0057】
上記のカルボン酸無水物、多官能性イソシアネートは、必要に応じて混合して用いることができる。また、これらの使用量は、脂肪族ポリエステル(B)の0.01重量%〜5重量%が好ましく、更に好ましくは0.1重量%〜1重量%である。
【0058】
次に、本願発明の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法について説明する。
【0059】
本発明で「均一混合」とは、ラクタイドの融点である100℃以上の温度にて脂肪族ポリエステル(B)をラクタイド(A)と混合した際に、ラクタイド(A)が脂肪族ポリエステル(B)に溶解し2つの溶液相に分離しない状態を意味する。つまり、攪拌を停止しても透明状態を保ちラクタイド(A)と脂肪族ポリエステル(B)は二層分離せず、あるいは、白濁状態にならない。
【0060】
均一混合できずに2つの溶液相に分離した場合、即ち、不均一混合状態で開環重合触媒を添加すると、触媒がポリエステル末端に反応してブロック共重合するほかにラクタイド(A)のホモ重合を併発するために均質なポリマーが得られない。結果としてポリマーの透明性が大きく低下するため好ましくない。
【0061】
そこで本発明では、第1工程として、100〜200℃の溶融状態の脂肪族ポリエステル(B)に、初発組成比として、ラクタイド(A)/脂肪族ポリエステル(B)の重量比が1/99〜70/30、好ましくは10/90〜50/50、特に好ましくは20/80〜50/50となるように、ラクタイド(A)を混合し均一混合させ、均一混合溶液を得る。
【0062】
但し、ラクタイド(A)と脂肪族ポリエステル(B)が所望した初発組成比で均一混合されず不均一状態となった場合は、ラクタイド(A)の添加量を適宜減らし、ポリエステル過剰もしくは、該初発組成比よりもラクタイド(A)の添加量を減らした条件で混合することにより、このような不均一混合の状態から均一混合にすることができる。この最適初発組成比はポリエステルの種類に依存し、特に脂肪族ポリエステルの炭素数が多い場合はラクタイド(A)をより少なくすることが好適である。
【0063】
第2工程として、第1工程で得られた均一混合溶液に、均一混合状態を保ちつつ、110〜200℃、好ましくは160〜180℃下、重合触媒を添加して共重合を開始し、0.5〜3時間反応を行う。続いて第3工程として、均一混合状態を保ちつつ、更にラクタイド(A)を初発組成比から最終組成比にいたるまで段階的又は連続的に添加し、1〜4時間、共重合を行うことによって、本願発明の乳酸系共重合ポリエステルを無溶媒下で製造することができる。
【0064】
最終組成比は97/3〜30/70、好ましくは90/10〜50/50である。
これによりラクタイド(A)/脂肪族ポリエステル(B)組成比が97/3〜30/70の乳酸系共重合ポリエステルを得ることができる。このようにラクタイド成分が多いものから少ないものまで広範囲な組成の乳酸系共重合ポリエステルを製造することができる。
【0065】
また、初発組成比から最終組成比にいたるまで段階的又は連続的に添加するラクタイド(A)の添加量は初発組成比で添加したラクタイド(A)添加量に対して100〜300重量部が好ましく、さらに好ましくは100〜200重量部である。300重量部を越えると、ラクタイド(A)の添加量が多すぎることにより、再び不均一混合になる。
【0066】
ラクタイド(A)を段階的に添加する場合は、2回以上に分割して添加を行うが、この場合は、添加の間隔を15分から1時間ほど空けることが好ましい。その理由は、ポリエステルが十分ブロック化される時間を設けた方が、あとから添加したラクタイド(A)の混合がより容易になるためである。
【0067】
本発明の製造方法により製造された乳酸系共重合ポリエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で重合転化率を測定すると、第2工程において160〜180℃、1時間以内の反応で90〜99%に達し、さらに第3工程としてラクタイド(A)を添加して撹拌すると、溶融ポリマーがラクタイド(A)に溶解されながら、再び粘性が上昇し、合計重合時間が約3〜4時間で、残留モノマーが5%以下に低減することができる。
【0068】
重合触媒としては、オクタン酸錫、チタンテトライソプロポキシド、チタンビスアセチルアセトナート等が挙げられ、ラクタイド(A)と脂肪族ポリエステル(B)に対して50〜2000ppm添加すればよい。
【0069】
ラクタイド(A)の開環重合は着色及び分解を防ぐという点で200℃以下、好ましくは180℃以下の反応温度が好ましく、また、ラクタイド(A)の分解、着色を防ぐため、窒素及びアルゴン等の不活性ガスの雰囲気下で反応を行うことが好ましい。また反応系内の水分の存在は好ましくない為、使用する脂肪族ポリエステル(B)は十分に乾燥させておく必要がある。
【0070】
本発明では、重合後重合触媒の失活処理を行うことにより、保存安定性を更に向上させることができる。重合触媒の失活処理とは、キレート化剤や酸性リン酸エステル類などで重合触媒を失活させることのみならず、樹脂中の重合触媒を除去することも含まれる。
【0071】
キレート化剤および/または酸性リン酸エステル類を乳酸系共重合ポリエステルの製造もしくは製造後に添加することにより、乳酸系共重合ポリエステルの製造に用いた重合触媒を失活させることができる。
【0072】
乳酸系共重合ポリエステルの製造に用いる重合触媒が乳酸系共重合ポリエステルに残存すると熱安定性が悪く、膜やその原料の複合体の製造において加熱、成形加工の際に乳酸系共重合ポリエステル中の乳酸構造単位がラクタイドの形で再生され、製造した膜の強度、貯蔵安定性が低下する。触媒失活剤を添加したり、重合触媒を除去することにより、これらの点が著しく改善される。触媒失活剤は通常、キレート様の形態で乳酸系共重合ポリエステル中の重合触媒に付着し乳酸系共重合ポリエステル中に含有されるが、さらに除去してもよい。
【0073】
本発明に用いるキレート化剤及び/又は酸性リン酸エステル類の添加量は、乳酸系共重合ポリエステルの製造の際に用いる触媒の種類、反応条件によって異なるが、用いられた重合触媒を失活させる量であれば良く、乳酸系共重合ポリエステル重合反応終了後のポリマー取り出し前や混練時に、通常、使用触媒1重量部に対し、0.001〜5重量部、好ましくは、0.1〜100重量部を添加する。また製造された乳酸系共重合ポリエステルに、これらキレート化剤及び/又は酸性リン酸エステル類を添加、混練してもよい。
【0074】
本発明に用いるキレート化剤成分としては、特に限定されないが、具体的には、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、しゅう酸、リン酸、ピロリン酸、アリザリン、アセチルアセトン、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、カテコール、4−t−ブチルカテコール、L(+)−酒石酸、DL−酒石酸、グリシン、クロモトロープ酸、ベンゾイルアセトン、クエン酸、没食子酸、ジメルカプトプロパノール、トリエタノールアミン、シクロヘキサンジアミン四酢酸、ジトルオイル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸が挙げられる。
【0075】
また、本発明で使用される酸性リン酸エステル類は、ヒドロキシカルボン酸系ポリエステル中に含有される触媒の金属イオンと錯体を形成し、触媒活性を失わせ、ポリマー鎖の切断抑制効果を示す。酸性リン酸エステル類としては、酸性リン酸エステル、ホスホン酸エステル、アルキルホスホン酸など及びその混合物を指すものである。
【0076】
また、本発明で使用される酸性リン酸エステル類としては、酸性リン酸エステル、ホスホン酸エステル、アルキルホスホン酸など及びその混合物を指す。
具体的には、酸性リン酸エステルとしては、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸モノエチル、リン酸ジエチル、リン酸モノプロピル、リン酸ジプロピル、リン酸モノイソプロピル、リン酸ジイソプロピル、リン酸モノブチル、リン酸ジブチル、リン酸モノペンチル、リン酸ジペンチル、リン酸モノヘキシル、リン酸ジヘキシル、リン酸モノオクチル、リン酸ジオクチル、リン酸モノ2−エチルヘキシル、リン酸ジ2−エチルヘキシル、リン酸モノデシル、
【0077】
リン酸ジデシル、リン酸モノイソデシル、リン酸ジイソデシル、リン酸モノウンデシル、リン酸ジウンデシル、リン酸モノドデシル、リン酸ジドデシル、リン酸モノテトラデシル、リン酸ジテトラデシル、リン酸モノヘキサデシル、リン酸ジヘキサデシル、リン酸モノオクタデシル、リン酸ジオクタデシル、リン酸モノフェニル、リン酸ジフェニル、リン酸モノベンジル、リン酸ジベンジルなど、
【0078】
ホスホン酸エステルとしては、ホスホン酸モノメチル、ホスホン酸モノエチル、ホスホン酸モノプロピル、ホスホン酸モノイソプロピル、ホスホン酸モノブチル、ホスホン酸モノペンチル、ホスホン酸モノヘキシル、ホスホン酸モノオクチル、ホスホン酸モノエチルヘキシル、ホスホン酸モノデシル、ホスホン酸モノイソデシル、ホスホン酸モノウンデシル、ホスホン酸モノドデシル、ホスホン酸モノテトラデシル、ホスホン酸モノヘキサデシル、ホスホン酸モノオクタデシル、ホスホン酸モノフェニル、ホスホン酸モノベンジルなど、
【0079】
アルキルホスホン酸としては、モノメチルホスホン酸、ジメチルホスホン酸、モノエチルホスホン酸、ジエチルホスホン酸、モノプロピルホスホン酸、ジプロピルホスホン酸、モノイソプロピルホスホン酸、ジイソプロピルホスホン酸、モノブチルホスホン酸、ジブチルホスホン酸、モノペンチルホスホン酸、ジペンチルホスホン酸、モノヘキシルホスホン酸、ジヘキシルホスホン酸、イソオクチルホスホン酸、ジオクチルホスホン酸、モノエチルヘキシルホスホン酸、ジエチルヘキシルホスホン酸、モノデシルホスホン酸、ジデシルホスホン酸、
【0080】
モノイソデシルホスホン酸、ジイソデシルホスホン酸、モノウンデシルホスホン酸、ジウンデシルホスホン酸、モノドデシルホスホン酸、ジドデシルホスホン酸、モノテトラデシルホスホン酸、ジテトラデシルホスホン酸、モノヘキサデシルホスホン酸、ジヘキサデシルホスホン酸、モノオクタデシルホスホン酸、ジオクタデシルホスホン酸などや、モノフェニルホスホン酸、ジフェニルホスホン酸、モノベンジルホスホン酸、ジベンジルホスホン酸など、及びそれらの混合物を挙げることができる。酸性リン酸エステル類成分は有機溶剤との溶解性がよいため作業性に優れ、乳酸系共重合ポリエステルとの反応性に優れ、重合触媒の失活に優れた効果を示す。
【0081】
次に、本発明で用いる製造装置について説明する。本発明では攪拌機付き反応槽及び/又はスタティックミキサーを用いて行うことができる。攪拌機付き反応槽とは縦型または横型の攪拌機付きの反応槽を意味するものである。これらの反応槽では、バッチ式の重合を行うことが可能である。バッチ式の反応形態の場合は、同一の反応槽で、初発組成比にてラクタイド(A)と脂肪族ポリエステル(B)を混合し、触媒を添加することで重合を開始してから、所定時間後に同一反応槽にラクタイド(A)を添加して行き、常に均一状態を保ちながら重合を行うものである。
【0082】
ラクタイド(A)の添加までの時間はラクタイド(A)が十分消費するまでの時間をおくことが好ましく、ラクタイド(A)の添加量や重合温度にもよるが、ラクタイド(A)の添加量が脂肪族ポリエステル(B)よりも少なく、重合温度が180〜200℃である場合は15分〜1時間が好ましい。さらに、途中でのラクタイド(A)の添加は、バッチ式重合法ならば、2回あるいはそれ以上の回数または連続的に滴下しながら添加することも可能である。
【0083】
本発明の製造方法は、連続重合にも対応可能である。連続重合は、ラクタイド(A)を一定の速度で反応槽に供給し、複数の攪拌機付き反応槽やスタティックミキサーを一定の速度で通過させることによって、連続的に重合体を得る方法で、特に大量生産に適した方法である。図1に示したような攪拌機付き反応槽を複数組み合わせた場合、CSTR方式と呼んでいる。
【0084】
本発明では、ラクタイド(A)と脂肪族ポリエステル(B)備蓄槽から、プレ重合槽に初発組成比になるように送液し、十分混合された後に、第1反応槽に移送してから触媒を添加する。第2反応槽以降でラクタイド(A)添加を行い、所望の混合比でラクタイド(A)が十分消費するまで重合を行うことが好ましい。CSTR方式では、重合後期の粘性が極めて高い領域でワイゼンベルグ現象が起こる場合があるが、このような攪拌機で攪拌することが困難な粘度のポリマーの製造には、攪拌中心に攪拌軸を持たない攪拌機を持った反応槽や、スタティックミキサーと呼ばれる反応槽を用いることが好ましい。
【0085】
スタティックミキサーは、単独で用いてもかまわないし、CTSRと組み合わせて用いることも可能である。CSTRと組み合わせる場合は、図2のように、重合後期をスタティックミキサーで行うような組み合わせが好ましい。スタティックミキサーのみで重合を行う場合は、たとえば図3のような反応システムを組むことが好ましい。
【0086】
スタティックミキサーを用いた系では、粘度が異なる溶液の混合性に富んでいるのでCSTRのみの方式よりもさらに安定的な製造が可能である。この場合、反応初期に反応添加率の低い溶液を一部初期ラインに戻すループラインを設定することにより、より効率的な反応が可能である。スタティックミキサーにおける製造においても、ラクタイド(A)の途中添加に関しては、CSTR方式と同様に、ポリマー送液速度とラクタイド(A)送液速度の設定により、ポリマーの最終組成比が決まることとなる。
【0087】
連続重合の場合は、ラクタイド(A)を一定の割合で供給する必要があるが、本発明の場合は、さらに初発組成比で重合を行い、得られたプレポリマーを一定の速度で第2反応槽に供給しながらラクタイド(A)添加を行う必要がある。これらの条件を満たすため、送液用のポンプは、定量性の高いポンプを用いることが必要である。ただし、重合後期に用いる送液手段は、ギヤポンプを用いることが好ましい。
【0088】
次に、共重合の方法についての一例を図面を用いて具体的に説明する。
【0089】
まず、図1において、本発明が適用される製造装置の全体構成について説明する。同図の符号1はプレ混合槽であり、ラクタイド(A)と脂肪族ポリエステル(B)とを上記の初発組成比で均一混合する。続いて、プレ混合槽1内で、窒素雰囲気下で完全に溶解させる。次にプレ混合槽1からポンプP1を介し、触媒混合槽3に移送して、かつ、触媒備蓄槽2から重合触媒をポンプP2を介して触媒混合槽3に移送して撹拌混合する。
【0090】
触媒混合槽3で撹拌混合された均一混合溶液はポンプP3を介してプレリアクター4に移送され、140〜180℃で撹拌混合される。するとポリエステル末端からラクタイドの開環重合が開始され初発組成比に応じた組成のコポリマーが生成される。この際溶液は透明性を維持しておりラクタイド(A)の添加量に応じて粘度が上昇する。
【0091】
プレリアクター4での滞留時間はラクタイド(A)と脂肪族ポリエステル(B)との組成比にも寄るが約0.5〜2時間程度である。続いて、該コポリマーはギアポンプP4を介し、第2混合槽6へ移送され、また、ラクタイド(A)がラクタイド備蓄槽5からポンプP5を介して最終組成比となるよう第2混合槽6へ移送され、当該第2混合槽6において、両者は撹拌混合される。この際ポンプP5におけるラクタイド(A)の添加は所定移送速度において連続的に供給することが好ましい。
【0092】
この際に、最終組成比は、プレポリマーの移送速度とラクタイド(A)の供給速度の比によって決まることになる。また、第2混合槽6での撹拌性は非常に重要であり、異なる粘性の液体を混合するのに適した攪拌翼を選択することが好ましい。例えば神戸製鋼社製フルゾーン翼は低粘性から高粘性に対応可能であり、本発明に用いるのに適した攪拌翼の一つである。
【0093】
第2混合槽6で十分撹拌混合された該コポリマーとラクタイド(A)はギアポンプP6を介して、第2反応槽7へ移送され、1〜3時間の滞留時間、160〜220℃で撹拌混合され、共重合させる。第2反応槽7は高粘性対応でかつ撹拌混合性の高い撹拌翼を選択することが好ましい。例えば、図2の様に、第2反応槽としてスタティックミキサー反応槽15、16を用いることが好ましい。
【0094】
第2反応槽7で製造された乳酸系共重合ポリエステルはギアポンプP7を介して押し出し機8へ移送され、押し出し機8から押し出されることで、本発明の乳酸系共重合ポリエステルを得ることができる。
【0095】
また、本発明が適用されるスタティックミキサーを用いた製造装置の全体構成の一例について図3に説明する。同図の符号18はプレ混合槽でラクタイド(A)と脂肪族ポリエステル(B)とを上記の初発組成比で均一混合し、プレ混合槽18内で、窒素雰囲気下で完全に溶解させる。次にプレ混合槽18からポンプP15を介し、触媒混合槽20に移送して、かつ、触媒備蓄槽19から重合触媒をポンプP16を介して触媒混合槽20に移送して撹拌混合する。
【0096】
触媒混合槽20で撹拌混合された均一混合溶液はポンプP17を介してスタティックミキサー21に移送する。さらにスタティックミキサー22に送り込まれ、さらにポンプP18を介してスタティックミキサー25に反応溶液(以下、「プレポリマー溶液」ということがある。)が移送される。この際、一部の反応溶液がポンプP19によって、スタティックミキサー23に送り込まれ、再びスタティックミキサー22に戻される事によって、適正な重合溶液粘性と、重合転化率を保つ役割を果たす。
【0097】
一方、ラクタイド備蓄槽24からポンプP20を介してミキサー25にラクタイドモノマーを導入し、該ミキサー25でラクタイドモノマーとプレポリマー溶液を混合しながらさらに共重合を行う。スタティックミキサー27へ送り込まれ、また、ラクタイド備蓄槽26からポンプP22を介してスタティックミキサー27へラクタイドモノマーを導入する。スタティックミキサー27からギアポンプP22を介してスタティックミキサー28,29へ反応溶液を導入する。
【0098】
スタティックミキサー29からギアポンプP23を介して押し出し機29へポリマーを移送し、必要に応じて残留モノマーを脱揮しながら、ペレット化を行うものである。各スタティックミキサーの滞留時間は、0.5〜2時間が好ましい。
【0099】
本発明の製造方法による乳酸系共重合ポリエステルの重合転化率は、好ましくは95%以上であるが、残留するラクタイド(A)は、第2反応槽7、スタティックミキサー反応槽16、又は27等、最終組成比で共重合反応を行った反応槽に、更にギアポンプを介して脱揮槽を設け減圧留去してもよい。この脱揮槽としては、2軸押し出し機や、薄膜蒸留装置、ストランド型脱揮槽などが使用可能である。脱揮されたラクタイド(A)は、ラクタイド備蓄層に再回収することによって効率的な製造が可能である。蒸留などの精製を行ってから備蓄層に戻すことが、ポリマーの品質上好ましい。
【0100】
乳酸系共重合ポリエステルの室温における粘弾性は、共重合に用いる脂肪族ポリエステルを構成するジオールの主鎖の炭素数が多いほど軟質となる。また、ダイマー酸と併用されるジカルボン酸量が増えるに従い軟質となる。したがって、用途に応じて適宜粘弾性を調製すればよい。
【0101】
本発明によって得られる乳酸系共重合ポリエステルは柔軟性に富んだ樹脂であり、引張破断伸びが100%以上の樹脂である。
【0102】
本発明によって得られる乳酸系共重合ポリエステルは透明性の良い樹脂であり、250μmのシートでヘイズ20%以下である。ポリエステルが40%以下の組成比であれば10%以下の透明なシートが得られる。
【0103】
本発明で得られる乳酸系共重合ポリエステルは、45℃以上のガラス転移温度や140〜180℃の融点を有するコポリマーも合成可能である。更に、ガラス転移温度が50℃以上のコポリマーの合成は、脂肪族ポリエステル(B)の構成要素にも依存する。
【0104】
本発明で得られる乳酸系共重合ポリエステルは、良好な生分解性を有し、海中に投棄された場合でも、加水分解、生分解等による分解を受ける。海水中では数カ月の間に樹脂としての強度が劣化し、外形を保たないまでに分解可能である。またコンポストを用いると、更に短期間で原形をとどめないまでに生分解される。
また、本発明で得られる乳酸系共重合ポリエステルは、焼却を行っても有毒ガスや有毒物質を排出することはない。
【0105】
本発明の乳酸系共重合ポリエステルは、成形用樹脂、シート・フィルム用材料、塗料用樹脂、インキ用樹脂、トナー用樹脂、接着剤樹脂、紙へのラミネーション、発泡樹脂材料等、特に包装材料、接着剤として有用である。
包装材料としては、例えば、シートとしてはトレー、カップ、皿、ブリスター等、フィルムとしては、ラップフィルム、食品包装、その他一般包装、ゴミ袋、レジ袋、一般規格袋、重袋等の袋類等に有用である。
【0106】
また、その他の用途としてブロー成形品としても有用に用いられ、例えば、シャンプー瓶、化粧品瓶、飲料瓶、オイル容器等に、また衛生用品として、紙おむつ、生理用品、更には、医療用として人工腎臓、縫合糸等に、また農業資材として、発芽シート、種ヒモ、農業用マルチフィルム、緩効性農薬及び肥料のコーテイング剤、防鳥ネット、養生シート、苗木ポット等に有用である。
【0107】
また、漁業資材としては漁網、海苔養殖網、釣り糸、船底塗料等に、また射出成形品としては、ゴルフティー、綿棒の芯、キャンディーの棒、ブラシ、歯ブラシ、注射筒、皿、カップ、櫛、剃刀の柄、テープのカセット、使い捨てのスプーン・フォーク、ボールペン等の文房具等に有用である。
【0108】
また紙へのラミネーション製品としては、トレー、カップ、皿、メガホン等に、その他に、結束テープ、プリペイカード、風船、パンティーストッキング、ヘアーキャップ、スポンジ、セロハンテープ、傘、合羽、プラ手袋、ヘアーキャップ、ロープ、不織布、チューブ、ホットメルト接着剤、発泡トレー、発泡緩衝材、緩衝材、梱包材、煙草のフィルター等が挙げられる。
以下に実施例及び比較例により、本発明を更に具体的に説明する。
【0109】
【実施例】
(参考例1)(脂肪族ポリエステルA−1の合成)
撹拌器、精留器、ガス導入管を付した500mL反応槽に、ダイマー酸(炭素数18の脂肪族不飽和カルボン酸の2量体;コグニス社製エンポール1061(DA))を1モル当量と1.4モル当量のエチレングリコール(EG)を仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に7℃ずつ昇温させながら加熱撹拌した。生成する水を留去しながら220℃まで昇温し、2時間後、エステル交換触媒としてチタンテトライソプロポキシドを70ppm添加し、0.1KPaまで減圧して6時間撹拌した。
【0110】
その結果、粘ちょうな脂肪族ポリエステル(A−1と称する。)を得た。このポリマーの数平均分子量はポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略す)で23,000、重量平均分子量は45,000であった。
【0111】
(参考例2)(脂肪族ポリエステルA−2の合成)
撹拌器、精留器、ガス導入管を付した500mL反応槽に、ダイマー酸(炭素数18の脂肪族不飽和カルボン酸の2量体;コグニス社製エンポール1061(DA))を0.6モル当量、シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)0.4モル当量と、0.9モル当量の1,4−ブタンジオール(BG)と0.5モル当量のダイマージオール(炭素数18の脂肪族不飽和ジカルボン酸の2量体の還元体;コグニス社製ダイマージオール(DDO))を仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に7℃ずつ昇温させながら加熱撹拌した。生成する水を留去しながら220℃まで昇温し、2時間後、エステル交換触媒としてチタンテトラブトキシドを70ppm添加し、0.1KPaまで減圧して3時間撹拌した。さらにピロメリット酸二無水物(PMDA)を理論収量に対して0.1重量部加えて210℃で0.1KPaまで減圧して3時間撹拌した。
【0112】
その結果、粘ちょうな脂肪族ポリエステル(A−2と称する。)を得た。 GPCで測定した結果、このポリマーの数平均分子量は40,000、重量平均分子量は73,000であった。
【0113】
(参考例3)(脂肪族ポリエステルA−3の合成)
撹拌器、精留器、ガス導入管を付した50L反応槽に、ダイマージオール(炭素数18の脂肪族飽和カルボン酸の2量体;コグニス社製エンポール1008(EM1008))を0.7モル当量とセバシン酸0.3モル当量と、1.4モル当量のプロピレングリコール(EG)とを仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に7℃ずつ昇温させながら加熱撹拌した。生成する水を留去しながら220℃まで昇温し、2時間後、エステル交換触媒としてオクタン酸スズを70ppm添加し、0.1KPaまで減圧して3時間撹拌した。この重合溶液に、理論収量の0.1重量%のヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)を加え、170℃で攪拌した。
【0114】
その結果、粘ちょうな脂肪族ポリエステル(A−3と称する。)を得た。 GPCで測定した結果、このポリマーの数平均分子量は47,000、重量平均分子量は110,000であった。
参考例1〜3の結果を表1に示す。
【0115】
(実施例1)(乳酸系共重合ポリエステルの合成)
参考例1で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル(A−1)70gと、L−ラクタイド30gをセパラブルフラスコに入れ、180℃で溶融した。溶液が均一になってからオクタン酸スズ300ppmを添加し、180℃で1.5時間撹拌したところ透明で粘ちょうな溶液が得られた。この反応溶液に100gのL−ラクタイドを添加してさらに2時間攪拌すると透明性を維持したままさらに粘度が上昇した。重合終了後にエチルヘキサン酸ホスフェートを500ppm添加した。
【0116】
得られた乳酸系共重合ポリエステルは、GPCで数平均分子量72,000、重量平均分子量150,000の単峰性の共重合体であることが確認された。このポリマーのガラス転移温度は示差式熱量計(DSC)で61℃であった。ポリマーの透明性は、250μm厚のシートで1.1%で良好であった。
【0117】
(実施例2)(乳酸系共重合ポリエステルの合成)
参考例1で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル(A−1)80gと、L−ラクタイド19.4g、D−ラクタイド0.6gをセパラブルフラスコに入れ、180℃で溶融した。溶液が均一になってからオクタン酸スズ350ppmを添加し、180℃で1.5時間撹拌したところ透明で粘ちょうな溶液が得られた。
この反応溶液に、L−ラクタイド116.4g、D−ラクタイド3.6gを添加してさらに2時間攪拌すると透明性を維持したままさらに粘度が上昇した。さらにL−ラクタイド97g、D−ラクタイド3gを添加してさらに2時間攪拌すると、さらに粘度が上昇した。重合終了後にエチルヘキサン酸ホスフェートを500ppm添加した。
【0118】
得られた乳酸系共重合ポリエステルは、GPCで数平均分子量95,000、重量平均分子量210,000の単峰性の共重合体であることが確認された。このポリマーのガラス転移温度は示差式熱量計(DSC)で59℃であった。ポリマーの透明性は、250μm厚のシートで0.7%で良好であった。
【0119】
(実施例3)(乳酸系共重合ポリエステルの合成)
参考例1で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル(A−1)90gと、L−ラクタイド9.5g、D−ラクタイド0.5gをセパラブルフラスコに入れ、180℃で溶融した。溶液が均一になってからオクタン酸スズ400ppmを添加し、180℃で1.5時間撹拌したところ透明でやや粘度の上昇がみられた。この反応溶液に、L−ラクタイド95g、D−ラクタイド5gを添加してさらに2時間攪拌すると透明性を維持したままさらに粘度が上昇した。さらにL−ラクタイド237.5g、D−ラクタイド12.5gを添加してさらに2時間攪拌すると、さらに粘度が上昇した。重合終了後にエチルヘキサン酸ホスフェートを500ppm添加した。
【0120】
得られた乳酸系共重合ポリエステルは、GPCで数平均分子量110,000、重量平均分子量250,000の単峰性の共重合体であることが確認された。
このポリマーのガラス転移温度は示差式熱量計(DSC)で58℃であった。ポリマーの透明性は、250μm厚のシートで0.5%で良好であった。
【0121】
実施例1〜3の結果を表2に示す。
【0122】
(実施例4)(スタティックミキサー式乳酸系共重合ポリエステルの連続重合)
参考例2で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル(A−2)500gと、L−ラクタイド500gを2Lの抜き出し口付の反応槽に入れ、180℃で溶融した。溶液が均一になってから、100mLの触媒混合層にプランジャーポンプを用いて毎時50g導入し、これに対して300ppmの濃度になるように連続的にオクタン酸スズを導入した。さらに触媒混合層からプランジャーポンプを通して、接続したスタティックミキサーに導入した。スタティックミキサーの保持容量は全体で250g、最初の保持容量25gの箇所から分岐され、一部ミキサーの頭部に戻されるループラインを形成している。さらに保持容量50gと100gの箇所に毎時25gのラクタイドが導入される。この連続反応装置でラクタイドを添加しながらの連続重合を行ったところ、スタティックミキサー終点から粘性の高いポリマーが得られた。
【0123】
得られた乳酸系共重合ポリエステルは、GPCで数平均分子量79,000、重量平均分子量200,000の単峰性の共重合体であることが確認された。このポリマーのガラス転移温度は示差式熱量計(DSC)で61℃であった。ポリマーの透明性は、250μm厚のシートで0.9%で良好であった。
【0124】
(実施例5)(スタティックミキサー式乳酸系共重合ポリエステルの連続重合)
参考例2で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル(A−2)500gと、L−ラクタイド500gを2Lの抜き出し口付の反応槽に入れ、180℃で溶融した。溶液が均一になってから、100mLの触媒混合層にプランジャーポンプを用いて毎時50g導入し、これに対して300ppmの濃度になるように連続的にオクタン酸スズを導入した。さらに実施例4で用いた連続反応装置で保持容量50gと100gの箇所に、それぞれ毎時50g、100gのラクタイドを導入して連続重合を行ったところ、スタティックミキサー終点から粘性の高いポリマーが得られた。
【0125】
得られた乳酸系共重合ポリエステルは、GPCで数平均分子量95,000、重量平均分子量240,000の単峰性の共重合体であることが確認された。このポリマーのガラス転移温度は示差式熱量計(DSC)で61℃であった。ポリマーの透明性は、250μm厚のシートで0.5%で良好であった。
【0126】
(実施例6)(CSTR式乳酸系共重合ポリエステルの2段階連続重合)
参考例3で合成した高分子量の脂肪族ポリエステル(A−3)60Kgと、L−ラクタイド39.6Kg、D−ラクタイド0.4Kgを200L反応槽に仕込み120℃で溶融した。溶液が均一になってから、プランジャーポンプで10L触媒混合槽へ5Kg毎時の割合で送液した。触媒混合層にオクタン酸スズ400ppmになるように連続的に添加し、この混合液を5Kg毎時で180℃の10Lプレリアクターへ送液した。ここで1時間滞留させた後、20Lラクタイド(A)混合槽に移送し、ラクタイド備蓄槽から5Kg毎時の移送速度でラクタイド溶液(L/D=99/1)をラクタイド混合槽に導入して、ポリマー溶液とラクタイド(A)溶液を混合した。ポリマー/ラクタイド溶液は均一となった。さらに、この混合槽から5Kg毎時の割合で、溶液を50Lの第2反応槽へ移送して滞留時間3時間で押し出し機に導入して残留モノマーを留去し、ペレット化を行った。
【0127】
得られた乳酸系共重合ポリエステルは、GPCで数平均分子量110,000、重量平均分子量170,000の単峰性の共重合体であることが確認された。このポリマーのガラス転移温度は示差式熱量計(DSC)で58℃であった。ポリマーの透明性は、250μm厚のシートで1.1%で良好であった。
【0128】
実施例4〜6の結果を表3に示す。
【0129】
(実施例7)(乳酸系共重合ポリエステルシートの作成)
実施例1で得られた乳酸系共重合ポリエステルを100℃で6時間加熱減圧乾燥した。このポリマー3.3gと10cm×10cmの正方形をくり貫いた厚さ250μmのPETシートを厚さ100μmのPETシートではさみ、170℃で加熱溶融しながら200kg/cm2の圧力で1分間プレスした。
【0130】
次に、このシートを10分間水冷プレス機にかけ、取り出し24時間室温に放置した。得られた10cm×10cm、厚さ250μmのシートのヘイズをJIS−K−7127によりヘイズ測定したところ、このシートのヘイズは0.5%であった。
【0131】
(実施例8)乳酸系共重合ポリエステルシートの生分解性試験
実施例1〜6で得られた乳酸系共重合ポリエステルシートを金網で挟み、45℃に保った電動コンポスト措置中に放置した。嫌気環境にならないように数時間置きに撹拌を行った。30日後にシートを取り出したところ、ボロボロでほとんど原形をとどめていなかった。60日後には、シートは消失して確認できなかった。
【0132】
(比較例1)(乳酸系共重合ポリエステルの合成)
参考例1で合成したポリエステルA−1を30重量部と、L−ラクタイド68.9重量部と、D−ラクタイド1.1重量部をセパラブルフラスコに入れ、170℃で溶融した。溶液は2層に分離したままであった。これにオクタン酸スズ200ppmを添加し、200回転毎分で高速攪拌しながら170℃で反応した。反応系は白濁したまま粘性が上昇した。
【0133】
得られた乳酸系共重合ポリエステルは、GPCで数平均分子量77,000、重量平均分子量137,000の共重合体であることが確認された。このポリマーのガラス転移温度は示差式熱量計(DSC)で59℃であった。ポリマーの透明性は、250μm厚のシートで41.1%で、濁度の高いものであった。また、引張伸び試験では、引張破断伸び値が25%であった。
【0134】
【表1】
Figure 0004552298
【0135】
【表2】
Figure 0004552298
【0136】
【表3】
Figure 0004552298
【0137】
【発明の効果】
本発明は、無溶剤下では相溶しない混合比の共重合モノマー又はポリマーとラクタイドとからなる透明性、引張り伸びに優れる乳酸系共重合体を、無溶剤下で製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のCSTR方式の製造装置の全体構成図の一例を示す図である。
【図2】本発明のCSTR方式にスタティックミキサー反応槽を含む製造装置の全体構成図の一例を示す図である。
【図3】本発明のループ式反応槽を含む製造装置の全体構成図の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 プレ混合槽
2 触媒備蓄槽
3 触媒混合槽
4 プレリアクター
5 ラクタイド備蓄槽
6 第2混合槽
7 第2反応槽
8 押し出し機
9 プレ混合槽
10 触媒備蓄槽
11 触媒混合槽
12 プレリアクター
13 ラクタイド備蓄槽
14 第2混合槽
15 スタティックミキサー
16 スタティックミキサー
17 押し出し機
18 プレ混合槽
19 触媒備蓄槽
20 触媒混合槽
21 スタティックミキサー
22 スタティックミキサー
23 スタティックミキサー
24 ラクタイド備蓄槽
25 スタティックミキサー
26 ラクタイド備蓄槽
27 スタティックミキサー
28 スタティックミキサー
29 スタティックミキサー
30 押し出し機
P1 ポンプ
P2 ポンプ
P3 ポンプ
P4 ギアポンプ
P5 ポンプ
P6 ギアポンプ
P7 ギアポンプ
P8 ポンプ
P9 ポンプ
P10 ポンプ
P11 ギアポンプ
P12 ポンプ
P13 ギアポンプ
P14 ギアポンプ
P15 ポンプ
P16 ポンプ
P17 ポンプ
P18 ポンプ
P19 ポンプ
P20 ポンプ
P21 ポンプ
P22 ギアポンプ
P23 ギアポンプ

Claims (12)

  1. ラクタイド(A)と、脂肪族ジオール(I)と脂肪族ジカルボン酸(II)とからなる脂肪族ポリエステル(B)とを、初発組成比(A)/(B)で均一混合し、重合触媒を添加して共重合を開始し、更に均一混合を保ちつつラクタイド(A)を初発組成比から最終組成比にいたるまで段階的又は連続的に添加し共重合を行う乳酸系共重合ポリエステルの製造方法。
  2. 初発組成比が(A)/(B)=1/99〜70/30であることを特徴とする請求項1に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法。
  3. 最終組成比が(A)/(B)=97/3〜50/50である請求項1又2記載の製造方法。
  4. 初発組成比で添加したラクタイド(A)に対して100〜300重量部のラクタイド(A)を初発組成比から最終組成比にいたるまで段階的又は連続的に添加し共重合を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法。
  5. 脂肪族ジオール(I)がダイマージオールを含む脂肪族ジオール(I)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法。
  6. 脂肪族ジカルボン酸(II)が、ダイマー酸を含む脂肪族ジカルボン酸(II)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法。
  7. 脂肪族ジオール(I)と脂肪族ジカルボン酸(II)とからなる脂肪族ポリエステル(B)が、酸無水物成分又は多官能性イソシアネート成分で高分子量化された脂肪酸ポリエステル(B)である請求項1〜6のいずれか一項に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法。
  8. 脂肪族ジオール(I)と脂肪族ジカルボン酸(II)とからなる脂肪族ポリエステル(B)が、芳香族ジカルボン酸を含んでいても良い脂肪族ポリエステル(B)である請求項1〜7のいずれか一項に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法。
  9. 共重合を攪拌式反応槽及び/又はスタティックミキサーを用いて行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法。
  10. 初発組成比(A)/(B)で重合触媒を添加し、攪拌式反応槽を用いて共重合を開始し、かつ、ラクタイド(A)を初発組成比から最終組成比にいたるまで段階的又は連続的に添加し、スタティックミキサーを用いて共重合を行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法。
  11. 均一混合となる初発組成比(A)/(B)で重合触媒を添加して共重合を開始し、更にループ式反応槽を用いて一部共重合体を循環させながら共重合を行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法。
  12. 脱揮槽を設け、ラクタイド(A)の未反応モノマーを該脱揮槽で留去し、ラクタイド備蓄槽に再回収することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法。
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