JPH11295831A - ハロゲン化銀乳剤の製造方法、ハロゲン化銀写真感光材料及び画像形成方法 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤の製造方法、ハロゲン化銀写真感光材料及び画像形成方法

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JPH11295831A
JPH11295831A JP9446598A JP9446598A JPH11295831A JP H11295831 A JPH11295831 A JP H11295831A JP 9446598 A JP9446598 A JP 9446598A JP 9446598 A JP9446598 A JP 9446598A JP H11295831 A JPH11295831 A JP H11295831A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 感度が高く、高照度露光において、肩部階調
に優れ、かつ潜像安定性のよい、ハロゲン化銀乳剤の製
造方法と、該ハロゲン化銀乳剤を用いたハロゲン化銀写
真感光材料と画像形成方法の提供。 【解決手段】 塩化銀を90モル%以上含有するハロゲ
ン化銀粒子に60℃以上で金・硫黄増感を施した後、5
0℃以下に冷却してから増感色素を加え、その後に臭化
物を添加することを特徴とするハロゲン化銀乳剤の製造
方法、該ハロゲン化銀乳剤を用いたハロゲン化銀写真感
光材料と画像形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン化銀乳剤
の製造方法、ハロゲン化銀写真感光材料及び画像形成方
法に関し、更に詳しくは感度が高く、高照度露光におい
て、肩部階調に優れ、かつ潜像安定性のよい、ハロゲン
化銀乳剤の製造方法、ハロゲン化銀写真感光材料及び画
像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ハロゲン化銀写真感光材料の迅速
処理適性向上のため塩化銀含有率の高いハロゲン化銀粒
子が用いられてきた。しかし、高塩化銀粒子を含有する
ハロゲン化銀写真感光材料はカブリが高く感度が低いだ
けでなく、相反則不軌特性が悪いという問題点を有して
いた。
【0003】この欠点の解決のため、これまで様々な提
案がなされてきたが初期潜像退行との両立、感度等の問
題があり十分でない。
【0004】例えば、特開平1−105940号には9
0モル%以上塩化銀を含有するハロゲン化銀粒子の20
%以上に臭素局在相を有し、更に該臭素局在相中に全イ
リジウムの50%以上共沈させたハロゲン化銀粒子が記
載されている。また、特開平3−188435号には、
表面近傍に臭化銀局在相を形成した後化学増感を行う
が、この時の温度が55℃以下が好ましいと記載されて
いる。特開平9−15771号には化学増感後50℃以
下に冷却し臭化物、増感色素の順に添加することが記載
されている。
【0005】しかし、これらの方法によっても、高照度
露光において、肩部階調が低く、しかも潜像安定性が劣
っていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、感度
が高く、高照度露光において、肩部階調に優れ、かつ潜
像安定性のよい、ハロゲン化銀乳剤の製造方法と、該ハ
ロゲン化銀乳剤を用いたハロゲン化銀写真感光材料及び
画像形成方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成により達成された。
【0008】(1) 塩化銀を90モル%以上含有する
ハロゲン化銀粒子に60℃以上で金・硫黄増感を施した
後、50℃以下に冷却してから増感色素を加え、その後
に臭化物を添加することを特徴とするハロゲン化銀乳剤
の製造方法。
【0009】(2) 臭化物を添加するときにイリジウ
ム化合物が存在することを特徴とする前記1記載のハロ
ゲン化銀乳剤の製造方法。
【0010】(3) 臭化物が臭化銀微粒子であること
を特徴とする前記1又は2記載のハロゲン化銀乳剤の製
造方法。
【0011】(4) 臭化物が粒径0.1μm以下の臭
化銀微粒子であることを特徴とする前記1〜3のいずれ
か1項記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。
【0012】(5) 臭化物がイリジウムを含有した臭
化銀微粒子であることを特徴とする前記1〜4のいずれ
か1項記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。
【0013】(6) 塩化銀を90モル%以上含有する
ハロゲン化銀粒子を形成後、化学増感を施す前に、下記
一般式(1)で示される化合物を添加することを特徴と
する前記1〜5のいずれか1項記載のハロゲン化銀乳剤
の製造方法。
【0014】一般式(1) (ML6n 〔式中、Mは満たされたフロンティア軌道多価金属イオ
ンを表し、Lは独立して選択することが出来る配位錯体
リガンドを表す。但し、リガンドの少なくとも1個はい
ずれのハロゲン化物リガンドよりも電気陰性が高く、n
は−1、−2、−3もしくは−4を表す。〕 (7) ハロゲン化銀写真感光層の少なくとも1層に、
前記1〜6のいずれか1項記載のハロゲン化銀乳剤の製
造方法で製造したハロゲン化銀乳剤を含有することを特
徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0015】(8) ハロゲン化銀写真感光材料の画像
形成方法において、前記7記載のハロゲン化銀写真感光
材料を10μsecより短い露光時間で露光することを
特徴とする画像形成方法。
【0016】本発明を更に詳しく説明する。本発明に係
るハロゲン化銀乳剤の組成は、塩化銀、塩臭化銀、塩沃
臭化銀、塩沃化銀等、任意のハロゲン組成を有するもの
であってもよいが、塩化銀を90モル%以上含有する実
質的に沃化銀を含有しない塩臭化銀が好ましい。迅速処
理性、処理安定性からは、好ましくは97モル%以上、
より好ましくは98〜99.9モル%の塩化銀を含有す
るハロゲン化銀乳剤が好ましい。
【0017】ハロゲン化銀粒子の形状は任意のものを用
いることができる。好ましい一つの例は、(100)面
を結晶表面として有する立方体である。又、米国特許
4,183,756号、同4,225,666号、特開
昭55−26589号、特公昭55−42737号や、
ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエン
ス(J.Photogr.Sci.)21巻,39頁
(1973年)等の文献に記載された方法等により、八
面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子を造
り、これを用いることもできる。更に、双晶面を有する
粒子を用いてもよい。
【0018】ハロゲン化銀粒子は、単一の形状からなる
粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳
剤を2種以上同一層に添加することが特に好ましい。
【0019】ハロゲン化銀粒子の粒径は特に制限はない
が、迅速処理性及び感度等、他の写真性能などを考慮す
ると、好ましくは0.1〜1.2μm、更に好ましくは
0.2〜1.0μmの範囲である。この粒径は、粒子の
投影面積か直径近似値を使ってこれを測定することがで
きる。粒子が実質的に均一形状である場合は、粒径分布
は直径か投影面積として可成り正確にこれを表すことが
できる。
【0020】ハロゲン化銀粒子の粒径の分布は、好まし
くは変動係数が0.05〜0.22、更に好ましくは
0.05〜0.15の単分散ハロゲン化銀粒子であり、
特に好ましくは0.05〜0.15の単分散乳剤を2種
以上同一層に添加することである。ここで変動係数は、
粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義さ
れる。
【0021】変動係数=S/R(Sは粒径分布の標準偏
差、Rは平均粒径を表す。) ここでいう粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合
は、その直径、又、立方体や球状以外の形状の粒子の場
合は、その投影像を同面積の円像に換算した時の直径を
表す。
【0022】ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法として
は、当業界において公知の種々の方法を用いることがで
きる。
【0023】ハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中性法、ア
ンモニア法の何れで得られたものであってもよい。該粒
子は一時に成長させたものであってもよいし、種粒子を
造った後で成長させてもよい。種粒子を造る方法と成長
させる方法は、同じであっても異なってもよい。
【0024】又、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物を反
応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合
法、それらの組合せなど何れでもよいが、同時混合法で
得られたものが好ましい。更に同時混合法の一形式とし
て、特開昭54−48521号等に記載されているpA
gコントロールド・ダブルジェット法を用いることもで
きる。
【0025】又、特開昭57−92523号、同57−
92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装
置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物水溶液を供給
する装置、独国公開特許2,921,164号等に記載
された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物水溶液を連続
的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−5017
76号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外
濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離
を一定に保ちながら粒子形成を行う装置などを用いても
よい。
【0026】更に必要で有ればチオエーテル等のハロゲ
ン化銀溶剤を用いてもよい。又、ハロゲン化銀粒子の粒
子形成終了の後に沈殿法又は限外濾過法等の公知の方法
によりハロゲン化銀乳剤は水洗されるが、界面活性剤と
硫酸マグネシウムの混合溶液による沈殿法の水洗方法が
好ましい。
【0027】本発明のハロゲン化銀粒子は、塩化銀を9
0モル%以上含有するハロゲン化銀乳剤に60℃以上で
金・硫黄増感を施した後、50℃以下に冷却してから増
感色素を加え、その後に臭化物を添加することにより製
造される。臭化物の添加量はハロゲン化銀1モルに対
し、0.1〜3.0モルが好ましく、より好ましくは
0.4〜2.0モルである。臭化物を添加するときにイ
リジウム化合物が存在することが好ましい。イリジウム
化合物の添加量はハロゲン化銀1モルに対し、10-9
10-5モルが好ましく、より好ましくは10-8〜10-6
モルである。又、臭化物は臭化銀微粒子が好ましく、該
臭化物が粒径0.1μm以下の臭化銀微粒子であること
が更に好ましく、臭化物がイリジウムを含有した臭化銀
微粒子も好ましく用いられる。
【0028】本発明において、塩化銀を90モル%以上
含有するハロゲン化銀粒子を形成後、化学増感を施す前
に、下記一般式(1)で示される化合物を添加すること
も好ましい。
【0029】一般式(1) (ML6n 式中、Mは満たされたフロンティア軌道多価金属イオン
を表し、好ましくは、Fe2+、Ru2+、Os2+、C
3+、Rh3+、Ir3+、Pd4+、Pt4+が挙げられる。
Lは独立して選択することが出来る配位錯体リガンドを
表す。但し、リガンドの少なくとも1個はいずれのハロ
ゲン化物リガンドよりも電気陰性が高く、好ましくは少
なくとも3個、最適には少なくとも4個である。nは−
1、−2、−3もしくは−4を表す。
【0030】ハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増
感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて
用いる。
【0031】ハロゲン化銀乳剤に適用するカルコゲン増
感剤としては、硫黄増感剤、セレン増感剤、テルル増感
剤などを用いることができるが、硫黄増感剤が好まし
い。
【0032】硫黄増感剤としては、チオ硫酸塩、アリル
チオカルバミド、チオ尿素、アリルイソチアシアナー
ト、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダ
ニン、無機硫黄等が挙げられる。
【0033】硫黄増感剤の添加量は、適用されるハロゲ
ン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより変
えることが好ましいが、ハロゲン化銀1モル当たり5×
10-10〜5×10-5モル、好ましくは5×10-8〜3
×10-5モルの範囲が望ましい。
【0034】金増感剤としては、塩化金酸、硫化金等の
他各種の金錯体として添加することができる。用いられ
る配位子化合物としては、ジメチルローダニン、チオシ
アン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾ
ール等が挙げられる。金化合物の使用量は、ハロゲン化
銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などに
よって一様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当た
り1×10-4〜1×10-8モルであることが好ましく、
更に好ましくは1×10-5〜1×10-8モルである。
【0035】ハロゲン化銀乳剤の化学増感法としては、
還元増感法を用いてもよい。
【0036】ハロゲン化銀乳剤には、感光材料の調製工
程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を
小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で
公知のカブリ防止剤、安定剤を用いることができる。こ
うした目的に用いられる好ましい化合物の例として、特
開平2−146036号7頁下欄に記載された一般式
[II]で表される化合物を挙げることができ、更に好ま
しい具体的な化合物としては、同公報の8頁に記載のII
a−1〜IIa−8、IIb−1〜IIb−7の化合物や、1
−(3−メトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾ
ール、1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプト
テトラゾール等の化合物を挙げることができる。
【0037】これらの化合物は、その目的に応じて、ハ
ロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増
感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加され
る。これらの化合物の存在下に化学増感を行う場合に
は、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-5〜5×10-4
モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に
添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当たり1×10
-6〜1×10-2モル程度の量が好ましく、1×10-5
5×10-3モルがより好ましい。塗布液調製工程におい
てハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化
銀1モル当たり1×10-6〜1×10-1モル程度の量が
好ましく、1×10-5〜×10-2モルがより好ましい。
又、ハロゲン化銀乳剤層以外の層に添加する場合には、
塗布被膜中の量が1m2当たり1×10-9〜1×10-3
モル程度の量が好ましい。
【0038】感光材料には、イラジエーション防止やハ
レーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染
料を用いることができる。この目的で、公知の化合物を
何れも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有
する染料としては、特開平3−251840号30頁に
記載のAI−1〜11の染料及び特開平6−3770号
記載の染料が好ましく用いられ、赤外線吸収染料として
は、特開平1−280750号2頁左下欄に記載の一般
式(I)、(II)、(III)で表される化合物が好まし
い分光特性を有し、写真乳剤の写真特性への影響もな
く、又、残色による汚染もなく好ましい。好ましい化合
物の具体例として、同公報3頁左下欄〜5頁左下欄に挙
げられた例示化合物(1)〜(45)を挙げることがで
きる。これらの染料を添加する量として、鮮鋭性を改良
する目的には、感光材料の未処理試料の680nmにお
ける分光反射濃度が0.7〜3.0にする量が好まし
く、更には0.8〜3.0にすることがより好ましい。
【0039】感光材料中に蛍光増白剤を添加することが
白地性を改良でき好ましい。好ましく用いられる化合物
としては、特開平2−232652号記載の一般式〔I
I〕で示される化合物が挙げられる。
【0040】本発明の感光材料をカラー感光材料として
用いる場合には、イエローカプラー、マゼンタカプラ
ー、シアンカプラーに組み合わせて400〜900nm
の波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤
を含む層を有する。該ハロゲン化銀乳剤は1種又は2種
以上の増感色素を組み合わせて含有する。
【0041】本発明に用いる分光増感色素としては、公
知の化合物を何れも用いることができるが、青感光性増
感色素としては、特開平3−251840号28頁に記
載のBS−1〜BS−8を単独で又は組み合わせて好ま
しく用いることができる。緑感光性増感色素としては、
同公報28頁に記載のGS−1〜GS−5が好ましく、
更に赤感光性増感色素としては、同公報29頁に記載の
RS−1〜RS−8が好ましく用いられる。又、半導体
レーザーを用いるなどして赤外光により画像露光を行う
場合には、赤外感光性増感色素を用いる必要があるが、
赤外感光性増感色素としては、特開平4−285950
号,6〜8頁に記載のIRS−1〜IRS−11の色素
が好ましく用いられる。又、これらの赤外、赤、緑、青
感光性増感色素に特開平4−285950号,8〜9頁
に記載の強色増感剤SS−1〜SS−9や特開平5−6
6515号,15〜17頁に記載の化合物S−1〜S−
17を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0042】増感色素の添加方法としては、メタノー
ル、エタノール、弗素化アルコール、アセトン、ジメチ
ルホルムアミド等の水混和性有機溶媒や水に溶解して溶
液として添加してもよいし、固体分散物として添加して
もよい。
【0043】本発明の感光材料に用いられるカプラーと
しては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して
340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカ
ップリング生成物を形成し得る如何なる化合物をも用い
ることができるが、特に代表的なカプラーとしては、波
長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイ
エロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに
分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、
波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有する
シアン色素形成カプラーとして知られているものが挙げ
られる。
【0044】好ましく用いることのできるシアンカプラ
ーとしては、特開平4−114154号5頁左下欄に記
載の一般式〔C−I〕、〔C−II〕で表されるカプラー
を挙げることができ、具体的な化合物として、同公報5
頁右下欄〜6頁左下欄にCC−1〜CC−9として記載
されているものを挙げることができる。
【0045】好ましく用いることのできるマゼンタカプ
ラーとしては、特開平4−114154号4頁右上欄に
記載の一般式〔M−I〕、〔M−II〕で表されるカプラ
ーを挙げることができ、具体的な化合物として、同公報
4頁左下欄〜5頁右上欄にMC−1〜MC−11として
記載されているものを挙げることができる。上記マゼン
タカプラーの内、より好ましいものは一般式〔M−I〕
で表されるカプラーであり、その内、該一般式〔M−
I〕のRMが3級アルキル基であるカプラーが耐光性に
優れ特に好ましい。同公報5頁上欄に記載されているM
C−8〜MC−11は、青〜紫、赤に到る色の再現に優
れ、更にディテールの描写力にも優れており好ましい。
【0046】好ましく用いることのできるイエローカプ
ラーとしては、特開平4−114154号3頁右上欄に
記載の一般式〔Y−I〕で表されるカプラーを挙げるこ
とができ、具体的化合物は同公報3頁左下欄以降にYC
−1〜YC−9として記載されているものを挙げること
ができる。中でも、一般式〔Y−I〕のRY1がアルコキ
シ基であるカプラー、又は特開平6−67388号記載
の一般式〔I〕で示されるカプラーは、好ましい色調の
黄色を再現でき好ましい。この内、特に好ましい化合物
例として特開平4−114154号4頁左上欄に記載さ
れるYC−8、YC−9及び特開平6−67388号1
3〜14頁に記載のNo(1)〜(47)で示される化
合物を挙げることができる。更に最も好ましい化合物
は、特開平4−81847号1頁及び11〜17頁に記
載の一般式[Y−1]で示される化合物である。
【0047】感光材料に用いられるカプラーやその他の
有機化合物を添加するのに水中油滴型乳化分散法を用い
る場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点
有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/又は水溶性有機
溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バ
インダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手
段としては、攪拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、
フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いること
ができる。分散後又は分散と同時に、低沸点有機溶媒を
除去する工程を入れてもよい。
【0048】カプラーを溶解して分散するために用いる
ことの出来る高沸点有機溶媒としては、ジオクチルフタ
レート、ジ−i−デシルフタレート、ジブチルフタレー
ト等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェー
ト、トリオクチルホスフェート等の燐酸エステル類が好
ましく用いられる。又、高沸点有機溶媒の誘電率として
は3.5〜7.0であることが好ましい。又、2種以上
の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0049】又、高沸点有機溶媒を用いる方法に代え
て、又は高沸点有機溶媒と併用して、水不溶性かつ有機
溶媒可溶性のポリマー化合物を、必要に応じて低沸点及
び/又は水溶性有機溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液など
の親水性バインダー中に界面活性剤を用いて種々の分散
手段により乳化分散する方法を採ることもできる。この
時用いられる水不溶性で有機溶媒可溶性のポリマーとし
ては、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)等を挙げ
ることができる。
【0050】写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調
整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物と
しては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホ
ン酸基又はその塩を含有するものが挙げられる。具体的
には、特開昭64−26854号記載のA−1〜A−1
1が挙げられる。又、アルキル基に弗素原子を置換した
界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は、
通常、ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加される
が、分散後塗布液に添加される迄の時間、及び塗布液に
添加後塗布迄の時間は短いほうが良く、各々10時間以
内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好まし
い。
【0051】上記各カプラーには、形成された色素画像
の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤
を併用することが好ましい。特に好ましい化合物として
は、特開平2−66541号3頁記載の一般式〔I〕及
び〔II〕で示されるフェニルエーテル系化合物、特開平
3−174150号記載の一般式〔IIIB〕で示される
フェノール系化合物、特開昭64−90445号記載の
一般式〔A〕で示されるアミン系化合物、特開昭62−
182741号記載の一般式〔XII〕、〔XIII〕、〔XI
V〕、〔XV〕で示される金属錯体が特にマゼンタ色素用
として好ましい。又、特開平1−196049号記載の
一般式〔I〕で示される化合物及び特開平5−1141
7号記載の一般式[II]で示される化合物が特にイエロ
ー、シアン色素用として好ましい。
【0052】発色色素の吸収波長をシフトさせる目的
で、特開平4−114154号9頁左下欄に記載の化合
物d−11、同10頁左上欄に記載の化合物A′−1等
の化合物を用いることができる。又、これ以外にも、米
国特許4,774,187号に記載の蛍光色素放出化合
物を用いることもできる。
【0053】感光材料には、現像主薬酸化体と反応する
化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防
止したり、又、ハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等
を改良することが好ましい。このための化合物としては
ハイドロキノン誘導体が好ましく、更に好ましくは2,
5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキ
ルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は、特開
平4−133056号記載の一般式〔II〕で示される化
合物であり、同号13〜14頁に記載の化合物II−1〜
II−14及び17頁記載の化合物−1が挙げられる。
【0054】感光材料中には、紫外線吸収剤を添加して
スタチックカブリを防止したり、色素画像の耐光性を改
良することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としては
ベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物
として特開平1−250944号記載の一般式〔III−
3〕で示される化合物、特開昭64−66646号記載
の一般式[III]で示される化合物、特開昭63−18
7240号記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4
−1633号記載の一般式[I]で示される化合物、特
開平5−165144号記載の一般式(I)、(II)で
示される化合物が挙げられる。
【0055】本発明の感光材料にはバインダーとしてゼ
ラチンを用いることが有利であるが、必要に応じてゼラ
チン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマ
ー、ゼラチン以外の蛋白質、糖誘導体、セルロース誘導
体、単一又は共重合体の如き合成親水性高分子物質等の
親水性コロイドも用いることができる。
【0056】これらバインダーの硬膜剤としては、ビニ
ルスルホン型硬膜剤、クロロトリアジン型硬膜剤、カル
ボキシル基活性型硬膜剤を単独又は併用して使用するこ
とが好ましい。特開昭61−249054号、同61−
245153号記載の化合物を使用することが好まし
い。又、写真性能や画像保存性に悪影響する黴や細菌の
繁殖を防ぐため、コロイド層中に特開平3−15764
6号記載のような防腐剤及び抗黴剤を添加することが好
ましい。又、感光材料又は処理後の試料の表面の物性を
改良するため、保護層に特開平6−118543号や特
開平2−73250号記載の滑り剤やマット剤を添加す
ることが好ましい。
【0057】感光材料に用いる支持体としては、どのよ
うな材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレン
テレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプ
からなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有
してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレー
ト支持体、バライタ紙などを用いることができる。中で
も、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好
ましい。
【0058】耐水性樹脂としては、ポリエチレンやポリ
エチレンテレフタレート又はそれらのコポリマーが好ま
しい。
【0059】支持体に用いられる白色顔料としては、無
機及び/又は有機の白色顔料を用いることができ、好ま
しくは無機の白色顔料が用いられる。例えば硫酸バリウ
ム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等の
アルカリ土類金属の炭酸塩、微粉珪酸、合成珪酸塩等の
シリカ類、珪酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和
物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げら
れる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタン
である。
【0060】支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有され
る白色顔料の量は、鮮鋭性を改良する上で13重量%以
上が好ましく、更には15重量%が好ましい。
【0061】紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分
散度は、特開平2−28640号に記載の方法で測定す
ることができる。この方法で測定した時に、白色顔料の
分散度が同公報に記載の変動係数として0.20以下で
あることが好ましく、0.15以下であることがより好
ましい。
【0062】又、支持体の中心面平均粗さ(SRa)の
値が0.15μm以下、更には0.12μm以下である
方が光沢性が良いという効果が得られより好ましい。
又、反射支持体の白色顔料含有耐水性樹脂中や塗布され
た親水性コロイド層中に、処理後の白地部の分光反射濃
度バランスを調整し白色性を改良するため、群青、油溶
性染料等の微量の青味付剤や赤味付剤を添加することが
好ましい。
【0063】感光材料は、必要に応じて支持体表面にコ
ロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接又
は下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定
性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及
び/又はその他の特性を向上するための1又は2以上の
下塗層)を介して塗布されていてもよい。
【0064】ハロゲン化銀乳剤を用いた感光材料の塗布
に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いても
よい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布するこ
との出来るエクストルージョンコーティング及びカーテ
ンコーティングが特に有用である。
【0065】本発明の感光材料を用いて写真画像を形成
するには、ネガ上に記録された画像を、プリントしよう
とする感光材料上に光学的に結像させて焼き付けてもよ
いが、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザ
ー、半導体レーザーあるいは半導体レーザーを励起光源
に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせた
第2高調波発生光源(SHG)等の単色高密度光を用い
たデジタル走査露光が好ましい。特にシステムをコンパ
クトで安価なものにするために半導体レーザー、半導体
レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組み
合わせた第2高調波発生光源(SHG)を使用すること
が好ましい。このような走査露光における露光時間は、
画素密度を400dpiとした場合の画素サイズを露光
する時間として定義すると、好ましい露光時間としては
10-4秒以下、更に好ましくは10-6秒以下である。具
体的方法としては特公昭62−21305号記載の発光
ダイオードを光源とした方法や特開昭63−18346
号記載の半導体レーザーとSHG素子を用いて得られる
第2高調波を光源とした方法がある。
【0066】本発明は、現像主薬を感光材料中に内蔵し
ていない感光材料に適用することが好ましく、特に直接
鑑賞用の画像を形成する感光材料に適用することが好ま
しい。例えばカラーペーパー、カラー反転ペーパー、ポ
ジ画像を形成する感光材料、ディスプレイ用感光材料、
カラープルーフ用感光材料を挙げることができる。特
に、反射支持体を有する感光材料に適用することが好ま
しい。
【0067】本発明において用いられる芳香族1級アミ
ン現像主薬としては、公知の化合物を用いることができ
る。これらの化合物の例として下記の化合物を挙げるこ
とができる。
【0068】CD−1:N,N−ジエチル−p−フェニ
レンジアミン CD−2:2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン CD−3:2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリ
ル)アミノトルエン CD−4:4−(N−エチル−N−β−ヒドロキシエチ
ル)アミノアニリン CD−5:2−メチル−4−(N−エチル−N−β−ヒ
ドロキシエチル)アミノ)アニリン CD−6:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−
(β−メタンスルホンアミド)エチルアニリン CD−7:4−アミノ−3−β−メタンスルホンアミド
エチル−N,N−ジエチルアニリン CD−8:N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン CD−9:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−
メトキシエチルアニリン CD−10:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N
−(β−エトキシエチル)アニリン CD−11:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N
−(γ−ヒドロキシプロピル)エチルアニリン 本発明においては、上記は色現像液を任意のpH域で使
用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0
であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜1
2.0の範囲で用いられる。
【0069】本発明における発色現像の処理温度は、3
5〜70℃が好ましい。温度が高いほど短時間の処理が
可能であり好ましいが、処理液の安定性からは余り高く
ない方が好ましく、37〜60℃で処理することが好ま
しい。
【0070】発色現像時間は、従来、一般には3分30
秒程度で行われているが、本発明では45秒以内、更に
25秒以内の範囲で行うこともできる。
【0071】発色現像液には、前記の発色現像主薬に加
えて、既知の現像液成分化合物を添加することができ
る。通常、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩素イオ
ン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、キ
レート剤などが用いられる。
【0072】感光材料は、発色現像後、漂白処理及び定
着処理を施される。漂白処理は定着処理と同時に行って
もよい。定着処理の後は、通常は水洗処理が行なわれ
る。又、水洗処理の代替として、安定化処理を行っても
よい。
【0073】本発明の感光材料の処理に用いる現像処理
装置としては、処理槽に配置されたローラーに感光材料
を挟んで搬送するローラートランスポートタイプであっ
ても、ベルトに感光材料を固定して搬送するエンドレス
ベルト方式であってもよいが、処理槽をスリット状に形
成して、この処理槽に処理液を供給すると共に感光材料
を搬送する方式や処理液を噴霧状にするスプレー方式、
処理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、
粘性処理液による方式なども用いることができる。大量
に処理する場合には、自動現像機を用いてランニング処
理されるのが通常だが、この際、補充液の補充量は少な
い程好ましく、環境適性等より最も好ましい処理形態
は、補充方法として錠剤の形態で処理剤を添加すること
であり、公開技報94−16935号に記載の方法が最
も好ましい。
【0074】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明の実施態様はこれらに限定されない。
【0075】実施例1 坪量180g/m2の紙パルプの両面に高密度ポリエチ
レンをラミネートし、紙支持体を作製した。但し、乳剤
層を塗布する側には、表面処理を施したアナターゼ型酸
化チタンを15重量%の含有量で分散して含む溶融ポリ
エチレンをラミネートし、反射支持体を作製した。この
反射支持体をコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層を
設け、更に以下に示す構成の各層を塗設し、ハロゲン化
銀写真感光材料を作製した。塗布液は下記の如く調製し
た。
【0076】第1層塗布液 イエローカプラー(Y−1)23.4g、色素画像安定
化剤(ST−1)3.34g,(ST−2)3.34
g,(ST−5)3.34g、ステイン防止剤(HQ−
1)0.34g、画像安定剤A5.0g、高沸点有機溶
媒(DBP)3.33g及び高沸点有機溶媒(DNP)
1.67gに酢酸エチル60mlを加え溶解し、この溶
液を20%界面活性剤(SU−1)7mlを含有する1
0%ゼラチン水溶液220mlに超音波ホモジナイザー
を用いて乳化分散させてイエローカプラー分散液を作製
した。この分散液を下記条件にて作製した青感性ハロゲ
ン化銀乳剤と混合し第1層塗布液を調製した。
【0077】第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液
と同様に表1及び表2の塗布量になるように各塗布液を
調製した。
【0078】又、硬膜剤として(H−1),(H−2)
を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−
2),(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。
又、各層にF−1を全量が0.04g/m2となるよう
に添加した。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】SU−1:トリ−i−プロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウム SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナ
トリウム塩 SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,
5,5−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム塩 DBP:ジブチルフタレート DNP:ジノニルフタレート DOP:ジオクチルフタレート DIDP:ジ−i−デシルフタレート PVP:ポリビニルピロリドン H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリ
アジン・ナトリウム HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン HQ−2:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノ
ン HQ−3:2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロ
キノン HQ−4:2−sec−ドデシル−5−sec−テトラ
デシルハイドロキノン HQ−5:2,5−ジ[(1,1−ジメチル−4−ヘキ
シルオキシカルボニル)ブチル]ハイドロキノン 画像安定剤A:p−t−オクチルフェノール
【0082】
【化1】
【0083】
【化2】
【0084】
【化3】
【0085】
【化4】
【0086】(青感性ハロゲン化銀乳剤の調製)40℃
に保温した2%ゼラチン水溶液1リットル中に下記(A
液)及び(B液)をpAg=7.3、pH=3.0に制
御しつつ30分かけて同時添加し、更に下記(C液)及
び(D液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつ
つ180分かけて同時添加した。この時、pAgの制御
は特開昭59−45437号記載の方法により行い、p
Hの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行
った。
【0087】 (A液) 塩化ナトリウム 3.42g 臭化カリウム 0.03g 水を加えて 200ml (B液) 硝酸銀 10g 水を加えて 200ml (C液) 塩化ナトリウム 102.7g K2IrCl6 4×10-8モル/モルAg K4Fe(CN)6 2×10-5モル/モルAg 臭化カリウム 1.0g 水を加えて 600ml (D液) 硝酸銀 300g 水を加えて 600ml 添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液
と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行っ
た後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.71μ
m、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.
5モル%の単分散立方体乳剤EMP−1を得た。
【0088】次に、(A液)と(B液)の添加時間及び
(C液)と(D液)の添加時間を変更した以外はEMP
−1と同様にして平均粒径0.64μm、変動係数0.
07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤
EMP−1Bを得た。
【0089】上記EMP−1に対し、下記化合物を用い
60℃にて最適に化学増感を行った。又、EMP−1B
に対しても同様に最適に化学増感した後、増感されたE
MP−1とEMP−1Bを銀量で1:1の割合で混合
し、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B)を得た。
【0090】 チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX 塩化金酸 0.5mg/モルAgX 安定剤 STAB−1 3×10-4モル/モルAgX 安定剤 STAB−2 3×10-4モル/モルAgX 安定剤 STAB−3 3×10-4モル/モルAgX 増感色素 BS−1 4×10-4モル/モルAgX 増感色素 BS−2 1×10-4モル/モルAgX (緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製)(A液)と(B液)
の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更す
る以外はEMP−1と同様にして平均粒径0.40μ
m、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分
散立方体乳剤EMP−2を得た。
【0091】次に、平均粒径0.50μm、変動係数
0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤
EMP−2Bを得た。
【0092】上記EMP−2に対し、下記化合物を用い
55℃にて最適に化学増感を行った。又、EMP−2B
に対しても同様に最適に化学増感した後、増感されたE
MP−2とEMP−2Bを銀量で1:1の割合で混合
し、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G)を得た。
【0093】 チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX 塩化金酸 1.0mg/モルAgX 安定剤 STAB−1 3×10-4モル/モルAgX 安定剤 STAB−2 3×10-4モル/モルAgX 安定剤 STAB−3 3×10-4モル/モルAgX 増感色素 GS−1 4×10-4モル/モルAgX (赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製)(A液)と(B液)
の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更す
る以外はEMP−1と同様にして平均粒径0.40μ
m、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分
散立方体乳剤EMP−3を得た。
【0094】上記EMP−3を60℃に保ち安定剤(S
TAB−1)、チオ硫酸ナトリウム、塩化金酸の順に添
加し最適に化学増感した後、増感色素RS−1、RS−
2とSS−1を添加し色増感を行い、最後に安定剤(S
TAB−2、STAB−3)を添加し赤感性ハロゲン化
銀乳剤(Em−R1)を得た。各添加剤の添加量は下記
の通り。
【0095】 チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX 塩化金酸 2.0mg/モルAgX 安定剤 STAB−1 3×10-4モル/モルAgX 安定剤 STAB−2 3×10-4モル/モルAgX 安定剤 STAB−3 3×10-4モル/モルAgX 増感色素 RS−1 1×10-4モル/モルAgX 増感色素 RS−2 1×10-4モル/モルAgX STAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5
−メルカプトテトラゾール STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾ
ール STAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メ
ルカプトテトラゾール 尚、赤感性乳剤には、SS−1をハロゲン化銀1モル当
たり2.0×10-3添加した。
【0096】
【化5】
【0097】
【化6】
【0098】乳剤EMP−3を45℃に保った以外は全
てEm−R1と同じ乳剤をEm−R2とした。
【0099】Em−R1と同様に化学増感を行った後4
5℃に冷却し増感色素RS−1、RS−2、SS−1を
添加5分後にKBrを1モル%/モルAgX添加し、そ
の後安定剤(STAB−2、STAB−3)を添加した
乳剤をEm−R3とした。
【0100】Em−R3とKBrを添加するときに同時
にK2IrCl6を1.0×10-6モル/モルAgX添加
したことのみ異なる乳剤をEm−R4とした。
【0101】Em−R4とKBrを添加しなかったこと
のみ異なる乳剤をEm−R5とした。
【0102】Em−R4でKBrの代わりに粒径が0.
05μmのAgBr微粒子を用いたことのみ異なる乳剤
をEm−R6とした。
【0103】Em−R6でAgBr微粒子とK2IrC
6溶液を添加する代わりに同量のK2IrCl6をあら
かじめドープした粒径が0.05μmのAgBr微粒子
を添加したことのみ異なる乳剤をEm−R7とした。
【0104】Em−R7でK2IrCl6ドープ量が5.
5×10-7モル/モルAgXで添加臭化物量が0.4モ
ル%/モルAgXになるようにしたことのみ異なる乳剤
をEm−R8とした。
【0105】Em−R7でK2IrCl6ドープ量が1.
0×10-8モル/モルAgXで添加臭化物量が1.8モ
ル%/モルAgXになるようにしたことのみ異なる乳剤
をEm−R9とした。
【0106】Em−R7でAgBr微粒子と増感色素の
添加順序を入れ替えたことのみ異なる乳剤をEm−R1
0とした。
【0107】EMP−3とは(C液)中のK2IrCl6
とK4Fe(CN)6を除いたことのみ異なる単分散立方
体乳剤EMP−4を作製した。これをEm−R7と同様
に化学増感、色増感した乳剤をEm−R11とした。
【0108】Em−R9とは化学増感前にK4Fe(C
N)6を2.0×10-5モル/モルAgX添加すること
のみ異なる乳剤をEm−R12とした。
【0109】上記Em−R1〜Em−R12を表1の第
5層(赤感層)の赤感性塩臭化銀乳剤と置き換えたこと
のみ異なる試料101〜112を作製した。
【0110】写真性能 上記のようにして作製した試料を感光計KS−7型(コ
ニカ社製)を使用して常法により0.1秒で光楔露光し
た後、下記現像処理工程により現像処理を行った。
【0111】得られた試料をPDA−65型濃度計(コ
ニカ社製)を用いて濃度測定をし、カブリよりも0.8
高い濃度を得るのに必要な露光量の逆数で感度を表し、
試料101の感度を100とし相対感度で表した。
【0112】高照度露光特性 同様に上記試料を下記のようにして評価した。光源とし
て半導体レーザーGaAlAs(発振波長808.5n
m)を励起光源としたYAG固体レーザー(発振波長9
46nm)をKNbO3のSHG結晶により波長変換し
て取り出した473nmと、半導体レーザーGaAlA
s(発振波長808.7nm)を励起光源としたYVO
4固体レーザー(発振波長1064nm)をKTPのS
HG結晶により波長変換して取り出した532nmと、
AlGaInP(発振波長約670nm)とを用いた。
3色それぞれのレーザー光をポリゴンミラーにより走査
方向に対して垂直方向に移動し試料上に順次走査露光し
た。レーザー光の実効ビーム径は80μm、走査ピッチ
は400dpiで露光量は外部変調器により制御し光楔
露光した。この時1画素当たりの平均露光時間は5×1
-8秒であった。露光後「写真性能」と同様の現像処
理、濃度測定を行い相対感度を表した。また更にこの時
の濃度1.5と濃度2.25の間の階調*1を求め、肩
部階調として表した。
【0113】*1:濃度差0.75を各濃度を与えるた
めの露光量LogEの差で割った値 潜像安定性 上記高照度露光で露光後10秒で現像したときの感度を
100とし、露光後24時間放置した後に現像した時の
感度との相対値で潜像安定性を表した。
【0114】 処理工程 処 理 温 度 時 間 補充量 発色現像 38.0±0.3℃ 45秒 80ml 漂白定着 35.0±0.5℃ 45秒 120ml 安定化 30〜34℃ 60秒 150ml 乾 燥 60〜80℃ 30秒 現像処理液の組成を下記に示す。
【0115】発色現像液タンク液及び補充液 タンク液 補充液 純水 800ml 800ml トリエチレンジアミン 2g 3g ジエチレングリコール 10g 10g 臭化カリウム 0.01g − 塩化カリウム 3.5g − 亜硫酸カリウム 0.25g 0.5g N−エチル−N−(βメタンスルホンアミドエチル) −3−メチル−4−アミノアニリン硫酸 6.0g 10.0g N,N−ジエチルヒドロキシルアミン 6.8g 6.0g トリエタノールアミン 10.0g 10.0g ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩 2.0g 2.0g 蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベン ジスルホン酸誘導体) 2.0g 2.5g 炭酸カリウム 30g 30g 水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpH=10.10に、補充液は pH=10.60に調整する。
【0116】漂白定着液タンク液及び補充液 ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g ジエチレントリアミン五酢酸 3g チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100ml 2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g 亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml 水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpH=5.0に 調整する。
【0117】安定化液タンク液及び補充液 o−フェニルフェノール 1.0g 5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g 2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g ジエチレングリコール 1.0g 蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g 塩化ビスマス(45%水溶液) 0.65g 硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g PVP 1.0g アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩 1.5g 水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調 整する。
【0118】
【表3】
【0119】表3から、本発明のハロゲン化銀乳剤を用
いた試料は、感度が高く、高照度露光において、肩部階
調に優れ、かつ潜像安定性のよいハロゲン化銀写真感光
材料であることがわかる。
【0120】実施例2 実施例1において、自動現像機としてコニカ社製NPS
−868J、処理ケミカルとしてECOJET−Pを使
用し、プロセスCPK−2−J1に従ってランニング処
理した。実施例1と同様に評価し本発明の効果が得られ
る事を確認した。
【0121】
【発明の効果】本発明により感度が高く、高照度露光に
おいて、肩部階調に優れ、かつ潜像安定性のよいハロゲ
ン化銀乳剤の製造方法と、該ハロゲン化銀乳剤を用いた
ハロゲン化銀写真感光材料と画像形成方法を得た。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化銀を90モル%以上含有するハロゲ
    ン化銀粒子に60℃以上で金・硫黄増感を施した後、5
    0℃以下に冷却してから増感色素を加え、その後に臭化
    物を添加することを特徴とするハロゲン化銀乳剤の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 臭化物を添加するときにイリジウム化合
    物が存在することを特徴とする請求項1記載のハロゲン
    化銀乳剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 臭化物が臭化銀微粒子であることを特徴
    とする請求項1又は2記載のハロゲン化銀乳剤の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 臭化物が粒径0.1μm以下の臭化銀微
    粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
    項記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。
  5. 【請求項5】 臭化物がイリジウムを含有した臭化銀微
    粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1
    項記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。
  6. 【請求項6】 塩化銀を90モル%以上含有するハロゲ
    ン化銀粒子を形成後、化学増感を施す前に、下記一般式
    (1)で示される化合物を添加することを特徴とする請
    求項1〜5のいずれか1項記載のハロゲン化銀乳剤の製
    造方法。 一般式(1) (ML6n 〔式中、Mは満たされたフロンティア軌道多価金属イオ
    ンを表し、Lは独立して選択することが出来る配位錯体
    リガンドを表す。但し、リガンドの少なくとも1個はい
    ずれのハロゲン化物リガンドよりも電気陰性が高く、n
    は−1、−2、−3もしくは−4を表す。〕
  7. 【請求項7】 ハロゲン化銀写真感光層の少なくとも1
    層に、請求項1〜6のいずれか1項記載のハロゲン化銀
    乳剤の製造方法で製造したハロゲン化銀乳剤を含有する
    ことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
  8. 【請求項8】 ハロゲン化銀写真感光材料の画像形成方
    法において、請求項7記載のハロゲン化銀写真感光材料
    を10μsecより短い露光時間で露光することを特徴
    とする画像形成方法。
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