JP3443718B2 - ハロゲン化銀乳剤及びハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤及びハロゲン化銀写真感光材料

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JP3443718B2 JP28335595A JP28335595A JP3443718B2 JP 3443718 B2 JP3443718 B2 JP 3443718B2 JP 28335595 A JP28335595 A JP 28335595A JP 28335595 A JP28335595 A JP 28335595A JP 3443718 B2 JP3443718 B2 JP 3443718B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、使用時の湿度、温
度による影響を受けず、常に安定した性能を発揮するハ
ロゲン化銀写真感光材料(以下、単に「感光材料」とも
言う)に関する。
【0002】
【従来の技術】今日のカラー印画紙は、迅速現像処理技
術の進歩、及び特別な水処理設備を必要としない小スペ
ースに設置可能な露光現像処理機の発達により、写真店
を問わずスーパー、百貨店等の様々な他業種の店舗で露
光・現像処理が行われるようになっている。
【0003】このように様々な場所で露光現像処理が行
われるということは、それだけ露光、現像処理の環境が
様々に変わることを意味している。この環境の変化がカ
ラーペーパーの品質のばらつきを大きくして問題であ
る。特に、露光時の温度及び湿度の変化に伴うカラープ
リント画質の変動は、カラー印画紙の性能安定化の大き
な課題である。
【0004】我々の研究では、ハロゲン化銀粒子表面近
傍と、それより更に内部のドーパントの関係を適切にす
ることにより、露光時の環境に対してより安定なハロゲ
ン化銀乳剤(以下、単に「乳剤」とも言う)を得られる
ことが解った。
【0005】米国特許5,132,203号では、臭化
銀平板状ハロゲン化銀粒子において、シアノ配位子化合
物を粒子表面下0.002〜0.035μmに含まない
という内容が記載され、高感度な乳剤が得られることが
報告されている。ハロゲン化銀組成及び形状が異なるこ
とが大きな違いであることもあり、シアノ配位子化合物
とイリジウム化合物の関係を調整することによって、露
光時の温度、湿度変動による性能の変動を抑えることが
できるという効果については、何等記載がなく、示唆も
されていない。又、これら両化合物のドープ位置の関係
が露光時の温度、湿度に影響を与えているという知見は
示されていない。
【0006】特開平2−15040号には、イリジウム
錯体をハロゲン化銀粒子表面下0.001μm〜全銀量
の20%迄ドープすることにより相反則不軌が改良され
るとの記載があり、特開平6−242539号には、シ
アノ配位子化合物とニトロシル配位子化合物をドープす
ることで相反則不軌の改良と低濃度部の階調を硬調化で
きるとの記載がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、露光
時の温度及び湿度の影響が少なく、安定した性能が得ら
れるハロゲン化銀乳剤及び感光材料を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成によって達成された。
【0009】(1)イリジウム化合物及びニトロシル配
位子を有する化合物から選ばれる少なくとも1種と少な
くとも3個のシアノ配位子を有する鉄、ルテニウム、オ
スミウム及びレニウム化合物から選ばれる少なくとも1
種が、ハロゲン化銀粒子表面〜表面下0.015μmの
深さには含有されず、粒子表面下0.015〜0.29
μmの深さの少なくとも一部分に含有される塩化銀含有
率90モル%以上のハロゲン化銀乳剤。
【0010】(2)イリジウム化合物及びニトロシル配
位子を有する化合物から選ばれる少なくとも1種と少な
くとも3個のシアノ配位子を有する鉄、ルテニウム、オ
スミウム及びレニウム化合物から選ばれる少なくとも1
種が含有されている領域が、該ハロゲン化銀粒子の全銀
量の30〜70%を占める(1)に記載のハロゲン化銀
乳剤。
【0011】(3)(1)又は(2)に記載のハロゲン
化銀乳剤を含有するハロゲン化銀写真感光材料。
【0012】以下、本発明をより詳細に説明する。
【0013】本発明に係るハロゲン化銀乳剤の組成は、
塩化銀を95モル%以上含有する実質的に沃化銀を含有
しない塩臭化銀が好ましい。迅速処理性、処理安定性の
観点からは、好ましくは97モル%以上、より好ましく
は98〜99.9モル%の塩化銀を含有するハロゲン化
銀乳剤である。
【0014】本発明に係る乳剤を得るには、臭化銀を高
濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤が特に好
ましく用いられる。この場合、高濃度に臭化銀を含有す
る部分は、ハロゲン化銀乳剤粒子にエピタキシー接合し
ていても、所謂コア・シェル乳剤であってもよいし、完
全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在
するだけであってもよい。又、ハロゲン化銀組成は連続
的に変化してもよいし、不連続に変化してもよい。臭化
銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒子の表面
の結晶粒子の頂点であることが特に好ましい。
【0015】本発明で言う、ハロゲン化銀粒子表面〜表
面下0.015μmの深さとは、ハロゲン化銀粒子の表
面から垂線を引いた時に、表面から垂線に沿って0.0
15μmの距離迄のことを示す。
【0016】本発明に係るイリジウム化合物及びニトロ
シル配位子を有する化合物(ニトロシル配位子化合物と
言う)から選ばれる少なくとも1種と少なくとも3個の
シアノ配位子を有する鉄、ルテニウム、オスミウム及び
レニウム化合物(シアノ配位子化合物と言う)から選ば
れる少なくとも1種は、ハロゲン化銀粒子表面下0.0
15〜0.29μm、かつ表面下0.015μmに近い
領域に存在することが好ましい。尚、上記化合物を不特
定に呼称する場合、「本発明化合物」とも言う。
【0017】本発明のイリジウム化合物及び/又はニト
ロシル配位子化合物、シアノ配位子化合物をハロゲン化
銀粒子の目的の領域に存在させるには、予め成長粒径と
添加銀量の相関を調べておき、本発明の化合物をハロゲ
ン化銀粒子の形成中に目的の領域で添加すればよい。添
加方法は、本発明化合物を水溶液又はハライド水溶液と
混合して添加することができる。
【0018】本発明で言う、本発明化合物が含有される
領域が該ハロゲン化銀粒子の全銀量の30〜70%を占
めるとは、該ハロゲン化銀粒子が含有している銀の30
〜70%の部分を占める領域に本発明の化合物が含有さ
れることを意味する。
【0019】本発明のイリジウム化合物及び/又はニト
ロシル配位子化合物、シアノ配位子化合物が含有される
領域は、該ハロゲン化銀粒子の全銀量の30〜70%を
占めることが好ましく、より好ましくは50〜70%で
ある。
【0020】本発明のイリジウム化合物は、イリジウム
にハロゲン配位子が6個配位子した錯体が好ましい。
【0021】本発明のニトロシル配位子化合物は、ニト
ロシル配位子を一つ以上含有していればよい。ニトロシ
ル配位子化合物とイリジウム配位子化合物は併用しても
よいが、単独で使用する場合はイリジウム化合物のほう
が好ましい。
【0022】本発明化合物を乳剤中に添加する時の量
は、ハロゲン化銀1モル当たりイリジウム化合物は1×
10-9〜1×10-6モル、シアノ配位子金属化合物は1
×10-6〜1×10-4モルが好ましい。
【0023】本発明のシアノ配位子化合物としては、シ
アノ配位子が6個配位した錯体が好ましい。
【0024】本発明に係るハロゲン化銀粒子の粒径は特
に制限はないが、迅速処理性及び、感度など、他の写真
性能などを考慮すると、好ましくは0.1〜1.2μ
m、更に好ましくは0.2〜1.0μmの範囲である。
【0025】ハロゲン化銀粒子の形状に制限はないが、
ハロゲン化銀乳剤の調製の容易さでは立方晶がより好ま
しい。
【0026】この粒径は、粒子の投影面積か直径近似値
を使ってこれを測定することができる。粒子が実質的に
均一形状である場合は、粒径分布は直径か投影面積とし
て可成り正確にこれを表すことができる。
【0027】本発明のハロゲン化銀粒子の粒径の分布
は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましく
は0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子であり、特に
好ましくは変動係数0.15以下の単分散乳剤を2種以
上同一層に添加することである。ここで変動係数は、粒
径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義され
る。
【0028】変動係数=S/R (ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表
す。) ここでいう粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合は
その直径、又、立方体や球状以外の形状の粒子の場合
は、その投影像を同面積の円像に換算した時の直径を表
す。
【0029】ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法として
は、当業界において公知の種々の方法を用いることがで
きる。
【0030】本発明の乳剤は、酸性法、中性法、アンモ
ニア法の何れで得られたものであってもよい。該粒子は
一時に成長させたものであってもよいし、種粒子を造っ
た後で成長させてもよい。種粒子を造る方法と成長させ
る方法は同じであっても、異なってもよい。
【0031】又、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物を反
応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合
法、それらの組合せなど、何れでもよいが、同時混合法
で得られたものが好ましい。更に同時混合法の一形式と
して、特開昭54−48521号等に記載されているp
Agコントロールド・ダブルジェット法を用いることも
できる。
【0032】又、特開昭57−92523号、同57−
92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装
置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物水溶液を供給
する装置、ドイツ公開特許2,921,164号等に記
載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物水溶液を連
続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501
776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限
外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距
離を一定に保ちながら粒子形成を行う装置などを用いて
もよい。
【0033】更に必要であればチオエーテル等のハロゲ
ン化銀溶剤を用いてもよい。又、メルカプト基を有する
化合物、含窒素複素環化合物又は増感色素のような化合
物をハロゲン化銀粒子の形成時又は粒子形成終了の後に
添加して用いてもよい。
【0034】本発明の乳剤は、金化合物を用いる増感
法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用
いることができる。
【0035】本発明の乳剤に適用するカルコゲン増感剤
としては、硫黄増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤な
どを用いることができるが、硫黄増感剤が好ましい。硫
黄増感剤としては、チオ硫酸塩、アリルチオカルバミ
ド、チオ尿素、アリルイソチアシアナート、シスチン、
p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機硫黄
等が挙げられる。
【0036】硫黄増感剤の添加量としては、適用される
ハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどに
より変えることが好ましいが、ハロゲン化銀1モル当た
り5×10-10〜5×10-5モルの範囲、好ましくは5
×10-8〜3×10-5モルの範囲が好ましい。
【0037】金増感剤としては、塩化金酸、硫化金等の
他、各種の金錯体として添加することができる。用いら
れる配位子化合物としては、ジメチルローダニン、チオ
シアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリア
ゾール等を挙げることができる。
【0038】金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の
種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一
様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり1×1
−4〜1×10−8モルであることが好ましい。更に
好ましくは1×10-5〜1×10-8モルである。
【0039】本発明の乳剤の化学増感法としては還元増
感法を用いてもよい。
【0040】ハロゲン化銀乳剤には、感光材料の調製工
程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を
小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的
で、公知のカブリ防止剤、安定剤を用いることができ
る。こうした目的に用いることのできる好ましい化合物
の例として、特開平2−146036号7頁下欄に記載
された一般式(II)で表される化合物を挙げることがで
き、更に好ましい具体的化合物として、同公報の8頁に
記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜
(IIb−7)の化合物や、1−(3−メトキシフェニ
ル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(4−エトキ
シフェニル)−5−メルカプトテトラゾール等の化合物
が挙げられる。
【0041】これらの化合物は、その目的に応じて、ハ
ロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増
感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加され
る。これらの化合物の存在下に化学増感を行う場合に
は、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-5〜5×10-4
モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に
添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当たり1×10
-6〜1×10-2モル程度の量が好ましく、1×10-5
5×10-3モルがより好ましい。塗布液調製工程におい
て乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当た
り1×10-6〜1×10-1モル程度の量が好ましく、1
×10-5〜1×10-2モルがより好ましい。又、乳剤層
以外の層に添加する場合には、塗布被膜中の量が1m2
当たり1×10-9〜1×10-3モル程度の量が好まし
い。
【0042】感光材料には、イラジエーション防止やハ
レーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染
料を用いることができる。この目的で、公知の化合物を
何れも用いることができるが、特に可視域に吸収を有す
る染料としては、特開平3−251840号308頁に
記載のAI−1〜11の染料及び特開平6−3770号
記載の染料が好ましく用いられ、赤外線吸収染料として
は、特開平1−280750号の2頁左下欄に記載の一
般式(I)、(II)、(III)で表される化合物が好ま
しい分光特性を有し、写真特性への影響もなく、又、残
色による汚染もなく好ましい。好ましい化合物の具体例
として、同公報3頁左下欄〜5頁左下欄に挙げられた例
示化合物(1)〜(45)を挙げることができる。
【0043】これら染料の添加量として、鮮鋭性を改良
する目的には、感光材料の未処理試料の680nmにお
ける分光反射濃度を0.7以上にする量が好ましく、更
には0.8以上にするのがより好ましい。
【0044】感光材料中に蛍光増白剤を添加することが
白地性を改良でき好ましい。好ましく用いられる化合物
としては、特開平2−232652号記載の一般式II
で示される化合物が挙げられる。
【0045】本発明の感光材料をカラー写真感光材料と
して用いる場合には、イエローカプラー、マゼンタカプ
ラー、シアンカプラーに組み合わせて400〜900n
mの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳
剤を含む層を有する。400〜500nmの波長域の特
定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有
する感光材料においては、本発明の効果が高く得られ好
ましい。
【0046】本発明に係る400〜650nmの波長域
の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤は、乳剤
に1種又は2種以上の増感色素を組み合わせて含有する
ことで得られる。
【0047】本発明の感光材料は、400〜650nm
の波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤
を含む層以外に、650〜900nmの波長域の特定領
域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する
ことができる。
【0048】本発明の乳剤に用いる分光増感色素として
は、公知の化合物を何れも用いることができるが、青感
光性増感色素としては、特開平3−251840号28
頁に記載のBS−1〜8を、単独で又は組み合わせて好
ましく用いることができる。緑感光性増感色素として
は、同公報28頁に記載のGS−1〜5が好ましく用い
られる。赤感光性増感色素としては、同公報29頁に記
載のRS−1〜8が好ましく用いられる。又、赤、緑及
び青感光性増感色素に、特開平4−285950号8〜
9頁に記載の強色増感剤SS−1〜SS−9や特開平5
−66515号15〜17頁に記載の化合物S−1〜S
−17を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0049】これらの増感色素の添加時期としては、ハ
ロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期
でよい。
【0050】増感色素の添加方法としては、メタノー
ル、エタノール、弗素化アルコール、アセトン、ジメチ
ルホルムアミド等の水混和性有機溶媒や水に溶解して溶
液として添加してもよいし、固体分散物として添加して
もよいが、固体分散物として添加することが好ましい。
【0051】本発明の感光材料に用いられるカプラーと
しては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して
340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカ
ップリング生成物を形成し得る如何なる化合物をも用い
ることが出来るが、特に代表的な物としては、波長域3
50〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー
色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸
収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域
600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン
色素形成カプラーとして知られているものである。
【0052】本発明に好ましく用いることのできるシア
ンカプラーとしては、特開平4−114154号5頁左
下欄に記載の一般式(C−I)、(C−II)で表される
カプラーを挙げることができ、具体的な化合物は、同公
報5頁右下欄〜6頁左下欄にCC−1〜9として記載さ
れるものが挙げられる。
【0053】好ましく用いることのできるマゼンタカプ
ラーとしては、特開平4−114154号4頁右上欄に
記載の一般式(M−I)、(M−II)で表されるカプラ
ーを挙げることができ、具体的な化合物は、同公報4頁
左下欄〜5頁右上欄にMC−1〜11として記載される
ものが挙げられる。上記マゼンタカプラーの内、より好
ましいのは、同公報4頁右上欄に記載の一般式(M−
I)で表されるカプラーであり、その内、上記一般式
(M−I)のRMが3級アルキル基であるカプラーが耐
光性に優れ特に好ましい。同公報5頁上欄に記載されて
いるMC−8〜11は青から紫、赤に到る色の再現に優
れ、更にディテールの描写力にも優れており好ましい。
【0054】好ましく用いることのできるイエローカプ
ラーとしては、特開平4−114154号3頁右上欄に
記載の一般式(Y−I)で表されるカプラーを挙げるこ
とができる。具体的な化合物は、同公報3頁左下欄以降
にYC−1〜YC−9として記載されているものを挙げ
ることができる。中でも、同公報の一般式[Y−1]の
Y1がアルコキシ基であるカプラー又は特開平6−67
388号記載の一般式[I]で示されるカプラーは、好
ましい色調の黄色を再現でき好ましい。この内、特に好
ましい化合物例としては、特開平4−114154号4
頁左下欄に記載されているYC−8、YC−9、及び特
開平6−67388号13〜14頁に記載のNo(1)
〜(47)で示される化合物が挙げられる。更に最も好
ましい化合物は、特開平4−81847号1頁及び同公
報11〜17頁に記載の一般式[Y−1]で示される化
合物である。
【0055】本発明に係るカプラーや、その他の有機化
合物を添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合
には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶
媒に、必要に応じて低沸点及び/又は水溶性有機溶媒を
併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダ
ー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段とし
ては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロー
ジェットミキサー、超音波分散機等を用いることができ
る。分散後、又は、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去
する工程を入れてもよい。カプラーを溶解して分散する
ために用いることの出来る高沸点有機溶媒としては、ジ
オクチルフタレート、ジ−i−デシルフタレート、ジブ
チルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジル
ホスフェート、トリオクチルフタレート等の燐酸エステ
ル類が好ましく用いられる。又、高沸点有機溶媒の誘電
率としては3.5〜7.0であることが好ましい。2種
以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0056】又、高沸点有機溶媒を用いる方法に代え
て、又は高沸点有機溶媒と併用して、水不溶性かつ有機
溶媒可溶性のポリマー化合物を、必要に応じて低沸点及
び/又は水溶性有機溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液など
の親水性バインダー中に界面活性剤を用いて種々の分散
手段により乳化分散する方法を採ることもできる。この
時用いられる水不溶性で有機溶媒可溶性のポリマーとし
ては、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)等を挙げ
ることができる。
【0057】写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調
整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物と
しては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホ
基(又はその塩)を含有するものが挙げられる。具体的
には、特開昭64−26854号に記載のA−1〜A−
11が挙げられる。又、アルキル基に弗素原子を置換し
た界面活性剤も好ましく用いられる。
【0058】これらの分散液は、通常、ハロゲン化銀乳
剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後、塗布液に
添加される迄の時間、及び塗布液に添加後、塗布迄の時
間は短い方がよく、それぞれ10時間以内が好ましく、
3時間以内、20分以内がより好ましい。
【0059】上記各カプラーには、形成された色素画像
の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤
を併用することが好ましい。特に好ましい化合物として
は、特開平2−66541号3頁に記載の一般式I及び
IIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−1
74150号記載の一般式IIIBで示されるフェノール
系化合物、特開昭64−90445号記載の一般式Aで
示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号
記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が
特にマゼンタ色素用として好ましい。又、特開平1−1
96049号に記載の一般式I′で示される化合物及び
特開平5−11417号記載の一般式IIで示される化合
物が、特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0060】発色色素の吸収波長をシフトさせる目的
で、特開平4−114154号9頁左下欄に記載の化合
物(d−11)、同公報10頁左下欄に記載の化合物
(A′−1)等の化合物を用いることができる。又、こ
れ以外にも、米国特許4,774,187号に記載の蛍
光色素放出化合物を用いることもできる。
【0061】感光材料には、現像主薬酸化体と反応する
化合物を感光層と感光層の間の中間層に添加して色濁り
を防止したり、又、乳剤層に添加してカブリ等を改良す
ることが好ましい。このための化合物としてはハイドロ
キノン誘導体が好ましく、更に好ましくは2,5−ジ−
t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイド
ロキノン化合物である。特に好ましい化合物は、特開平
4−133056号に記載の一般式IIで示される化合物
であり、同公報13〜14頁に記載の化合物II−1〜II
−14及び17頁に記載の化合物1が挙げられる。
【0062】感光材料中には、紫外線吸収剤を添加して
スタチックカブリを防止したり色素画像の耐光性を改良
することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベ
ンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物と
して、特開平1−250944号記載の一般式III−3
で示される化合物、特開昭64−66646号記載の一
般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240
号記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−163
3号記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−16
5144号記載の一般式(I)、(II)で示される化合
物がある。
【0063】本発明の感光材料には、バインダーとして
ゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じてゼ
ラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマ
ー、ゼラチン以外の蛋白質、糖誘導体、セルロース誘導
体、単一あるいは共重合体の如き合成親水性高分子物質
等の親水性コロイドも用いることができる。
【0064】これらバインダーの硬膜剤として、ビニル
スルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独又
は併用して使用することが好ましい。特開昭61−24
9054号、同61−245153号に記載の化合物を
使用することが好ましい。又、写真性能や画像保存性に
悪影響する黴や細菌の繁殖を防ぐため、コロイド層中に
特開平3−157646号記載のような防腐剤及び抗黴
剤を添加することが好ましい。更に、感光材料又は処理
後の試料の表面の物性を改良するため、保護層に特開平
6−118543号や同2−73250号に記載の滑り
剤やマット剤を添加することが好ましい。
【0065】感光材料の支持体としてはどのような材質
を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタ
レートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる
紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよ
いポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持
体、バライタ紙などを用いることができる。中でも、原
紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好まし
い。耐水性樹脂としては、ポリエチレンやポリエチレン
テレフタレート又はそれらのコポリマーが好ましい。
【0066】支持体に用いられる白色顔料としては、無
機及び/又は有機の白色顔料を用いることができ、好ま
しくは無機の白色顔料が用いられる。例えば、硫酸バリ
ウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等
のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉珪酸、合成珪酸塩等
のシリカ類、珪酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和
物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げら
れる。白色顔料として好ましくは、硫酸バリウム、酸化
チタンである。
【0067】支持体表面の耐水性樹脂層中に含有される
白色顔料の量は、鮮鋭性を改良する上で13重量%以上
が好ましく、更には15〜50重量%が好ましい。
【0068】紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分
散度は、特開平2−28640号に記載の方法で測定す
ることができる。この方法で測定した時に、白色顔料の
分散度が同公報に記載の変動係数として0.20以下で
あることが好ましく、0.15以下であることがより好
ましい。
【0069】又、支持体の中心面平均粗さ(SRa)の
値が0.15μm以下、更には0.12μm以下である
方が光沢性が良いという効果が得られより好ましい。
又、反射支持体の白色顔料含有耐水性樹脂中や塗布され
た親水性コロイド層中に処理後の白地部の分光反射濃度
バランスを調整し白色性を改良するため、群青、油溶性
染料等の微量の青味付剤や赤味付剤を添加することが好
ましい。
【0070】感光材料は、必要に応じて、支持体表面に
コロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接
又は下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安
定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性
及び/又はその他の特性を向上するための1又は2以上
の下塗層)を介して塗布されてもよい。
【0071】感光材料の塗布に際して、塗布性を向上さ
せるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては、2
種以上の層を同時に塗布することの出来るエクストルー
ジョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有
用である。
【0072】本発明の感光材料を用いて写真画像を形成
するには、ネガ上に記録された画像を、プリントしよう
とする感光材料上に光学的に結像させて焼き付けてもよ
いし、画像を一旦デジタル情報に変換した後、その画像
をCRT(陰極線管)上に結像させ、この像をプリント
しようとする感光材料上に結像させて焼き付けてもよい
し、デジタル情報に基づいてレーザー光の強度を変化さ
せて走査することによって焼き付けてもよい。
【0073】本発明は、現像主薬を感光材料中に内蔵し
ていない感光材料に適用することが好ましく、特に直接
鑑賞用の画像を形成する感光材料に適用することが好ま
しい。例えばカラーペーパー、カラー反転ペーパー、ポ
ジ画像を形成する感光材料、ディスプレイ用感光材料、
カラープルーフ用感光材料を挙げることができる。特に
反射支持体を有する感光材料への適用が好ましい。
【0074】発色現像に用いられる芳香族一級アミン現
像主薬としては公知の化合物を用いることができる。こ
れらの代表例として下記の化合物が挙げられる。
【0075】CD−1:N,N−ジエチル−p−フェニ
レンジアミン CD−2:2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン CD−3:2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリ
ルアミノ)トルエン CD−4:4−(N−エチル−N−β−ヒドロキシエチ
ルアミノ)アニリン CD−5:2−メチル−4−(N−エチル−N−β−ヒ
ドロキシエチルアミノ)アニリン CD−6:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−
(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン CD−7:4−アミノ−3−β−メタンスルホンアミド
エチル−N,N−ジエチルアニリン CD−8:N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン CD−9:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−
メトキシエチルアニリン CD−10:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N
−(β−エトキシエチル)アニリン CD−11:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N
−(γ−ヒドロキシプロピル)アニリン 発色現像液は任意のpH域で使用できるが、迅速処理の
観点からpH9.5〜13.0であることが好ましく、
より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲である。
【0076】発色現像の処理温度は35〜70℃が好ま
しい。温度が高いほど短時間の処理が可能であり好まし
いが、処理液の安定性からは余り高くない方が好まし
く、37〜60℃で処理することが好ましい。
【0077】発色現像時間は、従来、一般には3分30
秒程度で行われているが、本発明では40秒以内が好ま
しく、更に25〜5秒の範囲で行うことが望ましい。
【0078】発色現像液には、前記の発色現像主薬に加
えて既知の現像液成分化合物を添加することが出来る。
通常、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩化物イオ
ン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、キ
レート剤などが用いられる。
【0079】感光材料は、発色現像後、漂白処理及び定
着処理を施される。漂白処理は定着処理と同時に行って
もよい。定着処理の後は、通常は水洗処理が行われる。
又、水洗処理の代替として、安定化処理を行ってもよ
い。
【0080】現像処理に用いる現像処理装置としては、
処理槽に配置されたローラーに感光材料を挟んで搬送す
るローラートランスポートタイプであっても、ベルトに
感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であ
ってもよいが、処理槽をスリット状に形成して、この処
理槽に処理液を供給すると共に感光材料を搬送する方式
や処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸さ
せた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液によ
る方式なども用いることができる。
【0081】感光材料を大量に処理する場合には、自動
現像機を用いてランニング処理されるのが通常だが、こ
の際、補充液の補充量は少ない程好ましく、環境適性等
より最も好ましい処理形態は、補充方法として錠剤の形
態で処理剤を添加することであり、公開技報94−16
935号に記載の方法が最も好ましい。
【0082】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明の実施態様はこれらに限定されない。
【0083】実施例1 坪量180g/m2の紙パルプの両面に、高密度ポリエ
チレンをラミネートし、紙支持体を作製した。ただし、
乳剤層を塗布する側には、表面処理を施したアナターゼ
型酸化チタンを15重量%の含有量で分散して含む溶融
ポリエチレンをラミネートし、反射支持体を作製した。
この反射支持体をコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗
層を設け、更に以下に示す構成の各層を塗設してカラー
感光材料(試料1)を作製した。塗布液は下記の如く調
製した。
【0084】第1層塗布液 イエローカプラー(Y−1)23.4g、色素画像安定
化剤(ST−1)3.34g、(ST−2)3.34
g、(ST−5)3.34g、ステイン防止剤(HQ−
1)0.34g、画像安定剤A5.0gを、高沸点有機
溶媒(DBP)3.33g及び(DNP)1.67gに
酢酸エチル60ccを加え溶解し、20%界面活性剤
(SU−1)7ccを含有する10%ゼラチン水溶液2
20ccに超音波ホモジナイザーを用いて乳化分散さ
せ、イエローカプラー分散液とした。
【0085】この分散液を下記条件にて作製したハロゲ
ン化銀乳剤(EMB−A1;銀8.50g含有)と混合
し、第1層塗布液を調製した。
【0086】第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液
と同様に表1及び表2の塗布量になるよう各塗布液を調
製した。尚、硬膜剤として(H−1),(H−2)を添
加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2),
(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。又、各層
に防黴剤(F−1)を全量が0.04g/m2となるよ
う添加した。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】SU−1:トリ−i−プロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウム SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナ
トリウム塩 SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,
5,5−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム塩 H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリ
アジン・ナトリウム DBP:ジブチルフタレート DNP:ジノニルフタレート DOP:ジオクチルフタレート DIDP:ジ−i−デシルフタレート PVP:ポリビニルピロリドン HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン HQ−2:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノ
ン HQ−3:2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロ
キノン HQ−4:2−sec−ドデシル−5−sec−テトラ
デシルハイドロキノン HQ−5:2,5−ジ(1,1−ジメチル−4−ヘキシ
ルオキシカルボニル)ブチルハイドロキノン 画像安定剤A:p−t−オクチルフェノール
【0090】
【化1】
【0091】
【化2】
【0092】
【化3】
【0093】
【化4】
【0094】ハロゲン化銀粒子表面〜0.015μmで
の、本発明化合物の添加有り無しの性能を比較評価する
ため、以下のような乳剤を調製した。
【0095】<青感性ハロゲン化銀乳剤EMB−A1
(比較乳剤)の調製>40℃に保温した2%ゼラチン水
溶液1リットル中に、下記(A液)及び(B液)をpA
g=7.3、pH=3.0に制御しつつ30分かけて同
時添加し、更に(C1液)と(D1液)続いて(C2
液)と(D2液)をpAg=8.0、pH=5.5に制
御しつつ100分かけて同時添加した。その後、(E
液)及び(F液)をpag=8.0、pH=5.5に制
御しつつ80分かけて同時添加した。この時、pAgの
制御は特開昭59−45437号記載の方法により行
い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用
いて行った。
【0096】 (A液) 塩化ナトリウム 0.99g 臭化カリウム 0.008g 水を加えて 58ml (B液) 硝酸銀 2.9g 水を加えて 58ml (C1液) 塩化ナトリウム 33g 臭化カリウム 0.22g 水を加えて 204ml (D1液) 硝酸銀 102g 水を加えて 204ml (C2液) 塩化ナトリウム 80g ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 2×10-9モル ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 1×10-6モル 臭化カリウム 0.48g 水を加えて 454ml (D2液) 硝酸銀 227g 水を加えて 454ml (E液) 塩化ナトリウム 15.8g ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 2×10-9モル ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 1×10-6モル 臭化カリウム 0.1g 水を加えて 92.2ml (F液) 硝酸銀 46.1g 水を加えて 92.2ml 添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液
と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行っ
た後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.71μ
m、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.
7モル%の単分散立方体乳剤EM−A1を得た。
【0097】EM−A1は、粒子表面下0.115μm
〜0.0155μmの粒子成長時に使用する(C2液)
と、粒径の粒子表面〜表面下0.0155μmの粒子成
長時に使用する(E液)の両方の溶液に本発明化合物が
添加された比較乳剤である。
【0098】EM−A1に対し、下記化合物を用い60
℃にて最適に化学増感を行い、青感性ハロゲン化銀乳剤
EMB−A1を得た。
【0099】 チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX 塩化金酸 0.5mg/モルAgX 安定剤 STAB−1 3×10-4モル/モルAgX 安定剤 STAB−2 3×10-4モル/モルAgX 安定剤 STAB−3 3×10-4モル/モルAgX 増感色素 BS−1 4×10-4モル/モルAgX 増感色素 BS−2 1×10-4モル/モルAgX STAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5
−メルカプトテトラゾール STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾ
ール STAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メ
ルカプトテトラゾール <緑感性ハロゲン化銀乳剤EMG−B1(比較乳剤)の
調製>(A液)と(B液)をEM−A1と同様に添加し
た後、(C1液)と(D1液)、(C2液)と(D2
液)、(E液)と(F液)を以下のように変更した以外
は、EM−A1と同様にして調製した。平均粒径0.4
0μm、変動係数0.07、塩化銀含有率99.9モル
%の単分散立方体乳剤EM−B1を得た。
【0100】EM−B1は、粒子表面下0.085μm
〜0.016μmの粒子成長時に使用する(C2液)と
粒径の粒子表面〜表面下0.016μmの粒子成長時に
使用する(E液)の両溶液に本発明化合物が添加された
比較乳剤である。
【0101】 (C1液) 塩化ナトリウム 3.26g 臭化カリウム 0.006g 水を加えて 19.0ml (D1液) 硝酸銀 9.5g 水を加えて 19.0ml (C2液) 塩化ナトリウム 13.6g ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 2×10-9モル ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 1×10-6モル 臭化カリウム 0.02g 水を加えて 79.2ml (D2液) 硝酸銀 39.6g 水を加えて 79.2ml (E液) 塩化ナトリウム 5.49g ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 2×10-9モル ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 1×10-6モル 臭化カリウム 0.01g 水を加えて 32.1ml (F液) 硝酸銀 16.0g 水を加えて 32.1ml 上記EM−B1に対し、下記化合物を用い55℃にて最適
に化学増感を行い、緑感性ハロゲン化銀乳剤(EMG−
B1)を得た。
【0102】 チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX 塩化金酸 1.0mg/モルAgX 安定剤 STAB−1 3×10-4モル/モルAgX 安定剤 STAB−2 3×10-4モル/モルAgX 安定剤 STAB−3 3×10-4モル/モルAgX 増感色素 GS−1 4×10-4モル/モルAgX <赤感性ハロゲン化銀乳剤EMR−B1(比較乳剤)の
調製>前記EM−B1に対し、下記化合物を用い60℃
にて最適に化学増感を行い、赤感性ハロゲン化銀乳剤
(EMR−B1)を得た。
【0103】 チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX 塩化金酸 2.0mg/モルAgX 安定剤 STAB−1 3×10-4モル/モルAgX 安定剤 STAB−2 3×10-4モル/モルAgX 安定剤 STAB−3 3×10-4モル/モルAgX 増感色素 RS−1 1×10-4モル/モルAgX 増感色素 RS−2 1×10-4モル/モルAgX 又、赤感光性乳剤には、SS−1をハロゲン化銀1モル
当たり2.0×10-3モル添加した。
【0104】
【化5】
【0105】
【化6】
【0106】<青感性乳剤EMB−A2〜A16の調製
>EM−A1の(C2液)及び(E液)に添加した本発
明化合物を表3に示した別の本発明化合物に同モルで置
き換えたり、又は添加しなかった以外はEM−A1と同
様にして乳剤を作成し、これをEM−A2〜A16とし
た。EMB−A1と同様、これらに最適に化学増感を行
い、EMB−A2〜A16を調製した。
【0107】<緑感性乳剤EMG−B2〜B16及び赤
感性乳剤EMR−B2〜B16の調製>EM−B1の
(C2液)及び(E液)に添加した本発明化合物を表3
に示した別の本発明化合物に同モルで置き換えたり、又
は添加しなかった以外はEM−B1と同様に乳剤を作成
し、これをEM−B2〜B16とした。EMG−B1あ
るいはEMR−B1と同様、これらに最適に化学増感を
行い、EMG−B2〜B16及びEMR−B2〜B16
を調製した。
【0108】<高臭化銀含有率の青感性乳剤EMB−A
17,A18,A19の調製>EM−A1調製時の(C
1液)、(C2液)、(E液)を以下のように変更した
以外は、EM−A1と同様に調製した乳剤をEM−A1
7とした。平均粒径0.70μm、変動係数0.07
5、塩化銀含有率84モル%の単分散立方体乳剤であっ
た。EM−A17に対し、EMB−A1と同様に最適に
化学増感、色増感した乳剤をEMB−A17とした。
【0109】EM−A17の調製時に、(E液)に本発
明化合物ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム1×10-6
ルを添加した以外はEM−A17と同様に調製した乳剤
をEM−A18とした。又、(E液)にヘキサクロロイ
リジウム(IV)酸カリウム2×10-9モルを添加した以
外、EM−A17と同様に調製した乳剤をEM−A19
とした。EM−A18及びEM−A19をEMB−A1
7と同様に、それぞれ最適に化学増感、色増感した乳剤
をEMB−A18、EMB−A19とした。
【0110】 (C1液) 塩化ナトリウム 27.81g 臭化カリウム 10.79g 水を加えて 204ml (C2液) 塩化ナトリウム 67.4g ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 2×10-9モル ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 1×10-6モル 臭化カリウム 26.14g 水を加えて 454ml (E液) 塩化ナトリウム 13.3g 臭化カリウム 5.16g 水を加えて 92.2ml <高臭化銀含有率の緑感性乳剤EMG−B17〜B19
及び赤感性乳剤EMR−B17〜B19の調製>EM−
B1調製時の(C1液)、(C2液)、(E液)を、以
下のように変更した以外はEM−B1と同様に調製した
乳剤をEM−B17とした。平均粒径0.385μm、
変動係数0.073、塩化銀含有率85モル%の単分散
立方体乳であった。EM−B17に対し、EMG−B1
と同様に最適に化学増感、色増感した乳剤をEMG−B
17とした。
【0111】EM−B17の調製時に、(E液)に本発
明化合物ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム1×10-6
ルを添加した以外はEM−B17と同様に調製した乳剤
をEM−B18とした。又、(E液)にヘキサクロロイ
リジウム(IV)酸カリウム2×10-9モルを添加した以
外はEM−B17と同様に調製した乳剤をEM−B19
とした。EM−B18及びEM−B19をEMG−B1
7と同様に、それぞれ最適に化学増感、色増感した乳剤
をEMG−B18、EMG−B19として得た。全く同
様にして、EM−B17〜B19よりEMR−B17〜
B19を調製した。
【0112】 (C1液) 塩化ナトリウム 2.74g 臭化カリウム 1.06g 水を加えて 19.0ml (C2液) 塩化ナトリウム 11.43g ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 2×10-9モル ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 1×10-6モル 臭化カリウム 4.43g 水を加えて 79.2ml (E液) 塩化ナトリウム 4.62g ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 2×10-9モル ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 1×10-6モル 臭化カリウム 1.79g 水を加えて 32.1ml EMB−A2〜A19、EMG−B2〜B19及びEM
R−B2〜B19の乳剤を使用して、表3に示す如く試
料2〜19を作製した。
【0113】
【表3】
【0114】このようにして作製した試料を常法により
光楔露光した後、下記現像処理工程に従って現像処理を
行った。
【0115】 処理工程 処理温度 時間 補充量 発色現像 38.0±0.3℃ 45秒 80ml 漂白定着 35.0±0.5℃ 45秒 120ml 安定化 30〜34℃ 60秒 150ml 乾燥 60〜80℃ 30秒 各処理液の組成を下記に示す。
【0116】発色現像液タンク液及び補充液 タンク液 補充液 純水 800ml 800ml トリエチレンジアミン 2g 3g ジエチレングリコール 10g 10g 臭化カリウム 0.01g − 塩化カリウム 3.5g − 亜硫酸カリウム 0.25g 0.5g N−エチル−N−βメタンスルホンアミドエチル−3−メチル −4−アミノアニリン硫酸塩 6.0g 10.0g N,N−ジエチルヒドロキシルアミン 6.8g 6.0g トリエタノールアミン 10.0g 10.0g ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩 2.0g 2.0g 蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体) 2.0g 2.5g 炭酸カリウム 30g 30g 水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpH=10.10に、補充液は pH=10.60に調整する。
【0117】漂白定着液タンク液及び補充液 ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g ジエチレントリアミン五酢酸 3g チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100ml 2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g 亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml 水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpH=5.0に 調整する。
【0118】安定化液タンク液及び補充液 o−フェニルフェノール 1.0g 5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g 2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g ジエチレングリコール 1.0g 蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g 塩化ビスマス(45%水溶液) 0.65g 硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g PVP(ポリ−N−ビニルピロリドン) 1.0g アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩 1.5g 水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調 整する。
【0119】処理済み試料について、以下の写真特性に
ついて評価を行った。
【0120】≪感度≫試料を白色光・0.5秒でウエッ
ジ露光した後、先述の処理方法で現像処理した。処理済
み試料の反射濃度でカブリ濃度より0.8高い濃度を与
えるに必要な露光量の逆数で、感度を計算した。
【0121】≪露光時湿度依存性≫感度評価と同様に露
光、現像処理するが、露光時の湿度を15%、55%、
83%とそれぞれ変化させて露光、現像した。露光時温
度は20℃に固定した。評価は、湿度55%露光時の感
度を100として、その他の湿度を変化させて露光、現
像処理した試料の感度を評価した。
【0122】≪露光時温度依存性≫感度評価と同様に露
光、現像処理するが、露光時の温度を10℃、30℃と変化
させて露光、現像した。露光時湿度は55%に固定し
た。評価は、温度30℃での露光時の感度を100とし
て、露光時温度10℃で露光、現像処理した試料の感度
を評価した。
【0123】試料1〜19について上記の評価をした結
果を表4に示す。
【0124】
【表4】
【0125】表4からハロゲン化銀粒子表面〜表面下
0.0155μmに本発明化合物を含有せず、それより
内部に含有している本発明試料4、10、12及び16
は、露光時の湿度、温度変動による感度変動が少ない。
【0126】ハロゲン化銀粒子表面〜表面下0.015
5μmに、本発明化合物が1種しか含有されない試料
2、3、14、15及び表面下0.0155μmより深
い位置に本発明化合物が1種しか含有されない試料7、
8では効果は得られず、イリジウム化合物とシアノ配位
子化合物が同時に本発明の領域に存在する時に限って感
度変動が小さくなることが判った。又、ニトロシル配位
子化合物を含有する試料13〜16の場合においても、
試料16は、イリジウム化合物を添加した試料4、1
0、12と比べ、やや本発明の効果が小さいが、同様の
効果が得られることが判った。
【0127】臭化銀含有率の高い試料17〜19におい
て、試料17は本発明化合物の添加位置が本発明の条件
を満たしているが、試料18、19と比較して本発明の
効果はなかった。
【0128】実施例2 ハロゲン化銀粒子表面〜0.002μm領域での本発明
化合物の有り無しの性能を比較するために、以下のよう
な乳剤を調製した。
【0129】<青感性ハロゲン化銀乳剤EMB−C1
(比較乳剤)の調製>下記(A液)と(B液)を実施例
1のEM−A1と同様に添加した後、(E液)が粒子表
面〜表面下0.002μmの領域の調製となるように、
以下のように各添加溶液を変更した以外はEM−A1と
同様にして乳剤を調製した。平均粒径0.71μm、変
動係数0.07、塩化銀含有率99.7モル%の単分散
立方体乳剤EM−C1を得た。
【0130】EM−C1は、粒子表面下0.097μm
〜0.002μmの粒子調製に使用する(C2液)と粒
径の粒子表面〜表面下0.002μmの粒子調製に使用
する(E液)の両方の溶液に本発明化合物が添加された
比較乳剤である。
【0131】 (A液) 塩化ナトリウム 0.99g 臭化カリウム 0.008g 水を加えて 58ml (B液) 硝酸銀 2.9g 水を加えて 58ml (C1液) 塩化ナトリウム 46.6g 臭化カリウム 0.31g 水を加えて 283ml (D1液) 硝酸銀 142g 水を加えて 283ml (C2液) 塩化ナトリウム 80g ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 2×10-9モル ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 1×10-6モル 臭化カリウム 0.48g 水を加えて 454ml (D2液) 硝酸銀 227g 水を加えて 454ml (E液) 塩化ナトリウム 2.2g ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 2×10-9モル ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 1×10-6モル 臭化カリウム 0.01g 水を加えて 12.8ml (F液) 硝酸銀 6.4g 水を加えて 12.8ml EM−C1に対し、EMB−A1と同様に最適に化学増
感、色増感して青感性ハロゲン化銀乳剤EMB−C1を
得た。
【0132】<緑感性ハロゲン化銀乳剤EMG−D1の
調製>実施例1のEM−B1と同様に(A液)と(B
液)を添加した後、(E液)が粒子表面〜表面下0.0
02μmの領域の調製となるよう、以下のように各添加
溶液を変更した以外はEM−B1と同様にして乳剤を調
製した。平均粒径0.40μm、変動係数0.07、塩
化銀含有率99.9モル%の単分散立方体乳剤EM−D
1を得た。
【0133】EM−D1は、粒子表面下0.06μm〜
0.002μmの粒子調製に使用する(C2液)と粒径
の粒子表面〜表面下0.002μmの粒子調製に使用す
る(E液)の両方の溶液に本発明化合物が添加された比
較乳剤である。
【0134】 (C1液) 塩化ナトリウム 7.89g 臭化カリウム 0.014g 水を加えて 46ml (D1液) 硝酸銀 23g 水を加えて 46ml (C2液) 塩化ナトリウム 13.6g ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 2×10-9モル ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 1×10-6モル 臭化カリウム 0.02g 水を加えて 79.2ml (D2液) 硝酸銀 39.6g 水を加えて 79.2ml (E液) 塩化ナトリウム 0.84g ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 2×10-9モル ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 1×10-6モル 臭化カリウム 0.002g 水を加えて 4.94ml (F液) 硝酸銀 2.46g 水を加えて 4.94ml 上記EM−D1に対し、EMG−B1と同様に最適に化
学増感を行い、緑感性ハロゲン化銀乳剤EMG−D1を
得た。
【0135】<赤感性ハロゲン化銀乳剤EMR−D1
(比較乳剤)の調製>EM−D1に対し、EMR−B1
と同様に最適に化学増感を行った赤感性ハロゲン化銀乳
剤EMR−D1を得た。
【0136】<青感性乳剤EMB−C2〜C6の調製>
次にEM−C1の(C2液)及び(E液)に添加した本
発明化合物を、表5に示すように別の本発明化合物に同
モルで置き換えたり、又は添加しなかった以外はEM−
C1と同様に乳剤を調製し、EM−C2〜C6とした。
乳剤はEMB−A1と同様、最適に化学増感を行い、E
MB−C2〜C6を得た。
【0137】<緑感性乳剤EMG−D2〜D6及び赤感
性乳剤EMR−D2〜D6の調製>EM−D1の(C2
液)及び(E液)に添加した本発明化合物を、表5に示
すように別の本発明化合物に同モルで置き換えたり、又
は添加しなかった以外はEM−D1と同様にして乳剤を
作成し、EM−D2〜D6とした。これらの乳剤をEM
G−D1又はEMR−D1と同様に最適に化学増感を行
い、EMG−D2〜D6とEMR−D2〜D6を調製し
た。
【0138】EMB−C1〜C6、EMG−D1〜D6
及びEMR−D1〜D6を用いて、表5に示すように実
施例1の試料1と同様にして各試料を作製した。
【0139】これら各試料について、実施例1と同様に
露光、処理を行い評価した。その結果を表6に示す。
【0140】
【表5】
【0141】
【表6】
【0142】試料22は、本発明試料と同様、ハロゲン
化銀粒子表面近傍にイリジウム化合物とシアノ配位子化
合物を含有せず、粒子内部に含有するが、この粒子表面
の含有していない領域が粒子表面〜0.002μmと狭
く、本発明要件を満たしていないため、本発明の効果は
殆ど得られていない。
【0143】実施例3 ハロゲン化銀粒子において、本発明化合物の存在領域の
占める割合が表7のように異なる以下の乳剤を調製し
た。
【0144】<表面下0.015μmより深い領域の本
発明化合物の存在領域の占める割合が異なる青感性乳剤
の調製>実施例1のEM−A1の調製において、(C1
液)及び(C2液)のハライド規定度、ハライド組成
比、イリジウム化合物とシアノ配位子化合物量を固定し
て、溶液量を変化させて同様に乳剤を調製した。ただ
し、この時、(C1液)と(C2液)の添加総和量は一
定とした。又、(C1液)、(C2液)と同時に添加す
る(D1液)と(D2液)の比は、(C1液)、(C2
液)の添加量に比例させた。更に(E液)に添加してい
るイリジウム化合物とシアノ配位子化合物の有り無しに
よりEM−E1〜E6を調製し、その後、EMB−1と
同様に化学増感、色増感した乳剤EMB−E1〜E6を
調製した。この内容を表7に示す。
【0145】<表面下0.015μmより深い領域の本
発明化合物の存在領域の占める割合が異なる緑感性乳剤
及び赤感性乳剤の調製>実施例1のEM−B1の調製に
おいて、EM−E1〜E6と同様な処方変更を行い、E
M−F1〜F6を調製した。EMG−B1及びEMR−
B1と同様に、化学増感、色増感した乳剤EMG−F1
〜F6及びEMR−F1〜F6を得た。
【0146】EMB−E1〜E6、EMG−F1〜F6
及びEMR−F1〜F6を使用して、実施例1の試料1
と同様にして試料を作製した。内容を表7に示す。
【0147】表7の各試料を実施例1と同様に評価した
結果を表8に示す。
【0148】
【表7】
【0149】
【表8】
【0150】本発明化合物の存在領域の占める割合がハ
ロゲン化銀粒子の30〜70%の範囲にある試料32及
び33は、他の本発明試料31及び34に比べ本発明の
効果が大きい。又、試料33は32より効果が大きい。
【0151】
【発明の効果】本発明により、露光時の温度及び湿度の
影響が少なく、安定した性能が得られるハロゲン化銀カ
ラー写真感光材料を得ることができる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イリジウム化合物及びニトロシル配位子
    を有する化合物から選ばれる少なくとも1種と少なくと
    も3個のシアノ配位子を有する鉄、ルテニウム、オスミ
    ウム及びレニウム化合物から選ばれる少なくとも1種
    が、ハロゲン化銀粒子表面〜表面下0.015μmの深
    さには含有されず、粒子表面下0.015〜0.29μ
    mの深さの少なくとも一部分に含有されることを特徴と
    する塩化銀含有率90モル%以上のハロゲン化銀乳剤。
  2. 【請求項2】 イリジウム化合物及びニトロシル配位子
    を有する化合物から選ばれる少なくとも1種と少なくと
    も3個のシアノ配位子を有する鉄、ルテニウム、オスミ
    ウム及びレニウム化合物から選ばれる少なくとも1種が
    含有されている領域が、該ハロゲン化銀粒子の全銀量の
    30〜70%を占めることを特徴とする請求項1記載の
    ハロゲン化銀乳剤。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のハロゲン化銀乳剤
    を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材
    料。
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