JPH11292629A - 自己潤滑性を有する炭素系複合摺動材料とその製造方法 - Google Patents

自己潤滑性を有する炭素系複合摺動材料とその製造方法

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JPH11292629A
JPH11292629A JP10104742A JP10474298A JPH11292629A JP H11292629 A JPH11292629 A JP H11292629A JP 10104742 A JP10104742 A JP 10104742A JP 10474298 A JP10474298 A JP 10474298A JP H11292629 A JPH11292629 A JP H11292629A
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吉久 須田
Yasushi Yamamoto
泰 山本
Seiichiro Hironaka
清一郎 広中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摺動特性に優れ、機械的強度に優れ、任意か
つ複雑な形状に成形が可能な炭素系複合摺動材料。 【解決手段】 アモルファス炭素の出発原料に炭素粉末
を混合し、任意の形状に賦形後、焼成して炭素粉末とア
モルファス炭素の複合体からなる炭素系複合摺動材料と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素系摺動材料及
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素からなる摺動材料は、耐熱性、耐薬
品性に優れ、しかも軽量であるという優れた利点を持っ
ており、従来の金属系、および高分子系の摺動材料が使
用できない高温や腐食性などの雰囲気下で使用されてい
る。従来の炭素からなる摺動材料は主にガラス状炭素か
らなる材料と黒鉛質の等方性炭素からなる材料とに分類
される。ガラス状炭素からなる摺動材は摩擦係数が低
く、比摩耗量が小さいといった優れた摺動特性を示す
が、高硬度で耐機械衝撃性が弱いために、加工性が劣
る。一方、黒鉛質の等方性炭素からなる摺動材は自己潤
滑性を有するが、機械的強度が劣る。またこれら従来の
炭素からなる摺動材は板形状体やブロック形状体から切
削加工により作成するために無駄になる材料の量が多
く、煩雑な製造工程を経るため、コストが高くなる欠点
を有している。その上任意且つ複雑な形状体を得ること
が困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる問題点
に鑑みてなされたもので、その目的は従来の炭素からな
る材料よりも良好な自己潤滑性を有し、摩擦係数が低く
比摩耗量が小さいといった摺動特性に優れ、耐機械衝撃
性、機械的強度に優れ、任意且つ複雑な形状に成形が可
能な炭素系複合摺動材料を簡便な工程で安価に提供する
ことにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】発明者らは、このような
実状に鑑み、優れた摺動特性や耐機械衝撃性を有する
上、任意形状を有する摺動材料を安易に得ることを開発
の課題として鋭意研究の結果、焼成後実質的に零でない
炭素残査収率を示す熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、天然
高分子および合成高分子の1種または2種以上の混合物
をアモルファス炭素の出発原料とし、自己潤滑性、耐機
械衝撃性をもたせることを目的として黒鉛、ダイヤモン
ド、グラファイトクラスターダイヤモンド、フラーレン
およびカーボンブラックからなる群から選ばれた1種ま
たは2種以上の炭素粉末の混合物を混合し、必要とされ
る形状に賦形後、焼成することにより得られた炭素系複
合摺動材料は、優れた摺動特性、耐機械衝撃性を有する
上、より簡便な工程で製造しうることなど前記課題が効
果的に解決しうる事実を確認した。
【0005】アモルファス炭素の出発原料としては、好
ましくは不活性ガス雰囲気中での焼成により5%以上の
炭化収率を示す有機物質が使用される。具体的には、ポ
リ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアル
コール、ポリ塩化ビニル−ポリ酢酸ビニル共重合体、ポ
リアミド等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、フラン樹
脂、イミド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂等の熱硬化性樹脂、リグニン、セルロース、トラカン
トガム、アラビアガム、糖類等の縮合多環芳香族を分子
の基本構造内にもつ天然高分子物質、および前記には包
含されない、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合
物、コプナ樹脂等の縮合多環芳香族を分子の基本構造内
にもつ合成高分子物質が挙げられる。使用する組成物の
種類と量は、目的とする摺動材料の特性、強度、形状に
より適宜選択され、単独でも2種以上の混合体でも使用
することができるが、特にフラン樹脂、フェノール樹
脂、イミド樹脂等の熱硬化性樹脂を使用することが好ま
しく、摺動材料としての必要な特性と形状を賦与するた
めにもその使用量は30重量部以上が好ましい。
【0006】前述の炭素粉末としては、黒鉛、ダイヤモ
ンド、グラファイトクラスターダイヤモンド、フラーレ
ンおよびカーボンブラック等がある。使用する炭素粉末
の種類と量も目的とする摺動材料の特性、強度、形状に
より適宜選択され、単独でも2種以上の混合体でも使用
することができるが、特に摺動特性制御の簡易さ、及び
自己潤滑性を高める観点から黒鉛を使用することが好ま
しい。
【0007】前述の賦形方法には、圧縮成形、トランス
ファ成形、押し出し成形、射出成形、真空成形および吹
込成形等の、一般的に普及している成形方法が挙げられ
る。前述の樹脂と炭素粉末の混合物の性状および賦形形
状により適宜選択使用することが好ましい。
【0008】以下に本発明による炭素系摺動材料の製造
方法を説明する。まず、組成物と炭素粉末とを混練機を
用いてよく混合させる。得られた混合物を混合物の性
状、賦形形状により選択した成形方法を用いて賦形す
る。次に賦形体を炭素前駆体化処理し、得られた炭素前
駆体を窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中または真
空雰囲気下にて1000℃以上、好ましくは2000℃
程度まで加熱昇温し、炭素粉末とアモルファス炭素から
なる炭素系複合摺動材料を得る。昇温速度が大きいと賦
形体の形状が変形したり微細なクラックが発生する等の
欠陥が生じるため昇温速度は500℃までは毎時100
℃以下好ましくは毎時50℃以下が適切である。
【0009】
【実施例】以下に、実施例によって本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこの実施例によって何等限定
されるものではない。
【0010】(実施例1)フラン樹脂(日立化成社製
ヒタフランVF−303)80重量%に天然黒鉛微粉末
(日本黒鉛社製 平均粒度5μm)20重量%を混合し
てポニーミキサーにて攪拌した後、押し出し成形機を用
いてフィルム状に成形した。該フィルムを真空成形機に
て円盤状に賦形した。これを耐熱セラミック板に挟み、
真空焼成炉中で500℃までを毎時25℃の昇温速度で
昇温し、その後1400℃までを毎時100℃で昇温
し、1400℃で3時間保持した後自然冷却して焼成を
完了し、厚さ1.0mmの摺動特性試験片を得た。得ら
れた試験片を、ピン−円板型摩擦試験機を用いて、該試
験片とR0.5mmのアルミナのピンを組み合わせ、すべ
り速度0.05〜1.5m/秒、荷重19.6N、摺動
時間22時間の条件下で摺動試験を実施した。更に得ら
れた試験片を長さ50mm、幅10mmの大きさに切断
し、圧縮試験機を用いて曲げ強度測定および弾性率測定
をするとともに40gの鉄球を落下させて試験片が破壊
される高さを測定した。
【0011】結果を表−1に示す。結果では以下に述べ
る比較例1、2よりも優れた摺動特性、高い機械的強度
を有することがわかった。
【0012】(実施例2)フラン樹脂(日立化成社製
ヒタフランVF−303)60重量%にカーボンブラッ
ク(三菱化成社製 一次粒子径5nm)40重量%を混
合し、ヘンシェルミキサーにて混合し、次いで120℃
に加熱したロールミキサーにて混練をおこなった。該混
練物を圧縮成形機を使用して円盤状に賦形した。窒素雰
囲気中の焼成炉で500℃までを毎時25℃の昇温速度
で昇温し、その後1400℃までを毎時100℃で昇温
し、1400℃で3時間保持した後自然冷却して焼成を
完了し、厚さ1.0mmの摺動特性試験片を得た。実施
例1と同様に摺動試験、曲げ強度試験、耐機械衝撃性試
験を実施した。
【0013】結果を表−1に示す。結果では以下に述べ
る比較例1、2よりも優れた摺動特性、高い機械的強度
を有することがわかった。
【0014】(比較例1)フラン樹脂(日立化成社製
ヒタフランVF−303)を製膜機を用いてフィルム状
に成形した。該フィルムを円盤状に切断し、これを窒素
雰囲気中の焼成炉で500℃までを毎時25℃の昇温速
度で昇温し、その後1400℃までを毎時100℃で昇
温し、1400℃で3時間保持した後自然冷却して焼成
を完了し、厚さ1.0mmの摺動特性試験片を得た。実
施例1と同様に摺動試験、曲げ強度試験、耐機械衝撃性
試験を実施した。結果を表−1に示す。
【0015】(比較例2)黒鉛質等方性炭素材料(東洋
炭素社製)のブロックを円盤状に切削加工し、厚さ1.
0mmの摺動特性試験片を得た。実施例1と同様に摺動
試験、曲げ強度試験、耐械衝撃性試験を実施した。結果
を表−1に示す。
【0016】 表−1 平均摩擦係数 比摩耗量 曲げ強度 弾性率 破壊距離 (mm3/Nm) (MPa) (GPa) (mm) 実施例1 0.13 3.08×10-7 300 48 500 実施例2 0.17 5.28×10-7 270 41 300 比較例1 0.26 8.62×10-7 225 32 50 比較例2 0.23 7.12×10-7 100 9 300
【0017】
【発明の効果】本発明の炭素系複合摺動材料は表1から
明らかな様に平均摩擦係数、比摩耗量が小さく、摺動特
性に優れている。また既存のプラスチックの成形方法を
用いた本発明では焼成後に加工することなく任意の形状
体を得ることが出来るようになった。そして従来の炭素
材料とは異なり簡便な工程で、製造コストも低く抑える
ことが可能となった。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素粉末とアモルファス炭素の複合体で
    構成される炭素系複合摺動材料。
  2. 【請求項2】 炭素粉末は、黒鉛、ダイヤモンド、グラ
    ファイトクラスターダイヤモンド、フラーレンおよびカ
    ーボンブラックからなる群から選ばれた1種または2種
    以上の混合物からなることを特徴とする請求項1記載の
    炭素系複合摺動材料。
  3. 【請求項3】 アモルファス炭素は、焼成後実質的に零
    でない炭素残査収率を示す熱可塑性樹脂、熱硬化性樹
    脂、天然高分子および合成高分子の1種または2種以上
    の混合物を出発原料とすることを特徴とする請求項1記
    載の炭素系複合摺動材料。
  4. 【請求項4】 平均摩擦係数が0.20以下であること
    を特徴とする請求項1記載の炭素系複合摺動材料。
  5. 【請求項5】 アモルファス炭素の出発原料に炭素粉末
    を混合し、任意の形状に賦形後、焼成して炭素粉末とア
    モルファス炭素の複合体を得ることを特徴とする炭素系
    摺動材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 炭素粉末は、黒鉛、ダイヤモンド、グラ
    ファイトクラスターダイヤモンド、フラーレンおよびカ
    ーボンブラックからなる群から選ばれた1種または2種
    以上の混合物からなることを特徴とする請求項5記載の
    炭素系複合摺動材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 アモルファス炭素は熱可塑性樹脂、熱硬
    化性樹脂、天然高分子および合成高分子の1種または2
    種以上の混合物を出発原料とすることを特徴とする請求
    項5記載の炭素系摺動材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005090481A1 (ja) * 2004-03-18 2005-09-29 Shinano Kenshi Kabushiki Kaisha 複合素材、複合炭素素材およびこれらの製造方法
WO2006018980A1 (ja) * 2004-08-16 2006-02-23 Frontier Carbon Corporation 膜形成用品および膜形成方法ならびに離型剤
WO2006059391A1 (ja) * 2004-12-03 2006-06-08 Seiko Instruments Inc. 摺動材、その製造方法、および摺動材を使用した機器

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JP4785741B2 (ja) * 2004-12-03 2011-10-05 セイコーインスツル株式会社 摺動材、その製造方法、および摺動材を使用した機器

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