JPH1128822A - 流路用部材及びその製造方法並びにこれを用いたインクジェットプリンタヘッド及びその製造方法 - Google Patents

流路用部材及びその製造方法並びにこれを用いたインクジェットプリンタヘッド及びその製造方法

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JPH1128822A
JPH1128822A JP1974098A JP1974098A JPH1128822A JP H1128822 A JPH1128822 A JP H1128822A JP 1974098 A JP1974098 A JP 1974098A JP 1974098 A JP1974098 A JP 1974098A JP H1128822 A JPH1128822 A JP H1128822A
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flow path
glass
mixture
ceramics
mold
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JP1974098A
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English (en)
Inventor
Toshikazu Kishino
敏和 岸野
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】簡単な工程で、高密度、高精度の流路用部材1
0を得る。 【解決手段】セラミックス、ガラス、シリコン等からな
る平板11の一面に、セラミックス、ガラス、シリコン
等の粉体を凹部を有する成形型で成形して成る隔壁12
を同一方向に整列させて接合一体化し、各隔壁12の間
を流路13として流路用部材10を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットプ
リンタヘッドや小型ポンプ等の液体の微小な流路を有す
る流路用部材及びその製造方法に関し、特にこれを用い
たインクジェットプリンタヘッドとその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、マルチメディアの発達とともに、
パソコンの需要も増加の一途をたどり、パソコンの記録
メディアの一つであるプリンターの性能もより高密度、
高精細が求められるようになってきた。特に、従来のド
ット方式に代わって登場したインクジェット方式は、よ
り静かで、より高精細、高密度に印刷されるように改良
され、現在ではプリンターの主流を占めるに至ってい
る。
【0003】このインクジェット方式は、圧電材料を使
用してインクをノズルより吐出する方法、熱によりイン
ク内に気泡を発生させてインクを吐出させる方法等が提
案されている。これらの方法は、いずれも、プリンター
ヘッド内にインクを導入し、流路を通ってインクを供給
し、インク吐出口よりインクを吐出するものである。上
記の熱による方式のインクジェットプリンタヘッドを図
1に示すように、平板11に複数の隔壁12を備え、各
隔壁12間を流路13としてなる流路用部材10に、各
流路13を覆うように基板20を接合して構成される。
各流路13の一方端はインク吐出口14となり、他方端
はインク供給孔15を備えたインク室16と連通する。
また、基板20の各流路13に対応する位置には、発熱
体21及びこれに通電するための導体、即ち電極22が
備えられている。
【0004】そして、図2に示すように、流路13にイ
ンク30を充填した状態で発熱体21に通電し発熱させ
れば、インク30内に気泡32が発生し、この気泡32
が体積膨張する際の力でインク滴31をインク吐出口1
4から吐出することができる。
【0005】ところで、近年、インクジェットプリンタ
は、高精細化、高密度化が要求され、上記インクジェッ
トプリンタヘッド1を構成する流路用部材10において
は、隔壁12及び流路13の幅を数十μm程度に狭くす
ることが求められている。
【0006】このような微細な流路13を有する流路用
部材10を製造する方法としては、平板11上の隔壁1
2となる部分にマスキングを形成した上でサンドブラス
トにより流路13となる溝を加工する方法、平板11上
にスクリーン印刷を何度も施して隔壁12を形成する方
法、あるいは平板11上の隔壁12となる部分に感光性
樹脂を塗布し、フォトリソグラフィーにより流路13と
なる溝を形成する方法等が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記サ
ンドブラスト法では、粉体を吹きつけながら溝を掘り流
路13を形成していくことから、粉体の吹きつけ力、角
度等を一定としておく必要があり、流路13の内面を所
定形状に高精度に加工することが困難であった。また、
スクリーン印刷法では、何度も印刷をする必要があるた
め、隔壁12がいびつな形状になってしまうという問題
があった。さらに、フォトリソグラフィー法は、光の照
射角度、時間等により隔壁の直角度や深さ等に微妙な差
が生じ、高精度に流路13を形成することが困難であっ
た。
【0008】また、これらの方法で得られた流路用部材
10は、いずれも流路13の内面を滑らかな面とするこ
とが困難であった。
【0009】以上のように、いずれの方法も流路13を
高精度に形成することが困難であり、その内面を滑らか
な面とすることができなかった。その結果、流路13内
のインク30の流れに乱れが生じ、吐出量、吐出力、応
答性等の点でばらつきが生じやすいという課題があっ
た。
【0010】さらに、従来のインクジェットプリンタヘ
ッドには、各流路13に対応する基板20上に形成され
た発熱体21及び電極22が、流路13内を流れるイン
ク30との摩擦によって摩耗するため、樹脂やガラスな
どの保護層(不図示)で覆ってあるのであるが、流路用
部材10を製作したあと別途保護層を形成しなければな
らず、製造工程が増えるとともに、保護層が不均一にな
りやすく、各流路13の容積にばらつきが発生するなど
の課題もあった。
【0011】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、インクジェットプリンタヘッド等
に使用される流路用部材を高精度、高密度でかつ耐久性
良く、簡易に作製することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は、セラ
ミックス、ガラス、シリコン等からなる平板の一面に、
セラミックス、ガラス、シリコン等の粉体を凹部を有す
る成形型で成形して成る複数の隔壁を同一方向に整列さ
せて接合一体化し、各隔壁の間を流路室として流路用部
材を構成したことを特徴とする。
【0013】また、本発明は、セラミックス、ガラス、
シリコン等の粉体と溶媒及び有機性添加物から成るバイ
ンダーとの混合物を、隔壁用の複数の凹部を有する成形
型中に充填した後、この混合物をセラミックス、ガラ
ス、シリコン等からなる平板の一面に同一方向に整列さ
せて接合し一体化する工程から流路用部材を製造するこ
とを特徴とする。
【0014】さらに、本発明は、上記流路用部材におけ
る隔壁の上面に基板を接合して流路を覆うとともに、各
流路内に発熱体を備え、該発熱体の熱により流路中のイ
ンクに気泡を発生させてインクを吐出させるようにして
インクジェットプリンタヘッドを構成したことを特徴と
する。
【0015】また、本発明は、上記インクジェットプリ
ンタヘッドにおける流路内の発熱体が、隔壁と一体的に
形成された保護膜により覆われていることを特徴とす
る。
【0016】そして、本発明は、セラミックス、ガラ
ス、シリコン等の粉体と溶媒及び有機性添加物から成る
バインダーとの混合物を、同一方向に整列させた隔壁用
の複数の凹部とこれらの凹部と連通する大きな凹部を有
する成形型中に充填した後、この混合物と、セラミック
ス、ガラス、シリコン等からなる平板とを両者の間に発
熱体を介在させた状態で接合し一体化することにより各
隔壁の間を流路とする流路用部材を製作する工程と、該
流路用部材の隔壁の上面に基板を接合して流路を覆う工
程とから発熱体を保護膜で覆ったインクジェットプリン
タヘッドを製造することを特徴とする。
【0017】即ち、本発明によれば、予め用意した隔壁
用の凹部を有する成形型に隔壁用材料の混合物を充填
し、この混合物を平板の一面に接合一体化して同一方向
に整列する隔壁とすることによって、上記成形型の形状
がそのまま平板上に転写されることになる。そのため、
予め成形型を高密度、高精度に作製しておけば、容易に
隔壁を高密度、高精度に形成することが可能となるので
ある。
【0018】しかも、予め成形型の表面を滑らかにして
おけば、成形された隔壁の表面も滑らかになり、滑らか
な内面を有する流路を得ることができる。
【0019】また、本発明によれば、成形型に隔壁用の
複数の凹部とこれらの凹部に連通する大きな凹部を予め
形成しておき、この成形型に隔壁用材料の混合物を充填
し、この混合物を、発熱体を設けた平板に接合一体化す
ることによって、発熱体を隔壁と同一の材料からなる保
護膜によって覆うことができるため、インクの流れに伴
う発熱体の摩耗を防ぐことができることは勿論のこと、
隔壁の形成と同時に保護膜を一体的に形成することがで
き、製造工程を減らすことができるとともに、保護膜を
精度良く形成できるため、流路の容積にばらつきが少な
いインクジェットプリンタヘッドを得ることができる。
【0020】なお、ここで隔壁と平板を接合一体化する
とは、上記凹部を有する成形型中に混合物を充填し、平
板に密着し固化させた後、離型し焼成する工程や、成形
型に混合物を充填し固化させた後に離形し、その後平板
と密着して焼成する工程や、成形型に混合物を充填し、
固化した後に離形して焼成し、平板に接着または熱圧着
する工程等を含むものである。その他、一般的なガラス
やセラミックスの接合方法を使用することも可能であ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の流路用部材をイン
クジェットプリンタヘッドに適用した実施形態を説明す
る。
【0022】図1に示すように、ガラス、セラミック
ス、シリコン等の一種からなる平板11にガラス、セラ
ミックス、シリコン等の一種からなる複数の隔壁12を
接合一体化し、各隔壁12間を流路13として流路用部
材10を構成する。この流路用部材10に対し、各隔壁
12の上面に基板20を接合して流路13を覆い、各流
路13の一方端はインク吐出口14として、他方端はイ
ンク供給孔15を備えたインク室16と連通してインク
ジェットプリンタヘッド1を構成る。また、基板20の
各流路13に対応する位置には、発熱体21及びこれに
通電するための電極22が備えられている。
【0023】そして、図2に示すように、インク室16
を経由して流路13にインク30を充填した状態で発熱
体21に通電し発熱させれば、インク30内に気泡32
が発生し、この気泡32が体積膨張する際の力でインク
滴31をインク吐出口14から吐出することができる。
【0024】そして、詳細を後述するように、上記隔壁
12は成形型を用いて成形した後、平板11に接合一体
化したものであるため、高密度、高精度に形成すること
ができ、極めて高性能のインクジェットプリンタヘッド
1とすることができる。
【0025】次に、本発明の流路用部材10の製造方法
を説明する。
【0026】まず、図3(a)に示すように、隔壁12
の形状に合致した凹部19aを有する成形型19を用意
し、この成形型19の凹部19aに、隔壁12を成す材
質としてセラミックス、ガラス、シリコン等の粉末と溶
媒及び有機性添加物のバインダーとの混合物12’を充
填する。
【0027】一方、セラミックス、ガラス、シリコン等
から成る平板11を別に用意し、この平板11に上記混
合物12’の成形体を接合一体化し、隔壁12を形成す
るが、具体的には以下のように製造する。
【0028】まず、上記成形型19に充填した混合物1
2’の表面に平板11を押し当てて加圧接着し、混合物
12’を反応硬化するか又は乾燥して固化させる。その
後、図3(b)に上下を反転させて示すように、成形型
19を離型することによって、平板11上に混合物1
2’の成形体からなる隔壁12を転写する。最後に全体
を脱バインダー処理した後、同時焼成して一体化するこ
とにより、図1に示す流路用部材10を製造することが
できる。
【0029】また他の方法としては、成形型19に充填
した混合物12’を反応硬化又は乾燥固化した後、成形
型19から離型し、混合物12’の成形体を平板11に
固着する。最後に全体を脱バインダー処理した後、同時
焼成して一体化することによっても微細溝を有する流路
用部材10を得ることができる。
【0030】さらに他の方法としては、成形型19に充
填した混合物12’を反応硬化又は乾燥固化した後、成
形型19から離型し、脱バインダー処理した後でこの成
形体を平板11に接着する。最後に全体を同時焼成して
一体化することによっても微細溝を有する流路用部材1
0を得ることができる。
【0031】あるいは、成形型19に充填した混合物1
2’を反応硬化又は乾燥固化した後、成形型19から離
型し、脱バインダー処理して焼成した後でこの焼結体を
平板11に接着、熱圧着又は同時焼成により接合するこ
とによっても微細溝を有する流路用部材10を得ること
ができる。
【0032】即ち、平板11に混合物12’の成形体を
接合するのは、互いの部材が未焼成体、脱バインダー状
態、焼結体のいずれの段階であっても良い。
【0033】このような本発明の製造方法によれば、簡
単に隔壁12を形成できるため製造工程を極めて簡略化
できる。しかも、隔壁12及びその間の空間である流路
13は成形型19の凹部19aの形状が転写されるた
め、凹部19aを所定の形状に精密加工しておけば、所
定の隔壁12を容易に形成することができる。
【0034】また、このようにして得られた流路用部材
13の表面粗さは成形型19の表面粗さの度合いがその
まま転写される。したがって、予め成形型19の表面粗
さ(Rmax )を小さくしておけば、得られた流路用部材
13の表面粗さ(Rmax )は0.01〜0.8μmとす
ることができ、良好にインク30を送ることができる。
なお、ここで流路用部材13の表面粗さ(Rmax )を
0.01〜0.8μmとしたのは、0.01μm未満に
することは極めて困難であり、一方0.8μmを超える
とインク30の流れが乱れて、吐出量等や応答性にばら
つきが生じやすくなるためである。
【0035】さらに、図3の例では隔壁12の側面が平
板11に対して垂直であるような形状を示したが、隔壁
12が次第に肉薄状となるように、側面を斜面状又は曲
面状とすることもできる。
【0036】ここで、平板11及び隔壁12を成すセラ
ミックス粉体としては、アルミナ(Al2 3 )、ジル
コニア(ZrO2 )等の酸化物系セラミックスや、窒化
珪素(Si3 4 )、窒化アルミニウム(AlN)、炭
化珪素(SiC)等の非酸化物系セラミックス等、ある
いはアパタイト(Ca5 (PO4 3 (F,Cl,O
H))等のいずれをも用いることができ、これらのセラ
ミックス粉体には各種焼結助剤を所望量添加することが
できる。
【0037】上記焼結助剤としては、アルミナ粉末には
シリカ(SiO2 )、カルシア(CaO)、イットリア
(Y2 3 )及びマグネシア(MgO)等を、ジルコニ
ア粉末にはイットリア(Y2 3 )やセリウム(C
e)、ディスプロシウム(Dy)、イッテルビウム(Y
b)等の希土類元素の酸化物を、また窒化珪素粉末には
イットリア(Y2 3 )とアルミナ(Al2 3 )等
を、窒化アルミニウム粉末には周期律表第3a族元素酸
化物(RE2 3 )等を、炭化珪素粉末にはホウ素
(B)とカーボン(C)等を所望量添加することができ
る。
【0038】また、平板11及び隔壁12をなすガラス
粉体としては、ケイ酸塩を主成分とし、鉛(Pb)、硫
黄(S)、セレン(Se)、明礬等の一種以上を含有し
た各種ガラスを用いることができる。
【0039】さらに、平板11及び隔壁12をシリコン
粉末から形成することもできる。あるいは、平板11及
び隔壁12を上記各材料の複合粉体から形成したり、上
記と同様の特性を持った他の粉体で形成することもでき
る。
【0040】なお、これらセラミックス、ガラス、シリ
コン等の粉体の粒径は、数十ミクロンからサブミクロン
のものが好適に用いることができ、具体的には0.2〜
10μm、好ましくは0.2〜5μmの範囲のものが良
い。
【0041】さらに、これらのセラミックス、ガラス、
シリコンの粉末に添加する有機性添加物としては、尿素
樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹
脂、エボナイト、ポリシロキ酸シリケート等が挙げられ
る。そしてこれらの有機性添加物を反応硬化させる手段
としては、加熱硬化、紫外線照射硬化、X線照射硬化等
がある。なお、作業上、装置上の点からは加熱硬化が最
適であって、とりわけポットライフの点からは不飽和ポ
リエステル樹脂が好適である。
【0042】前記有機性添加物の含有量は、セラミック
ス、ガラス、シリコン等の粉体と焼結助剤等との混合物
の流動性及び成形性を維持するためには、粘性が高くな
らないようにする必要があり、一方、硬化時には十分な
保形性を有していることが望ましい。このような点か
ら、有機性添加物の含有量は、セラミックス、ガラス、
シリコン等の粉体100重量部に対して0.5重量部以
上で、かつ硬化による成形体の収縮という点からは35
重量部以下がより望ましく、なかでも焼成時の収縮を考
慮すると、1〜15重量部が最も好適である。
【0043】また、混合物12’中に加えられる溶媒と
は、前記有機性添加物を相溶するものであれば特に限定
するものではなく、例えば、トルエン、キシレン、ベン
ゼン、フタル酸エステル等の芳香族溶剤や、ヘキサノー
ル、オクタノール、デカノール、オキシアルコール等の
高級アルコール類、あるいは酢酸エステル、グリセライ
ド等のエステル類を用いることができる。
【0044】とりわけ、前記フタル酸エステル、オキシ
アルコール等は好適に使用でき、更に、溶媒を緩やかに
揮発させるために、前記溶媒を2種類以上併用すること
も可能である。
【0045】また、前記溶媒の含有量は、成形性の点か
らは成形体の保形性を維持するために、セラミックス、
ガラス、シリコン等の粉体100重量部に対して0.1
重量部以上必要であり、一方セラミックス、ガラス、シ
リコン等の粉体と有機性添加物の混合物の粘性を低くす
ることが望ましいことからは35重量部以下がより望ま
しく、乾燥時と焼成時の収縮を考慮すると1〜15重量
部であることが最も望ましい。
【0046】なお、本発明における成形型19は、有機
性添加物を硬化させる時に何ら支障無きものであれば良
く、材質は特に限定されないが、例えば金属や樹脂、あ
るいはゴム等が使用でき、必要ならば離型性向上や磨耗
防止のために、表面被覆等の表面処理を行ってもよい。
【0047】また、上記平板11は、セラミックス、ガ
ラス、シリコン等の未焼成のグリーンシートあるいは焼
結体であり、例えば各種セラミックグリーンシートや各
種ガラス基板、磁器基板等を用い、隔壁12と同じ材質
または熱膨張率が近似した材質を用いる。なお、ガラス
基板としては、例えばソーダライムガラスやその歪み点
を向上するために無機フィラーを分散させた物など比較
的安価なガラスを使用できる。
【0048】また、前記混合物12’と平板11とを圧
着する際の接着性向上のために、シランカップリング剤
やチタネートカップリング剤、アルミネートカップリン
グ剤等の各種カップリング剤を使用することができ、な
かでも反応性が高いことからシランカップリング剤が好
適である。
【0049】さらに、混合物12’と平板11との圧着
は、均一に圧力を加えるという点からは静水圧の装置を
用いるのが望ましく、加圧条件としては、成形型19を
変形させない圧力範囲となり、該圧力範囲は成形型19
の強度に左右されるが、例えばシリコンゴム製の成形型
19を用いた場合、約100g/cm2 程度の加圧条件
で行うのが望ましい。
【0050】また、混合物12’において、セラミック
ス又はガラス粉体の分散性の向上のために、例えば、ポ
リエチレングリコールエーテル、アルギルスルホン酸
塩、ポリカルボン酸塩、アルキルアンモニウム塩等の界
面活性剤を添加してもよく、その含有量としては分散性
の向上及び熱分解性の点から、セラミックス又はガラス
粉体100重量部に対して0.05〜5重量部が望まし
い。
【0051】さらに、混合物12’中のバインダーには
硬化反応促進剤または重合開始剤等と称される硬化触媒
を添加することができる。前記硬化触媒としては、有機
過酸化物やアゾ化合物を使用することができ、例えば、
ケトンパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パー
オキシケタール、パーオキシエステル、ハイドロパーオ
キサイド、パーオキシカーボネート、t−ブチルパーオ
キシ−2−エチルヘキサノエート、ビス(4−t−ブチ
ルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジクミ
ルパーオキサイド等の有機過酸化物や、アゾビス、イソ
ブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられるまた、図1
に示すインクジェットプリンタヘッド1を構成する平板
20の材質としては、流路用部材10と同様にセラミッ
クス、ガラス、シリコン等を用い、この基板20と流路
用部材10との間は、樹脂や低融点ガラスを用いたり、
あるいは熱により接合する。
【0052】さらに、基板20に備える電極22として
はW,Mo,Ag,Ag−Pd,Pd,Pt、Au,N
i,Cr等の金属もしくはこれらの2種以上を組み合わ
せたものを用いる。
【0053】なお、上記実施形態では基板20側に発熱
体21を備えたが、流路用部材10側に発熱体21を備
えることもできる。あるいは、これらの流路用部材10
を複数個積み重ねることもできる。
【0054】次に、本発明の他のインクジェットプリン
タへッドについて説明する。
【0055】図4(d)に示すインクジェットプリンタ
へッド31は、流路用部材10側に発熱体21を備えた
ものであり、流路13に対応する平板11に発熱体21
とこれに通電するための電極22を備えている。また、
この発熱体21及び電極22上には隔壁12と一体的に
形成され、同一の材料からなる保護膜33を設けてあ
り、該保護膜33が流路13の底面を構成するようにな
っている。
【0056】このように、流路13に配置された発熱体
21及び電極22を隔壁12と一体的に形成された保護
膜33で覆うことにより、インク30の流れに伴う発熱
体21や電極22の摩耗を防ぐことができる。
【0057】また、このようなインクジェットプリンタ
へッド31を製造する方法としては、図4(a)に示す
ように、基本的には図3のように流路用部材10を形成
すれば良いのであるが、成形型29として同一方向に整
列させた隔壁用の複数の凹部29aとこれらの凹部29
aと連通する大きな凹部29bを有するものを使用す
る。そして、この成形型29の凹部29a、29bに、
隔壁12及び保護膜33を成す材質としてセラミック
ス、ガラス、シリコン等の粉末と溶媒及び有機性添加物
のバインダーとの混合物12’を充填する。
【0058】一方、図4(b)に示すように、セラミッ
クス、ガラス、シリコン等から成る平板11を別に用意
し、この平板11の流路13に対応する位置に発熱体2
1と電極22を敷設したものを上記混合物12’の成形
体と接合一体化することにより、発熱体21が隔壁12
と一体的に形成された保護膜33で被覆された流路用部
材10を形成する。なお、平板11に混合物12’の成
形体を接合するには、互いの部材が未焼成体、脱バイン
ダー状態、焼結体のいずれの段階であっても良く、混合
物12’の成形体と平板11とを接合一体化する方法と
しては、図3と同様の方法により行えば良い。
【0059】この方法によれば、隔壁12と保護膜33
は、成形型29の凹部29a、29bの形状がそのまま
転写されるため、凹部29a、29bを所定の形状に精
密加工しておけば、所定の寸法精度に形成された隔壁1
2と保護膜33を容易に形成することができ、流路13
の容積にばらつきのない流路用部材10を得ることがで
きるとともに、隔壁12の形成と同時に保護膜33を一
体的に形成することができるため、製造工程を簡略化す
ることができる。
【0060】そして、図4(c)に示すように、上記流
路用部材10の隔壁12の上面に基板20を接合すれ
ば、図4(d)に示すインクジェットプリンタへッド3
1を効率良く製造することができる。なお、このインク
ジェットプリンタへッド31においては、基板20をセ
ラミックス、ガラス、シリコン以外に樹脂や金属により
形成することも可能である。
【0061】以上のように、上記実施形態では、流路1
3の一方端をインク吐出口14とした例を持って説明し
たが、図1においては平板11に、図4(d)において
は基板20にそれぞれ各流路13に対応するノズル孔を
設けてインク吐出口14としたタイプのインクジェット
プリンタへッドにも適用できることは言うまでもない。
また、流路13中に発熱体21を備え、熱により気泡を
発生させる方式のインクジェットプリンタヘッド1に適
用した例を示したが、圧電方式のインクジェットプリン
タヘッドにおけるインクの流路、あるいは上記気泡発生
方式と圧電方式の複合型のインクジェットプリンタヘッ
ドにおけるインクの流路、さらには他の方式の流路とし
て本発明の流路用部材を用いることもできる。
【0062】さらに、本発明の流路用部材は、インクジ
ェットプリンタヘッドに限らず、小型ポンプやエアーポ
ンプによる真空吸引盤用部材等のさまざまな用途に使用
することができる。
【0063】
【実施例】実施例1 図1に示す本発明の流路用部材10を試作した。隔壁1
2を成すセラミック粉体として、平均粒径が0.2〜5
μmのアルミナ(Al2 3 )、ジルコニア(Zr
2 )、窒化珪素(Si3 4 )及び窒化アルミニウム
(AlN)を各主成分とし、前記公知の焼結助剤をそれ
ぞれ必要に応じて添加した。これらのセラミック粉体1
00重量部に対し、表1に示すようなバインダー組成物
をそれぞれ添加混合してセラミック成形用組成物を調整
して混合物12’とした。なお、表1に示すバインダー
組成物の種類は、表2に示した通りである。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】このようにして得られた混合物12’を真
空脱泡した後、図3(a)に示すように、シリコン樹脂
で作製した成形型19の凹部19aに注入充填した。
【0067】その後、成形型19に充填した混合物1
2’の表面に、混合物12’と同系のセラミック焼結体
からなる平板11を載置し、この平板11を成形型19
とともに100g/cm2 の圧力で加圧しながら加熱炉
に収容し、100℃の温度で45分間保持して加熱硬化
させた。
【0068】硬化完了後、図3(b)に示すように、成
形型19から平板11と密着した隔壁12を離型し、こ
の成形体を120℃で5時間乾燥し、次いで窒素雰囲気
中、250℃で3時間保持した後、500℃に昇温して
12時間保持し、脱バインダーを行った。その後、アル
ミナを主成分とするものは、大気中、1600℃で2時
間保持、ジルコニアを主成分とするものは、大気中、1
450℃で2時間保持、窒化珪素を主成分とするもの
は、窒素雰囲気中、1650℃で10時間保持、窒化ア
ルミニウムを主成分とするものは、窒素雰囲気中、18
00℃で3時間保持して、焼成一体化し、図1に示す本
発明の流路用部材10を得た。
【0069】なお、流路用部材10の隔壁12の幅は5
0μm、流路13の幅は100μmとした。
【0070】一方、流路用部材10と同じ材質で基板2
0を形成し、この基板20上に発熱体21を備えた後、
ガラスによって流路用部材10と接合し、インクジェッ
トプリンタヘッド1を作製した。このインクジェットプ
リンタヘッド1を実機に搭載して使用試験を行ったとこ
ろ、良好に使用でることが確認された。
【0071】実施例2 次に、本発明実施例として、前述の表1中No.3の材
料を用い、成形型19の表面粗さの異なるものを用いる
ことによって、表面粗さの異なる流路用部材10を作製
した。
【0072】一方、比較例として、同じ材質、寸法で、
サンドブラスト法、スクリーン印刷法により流路用部材
を作製した。
【0073】これらの流路用部材10を用いて上述した
ようにインクジェットプリンタヘッド1を作製し、実機
に搭載して使用試験を行った。それぞれ、インクを吐出
する際の噴出力(インクの飛ぶ距離)、インク量の均一
性、及び応答性について評価した。
【0074】結果は表3に示すように、本発明の流路用
部材において、表面粗さ(Rmax )を0.8μm以下と
すれば、非常に特性を高くできることがわかる。
【0075】
【表3】
【0076】また、平板11、隔壁12の材質として
は、上述したセラミックスに限らず、その他のセラミッ
クスや、各種ガラス、あるいはシリコン等を用いても同
様の効果を得られることを確認した。
【0077】実施例3 次に、本発明の他の実施例として、アルミナセラミック
スからなる平板11を用い、この平板11上の各流路1
3に対応する位置に、タングステンからなる発熱体21
とニッケルからなる電極22をそれぞれスクリ−ン印刷
法にて敷設したあと、図4(a)に示すように、成形型
29の凹部29a、29bに、平均粒径が0.2〜5μ
mのアルミナ(Al2 3 )を主成分とし、表1、2に
示すような割合でバインダー組成物をそれぞれ添加混合
したセラミック成形用組成物を注入充填し、成形型29
に充填した混合物12’の表面に、発熱体21と電極2
2を設けた平板11を載置し、この平板11を成形型2
9とともに100g/cm2 の圧力で加圧しながら加熱
炉に収容し、100℃の温度で45分間保持して加熱硬
化させた。
【0078】しかるのち、成形型29から平板11と密
着した隔壁12及び保護膜33を離型し、この成形体を
120℃で5時間乾燥し、次いで窒素雰囲気中、250
℃で3時間保持した後、500℃に昇温して12時間保
持し、脱バインダーを行った。その後、大気中、160
0℃で2時間保持して、焼成一体化し、図3(b)に示
す流路用部材10を得た。なお、流路用部材10の隔壁
12の幅は50μm、流路13の幅は100μmとし
た。
【0079】そして、アルミナセラミックスからなる基
板20を流路用部材10の隔壁12の上面にガラス接合
してインクジェットプリンタヘッド31を作製し、この
インクジェットプリンタヘッド31を実機に搭載して使
用試験を行ったところ、良好に使用でき、さらには発熱
体の摩耗がなく耐久性に優れることが確認された。
【0080】
【発明の効果】叙上の如く、本発明によれば、セラミッ
クス、ガラス、シリコン等からなる平板の一面に、セラ
ミックス、ガラス、シリコン等の粉体を凹部を有する成
形型で成形して成る隔壁を同一方向に整列させて接合一
体化し、各隔壁の間を流路としたことによって、簡単な
工程で、高密度、高精度の流路用部材を得ることができ
る。
【0081】また、本発明によれば、セラミックス、ガ
ラス、シリコン等の粉体と溶媒及び有機性添加物から成
るバインダーとの混合物を、隔壁用の凹部を有する成形
型中に充填した後、この混合物をセラミックス、ガラ
ス、シリコン等からなる平板の一面に接合し一体化する
工程から流路用部材を製造することによって、上記成形
型の形状がそのまま平板上に転写れるため、予め成形型
を高密度、高精度に作製しておけば、容易に隔壁を高密
度、高精度に形成することが可能となる。
【0082】従って、本発明によれば、高密度、高精度
の流路用部材を極めて簡単な工程で製作することがで
き、例えば、この流路用部材の隔壁の上面に基板を接合
するとともに、流路内に発熱体を設けることにより、熱
によってインクを吐出するタイプのインクジェットプリ
ンタヘッドを製作することができるなど、様々な用途に
好適に使用することができる。
【0083】特に、上記熱によってインクを吐出するタ
イプのインクジェットプリンタヘッドにおいて、隔壁と
一体的に形成された保護膜で発熱体を覆うことにより、
インクの流れに伴う摩擦によって発熱体が摩耗すること
を防ぐことができるため、耐久性をさらに高めることが
できるとともに、前記成形型に予め保護膜に対応する凹
部を形成しておくことにより、前記方法でもって隔壁と
保護膜とを一体的に形成することができ、作業性を高め
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の流路用部材を用いたインクジェットプ
リンタヘッドの概略分解斜視図である。
【図2】図1のインクジェットプリンタヘッドの吐出口
近傍の縦断面図である。
【図3】(a)(b)は本発明の流路用部材の製造方法
を説明するための断面図である。
【図4】(a)〜(d)は本発明の流路用部材を用いた
他のインクジェットプリンタヘッドの製造方法を説明す
るための断面図である。
【符号の説明】
1,31:インクジェットプリンタヘッド 10:流路用部材 11:平板 12:隔壁 13:流路 14:インク吐出口 15:インク供給孔 16:インク室 19,29:成形型 19a,29a,29b:凹部 20:基板 21:発熱体 22:電極 30:インク 31:インク滴 32:気泡 33:保護膜

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミックス、ガラス、シリコン等からな
    る平板の一面に、セラミックス、ガラス、シリコン等の
    粉体を凹部を有する成形型で成形して成る複数の隔壁を
    同一方向に整列させて接合一体化し、各隔壁の間を流路
    としてなる流路用部材。
  2. 【請求項2】セラミックス、ガラス、シリコン等の粉体
    と溶媒及び有機性添加物から成るバインダーとの混合物
    を、隔壁用の複数の凹部を有する成形型中に充填した
    後、この混合物をセラミックス、ガラス、シリコン等か
    らなる平板の一面に同一方向に整列させて接合し一体化
    する工程からなる流路用部材の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の流路用部材における隔壁
    の上面に基板を接合して流路を覆うとともに、各流路内
    に発熱体を備え、該発熱体の熱により流路中のインクに
    気泡を発生させてインクを吐出させるようにしたインク
    ジェットプリンタヘッド。
  4. 【請求項4】請求項3に記載のインクジェットプリンタ
    ヘッドにおける流路内の発熱体が、隔壁と一体的に形成
    された保護膜によって被覆されてなるインクジェットプ
    リンタヘッド。
  5. 【請求項5】セラミックス、ガラス、シリコン等の粉体
    と溶媒及び有機性添加物から成るバインダーとの混合物
    を、同一方向に整列させた隔壁用の複数の凹部とこれら
    の凹部と連通する大きな凹部を有する成形型中に充填し
    た後、この混合物と、セラミックス、ガラス、シリコン
    等からなる平板とを両者の間に発熱体を介在させた状態
    で接合し一体化することにより各隔壁の間を流路とする
    流路用部材を製作する工程と、該流路用部材の隔壁の上
    面に基板を接合して流路を覆う工程とからなる請求項4
    に記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008149733A (ja) * 2008-03-13 2008-07-03 Konica Minolta Holdings Inc インクジェットヘッド
KR100928616B1 (ko) 2008-12-04 2009-11-30 황춘섭 밀착부와 공간부로 구성되고 Jet printing되는 극미세인쇄방법
US7766462B2 (en) 2007-02-21 2010-08-03 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Method for forming a fluid ejection device

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