JP3493277B2 - プラズマディスプレイパネル用基板の製造方法およびこれにより得られるプラズマディスプレイパネル用基板並びにプラズマディスプレイパネル - Google Patents

プラズマディスプレイパネル用基板の製造方法およびこれにより得られるプラズマディスプレイパネル用基板並びにプラズマディスプレイパネル

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JP3493277B2
JP3493277B2 JP4085697A JP4085697A JP3493277B2 JP 3493277 B2 JP3493277 B2 JP 3493277B2 JP 4085697 A JP4085697 A JP 4085697A JP 4085697 A JP4085697 A JP 4085697A JP 3493277 B2 JP3493277 B2 JP 3493277B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高精度かつ安価な
薄型の大画面用カラー表示装置等に用いられるプラズマ
ディスプレイパネル用基板の放電表示セルを構成する隔
壁と電極を同時に形成する際に好適な電極用組成物及び
それを用いたプラズマディスプレイパネル用基板の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、大型画面で高画質、軽量薄型の画
像表示装置としてプラズマ発光を利用した画像装置が注
目されている。
【0003】かかる薄型の大画面用のカラー表示装置等
に用いられるプラズマディスプレイパネル(以降、PD
Pと略記する)は、一方の絶縁基板である背面板の表面
に多数の隔壁を形成し、該隔壁と背面板で囲まれた微小
な空間を放電表示セルとし、該セルの底面に電極を備え
たものをPDP用基板とし、該基板に対して放電表示セ
ルの内壁面となる隔壁の側面に蛍光体を塗布し、一方、
線状の電極を備えた他方の絶縁基板である正面板をPD
P用基板の隔壁の頂部に接合して前記空間に対向する電
極を設け、前記放電表示セルに希ガス等の放電可能なガ
スを封入した気密構造を成すものである。
【0004】そして、前記対向する電極間に放電により
プラズマを発生させ、該プラズマから放出される紫外光
により前記放電表示セル内に形成された蛍光体を発光さ
せて画面の発光素子として利用するものである。
【0005】一般に、前記PDP用基板を製造する際に
は、予め背面板の表面上に電極を形成した後、各電極間
に隔壁を形成するが、この隔壁の製造方法としては従来
より印刷積層法や多層積層法、ブラスト法、転写法等が
知られている。
【0006】前記印刷積層法は、隔壁を成す材料を主成
分とするペーストを用いて厚膜印刷法により背面板上に
所定のパターンで放電表示セルを構成する隔壁を印刷形
成するもので、1回の印刷で形成できる厚さが約10〜
15μm程度であることから、印刷・乾燥を繰り返しな
がら、約100〜200μm程度の高さを必要とする隔
壁を形成するものである(特開平2−213020号公
報参照)。
【0007】また、グリーンシート多層積層法は、所定
形状に穿孔した複数枚のグリーンシートを必要な高さと
なるように積層固着して前記隔壁を形成するものである
(特開平1−213936号公報参照)。
【0008】一方、前記ブラスト法は、背面板の全面に
所定厚さのガラス層を形成し、該ガラス層の表面に隔壁
形状のレジストマスクを形成しておき、サンドブラスト
にて隔壁以外の部分のガラス層を除去して隔壁を形成す
るものである(特開平4−259728号公報参照)。
【0009】更に、転写法は、隔壁形状を有する成形型
の凹部に泥漿を充填し、該充填物を背面板となるガラス
又はセラミック基板に接着転写するものである(特開平
5−334956号公報参照)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記印
刷積層法では、所定の高さの隔壁を形成するために何回
も印刷・乾燥工程を繰り返して積層しなければならず、
極めて工程数が多くなる上、積層毎に精度よく印刷する
必要があるため、非常に歩留りが悪く、更に、印刷時の
位置ズレにより隔壁が変形し易く、かつ印刷製版の伸び
等も加わって放電表示セルの寸法精度が低くなり易く、
高精細度化の要求を満足するものではなかった。
【0011】また、前記グリーンシート多層積層法は、
穿孔した複数枚のグリーンシートを一度に積層固着して
隔壁を形成することができるものの、放電表示セルのピ
ッチを微細化して、画面を高精細度化するために放電表
示セルの開口部に対して隔壁の厚さを薄くすると、開孔
面積は増大するもののグリーンシートの強度が低下し、
そのために積層時に高精度な位置決めが困難であるとい
う課題があった。
【0012】一方、前記ブラスト法においては、フォト
レジストを用いるため精密な現像処理を必要とし、未現
像部分から生じる隔壁の欠陥、即ち隔壁の端部に欠けが
発生し易く、歩留り良く高精度に隔壁を形成することが
困難であり、その上、安定して量産することが困難であ
り、大量生産には適さないという課題があった。
【0013】更に、前記転写法では、転写した充填成形
体を成形型から脱型する時に隔壁の破損を招き易く、製
造歩留りが極めて悪いという課題があった。
【0014】以上の如く前記隔壁の製造方法に基づくP
DP用基板にはそれぞれ固有の課題を有しているが、い
ずれも、隔壁材料をペースト状またはグリーンシート、
あるいは泥漿状の形態で前記隔壁を成形して焼成するた
め、焼成収縮率を見込んで隔壁成形体の高さを成形する
必要がある。
【0015】そのために、印刷積層回数やグリーンシー
ト積層枚数の増加、あるいは成形型の凹部を形成する壁
が薄片化する等、製造歩留りが著しく低下する他、成形
体の形状が焼成収縮により変形し易く、均一な隔壁形
状、特に隔壁の端部の平坦性と厚さの均一性を得難く、
その上、前記いずれの方法でも、絶縁基板に形成した電
極との位置合わせ精度が不十分であるという共通の課題
もあった。
【0016】
【発明の目的】本発明は前記課題に鑑み成されたもの
で、その目的は、簡単な成形工程で平滑な表面状態を有
し、寸法形状が良好で、かつ放電表示セルのピッチが
0.25mm未満の高精細度化が実現できる高精度の隔
壁と電極を位置ずれなく、更に隔壁と電極との界面にク
ラック等がなく安定した通電状態が得られ、かつ40イ
ンチ以上の大画面化が容易で、製造工程の短縮及び簡略
化と共に高い製品歩留りが実現でき、高精細度化が可能
なPDPの電極用組成物及びそれを用いたPDP用基板
の製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記課題を
解消するために、鋭意検討した結果、ガラスやセラミッ
クスから成る絶縁基板と隔壁成形体を焼成一体化する
際、隔壁成形型と絶縁基板との当接部が隔壁間の電極形
成部に該当することを利用し、隔壁成形型の凸部に電極
用組成物を塗布しておくことにより、隔壁と電極を同時
に形成することができ、隔壁と電極の熱膨張率を調整し
ておくことにより、欠けや変形等がないより優れた寸法
精度の隔壁が得られると共に、隔壁と電極の位置合わせ
が不要となる上、隔壁と電極との界面にクラック等の欠
陥がなく、通電特性も損なわない放電表示セルを有する
PDP用基板を得ることができることを見いだした。
【0018】即ち、本発明の電極用組成物は、PDPの
放電表示セルを構成する隔壁と電極を同時に形成するた
めに導電材料と有機性添加物から成るバインダーにフィ
ラーとしてガラス及びセラミックスを一定範囲で含有さ
せることを特徴とするものであり、前記フィラーとして
は隔壁を形成するガラス及びセラミックスから成るもの
がより望ましいものである。
【0019】また、前記電極用組成物を用いたPDP用
基板の製造方法は、隔壁成形型の凸部表面に電極用組成
物を塗布し、隔壁成形型の凹部に隔壁材料を充填して硬
化させるか、あるいは隔壁成形型を電極用組成物で絶縁
基板に接着固定した後、隔壁成形型に隔壁材料を充填し
て硬化させた後、電極用組成物及び隔壁成形体を500
〜650℃の温度で絶縁基板と一体的に焼成して隔壁と
電極を同時に形成することを特徴とするものであり、電
極用組成物のフィラーとしてPDP用基板を構成する隔
壁の材料であるガラス及びセラミックスから成るものが
より好適である。
【0020】
【作用】本発明の電極用組成物によれば、該組成物中に
ガラスとセラミックスを所定量含有させることから、隔
壁と電極との熱膨張差が小さくなり、隔壁構造と電極と
を隔壁成形型を用いて同時に形成する際、電極位置合わ
せの必要がなく、高アスペクト比の隔壁構造と正確な位
置に電極を短時間で形成でき、同時焼成により大幅な工
程の省力化が可能となる。
【0021】また、本発明のPDP用基板の製造方法に
よれば、前記電極用組成物を用いて隔壁成形型の凸部に
予め塗布したり、あるいは絶縁基板との接着に用いたり
して隔壁成形体と同時に隔壁間に電極を成形し、前記絶
縁基板と一体的に焼成することから、隔壁焼結体と電極
が位置ズレを起こしたり、変形を生じたりすることがな
く隔壁の表面状態も良好で、かつ成形型の寸法精度がそ
のまま成形体に反映され、しかも隔壁間に互いに平行な
電極を所定位置に正確にクラックやひけ等の欠陥を生じ
ることなく形成でき、簡単な成形工程で、高精細度化さ
れた大型のPDP用基板を容易に製造できることにな
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の電極用組成物及び
それを用いたPDP用基板の製造方法について詳細に述
べる。
【0023】本発明の隔壁と同時に形成させる電極用組
成物として、含有するフィラー成分のガラスは、隔壁材
料の主成分であり、特に限定される物ではないが、ケイ
酸塩以外に硫黄(S)、セレン(Se)、明礬等の一種
以上を含有した各種ガラスのいずれも適用でき、特に溶
融点を低下させる目的で酸化鉛等を含有させることが望
ましく、また放電時のプラズマによりガラス質が劣化す
るのを防止するためには、アルカリ金属類の含有量が1
重量%以下が望ましい。
【0024】一方、セラミックスとしては、アルミナ
(Al2 3 )、ジルコニア(ZrO 2 )等の酸化物系
セラミックスや、窒化珪素(Si3 4 )、窒化アルミ
ニウム(AlN)、炭化珪素(SiC)等の非酸化物系
セラミックス、あるいはアパタイト(Ca5 (PO4
3 (F、Cl、OH))等のいずれも適応できる。
【0025】更に、前記セラミックスには各種焼結助剤
を所望量添加させることができ、該焼結助剤としては、
例えば、Al2 3 にはシリカ(SiO2 )、カルシア
(CaO)、イットリア(Y2 3 )及びマグネシア
(MgO)等を、ZrO2 にはイットリア(Y2 3
やセリウム(Ce)、ジスプロシウム(Dy)、イッテ
ルビウム(Yb)等の希土類元素の酸化物を、またSi
3 4 にはイットリア(Y2 3 )とアルミナ(Al2
3 )等を、窒化アルミニウム粉末には周期律表第3a
族元素酸化物(RE2 3 )等を、SiCにはホウ素
(B)とカーボン(C)等を所望量添加することができ
る。
【0026】尚、これらガラス及びセラミックスの粉末
の粒径は、数十ミクロンからサブミクロンのものが好適
に用いることができ、具体的には0.2〜10μm、好
ましくは0.2〜5μmの範囲のものが良い。
【0027】また、前記ガラスとセラミックスの割合は
特に限定されるものではないが、20対80〜95対5
の範囲がより望ましく、65対35〜85対15の範囲
が最適である。
【0028】更に、前記フィラーの熱膨張率は80〜9
0×10-7/℃がより望ましく、特に85〜87×10
-7/℃が最も好ましい。
【0029】次に、電極用組成物を構成する導電材料と
しては、例えば、銀(Ag)やアルミニウム(Al)、
ニッケル(Ni)、白金(Pt)、金(Au)、パラジ
ウム(Pd)等の金属粉末や、各種金属の炭化物や窒化
物等の導電性セラミック粉末も使用でき、その際、バイ
ンダーに前記導電材料のみの添加では、隔壁焼成温度で
ある500〜650℃では焼結しないため、導電材料の
保形上からも、低融点ガラスから成る添加物を適宜添加
混合することが望ましい。
【0030】この結果、前記電極用組成物は、隔壁材料
と同時焼成することによりバインダー成分が分解除去さ
れるとともに前記低融点ガラスにより保持された電極が
所定位置に被着形成されることになり、隔壁間に互いに
平行な電極を位置ずれなく形成できる。
【0031】しかしながら、隔壁と電極とを同時に焼成
するためには、隔壁間に配置した電極が変形して絶縁基
板から剥離したり、隔壁が変形したりクラックを発生し
たり、隔壁と電極との界面にクラックを発生しないよう
に、放電表示セルを構成する絶縁基板や隔壁と電極との
熱膨張率の整合を図るとともに、隔壁材料及び電極用組
成物は、共に絶縁基板の変形の起こらない650℃以下
の温度で焼成が可能であることが必要である。
【0032】そこで、前記ガラスとセラミックスから成
るフィラーの含有量が1重量%未満では、焼成の昇温過
程で電極用組成物の膨張により隔壁成形体が変形してし
まい、未だ十分な強度を有していない隔壁はクラックを
生じることになる。
【0033】一方、30重量%を越えると、焼成の降温
過程で電極の収縮により、電極自身にクラックが走り、
極端な場合には、絶縁基板から電極が剥離してしまう。
【0034】従って、前記電極用組成物に含有させるフ
ィラーの量は、1〜30重量%に限定されるが、電極と
して導電材料の低抵抗化を確保しながら電極用組成物の
加熱冷却による膨張収縮を効果的に緩和するためには、
フィラーは隔壁材料と同一組成のガラス及びセラミック
スであることが望ましく、その含有量は18〜25重量
%が最適である。
【0035】次に、本発明の電極用組成物に添加される
有機性添加物から成るバインダーとしては、アクリル樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキ
シ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレ
タン樹脂、エボナイト、ポリシロキ酸シリケート等、及
びそのモノマー、オリゴマーが挙げられ、これらの有機
性添加物を反応硬化させる手段としては、加熱硬化、紫
外線照射硬化、X線照射硬化等があるが、作業上や装置
上の点からは加熱硬化が最適であって、とりわけポット
ライフの点からはアクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、及びそのモノマーが好適である。
【0036】また、前記有機性添加物の含有量は、前記
ガラス及びセラミック粉末と焼結助剤等との混合物の流
動性を維持するためには、粘性が高くならないようにす
る必要があり、一方で硬化時には十分な保形性を有して
いることが望ましいことから、有機性添加物の含有量
は、ガラス及びセラミック粉末100重量部に対して
0.5重量部以上で、かつ硬化による収縮という点から
は35重量部以下が望ましく、なかでも焼成時の収縮を
考慮すると、1〜15重量部が最も好適である。
【0037】また、電極用組成物中に加えられる溶媒と
しては、前記有機性添加物を相溶するものであれば特に
限定するものではなく、例えば、トルエン、キシレン、
ベンゼン、フタル酸エステル等の芳香族溶剤や、ヘキサ
ノール、オクタノール、デカノール、オキシアルコール
等の高級アルコール類、あるいは酢酸エステル、グリセ
ライド等のエステル類を用いることができる。
【0038】とりわけ、前記フタル酸エステル、オキシ
アルコール等は好適に使用でき、更に、溶媒を緩やかに
揮発させるために、前記溶媒を2種類以上併用すること
も可能である。
【0039】また、前記溶媒の含有量は、成形体の保形
性を維持するためにはガラス及びセラミック粉末100
重量部に対して0.1重量部以上必要であり、一方、ガ
ラス及びセラミック粉体と有機性添加物の混合物の粘性
を低くすることが好ましいことからは35重量部以下が
望ましく、乾燥時と焼成時の収縮を考慮すると1〜15
重量部であることが最も望ましい。
【0040】また、本発明の隔壁材料としては、従来か
ら使用されているPDP用隔壁材料と同様、ガラスもし
くはセラミック粉体を主成分とする混合物から成るもの
が適用でき、特に限定するものではないが、絶縁基板と
一体化するためには前記混合物に含有する有機バインダ
ーとして熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることが望
ましく、隔壁成形型への充填性の点からは低粘度のもの
が良く、例えば前記隔壁成形型を有機材料で構成する場
合には、その軟化温度以下で分解し、ガスを発生する成
分を含有しないことが望ましい。
【0041】また、前記隔壁材料において、ガラス及び
セラミック粉体の分散性の向上のために、例えば、ポリ
エチレングリコールエーテル、ナフタレンスルホン酸
塩、ポリカルボン酸塩、アルキルアンモニウム塩等の界
面活性剤を添加しても良く、その含有量としては分散性
の向上及び熱分解性の点から、ガラス及びセラミック粉
体100重量部に対して0.05〜5重量部が望まし
い。
【0042】更に、前記隔壁材料中のバインダーには硬
化反応促進剤又は重合開始剤である硬化触媒を添加する
ことができ、前記硬化触媒としては、有機過酸化物やア
ゾ化合物を使用することができ、例えば、ケトンパーオ
キサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシケター
ル、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、パ
ーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキ
シル)パーオキシジカーボネート、ジクミルパーオキサ
イド等の有機過酸化物や、アゾビス、イソブチルニトリ
ル等のアゾ化合物が挙げられる。
【0043】なお、絶縁基板としては、各工程での取扱
いに耐える程度の強度を有する未焼成のグリーンシート
あるいは焼結体で、材質は特に限定しないが、例えば各
種ガラス基板や各種セラミックグリーンシート、磁器基
板等で隔壁の材質と熱膨張率が近似していることが望ま
しい。
【0044】前記ガラス基板としては、例えばソーダラ
イムガラスやその歪み点を向上するために無機フィラー
を分散させた物など比較的安価なガラスが使用できる。
【0045】また、前記隔壁材料や電極用組成物と絶縁
基板とを圧着する際の接着性向上のために、シランカッ
プリング剤やチタネートカップリング剤、アルミネート
カップリング剤等の各種カップリング剤を使用すること
ができ、なかでも反応性が高いことからシランカップリ
ング剤が好適である。
【0046】更に、前記隔壁材料や電極用組成物と絶縁
基板との圧着は、均一に圧力を加えるという点からは静
水圧の装置を用いるのが望ましく、加圧条件としては、
成形型を変形させない圧力範囲となり、該圧力範囲は隔
壁成形型の強度に左右されるが、例えばPET製の隔壁
成形型を用いた場合、約100g/cm2 以下の加圧条
件で行うのが望ましい。
【0047】次に、本発明のPDP用基板の製造方法に
ついて詳述する。
【0048】先ず、隔壁形状の空間を有する隔壁成形型
の凸部に電極用の導電材料とフィラーと有機性添加物か
ら成るバインダーとの混合物である電極用組成物を塗布
し、前記隔壁形状の空間に泥漿状のガラス及びセラミッ
クスと有機性添加物から成るバインダーの混合物である
隔壁材料をドクターブレード法等を応用して充填した
後、ガラス及びセラミックスから成る絶縁基板上に密着
固定した後、充填物を反応硬化又は乾燥固化して脱型
し、脱バインダーの熱処理後、絶縁基板と共に隔壁成形
体及び電極を焼成一体化することにより、PDP用基板
が得られる。
【0049】本発明の他のPDP用基板の製造方法とし
ては、隔壁成形型の凸部を位置合わせして前記電極用組
成物を接着剤として絶縁基板に接着固定した後、減圧装
置に収納した前記泥漿状の隔壁材料中に浸漬し、減圧し
て隔壁成形型の隔壁となる空間に隔壁材料を含浸させた
後、前記隔壁材料を反応硬化するか又は乾燥処理をして
固化させてから脱バインダーの熱処理を施しても良い。
【0050】また、前記製造方法では、いずれも電極用
組成物及び隔壁材料を硬化あるいは固化させた後、隔壁
成形型を脱型して絶縁基板に密着した電極と隔壁成形体
を得てから焼成したが、焼成により分解除去できる有機
性材料から成る隔壁成形型を用いて隔壁成形型ともども
同時焼成して一体化することにより電極と隔壁から成る
放電表示セルを備えたPDP用基板を得ることもでき
る。
【0051】また、隔壁材料を成す前記混合物は、隔壁
成形型中に充填して反応硬化又は乾燥固化してから、脱
バインダー処理した後に絶縁基板の所定位置に密着固
定、あるいは接着固定しても良く、それには反応固化あ
るいは熱圧着等、いずれの方法で接着しても良い。
【0052】また、絶縁基板に前記隔壁成形型の凸部に
塗布した電極用組成物あるいは隔壁成形型中に充填した
混合物から成る隔壁材料を密着あるいは接着するのは、
絶縁基板は未焼成体、焼結体のいずれかの段階でも、前
記電極用組成物あるいは隔壁材料は未焼成体あるいは脱
バインダー状態のいずれの段階であっても良い。
【0053】このように本発明のPDP用基板の製造方
法によれば、簡単に隔壁と電極を同時に形成できるため
製造工程を極めて簡略化でき、更に隔壁成形型に有機材
料を用いれば容易に焼成と同時に除去できる。
【0054】従って、本発明のPDP用基板の製造方法
では、微細形状の隔壁と電極を高精度に成形できる結
果、放電表示セル1000セル分の寸法を45列測定し
た時の測定値の最大差が0.05mm以下となるような
高精度とすることができる。
【0055】
【実施例】本発明の電極用組成物及びそれを用いたPD
P用基板の製造方法の一例を以下のようにして評価し
た。
【0056】隔壁成形型として、厚さ50μmのPET
フィルムを幅50μm、高さ150μm、ピッチ220
μmの隔壁形状に合わせて断面が波形となるように成形
し、型自体の厚さが200μmで縦・横それぞれ300
×400mmの矩形状としたものを準備した。
【0057】一方、絶縁基板としては厚さ2mm、縦4
00mm、横500mmのソーダライムガラス基板を用
い、密着あるいは接着固定に際しては、前記ソーダライ
ムガラス基板を十分洗浄し、隔壁成形型との固定に影響
を及ぼす異物や有機系等の付着物を取り除いた。
【0058】また、電極用組成物として、有機性添加物
から成るバインダーは、ブチラール樹脂60重量%と熱
硬化性エポキシ樹脂35重量%、シランカップリング剤
5重量%の混合物を準備し、電極用の導電材料は平均粒
径1μmの銀粉とし、フィラーとして隔壁材料の鉛系低
融点ガラス粉末とアルミナ粉体を85対15の割合で混
合した混合物を、電極用組成物中にそれぞれ0.5重量
%、1重量%、5重量%、10重量%、20重量%、3
0重量%、35重量%の割合で含有させ、それにα−テ
レピネオールとエチルセルロース、及び燐酸エステル系
分散剤と粘度調整剤を加えて調製したものを準備した。
【0059】更に、隔壁材料としては、平均粒径が0.
2〜5μmのアルミナ(Al2 3)に鉛系低融点ガラ
ス粉末を加え、該混合粉末にα−テレピネオールとエチ
ルセルロースおよび燐酸エステル系分散剤と粘度調整剤
を添加し、攪拌混合機で混合して粘度を調整した泥漿を
準備した。
【0060】先ず、隔壁成形型が絶縁基板と当接する部
分に前記電極用組成物をロール印刷法を用いて塗布し乾
燥させてから、隔壁成形型の凹部にドクターブレード法
に準じて隔壁材料を充填し、洗浄済のソーダライムガラ
ス基板に前記隔壁成形型を押し付け、100g/cm2
の圧力で加圧しながら加熱炉等に収容し、100℃の温
度で45分間保持して加熱硬化させて隔壁成形型と基板
とを接着する。
【0061】その後、大気中、580℃の温度で10分
間焼成して、ソーダライムガラス基板に一体化された隔
壁と電極を有する評価用のPDP用基板を作製した。
【0062】かくして得られた評価用のPDP用基板に
ついて、隔壁の形状、クラックの有無を双眼顕微鏡で目
視検査した。
【0063】この結果、フィラーの含有量が0.5重量
%のPDP用基板では隔壁の形状が不明確であったり、
欠けが多く見られ、電極と隔壁の位置ずれが認められ、
また35重量%のPDP用基板では電極にクラックが認
められたのに対して、フィラーの含有量が1〜30重量
%の本発明では、隔壁の形状が良好であり電極自体や隔
壁との界面にもクラックがないことを確認できた。
【0064】また、走査型電子顕微鏡により隔壁構造を
観察した結果、本発明の隔壁の形状は、幅45±5μ
m、高さ140±5μmと形状の揃った平滑な表面を有
しており、隔壁と同時成形により得られた電極について
も、隔壁と電極との界面でのヒビ割れや基板からの剥離
は観察されず、隔壁と隔壁の間の全ての面に渡って均一
に形成されていることが確認でき、更に、導通試験では
得られた電極パターンは全て導通があり、隔壁間での断
線等の欠陥は見られなかった。
【0065】また、別途、50Vの電圧を印加して隣接
する電極間の短絡を調べた結果でも、本発明ではいずれ
も短絡は認められなかった。
【0066】尚、本発明は前記詳述した実施例に何ら限
定されるものではない。
【0067】
【発明の効果】叙上の如く、本発明の電極用組成物及び
それを用いたPDP用基板の製造方法によれば、電極用
組成物としてガラスとセラミックスから成るフィラーを
所定量含有させたことから、隔壁と電極を同時に形成す
る際、両者の熱膨張率が整合されて絶縁基板と共に同時
に焼成一体化することができ、隔壁構造の変形等が回避
され、隔壁の高さ、幅、ピッチなどの寸法精度と表面の
平滑な、形状の揃った隔壁が短時間で形成でき、その
上、電極との位置合わせが不要となり電極の位置精度も
より一層向上し、隔壁と電極との界面にクラック等がな
く安定した通電状態が得られる。
【0068】その結果、製造工程の短縮及び簡略化と高
い製品歩留りを実現でき、高精細度化と40インチ以上
の大型化が実現できるPDP用基板の製造方法を提供す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−31327(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 9/02 H01B 1/16 H01J 11/02 H01J 17/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】隔壁成形型の凸部表面に、導電材料と有機
    性添加物から成るバインダーにガラス及びセラミックス
    から成るフィラーを1〜30重量%含有した電極用組成
    物を塗布すると共に、隔壁成形型の凹部に隔壁材料を充
    填して固化させた後、電極用組成物及び隔壁成形体を5
    00〜650℃の温度で絶縁基板と一体的に焼成して隔
    壁と電極を同時に形成することを特徴とするプラズマデ
    ィスプレイパネル用基板の製造方法。
  2. 【請求項2】隔壁成形型を導電材料と有機性添加物から
    成るバインダーにガラス及びセラミックスから成るフィ
    ラーを1〜30重量%含有した電極用組成物で絶縁基板
    に接着固定した後、隔壁成形型の凹部に隔壁材料を充填
    して固化させ、電極用組成物及び隔壁成形体を500〜
    650℃の温度で絶縁基板と一体的に焼成して隔壁と電
    極を同時に形成することを特徴とするプラズマディスプ
    レイパネル用基板の製造方法。
  3. 【請求項3】前記フィラーは隔壁を形成するガラス及び
    セラミックスから成り、該フィラーの含有量が18〜2
    5重量%であることを特徴とする請求項1又は2のいず
    れかに記載のプラズマディスプレイパネル用基板の製造
    方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法
    で作製したプラズマディスプレイパネル用基板。
  5. 【請求項5】請求項4記載のプラズマディスプレイパネ
    ル用基板を用いたプラズマディスプレイパネル。
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