JPH11287222A - 自動車ワイヤハーネス用クランプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は上記のような事情に鑑みてなされた
もので、特別な治具を用いることなく、車体からクラン
プを取り外して、車体ボデーとワイヤハーネスを分離で
きるようにする。 【解決手段】 オフセットタイプのクランプにおいて、
軸部１３ａがオフセット基板部１１ｂに穿設した貫通穴
１２を摺動自在に突出すると共に軸部１３ａの先端に三
角枠状の係止枠部１３ｃの底辺１４の中央部を連結した
車体係止部１３を設けて、軸部１３ａを押し下げて底辺
１４を撓ませ、枠部両側辺１７ａ、１７ｂを近接させる
ことで、係止枠部１３ｃの係止穴１００ａへの係止を解
除する。これにより、治具を用いることなく、クランプ
１０を車体ボデー１００から簡単に外して、ワイヤハー
ネスＷ／Ｈと車体ボデー１００とを分離することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は自動車ワイヤハーネ
ス用クランプに関し、詳しくは、必要時、車体ボデーか
ら簡単に取り外せるようにするものである。

【０００２】

【従来の技術】自動車の車体ボデーに配索されるワイヤ
ハーネスには図５に示すように、所要位置に基板タイプ
のクランプ１を予め取り付けておき、該クランプ１の羽
根状の係止部１ａをボデ−２に穿設した係止穴２ａに押
し込んで係止し、よって、ワイヤハーネスＷ／Ｈをボデ
−２に固定している。上記ボデ−２に穿設する係止穴２
ａは丸穴で、ワイヤハーネスの配索ラインに沿って設け
られている。

【０００３】近時、自動車の部品や材料の分別廃棄やリ
サイクルの必要性が高まっている。その場合、銅が含ま
れていると、車体ボデーの主成分である鉄と分離しがた
く、鉄の純度が下がるため、自動車の解体時に、銅の塊
であるワイヤハーネスを車体ボデーから分離することが
重要となっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
クランプ１では、係止羽根部１ａの下端に形成した係止
段部１ｂを車体ボデー２の貫通穴２ａの周縁部に嵌合固
定することで車体ボデー２に取り付けているため、ワイ
ヤハーネスＷ／Ｈを車体ボデーから分離する際、工具
（治具）を用いて強い力で係止羽根部１ａを内側に撓ま
せる必要があり、作業効率が非常に悪いという問題点が
ある。また、かかる作業により車体ボデーとワイヤハー
ネスとを分離できるが、クランプへの治具押し付けによ
り、クランプが破損したり損傷することがあり、クラン
プの再利用が困難になってしまう。

【０００５】本発明は上記のような事情に鑑みてなされ
たもので、特別な治具を用いることなく、車体からクラ
ンプを取り外して、車体ボデーとワイヤハーネスを分離
できるようにすることを課題としている。

【０００６】

【課題を解決するため手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、請求項１で、ワイヤハーネスに取り付け
られる基板部より直交方向にオフセット基板部が突出
し、該オフセット基板部に設けた車体係止部を車体ボデ
ーに穿設された係止穴に係止してワイヤハーネスを車体
に取り付ける樹脂成形品からなるオフセットタイプのク
ランプであって、上記車体係止部は、オフセット基板部
に穿設した貫通穴より摺動して突出する軸部と、該軸部
の先端に底辺中央部が連結する三角枠状の係止枠部と、
該係止枠部の先端頂点の幅方向両側に一端が連結すると
共に他端がオフセット基板部に連結する一対の支持片部
とからなり、上記軸部の基端がオフセット基板部より突
出した状態で係止枠部の底辺両側が車体ボデーの係止穴
に係止しており、上記突出した軸部を押し下げると、係
止枠部の底辺が頂点側へと撓んで両側辺が近接して係止
穴との係止が解除し、係止枠部を係止穴より抜き出せる
構成としている自動車ワイヤハーネス用クランプを提供
している。

【０００７】上記本発明のワイヤハーネス用クランプを
用いると、治具を用いることなく、車体係止部の軸部を
押し下げるだけの作業により、係止枠部の係止穴への係
止が解除して、クランプを係止穴から抜き取ることがで
きる。よって、治具が不要で、大きな力を必要とせず、
また、治具の押しつけによってクランプを破損したり損
傷したりすることなく、ワイヤハーネスと車体ボデーを
分離することができる。

【０００８】上記軸部の基端に上記貫通穴より大きな押
し片部を突設し、該押し片部に指を当てて軸部を押し下
げるようにすると共に、上記係止枠部を係止穴より抜き
出す際は該押し片部をオフセット基板部上に押接固定し
て抜き出すようにするのが好ましい（請求項２）。この
ようにすると、軸部が押し下げ易く、また、係止枠部を
係止穴より抜き出す際に、軸部の押し下げ状態を保持し
やすくなり、作業性が向上する。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。図１乃至図３は本発明の一実施形態
を示している。クランプ１０は、樹脂成形品からなり、
ワイヤハーネスの取付基板部１１ａと該基板部１１ａの
長さ方向の略中央部より直交方向に突出するオフセット
基板部１１ｂを有する基板体１１と、オフセット基板部
１１ｂの略中央に穿設された貫通穴１２にその軸部を通
して配設した車体係止部１３とから構成している。

【００１０】車体係止部１３はオフセット基板部１１ｂ
に穿設した貫通穴１２を摺動自在に移動してオフセット
基板部１１ｂの上下面より端部が突出する軸部１３ａ
と、該軸部１３ａの一方の端部に連結した方形の押し片
部１３ｂと、軸部１３ａの他方の端部に底辺１４の中央
部を連結させた三角枠状の係止枠部１３ｃと、該三角枠
状の係止枠部１３ｃの先端頂点１５の幅方向両側に一端
が連結すると共に他端がオフセット基板部１１ｂの下面
１１ｂ′に連結する一対の湾曲した支持片部１３ｄ、１
３ｄ′とを備えている。

【００１１】図１はクランプ１０の車体ボデーへの取り
付け前の態を示しており、軸部１３ａは三角枠状の係止
枠部１３ｃの先端頂点に一端が連結し他端がオフセット
基板部１１ｂの下面に連結している一対の湾曲した支持
片部１１ｃ、１１ｃ′によって、オフセット基板部１１
ｂの上面よりその上端側の所定長さ分１６が突出した状
態で保持されている。

【００１２】上記クランプ１０は、ワイヤハーネスの配
索時、車体係止部１３を車体ボデ−１００に穿設した係
止穴１００Ａに圧入することにより係止する。すなわ
ち、ワイヤハーネスの取付基板部１１ａにワイヤハーネ
スＷ／Ｈを粘着テープＴの巻き付けによって固定した
後、車体係止部１３の三角枠状の係止枠部１３ｃをその
先端頂点１５側から係止穴１００Ａに押し込んでいく。
そうすると、図２（Ａ）に示すように、両側辺１７ａ、
１７ｂが係止穴１００Ａの周縁部１００ａに当接し、係
止枠部１３ｃの押し込み方向への移動とともに底辺１４
が頂点１５側へと撓んで両側辺１７ａ、１７ｂが近接す
るよう移動し、この後、両側辺１７ａ、１７ｂは貫通穴
１００Ａを抜けた時点で再び離反して、底辺１４の両側
端部が車体ボデ−１００に係止する（図２（Ｂ））。

【００１３】一方、廃車時やワイヤハーネスのメンテナ
ンス時等でワイヤハーネスを車体ボデーから分離する場
合は、以下のようにしてクランプの車体ボデーへの係止
を解除する。すなわち、軸部１３ａの一方の端部に連結
した方形の押し片部１３ｂに指を当てて軸部１３ａを押
し片部１３ｂがオフセット基板部１１ｂの上面に当接す
るまで押し下げる。これにより、図３（Ａ）に示すよう
に、軸部１３ａの下降ととともに底辺１４が頂点１５側
へと撓んで両側辺１７ａ、１７ｂが近接するよう移動
し、最終的に、両側辺１７ａ、１７ｂの外面間の距離が
貫通穴１００Ａの幅よりも小さくなる（図３（Ｂ））。
この後、押し片部１３ｂをオフセット基板部１１ｂの上
面に指で押さえて固定した状態で、オフセット基板部１
１ｂと共に車体係止部１３（係止枠部１３ｃ）を係止穴
１００Ａより引き抜く（図３（Ｃ））。これにより、ク
ランプ１０は車体ボデー１００から外れ、ワイヤハーネ
スＷ／Ｈと車体ボデー１００が分離する。なお、上記軸
部１３ａの押し下げは、底辺１４を比較的薄厚にして軸
部１３ａとの連結部（底辺中央部）の両側を折れ曲がり
易くしており、大きな力を必要とせず、簡単に押し下げ
ることができる。また、押し片部１３ｂをオフセット基
板部上に押接固定することで、軸部１３ａの押し下げ状
態が解かれることなく確実に保持できる。

【００１４】このように、本実施形態では、特別な治具
を用いることなく、車体係止部１３の軸部１３ａを比較
的小さな力で押し下げるだけで、車体ボデーへの係止を
簡単に解除することができる。よって、クランプを損傷
（破損）することなく、従来よりも簡単な作業で、クラ
ンプを車体ボデーから外して、車体ボデーとワイヤハー
ネスを分離することができる。

【００１５】なお、上記実施形態では端部１３ａの一端
に方形の押し片部１３ｂを連結してこれを押すようにし
ているが、押し片部は貫通穴１２を通過しない大きさで
あれば方形状以外の丸板状や球形状であってもよい。

【００１６】また、上記実施形態では係止枠部１３ｃの
底辺１４を比較的薄厚にして軸部１３ａとの連結部の両
側を折れ曲がり易くすることで、軸部１３ａを押し下げ
やすくしているが、図４に示すように係止枠部１３ｃの
底辺１４を薄厚にすることなく、底辺１４と両側辺１７
ａ、１７ｂの境界の屈曲部１８ａ、１８ｂの肉厚を薄く
してもよい。この場合、軸部１３ａを押し下げると、底
辺１４がその両端から枠の内側に折れ曲がるので、軸部
１３ａの押し下げを容易に行うことができる。

【００１７】

【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明によれば、オフセットタイプのクランプにおいて、軸
部がオフセット基板部に穿設した貫通穴を摺動自在に突
出すると共に軸部の先端に三角枠状の係止枠部の底辺中
央部を連結した車体係止部を設けて、軸部を押し下げて
底辺を撓ませ、枠部両側辺を近接させることで、係止枠
部の係止穴への係止を解除できるようにしたので、治具
を用いることなく、クランプを車体ボデーから簡単に外
して、ワイヤハーネスと車体ボデーとを分離することが
できる。よって、車体ボデー、ワイヤハーネス、クラン
プをそれぞれ再利用することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 （Ａ）は第１実施形態のクランプの斜視図、
（Ｂ）は（Ａ）中の矢印Ｂ方向からみたクランプの要部
側面図、（Ｃ）は（Ａ）中の矢印Ｃ方向からみたクラン
プの側面図である。

【図２】 （Ａ）（Ｂ）は上記クランプの係止穴への係
止作業を示す工程別側面図である。

【図３】 （Ａ）（Ｂ）（Ｃ）は上記クランプの係止穴
からの取り外し作業を示す工程別側面図である。

【図４】 上記クランプの係止枠部の変形例を示した正
面図である。

【図５】 従来のクランプを車体ボデーのクランプ係止
穴に係止した状態を示す一部断面を有する側面図であ
る。

【符号の説明】

１０ クランプ １１ 基板体 １１ａ ワイヤハーネス取付基板部 １１ｂ オフセット基板部 １２ 貫通穴 １３ 車体係止部 １３ａ 軸部 １３ｂ 押し片部 １３ｃ 係止枠部 １３ｄ、１３ｄ′ 支持片部 １４ 底辺 １５ 先端頂点 １００ 車体ボデー １００ａ 係止穴 Ｗ／Ｈ ワイヤハーネス Ｔ 粘着テープ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ワイヤハーネスに取り付けられる基板部
   より直交方向にオフセット基板部が突出し、該オフセッ
   ト基板部に設けた車体係止部を車体ボデーに穿設された
   係止穴に係止してワイヤハーネスを車体に取り付ける樹
   脂成形品からなるオフセットタイプのクランプであっ
   て、 上記車体係止部は、オフセット基板部に穿設した貫通穴
   を摺動して突出する軸部と、該軸部の先端に底辺中央部
   が連結する三角枠状の係止枠部と、該係止枠部の先端頂
   点の幅方向両側に一端が連結すると共に他端がオフセッ
   ト基板部に連結する一対の支持片部とからなり、 上記軸部の基端がオフセット基板部より突出した状態で
   係止枠部の底辺両側が車体ボデーの係止穴に係止してお
   り、 上記突出した軸部を押し下げると、係止枠部の底辺が頂
   点側へと撓んで両側辺が近接して係止穴との係止が解除
   し、係止枠部を係止穴より抜き出せる構成としている自
   動車ワイヤハーネス用クランプ。
2. 【請求項２】 上記軸部の基端に上記貫通穴より大きな
   押し片部を突設し、該押し片部に指を当てて軸部を押し
   下げるようにすると共に、上記係止枠部を係止穴より抜
   き出す際は該押し片部をオフセット基板部上に押接固定
   して抜き出すようにしている請求項１に記載の自動車ワ
   イヤハーネス用クランプ。