JP4577468B2 - クリップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一の板体と他の板体とを解除可能に連結固定するためのクリップに関し、更に詳述すると、2つの板体を確実に連結固定することができ、かつ、簡易な作業により連結状態を解除して板体からクリップを容易に取り外すことができ、自動車のフェンダーにフェンダープロテクタを取り付ける場合などに好適に使用されるクリップに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、自動車のフェンダーへのプロテクタの取り付けは、図10に示したように、樹脂製のクリップaとタッピングスクリューeを用いて行われている。
【0003】
即ち、このクリップaは、図10に示されているように、断面略扁平S字状の樹脂製クリップ本体a1に上下両面に貫通するスクリュー挿通孔a2を穿設すると共に、該スクリュー挿通孔a2と連通する短軸円筒状のタップ部a3を上記クリップ本体a1上面に突設したものである。
【0004】
そして、上記クリップ本体a1の第1の空間部a4にフェンダープロテクタpの板状連結部p1を挿入して該プロテクタpの板状連結部p1のロック孔p2と上記スクリュー挿通孔a2とを一致させると共に、上記クリップ本体a1の第2の空間部a5にフェンダーfの板状連結部f1を挿入して該板状連結部f1に設けられたロック孔f2と上記スクリュー挿通孔a2とを一致させ、この状態でタッピングスクリューeを上記スクリュー挿通孔a2及びロック孔f2,p2に刺し通して上記タップ部a3に捩じ込むことにより、フェンダーfとプロテクタpとを連結固定することが行われている。
【0005】
しかしながら、上記クリップaによる連結固定作業は、フェンダーfとプロテクタpとを上記クリップ本体a1に挿入した状態で、このクリップ本体a1のスクリュー挿通孔a2と上記両ロック孔f2,p2とを一致させ、この状態を保持したまま上記スクリューeの捩じ込み作業を行うという、非常に煩雑な作業を要する。また、修理やメンテナンスのためにフェンダーfとプロテクタpとを脱着する必要が生じる場合には、上記煩雑な作業が作業効率を大きく低下させることとなる。
【0006】
また、クリップaの他に上記スクリューeを必要とし、更に該スクリューeの締付け工程を要するため、コスト的に不利である上、スクリューeの捩じ込み作業時に工具でフェンダーfを傷付ける虞もある。更に、近年ではフェンダーを樹脂で形成することも行われているが、この場合スクリューeによる締付けが強すぎると、フェンダーfに割れが生じる虞もある。
【0007】
そこで、タッピングスクリューを用いることなく、自動車部品を容易に連結できるクリップとして、図9に示すクリップdも提案されている。
【0008】
このクリップdは、図9に示したように、互いに所定間隔離間して平行に配置された上板d1及び基板d2を連結部d3で一体に連結すると共に、基板d2の下面に脚部d4を一体に突設したものである。そして、基板d2は、中央部に貫通孔d21を有し、この貫通孔d21内には弾性変形可能な連結片d22を介して第2ロック部d23が配設されており、この第2ロック部d23の一部が基板2上に突出した状態となっている。また上板d1は、基板d2上面と所定間隔離間して配設され、基板d2の貫通孔d21に対応してロック解除孔d11が形成されている。そして脚部d4には、弾性変形可能な一対の第1ロック部d41がその外周面から外方へと突出して形成されている。
【0009】
このクリップdによる連結操作は、まず、図9(B)に矢印で示すように、フェンダーfの板状連結部f1に設けられた取付孔f2に脚部d4を圧入して、取付孔f2の裏面側周縁部に第1ロック部d41を係合させて、クリップdをフェンダーfに固定する。次いで、プロテクタpの板状連結部p1を基板d2と上板d1との間に挿入して、板状連結部p1に設けられた取付孔p2に第2ロック部d23を係合させて、プロテクタpをクリップdに固定する。これにより、図9(C)に示すように、フェンダーfとプロテクタpとが連結固定される。そして、図9(C)に示す状態から、上板d1のロック解除孔d11を通して第2ロック部d23を押圧することにより、第2ロック部d23と取付孔p2との係合状態が解除され、フェンダーfとプロテクタpとの連結固定状態が解除されるようになっている。
【0010】
しかしながら、このクリップdは、クリップdからのプロテクターpの取り外しは容易に行えるが、フェンダーfは板状連結部f1の取付孔f2に脚部d4を圧入して連結固定するようになっているため、クリップdからのフェンダーfの取り外しが困難なものであった。また、このクリップdは、図9(C)に示されているように、上記脚部d4が一方の部材(図9ではフェンダーf)の裏面(又は表面)から大きく突出し、このため用途又は使用場所が制限される場合もある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、自動車のフェンダーにフェンダープロテクタを取り付ける場合などのように、一の板体と他の板体とを連結固定する場合に、ネジ等による締結作業を要することなく、簡易な作業で確実に2つの板体を連結固定することができ、しかも簡易な操作で両板体の脱着を行うことができるクリップを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、一の板体と他の板体とを解除可能に連結固定するクリップであって、中央部に貫通孔を有する基板と、該基板の一面側に該基板と所定間隔離間して配置された上板と、上記基板の他面側に該基板と所定間隔離間して配置された下板とが一体に連結されたクリップ本体と、該クリップ本体を構成する上記基板の貫通孔内に配置されていると共に、弾性変形可能な連結片を介して上記基板と一体に連結され、一端部が上記基板の一面から突出した第1ロック部となっていると共に、他端部が上記基板の他面から突出した第2ロック部となっているロック体と、上記上板に上記ロック体に臨むように形成された第1ロック解除孔と、上記下板に上記ロック体に臨むように形成された第2ロック解除孔とを具備し、かつ上記ロック体の第1ロック部を上記下板側へと押圧することにより、該第1ロック部が上記基板の貫通孔内に埋没すると共に上記第2ロック部が上記下板の第2ロック解除孔内に進入し、上記ロック体の第2ロック部を上記上板側へと押圧することにより、該第2ロック部が上記基板の貫通孔内に埋没すると共に上記第1ロック部が上記上板の第1ロック解除孔内に進入するように構成されてなり、上記クリップ本体の基板と上板との間に形成された第1空間部に一の板体を挿入し、該一の板体に設けられたロック孔に上記ロック体の第1ロック部を係合させてクリップ本体と一の板体とを連結固定すると共に、上記基板と下板との間に形成された第2空間部に他の板体を挿入し、該他の板体に設けられたロック孔に上記ロック体の第2ロック部を係合させてクリップ本体と他の板体とを連結固定することにより、一の板体と他の板体とを連結固定し、また上記第1ロック解除孔又は第2ロック解除孔を通して上記ロック体を押圧することにより、該ロック体と上記一の板体又は他の板体とクリップ本体との連結固定状態を解除して両板体の連結固定状態を解除し得るように構成したことを特徴とするクリップを提供する。
【0013】
即ち、上記本発明のクリップは、上記クリップ本体の基板と上板との間に形成された第1空間部に一の板体を挿入し、該一の板体に設けられたロック孔に上記ロック体の第1ロック部を係合させてクリップ本体と一の板体とを連結固定すると共に、上記基板と下板との間に形成された第2空間部に他の板体を挿入し、該他の板体に設けられたロック孔に上記ロック体の第2ロック部を係合させてクリップ本体と他の板体とを連結固定することにより、一の板体と他の板体とをクリップ本体を介して固定するものである。
【0014】
従って、このクリップによれば、タッピングスクリューなどの締結手段を必要とせず、また、板体(板状連結部)を単にクリップ本体の上記第1及び第2空間部に挿入するだけの簡単な操作により、フェンダーとフェンダープロテクタなどの二部材を確実に連結固定することができる。
【0015】
この場合、一方の板体とクリップとを連結した後、他方の板体をクリップの第1又は第2空間部に圧入して固定する際、他方の板体がロック体を上板側又は下板側に押圧して第1又は第2ロック部が基板から上板側又は下板側に大きく突出し、一方の板体のロック孔に第1又は第2ロック部が食い込んで一方の板体がクリップに強固に固定され、クリップと一方の板体との間のがたつきが確実に防止されるため、特にクリップを手で保持する必要なく他方の板体を簡単にクリップ本体の第1又は第2空間部に圧入して固定することができる。従って、一の板体をクリップに連結した後、他の板体をクリップに挿入するという簡単な操作により、一の板体と他の板体とを確実に連結固定できるものである。
【0016】
また、このクリップにより連結固定された2つの板体の連結状態を解除して両板体を分離する場合には、ドライバなどの工具を用いて上記第1又は第2ロック解除孔を通して上記ロック体を押圧することにより、該第1又は第2ロック部と一方の板体に設けられたロック孔との係合状態を解除してクリップと一方の板体との固定状態を解除することにより、両板体の連結固定状態を解除できると共に、この時挿入されたロック体の第2又は第1ロック部が他方の板体のロック孔に食い込むため、連結作業の場合と同様に、作業性良く容易に両板体の連結状態を解除できる。しかも、一方の板体をクリップから取り外して、両板体を分離した後、同様に上記ロック体を押圧して他方の板体とクリップとの連結固定状態を解除し、簡単にクリップを他方の板体から取り外すことができる。
【0017】
従って、このクリップによれば、上述のように2つの板体を確実に連結固定できるにもかかわらず、簡易な作業で容易に連結固定状態を解除して両板体を分離でき、かつクリップを両板体から完全に取り外して、容易にクリップのみを回収することができるものである。
【0018】
ここで、本発明のクリップは、板体同士を連結固定するものであるが、この場合、「板体」は必ずしも板状の部材に限定されるものではなく、種々の形態の部材に設けられた板状部分を含むものである。また、クリップ本体を構成する上記上板及び下板は、必ずしも両部分の位置的上下関係を表すものではなく、クリップの使用状態において、上板が下側、下板が上側に位置していても何ら差し支えない。
【0019】
このように、このクリップによれば、2枚の板体を簡単にかつ確実に連結固定することができる上、分離作業も簡単に行うことができ、例えば、自動車のフェンダーにフェンダープロテクタを取り付ける場合などのように、取付作業が困難な場所においても、これらの部材をネジ等による締結作業を要することなく、簡易な作業で確実に連結固定することができ、しかも簡易な操作で両部材の脱着を行うことができるものである。
【0020】
【発明の実施の形態及び実施例】
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
図1,2は上記本発明にかかるクリップの一例を示すもので、このクリップ1は、図3に示したように、フェンダープロテクタpをフェンダーfに連結固定するために用いられるものである。
【0021】
図1,2中の参照符号2は、略家形板状の基板であり、図1(A),(D)及び図2(B)に示されているように、この基板2のほぼ中央部には、四角形の貫通孔21が設けられていると共に、該貫通孔21内中央部にはブロック状のロック体3が弾性変形可能な2つの連結片31,31を介して基板2と一体に設けられている。このロック体3は、図1(C)に示されているように、前後方向(図1中の左右方向)一端側上面及び他端側下面が部分的に斜めに切り欠かれたテーパ面32となっており、このテーパ面32より上側及び下側が基板2の上面及び下面から突出して、それぞれ第1ロック部3a、第2ロック部3bとなっている。
【0022】
上記基板2の上方には、底辺中央部が円弧状に膨出した略台形の上板5が基板2と所定間隔離間して平行に配置されている。この上板5は、上記基板2の一端縁部に立設された壁部51により基板2と一体に形成されており、また、この上板5には、図1(A),(C)に示されているように、円形のロック解除孔52が上記ロック体3に臨むように穿設されている。
【0023】
上記基板2の下方には、略四角形の下板6が基板2と所定間隔離間して平行に配置されている。この下板6は、上記基板2の他端縁部に立設された壁部61により基板2と一体に形成されており、また、この下板6には、図1(C),(D)に示されているように、四角形のロック解除孔62が上記ロック体3に臨むように穿設されている。
【0024】
なお、図1中参照符号53,53は、基板2と上板5との間に挿入されるフェンダープロテクタp等の連結対象物の挿抜動作を滑らかにするために設けられたレール状の滑動凸部である。また、このクリップ1は、特に制限されるものではないが、通常ポリプロピレン、ポリアセタール等の合成樹脂により上記各部分が一体成型される。
【0025】
上記クリップ1は、図3に示したように、フェンダーfにフェンダープロテクタpを固定するためのものであり、この固定作業を行う場合の作業手順及びクリップ1の動作について、図4,5を参照して説明する。
【0026】
まず、図4(A)に示す状態から、上記クリップ1の基板2と上板5との間に形成された第1空間部にフェンダーfの板状連結部f1を圧入する。このとき、図4(B)に示されているように、上記板状連結部f1の先端が基板2の上面から突出するロック体3の第1ロック部3aに形成されたテーパ面32に当接し、このテーパ面32のカム作用により、図4(C)に示されているように、該ロック体3が下方へと押圧されて上記連結片31,31の弾性変形により下方へと押し下げられ、板状連結部f1が更に圧入されて、該板状連結部f1に設けられたロック孔f2とロック体3とが一致すると、ロック体3の押圧状態が解除されて上記連結片31,31が元の状態に弾性復帰し、図4(D)に示されているように、これと一体的にロック体3が上方へと移行して、該ロック体3の第1ロック部3aがロック孔f2に係合する。このようにして、フェンダーfがクリップ1に固定される。
【0027】
次に、図5(A)に示されている状態から上記クリップ1の基板2と下板6との間に形成された第2空間部にプロテクタpの板状連結部p1を圧入する。このとき、上記板状連結部p1の先端が基板2の下面から突出するロック体3の第2ロック部3bに形成されたテーパ面32に当接し、このテーパ面32のカム作用により、図5(B)に示されているように、該ロック体3が上方へと押圧されて上記連結片31,31の弾性変形により上方へと押し上げられ、板状連結部p1が更に圧入されて、該板状連結部p1に設けられたロック孔p2とロック体3とが一致すると、ロック体3の押圧状態が解除されて上記連結片31,31が元の状態に弾性復帰し、図5(C)に示されているように、これと一体的にロック体3が下方へと移行して該ロック体3の第2ロック部3bがロック孔p2に係合する。
【0028】
このようにして、フェンダーfに固定されたクリップ1がフェンダープロテクタpに固定され、これによりフェンダーfとフェンダープロテクタpとがクリップ1を介して連結固定される。
【0029】
上記のように、このクリップ1は、上記ロック体3の第2ロック部3bとロック孔p2との係合によりフェンダープロテクタpに固定されると共に、上記ロック体3の第1ロック部3aとロック孔f2との係合によりフェンダーfに固定され、このクリップ1を介してフェンダープロテクタpをフェンダーfに連結固定するものである。従って、図10のクリップaのようにタッピングスクリューなどの締結手段を用いるは必要なく、フェンダーfとプロテクタpとをこのクリップ1のみで確実に連結固定できる。また、フェンダーfの板状連結部f1を上記基板2と上板5との間に圧入すると共に、プロテクタpの板状連結部p1を上記基板2と下板6との間に圧入するだけの極めて簡易な作業により、フェンダーfにプロテクタpを連結固定することができるものである。
【0030】
さらに、フェンダーfに固定されたクリップ1にプロテクタpを固定する際、プロテクタpの板状連結部p1がロック体3を上板5側に押圧してロック体3の第1ロック部3aが基板2から上板5側に大きく突出し、フェンダーfのロック孔f2にこの第1ロック部3aが食い込み、フェンダーfがクリップ1に強固に固定された状態を保つため、クリップ1とフェンダーfとの間のがたつきが防止され、クリップ1を特に手で保持する必要なくプロテクタpとフェンダーfとを簡単に連結できる。
【0031】
次にこのクリップ1により連結固定された上記フェンダーfとフェンダープロテクタpとの連結固定状態を解除して両部材f,pを分離する場合には、図6(A)に矢印で示すように、ドライバなどの工具hにより上記下板6のロック解除孔62を通して上記ロック体3を押圧し、図6(B)に示されているように、ロック体3を上方へと押し込んで、該ロック体3の第2ロック部3bとプロテクタpの板状連結部p1に設けられたロック孔p2との係合状態を解除する。
【0032】
この状態で、フェンダープロテクタp側を操作して、図6(C)に示すように、上記板状連結部p1をクリップ1内で引き抜き方向に移動させ、ロック孔p2とロック体3とがずれた状態となったところで、工具hを上記ロック解除孔52から抜き出し、ロック体3の第2ロック部3bがロック孔p2から退出した状態とし、上記板状連結部p1をクリップ1から更に引き抜くように操作することにより、図6(D)に示されているように、クリップ1とフェンダープロテクタpとの連結状態を完全に解除し、フェンダーfとフェンダープロテクタpとを分離する。この場合、図6(B),(C)に示されているように、プロテクタpによりロック体3が押し上げられ、ロック体3の第1ロック部3aが取付孔f2に食い込み、クリップ1とフェンダーfとが強固に固定され、クリップ1とフェンダーfとの間のがたつきが防止されるため、クリップ1を特に手で保持する必要なくプロテクタpをクリップ1から容易に抜き出すことができる。
【0033】
また、プロテクタpとフェンダーfとを分離した後、更にクリップ1をフェンダーfから取り外す必要がある場合は、図7(A)に矢印で示すように、工具hにより上記上板5のロック解除孔52を通してロック体3を押圧し、図7(B)に示すように該ロック体3を下方へと押し込み、ロック体3の第1ロック部3aとフェンダーfの板状連結部f1に設けられたロック孔f2との係合状態を解除する。次いで、図7(B)に矢印で示すように、上記板状連結部f1がクリップ1内で引き抜き方向に移動するようクリップ1を操作し、後はプロテクタpをクリップ1から抜き出す場合と同様の操作で上記板状連結部f1をクリップ1から引き抜くことにより、図7(C)に示されているように、クリップ1とフェンダーfとの連結状態を完全に解除し、クリップ1とフェンダーfとを分離する。このようにして、フェンダーfからクリップ1が取り外される。このように、ロック体3を押圧し、フェンダーfがクリップ1から引き抜き方向に移動するようクリップ1を操作するという簡単な操作により、クリップ1をフェンダーfから取り外せる。
【0034】
このように、本実施例のクリップ1は、ドライバなどの工具hを用いて上記下板6のロック解除孔62を通して上記ロック体3を押圧することにより、該ロック体3の第2ロック部3bと上記ロック孔p2との係合状態を解除してフェンダーfとプロテクタpとの連結固定状態を解除でき、またこの場合、クリップ1とフェンダーfとの間のがたつきが防止された状態となるため、クリップ1を特に手で保持する必要なく、簡易な作業により容易に両部材f,pの連結状態を解除できる。従って、このクリップ1によれば、上述のようにフェンダーfとプロテクタpとを確実に連結固定することができる上、簡易な作業で容易に連結固定状態を解除して両部材f,pを分離することができるものである。さらに、簡単な作業によってクリップ1を両部材f,pから完全に取り外して回収することができる。
【0035】
このように、このクリップ1によれば、自動車のフェンダーfにフェンダープロテクタpを取り付ける場合、ネジ等による締結作業を要することなく、簡易な作業で確実にこれらの部材f,pを連結固定することができ、しかも簡易な操作で両部材f,pの脱着を行えるものである。
【0036】
さらに、このクリップ1は、基板2と上板5又は下板6との間に板体を挿入して両板体を連結固定するようになっているため、図9に示すクリップのようにフェンダーfの一面からクリップの脚部d4が大きく突出してしまうことがなく、設置箇所が大きく制限されるようなこともない。
【0037】
上記実施例では、フェンダーfをクリップ1の基板2と上板5との間に挿入した後、プロテクターpをクリップ1の基板2と下板6との間に挿入して、フェンダーfとプロテクタpとを連結固定したが、クリップ1へ部材f,pを取り付ける順序はこれに限らず、プロテクタpをクリップ1に取り付けた後、フェンダーfをクリップ1に取り付けるようにしてもよい。
【0038】
この場合も、基板2と下板6との間にプロテクターpが固定されたクリップ1の基板2と上板5との間にフェンダーfを取り付ける際、図8(A)に示すように、基板2と上板5との間に圧入されたプロテクタpの板状連結部p1の先端によりロック体3が下方へと押圧されて、上記連結片31,31(図2(B)参照)の弾性変形により下方へと押し下げられると共に、ロック体3の第2ロック部3bがプロテクターpのロック孔p2に食い込み、プロテクタpがクリップ1に強固に固定された状態を保つため、クリップ1とプロテクタpとの間のがたつきが防止され、クリップ1を特に手で保持する必要なくプロテクタpとフェンダーfとを簡単に連結できる。
【0039】
また、フェンダーfとプロテクタpとの分離作業も必ずしもプロテクタpの板状連結部p1をクリップ1内から引き抜くことにより行う必要はなく、フェンダーfの板状連結部f1をクリップ1内から引き抜くことにより行ってもよく、その後にフェンダープロテクタpからクリップ1を取り外すようにしてもよい。
【0040】
この場合も、図8(B)に示したように、ドライバなどの工具hにより下方へ押し込まれたロック体3の第2ロック部3bが、プロテクタpの板状連結部p1に設けられたロック孔p2に食い込み、プロテクタpがクリップ1に強固に固定された状態を保つため、クリップ1とプロテクタpとの間のがたつきが防止され、クリップ1を特に手で保持する必要なく、プロテクタpとフェンダーfとを簡単に連結できる。
【0041】
以上、本発明の一実施例にかかるクリップを示したが、本発明は上記実施例のクリップ1に限定されるものではなく、各構成部分の形状や配置形態は、連結固定する二部材の形状や連結形態などに応じて適宜変更することができる。例えば、上記実施例のクリップ1は、基板2、上板5、及び下板6を断面S字状に連結してクリップ本体1を形成したが、必ずしもこの形状に限定されず、例えば、場合によっては基板2、上板5、下板6を断面E字状に連結してクリップ本体1を構成し、2枚の板体を対向状態ではなく重畳状態に連結固定するようにしてもよい。また、本発明のクリップは、上記実施例のように、フェンダーにフェンダープロテクタを取り付ける場合などの自動車部品の連結固定に好適に使用されるものであるが、その用途は自動車部品の連結固定に限定されるものではなく、二部材を解除可能に連結固定する場合であれば、種々の用途に用いることができる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のクリップによれば、自動車のフェンダーにフェンダープロテクタを取り付ける場合などのように、一の板体と他の板体とを連結固定する場合、ネジ等による締結作業を要することなく、簡易な作業で確実に2つの板体を連結固定することができ、しかも簡易な操作で両板体の脱着を行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかるクリップを示すものであり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は(A)のB−B線に沿った断面図、(D)は底面図である。
【図2】同クリップを示すものであり、(A)は正面図、(B)は図1(B)のC−C線に沿った断面図、(C)は背面図である。
【図3】同クリップを用いて自動車のフェンダーとフェンダープロテクタとを連結固定する際の手順の概略を説明する斜視図である。
【図4】同クリップを用いて自動車のフェンダーとフェンダープロテクタとを連結固定する際の一の手順及び動作の詳細を説明する断面図である。
【図5】同クリップを用いて自動車のフェンダーとフェンダープロテクタとを連結固定する際の一の手順及び動作の詳細を説明する断面図である。
【図6】同クリップを用いて連結固定した自動車のフェンダーとフェンダープロテクタとを分離する際の一の手順及び動作の詳細を説明する断面図である。
【図7】自動車のフェンダーに取り付けられた同クリップをフェンダーから取り外す際の一の手順及び動作の詳細を説明する断面図である。
【図8】(A)は同クリップを用いて自動車のフェンダーとフェンダープロテクタとを連結固定する際の他の手順及び動作の詳細を説明する断面図で、(B)は同クリップを用いて連結固定した自動車のフェンダーとフェンダープロテクタとを分離する際の他の手順及び動作の詳細を説明する断面図である。
【図9】従来のクリップを示すものであり、(A)は平面図、(B)及び(C)は同クリップを用いた連結及び解除動作を説明する断面図である。
【図10】従来の他のクリップを用いて自動車のフェンダーとフェンダープロテクタとを連結固定する際の手順の概略を説明する斜視図である。
【符号の説明】
1 クリップ
2 基板
21 貫通孔
3 ロック体(第1及び第2ロック部)
31 連結片
5 上板
52 ロック解除孔
6 下板
62 ロック解除孔
f フェンダー(他の板体)
f1 板状連結部
f2 ロック孔
p フェンダープロテクタ(一の板体)
p1 板状連結部
p2 ロック孔

Claims (3)

  1. 一の板体と他の板体とを解除可能に連結固定するクリップであって、
    中央部に貫通孔を有する基板と、該基板の一面側に該基板と所定間隔離間して配置された上板と、上記基板の他面側に該基板と所定間隔離間して配置された下板とが一体に連結されたクリップ本体と、
    該クリップ本体を構成する上記基板の貫通孔内に配置されていると共に、弾性変形可能な連結片を介して上記基板と一体に連結され、一端部が上記基板の一面から突出した第1ロック部となっていると共に、他端部が上記基板の他面から突出した第2ロック部となっているロック体と、
    上記上板に上記ロック体に臨むように形成された第1ロック解除孔と、
    上記下板に上記ロック体に臨むように形成された第2ロック解除孔とを具備し、
    かつ上記ロック体の第1ロック部を上記下板側へと押圧することにより、該第1ロック部が上記基板の貫通孔内に埋没すると共に上記第2ロック部が上記下板の第2ロック解除孔内に進入し、上記ロック体の第2ロック部を上記上板側へと押圧することにより、該第2ロック部が上記基板の貫通孔内に埋没すると共に上記第1ロック部が上記上板の第1ロック解除孔内に進入するように構成されてなり、
    上記クリップ本体の基板と上板との間に形成された第1空間部に一の板体を挿入し、該一の板体に設けられたロック孔に上記ロック体の第1ロック部を係合させてクリップ本体と一の板体とを連結固定すると共に、上記基板と下板との間に形成された第2空間部に他の板体を挿入し、該他の板体に設けられたロック孔に上記ロック体の第2ロック部を係合させてクリップ本体と他の板体とを連結固定することにより、一の板体と他の板体とを連結固定し、また上記第1ロック解除孔又は第2ロック解除孔を通して上記ロック体を押圧することにより、該ロック体と上記一の板体又は他の板体とクリップ本体との連結固定状態を解除して両板体の連結固定状態を解除し得るように構成したことを特徴とするクリップ。
  2. 上記クリップ本体が、上記基板、上板及び下板が一体に連結されて断面S字状に形成されており、基板と上板との間に形成された第1空間部に一の板体を挿入してクリップ本体と連結固定すると共に、基板と下板との間に形成された第2空間部に他の板体を挿入してクリップ本体と連結固定することにより、一の板体と他の板体とを対向状態に連結固定する請求項1記載のクリップ。
  3. 上記ロック体の第1ロック部及び第2ロック部の少なくともいずれか一方に、上記板体の挿入時に該板体の端部が当接して該ロック体を動作させるテーパー面を設けた請求項1又は2記載のクリップ。
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