JPH11286186A - 印刷用ブランケット - Google Patents

印刷用ブランケット

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JPH11286186A
JPH11286186A JP9038098A JP9038098A JPH11286186A JP H11286186 A JPH11286186 A JP H11286186A JP 9038098 A JP9038098 A JP 9038098A JP 9038098 A JP9038098 A JP 9038098A JP H11286186 A JPH11286186 A JP H11286186A
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誠二 伴野
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俊一 荻田
Hiromasa Okubo
博正 大久保
Takamichi Sagawa
敬道 佐川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 網点再現性やインキの転移性を損なうことな
く、優れた排紙性を示すことのできる印刷用ブランケッ
トを提供する。 【解決手段】 本発明の印刷用ブランケットは、支持体
層と、当該支持体層上に設けられた表面印刷層11とか
らなり、表面印刷層11の表面に、高弾性でかつインキ
転移性に優れたゴム粒子からなる突起部15が設けられ
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は印刷用ブランケット
に関し、より詳しくは、網点再現性やインキの転移性を
損なうことなく、排紙性を向上させた印刷用ブランケッ
トに関する。
【0002】
【従来の技術】オフセット印刷に用いられる印刷用ブラ
ンケット30は、一般に図10に示す構成からなる。す
なわち、ゴム糊を含浸させた1層または複数層の基布3
3を、必要に応じて多孔質の圧縮性層34を介して積層
し、こうして得られた支持体層32上に表面印刷層31
を形成したものである。
【0003】印刷版上のインキ像を印刷用ブランケット
を介して転移させ、印刷用紙等の被印刷物上に再現する
オフセット印刷において、印刷品質の高い画像を形成す
るには、印刷版上のインキ像の網点形状をいかに変化さ
せずに被印刷物上に再現するかが重要となる。網点形状
の再現性(網点再現性)は印刷用ブランケットの表面粗
さと大きく関わっており、網点再現性を良好なものとす
るにはブランケットの表面粗さを小さく、すなわち表面
印刷層の表面を平滑にすることが要求される。
【0004】しかし、表面印刷層の表面が平滑になるほ
どブランケットと印刷用紙との間の粘着力が大きくなる
ため、印刷用紙がカールするといった問題が生じる。さ
らに、ブランケットと印刷用紙とが離れにくくなって排
紙性が低下し、その結果、とりわけオフセット輪転機に
よる高速印刷時において印刷用紙がブランケットにとら
れて汚れたり、破れたりする、いわゆるデラミネーショ
ンが発生する。また、ダブリやスラー等の印刷障害が発
生し、特に多色印刷時には見当合せの不良による印刷品
質の低下が顕著に現れる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】印刷用ブランケットの
排紙性を改善するには、表面印刷層の表面を粗くして印
刷用紙との粘着力を低下させるのが好ましい。しかし、
例えば加硫紙の凹凸を転写したり、バフ研磨によって表
面を粗くする方法は従来より知られているものの、この
方法によって得られるブランケットはインキの転移性が
低かったり、微細なパターンを精度よく再現できないと
いう問題がある。
【0006】特公平3−238号公報には、澱粉を配合
したゴム組成物で表面印刷層を形成した後、澱粉を溶出
することによって、表面印刷層に微細な孔を設けてその
表面を粗くした印刷用ブランケットが開示されている。
しかし、排紙性の改善効果は不十分である。特開平2−
48997号公報には、ポリマー粒子を添加したゴム組
成物を用いることにより、表面粗さが大きい表面印刷層
を有する印刷用ブランケットが開示されている。しか
し、表面印刷層の主成分であるゴムと前記ポリマー粒子
とのインキ転移性が異なることから、表面印刷層のうち
ポリマー粒子が露出している部分で網点が欠落するな
ど、ベタの素抜けと呼ばれる印刷障害が発生する。特
に、同公報の実施例で用いられているシリコーン粒子
は、版からのインキの受理性が低いため、印刷障害の発
生が顕著である。
【0007】また、特公平7−110555号公報や特
開平1−22595号公報には、表面印刷層上に網点状
の突起を形成して、表面を粗くした印刷用ブランケット
が開示されている。しかし、かかるブランケットを用い
て網点を印刷すると、網点状に形成された突起によって
被印刷物上に形成される画像にモアレ(moire) 模様が生
じ、印刷品質が低下する。特に、網点状の突起が規則的
に形成されている場合は、モアレ模様が顕著に現れる。
【0008】従って、網点再現性やインキ転移性と、排
紙性とを両立させることは困難であった。本発明の目的
は、網点再現性やインキの転移性を損なうことなく、優
れた排紙性を示すことのできる印刷用ブランケットを提
供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、表面印刷層上
に、弾性が高くかつインキ転移性に優れた材料からなる
微細な突起を設けたときは、網点再現性やインキの転移
性を損なうことなく、優れた排紙性を得ることができる
という新たな事実を見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0010】すなわち、本発明の印刷用ブランケット
は、支持体層と、当該支持体層上に設けられた表面印刷
層とからなるものであって、前記表面印刷層の表面に、
高弾性でかつインキ転移性に優れたゴム粒子からなる、
凹凸高さが8〜15μmの突起部が設けられていること
を特徴とする。本発明の印刷用ブランケットによれば、
表面印刷層上に高弾性の突起が形成されていることに起
因して、排紙性が著しく向上する。さらに、突起部はイ
ンキ転移性に優れたゴム粒子からなることから、当該突
起部以外の他の表面印刷層の部分と同様に充分なインキ
の転移を実現することができ、ベタの素抜けといった印
刷障害を生じることなく、優れた印刷品質でもって画像
を形成できる。
【0011】本発明の印刷用ブランケットにおいて、突
起部は、表面印刷層の表面1cm2当たり5〜200個
存在するのが、排紙性と印刷品質とのバランスの観点か
ら好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の印刷用ブランケッ
トについて詳細に説明する。本発明の印刷用ブランケッ
トの一実施形態としては、例えば図2に示すように、ゴ
ム糊を含浸させた4枚の基布13を、多孔質の圧縮性層
14を介して積層し、こうして得られた支持体層12上
に表面印刷層11を形成した平板状の印刷用ブランケッ
ト10が挙げられる。かかるブランケット10におい
て、基布13の数、圧縮性層14の有無、および基布1
3と圧縮性層14の積層順序については、印刷用ブラン
ケット10の用途に応じて適宜設定することができる。
【0013】(i) 表面印刷層11 本発明の印刷用ブランケットにおける表面印刷層11
は、図1および図2に示すように、その表面にゴム粒子
からなる突起部15を有する。突起部15を構成するゴ
ム粒子16は、図3に示すように、印刷用紙17を押し
当てたときに変形するが、高弾性であることから、印刷
用紙17を押し返そうとする力が強く働く。その結果、
印刷用ブランケット10の排紙性が優れたものとなる。
【0014】表面印刷層11を構成するゴムとしては、
例えばNBR、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴ
ム等の、耐油性でかつインキ転移性に優れたゴムが好適
に使用される。前記例示の他にも、表面印刷層に従来よ
り用いられているの種々のゴム、例えば多硫化ゴム、水
添化NBR、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(I
R)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン
ゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロ
ピレンゴム(EPM,EPDM)、クロロプレンゴム
(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NB
R)、アクリルゴム(ACM,AEM)等が使用可能で
ある。
【0015】突起部15を構成するゴム粒子16は、弾
性が高く、かつインキ転移性に優れたものであるほかは
特に限定されるものではないが、加硫ゴムをグラインダ
ーで研磨して得られる研磨粉(バフ粉)や加硫ゴムを粉
砕機でチップ化したものが好適に用いられる。使用可能
なゴムの種類としては、表面印刷層11用のゴムとして
例示のものと同様なゴムが使用可能である。また、本発
明においては、表面印刷層11の表面のうち突起部15
が設けられていない部分と、突起部15とのインキ転移
性の差が小さいのが好ましいことから、表面印刷層11
用のゴムと突起部15用のゴム粒子16とは同じゴムで
あるのが好ましい。
【0016】従って、例えば表面印刷層11用のゴムと
してアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)を用
いた場合には、突起部15用のゴム粒子16には、加硫
したNBRのゴム粉を用いるのが好適である。突起部1
5の凹凸高さは8〜15μmの範囲で設定される。凹凸
高さが前記範囲を下回ると、排紙性を高める本発明の効
果が得られなくなる。逆に、凹凸高さが前記範囲を超え
ると、インキの転移性や網点再現性が低下して、印刷品
質の低下を招く。突起部15の凹凸高さは、前記範囲の
中でも特に10〜15μmであるのが好ましく、10〜
13μmであるのがより好ましい。
【0017】本発明において、突起部15の「凹凸高
さ」とは、図4に示すように、まず表面印刷層11の表
面のうち突起部15が形成されていない部分の粗さを測
定して粗さ曲線19の平均線を求め、次いでこの平均線
を基準線18として当該基準線18と突起部15の頂部
との間の高さhを測定したものである。ゴム粒子16の
粒径は13〜20μmの範囲であるのが好ましい。粒径
が前記範囲を超えると、凹凸高さが15μmを超える突
起部15が形成されるおそれが生じ、その結果、印刷品
質が低下する。逆に、粒径が前記範囲を下回ると、突起
部15の凹凸高さを8〜15μmの範囲に調整できなく
なるおそれが生じる。ゴム粒子16の粒径は、前記範囲
の中でも特に15〜20μmであるのが好ましい。
【0018】突起部15は、表面印刷層11の表面1c
2 当たり5〜200個存在するのが好ましい。突起部
の個数が前記範囲を超えると排紙性がより一層向上する
ものの、表面印刷層11全体の表面粗さが大きくなって
印刷品質が低下する。逆に、前記範囲を下回ると排紙性
が低下する。突起部の個数は、前記範囲の中でも特に、
表面印刷層11の表面1cm2 当たり50〜150個存
在するのが好ましく、100〜150個存在するのがよ
り好ましい。
【0019】突起部15の数を上記範囲に設定するに
は、表面印刷層用のゴム組成物中に配合されるゴム粒子
16の数や、ゴム粒子16の比重などに応じて適宜設定
すればよい。突起部15を構成するゴム粒子16の硬度
は特に限定されないが、十分な弾性を示すには、スプリ
ング硬さ(JIS−A)が60〜85であるのが好まし
い。硬度が前記範囲を下回ると充分な弾性が得られなく
なるおそれがある。逆に、硬度が前記範囲を超えると、
印刷時に突起部15が変形しにくくなり、印刷障害の原
因となるおそれがある。ゴム粒子16のスプリング硬さ
(JIS−A)は前記範囲の中でも特に65〜80であ
るのが好ましく、70〜80であるのがより好ましい。
【0020】一方、表面印刷層11のうち突起部15以
外の部分についての硬度も特に限定されるものではな
く、従来公知の印刷用ブランケットと同様に、スプリン
グ硬さ(JIS−A)で50〜70程度となるように設
定するのが好ましい。前述のように、表面印刷層11の
表面には突起部15が形成されている部分と、突起部1
5が形成されていない部分とがあって、表面構造が不均
一である。従って、表面印刷層11全体の表面粗さは特
に限定されるものではない。しかし、表面印刷層11の
表面の大部分を占める、突起部が形成されていない部分
については、ブランケットの印刷品質を良好なものとす
るという観点から、凹凸高さが2〜7μmとなるように
設定するのが好ましい。凹凸高さが上記範囲を超えると
表面印刷層11全体の表面粗さが大きくなり、網点再現
性の低下、ひいては印刷品質の低下を招くという問題が
生じる。一方、凹凸高さの下限は特に限定されるもので
はなく、より小さい方が好ましいが、2μm以下に設定
するのは困難である。
【0021】表面印刷層11の厚みは特に限定されるも
のではなく、従来と同様な範囲で設定される。具体的に
は、表面印刷層の厚みは0.05〜1.0mm、好まし
くは0.1〜0.6mm、より好ましくは0.2〜0.
4mmの範囲で設定される。厚みが前記範囲を下回ると
基布13の模様が印刷画像に現れるおそれがある。逆
に、厚みが前記範囲を超えると印刷時のひずみが大きく
なりすぎて印刷品質が低下するおそれがある。
【0022】表面印刷層11は、上記例示の表面印刷層
用ゴムと、ゴム粒子16と、その他加硫剤等の添加剤を
含有する表面印刷層用ゴム組成物を用いることにより形
成される。すなわち、表面印刷層11は、上記表面印刷
層用ゴム組成物をトルエン、ベンゼン等の溶剤に加えて
ゴム糊を得、このゴム糊をあらかじめ形成された支持体
層12上に塗布したり、上記表面印刷層用ゴム組成物を
シート状に成形して、あらかじめ形成された支持体層1
2上に貼り付けることによって形成される。
【0023】(ii)支持体層12 本発明の印刷用ブランケット10における支持体層12
は、複数枚(図2では4枚)の基布13を、必要に応じ
て圧縮性層14を介して積層したものである。 (iii) 基布13 基布13は、例えば綿、ポリエステル、レーヨン等の織
布または不織布にゴム糊を含浸させたものである。な
お、表面印刷層11と圧縮性層14との間に設けられた
基布13は、表面印刷層11の補強を目的とした補強層
である。
【0024】基布13の厚みは、従来のブランケットと
同様に設定される。具体的には、ゴム糊を含浸させた基
布1枚の厚みが0.2〜0.5mm程度であるのが好ま
しい。また、基布13の数は、ブランケットに要求され
る特性等に応じて適宜設定すればよく、通常1〜5層の
範囲で設定される。基布13に含浸させるゴム糊として
は、例えばNBR、ACM、CR等のゴム材料に、所定
量の加硫剤、加硫促進剤および必要に応じて増粘剤等を
配合したものが用いられる。
【0025】本発明においては、基布13として、上記
例示の織布または織布に代えて、例えばポリエチレンテ
レフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、
ポリエーテルスルフォン(PES)、ナイロン等の合成
樹脂製のフィルムや、アルミニウム、ステンレス等の金
属の薄板を用いることもできる。 (iv)圧縮性層14 圧縮性層14は、例えばNBR、ACM、CR、ウレタ
ンゴム等のゴム材料からなる多孔質の層である。
【0026】圧縮性層14は、上記ゴム材料に、所定量
の加硫剤、加硫促進剤および必要に応じて増粘剤等の充
填剤を配合し、さらに例えば加熱分解してガスを発生す
る発泡剤を配合した上で、基布13上にコーティング
し、次いで加硫する方法(発泡法)によって形成され
る。また、前記発泡剤に変えて中空微粒子を配合する方
法(マイクロバルーン法)であってもよい。発泡法やマ
イクロバルーン法によれば、圧縮性層14内部に形成さ
れる気泡は、それぞれ独立した構造(独立気泡構造)を
とる。一方、前記発泡剤や中空微粒子に代えて、加硫後
であっても抽出可能な食塩等の粒子を用いる方法によっ
て、圧縮性層14を形成することもできる。この方法
(リーチング法)では、加硫後に、ゴムの性質に影響を
及ぼすことのない水等の溶媒によって前記粒子を溶出さ
せることで、気泡が形成される。形成された気泡は、互
いに連通した構造(連続気泡構造)を有する。本発明で
は、圧縮性層の気泡構造は前記のいずれの構造であって
もよく、両方の構造を併用してもよい。
【0027】圧縮性層14内の気泡(空隙)の割合(以
下、「空隙率」という)は特に限定されないが、通常、
30〜70%、好ましくは35〜60%、より好ましく
は40〜55%の範囲に調整するのが適当である。圧縮
性層14の空隙率が上記範囲を下回ると、圧縮性が低下
して印圧の調整が不十分になるおそれがある。逆に空隙
率が上記範囲を超えると、復元性が低下してヘタリが生
じたり、印刷に必要な印圧が得られなくなるおそれがあ
る。
【0028】圧縮性層14に使用するゴムの硬度は特に
限定されないが、JIS A硬度で40〜80°、好ま
しくは45〜75°、より好ましくは50〜70°の範
囲に調整するのが適当である。圧縮性層14の硬度が上
記範囲を下回ると、圧縮性層14、ひいては印刷用ブラ
ンケット10自体の復元性が低下してヘタリが生じた
り、印刷に必要な印圧が得られなくなるおそれがある。
逆に硬度が上記範囲を超えると、圧縮性が低下して印圧
の調整が不十分になるおそれがある。
【0029】圧縮性層14の厚みは特に限定されない
が、通常、0.1〜0.8mm、好ましくは0.2〜
0.5mmの範囲で設定するのが適当である。圧縮性層
14の厚みが上記範囲を下回ると、圧縮性が低下して印
圧を充分に吸収できなくなるおそれがある。逆に厚みが
上記範囲を超えると、ベタ着肉性が低下する(反力が低
下してインキの付きが悪くなる)おそれがある。
【0030】前述の表面印刷層11、基布13および圧
縮性層14を作製する際に、ゴム材料中に配合される添
加剤としては、例えば加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助
剤、加硫遅延剤等のゴムを加硫させるための配合剤のほ
か、老化防止剤、補強剤、充填剤、軟化剤、可塑剤等の
種々の添加剤が挙げられる。これら添加剤の配合量は、
従来の印刷用ブランケットの製造と同程度で設定すれば
よい。
【0031】上記添加剤のうち加硫剤としては、例えば
硫黄、有機含硫黄化合物、有機過酸化物等が挙げられ
る。このうち有機含硫黄化合物としては、例えばN,
N′−ジチオビスモルホリン等があげられ、有機過酸化
物としては、例えばベンゾイルペルオキシド、ジクミル
ペルオキシド等が挙げられる。加硫促進剤としては、例
えばテトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチル
チウラムモノスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジ
ブチルジチオカーバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカーバ
ミン酸亜鉛、ジメチルジチオカーバミン酸ナトリウム、
ジエチルジチオカーバミン酸テルル等のジチオカーバミ
ン酸類;2−メルカプトベンゾチアゾール、N−シクロ
ヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等の
チアゾール類;トリメチルチオ尿素、N,N′−ジエチ
ルチオ尿素等のチオウレア類等の有機促進剤、あるいは
消石灰、酸化マグネシウム、酸化チタン、リサージ(P
bO)等の無機促進剤が挙げられる。
【0032】加硫促進助剤としては、例えば亜鉛華等の
金属酸化物、あるいはステアリン酸、オレイン酸、綿実
脂肪酸等の脂肪酸が挙げられる。加硫遅延剤としては、
例えばサリチル酸、無水フタル酸、安息香酸等の芳香族
有機酸;N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソ
−2,2,4−トリメチル−1,2−ジハイドロキノ
ン、N−ニトロソフェニル−β−ナフチルアミン等のニ
トロソ化合物が挙げられる。
【0033】老化防止剤としては、例えば2−メルカプ
トベンゾイミダゾール等のイミダゾール類;フェニル−
α−ナフチルアミン、N,N′−ジ−β−ナフチル−p
−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−イソプロ
ピル−p−フェニレンジアミン等のアミン類;ジ−t−
ブチル−p−クレゾール、スチレン化フェノール等ノフ
ェノール類が挙げられる。
【0034】補強剤としては主にカーボンブラックが使
用される他、シリカ系あるいはケイ酸塩系のホワイトカ
ーボン、亜鉛華、表面処理沈降性炭酸カルシウム、炭酸
マグネシウム、タルク、クレー等の無機補強剤、あるい
はクマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、ハイスチレ
ン樹脂(スチレン含有量の多いスチレン−ブタジエン共
重合体)等の有機補強剤も使用できる。
【0035】充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、
クレー、硫酸バリウム、珪藻土、マイカ、アスベスト、
グラファイト等の無機充填剤、あるいは再生ゴム、粉末
ゴム、アスファルト類、スチレン樹脂、にかわ等の有機
充填剤が挙げられる。軟化剤としては、例えば脂肪酸
(ステアリン酸、ラウリン酸等)、綿実油、トール油、
アスファルト物質、パラフィンワックス等の、植物油
系、鉱物油系、および合成系の各種軟化剤が挙げられ
る。
【0036】可塑剤としては、例えばジブチルフタレー
ト、ジオクチルフタレート、トリクレジルフォスフェー
ト等の各種可塑剤が挙げられる。上記以外にも、例えば
粘着性付与剤、分散剤、溶剤等を、印刷用ブランケット
に要求される性質に応じて適宜配合することができる。
本発明の印刷用ブランケット10は、直接または下貼材
を介してブランケット胴のシリンダの周面上に装着して
使用される。
【0037】本発明の印刷用ブランケットの他の実施形
態としては、例えば図5に示すように、円筒状のスリー
ブ25の外周面上に形成された、周方向に継ぎ目のない
円筒状の印刷用ブランケット20が挙げられる。かかる
ブランケット20(いわゆる、ギャップレスブランケッ
ト)は、スリーブ25上に、圧縮性層23および非伸縮
性層24からなる支持体層22と、表面印刷層21と
を、接着層g1,g2,g3を介してこの順に積層した
ものである。また、印刷用ブランケット20の厚みの嵩
上げを目的として、スリーブ25と圧縮性層23との間
に直接または接着層を介してベース層を設けてもよい。
【0038】円筒状のブランケット20においても、表
面印刷層の表面構造は、前述の平板状のブランケット1
0と同様にして設定される。すなわち、表面印刷層21
の表面には粒径が8〜15μmの高弾性の微小ゴム粒子
が露出している部分が存在する。また、当該部分の、表
面印刷層21の全表面積に対する面積率、前記微小ゴム
粒子が露出していない部分の凹凸高さ、微小ゴム粒子の
硬度(JIS−A)等は、前述の表面印刷層11と同様
に設定される。
【0039】表面印刷層21は、前述の表面印刷層11
用のゴム組成物を用いゴム糊を得、このゴム糊をあらか
じめ形成された支持体層22上に塗布することによって
形成される。上記表面印刷層21とともに印刷用ブラン
ケット20を構成する圧縮性層23、非伸縮性層24、
ベース層およびスリーブ25については、従来公知のギ
ャップレスブランケットと同様の構成とすることができ
る。
【0040】なお、本発明の印刷用ブランケットの構成
は図示したものには限定されず、本発明の要旨を変更し
ない範囲で、種々の設計変更を施すことができる。例え
ば、平板状の印刷用ブランケット10(図2)におい
て、支持体層12内の層構成は適宜変更することができ
る。同様に、円筒状の印刷用ブランケット20(図5)
における支持体層22の層構成も適宜変更することがで
きる。
【0041】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
説明する。 実施例1 (支持体層の作製)基布として綿布、ポリエステルおよ
びレーヨンの繊維を組み合わせてなる混紡織布を用い
た。この基布に含浸させるゴム糊には、NBR100重
量部に対して、沈降炭酸カルシウム30重量部、ジオク
チルアジペート10重量部、酸化チタン5重量部、亜鉛
華3重量部、ステアリン酸1重量部、硫黄1重量部およ
び加硫促進剤(チアゾール類)2重量部を配合し、トル
エンおよびメチルエチルケトンに溶解させたものを用い
た。
【0042】また、圧縮性層用のゴム糊には、NBR1
00重量部に対して、カーボンブラック45重量部、亜
鉛華5重量部、ステアリン酸1重量部、ジオクチルアジ
ペート5重量部、硫黄1重量部および加硫促進剤(チア
ゾール類)2重量部を配合し、トルエン/メチルエチル
ケトンに溶解させ、さらに食塩粒子(粒径1〜50μ
m)を配合したものを用いた。
【0043】上記基布に基布用ゴム糊を糊引きして含浸
させ、厚みを0.08mmに調整し、こうして得られた
3枚の基布をロールで圧着させた。次いで、圧縮性層用
ゴム糊を上記の基布上に塗布して加硫した後、リーチン
グ法によって気泡を形成し、厚さ0.5mm、空隙率5
0体積%の圧縮性層を形成した。
【0044】こうして得られた基布と圧縮性層との積層
体のうち、圧縮性層側の表面に、再度基布用ゴム糊を含
浸させた基布(1枚)を積層して、ロールで加圧して密
着させた。こうして、図2に示す層構成からなる支持体
層12を得た。 (表面印刷層の作製)表面印刷層用のゴムには未加硫の
NBRを用いた。また、突起部を形成するためのゴム粒
子には、平均粒径が16μmの、加硫されたNBR〔ス
プリング硬さ(JIS−A)=80〕を用いた。
【0045】表面印刷層用のゴム糊には、未加硫のNB
Rに前記ゴム粒子を配合し、さらに未加硫のNBR10
0重量部に対して、クレー系充填剤40重量部、ステア
リン酸(可塑剤)1重量部、プロセスオイル(可塑剤)
5重量部、粉末硫黄(加硫剤)1重量部、チウラム系加
硫促進剤1重量部、酸化亜鉛(加硫促進助剤)5重量
部、熱硬化性樹脂(粘着剤)3重量部、キノリン系化合
物1重量部およびトルエン(溶媒)100重量部を配合
したものを用いた。
【0046】上記支持体層12上に、表1に示した表面
印刷層用ゴム糊をブレードコーティング法にて糊引き
し、乾燥させて、厚さ0.4mmの表面印刷層を形成し
た。 (加硫・成形)上記(i) および(ii)の方法によって得ら
れた積層体を、圧力1kg/cm2 、温度150℃で加
硫・成形して、図2に示す層構成からなる平板状の印刷
用ブランケット10を得た。
【0047】こうして得られたブランケット10の表面
印刷層11を一律に研磨して、表面印刷層11のうち突
起部15が形成されていない部分の凹凸高さを5μmに
調整した。また、得られたブランケット10の表面印刷
層11の表面を顕微鏡で観察したところ、突起部15の
数は表面印刷層11の表面1cm2 当たり平均100個
であった。
【0048】突起部15の凹凸高さの平均値は12μm
であった。なお、凹凸高さは、表面粗さ計(明伸工機
(株)製の3次元粗度計)を用い、前述の方法に従って
測定したものである。 実施例2、3および比較例1、2 突起部用のゴム粒子の平均粒径を変えることにより、突
起部15の凹凸高さの平均値(μm)を適宜調整したほ
かは、実施例1と同様にして、突起部15の数が表面印
刷層11の表面1cm2 当たり平均100個である印刷
用ブランケット10を得た。
【0049】(印刷試験)実施例1〜3および比較例
1、2で得られた印刷用ブランケット10をオフセット
印刷機(リョービ社製の560型)のブランケット胴4
0に装着し、印刷速度を8000枚/時間に設定して総
ベタで印刷を行った。排紙性は、図6に示すように、ブ
ランケット胴40と圧胴41との間を通過した印刷用紙
17を10枚重ねて、印刷用紙17がカールしているく
わえじり部分のカール高さt(mm)を測定し、この測
定値を用いて評価した。印刷用紙17には大王製紙
(株)製のコート紙「ユトリロコート110kg」を使
用した。
【0050】排紙性の評価基準は次のとおりである。 ◎ 0≦t<5 排紙性が極めて良好であった。 〇 5≦t<10 排紙性が実用上十分であった。 △ 10≦t<15 排紙性が実用上不十分であった。 × 15≦t 排紙性が極めて低かった。
【0051】以上の結果を、各実施例および比較例での
突起部15の凹凸高さの平均値(μm)とともに表1に
示す。
【0052】
【表1】
【0053】表1より明らかなように、突起部の凹凸高
さの平均値が8〜16μmの範囲にある実施例1〜3の
ブランケットでは、カール高さtが低く、排紙性が良好
であった。これに対し、突起部の凹凸高さの平均値が上
記範囲を下回った比較例1のブランケットでは排紙性が
不十分であった。逆に、突起部の凹凸高さの平均値が上
記範囲を超えた比較例2のブランケットでは排紙性が極
めて良好であったものの、印刷品質が低下するという別
の問題が生じた。
【0054】実施例4〜7および比較例3〜6 突起部用のゴム粒子の配合量を変えることによって、突
起部15の数(表面印刷層1cm2 当たりの平均個数)
を適宜調整したほかは、実施例1と同様にして、突起部
15の凹凸高さの平均値が12μmである印刷用ブラン
ケット10を得た。
【0055】実施例4〜7および比較例3〜6で得られ
た印刷用ブランケット10を用いて、前述と同様にして
総ベタ印刷を行い、排紙性の評価を行った。その結果
を、各実施例および比較例での突起部15の数(表面印
刷層1cm2 当たりの平均個数)ともに表2に示す。ま
た、総ベタ印刷で得られた印刷画像を画像解析すること
によってベタ部分の濃度分布を調べて、印刷品質の評価
を行った。濃度分布の標準偏差(n)が小さいほど印刷
品質が良好であることを示す。印刷品質は5段階に分け
て評価した。その基準は次の通りである。 5:n≦7 印刷品質が極めて良好であった。 4:7<n≦8 印刷品質が良好であった。 3:8<n≦9 印刷品質が実用上十分であった。 2:9<n≦11 印刷品質が低く、実用上不十分であ
った。 1:11<n 印刷品質が極めて低かった。
【0056】印刷品質の評価の結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】表2より明らかなように、突起部の個数の
平均値が5〜200個の範囲にある実施例4〜7のブラ
ンケットではカール高さtが低く、排紙性が良好である
とともに、印刷品質も良好であった。これに対し、突起
部の個数の平均値が上記範囲を超えた比較例5、6のブ
ランケットでは、排紙性が良好であるものの、印刷品質
が著しく低下した。逆に、突起部の個数の平均値が上記
範囲を下回った比較例3、4のブランケットでは、印刷
品質が良好ではあったものの、排紙性が極めて不十分で
あった。
【0059】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の印刷用ブ
ランケットによれば、オフセット印刷したときは、排紙
性、網点再現性およびインキ転移性のいずれも良好であ
る。従って、本発明の印刷用ブランケットは、とりわけ
オフセット輪転機等による高速印刷等に好適に用いられ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷用ブランケットにおける表面印刷
層の表面状態を示す部分拡大斜視図である。
【図2】本発明の印刷用ブランケットの一実施形態を示
す断面図である。
【図3】本発明の印刷用ブランケットの表面に印刷用紙
を押し当てたときの状態を示す模式的断面図である。
【図4】凹凸高さについての説明図である。
【図5】同図(a) は本発明の印刷用ブランケットの他の
実施形態を示す斜視図であり、同図(b) はそのA−A断
面図である。
【図6】印刷用紙のカール高さについての説明図であ
る。
【図7】従来の印刷用ブランケットを示す断面図であ
る。
【符号の説明】
10 印刷用ブランケット 11 表面印刷層 12 支持体層 14 圧縮性層 15 突起部 16 ゴム粒子 17 印刷用紙 18 基準高さ 20 印刷用ブランケット 21 表面印刷層 22 支持体層 24 圧縮性層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体層と、当該支持体層上に設けられた
    表面印刷層とからなる印刷用ブランケットであって、 前記表面印刷層の表面に、高弾性でかつインキ転移性に
    優れたゴム粒子からなる、凹凸高さが8〜15μmの突
    起部が設けられていることを特徴とする印刷用ブランケ
    ット。
  2. 【請求項2】前記突起部が表面印刷層の表面1cm2
    たり5〜200個存在する請求項1記載の印刷用ブラン
    ケット。
  3. 【請求項3】表面印刷層の表面のうち、前記突起部が設
    けられていない部分の凹凸高さが6μm以下である請求
    項1記載の印刷用ブランケット。
  4. 【請求項4】前記ゴム粒子が、スプリング硬さ(JIS
    −A)が70〜85のアクリロニトリル−ブタジエンゴ
    ムである請求項1記載の印刷用ブランケット。
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