JPH11285165A - クレーン用電源設備 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 クレーン用電源設備において、エンジン発電
機容量が小さくて済み、しかも荷役サイクル全体におけ
るエネルギー損失を小さくする。 【解決手段】 エンジン発電機１２からの交流電力はコ
ンバータ１３によって直流電力に変換され、直流母線１
４に送り出される。直流母線にインバータを介してモー
タが接続され、さらに、直流母線には蓄電装置２４が接
続されている。コンバータには電流制御機能が付加され
ており、検出器２５によって、蓄電装置が過充電状態で
あるか否かが検出され、過充電状態を検出すると検出器
２５は過充電検出信号を送出する。コンバータは前記過
充電検出信号に応答して直流電力量を制御する。そして
モータにかかる負荷に応じて蓄電装置を充電又は放電さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はクレーン用の電源設
備に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、クレーンとして、エンジン発電
機を電源設備として用い、コンテナ等を荷役するトラン
スファークレーンが知られている。このトランスファー
クレーンでは、巻上げの負荷から巻き下げの回生負荷ま
で負荷の変動が大きく、最大負荷となる巻上げ加速パワ
ーに対応する容量のエンジン発電機を使用する必要があ
る。

【０００３】このようなエンジン発電機を用いた電源設
備として、例えば、特開平７−２７４５９５号公報に記
載されたものが知られている。ここでは、エンジン発電
機の電力出力線に放電用インバータを介して２重層コン
デンサセットを接続して、予め定められた負荷未満（最
大負荷未満）の際、余剰電力を２重層コンデンサに充電
して蓄えており、最大負荷の際、コンデンサに蓄えた電
力を放電して、この放電電力をエンジン発電機の発電電
力とともに用い、これによって、エンジン発電機の容量
を小さくしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の
トランスファークレーンでは、最大負荷に対応してエン
ジン発電機を選定する必要があり、このため、エンジン
発電機が大きくなってしまい、しかも燃料消費量が多
く、加えて、従来のトランスファークレーンでは、巻下
げの際、特に、減速時に発生する大電力を抵抗器を用い
て熱エネルギーに変換して放熱しており、荷役サイクル
全体におけるエネルギー損失が大きい。

【０００５】特開平７−２７４５９５号公報に記載され
た発電システムでは、クレーン用の発電設備として考慮
されておらず、しかも単に最大負荷時未満の際の余剰電
力を２重層コンデンサに充電しているだけであって、ク
レーンの荷役において、巻き下げ運転時及び減速時に発
生する大電力を有効に利用することはできない。つま
り、荷役サイクル全体におけるエネルギー損失を小さく
することは困難である。

【０００６】本発明の目的はエンジン発電機容量が小さ
くて済むクレーン用電源設備を提供することにある。

【０００７】本発明の他の目的は荷役サイクル全体にお
けるエネルギー損失が小さいクレーン用電源設備を提供
することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、エンジ
ン発電機を駆動電源として荷役を行うクレーンに用いら
れ、前記エンジン発電機からの交流電力を直流電力に変
換するコンバータと、該コンバータに接続された直流母
線と、該直流母線にインバータを介して接続された駆動
装置と、前記直流母線に接続された蓄電装置とを有し、
前記駆動装置にかかる負荷に応じて前記蓄電装置を充電
又は放電させるようにしたことを特徴とするクレーン用
電源設備が得られる。

【０００９】ここでは、前記コンバータには電流制御機
能が付加されており、該蓄電装置が過充電状態であるか
否かを検出して過充電であると過充電検出信号を送出す
る検出器が備えられ、前記コンバータは前記過充電検出
信号に応答して前記直流電力量を制御する。

【００１０】さらに、本発明では、クレーンの揚程によ
る基準充電量と前記蓄電装置の充電量とを比較して前記
蓄電装置に充電を行うか否かを判断して前記蓄電装置が
過充電状態とならないように前記エンジン発電機からの
充電量を制限する手段が備えられている。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下本発明について図面を参照し
て説明する。

【００１２】まず、図１を参照して、トランスファーク
レーン（図示せず）は予め定められた方向に走行可能で
あり、さらに、この走行方向に直交する方向にトロリー
が横行可能である。そして、トランスファークレーンは
荷貨物を巻上げ巻下げして荷役を行う。

【００１３】トランスファークレーンにはエンジン１１
が備えられており、このエンジン１１には交流発電機１
２が接続されている。この交流発電機１２の出力側には
補機、例えば、照明設備、空調設備、及び油圧ポンプ用
モータ等が接続されるとともにコンバータ１３が接続さ
れている。そして、交流発電機１２からの交流電力はコ
ンバータ１３によって直流電力に変換される。コンバー
タ１３には直流母線１４を介して巻上げモータ１５、横
行用モータ１６、及び走行用モータ１７が接続されてい
る。コンバータ１３は電流制御機能付コンバータであ
り、前述の巻上げモータ１５、横行用モータ１６、及び
走行用モータ１７にはそれぞれインバータ１８、１９、
及び２０を介してコンバータ１３が接続されている。

【００１４】直流母線１４には制動ユニット（ブレー
キ）２１を介して回生電力吸収用抵抗器（ＤＢＲ）２２
が接続されている。さらに、直流母線１４には電力用コ
ンデンサ２３及び蓄電装置（化学電池（バッテリー）又
は静電容量（コンデンサ））２４が接続されており、蓄
電装置２４には過充電検出器２５が備えられている。そ
して、過充電検出器２５によって蓄電装置２４が過充電
か否かを検出して、過充電検出器２５は過充電になると
過充電検出信号をコンバータ１３にフィードバックす
る。

【００１５】図１に示すトランスファークレーンでは、
荷役サイクル中（運転中）負荷が小さい場合には、交流
発電機１２からの余分の電力（電流）が蓄電装置２４に
充電される。前述のように、蓄電装置２４の充電量は過
充電検出器２５によって検出されており、蓄電装置２４
の充電量が基準量（１００％）となると、過充電検出器
２５は過充電検出信号をコンバータ１３に与える。過充
電検出信号に応答して、コンバータ１３は電流制御を行
って蓄電装置２４への充電電流供給を停止する。つま
り、コンバータ１３は電流制御によって余分の電力が生
じないようにして蓄電装置２４へ充電電流が供給されな
いようにする。

【００１６】一方、荷貨物を巻下げている際には、巻上
げモータで生じる回生電力が蓄電装置２４に与えられ、
蓄電装置２４が充電される。この際、蓄電装置２４の充
電量が基準量であれば、回生電力は抵抗器２２で熱エネ
ルギーに変換される。

【００１７】ここで図１及び図２を参照して、トランス
ファークレーンによる荷役サイクルについて説明する。

【００１８】いま、交流発電機１２は所定の発電を行っ
ているものとする。トランスファークレーンによって荷
貨物を巻上げる際（巻上げモードＨｈｒ）には、負荷が
大きく、必要電力は図２に示すように変化する。交流発
電機１２からの電力はほぼ一定であるので、この場合に
は、蓄電装置２４から放電が行われ、交流発電機１２及
び蓄電装置２４から巻上げモータ２５に電力が供給され
る。この際、蓄電装置２４からの放電量は必要電力に応
じて図２に示すように変化する。巻上げモードから休止
モード（Ｉ）となると、前述のように、交流発電機１２
からの電力によって蓄電装置２４が充電される。

【００１９】次に、横行モード（Ｔｆ）となると、必要
電力は図２に示すように変化する。この場合には、蓄電
装置２４から放電が行われ、交流発電機１２及び蓄電装
置２４から横行モータ２６に電力が供給される。この
際、蓄電装置２４からの放電量は必要電力に応じて図２
に示すように変化する。横行モードから休止モード
（Ｉ）となると、前述のように、交流発電機１２からの
電力によって蓄電装置２４が充電される。

【００２０】巻下げモード（Ｈｌｒ）となると、巻下げ
開始時においては、図２に示すように充電が必要となる
が、その後、巻上げモータ１５から回生電力が発生す
る。従って、巻下げ開始時においては、蓄電装置２４か
ら放電が行われるが、その後、交流発電機１２からの電
力と回生電力とによって蓄電装置２４が充電されること
になる。巻下げモードから休止モード（Ｉ）となると、
前述のように、交流発電機１２からの電力によって蓄電
装置２４が充電される。

【００２１】また、蓄電装置２４に充電させる判断を、
クレーンの荷貨物の揚程による基準充電量と蓄電装置２
４の充電量とを比較して行い、蓄電装置２４が過充電状
態にならないように、エンジン発電機からの充電量を制
限するようにしてもよい。

【００２２】ここで、蓄電装置２４に充電させる判断及
び充電量の制限制御について図３を参照して説明する。

【００２３】まず、巻上げが完了した後、荷貨物の揚程
検出器（巻上げ装置等に設けた測定器：図示せず）によ
って、揚程データを検出データとして検出して、この検
出データに基づいて基準充電量計算部３１によって基準
充電量を求める。この基準充電量は揚程が高い程多く、
揚程が低くなる程少なくなる。

【００２４】さらに、蓄電装置２４の充電量を過充電検
出器２５で検出して、現在の充電量を計測充電量として
計測する。充電電流計算部３２では計測充電量と基準充
電量とを比較して、蓄電装置２４に基準充電量を加算し
ても充電不足であると判断すると、充電電流計算部３２
では充電器３３に充電電流指令を与え、充電器３３によ
って横行モード（Ｔｆ）で、その不足分のみ蓄電装置２
４に充電する。なお、充電電流の大きさは、不足量に応
じて増減させる。

【００２５】一方、計測充電量と基準充電量とを比較し
た結果、充電量が不足しないと判断すると、充電電流計
算部３２は充電器３３に充電電流指令を与えない。つま
り、横行モード（Ｔｆ）で蓄電装置２４への充電は行わ
ない。

【００２６】その後、例えば、図示のように、再び、巻
上げモード（Ｈｈｏ）、横行モード（Ｔｒ）、及び巻下
げモード（Ｔｌｏ）が行われる。

【００２７】なお、図１に示す電力用コンデンサ２３は
ピーク電力の授受用であるが、必要に応じて省略するこ
とができる。

【００２８】また、制御ユニット２１と回生電力吸収用
抵抗器２２とは、巻き下げ時の回生電力によって直流母
線電圧が上昇した際、異常電圧まで直流母線電圧が上昇
しないように直流母線電圧が所定の電圧まで上昇する
と、抵抗器２２に放電して電圧を下げるように作用す
る。

【００２９】上述の説明から容易に理解できるように、
図示の例では、巻上げ（加速時、巻上げ時、減速時）の
際には、交流発電機及び蓄電装置から巻上げモータに電
力を供給している。走行又は横行の際には、一般的に
は、交流発電機からの電力によって走行モータ又は横行
モータを駆動するが、必要に応じて蓄電装置から放電さ
せる。一方、巻下げの際には、回生電力で蓄電装置を充
電することになる。

【００３０】このようにすれば、交流発電機の容量を小
さくして必要に応じて蓄電装置からの放電電流によって
モータを駆動し、交流発電機の電力が余る際には、蓄電
装置を充電できることになる。

【００３１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明ではクレー
ン用電源設備において、直流母線にインバータを介して
各種モータを接続するとともに蓄電装置を接続するよう
にしたから、エンジン発電機容量が小さくても荷役に必
要な電力を供給することができるばかりでなく、荷役サ
イクル全体におけるエネルギー損失を小することができ
るという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるクレーン用電源設備の一例を説明
するための図である。

【図２】図１に示す電源設備における荷役サイクルと電
力との関係を説明するための図である。

【図３】図１に示す蓄電装置を充電するか否かを判断す
る際の動作を説明するための図である。

【符号の説明】

１１ エンジン １２ 交流発電機 １３ コンバータ １４ 直流母線 １５ 巻上げ用モータ １６ 横行用モータ １７ 走行用モータ １８乃至２０ インバータ ２１ 制動ユニット ２２ 回生電力吸収用抵抗器 ２３ 電力用コンデンサ ２４ 蓄電装置（化学電池又は静電容量）

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジン発電機を駆動電源として荷役を
   行うクレーンに用いられ、前記エンジン発電機からの交
   流電力を直流電力に変換するコンバータと、該コンバー
   タに接続された直流母線と、該直流母線にインバータを
   介して接続された駆動装置と、前記直流母線に接続され
   た蓄電装置とを有し、前記駆動装置にかかる負荷に応じ
   て前記蓄電装置を充電又は放電させるようにしたことを
   特徴とするクレーン用電源設備。
2. 【請求項２】 請求項１に記載されたクレーン用電源設
   備において、前記コンバータには電流制御機能が付加さ
   れており、該蓄電装置が過充電状態であるか否かを検出
   して過充電であると過充電検出信号を送出する検出器が
   備えられ、前記コンバータは前記過充電検出信号に応答
   して前記直流電力量を制御するようにしたことを特徴と
   するクレーン用電源設備。
3. 【請求項３】 請求項１に記載されたクレーン用電源設
   備において、前記クレーンの揚程による基準充電量と前
   記蓄電装置の充電量とを比較して前記蓄電装置に充電を
   行うか否かを判断して前記蓄電装置が過充電状態となら
   ないように前記エンジン発電機からの充電量を制限する
   手段を備えていることを特徴とするクレーン用電源設
   備。