図面を参照すると、本発明による掘削機は全体的に参照符号1で示す。掘削機1は、移動体アセンブリ2及び支持構体3を備える。代表的には下部車架である移動体アセンブリ2は、支持構体3に機械的に連結し、地面上で支持構体3自体の並進移動を実施するよう動力化する。
支持構体3は、移動体アセンブリ2に固定式に、又は軸線Rの周りに回転できるよう機械的に連結し、この支持構体3は、フレーム4と、及びガイド10を設けた支柱5を有する。例えば、運転室である制御ステーション6は、フレーム4に機械的に連結し、また例えば、ジョイスティック及び/又はペダルである少なくとも1つの制御装置8を有する少なくとも制御グループ7と、並びに例えば、制御パネル又はキーパッドであり、双方ともオペレータが操作できる、いわゆる「HMI」と称されるヒューマン・マシン・グラフィカル・インタフェース9を備える。
掘削機1は、さらに、ガイド10によって支柱5に沿って案内するよう並進移動するよう構成され、また掘削ストリング12に対して回転運動及び/又は並進移動を付与するように動力化した掘削ヘッド11を備える。この掘削ストリング12は、孔自体のほぼ縦方向である方向Lに沿う孔61内部で移動できるような形状である。この掘削ストリング12は、掘削ヘッド11によって作動して、孔を掘削することができる。
とくに、図1に示す掘削ストリング12は、単に例として外部抜き差しロッド13及び内部抜き差しロッド14から成り、双方のロッドともに縦方向細条15を設けてあり、またさらに、内部抜き差しロッド14に連結した掘削ツール16を有する。このような縦方向15によって、これら抜き差しロッド13及び14は、掘削ヘッド11によって与えられる回転運動を受け取り、またこの回転運動を掘削ツールに伝達するよう構成され、またさらに、これらロッドは、これらロッドの縦方向軸線に沿って外部ロッド13に対する外部ロッド14の同軸状並進移動を可能にするよう構成される。
掘削機1は、さらに、代表的にはワイヤロープであり、支柱5に沿って滑車18、19、20によって帰還させられ、また掘削ストリング12を保持及び移動させるよう配備された可撓性引張素子17を備える。掘削機1は、さらに、例えば、ウインチであり、機械的に支持構体3に連結され、また機械的に可撓性引張素子17が付随する動作装置21を備え、さらにまた、第1電動モータ22を備える。第1電動モータ22は、直接的に動作装置21に機械的な連結をする、又は図面には示されない変速機34を介して間接的に動作装置21に機械的な連結をすることができる。動作装置21は、第1電動モータ22によって動作して、孔自体に対するほぼ縦方向の方向Lに沿って可撓性引張素子17により掘削ストリング12を移動させることができる。
単なる例としては電磁的制御の機械的ブレーキである、図面に示さない機械的パーキングブレーキを動作装置21に機械的に付随させ、機械的パーキングブレーキは、動作装置自体の速度が最少閾値より低くなるとき、又は緊急ブレーキが必要とされるとき、自動的に係合して動作装置21の運動を完全に停止させ、また可撓性引張素子17によって掘削ストリング12の重量を保持するよう構成される。
図示の動作装置21はフレーム4に機械的に連結されているが、支柱5に機械的に連結することができる。第1電動モータ22は、第1作業モードでは、可撓性引張素子17によって掘削ストリング12を持ち上げるよう動作装置21を作動させるよう構成し、また第2作業モードでは、動作装置21に機械的制動力を加え、可撓性引張素子17によって制御状態で掘削ストリング12の降下に制動をかけ、所望の制御降下速度Vdにしてこれを維持するよう構成される。
第1電動モータ22は、さらに、第2作業モードでは電力Pmotを生ずるよう構成する。とくに、第1電動モータ22は、機械的制動力を動作装置21に加え、この機械的制動力を発生した電力Pmotに変換する。
第1電動モータ22は、孔内での降下フェーズ及び孔61外部での降下フェーズすなわち、掘削ツール16が地面レベル62より上方に位置するとき、例えば、掘削ツール16内に溜まった土を地面レベル62に放出して空にするステップの双方において、所望制御速度の降下行程中に掘削ストリング12に制動を掛けることができる。
第1電動モータ22は第1双方向電力コンバータ装置23に電気的に接続し、この第1双方向電力コンバータ装置23は、電気制御信号によって制御可能な電子パワーデバイス、例えば、サイリスタ(SCR、GTO)又はトランジスタ(IGBT、FET、MOSFET、BJT)を有する。この第1双方向電力コンバータ装置23は、次に「リンク」と称される電気エネルギー送電網24に電気的に接続する。第1双方向電力コンバータ装置23は、第1電動モータ22によって発生した電力Pmotを変換済み電力Pregenに変換するよう構成し、またこの変換済み電力Pregenをリンク24に入力させるよう構成する。例えば、第1双方向電力コンバータ装置23は、少なくとも発生した電力Pmotの電圧及び電流の形式を変換するAC/DCコンバータとして構成することができる、又は少なくとも発生した電力Pmotの電圧及び電流における少なくとも強度を変換するAC/DC若しくはDC/DCコンバータとして構成することができる。
電力消費ユニット25は、リンク24に電気的に接続し、また第1双方向電力コンバータ装置23によって変換された変換済み電力Pregenを受け取るよう配備する。リンク24は、第1双方向電力コンバータ装置23に電気的に接続し、また第1双方向電力コンバータ装置23によって変換された変換済み電力Pregenを電力消費ユニット25に伝送するよう配置する。電力消費ユニット25は、少なくとも1つの第1電気エネルギー貯蔵システム40と、及び電力を発生するよう構成した原動機50とを有する。第1電気エネルギー貯蔵システム40は、少なくとも1つの第2双方向電力コンバータ装置41を有し、この第2双方向電力コンバータ装置41は、電気制御信号によって制御可能な電子パワーデバイス、例えば、サイリスタ(SCR、GTO)又はトランジスタ(IGBT、FET、MOSFET、BJT)と、及び少なくとも1つの第2双方向電力コンバータ装置41に付随する少なくとも1つの第1貯蔵ユニット42とを有する。
この第1貯蔵ユニット42は、単に例として、互いに直列及び/若しくは並列に電気的に接続した電気的2層キャパシタのような多重スーパーキャパシタを有するスーパーキャパシタによる第1ユニットとすることができる、又は単に例として、互いに直列及び/若しくは並列に電気的に接続したLi-Ion若しくはLi-FePO4型のリチウム電池又は純粋鉛電池のような複数の二次電池を有する二次電池による第1ユニットとすることができる。
図2に示すような本発明の第1実施形態において、原動機50は、少なくとも、例えばジーゼルエンジンのような内燃機関51と、内燃機関51に機械的に連結した第2電動モータ52とを有し、またさらに、第2電動モータ52に電気的に付随する第3電力コンバータ装置53であって、電気制御信号によって制御可能な電子パワーデバイス、例えば、サイリスタ(SCR、GTO)又はトランジスタ(IGBT、FET、MOSFET、BJT)を有する、該第3電力コンバータ装置53を有する。とくに、この第3電力コンバータ装置53は双方向性とすることができるが、代案として、一方向性とすることができる。
制御グループ7は、掘削ツール16の所望制御降下速度(Vd)の値を表す少なくとも1つの第1電気制御信号を送信するよう構成する。
掘削機1は、さらに、動作装置21の運動を制御するよう配備した制御システム60を備える。とくに、制御システム60は、第1電気制御信号を受信し、この第1電気制御信号に基づいて第2電気制御信号を生成し、これら第2電気制御信号を第1双方向電力コンバータ装置23に送信するよう構成し、第1双方向電力コンバータ装置23は、実際、掘削ストリング12を所望制御速度Vdで降下させることを実施するため、受信した第2電気制御信号に基づいて第1電動モータ22の動作を制御するよう構成される。
有利には、制御システム60は、少なくとも第1双方向電力コンバータ装置23に付随する第1内蔵制御ユニット70を有し、この場合、この第1内蔵制御ユニット70は、第2電気制御信号を生成するよう構成される。
好適には、制御システム60は分散型とする、すなわち、複数の内蔵制御ユニットを設け、各内蔵制御ユニットは掘削機1のコンポーネントを制御するよう配備される。この場合、分散型制御システムはリアルタイム型とする、すなわち、予め規定した時間周期内で種々の内蔵制御ユニット間で通信データの交換を可能にするよう配備する。制御システム60におけるこのタイプのアーキテクチャの利点を以下に説明する。
本発明の第1実施形態において、制御システム60は、さらに、第2双方向電力コンバータ装置41に付随する第2内蔵制御ユニット80と、第3電力コンバータ装置53に付随する第3内蔵制御ユニット90と、例えば、安全機能を有するPLCのような中央制御ユニット91と、及び少なくとも1つの通信プロトコルによって、さらに、可能であれば複数の異なる通信プロトコルによって通信データを伝送するように配備した通信システム92とを有する。とくに、この通信システム92は、内蔵制御ユニット70、80、90間で、また各内蔵制御ユニット70、80、90と中央制御ユニット91との間で通信データを伝送するよう配備する。リアルタイム制御システム60は、種々の内蔵制御ユニット70、80、90間で、また各内蔵制御ユニット70、80、90と中央制御ユニット91との間で予め規定した時間周期内で通信データの交換を可能にするよう配備する。有利には、しかし限定する意味ではなく、第1双方向電力コンバータ装置23及び第1内蔵制御ユニット70は第1共通エンクロージャ27内に収容し、第2双方向電力コンバータ装置41及び第2内蔵制御ユニット80は第2共通エンクロージャ28内に収容し、また第3電力コンバータ装置53及び第3内蔵制御ユニット90は第3共通エンクロージャ29内に収容する。このような機能エンクロージャ27、28、29は、例えば、既知のタイプの電気的スイッチボード、電気的ボックス、又は電気的キャビネットとすることができる。
第1内蔵制御ユニット70は、例えば、少なくとも1つのDSP及び/又は1つのマイクロプロセッサ及び/又は1つのマイクロコントローラ及び/又は1つのFPGAを有し、この第1内蔵制御ユニット70はプログラム化する、すなわち、第1内蔵制御ユニット70のメモリユニット内にローディングしたコンピュータ制御プログラムを有する。このコンピュータ制御プログラムは、複数の計算モジュール、すなわち、第1双方向電力コンバータ装置23の制御に関与する複数の計算命令群を有する。これら計算モジュールは、必ずしも所定シーケンスに従って互いに順次に実行する必要はなく、計算モジュールの計算命令は、他の計算モジュールにおける計算命令の結果に依存するようにすることができる。後者のケースにおいては、実際、計算モジュールの実行は、1つ又はそれ以上の「予備」計算モジュールの先行実行に依存することができる。第1内蔵制御ユニット70の制御プログラムは、少なくとも速度制限モジュール71、速度調節モジュール72、トルク調節モジュール73、電力制限モジュール75、電気制御信号を生成する第1モジュール77A、瞬間位置及び速度微分モジュール78、及び加速及び減速制限モジュール79を有する。
第2内蔵制御ユニット80は、例えば、少なくとも1つのDSP及び/又は1つのマイクロプロセッサ及び/又は1つのマイクロコントローラ及び/又は1つのFPGAを有し、この第2内蔵制御ユニット80はプログラム化する、すなわち、第2内蔵制御ユニット80のメモリユニット内にローディングしたコンピュータ制御プログラムを有する。このコンピュータ制御プログラムは、複数の計算モジュール、すなわち、第2双方向電力コンバータ装置41の制御に関与する複数の計算命令群を有する。第2内蔵制御ユニット80内にローディングされた制御プログラムは、少なくとも第1リンク電圧調節モジュール、第1電流制限モジュール、電気制御信号を生成する第2モジュール、及び第1熱管理モジュールを有する。中央制御ユニット91は、少なくとも制御グループ7に電気的に接続する、すなわち、制御デバイス8、HMI9、及び通信システム92に電気的に接続する。この通信システム92は、少なくとも第1内蔵制御ユニット70、第2内蔵制御ユニット80、及び第3内蔵制御ユニット90、及び中央制御ユニット91に電気的に接続する。
第1実施形態による掘削機1の運用は、図1から3につき以下に説明する。掘削ツール16内に溜まった土を地面レベル62に放出して空にするステップが完了し、また孔61の縦方向軸線Lに掘削ストリングを位置決めした後、オペレータは、孔内における掘削ツール16の制御した降下速度の所望値を付与するよう、制御デバイス8又はHMI9を作動する。
制御グループ7は、掘削ツール16の孔内における制御降下速度Vdの所望値を表している第1電気制御信号を、中央制御ユニット91に送信するよう構成する。掘削ツール16は「ケリー」式抜き差しロッドに機械的に連結する場合、掘削ツール16の制御降下速度Vdの所望値は、各ロッドの重量が可撓性引張素子17に作用し、かつ掘削ヘッド11には作用しない限り、各抜き差しロッド13、14の所望制御降下速度の値に一致する。
第1電気制御信号を中央制御ユニット91が受信して、この第1電気制御信号の掘削機1の作業状態との適合性を検証する。この第1電気制御信号が掘削機の作業状態との適合性を示している場合、中央制御ユニット91は、通信システム92によってこの第1電気制御信号を、受信して制御プログラムによって処理すべき第1内蔵制御ユニット70に送信する。第1代案によれば、制御グループ7は、この第1電気制御信号を通信システム92に送信するよう構成する。後者のケースにおいて、通信プロトコルは、この第1電気制御信号を中央制御ユニット91に送信し、掘削機1の作業状態との適合性を示している場合にのみ、第1電気制御信号を、受信して制御プログラムによって処理すべき第1内蔵制御ユニット70に送信する。他の代案によれば、制御グループ7は、この第1電気制御信号を受信すべき第1内蔵制御ユニット70に送信するよう構成する。このケースにおいては、第1電気制御信号は、第1内蔵制御ユニット70又は制御グループ7によって中央制御ユニット91にも転送される。とくに、この第1電気制御信号が掘削機1の作業状態との適合性を示している場合、中央制御ユニット91は、第1内蔵制御ユニット70に対して状況適合性を表している信号を送信し、これにより、状況適合性を表しているこの信号を受信した後にのみ、第1内蔵制御ユニット70にローディングされた制御プログラムがこの第1電気制御信号を処理する。
したがって、いかなるケースにおいても、第1電気制御信号は、この第1電気制御信号の掘削機1の作業状態との適合性検証後にのみ第1内蔵制御ユニット70によって処理される。
この第1内蔵制御ユニット70は、第1電気制御信号を受信し、また速度制限モジュール71により制御降下速度Vdの所望値を処理する。この速度制限モジュール71は、制御降下速度Vdの所望値を制御降下速度の最大値Vmaxと比較する。この制御降下速度の最大値Vmaxは、掘削ツール16の位置Pos、可撓性引張素子17に作用する瞬間重量Weight、動作装置21又は変速機34の許容最大回転速度Nmax1、第1電動モータ22の許容最大回転速度Nmax2、使用される掘削技術のタイプLDP、CFA、CAP、使用される掘削ツールのタイプTool、第1電動モータ22のエネルギー効率Eff、及び電力消費ユニット25が使用できる最大電力Pmaxのうち少なくとも1つのパラメータに基づいて、速度制限モジュール71が決定する。
掘削ツール16の位置Pos、すなわち、地面レベル62と比較したレベルは、有利には、瞬間位置及び速度微分モジュール78によって、又は既知のタイプの掘削機と同様に、動作装置21に付随する深さセンサを使用して、決定することができる。可撓性引張素子17に作用する瞬間重量Weightは、荷重センサ、例えば、滑車18、19、20のうち任意な滑車に機械的に連結したロードセルによって、又は動作装置21若しくは変速機34に機械的に連結した任意な荷重センサによって送信される信号により決定することができる。
代案として、可撓性引張素子17に作用する瞬間重量Weightは、掘削ツール16の位置Posに基づいて、及び第1内蔵制御ユニット70内に保持された、またオペレータがHMIによって入力したパラメータ、例えば、使用される抜き差しロッドの数、各抜き差しロッドの重量及び長さのパラメータに基づいて、第1内蔵制御ユニット70が決定することができる。
有利には、可撓性引張素子17に作用する瞬間重量Weightは、数学的モデル、例えば、動作装置21又は変速機34又は第1電動モータ22又は掘削ストリング12又は可撓性引張素子17の動力学に対する運動方程式によって、第1内蔵制御ユニット70が決定することができる。
動作装置21又は変速機34の許容最大回転速度Nmax1、及び第1電動モータ22の許容最大回転速度Nmax2は、有利には、第1内蔵制御ユニット70内に保持された、及び第1内蔵制御ユニット70自体に電気的に関連する制御パネルによって挿入された所定値に基づいて決定することができる。使用される掘削技術のタイプLDP、CFA、CAPは、HMIによって入力され、使用される掘削技術のタイプ、例えば、使用される掘削ツールのタイプ(例えば、バケット、ドリル、連続的フライトオーガ)を表す、若しくは掘削機の採用した構成(例えば、「LDP」又は「CFA」又は「CAP」)を表す入力パラメータに基づいて、オペレータが使用する掘削技術のタイプを選択するよう設計された任意なHMI構成に基づいて、決定することができる。
使用される掘削ツールのタイプToolは、HMIによって入力され、また掘削ツール16のジオメトリ、例えば、直径、高さ、連続フライトオーガのフライトピッチ、及び重量を表す入力パラメータに基づいて決定することができる。第1電動モータ22のエネルギー効率Effは、第1内蔵制御ユニット70内に保持され、また少なくとも第1電動モータ22の回転速度の変動、及び第1電動モータ22が発生する制動トルクの変動とともに、この第1電動モータ22のエネルギー効率を表すテーブルに基づいて決定することができる、又は少なくとも回転速度の変動及び発生する制動トルクの変動とともに、第1電動モータ22のエネルギー効率を決定するよう設計した数学的モデルに基づいて計算することができる。
電力消費ユニット25が使用できる最大電力Pmaxは、有利には電力制限モジュール75が受け取ることができ、またこの電力制限モジュール75は、電力消費ユニットが使用できる最大電力Vmaxpowに基づいて制御した降下速度の最大値を速度制限モジュール71に送信することができる。速度制限モジュール71は、さらに、制御降下速度値Vdの所望値と制御降下速度最大値Vmaxとの比較に基づいて所望最大速度値Vdmaxを決定するよう構成する。瞬間位置及び速度微分モジュール78は、孔内における掘削ツール16の瞬間降下速度Vinstを表している値を決定し、かつ掘削ツール16の位置Pos、すなわち、地面レベル62と比較したレベルを決定するよう構成する。
この瞬間位置及び速度微分モジュール78は、さらに、掘削ツール16の瞬間降下速度Vinstを表している値を加速及び減速制限モジュール79及び/又は速度調節モジュール72に送信するよう構成し、さらにまた、掘削ツール16の位置Posの値を速度制限モジュール71及び/又は加速及び減速制限モジュール79に送信するよう構成する。
第1のケースにおいては、瞬間位置及び速度微分モジュール78は、掘削ツール16の瞬間降下速度Vinst及び掘削ツール16自体の位置Posを表している値を、動作装置21に接続した既知のタイプの深さセンサ、例えば、ウィンチドラムに機械的に接続したエンコーダによって送られる電気信号に基づいて決定するよう構成する。
第2のケースにおいては、瞬間位置及び速度微分モジュール78は、第1電動モータ22のローターの瞬間角度位置Posrot及び瞬間角速度Vrotを、このローターに接続したセンサ、例えば、エンコーダ若しくはレゾルバにより送信される電気信号に基づいて、またローター自体の瞬間角度位置の推定手段若しくは観測手段に基づいて決定するよう構成する。この第2のケースにおいて、瞬間位置及び速度微分モジュール78は、掘削ツール16の位置Pos、すなわち、地面レベル62と比較したレベルを、第1電動モータ22のローターの瞬間角度位置Posrotに基づいて決定するよう構成し、さらにまた、掘削ツール16の瞬間降下速度Vinstを表している値を、第1電動モータ22のローターの瞬間角速度Vrotに基づいて決定するよう構成する。
有利には、しかし限定しないが、瞬間位置及び速度微分モジュール78は、さらに、ゼロの瞬間角速度でさえもある極めて低速の瞬間角速度における、第1電動モータ22のローターの瞬間角度位置Posrot及び瞬間角速度Vrotを決定するよう構成する。掘削ツール16の位置Posは第1電動モータ22のローターの瞬間角度位置Posrotに基づいて決定することができるため、有利にも、動作装置に連結した既知のタイプのセンサを用いることを回避でき、したがって、コスト削減になることを理解されるであろう。
いかなるケースであっても、掘削ツール16が「ケリー」式抜き差しロッドに機械的に連結される場合、掘削ツール16の瞬間降下速度を表している値Vinstは、各抜き差しロッドの重量が可撓性引張素子17に作用し、また掘削ヘッド11には作用しない限り、各抜き差しロッド13、14の瞬間降下速度を表している値に一致する。
加速及び減速制限モジュール79は、所望加速度又は所望減速度Adの値を、所望最大速度の値Vdmaxに基づいて、したがって、制御降下速度Vdの所望値にも基づいて、また瞬間降下速度を表している値Vinstに基づいて、決定するよう構成する。この加速及び減速制限モジュール79は、さらに、加速度及び/又は減速度の最大値Amaxを、掘削ツール16の位置Pos、可撓性引張素子17に作用する瞬間重量Weight、使用される掘削ツールのタイプLDP、CFA、CAP、使用される掘削ツールのタイプToolのうち少なくとも1つのパラメータに基づいて決定するよう構成し、さらにまた、所望制御降下速度の許容値Vdadmを、所望加速度又は所望減速度Adの値と加速度及び/又は減速度の最大値Amaxとの比較に基づいて決定するよう構成する。
速度調節モジュール72は、コントローラ、例えば、比例積分的、比例積分-微分的、履歴的、又はファジー的なコントローラを有することができる。このコントローラによって、速度調節モジュール72は、所望制御降下速度の許容値Vdadmを、瞬間降下速度を表している値Vinstと比較し、またこの比較に基づいて第1電動モータ22によって発生する制動トルクの所望値を決定するよう構成する。速度調節モジュール72は、さらに、発生した制動トルクの最大値Tbrakemaxを、電力消費ユニット25が使用可能な最大電力Pmax及び第1電動モータ22が印加可能な最大制動トルクTbrakemotのうち少なくとも1つのパラメータに基づいて決定するよう構成する。
電力消費ユニット25が使用できる最大電力値Pmaxは、有利には、電力制限モジュール75が受信することができ、またこの電力制限モジュール75は、電力消費ユニットが使用できる最大電力に基づく発生制動トルクの最大値Tbrakepowを速度調節モジュール72に送信することができる。第1電動モータ22が印加できる最大制動トルクTbrakemotは、第1内蔵制御ユニット70内に保持され、また少なくとも第1電動モータ22の回転速度変動、及び/又は既知タイプのIECによる第1電動モータ22の負荷タイプの変動、及び/又は第1電動モータ22の少なくとも1つの温度変動とともに、第1電動モータ22が印加可能な最大制動トルクを示しているテーブルに基づいて決定することができる。
第1電動モータ22のこの少なくとも1つの温度は、第1内蔵制御ユニット70によって、第1電動モータ22に付随する温度センサによって送信される電気信号に基づいて決定することができる、又はこの第1電動モータ22の電気的パラメータに基づいて少なくとも1つの温度を計算するよう設計した数学的モデルに基づいて計算することができる。速度調節モジュール72は、さらに、第1電動モータ22によって発生した制動トルクTbrakeの基準値を、発生した制動トルクの所望値と発生した制動トルクの最大値Tbrakemaxとの比較に基づいて決定するよう構成する。
第1内蔵制御ユニット70は、したがって、速度調節モジュール72によって少なくとも1つの降下行程中における掘削ツールの制御降下速度の瞬間値を制御するよう構成する。電力制限モジュール75は、第1電動モータ22によって発生した電力Pmot及び第1双方向電力コンバータ装置23によって変換された電力Pregenを制限して、電力消費ユニット25が使用できる最大電力Pmaxよりも大きくない値に制限するよう構成する。
この目的のために、電力制限モジュール75は、電力消費ユニット25が使用できる最大電力値Pmaxを表している信号を受信するよう構成し、またさらに、電力消費ユニット25が使用できる最大電力Pmaxに基づいて、速度制限モジュール71によって決定される制御降下速度の最大値Vmaxを制限する、及び/又は速度調節モジュール72によって決定される発生制動トルクTbrakeの基準値を制限するよう構成する。
この目的のために、電力消費ユニットが使用できる最大電力に基づく制御降下速度の最大値Vmaxpow、及び/又は電力消費ユニットが使用できる最大電力に基づく発生制動トルクTbrakepowの最大値を生成するよう構成する。
トルク調節モジュール73は、速度調節モジュール72によって決定される発生制動トルクTbrakeの基準値に基づく基準制御値COMMを生成するよう構成したコントローラ、例えば、比例積分的、比例積分-微分的、履歴的、又はファジー的なコントローラを有することができる。電気制御信号を発生する第1モジュール77Aは、したがって第1内蔵制御ユニット70も、第2電気制御信号を生成し、また第1双方向電力コンバータ装置23に送信するよう構成する。
とくに、電気制御信号を発生する第1モジュール77Aは、トルク調節モジュール73によって発生した少なくとも基準制御値COMMに基づいて第2電気制御信号を生成し、またこの第2電気制御信号を第1双方向電力コンバータ装置23の制御可能電子パワーデバイスに送信し、これにより第1双方向電力コンバータ装置23は第1電動モータ22の作業を制御する、すなわち第1電動モータ22は、制御状況の下で掘削ストリング12の降下を制動するよう適切な強度の制動トルクを印加することによって、動作装置21に対して制動トルクを印加する。
基準制御値COMMに基づいて第1内蔵制御ユニット70が第2電気制御信号を第1双方向電力コンバータ装置23に送信することになる、この基準制御値COMMは制御降下速度Vdの所望値を起点として決定されるため、印加される制動トルク、及びひいては印加される機械的制動力は、掘削ストリング12が制御降下速度Vdに等しい速度で降下を実施するような強度を有する。制御降下速度Vdの所望値は、第1電気制御信号により与えられるため、第1内蔵制御ユニット70は、この第1電気制御信号に基づいて第2電気制御信号を発生し、またこの第2電気制御信号を第1双方向電力コンバータ装置23に送信するよう構成する。
第2電気制御信号を送信することによって、第1内蔵制御ユニット70は、この第1双方向電力コンバータ装置23に電気的に関連付けされる。電気制御信号を生成する第1モジュール77Aが送信するこれら第2電気制御信号に基づいて、第1双方向電力コンバータ装置23は、第1電動モータ22の少なくとも1つの電気パラメータを制御し、掘削ストリング12の孔内における全体降下行程に沿う孔内における掘削ストリング12の降下速度制御を確実にする。
第1電動モータ22により実施される掘削ストリング12の制動中、第1双方向電力コンバータ装置23は、発生した電力Pmotを「Pregen」で示される変換済み電力に変換し、またこれをリンク24に送給する。電力制限モジュール75によって、この変換済み電力「Pregen」は、常に電力消費ユニット25が使用できる最大電力Pmaxよりも大きくない値に制限する。
既知の掘削機におけるよりも一層効率的に内燃機関の燃料を使用できるようにするため、変換済み電力Pregenの少なくとも一部分は、貯蔵電力Psotredとして第1電気エネルギー貯蔵システム40に転送し、後で再利用できるようにしなければならない。換言すれば、掘削ストリングの降下中、変換済み電力Pregenの少なくとも一部分は第1電気エネルギー貯蔵システム40に向かい、第1電気エネルギー貯蔵システム40が電力Psotredを少なくとも1つの第1貯蔵ユニット42内に貯蔵し、電気エネルギーを後で再利用できるようにしなければならない。
全体降下行程に沿って動作装置21の作業にいかなる不安定さもなく掘削ストリング12の制御降下速度の所望値を確実にするため、リンク24が受ける電圧値を、リンク24が受ける電圧の最小値と最大値との間に含まれる所定範囲内に維持することが必須である。
この目的のために、リンク24には、リンク24に並列に配備した少なくとも1つのキャパシタ26を設け、リンク24の電圧振動を制限し得るようにする。この少なくとも1つのキャパシタ26の必要寸法を減少するために、またリンク24が受ける電圧を制御速度での掘削ストリング12の降下中に所定範囲内に維持するために、変換済み電力Pregenに基づいて第1電気エネルギー貯蔵システム40内に貯蔵される瞬間電力Pstoredの値を制御することが必須である。変換済み電力Pregenに基づいて貯蔵される瞬間電力Pstoredの値のこの制御は、第2双方向電力コンバータ装置41に付随する第2内蔵制御ユニット80によって行われる。
第1リンク電圧調節モジュールは、変換済み電力Pregenによって課されるリンク電圧瞬間値Vlinkを決定し、またこのリンク瞬間電圧Vlinkを表すこの値をリンク電圧の第1基準値Vlinkref1と比較し、またこの比較に基づいてリンク電圧の第1制御値を生成するよう構成する。第1電流制限モジュールは、変換済み電力Pregenによって課され、第2双方向電力コンバータ装置41の各相で流れる電流の値を測定するよう構成し、またさらに、各相に流れるこの電流値を相電流の最大許容値よりも大きくない値に制限するよう構成する。
この第1電流制限モジュールによって、第2内蔵制御ユニット80は、したがって、第1貯蔵ユニット42内を流れる電流を調節するよう構成する。電気制御信号を生成する第2モジュールは、リンク電圧の第1制御値、及び相電流の最大許容値のうち少なくとも1つのパラメータに基づいて、第3電気制御信号を生成し、またこれを第2双方向電力コンバータ装置41の制御可能電子パワーデバイスに送信して、貯蔵電力Pstoredの瞬間値を制御するよう構成する。リンク電圧Vlinkの瞬間値及び第2双方向電力コンバータ装置41の各相に流れる電流値の双方は、変換済み電力Pregenに依存するため、電気制御信号を生成する第2モジュールは、変換済み電力Pregenに基づく第2電気制御信号を生成し、またこれを送信するよう構成する。これに続いて、第2内蔵制御ユニット80は、変換済み電力Pregenに基づいて貯蔵される貯蔵電力Pstoredの瞬間値を制御する。
したがって、リアルタイム分散型制御システム60は、掘削ストリング12の降下行程中に第2電気制御信号及び第3電気制御信号によって精密に制御された速度で動作装置21を制御するよう配備されることが理解されるであろう。第3電気制御信号を送信することによって、第2内蔵制御ユニット80は、第2双方向電力コンバータ装置41に電気的に関連付けされる。第1温度管理モジュールは、第1貯蔵ユニット42の少なくとも1つの温度の瞬間値を決定し、またこの瞬間値を温度の最大許容値と比較するよう構成する。
この第1温度管理モジュールは、さらに、相電流の最大許容値、及び/又は各相を流れる電流値、及び/又はこの比較に基づいて貯蔵される貯蔵電力Pstoredの瞬間値を制限するよう構成する。この第1温度管理モジュールは、さらに、第1貯蔵ユニット42内を流れる電流、すなわち、多重スーパーキャパシタ内若しくは多重二次電池内を流れる電流を平衡化するよう構成する。
とくに、この平衡化を達成するため、第1温度管理モジュールは、第1貯蔵ユニット42の少なくとも1つの温度のこの瞬間値に基づいて、各スーパーキャパシタを流れる又は各二次電池内を流れる電流を調節する。
有利には、さらに、各スーパーキャパシタ又は各二次電池の温度の瞬間値を決定するよう、この第1温度管理モジュールを構成することができる。このようにして、この第1温度管理モジュールは、各スーパーキャパシタを流れる又は各二次電池を流れる電流を、対応するスーパーキャパシタ又は対応する二次電池の温度の瞬間値に基づいて調節することができる。
第3内蔵制御ユニット90は、第4電気制御信号を第3電力コンバータ装置53の制御可能電子パワーデバイスに送信するよう構成し、これにより電力を発生するよう構成した原動機50は、少なくとも地面レベル62に向かう掘削ストリング12の持ち上げ行程中に、電気エネルギー送電網24を介して電力を第1双方向電力コンバータ装置23に、またしたがって、第1電動モータ22に送信する。この第1電動モータ22は、第1作業モードで可撓性引張素子17によって掘削ストリング12を持ち上げるよう動作装置21を作動させるよう構成する。
この第1作業モードにおいて、第1電動モータ22は電力を生成するよう構成した原動機50によって伝送された電力を機械的駆動力に変換し、この機械的駆動力を動作装置21に印加して、掘削ストリング12を持ち上げ、また持ち上げ行程を実施する。第4電気制御信号を送信することによって、第3内蔵制御ユニット90はこの第3電力コンバータ装置53に電気的に関連付けられる。
掘削ストリングの動作装置を動作させるため液圧モータ及びオーバーセンターバルブを使用し、また孔内における掘削ストリングの降下速度を制御する既知の掘削機とは異なり、掘削機1は、制御速度での孔内における降下行程の開始時に掘削ストリング12が有する重力に関する潜在エネルギーを回復させることができ、またしたがって、既知の掘削機よりも全体エネルギー効率を大幅に向上させることができる。
実際、この回復した重力に関する潜在エネルギーは、内燃機関の燃料の化学的エネルギーの代わりに後で使用することができる。例えば、少なくとも1つの第1貯蔵ユニット42に貯蔵された電気エネルギーの少なくとも一部分は、電気エネルギー送電網24を介して掘削ストリング12を持ち上げまた持ち上げ行程を実施する第1電動モータ22に伝送することによって再利用することができる。燃料消費を減少できることは、燃料補給作業の頻度が低くなることに起因してマシン稼働停止時間を減少することができ、また既知の掘削機よりも掘削機1の生産性を向上することができる。
この目的のために、本発明は、リンク24から第1貯蔵ユニット42に向かう、また逆に第1貯蔵ユニット42からリンク24に向かう双方向に電力フローを生ずることができる第2双方向電力コンバータ装置41を使用することを教示する。同様に、本発明は、第1電動モータ22からリンク24に向かう、また逆にリンク24から第1電動モータ22に向かう双方向に電力フローを生ずることができる第1双方向電力コンバータ装置23を使用することを教示する。
孔内における掘削ストリング12の地面レベルに向かう持ち上げ行程中第2内蔵制御ユニット80は、第3電気制御信号を第2双方向電力コンバータ装置41に送信するよう構成し、これにより第1電気エネルギー貯蔵システム40は、電力をリンク24によって第1双方向電力コンバータ装置23に、また第1電動モータ22に伝送する。第1電動モータ22は、第1作業モードにおいて、掘削ストリング12を可撓性引張素子17によって持ち上げるよう動作装置21を作動させるよう構成する。
この第1作業モードにおいて、第1電動モータ22は、第1電気エネルギー貯蔵システム40によって伝送された電力を機械的駆動力に変換し、また掘削ストリング12を持ち上げ、また持ち上げ行程を実施するよう、この機械的駆動力を動作装置21に供給する。このようにして、第2双方向電力コンバータ装置41は、先に第1貯蔵ユニット42内に回収されかつ貯蔵されたエネルギーを使用して、掘削ストリング12の持ち上げ行程中第1双方向電力コンバータ装置23によって第1電動モータ22を操作することができる。掘削ストリング12のこの持ち上げ行程中、第3内蔵制御ユニット90は、電力をリンク24によって第1双方向電力コンバータ装置23に、またしたがって、第1電動モータ22に伝送するため、第4電気制御信号を第3電力コンバータ装置53に送信するよう構成する。
とくに、この第3電力コンバータ装置53は、一方向型、すなわち、第2電動モータ52からのみリンク24に向かう電力フローを生ぜしめるものとし得る、又は双方向型、すなわち、第2電動モータ52からリンク24に向かう及びリンク24から第2電動モータ52に向かうという双方向の電力フローを生ぜしめるものとし得る。このようにして、第3電力コンバータ装置53は、掘削ストリング12の地面レベルに向かう持ち上げ行程中に内燃機関51の化学的エネルギーを使用することができる。
とくに、燃料の化学的エネルギーは内燃機関51によって機械的エネルギーに変換され、この機械的エネルギーは、この内燃機関51に機械的に連結された第2電動モータ52によって電気エネルギーに変換される。第3電気制御信号及び第4電気制御信号を送信することによって第1電気エネルギー貯蔵システム40及び電力50を生成するよう構成した原動機50は、掘削ストリング12の持ち上げ行程中に電力を第1電動モータ22に伝送し、持ち上げ行程自体を実施するに必要な燃料消費を低減する。
したがって、リアルタイム分散型制御システム60は、第2電気制御信号、第3電気制御信号、及び第4電気制御信号によって、掘削ストリング12の持ち上げ行程中に動作装置21を制御するよう配備されることが理解されるであろう。掘削機1において、掘削ストリング12の持ち上げ行程中に第1電動モータ22を操作するよう、燃料の化学的エネルギーに加えて第1貯蔵ユニット42に回収されかつ保存されたエネルギーを使用できるため、既知の掘削機に比べて燃料消費を低減することができる。
さらに、掘削ストリング12の移動を実行する、すなわち、このような掘削ストリング12の上昇中の持ち上げ及び/又は降下中の制動を実施する上で、ポンプ、液圧モータ、分配器及びオーバーセンターバルブのような液圧コンポーネントではなく、電気的コンポーネントのみが本発明掘削機1に使用されるため、液圧式と比べて、典型的により高い電気的コンポーネントの効率に起因して、従来型掘削機よりも燃料消費を一層低減することができる。さらにまた、オーバーセンターバルブがないことは、パイロット圧の生成に必要な燃料消費を排除することができる。
第2双方向電力コンバータ装置41は、バック(buck)型、すなわち、制御速度での掘削ストリング12の降下中に、第1貯蔵ユニット42の電圧が常にリンク24の電圧よりも高くない状態に留まるタイプとすることができる、又はバック・ブースト(buck-boost)型、すなわち、制御速度での掘削ストリング12の降下中に、第1貯蔵ユニット42の電圧がリンク24の電圧よりも低いか、それに等しいか又は高いかのいずれかになり得るタイプとすることができる。
とくに、バック型第2双方向電力コンバータ装置41の使用は掘削機1のエネルギー効率を最大化できるとともに、バック・ブースト型第2双方向電力コンバータ装置41の使用は掘削深さを最大化することができ、またしたがって、双方のケースで掘削機1の生産性を最大化することができる。動作装置21に機械的に連結した第1電動モータ22を使用することによって、液圧モータを使用するよりもエネルギー変換の高い効率で掘削ストリング12が初期的に有する潜在的エネルギーをより多く回収することができる。
実際、第1電動モータ22の使用は、重力による潜在的エネルギーの回収のためにも電動モータの典型的高効率を有効利用することができ、またこの効率は、掘削ストリング12の降下フェーズ中にポンプとして作用する仮想的液圧モータを使用することによって得られる効率よりも明らかに高い。重力による潜在的エネルギーの回収中のエネルギー効率を向上するよう、可撓性引張素子17によって動作装置21が掘削ストリング12に加える最大制動力を全体的に電力に変換できるようにするため、第1内蔵制御ユニット70には、第1電動モータ22によって生ずる電力Pmotを電力消費ユニットが使用できる最大電力より大きくない値に制限するよう構成した電力制限モジュール75を装備する。
この目的のために、電力制限モジュール75は、有利には、電力消費ユニット25が使用可能な最大電力値Pmaxを表している少なくとも1つの信号を受信するよう構成し、例えば、この値は、第1内蔵制御ユニット70に電気的に関連する制御パネルによってセットすることができる、又はHMI9によってセットすることができる。
他の代案によれば、使用可能な最大電力値Pmaxを表している信号は、第2内蔵制御ユニット80により、又は第3内蔵制御ユニット90により、又は中央制御ユニット91により通信システム92で伝送される通信データによって、第1内蔵制御ユニット70に送信することができる。
例えば、使用可能な最大電力値Pmaxを表している信号が第2内蔵制御ユニット80により第1内蔵制御ユニット70に送信される場合、第2内蔵制御ユニット80は、有利には、貯蔵電力Pstoredの瞬間値を決定する及び/又は貯蔵電力Pstoredの最大許容値を決定するよう構成し、またさらに、これら決定した値を通信システム92によって第1内蔵制御ユニット70に送信するよう構成した、貯蔵電力を決定するための第1モジュールを有することができる。
とくに、貯蔵電力を決定するためのこの第1モジュールは、有利には、第1貯蔵ユニット42の少なくとも1つの温度の瞬間値に基づいて決定される貯蔵電力Pstoredの最大許容値を第1内蔵制御ユニット70に送信するよう構成することができる。
このケースにおいて、第1内蔵制御ユニット70は、電力消費ユニット25が使用できる最大電力Pmaxの値を表している信号を、貯蔵電力Pstoredの瞬間値として及び/又は貯蔵電力Pstoredの最大許容値として受信することができ、これら値は双方ともに第2内蔵制御ユニット80が決定することができる。使用可能最大電力Pmaxの値によって、さらに、変換済み電力Pregenは使用可能最大電力Pmaxに相関するため、リンク24の電圧振動を制限することができる。
とくに、電力制限モジュール75は、使用可能最大電力の値を表している少なくとも2つの信号を受信する、例えば、連続作業条件(例えば、既知のタイプのIEC標準による負荷タイプS1、又はS6、又はS7、又はS8、又はS9、又はS10においてのみ)における電力消費ユニット25が使用できる最大電力Pmaxを表している第1値、及び断続的作業条件(例えば、既知のタイプのIEC標準による負荷タイプS2、又はS3、又はS4、又はS5においてのみ)における電力消費ユニット25が使用できる最大電力Pmaxを表している第2値を受信するよう構成することができる。
第1電動モータ22が発生した電力Pmotを使用可能最大電力Pmaxより大きくない値に制限できるようにするため、第1双方向電力コンバータ装置23は、制御可能な電子パワーデバイスを有する。実際、制御可能な電子パワーデバイスを使用することによって、第1電動モータ22が発生した電力Pmotの制御を保証することができ、したがって、掘削ストリング12の降下速度制御を確実にし、またしたがって、第1電動モータ22が発生した電力Pmotを電力消費ユニット25が使用できる最大電力Pmaxより大きくない値に制限できる。
とくに、本発明の第1実施形態において、強制整流を伴う制御可能な電子パワーデバイス、例えば、IGBTsを使用することは有利であり、これはすなわち、この方法において、第1電動モータ22の回転速度とは無関係に制御可能な電子パワーデバイスを整流し、第1電動モータ22の低回転速度でさえも掘削ストリング12の降下速度制御を常に保証できるようにする。
さらに、強制整流を伴う制御可能な電子パワーデバイスを使用することにより、電流の高調波成分を最小化することができ、この結果として生ずる他の利点として掘削機1の効率を向上するとともに、電気的及び電子的なコンポーネントの寸法を減少させることができる。可撓性引張素子17によって動作装置21が掘削ストリング12に加えられ、また全体的に第1電動モータ22により発生する電力に変換される最大制動力が、動作装置21に要求される高い最大制動力に適合可能な値に達することができるようにするため、電力消費ユニット25には高出力を有する第1貯蔵ユニット42を設ける。
この高出力第1貯蔵ユニット42がスーパーキャパシタの第1ユニットを有するケースにおいては、スーパーキャパシタに特有の高出力密度に起因して、すなわち、所定サイズに対する高出力に起因して、必要な高い最大制動力を確保するとともに、減少した全体寸法を維持することができる。この高出力第1貯蔵ユニット42が二次電池、すなわち、再充電可能電池の第1ユニットを有するケースにおいては、電池に特有の低コストに起因して、必要な高い最大制動力を確保するとともに、低コストを維持することができる。
有利なやり方においては、制御速度での掘削ストリング12の降下行程中に、連続作業条件の下でこのような二次電池内を流れることができる、例えば、既知タイプのIEC標準による負荷タイプS1で流れることができる電流の値よりも大きい値の電流を流せるよう配備した二次電池を使用することができる。この有利な様態において、必要な高最大制動力を確保するとともに、低コストを維持し、またこれら二次電池の嵩を最小化することもできる。
したがって、高出力を有する第1電気エネルギー貯蔵システム40の使用に起因して、また電力制限モジュール75の採用に起因して、動作装置21に必要な高最大制動力はオペレータが利用となり、またオペレータは制御グループ7による作用で印加された機械的制動力の強度を制御することができる。電力消費ユニット25は第1電動モータ22が発生した電力Pmotを受け取るよう配備されるため、リンク24の電圧を最小値と最大値との間から成る所定範囲内に維持するとともに、リンク24のキャパシタ26の減少サイズを維持することもできる。したがって、リンク24の電圧を所定範囲内に維持できることは、いかなる作業不安定さを回避することができる。
電力消費ユニット25が第1電動モータ22によって生じた電力Pmotを受け取ることができるようにし、またさらに掘削機1の効率を最大化するため、第2双方向電力コンバータ装置41は、好適には、多相タイプとして設ける。実際、多相構成を使用することによって、単相構成よりも、第2双方向電力コンバータ装置41の各相に流れる電流の値を減少することができ、これによりジュール効果に起因する電力損失を減少し、また最大制動力であっても掘削機1の高効率を保証するという有利な結果をもたらす。
掘削ストリング12の降下速度制御を改善するため、第1内蔵制御ユニット70の制御プログラムは、瞬間位置及び速度微分モジュール78を有する。第1のケースにおいて、この瞬間位置及び速度微分モジュール78は、第1電動モータ22におけるローターが極めて低い又はゼロの瞬間角速度にあっても、このローターに接続したセンサ、例えば、エンコーダ又はリゾルバによって送信される電気信号に基づいて第1電動モータ22におけるローターの瞬間角度位置及び瞬間角速度を決定するよう構成された計算方法を実現する計算命令群を有する。
第2のケースにおいて、瞬間位置及び速度微分モジュール78は、第1電動モータ22におけるローターが極めて低い又はゼロの瞬間角速度にあっても、ローター自体における瞬間角度位置の推定手段若しくは観測手段に基づいて、例えば、高周波信号放出に基づいて、又はローターにおける溝孔の存在に関連する高調波の存在に基づいて、又は第1電動モータ22の数学的モデルに基づいて、又はより一般的には、ローターが極めて低い又はゼロの瞬間角速度にあっても、ローターの瞬間角度位置及び瞬間角速度を決定するよう構成された任意な計算方法によって、第1電動モータ22におけるローターの瞬間角度位置及び瞬間角速度を決定するよう構成された計算方法を実現する計算命令群を有する。
ローターの瞬間角度位置の推定手段又は観測手段を使用することによって、有利にも、このローターに接続するセンサの使用を回避することができ、結果としてコスト削減が得られる。したがって、双方のケースにおいても、第1電動モータ22は動作装置21に対して、極めて低い角速度、ゼロに等しい角速度であっても、最大制動トルクを印加することができる。一方で、極めて低い速度においても掘削ストリング12の降下速度制御の改善を可能にし、他方で、ゼロの瞬間降下速度Vinstにおいて機械的パーキングブレーキを操作する必要性がなく、可撓性引張素子17によって懸吊される掘削ストリング12を維持するよう、すなわち、掘削ストリング12の重量を保持するよう、第1電動モータ22が動作装置21に制動を掛けることを可能にする。
動作装置21に必要な高最大制動力がオペレータに利用可能であることから、したがって、有利にも、機械的動力ブレーキの使用を回避することができ、また機械的パーキングブレーキのみを使用することができる。このようにして、掘削機1のエネルギー効率の向上が得られ、これはすなわち、仮想的な機械的動力ブレーキによって加わる消散的機械ブレーキを採用する必要がないためである。
それにも係わらず、掘削機1は、第1内蔵制御ユニット70及び/又は第1双方向電力コンバータ装置23及び/又は電気エネルギー送電網24及び/又は第1電気エネルギー貯蔵システム40及び/又は第2内蔵制御ユニット80及び/又は原動機50及び/又は第3内蔵制御ユニット90及び/又は中央制御ユニット91のあり得る機能不全に対する安全性を確保する。
機械的パーキングブレーキは、有利には、例えば、機能不全発生時に緊急ブレーキを掛けなければならない場合、又はオペレータが緊急停止機能を発動させる場合、この動作装置21の運動を完全に停止させ、また可撓性引張素子17により掘削ストリング12を保持するよう自動的に係合するよう構成することができる。この目的のために、この機械的パーキングブレーキを第1内蔵制御ユニット70に電気的に関連付けすることができ、これにより第1内蔵制御ユニット70によって送信される電気制御信号が存在すること又は代案として、存在しないことに基づいて、この機械的パーキングブレーキを自動的に係合させることができる。
代案として、この機械的パーキングブレーキを中央制御ユニット91に電気的に関連付けすることができ、これにより中央制御ユニット91によって送信される電気制御信号が存在すること又は代案として、存在しないことに基づいて、この機械的パーキングブレーキを自動的に係合させることができる。掘削機1のためにリアルタイム分散型制御システム60を使用することは、孔内における掘削ストリング12の降下速度制御を改善するために有利である。
とくに、制御システム60がリアルタイム型であることにより、所定の僅かな計算時間周期内に掘削ストリング12の降下速度制御を実施することができ、掘削ストリングの降下速度を制御するために液圧システムを使用する既知タイプの掘削機に存在し、また液圧オイルの圧縮性、パイプの弾性、並びにバルブ及び液圧分配器の機械的応答遅延により生ずる応答遅延に対してこの制御を非感受性にすることができる。
リアルタイム制御システム60は、さらに、掘削ストリング12の制御速度での降下フェーズにおける安全性を向上させ、したがって、掘削機1全体の安全性を向上させることを可能にし、これはすなわち、掘削機1の安全性に対する厳密な機能を有する通信データは、通信システム92によって伝送され、また所定計算時間周期内に制御システム60のユニットによって処理され、同様に所定の僅かな時間周期内での補正行為を採用することによって、このリアルタイム制御システム60を安全厳密条件に反応できるようにするからである。
さらに、制御システム60が分散型であることは掘削機1にとって有利であり、これはすなわち、生産性を向上させることができるからである。実際、分散型アーキテクチャを採用することに起因して、「汎用」である中央制御ユニット91に加えて、内蔵制御ユニット70、80、90、すなわち、「特殊用途」向けに統合し、また動作装置21の制御に特化最適化した制御ユニットを使用することができるようになる。
とくに、各内蔵制御ユニット70、80、90は掘削機1の特定コンポーネントを制御するよう特別に設計されると理解されたい。とくに、第1内蔵制御ユニット70は、第1双方向電力コンバータ装置23によって第1電動モータ22を制御するよう設計され、第2内蔵制御ユニット80は、第2双方向電力コンバータ装置41によって第1貯蔵ユニット42を制御するよう設計され、また第3内蔵制御ユニット90は、第3双方向電力コンバータ装置53によって第2電動モータ52を制御するよう設計される。
したがって、これら内蔵制御ユニット70、80、90によって、孔内における掘削ストリング12の降下速度制御を向上させるようリアルタイム分散型制御システム60の操作を最適化して、掘削機1のエネルギー効率を向上させ、動作装置21の作業の安定性を確保できる。これら内蔵制御ユニット70、80、90によって、これら内蔵制御ユニットの統合及び最適化に起因して、掘削機1の特定コンポーネントを制御するよう最適化した安全機能を使用することができる。
したがって、中央制御ユニット91は、有利には、掘削機1の全体的安全機能、例えば、第1電気制御信号の適合性検証を管理するよう構成することができるとともに、各内蔵制御ユニット70、80、90は、有利には、掘削機1の特定コンポーネントの特定安全性機能を管理するよう構成することができる、ということを理解しなければならない。
とくに、第1内蔵制御ユニット70は、第1電動モータ22の、及び第1双方向電力コンバータ装置23の適正動作に関する安全性機能を管理するよう構成することができ、第2内蔵制御ユニット80は、第2双方向電力コンバータ装置41の、及び第1貯蔵ユニット42の適正動作に関する安全性機能を管理するよう構成することができ、第3内蔵制御ユニット90は、第3双方向電力コンバータ装置53の、及び第2電動モータ52の適正動作に関する安全性機能を管理するよう構成することができる。
単なる例として、第2内蔵制御ユニット80は、第2双方向電力コンバータ装置41の、及び/又は第1貯蔵ユニット42のあり得る機能不全の生起後に第1貯蔵システム40を電気エネルギー送電網24から切り離し、この機能不全状況を表している通信データを第1内蔵制御ユニット70に、又は中央制御ユニット91に送信し、これにより機械的パーキングブレーキを自動的に係合させるよう構成することができる。
例えば、第1貯蔵ユニット42の少なくとも1つの温度の瞬間値が最大許容値を超えたことによる、第1貯蔵システム40の機能不全生起後に、第2内蔵制御ユニット80は、貯蔵電力Pstoredの最大許容値のゼロに等しい限界値として減少した値を決定し、機能不全状況を表している通信データとともにこの減少した値を、通信システム92によって第1内蔵制御ユニット70に、又は中央制御ユニット91に送信することができる。
通信システム92によって、例えば、単なる例としては、インターバス(interbus)、プロフィバス(profibus)、プロフィネット(profinet)、イーサCAT(Ether-CAT)、デバイスネット(devicenet)、CAN-バス、モドバス(modbus)、リアルタイムで通信データの少なくとも一部分を伝送するよう構成された任意なフィールドバスによって、内蔵制御ユニット70、80、90相互間、及び内蔵制御ユニット70、80、90と中央制御ユニット91との間の双方で通信データの適正交換を保証することができる。中央制御ユニット91を使用することによって、有利にも、掘削機1の機能安全性を保証することができる。
とくに、中央制御ユニット91により、リアルタイム分散型制御システム60に関連する動作の適正シーケンス、及びより全般的に掘削機1に関連するすべての動作の適正シーケンスを保証することができる。さらに、中央制御ユニット91は、所定時間インターバルでこのリアルタイム分散型制御システム60の適正動作の検証を実施するよう構成され、またこの検証に基づいて、電気制御信号を内蔵制御ユニット70、80、90に、また機械的パーキングブレーキに送信するよう構成される。
とくに、この検証が内蔵制御ユニット70、80、90のうち任意なユニットの機能不全を認識する場合、及び/又はオペレータが緊急停止機能を作動させる場合、この中央制御ユニット91は、動作装置21の緊急制動を実施するためのリクエストを表している電気制御信号を、内蔵制御ユニット70、80、90に、及び機械的パーキングブレーキに送信するよう構成する。
完全に等価な様態で、中央制御ユニット91は、リアルタイム分散型制御システム60の適正動作の検証に基づいて、電気制御信号を内蔵制御ユニット70、80、90にのみ送信するよう構成し、また第1内蔵制御ユニット70は、中央制御ユニット91が送信した電気制御信号に基づいて電気制御信号を機械的パーキングブレーキに送信するよう構成する。
中央制御ユニット91は、さらに有利には、制御グループ7が送信した第1電気制御信号の掘削機1の作業状態との適合性を検証するよう構成する。この作業状態は、中央制御ユニット91が自動的に決定することができる、又は掘削機のオペレータがHMIによって入力した入力パラメータに基づいて中央制御ユニット91が決定することができる。
とくに、第1電気制御信号の適合性検証により、この中央制御ユニット91は、掘削機1の規定作業状態中、例えば、掘削機1の組立て/分解作業又は保守整備作業中に掘削ストリング12の降下を阻止することができる。
さらに、第1電気制御信号の適合性検証により、この中央制御ユニット91は、掘削機1の作業状態に基づいて、制御降下速度Vdの所望値を制限することができる。例えば、掘削機1の組立て/分解段階又は保守整備段階中にこの制御降下速度Vdの所望値を減少することができる。
中央制御ユニット91が制御降下速度Vdの所望値を減少する場合、第1内蔵制御ユニット70の制御プログラムは、所望降下速度Vdのこの減少した値のみを処理し、第1電気制御信号が表す所望降下速度Vdの値は処理しない。
速度制限モジュール71は、有利には、掘削ツールの位置Posの変化とともに、掘削ストリング12の制御降下速度の最大値Vmaxを変化させ、例えば、掘削ツール16が孔61の外側にあるときには、この制御降下速度の最大値Vmaxをより低くすることができ、また掘削ツール16が孔61の内部にあるときには、この制御降下速度の最大値Vmaxをより高くすることができる。掘削ツールの位置に基づく制御降下速度の異なる最大値によれば、既知タイプよりも掘削機1の安全性を向上させることができる。
さらに、掘削ツール16が孔61の内部にあるときには、制御降下速度の最大値をより高くすることができるため、掘削機1の高い生産性を保証できる。
速度制限モジュール71は、有利には、可撓性引張素子に作用する瞬間重量の変化とともに、掘削ストリング12の制御降下速度の最大値Vmaxを変化させることができ、例えば、使用する掘削ストリング12がより重たいときには、この最大値Vmaxを低くすることができ、また使用する掘削ストリング12がより軽いときには、この最大値Vmaxを高くすることができる。
他の例として、この最大値Vmaxは、掘削ストリング12の全重量が可撓性引張素子17に作用するときには低くすることができ、また掘削ストリング12の重量の少なくとも一部分がすでに掘削ヘッド11に転移されているときには大きくすることができる。
さらに、可撓性引張素子に作用する瞬間重量Weightに基づいて、有利には、掘削機1に新たな掘削ストリング12を据え付ける際に新しい掘削ストリングの重量に基づいて制御降下速度の最大値Vmaxを変化させることができる。
このようにして、掘削機1の生産性を最大化することができ、これはすなわち、掘削機1の或る所定サイズに対して許容される最大重量よりも軽い掘削ストリング12の使用は、制御降下速度の最大値を増加することを可能にし、またひいては孔の掘削で有用に採用されない時間を短縮することができる。
速度制限モジュール71は、掘削ストリング12の制御降下速度の最大値Vmaxを決定するにあたり、動作装置21の、又は変速機34の最大許容回転速度Nmax1及び第1電動モータ22の最大許容回転速度Nmax2をも考慮する。
このようにして、動作装置21又は変速機34の及び第1電動モータ22の最大回転速度を超えることを回避することができ、したがって、掘削機1のいかなる機械的損傷に対する安全性を向上させることを可能にする。
速度制限モジュール71は、有利には、使用する掘削技術のタイプの変化に応じて、掘削ストリング12の制御降下速度の最大値Vmaxを変化させることができ、例えば、「CFA」及び「CAP」のような掘削ヘッドに機械的に連結した連続フライトオーガの使用をともなう掘削技術を使用するときには、土を除去することなく連続フライトオーガをねじ込んでいく現象を回避するため、この制御降下速度の最大値Vmaxを低くすることができる。
「LDP」のような管状抜き差し素子に機械的に連結した掘削ツールの使用をともなう掘削技術を使用するときには、孔掘削に有用に採用されない時間を最小化するため、この制御降下速度の最大値Vmaxをより大きくすることができる。さらに、使用する掘削技術のタイプに基づいて、「ドライ掘削」を実施する、すなわち、孔を維持する流体がなくドライ掘削が孔の壁を浸食するリスクを伴わないときには、有利には、制御降下速度の最大値Vmaxをより大きくすることができるとともに、「流体掘削」を実施するときには、掘削ツールが通過する際にこの流体の過剰な撹乱運動に起因する孔の壁における浸食を回避するため、制御降下速度の最大値Vmaxを低くすることができる。
速度制限モジュール71は、使用する掘削ツールのタイプToolの変化、例えば、掘削ツール16のジオメトリ及びカテゴリーの変化に応じて、制御降下速度の最大値Vmaxを変化させることもできる。
有利には、この制御降下速度の最大値Vmaxは、連続フライトオーガのフライトピッチの増大に応じて大きくすることができ、また土を除去することなく連続フライトオーガをねじ込んでいく現象を回避するため、この制御降下速度の最大値Vmaxを小さくすることができる。
さらに、掘削ツール16のジオメトリが、例えば、とくに、丈高掘削ツール16を使用するケースで、孔を維持する流体の撹乱運動に起因して孔の壁を浸食する現象に対して特に厳密である場合、制御降下速度の最大値Vmaxを減少させることができる。
掘削ストリング12の制御降下速度の最大値Vmaxを決定するにあたり、速度制限モジュール71は、さらに、制御速度での掘削ストリング12の少なくとも1回の降下行程中第1電動モータ22のエネルギー効率を最大化するよう、第1電動モータ22のエネルギー効率を考慮することもできる。
制御降下速度の最大値Vmaxを決定するにあたり、速度制限モジュール71は、さらに、電力消費ユニット25が使用できる最大電力も考慮して、第1電動モータ22が発生する電力Pmotを、電力消費ユニット25が使用できる最大電力Pmaxよりも大きくない値に制限する。
上述したように、制御デバイス8又はHMI9の操作によって、オペレータは制御降下速度Vdの所望値を与えることができる。とくに、孔掘削作業の開始時に1回だけ制御降下速度の最適値をプリセットするのが有利である。
例えば、この最適値は、使用する掘削ツールに基づいて、又は使用する掘削技術に基づいてHMI9によってオペレータがプリセットすることができる。この後、オペレータは制御デバイス8を操作し、制御降下速度Vdの所望値をパーセンテージとして与える、又はいずれにせよ概して、プリセット最適値の分数割合として与える。
例えば、オペレータが制御デバイス8をフルスケールとなるよう操作する場合、制御降下速度Vdの所望値は、HMI9によってプリセットした最適値に等しくなる。オペレータが制御デバイス8をフルスケールの50%となるよう操作する場合、制御降下速度Vdの所望値は、HMI9によってプリセットした最適値の半分の値に等しくなる、すなわち、制御デバイス8の操作程度に比例する。
明らかに、制御降下速度Vdの所望値は制御デバイス8の操作程度に比例的に対応しないが、非比例法則に従って対応するよう制御デバイス8の調整を変化させることができる。制御グループ7は、支持構体3との機械的連結により掘削機1に関連付けすることができる、又はリアルタイム分散型制御システム60に対する有線又は無線の接続によってのみ掘削機1に関連付けすることができる。
加速及び減速制限モジュール79は、掘削ツールの位置Posの変化に応じて、掘削ツール16の降下加速度又は降下減速度の最大値Amaxを変化することができ、例えば、加速度の最大値は、掘削ツール16が孔の外部にあるとき低くすることができ、また掘削ツール16が孔の内部にあるとき大きくすることができる。加速度のこの異なる最大値は、既知の掘削機よりも掘削機1の安全性向上を可能にする。
さらに、加速度の最大値は掘削ツール16が孔の内部にあるときより大きくすることができるため、掘削機1の高い生産性を保証することができる。加速及び減速制限モジュール79は、さらに、可撓性引張素子に作用する瞬間重量Weightの変化に応じて掘削ツール16の降下加速度又は降下減速度の最大値Amaxを変化させることができ、例えば、加速度の最大値は可撓性引張素子17に作用する瞬間重量が小さいとき大きくすることができるとともに、可撓性引張素子17に作用する瞬間重量が大きいとき小さくすることができる。
逆に、減速度の最大値は可撓性引張素子17に作用する瞬間重量が大きいとき小さくすることができるとともに、可撓性引張素子17に作用する瞬間重量が小さいとき大きくすることができる。加速度及び減速度のこの異なる最大値によれば、可撓性引張素子17に課され、したがって、動作装置21に影響を及ぼす動的過負荷を既知タイプの掘削機よりも減少することを可能にする。
加速及び減速制限モジュール79は、さらに、使用する掘削技術タイプの変化に応じて掘削ツール16の降下加速度又は降下減速度の最大値Amaxを変化させることができ、例えば、「LDP」のような管状抜き差し素子に機械的に連結した掘削ツールの使用をともなう掘削技術を使用するときには、孔掘削に有用に採用されない時間を最小化するため、この制御降下速度度の最大値Vmaxをより大きくすることができるとともに、「CFA」及び「CAP」のような掘削ヘッドに機械的に連結した連続フライトオーガの使用をともなう掘削技術を使用するときには、小さくすることができ、これはすなわち、高い加速度の瞬間値は、土を除去することなく連続フライトオーガをねじ込んでいく現象を示すことになるからである。
加速及び減速制限モジュール79は、有利には、さらに、使用する掘削ツールのタイプToolの変化に応じて掘削ツール16の降下加速度又は降下減速度の最大値Amaxを変化させることができ、例えば、ドリルを使用する場合には、加速度の最大値を大きくすることができるとともに、バケットを使用する場合には小さくすることができ、これはすなわち、バケットは、急激な加速又は減速があると孔の壁の浸食をより生じ易いからである。
掘削機1は、有利には、支持構体3に少なくとも1つの第1電動モータ22、第1双方向電力コンバータ装置23、第1貯蔵システム40、第1内蔵制御ユニット70、及び第2内蔵制御ユニット80を収容できる。この支持構体3は、制限された慣性力を有して軸線Rの周りに回転する移動体アセンブリ2に機械的に連結するために制限した寸法でなければならないため、掘削機の安定性に関する問題を回避するため、また支持構体自体の回転に由来する慣性力を最小化するために、収容するコンポーネントの寸法及び質量を抑制することが必須である。
この目的のために、掘削機1は、第1電動モータ22用、第2双方向電力コンバータ装置41用、第1貯蔵ユニット42用、第1内蔵制御ユニット70用、及び第2内蔵制御ユニット80用に液体冷却システムを有する。この冷却システム、例えば、水及びグリコールによって、有利にも、空冷システムよりもこのようなコンポーネントの寸法及び質量の双方を減少することができる。
さらに、この液体冷却システムによってこれらコンポーネントの信頼性を向上することができ、これはすなわち、掘削機を使用する建設現場に一般的に存在する多量の塵埃から隔絶することができ、また適切なIP保護等級(IP protection rating)を採用することに起因するからである。電力を発生するよう構成した原動機50を支持構体3に機械的に関連付ける場合、有利には、第3電力コンバータ装置53用、第2電動モータ52用、及び第3内蔵制御ユニット90用にも液体冷却システムを使用する。電力を発生するよう構成した原動機50を支持構体3に機械的に関連付けないが、電気エネルギー送電網24にのみ電気的に接続する場合、第2電動モータ52及び/又は第3電力コンバータ装置53及び/又は第3内蔵制御ユニット90に対して空冷システムを使用することができる。
第1実施形態の第1変更例において、電力制限モジュール75、したがって第1内蔵制御ユニット70は、第1電動モータ22によって発生した電力Pmotの瞬間値を決定する及び/又は第1双方向電力コンバータ装置23によって変換した電力Pregenの瞬間値を決定することを行い、また、これら決定した瞬間値のうち少なくとも一方を第2内蔵制御ユニット80に通信システム92によって送信し、代案的又は付加的にこれら決定した瞬間値のうち少なくとも一方を中央制御ユニット91に送信することができる。
第1電気エネルギー貯蔵システム40が機能不全を生じた場合、第2内蔵制御ユニット80は、貯蔵した電力Pstoredの瞬間値の、ゼロに等しい限界値のような減少した値を決定し、またこの減少した値を表している通信データを通信システム92によって第1内蔵制御ユニット70に、又は中央制御ユニット91に送信することができる。
第1内蔵制御ユニット70又は中央制御ユニット91は、この減少した値を第1内蔵制御ユニット70によって双方ともに決定した発生した又は変換した電力Pmot又はPregenの瞬間値と比較することができ、またこの減少した値と相当異なる場合、このような通信データは機能不全状況を表すものとして認識する。第1変更例において、貯蔵電力を決定するモジュール、したがって第2内蔵制御ユニット80は、発生した電力Pmotのこの瞬間値及び/又は変換した電力Pregenのこの瞬間値を受信するよう構成し、またこれら受信した瞬間値に基づいて貯蔵電力Pstoredの制御値を生成するよう構成する。
電気制御信号を生成する第2モジュール、したがって第2内蔵制御ユニット80は、少なくとも貯蔵電力Pstoredのこの制御値に基づいて、第3電気制御信号を生成し、またこれを第2双方向電力コンバータ装置41の制御可能電子パワーデバイスに送信するよう構成し、これにより第2双方向電力コンバータ装置41は、第1内蔵制御ユニット70が決定した少なくとも1つの瞬間値に基づいて第1電気エネルギー貯蔵システム40に貯蔵した電力Pstoredの瞬間値を制御する。
変換した電力Pregenの瞬間値は、発生した電力Pmotに由来し、また第1双方向電力コンバータ装置23の効率に由来するため、貯蔵した電力を決定するモジュールは、したがって、第1電動モータ22によって発生した電力Pmotを表している瞬間値に基づいて貯蔵電力Pstoredの瞬間値を制御することができる。
第1実施形態の第1変更例は、孔内における掘削ツール16の制御降下速度Vdの所望値に達してこれを維持することができ、より実効性のあるやり方で、リンク24の電圧値の過剰振動で生ずる動作装置21のいかなる動作不安定性の発生をも回避することができる。実際、リンクの電圧振動を排除することができ、これはすなわち、瞬間毎に、リンク24の電圧の瞬間値を決定する必要なく、またこの瞬間値をリンクの基準値に比較する必要もなく、第1電気エネルギー貯蔵システム40に貯蔵される電力Pstoredの瞬間値は発生する電力Pmotに基づいて直接制御されるからである。
このようにして、リンク24の電圧制御のパフォーマンスを向上させることができ、これに伴ってリンク24の振動を減少し、また最大で排除することもできる。実際、発生した電力Pmotの瞬間値に直接基づいて、第1リンク調節モジュールが待機する必要なく貯蔵した電力Pstoredの瞬間値を制御することができ、貯蔵した電力Pstoredの瞬間値を変化することができ、リンク電圧の第1基準値に対するリンク電圧の瞬間値変動を生ぜしめることができる。
第1実施形態の第1変更例において、第1内蔵制御ユニット70は、さらに、速度調節モジュール72のコントローラにおける幾つかの特性パラメータの値、例えば、比例及び/又は積分及び/若しくは微分の項におけるゲイン値、又は履歴コントローラの帯域幅の値又はコントローラのファジールールに関連する重量因子の値を変化させるよう構成した適応的制御モジュールを有する。
このコントローラにおける幾つかの特性パラメータの変化は、瞬間毎に可撓性引張素子17に作用する瞬間重量Weightに基づいて実施することができる、又は瞬間毎に使用する掘削ストリングのジオメトリを表しているパラメータに基づいて、例えば、ケリー式抜き差しロッドの長さ、及び掘削ツールの位置Posに基づいて実施することができる。この変化は瞬間毎に実施することができるため、有利にも、適応的制御モジュールは、孔内における同一降下行程中にコントローラにおける幾つかの特性パラメータの値を数回変化させることができる。
コントローラにおける幾つかの特性パラメータのこの変化によって、抜き差しロッドがその重量を掘削ヘッドに伝達するときに生ずる可撓性引張素子17に作用する重量の急激な変化、及び孔内における制御速度での降下中に掘削ストリング12に作用する予測不能な摩擦力変化の双方に対して、掘削ストリングの制御降下速度における制御の即応能力、精度及び安定性を最適化することができる。
掘削機1の第1実施形態における第2変更例を示す。この第2変更例において、電力消費ユニット25は、さらに、第2電気エネルギー貯蔵システム43を有する。この第2電気エネルギー貯蔵システム43は、電気制御信号によって制御可能な電子パワーデバイス、例えば、サイリスタ(SCR、GTO)又はトランジスタ(IGBT、FET、MOSFET、BJT)を有する少なくとも1つの第4電力コンバータ装置44と、少なくとも1つの第2貯蔵ユニット45とを備える。
この第2貯蔵ユニット45は、単に例として、互いに直列及び/若しくは並列に電気的に接続した電気的2層キャパシタのような多重スーパーキャパシタを有するスーパーキャパシタによる第2ユニットとすることができる、又は単に例として、互いに直列及び/若しくは並列に電気的に接続したLi-Ion若しくはLi-FePO4型のリチウム電池又は純粋鉛電池のような複数の二次電池を有する二次電池による第2ユニットとすることができる。したがって、第2電気エネルギー貯蔵システム43は、第1電気エネルギー貯蔵システム40と同一様態で、すなわち、同一コンポーネントを有して構成することができる。
代案として、第2電気エネルギー貯蔵システム43は、第1電気エネルギー貯蔵システム40と類似のやり方で構成することができ、また使用するコンポーネントのサイズが異なる、すなわち、コンポーネントデータシートが特定されるデータプレートの寸法及び/又は電気的公称値(エネルギー容量、定格電力、定格電流、定格電圧)が異なるものとすることができる。
とくに、この代替案において、第4双方向電力コンバータ装置44は第1双方向電力コンバータ装置41とはサイズが異なるものとし、また第2貯蔵ユニット45は第1貯蔵ユニット42とはサイズが異なるものとすることができるが、第1貯蔵ユニット42及び第2貯蔵ユニット45は双方ともにスーパーキャパシタによって、又は双方ともに二次電池によって構成することができる。
他の代替案において、第1電気エネルギー貯蔵システム40及び第2電気エネルギー貯蔵システム43は、使用するコンポーネントのタイプに関して異なるものとすることができる。とくに、この他の代替案において、第1貯蔵ユニット42は、スーパーキャパシタの第1ユニットとすることができるとともに、第2貯蔵ユニット45は二次電池の第2ユニットとすることができる、又はその逆とすることができる。とくに、図4においては2個のみの電気エネルギー貯蔵システム、すなわち、第1電気エネルギー貯蔵システム40及び第2電気エネルギー貯蔵システム43を示しているが、掘削機1の第1実施形態における第2変更例は、2個より多い数又は2に等しい数の複数電気エネルギー貯蔵システムを有する電力消費ユニット25の使用を想定することができると理解されたい。
掘削機1の第1実施形態における第2変更例において、リアルタイム分散型制御システム60は、中央制御ユニット91に加えて、通信システム92、第1内蔵制御ユニット70、第2内蔵制御ユニット80、及び第3内蔵制御ユニット90、さらに、第4双方向電力コンバータ装置44に関連する第4内蔵制御ユニット93を有することができる。
このケースにおいて、通信システム92は、内蔵制御ユニット70、80、90、93間で、また各内蔵制御ユニット70、80、90、93と中央制御ユニット91との間で通信データを伝送するよう配備する。第4内蔵制御ユニット93は、例えば、少なくとも1つのDSP及び/又は1つのマイクロプロセッサ及び/又は1つのマイクロコントローラ及び/又は1つのFPGAを有し、この第4内蔵制御ユニット93は、第2内蔵制御ユニット80につき上述したのと類似の様態にして作成すると有利である。
とくに、第4内蔵制御ユニット93は、プログラム化する、すなわち、第4内蔵制御ユニット93のメモリユニット内にローディングしたコンピュータ制御プログラムを有する。このコンピュータ制御プログラムは、少なくとも第3リンク電圧調節モジュール、第2電流制限モジュール、電気制御信号を生成するための第4モジュール、及び第2温度管理モジュールを有する。電力消費ユニット25が使用できる最大電力Pmaxの値は、通信システム92により伝送される通信データによって、第4内蔵制御ユニット93によっても第1内蔵制御ユニット70に送信された場合、この第4内蔵制御ユニット93は、有利には、貯蔵した電力を決定する第2モジュールを有することができる。
これらモジュールの動作は、第1実施形態に関して第2内蔵制御ユニット80につき上述したのと類似しているため、説明しない。とくに、第6電気制御信号を送信することによって、第4内蔵制御ユニット93は、第4双方向電力コンバータ装置44に電気的に関連付けられる。
したがって、リアルタイム分散型制御システム60は、掘削ストリング12の降下行程中に第2電気制御信号、第3電気制御信号及び第6電気制御信号によって制御された速度で動作装置21を制御するよう配備されることが理解されるであろう。第3電気制御信号、第4電気制御信号及び第6電気制御信号を送信することによって、第1電気エネルギー貯蔵システム40、電力を生成するよう構成された原動機50及び第2電気エネルギー貯蔵システム43は、掘削ストリング12の持ち上げ行程中に電力を第1電動モータ22に伝送する。この第1電動モータ22は、第1作業モードにおいて、可撓性引張素子17によって掘削ストリング12を持ち上げるよう動作装置21を作動させる。
この第1作業モードにおいて、第1電動モータ22は、第1電気エネルギー貯蔵システム40によって、電力を生成するよう構成した原動機50によって、及び第2電気エネルギー貯蔵システム43によって伝送された電力を機械的駆動力に変換し、この機械的駆動力を動作装置21に印加して、掘削ストリング12を持ち上げ、また持ち上げ行程を実施する。したがって、リアルタイム分散型制御システム60は、第2電気制御信号、第3電気制御信号、第4電気制御信号及び第6電気制御信号によって、掘削ストリング12の持ち上げ行程中に動作装置21を制御するよう配備されることが理解されるであろう。
上述した第1実施形態における第2変更例は、さらに、本発明の目的を満たすことができるとともに、同時に既知タイプの掘削機に存在する問題を解決する。実際、複数の電気エネルギー貯蔵システムを使用することは、既知タイプの掘削機よりも燃料消費を低減することを可能にする。
とくに、複数の電気エネルギー貯蔵システムを使用することによって、有利にも、制御速度で孔内への降下行程開始時に掘削ストリング12が持つ多量の重力による潜在的エネルギーを回収することができ、またさらに、既知タイプの掘削機よりも掘削機1の全体エネルギー効率を向上させることができる。
したがって、より重たい掘削ストリング12、例えば、より長い掘削ストリング12を使用することができる。より長い掘削ストリング、例えば、より長い連続フライトオーガ又はより多数の管状抜き差し素子を使用することは、既知タイプの掘削機よりも到達できる掘削深さを増大することができる。掘削深さの増大は掘削ストリングを移動させる既知タイプの掘削機に必要な燃料消費をも増大させることから、掘削ストリングのこの移動は掘削深さ増大に伴って作業サイクルの増加する大きな部分をカバーするため、第1実施形態における第2変更例による掘削機1は、既知タイプの掘削機に比べて燃料消費をより一層低減することを可能にする。
さらに、複数の電気エネルギー貯蔵システムを使用することによって、有利にも、電力消費ユニット25が使用可能な電力Pmaxを増大させることができ、またさらに、第1電気モータ22が動作装置21に印加する機械的最大制動力を増大させることができる。例えば、第1電気エネルギー貯蔵システム40及び第2電気エネルギー貯蔵システム43が存在する場合、電力消費ユニット25が使用できる最大電力Pmaxの値を表している信号は、貯蔵電力Pstoredの瞬間値の合計、又は対応する内蔵制御ユニット80及び93それぞれによって決定された貯蔵電力Pstoredの最大許容値の合計を表すことができる。
このようにして、有利にも、孔内における掘削ストリング12の制御降下速度Vmaxの最大値を増大させることができ、またひいては既知タイプ掘削機よりも掘削機1の生産性を増大させることができる。追加の貯蔵システムが掘削機1に望ましい場合、電力制限モジュール75は、再び電力消費ユニット25が使用可能な最大電力Pmaxの新たな値を表している信号によって構成するだけで十分である。
複数の電気エネルギー貯蔵システムを使用することによって、電気エネルギー貯蔵システムの起こり得る機能不全に対する冗長性を保証することができ、またひいてはこのような機能不全後に必ず機械的パーキングブレーキを係合させる必要なく、掘削機1の安全性を保証することができる。
例えば、第1電気エネルギー貯蔵システム40の機能不全を生じた場合、第1実施形態の第2変更例による掘削機1は、運転サイクルを中断する必要なく、第2電気エネルギー貯蔵システム43を使用することができる。このようにして、掘削機1の生産性を増大させることができる。
第4双方向電力コンバータ装置44は、バック(buck)型、すなわち、制御速度での掘削ストリング12の降下中に、第2貯蔵ユニット45の電圧が常にリンク24の電圧よりも高くない状態に留まるタイプとすることができる、又はバック・ブースト(buck-boost)型、すなわち、制御速度での掘削ストリング12の降下中に、第2貯蔵ユニット45の電圧がリンク24の電圧よりも低いか、それに等しいか又は高いかのいずれかになり得るタイプとすることができる。
とくに、バック型第4双方向電力コンバータ装置44の使用は掘削機1のエネルギー効率を最大化できるとともに、バック・ブースト型第4双方向電力コンバータ装置44の使用は掘削深さを最大化することができ、またしたがって、双方のケースで掘削機1の生産性を最大化することができる。
第4双方向電力コンバータ装置44は、有利には、ジュール効果に起因する電力損失を減少し、また掘削機1の効率を最大化するために、多相型とすることができる。第2電気エネルギー貯蔵システムを第1電気エネルギー貯蔵システムと同一に構成する場合、規模により可能となる経済性に起因する経済的利点が得られる。第2電気エネルギー貯蔵システム43が使用するコンポーネントタイプにおいて第1電気エネルギー貯蔵システム40とは異なる場合、スーパーキャパシタに特有の限定された全体寸法及び二次電池に特有の低コストの双方を同時に有効利用する利点が得られる。
図5は掘削機1の第1実施形態の第3変更例を示す。先の図面につき説明したのとは異なり、掘削機1の第1実施形態の第3変更例においては、電力消費ユニット25は、さらに、少なくとも1つの消散的電気制動システム30を有する。この消散的電気制動システム30は、電気制御信号によって制御可能な電子パワーデバイス、例えば、サイリスタ(SCR、GTO)又はトランジスタ(IGBT、FET、MOSFET、BJT)を有する少なくとも1つの第5電力コンバータ装置31と、少なくとも1つの抵抗32とを備える。
とくに、図5は1個のみの第5電力コンバータ装置31を有する消散的電気制動システム30を示すが、消散的電気制動システム30は、これとは異なり、電気制御信号によって制御可能な電子パワーデバイスを有する複数の第5電力コンバータ装置31を備えることができる。さらに、図5は抵抗33の多重相系統を有する消散的電気制動システム30を示すが、消散的電気制動システム30は、これとは異なり、1個のみの抵抗32を備えることができる。この抵抗32は、変換した電力Pregenの少なくとも一部分を熱的パワーに変換するよう構成される。
変換した電力Pregenの瞬間値は第1電動モータ22によって発生した電力Pmotの瞬間値、及び第1双方向電力コンバータ装置23の効率に由来するため、少なくとも1つの抵抗32は、孔61内における掘削ストリング12の制御降下速度での少なくとも1回の降下行程中に第1電動モータ22によって発生した電力Pmotの少なくとも一部分を熱的パワーに変換するよう構成される。先の図面につき説明したのとは異なり、第1内蔵制御ユニット70は、第1双方向電力コンバータ装置23との関連付けに加えて、第5電力コンバータ装置31に関連付けされる。
先に説明したことに加えて、掘削機1の第1実施形態の第3変更例によれば、第1内蔵制御ユニット70の制御プログラムは、さらに、第2リンク電圧調節モジュール及び電気制御信号を発生するための第3モジュールを有する。第2リンク電圧調節モジュールは、リンク電圧Vlinkの瞬間値を決定し、この瞬間値をリンク電圧の第2基準値Vlinkref2と比較するよう構成する。第2リンク電圧調節モジュールは、さらに、この比較に基づいてリンク電圧の第2制御値を生成するように構成する。
電気制御信号を生成する第3モジュールは、リンク電圧の少なくとも第2制御値に基づいて、第5電力コンバータ装置31の制御可能な電子パワーデバイスに第5電気制御信号を送信するよう構成し、これにより少なくとも1つの抵抗32は変換した電力Pregenの少なくとも一部分を熱的パワーに変換する。
第5電気制御信号を送信することによって、第1内蔵制御ユニット70は、この第5電力コンバータ装置31に電気的に関連付けされる。リアルタイム分散型制御システム60は、第2電気制御信号、第3電気制御信号、第5電気制御信号及び第6電気制御信号によって、掘削ストリング12の制御速度での降下行程中に動作装置21を制御するよう配備される。リアルタイム分散型制御システム60は、第2電気制御信号、第3電気制御信号、第4電気制御信号及び第6電気制御信号によって、掘削ストリング12の持ち上げ行程中に動作装置21を制御するよう配備される。
図5は例として複数の電気エネルギー貯蔵システム40、43を示すが、第1実施形態の第3変更例において、電力消費ユニット25は、さらに、1個のみの電気エネルギー貯蔵システム40を有することができると理解されたい。さらに、第1実施形態の第3変更例において、電力消費ユニット25は複数の消散的電気制動システムを有することができ、したがって、複数の対応する第5電力コンバータ装置及び複数の抵抗又は複数の多相抵抗系統を有することができる。
上述した第1実施形態の第3変更例は、掘削機1の生産性を一層向上させることができるとともに、既知タイプの掘削機に存在する問題を解決することができる。電力消費ユニット25が1個のみの電気エネルギー貯蔵システム40を有する場合、この電気エネルギー貯蔵システム40及び/又は第2内蔵制御ユニット80の機能不全が生じた場合でも、掘削機1の生産性を向上させることができる。
実際、第1電気エネルギー貯蔵システム40の機能不全が掘削ストリングにおける制御速度での孔内への降下中に生じた場合、第2内蔵制御ユニット80は、有利にも、通信システム92によってこの機能不全状況を表している少なくとも幾つかの通信データを第1内蔵制御ユニット70に、及び/又は中央制御ユニット91に送信するよう構成することができる。
例えば、第1電気エネルギー貯蔵システム40の機能不全に起因して第2内蔵制御ユニット80は、貯蔵電力Pstoredの瞬間値の減少値、例えば、ゼロに等しい制限値を決定することができ、またこの減少値を表している通信データを、通信システム92によって第1内蔵制御ユニット70に、及び/又は中央制御ユニット91に送信することができる。
第1内蔵制御ユニット70及び/又は中央制御ユニット91は、この減少値を、発生した電力Pmot又は変化した電力Pregenであって、双方ともに第1内蔵制御ユニット70によって決定されるこれら電力の瞬間値と比較することができ、またこれら電力が減少値と大きく異なっている場合、このような通信データは機能不全状況を表していると識別する。
代案的又は付加的に、例えば、第1貯蔵ユニット42の少なくとも1つの温度の瞬間値が最大許容値を超えたことによる第1貯蔵システム40の機能不全発生後に、第2内蔵制御ユニット80は、貯蔵電力Pstoredの最大許容値の減少した値、例えば、ゼロに等しい限界値を決定することができ、また機能不全状況を表している通信データとともに、この減少値を通信システム92によって第1内蔵制御ユニット70に、及び/又は中央制御ユニット91に送信することができる。
第2内蔵制御ユニット80の機能不全が生ずる場合、中央制御ユニット91は、有利には、通信システム92によってこの機能不全状況を表している少なくとも幾つかの通信データを第1内蔵制御ユニット70に送信するよう構成することができる。第1電気エネルギー貯蔵システム40及び/又は第2内蔵制御ユニット80の機能不全状況を表しているこのような通信データに基づいて、制御信号を生成する第3モジュールは、第5電力コンバータ装置31の制御可能電子パワーデバイスに第5電気制御信号を送信することができ、これにより少なくとも1つの抵抗32は変換電力Pregenのすべてを熱的パワーに変換する。
このようにして掘削機1の運転サイクルは中断されず、これはすなわち、機械的パーキングブレーキによる掘削ストリング12の降下を完全に停止させる必要がないためであり、これにより既知タイプの掘削機よりも掘削機1の生産性を一層向上する。
電力消費ユニット25が複数の電気エネルギー貯蔵システム40、43を有する場合には、第2電気エネルギー貯蔵システム43及び/又は第4内蔵制御ユニット93の機能不全を生ずる場合であっても、掘削機1の生産性を一層向上させることができる。
第2電気エネルギー貯蔵システム43の機能不全を生ずる場合、第4内蔵制御ユニット93は、有利には、このような機能不全を表している少なくとも幾つかの通信データを通信システム92によって第1内蔵制御ユニット70及び/又は中央制御ユニット91に送信するよう構成することができる。
第4内蔵制御ユニット93の機能不全を生ずる場合、中央制御ユニット91は、有利には、この機能不全を表している少なくとも幾つかの通信データを通信システム92によって第1内蔵制御ユニット70に送信するよう構成することができる。第2電気エネルギー貯蔵システム43及び/又は第4内蔵制御ユニット93の機能不全を表しているこのような通信データに基づいて、電気制御信号を発生する第3モジュールは、第5電気制御信号を第5電力コンバータ装置の制御可能電子パワーデバイスに送信し、これにより少なくとも1つの抵抗32は変換電力Pregenの少なくとも一部分を熱的パワーに変換する。
とくに、少なくとも1つの抵抗32によって熱的パワーに変換される電力の値は、第2電気エネルギー貯蔵システム43及び/又は第4内蔵制御ユニット93の機能不全発生直前又は発生時にこの第2電気エネルギー貯蔵システム43に貯蔵された電力Pregenの瞬間値に少なくとも等しい。このようにして、有利にも、機能不全状況発生後に、孔内における掘削ストリング12の制御降下速度の最大値を増大することができ、またひいては既知タイプの掘削機よりも掘削機1の生産性を一層向上することができる。
さらに、有利にも、掘削ストリング12の到達可能な掘削深さを増大させ、したがって、第1電気エネルギー貯蔵システム40に使用されるコンポーネントの所定サイズに対して、及び/又は第2電気エネルギー貯蔵システム43に使用されるコンポーネントの所定サイズに対して、掘削機1の生産性を向上させることができる。この目的のために、第2内蔵制御ユニット80の制御プログラムは、さらに、第1貯蔵ユニット42の充電状態の瞬間値SOCinst1を決定するよう構成した第1充電状態決定モジュールを有する。
同様に、第4内蔵制御ユニット93の制御プログラムは、さらに、第2貯蔵ユニット45の充電状態の瞬間値SOCinst2を決定するよう構成した第2充電状態決定モジュールを有する。第1充電状態決定モジュールは、さらに、第1貯蔵ユニット42の充電状態の瞬間値SOCinst1を、この第1貯蔵ユニット42の充電状態最大値SOCmax1と比較するよう構成し、またこの比較に基づいて第1貯蔵ユニット42の充電状態の第1制御値を生成するよう構成する。
同様に、第2充電状態決定モジュールは、さらに、第2貯蔵ユニット45の充電状態の瞬間値SOCinst2を、この第2貯蔵ユニット45の充電状態最大値SOCmax2と比較するよう構成し、またこの比較に基づいて第2貯蔵ユニット45の充電状態の第2制御値を生成するよう構成する。
第2内蔵制御ユニット80が、第1電気エネルギー貯蔵システム40に貯蔵される電力Pstoredの瞬間値を決定する、及び/又は第1電気エネルギー貯蔵システム40に貯蔵される電力Pstoredの最大許容値を決定するよう構成された、貯蔵電力を決定する第1モジュールを有する場合、これら値は、さらに、充電状態瞬間値SOCinst1に基づいて、又は第1貯蔵ユニット42の充電状態の第1制御値に基づいて決定することができる。
とくに、貯蔵電力を決定する第1モジュールは、第1貯蔵ユニット42における充電状態の第1制御値に基づいて、第1電気エネルギー貯蔵システム40に貯蔵される電力Pstoredの制御値を生成するよう構成する。このとき、電気制御信号を生成する第2モジュールは、貯蔵される電力のこの制御値に基づいて第3電気制御信号を生成し、またこの第3電気制御信号を第2双方向電力コンバータ装置41の制御可能電子パワーデバイスに送信するよう構成し、これにより第2双方向電力コンバータ装置41は、第1貯蔵ユニット42の充電状態の少なくとも瞬間値SOCinst1に基づいて、第1電気エネルギー貯蔵システム40に貯蔵される電力Pstoredの瞬間値を制御する。
したがって、第2内蔵制御ユニット80は、第1電気エネルギー貯蔵システム40に貯蔵される電力Pstoredの瞬間値、及び/又は第1電気エネルギー貯蔵システム40に貯蔵される電力Pstoredの最大許容値を決定し、またこれら値を、通信システム92が伝送する通信データによって第1内蔵制御ユニット70に送信することが理解されるであろう。
同様に、第4内蔵制御ユニット93が、第2電気エネルギー貯蔵システム43に貯蔵される電力Pstoredの瞬間値を決定する、及び/又は第2電気エネルギー貯蔵システム43に貯蔵される電力Pstoredの最大許容値を決定するよう構成された、貯蔵電力を決定する第2モジュールを有する場合、これら値は、さらに、充電状態瞬間値SOCinst2に基づいて、又は第1貯蔵ユニット45の充電状態の第2制御値に基づいて決定することができる。
このケースにおいて、第4双方向電力コンバータ装置44は、第2貯蔵ユニット45の充電状態の少なくとも瞬間値SOCinst2に基づいて、第2電気エネルギー貯蔵システム43に貯蔵される電力Pstoredの瞬間値を制御する。
さらに、第4内蔵制御ユニット93は、第2電気エネルギー貯蔵システム43に貯蔵される電力Pstoredの瞬間値及び/又は第2電気エネルギー貯蔵システム43に貯蔵される電力Pstoredの最大許容値を決定し、これら値を通信システム92によって伝送される通信データによって第1内蔵制御ユニット70に送信するよう構成する。
第1電気エネルギー貯蔵システム40に使用されるコンポーネントの所定サイズ及び第2電気エネルギー貯蔵システム43に使用されるコンポーネントの所定サイズに対して、掘削ストリング12が到達できる掘削深さを一層増大するため、第2内蔵制御ユニット80及び/又は第4内蔵制御ユニット93及び/又は中央制御ユニット91は、第1貯蔵ユニット42における充電状態のこの第1制御値及び/又は第2貯蔵ユニット45における充電状態のこの第2制御値を、通信システム92が伝送する通信データによって第1内蔵制御ユニット70に送信するよう構成される。
第1内蔵制御ユニット70は、したがって、このような通信データに基づいて第5電力コンバータ装置31における制御可能電子パワーデバイスに第5電気制御信号を送信するよう構成され、これにより、消散的電気制動システム30、とくに、少なくとも1つの抵抗32は、第1貯蔵ユニット42の充電状態瞬間値SOCinst1に基づいて、及び/又は第2貯蔵ユニット45の充電状態瞬間値SOCinst2に基づいて、変換した電力Pregenの少なくとも一部分を熱的パワーに変換する。
変換した電力Pregenの瞬間値は、第1電動モータ22が発生する電力Pmotの瞬間値及び第1双方向電力コンバータ装置23の効率に由来するため、消散的電気制動システム30、とくに、少なくとも1つの抵抗32は、第1貯蔵ユニット42の充電状態瞬間値SOCinst1に基づいて、及び/又は第2貯蔵ユニット45の充電状態瞬間値SOCinst2に基づいて、第1電動モータ22によって発生した電力「Pmot」の少なくとも一部分を熱的パワーに変換することが理解されるであろう。
とくに、このような通信データを送信することによって、また第5電気制御信号によって、有利にも、少なくとも1つの抵抗32は、第1貯蔵ユニット42の充電状態瞬間値SOCinst1及び/又は第2貯蔵ユニット45の充電状態瞬間値SOCinst2が、それぞれこのような第1貯蔵ユニット42の充電状態最大値SOCmax1及び第2貯蔵ユニット45の充電状態最大値SOCmax2よりも大きいとき、第1双方向電力コンバータ装置23によって変換した電力Pregenのすべて、したがって、第1電動モータ22によって発生した電力Pmotのすべてを熱的パワーに変換することができる。
このようにして、有利にも、掘削機1は、第1貯蔵システム42に使用されるコンポーネント及び/又は第2貯蔵システム45に使用されるコンポーネントの所定サイズに対して、とくに、所定エネルギー容量に対して到達できるよりも大きい掘削深さに到達することができる。
とくに、消散的電気制動システム30によって、第1貯蔵システム42に使用されるコンポーネント及び/又は第2貯蔵システム45に使用されるコンポーネントの所定サイズ、とくに、所定エネルギー容量とは全く無関係な値の掘削深さに到達することができる。
第2リンク電圧調節モジュールによって、第1貯蔵ユニット42の充電状態瞬間値SOCinst1及び/又は第2貯蔵ユニット45の充電状態瞬間値SOCinst2が、それぞれこのような第1貯蔵ユニット42の充電状態最大値SOCmax1及び第2貯蔵ユニット45の充電状態最大値SOCmax2よりも大きいときであっても、リンク24の電圧が常にリンク電圧の最小値と最大値との間における所定範囲内に維持されることを保証できる。
例えば、リンク電圧の第1基準値Vlinkref1より大きい又は等しいリンク電圧の第2基準値Vlinkref2を使用することによって、第1貯蔵ユニット42の充電状態瞬間値SOCinst1及び/又は第2貯蔵ユニット45の充電状態瞬間値SOCinst2が、それぞれこの第1貯蔵ユニット42の充電状態最大値SOCmax1及び第2貯蔵ユニット45の充電状態最大値SOCmax2よりも大きいときであっても、リンク24の電圧が常に適正な最大値よりも小さい値に維持されることを保証できる。
変更例において、第5電力コンバータ装置31又は複数の第5電力コンバータ装置31は、第1内蔵制御ユニット70に関連付けられる代わりに、第5内蔵制御ユニットに関連付けることができる。
とくに、この第5内蔵制御ユニットは、第5電気制御信号を送信することによって、第5電力コンバータ装置31又は複数の第5電力コンバータ装置31に電気的に関連付けられる。
この変更例において、5内蔵制御ユニットは、第2リンク電圧調節モジュール及び電気制御信号を生成する第3モジュールを有する。通信システム92は、第1内蔵制御ユニット70、第2内蔵制御ユニット80、第3内蔵制御ユニット90、第4内蔵制御ユニット93、第5内蔵制御ユニット、及び中央制御ユニット91に電気的に接続される。このようにして、この通信システム92は、内蔵制御ユニット70、80、90、93と第5内蔵制御ユニットとの間で、各内蔵制御ユニット70、80、90、93と第5内蔵制御ユニットと中央制御ユニット91との間で通信データを伝送するよう配備される。
とくに、通信システム92は、第1電気エネルギー貯蔵システム40及び/又は第2内蔵制御ユニット80及び/又は第2電気エネルギー貯蔵システム43及び/又は第4内蔵制御ユニット93における機能不全状況を表している通信データを第5内蔵制御ユニットに伝送するよう配備される。
さらに、通信システム92は、第1貯蔵ユニット42の第1制御値、及び/又は第2貯蔵ユニット45充電状態の第2制御値を表している通信データを第5内蔵制御ユニットに伝送するよう配備する。
代案的又は付加的に、通信システム92は、第1電気エネルギー貯蔵システム40に及び/若しくは第2電気エネルギー貯蔵システム43に貯蔵される電力Pstoredの瞬間値、並びに/又は第1電気エネルギー貯蔵システム40に及び/若しくは第2電気エネルギー貯蔵システム43に貯蔵される電力Pstoredの最大許容値を第5内蔵制御ユニットに伝送するよう配備する。
第2実施形態による掘削機1を、いわゆるLDPとして示される掘削技術が実施する掘削に関して図6に示す。図6の符号付けに関する限り、第1実施形態及びその変更例につき上述した同一コンポーネントは、図6において同一符号を採用して示す。したがって、これらコンポーネントに対しては、第1実施形態及び異なる変更例の双方につき既に上述した説明が有効であると理解しなければならない。
したがって、第1実施形態とは異なる以下のコンポーネントについて説明する。掘削機1の第1実施形態とは異なって、第2実施形態による電力消費ユニット25は、電力を生成するよう燃料電池54及び第6電力コンバータ装置55を含む原動機50を有し、該第6電力コンバータ装置55は、燃料電池54に電気的に関連付けられ、電気制御信号によって制御可能な電子パワーデバイス、例えば、サイリスタ(SCR、GTO)又はトランジスタ(IGBT、FET、MOSFET、BJT)を有する。
動作装置22の運動を制御するよう配備したリアルタイム分散型制御システム60は、中央制御ユニット91、通信システム92、第1内蔵制御ユニット70、及び第2内蔵制御ユニット80に加えて、さらに、第6電力コンバータ装置55に関連付けられた第6内蔵制御ユニット94を有する。通信システム92は、内蔵制御ユニット70、80、94相互間で、また各内蔵制御ユニット70、80、94と中央制御ユニット91との間で通信データを伝送するよう配備される。第6内蔵制御ユニット94は、第6電力コンバータ装置55の制御可能電子パワーデバイスに第7電気制御信号を送信するよう構成し、これにより電力を発生するよう構成された原動機50は、電気エネルギー送電網24を介して、孔61内における掘削ストリング12の地面レベル62に向かう少なくとも1回の持ち上げ行程中に第1双方向電力コンバータ装置23及びひいては第1電動モータ22に電力を伝送する。
第1電動モータ22は、第1作業モードにおいて、掘削ストリング12を可撓性引張素子17によって持ち上げるよう動作装置21を作動させるよう構成する。この第1作業モードにおいて、第1電動モータ22は、第1電気エネルギー貯蔵システム40によって伝送された電力を機械的駆動力に変換し、また掘削ストリング12を持ち上げ、また持ち上げ行程を実施するよう、この機械的駆動力を動作装置21に供給する。
第7電気制御信号を送信することによって、第6内蔵制御ユニット94は、第6双方向電力コンバータ装置55に電気的に関連付けられる。リアルタイム分散型制御システム60は、掘削ストリング12の持ち上げ行程中に第2電気制御信号、第3電気制御信号及び第7電気制御信号によって動作装置21を制御するよう配備される。
この第6内蔵制御ユニット94は、第6電力コンバータ装置55によって燃料電池54を制御し、またこの第6電力コンバータ装置55及び燃料電池54の適正動作に関する安全機能を監督するよう設計する。本発明の第2実施形態においては、有利には、限定しないが、第6電力コンバータ装置55及び第6内蔵制御ユニット94は、第4共通エンクロージャ内、例えば、電気的スイッチボード、電気的ボックス、又は既知タイプの電気的キャビネット内に収容する。地面レベルに向かう掘削ストリング12の持ち上げ行程中、第6内蔵制御ユニット94は、第7電気制御信号を第6電力コンバータ装置55に送信するよう構成し、これにより電気エネルギーを生成するよう構成された原動機は、リンク24によって第1双方向電力コンバータ装置23及びひいては第1電動モータ22に電力を伝送する。
とくに、第6電力コンバータ装置55は、一方向型、すなわち、燃料電池54からのみリンク24に向かう電力フローを生ぜしめるものとし得る、又は双方向型、すなわち、燃料電池54からリンク24に向かう及びリンク24から燃料電池54に向かうという双方向の電力フローを生ぜしめるものとし得る。
この第6電力コンバータ装置55は、掘削ストリング12の地面レベル62に向かう持ち上げ行程中に燃料、例えば水素の化学的エネルギーを使用することができる。とくに、掘削機1の第2実施形態において、燃料の化学的エネルギーは燃料電池54によって電気エネルギーに変換される。
第7電気制御信号及び第3電気制御信号を送信することによって、電力を生成するよう構成された原動機50及び第1電気エネルギー貯蔵システム40は、掘削ストリング12の持ち上げ行程中に電力を第1電動モータ22に伝送する。
電力を生成するよう構成された原動機50を支持構体3に機械的に関連付けられる場合、有利には、第6電力コンバータ装置55、燃料電池54、及び第6内蔵制御ユニット94に対しても、液体冷却システムを使用する。電力を生成するよう構成された原動機50は支持構体3に機械的に関連付けられないが、電気エネルギー送電網24に電気的にのみ接続する場合、燃料電池54及び/又は第6電力コンバータ装置55及び/又は第6内蔵制御ユニット94に対して空冷システムを使用することができる。
上述した説明から本発明の掘削機の特徴並びにその利点は明らかであろう。
最後に、本明細書で着想される掘削機は、多くの変更及び改変を受けることができ、さらにまた、すべての細部は技術的に等価な素子によって交換可能である。実際、使用される材料並びに寸法は技術的要件に従う任意なタイプとすることができる。