JPH11285102A - 電気自動車用制動装置 - Google Patents

電気自動車用制動装置

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JPH11285102A
JPH11285102A JP10059598A JP10059598A JPH11285102A JP H11285102 A JPH11285102 A JP H11285102A JP 10059598 A JP10059598 A JP 10059598A JP 10059598 A JP10059598 A JP 10059598A JP H11285102 A JPH11285102 A JP H11285102A
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JP
Japan
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master cylinder
switching valve
valve
braking force
hydraulic pressure
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Application number
JP10059598A
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English (en)
Inventor
Toshio Taichi
利夫 太地
Akio Furuta
昭夫 古田
Motomu Hake
求 吐合
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Nabco Ltd
Original Assignee
Nabco Ltd
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Publication date
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  • Hydraulic Control Valves For Brake Systems (AREA)
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  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 液圧制動のみのときでも、回生制動時でも、
常に一定の良好なブレーキフィーリングを得ることので
きる電気自動車用制動装置を提供する。 【解決手段】 マスタシリンダ2から液圧制動装置WFR
及びWRLへ接続する管路から分岐して、電磁弁である分
岐管路切換弁7を接続するとともに、これを介して、ブ
レーキ液の吸収を行う補償ピストン9を接続する。回生
制動時には、分岐管路切換弁7を開いて回生制動力相当
のブレーキ液を補償ピストン9に吸収させ、液圧制動の
みのときは、分岐管路切換弁7を閉じる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気自動車(モー
タのみを動力源とするもの、及び、モータと内燃機関と
を併用したハイブリッド車を含む。)用の制動装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】例えば、特開平5−176407号公報
に記載された従来の電気自動車用制動装置によれば、マ
スタシリンダから液圧制動装置(フロントブレーキ)に
至る液圧配管の途上に、モータの回生制動力に対応して
液圧制動装置への液圧の伝達を遮断する減圧弁が設けら
れている。また、この減圧弁よりも上流側(マスタシリ
ンダ側)から分岐管路を介して、所定の液量及び液圧を
模擬的に吸収するストロークシミュレータが設けられて
いる。回生制動時には減圧弁が液圧を遮断するととも
に、回生制動力を液圧制動力として発生させた場合に必
要となる液量及び液圧がストロークシミュレータによっ
て吸収される。これによって、回生制動に対しても相応
にブレーキペダルのペダルストロークが確保される(費
やされる)ため、所定の良好なブレーキフィーリングを
得ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の電気自動車用制動装置においては、マスタ
シリンダとストロークシミュレータとが実質的に直結さ
れているため、液圧制動のみによって全制動力がまかな
われる場合にもストロークシミュレータが作動して、ブ
レーキ液の無用な吸収が行われる。この結果、液圧制動
のみのときと、回生制動時とで、ペダルストロークが異
なり、ブレーキフィーリングが一定でないという問題点
がある。また、上記の電気自動車用制動装置は、減圧弁
の作動値が一定であり、液圧を遮断する状態から伝達す
る状態への切り替わりを起こさせる液圧は不変である。
一方、回生制動力は、モータの回転数及びバッテリーの
温度や放電状態によって異なるため、ブレーキ作動ごと
に得られる回生制動力は一定でない。この結果、回生制
動力が十分でないにもかかわらず、迅速に液圧制動が立
ち上がらない場合や、逆に、十分な回生制動力があるに
もかかわらず、性急に液圧制動に切り替わってしまう場
合が生じて、ブレーキフィーリングが損われるという問
題がある。
【0004】上記のような従来の問題点に鑑み、本発明
は、液圧制動のみのときでも、回生制動時でも、常に一
定の良好なブレーキフィーリングを得ることのできる電
気自動車用制動装置を提供することを第1の目的とす
る。また、回生制動力の変動にかかわらず、一定の良好
なブレーキフィーリングを得ることのできる電気自動車
用制動装置を提供することを第2の目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前輪及び後輪
にマスタシリンダからの入力液圧で作動する液圧制動装
置が設けられるとともに、前輪及び後輪の少なくとも一
方にブレーキ操作により回生制動力を発生可能なモータ
が接続されている電気自動車用制動装置において、前記
マスタシリンダと前記液圧制動装置との間に設けられ、
前記マスタシリンダからの入力液圧が回生制動力に対応
した値となるまで当該入力液圧の伝達を遮断する差圧弁
と、前記差圧弁と前記マスタシリンダとを接続する管路
から分岐管路を介して前記マスタシリンダに接続され、
前記マスタシリンダからの入力液圧を伝達させる連通位
置と、当該入力液圧の伝達を遮断する遮断位置とを有す
る分岐管路切換弁と、前記分岐管路切換弁を介して前記
マスタシリンダに接続され、回生制動時の回生制動力を
液圧制動力として発生させる場合に必要となる液量及び
液圧を吸収する補償ピストンと、ブレーキ操作時におい
て、液圧制動力のみによって全制動力が確保されるとき
は前記分岐管路切換弁を遮断位置とし、回生制動力を発
生させるときは前記分岐管路切換弁を連通位置とする制
御部とを備えたことを特徴とするものである(請求項
1)。
【0006】上記のように構成された電気自動車用制動
装置において回生制動力が発生しているとき、制御部
は、分岐管路切換弁を連通位置として、回生制動力を液
圧制動力として発生させる場合に必要となる液量及び液
圧を補償ピストンによって吸収させる。一方、ブレーキ
操作時に全制動力が液圧制動力のみによってまかなわれ
るときは、制御部は、分岐管路切換弁を遮断位置として
補償ピストンへの液圧及び液量の伝達を遮断する。これ
により、液圧制動のみのときと、回生制動時とでペダル
ストロークが互いに一致する。
【0007】また、本発明は、前輪及び後輪にマスタシ
リンダからの入力液圧で作動する液圧制動装置が設けら
れるとともに、前輪及び後輪の少なくとも一方にブレー
キ操作により回生制動力を発生可能なモータが接続され
ている電気自動車用制動装置において、前記マスタシリ
ンダと前記液圧制動装置との間に設けられ、前記マスタ
シリンダからの入力液圧を伝達させる連通位置と、当該
入力液圧の伝達を遮断する遮断位置とを有する主管路切
換弁と、前記主管路切換弁と前記マスタシリンダとを接
続する管路から分岐管路を介して前記マスタシリンダに
接続され、前記マスタシリンダからの入力液圧を伝達さ
せる連通位置と、当該入力液圧の伝達を遮断する遮断位
置とを有する分岐管路切換弁と、前記分岐管路切換弁を
介して前記マスタシリンダに接続され、回生制動時の回
生制動力を液圧制動力として発生させる場合に必要とな
る液量及び液圧を吸収する補償ピストンと、ブレーキ操
作時において、液圧制動力のみによって全制動力が確保
されるときは前記主管路切換弁を連通位置とするととも
に前記分岐管路切換弁を遮断位置とし、回生制動力を発
生させるときは前記主管路切換弁を遮断位置とするとと
もに分岐管路切換弁を連通位置とする制御部とを備えた
ものであってもよい(請求項2)。
【0008】上記のように構成された電気自動車用制動
装置(請求項2)において回生制動力が発生していると
き、制御部は、主管路切換弁を遮断位置とするとともに
分岐管路切換弁を連通位置として、回生制動力を液圧制
動力として発生させる場合に必要となる液量及び液圧を
補償ピストンによって吸収させる。一方、ブレーキ操作
時に全制動力が液圧制動力のみによってまかなわれると
きは、制御部は、主管路切換弁を連通位置とするととも
に分岐管路切換弁を遮断位置として補償ピストンへの液
圧及び液量の伝達を遮断する。これにより、液圧制動の
みのときと、回生制動時とでペダルストロークが互いに
一致する。
【0009】上記のように構成された電気自動車用制動
装置(請求項2)において、前記主管路切換弁及び前記
分岐管路切換弁は電磁弁であって、消磁状態でそれぞれ
連通位置及び遮断位置となるものであってもよい(請求
項3)。この場合、消磁状態の主管路切換弁によってマ
スタシリンダと液圧制動装置とが連通され、かつ、消磁
状態の分岐管路切換弁によってマスタシリンダと補償ピ
ストンとは互いに遮断されることにより、通常の液圧管
路が構成される。すなわち、本制動装置は、電磁弁の消
磁状態では通常の液圧ブレーキとして機能する。
【0010】上記のように構成された電気自動車用制動
装置(請求項3)において、前記分岐管路には、前記分
岐管路切換弁が遮断位置の際に、前記補償ピストンから
前記マスタシリンダ側への戻り通路を確保する逆止弁が
設けられているものであってもよい(請求項4)。この
場合、回生制動中に、分岐管路切換弁の駆動信号異常又
は駆動信号線の断線等が発生して分岐管路切換弁が遮断
位置となっても、ブレーキペダルが戻されると、逆止弁
を介して補償ピストン内の液圧及び液量がマスタシリン
ダ側に戻される。従って、ブレーキ液が確実にマスタシ
リンダに戻される。
【0011】また、本発明は、前輪及び後輪にマスタシ
リンダからの入力液圧で作動する液圧制動装置が設けら
れるとともに、前輪及び後輪の少なくとも一方にブレー
キ操作により回生制動力を発生可能なモータが接続され
ている電気自動車用制動装置において、前記マスタシリ
ンダと前記液圧制動装置との間に設けられ、ブレーキ操
作時に発生可能な回生制動力の値に対応して可変とされ
た閉弁付勢力を受けるとともに、前記マスタシリンダか
らの入力液圧による開弁力が前記閉弁付勢力を超えるま
で当該入力液圧の伝達を遮断する差圧弁と、前記差圧弁
と前記マスタシリンダとを接続する管路から分岐管路を
介して前記マスタシリンダに接続され、前記マスタシリ
ンダからの入力液圧を伝達させる連通位置と、当該入力
液圧の伝達を遮断する遮断位置とを有する分岐管路切換
弁と、前記分岐管路切換弁を介して前記マスタシリンダ
に接続され、回生制動時の回生制動力を液圧制動力とし
て発生させる場合に必要となる液量及び液圧を吸収する
補償ピストンと、回生制動力を発生させるときは前記差
圧弁の閉弁付勢力をこの回生制動力に対応した値に設定
するとともに、前記マスタシリンダからの入力液圧が前
記閉弁付勢力に相当する圧力に達したときは前記分岐管
路切換弁を遮断位置とする制御部とを備えたものであっ
てもよい(請求項5)。
【0012】上記のように構成された電気自動車用制動
装置(請求項5)において、前記差圧弁は回生制動力の
値に対応して閉弁付勢力が可変とされているとともに、
マスタシリンダの入力液圧がこの閉弁付勢力相当の圧力
に達すると前記分岐管路切換弁は連通位置から遮断位置
に切換わって補償ピストンヘの液圧及び液量の伝達を遮
断する。従って、ブレーキ毎に発生可能な回生制動力の
値が異なっても、常にこれに対応してそのときの回生制
動力相当の液圧及び液量を補償ピストンで吸収させるこ
とができる。
【0013】上記のように構成された電気自動車用制動
装置(請求項5)において、前記補償ピストンは、最大
回生制動力に対応した液量及び液圧を吸収可能であって
もよい(請求項6)。この場合、回生制動力の値の全範
囲にわたって、液圧及び液量を補償ピストンによって吸
収させることができる。
【0014】上記のように構成された電気自動車用制動
装置(請求項5)において、前記分岐管路には、前記分
岐管路切換弁が遮断位置の際に、前記補償ピストンから
前記マスタシリンダ側への戻り通路を確保する逆止弁が
設けられていてもよい(請求項7)。この場合、マスタ
シリンダからの入力液圧が差圧弁の閉弁付勢力を超える
ことで差圧弁が連通し、かつ、分岐管路切換弁が遮断位
置となっても、ブレーキペダルが戻されると、逆止弁を
介して補償ピストン内の液圧及び液量がマスタシリンダ
側に戻される。従って、ブレーキ液が確実にマスタシリ
ンダに戻される。
【0015】上記のように構成された電気自動車用制動
装置(請求項7)において、前記マスタシリンダと前記
液圧制動装置との間に、前記差圧弁を迂回する連通位置
と、前記差圧弁を経由させる遮断位置とを有する主管路
切換弁を備え、前記制御部は、前記主管路切換弁を連通
位置とするとき、前記分岐管路切換弁を遮断位置とする
ものであってもよい(請求項8)。この場合、差圧弁に
異常が生じた場合でも、連通位置の主管路切換弁により
この差圧弁を迂回させる経路を確保できる。また、補償
ピストンヘの液圧及び液量の伝達が、遮断位置にある分
岐管路切換弁によって防止される。
【0016】
【発明の実施の形態】《実施形態1》図1は、本発明の
第1の実施形態による電気自動車用制動装置の構成を示
す図であり、液圧系統の接続と電気系統の接続とを示し
ている。図において、ブレーキペダル1にはマスタシリ
ンダ2が接続されている。マスタシリンダ2は2系統の
ブレーキ制御弁装置を介して車輪の液圧制動装置に接続
されている。図示しているのは、そのうちの一方のブレ
ーキ制御弁装置3であり、マスタシリンダ2はこのブレ
ーキ制御弁装置3を介して、前輪右側の液圧制動装置W
FR及び後輪左側の液圧制動装置WRLに接続されている。
また、マスタシリンダ2は、図示しない他方のブレーキ
制御弁装置を介して、前輪左側の液圧制動装置WFL及び
後輪右側の液圧制動装置WRRに接続されている。すなわ
ち、この液圧配管は、いわゆるX配管である。なお、車
両は4輪駆動車である。また、一対のブレーキ制御弁装
置3は、実際の構造上は単一の装置として組み立てられ
る。
【0017】上記ブレーキ制御弁装置3は、主管路切換
弁4、差圧弁5、第1逆止弁6、分岐管路切換弁7、第
2逆止弁8、補償ピストン9及び液圧センサ10により
構成されている。主管路切換弁4はマスタシリンダ2と
接続されており、液圧制動装置WFR及びWRLはこの主管
路切換弁4を介してマスタシリンダ2と接続される。主
管路切換弁4は電磁弁であり、マスタシリンダ2からの
入力液圧を液圧制動装置WFR及びWRLに伝達させる連通
位置と、入力液圧の伝達を遮断する遮断位置とを有す
る。この主管路切換弁4はノーマルオープンであり、非
励磁で連通状態、励磁されると遮断状態となる。
【0018】上記差圧弁5は、その入力側をマスタシリ
ンダ2側にして主管路切換弁4と並列に接続されてお
り、液圧制動装置WFR及びWRLはこの差圧弁5を介して
マスタシリンダ2と接続される。差圧弁5はマスタシリ
ンダ2からの入力液圧が5MPa(±0.5MPa)を
超えると開弁し、開弁後はマスタシリンダ2からの入力
液圧の上昇と同割合で液圧制動装置WFR及びWRLにおけ
る液圧を上昇させる。上記第1逆止弁6は、液圧制動装
置WFR及びWRL側を入力側として差圧弁5と逆並列に接
続されている。以上の主管路切換弁4、差圧弁5及び第
1逆止弁6を介してマスタシリンダ2と液圧制動装置W
FR及びWRLとを接続する管路が、本液圧系統における
「主管路」である。
【0019】一方、差圧弁5等とマスタシリンダ2とを
結ぶ管路から分岐して、分岐管路切換弁7、第2逆止弁
8及び補償ピストン9を含む管路3Aは、上記主管路に
接続された「分岐管路」である。分岐管路切換弁7は、
マスタシリンダ2と補償ピストン9との間に介在する電
磁弁であり、マスタシリンダ2からの入力液圧を補償ピ
ストン9に伝達させる連通位置と、入力液圧の伝達を遮
断する遮断位置とを有する。この分岐管路切換弁7はノ
ーマルクローズであり、非励磁で遮断状態、励磁される
と連通状態となる。
【0020】上記補償ピストン9は、そのシリンダ9a
内に、ばね9bと、このばね9bによって付勢されたピ
ストン部9cとを備え、シリンダ9aとピストン部9c
とによって区画された液室Sを有している。液室Sは分
岐管路切換弁7を介してマスタシリンダ2と連通する。
なお、補償ピストン9は、後述する回生制動力に対応し
た液量及び液圧を吸収可能である。第2逆止弁8は、そ
の入力側が分岐管路切換弁7と補償ピストン9との接続
部に接続され、出力側がマスタシリンダ2側に接続され
ている。マスタシリンダ2と主管路切換弁4との接続部
には液圧センサ10が接続されている。なお、液圧セン
サ10が設けられていないことを除いては、他方のブレ
ーキ制御弁装置も同様に構成されている。
【0021】次に、電気接続系統について説明する。ブ
レーキペダル1に応動するように取り付けられたブレー
キスイッチ11の出力信号はブレーキコントローラ12
に入力される。上記液圧センサ10は、マスタシリンダ
2の液圧(0〜20MPa)に応じた出力電圧(0.5
〜4.5V)をブレーキコントローラ12に出力する。
主管路切換弁4及び分岐管路切換弁7の各ソレノイド
は、ブレーキコントローラ12に接続されている。ブレ
ーキコントローラ12は、すべての液圧制動装置WFR
RL、WFL及びWRRの制御を行う。ブレーキコントロー
ラ12は電気自動車の総合的な制御を行うビークルコン
トローラ13とI/O接続されている。また、ビークル
コントローラ13にはモータコントローラ14がI/O
接続され、さらに、モータコントローラ14に電気自動
車の駆動用のモータ15が接続されている。
【0022】次に、上記のように構成された電気自動車
用制動装置の動作について説明する。まず、回生制動が
可能である場合の電気自動車における制動力の配分につ
いて概略説明する。図6は、前輪駆動車のマスタシリン
ダ液圧と制動力との関係を示すグラフである。マスタシ
リンダ液圧に対応する制動力Fは、回生制動力と、前輪
液圧制動力と、後輪液圧制動力とによってまかなわれ
る。マスタシリンダ液圧が0からPoまでは、回生制動
力のみによって全制動力が負担され、マスタシリンダ液
圧がPo以上になると、回生制動力は一定値となるが、
前輪及び後輪それぞれの液圧制動力がマスタシリンダ液
圧の増加に比例して増大する。これによって、全体とし
て、マスタシリンダ液圧の全域においてマスタシリンダ
液圧に比例した制動力Fが得られる。なお、上記Poと
は、図1における差圧弁5の開弁圧に相当する。
【0023】図7は、4輪駆動車のマスタシリンダ液圧
と制動力との関係を示すグラフである。マスタシリンダ
液圧に対応する制動力Fは、前輪回生制動力と、前輪液
圧制動力と、後輪回生制動力と、後輪液圧制動力とによ
ってまかなわれる。マスタシリンダ液圧が0からPoま
では、前輪回生制動力及び後輪回生制動力のみによって
全制動力が負担され、マスタシリンダ液圧がPo以上に
なると、各回生制動力は一定値となるが、前輪及び後輪
それぞれの液圧制動力がマスタシリンダ液圧の増加に比
例して増大する。これによって、全体として、マスタシ
リンダ液圧の全域においてマスタシリンダ液圧に比例し
た制動力Fが得られる。なお、Poは、図1における差
圧弁5の開弁圧に相当する。
【0024】次に、第1の実施形態の電気自動車用制動
装置の動作について具体的に説明する。なお、前述のよ
うにマスタシリンダ2に接続された液圧系統は2系統あ
り、ブレーキ制御弁装置3は一対存在するが、その動作
は同様であるので、図示した一方のブレーキ制御弁装置
3に関しての動作についてのみ説明する。まず、回生制
動が可能である場合の制動動作について説明する。図1
において、ブレーキペダル1が踏まれると、ブレーキス
イッチ11が動作して、そのオン信号がブレーキコント
ローラ12に送られる。ブレーキコントローラ12はこ
れを受けて、ビークルコントローラ13に信号を送る。
ビークルコントローラ13は、モータコントローラ14
を介してモータ15による回生制動を開始する。
【0025】ブレーキコントローラ12は、ブレーキス
イッチ11からオン信号を受け取ると、後述の所定の処
理を経て主管路切換弁4及び分岐管路切換弁7を駆動す
る。これにより、主管路切換弁4は遮断位置に、分岐管
路切換弁7は連通位置に、それぞれ切り換わる。主管路
切換弁4が遮断位置にあることにより、マスタシリンダ
2と液圧制動装置WFR及びWRLとを結ぶ液圧ラインは遮
断され、液圧制動力はゼロに抑えられる。また、分岐管
路切換弁7が連通位置にあることにより、マスタシリン
ダ2の液圧の上昇に従って、補償ピストン9のピストン
部9cがばね9bに抗して図の右方へ移動し、ブレーキ
液が液室Sに吸収される。このとき吸収される液量及び
液圧は、回生制動力を仮に液圧制動力として発生させた
ならば必要となる液量及び液圧である。この吸収によっ
て、回生制動時のブレーキペダル1のペダルストローク
を、液圧のみの制動時のペダルストロークと略一致させ
ることができる。
【0026】ブレーキ踏力がさらに増大してマスタシリ
ンダ2の液圧が差圧弁5の開弁圧Po(約5MPa)に
達すると、差圧弁5が開いて、この差圧弁5を介してマ
スタシリンダ2から液圧制動装置WFR及びWRLに至るブ
レーキ液の通路が形成される。従って、これ以後は、マ
スタシリンダ2の液圧と液圧制動装置WFR及びWRLの液
圧とは同じ割合で昇圧し、回生制動と共に液圧制動が行
われる。図8は、マスタシリンダ液圧とペダルストロー
クとの関係を示すグラフであり、実線で示す特性が本実
施形態によるものである。なお、上記のような補償ピス
トン9が無い場合には、一点鎖線で示す特性となる。す
なわち、この場合は、マスタシリンダ液圧が、液圧制動
装置WFR及びWRLの無効ストロークを詰めるために要す
る無効圧Psから前記開弁圧Poまでの間は回生制動のた
め、ストロークが変化せず、開弁圧Po以上で再び変化
し始める。従って、この場合はブレーキフィーリングが
悪い。これに対して、本実施形態では、回生制動のみが
行われている間にも補償ピストン9によりブレーキ液が
吸収されるので、マスタシリンダ液圧の全域にわたって
ペダルストロークはなめらかに変化する。従って、優れ
たブレーキフィーリングが得られる。
【0027】ブレーキペダル1を戻した場合には、マス
タシリンダ2内が負圧となり、液圧制動装置WFR及びW
RLのブレーキ液は、第1逆止弁6を通ってマスタシリン
ダ2に戻される。一方、補償ピストン9内に吸収されて
いたブレーキ液は、連通位置にある分岐管路切換弁7を
通ってマスタシリンダ2に戻される。さらにブレーキペ
ダル1を戻し、ブレーキスイッチ11がオフとなると、
主管路切換弁4及び分岐管路切換弁7が共にオフ(非励
磁)の状態となって、初期の状態に戻る。
【0028】次に、回生制動が行われない場合の制動動
作について説明する。この場合、ブレーキペダル1が踏
まれてブレーキスイッチ11がオンとなっても、主管路
切換弁4及び分岐管路切換弁7のいずれも駆動されな
い。従って、マスタシリンダ2から出力される液圧及び
液量は、連通位置にある主管路切換弁4を通して液圧制
動装置WFR及びWRLに伝達される。こうして、通常の液
圧制動が行われる。このとき、分岐管路切換弁7が遮断
位置にあることにより、マスタシリンダ2と補償ピスト
ン9とは互いに遮断されている。従って、補償ピストン
9が、無用にブレーキ液を吸収することもない。この結
果、液圧制動のみのときと、前述の回生制動時とでブレ
ーキペダル1のペダルストロークが互いに一致する。従
って、ブレーキフィーリングが常に一定である。
【0029】一方、回生制動中において、回生制動シス
テムに故障が発生した場合には、主管路切換弁4及び分
岐管路切換弁7は共に瞬時にオフ(非励磁)となり、通
常の液圧ブレーキに戻る。すなわち、故障時には通常の
液圧ブレーキとしての機能が得られることで、フェイル
セーフを確保することができる。また、分岐管路切換弁
7は非励磁で遮断位置にあるため、液圧ブレーキ作動中
に補償ピストン9側にブレーキ液が吸収されることもな
い。従って、この場合にもブレーキフィーリングに違和
感を生じさせない。液圧制動後、ブレーキペダルが戻さ
れると、液圧制動装置WFR及びWRLのブレーキ液は、第
1逆止弁6を通ってマスタシリンダ2に戻される。一
方、補償ピストン9内に吸収されていたブレーキ液は、
第2逆止弁8を通ってマスタシリンダ2に戻される。従
って、次のブレーキ動作時のペダルストロークが確保さ
れる。
【0030】なお、上記の構成において、主管路切換弁
4と差圧弁5とが互いに並列に接続されていることによ
り、差圧弁5に異常が生じた場合でも、連通位置の主管
路切換弁4でこの差圧弁5を迂回させる経路を確保でき
る。
【0031】次に、ブレーキコントローラ12のCPU
の動作を中心としたシステム全体の動作について説明す
る。図2は、ブレーキコントローラ12のCPUの動作
を示すフローチャートであり、本フローチャートに示す
ルーチンは繰り返し実行される。以下、図2を参照しつ
つ図1に基づいて動作説明を行う。動作開始後、ブレー
キコントローラ12のCPUは(以下、単にCPUとい
う。)、ブレーキスイッチ11からオン信号を受け取ら
ない場合はステップ201からステップ210へ進む。
ここで、CPUはセーフティフラグ(液圧制動を開始し
たことの履歴を残すためのフラグ)をオフにして、マス
タシリンダ液圧Pmc(n)の初期値をゼロとする。次にス
テップ212でCPUは回生制動をオフ、すなわち両切
換弁(主管路切換弁4及び分岐管路切換弁7)をオフ
(非励磁)に維持してルーチンを終了する。ブレーキペ
ダル1が踏まれない限り、以上の動作が繰り返し実行さ
れる。
【0032】ブレーキペダル1が踏まれることによっ
て、ステップ201において、ブレーキコントローラ1
2がブレーキスイッチ11のオン信号を受けると、CP
Uはステップ202に進み、セーフティフラグがオンか
否かを判断する。この段階ではセーフティフラグはオフ
であるので、CPUはステップ203に進み、液圧ブレ
ーキ要求信号がオンか否かを判断する。液圧ブレーキ要
求信号とは、回生失効又は回生制動の故障等により、ビ
ークルコントローラ13から出力される信号であり、液
圧のみで制動力を負担することを要求する信号である。
この液圧ブレーキ要求信号がオンであれば、CPUはス
テップ211へ進み、セーフティフラグをオンにした
後、ステップ212において回生制動をオフ、すなわち
両切換弁(主管路切換弁4及び分岐管路切換弁7)をオ
フ(非励磁)に維持する。これにより、液圧制動力のみ
によって全制動力が確保される。
【0033】一方、ステップ203において、液圧ブレ
ーキ要求信号がオフであれば、CPUはステップ204
に進み、現在のマスタシリンダ液圧Pmc(n)を取り込
む。次に、CPUはステップ205において、マスタシ
リンダ液圧Pmc(n)を所定の値Pmaxと比較する。ここ
で、Pmaxとは、具体的には例えば10MPa程度であ
り、高い減速度が求められたことを示す値である。マス
タシリンダ液圧Pmc(n)がこのPmaxを超えている場合
は、CPUはステップ211に進み、セーフティフラグ
をオンにした後、ステップ212において回生制動をオ
フ、すなわち両切換弁(主管路切換弁4及び分岐管路切
換弁7)をオフ(非励磁)に維持する。これにより、液
圧制動力のみによって全制動力が確保される。
【0034】ステップ205において、マスタシリンダ
液圧Pmc(n)が上記Pmax以下である場合は、CPUはス
テップ206に進む。ステップ206においてCPU
は、現在のマスタシリンダ液圧Pmc(n)から、1つ前の
マスタシリンダ液圧Pmc(n-1)(初期値は0)を引いて
その変化量ΔPを求める。また、変化量ΔPを求めた
後、1つ前のマスタシリンダ液圧Pmc(n-1)の値を現在
のマスタシリンダ液圧Pmc(n)の値に更新する。次に、
CPUはステップ207に進み、変化量ΔPと所定値Δ
Poとを比較する。ここで、所定値ΔPoとは、急ブレー
キであるか否かを判断するための変化量ΔPの閾値であ
る。変化量ΔPが所定値ΔPoより大きい場合、すなわ
ち急ブレーキであると認められるときは、CPUはステ
ップ211に進み、セーフティフラグをオンにした後、
ステップ212において回生制動をオフ、すなわち両切
換弁(主管路切換弁4及び分岐管路切換弁7)をオフ
(非励磁)に維持する。これにより、液圧制動力のみに
よって全制動力が確保される。
【0035】ステップ207において、変化量ΔPが所
定値ΔPo以下である場合、すなわち急ブレーキである
とは認められないときは、CPUはステップ208に進
み、マスタシリンダ液圧Pmc(n)と所定値Psとを比較す
る。ここで、所定値Psとは、液圧制動装置WFR及びW
RLが動作開始してから制動を行うまでの無効(遊び)ス
トロークを詰めるために必要とされる無効圧である。マ
スタシリンダ液圧Pmc(n)が所定値Psより小さい場合、
すなわち無効圧に満たない弱いブレーキ圧である場合
は、CPUはステップ212に進み、回生制動をオフ、
すなわち両切換弁(主管路切換弁4及び分岐管路切換弁
7)をオフ(非励磁)に維持する。これにより、マスタ
シリンダ2の弱い液圧がそのまま液圧制動装置WFR及び
R Lに伝達され、無効ストロークが詰められる。
【0036】一方、ステップ208において、マスタシ
リンダ液圧Pmc(n)が所定値Ps以上である場合には、C
PUはステップ209に進み、回生制動をオンにすると
ともに、両切換弁(主管路切換弁4及び分岐管路切換弁
7)をオン(励磁状態)にする。これにより、主管路切
換弁4を介してのマスタシリンダ2から液圧制動装置W
FR及びWRLへの液圧伝達は遮断されるとともに、回生制
動に相当するブレーキ液がマスタシリンダ2から分岐管
路切換弁7を通過して補償ピストン9に吸収される。
【0037】以上のルーチンにおいてセーフティフラグ
が初めてオンとなった場合であって、かつ、ブレーキス
イッチ11が引き続きオンである場合、次のルーチンに
おいてCPUはステップ201から202へ進んだ後、
ステップ212に進み、回生制動オフの状態を維持して
ルーチンを終了する。以後、ブレーキスイッチ11がオ
フにならない限り、同一のステップ(201→202→
212)が繰り返される。すなわち、セーフティフラグ
が一度オンになった後は、ブレーキスイッチ11がオフ
にならない限り、回生制動がオンになることはない。セ
ーフティフラグが一度オンになった後、ブレーキスイッ
チ11がオフになった場合は、CPUはステップ201
からステップ210に進み、ここでセーフティフラグを
オフにして、マスタシリンダ液圧Pmc(n)を0にする。
すなわち、ブレーキスイッチ11のオフによってセーフ
ティフラグとマスタシリンダ液圧Pmc(n)の取り込み値
とがリセットされる。続いて、CPUはステップ212
において回生制動オフの状態を維持して、ルーチンを終
了する。
【0038】以上の動作をまとめると、(1)液圧ブレー
キ要求信号がオンの場合、(2)高減速度要求がある場
合、及び(3)急ブレーキの場合は回生制動がオフとな
り、この3つの原因で回生制動がオフとなった場合に
は、ブレーキスイッチ11がオフにならない限り回生制
動はオフのままである。また、液圧制動装置WFR及びW
R Lの無効ストロークを詰める間は回生制動が行われな
い。そして、上記3つの原因が無い通常のブレーキ操作
であり、かつ、無効ストロークを詰め終わっている場合
には、回生制動がオンとなり、主管路切換弁4及び分岐
管路切換弁7が動作する。この場合、マスタシリンダ液
圧の上昇に伴って差圧弁5が開き、回生制動と液圧制動
とが併用される。
【0039】《実施形態2》図3は、第2の実施形態に
よる電気自動車用制動装置の構成を示す図であり、液圧
系統の接続と電気系統の接続とを示している。第1の実
施形態との違いは、差圧弁5の閉弁付勢力がブレーキコ
ントローラ12からの出力信号によって可変に設定され
ている点であり、その他の構成は第1の実施形態と同様
であるので、同一符号を付して説明を省略する。当該第
2の実施形態の電気自動車用制動装置においては、ブレ
ーキ毎に発生可能な回生制動力の値がモータの回転数及
びバッテリーの温度や放電状態によって異なっても、こ
れに対応して差圧弁5の閉弁付勢力が変化する。従っ
て、差圧弁5の開弁圧Poも変化する。このことは、そ
の時の回生制動力相当の液圧及び液量を補償ピストン9
で吸収させることができることを意味する。従って、常
に回生制動力に相当するペダルストロークを確保して、
一定のブレーキフィーリングを得ることができる。な
お、補償ピストン9は、最大回生制動力に対応した液量
及び液圧を吸収可能である。従って、回生制動力の値の
全範囲にわたって、補償ピストン9でブレーキ液の液圧
及び液量を吸収することができる。
【0040】図4及び図5は、第2の実施形態における
ブレーキコントローラ12のCPUの動作を示すフロー
チャートであり、2つの図で1つのフローチャートを表
している。すなわち、下方の記号及びがそれぞれ図
5の上方の記号及びと接続される。図4の一点鎖線
で囲んだステップ401〜407、410及び411
は、それぞれ第1の実施形態におけるステップ201〜
207、210及び211と同様であるので説明を省略
し、主としてステップ413及び図5のステップ501
〜507について説明する。
【0041】図4のステップ402、410又は411
を実行した後、CPUは図5のステップ507に進み、
回生制動力RBをゼロにする出力をビークルコントロー
ラ13に出力する。また、これと同時に、差圧弁5の閉
弁付勢力をオフにすると共に、両切換弁(主管路切換弁
4及び分岐管路切換弁7)をオフ(非励磁)にしてルー
チンを終了する。
【0042】一方、ステップ407において、変化量Δ
Pが所定値ΔPo以下である場合、すなわち急ブレーキ
であるとは認められないときは、CPUはステップ41
3に進み、ビークルコントローラ13が決定する現在出
力可能な回生制動力の最大値RBmaxをビークルコント
ローラ13から取り込む。続いて、CPUはステップ5
01に進み、回生制動力RBをマスタシリンダ液圧Pmc
(n)から決定する。次に、ステップ502において、回
生制動力RBと前記最大値RBmaxとを比較して、その
うちの小さい方を新たに所定の回生制動力RBとする。
【0043】次に、ステップ503において、CPUは
前記所定の回生制動力RBが出力されるようにビークル
コントローラ13に所定の指令を与える。また、これと
同時に、CPUは差圧弁5に対して、回生制動力RBに
応じた閉弁付勢力を付与する。すなわち、回生制動力が
大きい場合は閉弁付勢力も大きくなり、回生制動力が小
さい場合は閉弁付勢力も小さくなる。さらに、CPU
は、マスタシリンダ液圧Pmc(n)が無効圧Ps以上である
ことを条件に主管路切換弁4をオン(励磁状態)にす
る。従って、主管路切換弁4を介してのマスタシリンダ
2と液圧制動装置WFR及びWRLとの連通は遮断される。
【0044】CPUは続くステップ504において、マ
スタシリンダ液圧Pmc(n)が、差圧弁5の閉弁付勢力に
拮抗し得る開弁圧より低いか否かを判断する。マスタシ
リンダ液圧Pmc(n)が、当該開弁圧より低い場合は、C
PUはステップ505に進み、分岐管路切換弁7をオ
ン、すなわち連通位置にして、ルーチンを終了する。従
って、補償ピストン9によるブレーキ液の吸収が行われ
る。その後、マスタシリンダ液圧Pmc(n)が開弁圧に達
するまで同じステップルートでルーチンが繰り返され
る。そして、マスタシリンダ液圧Pmc(n)が、開弁圧に
達した場合は、CPUはステップ506に進み、分岐管
路切換弁7をオフ、すなわち遮断位置にする。従って、
差圧弁5が開くと同時に、補償ピストン9によるブレー
キ液の吸収は阻止され、開いた差圧弁5を介して液圧制
動が行われる。上記の開弁圧は閉弁付勢力に応じて変化
し、閉弁付勢力は回生制動力に応じて変化するので、分
岐管路切換弁7が連通位置から遮断位置に転じる時期
は、回生制動力に応じて変化する。従って、常に、回生
制動力に相当する液圧及び液量のブレーキ液を補償ピス
トン9によって吸収することができる。
【0045】
【発明の効果】以上のように構成された本発明は以下の
効果を奏する。請求項1の電気自動車用制動装置によれ
ば、回生制動力を液圧制動力として発生させる場合に必
要となる液量及び液圧が補償ピストンによって吸収され
る。一方、ブレーキ操作時に全制動力が液圧制動力のみ
によってまかなわれるときは、補償ピストンへの液圧及
び液量の伝達が遮断される。従って、液圧制動のみのと
きと、回生制動時とでペダルストロークが互いに一致
し、ブレーキフィーリングが向上する。
【0046】請求項2の電気自動車用制動装置によれ
ば、回生制動力を液圧制動力として発生させる場合に必
要となる液量及び液圧が補償ピストンによって吸収され
る。一方、ブレーキ操作時に全制動力が液圧制動力のみ
によってまかなわれるときは、補償ピストンへの液圧及
び液量の伝達が遮断される。従って、液圧制動のみのと
きと、回生制動時とでペダルストロークが互いに一致
し、ブレーキフィーリングが向上する。
【0047】請求項3の電気自動車用制動装置によれ
ば、消磁状態の電磁弁により通常の液圧管路が構成され
るので、本制動装置は、電磁弁の消磁状態では通常の液
圧ブレーキとして機能する。従って、電磁弁への指令系
統に故障が生じても、フェイルセーフが確保される。ま
た、そのような故障の際には補償ピストンへの通路が遮
断されるので、ブレーキフィーリングに違和感が生じな
い。
【0048】請求項4の電気自動車用制動装置によれ
ば、回生制動中に、分岐管路切換弁の駆動信号異常又は
駆動信号線の断線等が発生しても、ブレーキペダルが戻
されると、逆止弁を介して補償ピストン内の液圧及び液
量が確実にマスタシリンダ側に戻されるので、ペダルス
トロークが確保されるとともに、良好なブレーキフィー
リングが維持される。
【0049】請求項5の電気自動車用制動装置によれ
ば、ブレーキ毎に発生可能な回生制動力の値が異なって
も、これに対応してそのときの回生制動力相当の液圧及
び液量を補償ピストンで吸収させることができるので、
ペダルストロークを常に確保してブレーキフィーリング
を向上させることができる。
【0050】請求項6の電気自動車用制動装置によれ
ば、回生制動力の値の全範囲にわたって、液圧及び液量
を補償ピストンによって吸収させることができるので、
ブレーキフィーリングを向上させることができる。
【0051】請求項7の電気自動車用制動装置によれ
ば、分岐管路切換弁が遮断位置となっても、ブレーキペ
ダルが戻されると、逆止弁を介して補償ピストン内の液
圧及び液量が確実にマスタシリンダ側に戻されるので、
ペダルストロークが確保されるとともに、良好なブレー
キフィーリングが維持される。
【0052】請求項8の電気自動車用制動装置によれ
ば、差圧弁に異常が生じた場合でも、連通位置の主管路
切換弁でこの差圧弁を迂回させる経路を確保できる。ま
た、補償ピストンヘの液圧及び液量の伝達が、遮断位置
にある分岐管路切換弁によって防止される。従って、安
全性に優れるとともに、所定のペダルストロークが確保
され、ブレーキフィーリングが損なわれない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による電気自動車用制
動装置の液圧系統及び電気系統の接続図である。
【図2】第1の実施形態における制御動作を示すフロー
チャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態による電気自動車用制
動装置の液圧系統及び電気系統の接続図である。
【図4】第2の実施形態における制御動作を示すフロー
チャートの一部である。
【図5】第2の実施形態における制御動作を示すフロー
チャートの他部であり、図4のフローチャートと共に一
つのフローチャートを構成する。
【図6】前輪駆動車におけるマスタシリンダ液圧に対す
る制動力の特性を示すグラフである。
【図7】4輪駆動車におけるマスタシリンダ液圧に対す
る制動力の特性を示すグラフである。
【図8】マスタシリンダ液圧に対するブレーキペダルの
ペダルストロークの特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ブレーキペダル 2 マスタシリンダ 3 ブレーキ制御弁装置 4 主管路切換弁 5 差圧弁 6、8 逆止弁 7 分岐管路切換弁 9 補償ピストン WFR、WRL、WFL、WRR 液圧制動装置 12 ブレーキコントローラ 13 ビークルコントローラ 14 モータコントローラ 15 モータ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】前輪及び後輪にマスタシリンダからの入力
    液圧で作動する液圧制動装置が設けられるとともに、前
    輪及び後輪の少なくとも一方にブレーキ操作により回生
    制動力を発生可能なモータが接続されている電気自動車
    用制動装置において、 前記マスタシリンダと前記液圧制動装置との間に設けら
    れ、前記マスタシリンダからの入力液圧が回生制動力に
    対応した値となるまで当該入力液圧の伝達を遮断する差
    圧弁と、 前記差圧弁と前記マスタシリンダとを接続する管路から
    分岐管路を介して前記マスタシリンダに接続され、前記
    マスタシリンダからの入力液圧を伝達させる連通位置
    と、当該入力液圧の伝達を遮断する遮断位置とを有する
    分岐管路切換弁と、 前記分岐管路切換弁を介して前記マスタシリンダに接続
    され、回生制動時の回生制動力を液圧制動力として発生
    させる場合に必要となる液量及び液圧を吸収する補償ピ
    ストンと、 ブレーキ操作時において、液圧制動力のみによって全制
    動力が確保されるときは前記分岐管路切換弁を遮断位置
    とし、回生制動力を発生させるときは前記分岐管路切換
    弁を連通位置とする制御部とを備えたことを特徴とする
    電気自動車用制動装置。
  2. 【請求項2】前輪及び後輪にマスタシリンダからの入力
    液圧で作動する液圧制動装置が設けられるとともに、前
    輪及び後輪の少なくとも一方にブレーキ操作により回生
    制動力を発生可能なモータが接続されている電気自動車
    用制動装置において、 前記マスタシリンダと前記液圧制動装置との間に設けら
    れ、前記マスタシリンダからの入力液圧を伝達させる連
    通位置と、当該入力液圧の伝達を遮断する遮断位置とを
    有する主管路切換弁と、 前記主管路切換弁と前記マスタシリンダとを接続する管
    路から分岐管路を介して前記マスタシリンダに接続さ
    れ、前記マスタシリンダからの入力液圧を伝達させる連
    通位置と、当該入力液圧の伝達を遮断する遮断位置とを
    有する分岐管路切換弁と、 前記分岐管路切換弁を介して前記マスタシリンダに接続
    され、回生制動時の回生制動力を液圧制動力として発生
    させる場合に必要となる液量及び液圧を吸収する補償ピ
    ストンと、 ブレーキ操作時において、液圧制動力のみによって全制
    動力が確保されるときは前記主管路切換弁を連通位置と
    するとともに前記分岐管路切換弁を遮断位置とし、回生
    制動力を発生させるときは前記主管路切換弁を遮断位置
    とするとともに分岐管路切換弁を連通位置とする制御部
    とを備えたことを特徴とする電気自動車用制動装置。
  3. 【請求項3】前記主管路切換弁及び前記分岐管路切換弁
    は電磁弁であって、消磁状態でそれぞれ連通位置及び遮
    断位置となることを特徴とする請求項2記載の電気自動
    車用制動装置。
  4. 【請求項4】前記分岐管路には、前記分岐管路切換弁が
    遮断位置の際に、前記補償ピストンから前記マスタシリ
    ンダ側への戻り通路を確保する逆止弁が設けられている
    ことを特徴とする請求項3記載の電気自動車用制動装
    置。
  5. 【請求項5】前輪及び後輪にマスタシリンダからの入力
    液圧で作動する液圧制動装置が設けられるとともに、前
    輪及び後輪の少なくとも一方にブレーキ操作により回生
    制動力を発生可能なモータが接続されている電気自動車
    用制動装置において、 前記マスタシリンダと前記液圧制動装置との間に設けら
    れ、ブレーキ操作時に発生可能な回生制動力の値に対応
    して可変とされた閉弁付勢力を受けるとともに、前記マ
    スタシリンダからの入力液圧による開弁力が前記閉弁付
    勢力を超えるまで当該入力液圧の伝達を遮断する差圧弁
    と、 前記差圧弁と前記マスタシリンダとを接続する管路から
    分岐管路を介して前記マスタシリンダに接続され、前記
    マスタシリンダからの入力液圧を伝達させる連通位置
    と、当該入力液圧の伝達を遮断する遮断位置とを有する
    分岐管路切換弁と、 前記分岐管路切換弁を介して前記マスタシリンダに接続
    され、回生制動時の回生制動力を液圧制動力として発生
    させる場合に必要となる液量及び液圧を吸収する補償ピ
    ストンと、 回生制動力を発生させるときは前記差圧弁の閉弁付勢力
    をこの回生制動力に対応した値に設定するとともに、前
    記マスタシリンダからの入力液圧が前記閉弁付勢力に相
    当する圧力に達したときは前記分岐管路切換弁を遮断位
    置とする制御部とを備えたことを特徴とする電気自動車
    用制動装置。
  6. 【請求項6】前記補償ピストンは、最大回生制動力に対
    応した液量及び液圧を吸収可能であることを特徴とする
    請求項5記載の電気自動車用制動装置。
  7. 【請求項7】前記分岐管路には、前記分岐管路切換弁が
    遮断位置の際に、前記補償ピストンから前記マスタシリ
    ンダ側への戻り通路を確保する逆止弁が設けられている
    ことを特徴とする請求項5記載の電気自動車用制動装
    置。
  8. 【請求項8】前記マスタシリンダと前記液圧制動装置と
    の間に、前記差圧弁を迂回する連通位置と、前記差圧弁
    を経由させる遮断位置とを有する主管路切換弁を備え、
    前記制御部は、前記主管路切換弁を連通位置とすると
    き、前記分岐管路切換弁を遮断位置とすることを特徴と
    する請求項7記載の電気自動車用制動装置。
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