JP2024011638A - 車両の制動制御装置 - Google Patents

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悠介 杉浦
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Abstract

【課題】ハイブリッド車に適用される制動制御装置において、内燃機関が起動される際の運転者の違和感を抑制する。【解決手段】制動制御装置(SC)は、吸気負圧を発生する内燃機関(IC)、及び、走行用電気モータ(MD)を備えたハイブリッド型の車両に適用されるものであって、車両の制動操作部材(BP)の操作力を吸気負圧を利用して軽減する負圧ブースタ(VB)と、負圧ブースタ(VB)のブースタ負圧を検出する負圧センサ(PV)と、内燃機関(IC)が停止している状態でブースタ負圧(Pv)が負圧しきい値未満になる場合に内燃機関(IC)の起動を要求するコントローラ(ECU)と、を備える。そして、コントローラ(ECU)は、制動操作部材(BP)が操作されている場合には、制動操作部材(BP)が操作されていない場合に比較して、負圧しきい値を小さくする。【選択図】図1

Description

本開示は、車両の制動制御装置に関する。
特許文献1には、内燃機関(単に、「エンジン」ともいう)の自動停止による停止状態の継続時間を延ばすことができるように、内燃機関の自動停止中において、ブレーキホールド制御により制動状態が保持されているときには、ブレーキホールド制御により制動状態が保持されていないときに比べて、内燃機関の自動再始動が行われ難くされることが記載されている。ここで、「ブレーキホールド制御」は、停車時にブレーキ操作が解除されても、ブレーキ状態が保持(ブレーキホールド)されて、車両が停車し続ける制御である。ブレーキホールド制御は、運転者によりアクセル操作(アクセルペダルの踏操作)がなされると解除される。
特許文献1のブレーキホールド制御では、ブレーキペダルは非操作であるため、操作感とは無関係であるが、内燃機関の再起動時には、ブレーキペダルの操作感が低下することがある。例えば、特許文献2の装置では、操作感の課題を解決するために、ホイールシリンダへの制動液の流量を調整するバルブと、バルブの開閉を制御する制御ユニットとを備え、制御ユニットは、負圧センサによって検出された負圧の値に基づいて、バルブの開度を抑えてホイールシリンダへの制動液の流量が抑制される。これにより、ブレーキペダルの吸い込まれ現象(ブレーキペダルにおいて、踏力に対してストロークが長くなる状態であり、「引き込み現象」ともいう)が抑制される。
特許文献1、2の装置は、内燃機関のアイドリングストップ機能を有する車両に適用される。アイドリングストップでは、車両停止が判断されると、内燃機関が自動的に停止される。或いは、車両の減速中に、車速が極低速(例えば、8km/h程度)になると、内燃機関が自動的に停止されるものも存在する。
アイドリングストップでは、内燃機関が停止される状況が限定的であるが、ハイブリット車に適用される内燃機関では、自動停止される状況が更に拡大される。具体的には、車両が或る程度の速度で走行している場合、アクセルペダルが操作されている場合、等であっても、内燃機関は停止されることがある。このため、ハイブリッド車では、上記引き込み現象に加え、内燃機関の再起動に伴う音・振動にも対応することが必要になる。特に、車両が走行している途中で、制動操作がトリガとなって再起動が行われると、運転者に対する違和感につながり易い。このため、ハイブリッド車に適用される制動制御装置においては、これらの事柄に対応することが要求されている。
特開2021-105383号公報 特開2018-138416号公報
本発明の目的は、ハイブリッド車に適用される制動制御装置において、内燃機関が起動される際の運転者の違和感が抑制され得るものを提供することである。
本発明に係る車両の制動制御装置(SC)は、吸気負圧を発生する内燃機関(IC)、及び、走行用電気モータ(MD)を備えたハイブリッド型の車両に適用されるものであって、前記車両の制動操作部材(BP)の操作力(Fp)を前記吸気負圧を利用して軽減する負圧ブースタ(VB)と、前記負圧ブースタ(VB)のブースタ負圧(Pv)を検出する負圧センサ(PV)と、前記内燃機関(IC)が停止している状態で前記ブースタ負圧(Pv)が負圧しきい値(Px)未満になる場合に前記内燃機関(IC)の起動を要求するコントローラ(ECU)と、を備える。そして、前記コントローラ(ECU)は、前記制動操作部材(BP)が操作されている場合には、前記制動操作部材(BP)が操作されていない場合に比較して、前記負圧しきい値(Px)を小さくする。
制動操作部材BPの操作中に、内燃機関ICが起動されると、制動操作部材BPの引き込み現象、内燃機関ICの起動に起因する音、制動操作部材BPの振動等が発生する。上記構成によれば、制動操作部材BPが操作されている場合には内燃機関ICは起動され難くされるため、これらの課題は回避される。
本発明に係る車両の制動制御装置(SC)では、前記コントローラ(ECU)は、前記車両の加速操作部材(AP)が操作されている場合には、前記加速操作部材(AP)が操作されていない場合に比較して、前記負圧しきい値(Px)を大きくする。制動操作部材BPの操作時に比べ、加速操作部材APの操作時は、運転者は、内燃機関ICの起動に対して違和感を感じ難い。上記構成によれば、加速操作部材APが操作される場合には内燃機関ICは起動され易くされるため、ブースタ負圧Pvが確実に確保される。
本発明に係る車両の制動制御装置(SC)では、前記コントローラ(ECU)は、前記車両の速度(Vx)が大きい場合には、前記速度(Vx)が小さい場合に比較して、前記負圧しきい値(Px)を大きくする。車両速度Vxが大きい場合には、車両の走行音は大きくなる。上記構成によれば、運転者は、内燃機関の起動による音・振動を感じ難くなるため、運転者の違和感が抑制される。
制動制御装置SCを搭載した車両の全体を説明するための概略図である。 流体ユニットHUの構成例を説明するための概略図である。 低負圧助勢制御の概要を説明するための特性図である。 低負圧助勢制御の処理を説明するためのフロー図である。 再起動制御の処理を説明するためのフロー図である。
<構成部材等の記号、及び、記号末尾の添字>
以下の説明において、「CW」等の如く、同一記号を付された構成部材、演算処理、信号、特性、及び、値は、同一機能のものである。各車輪に係る記号末尾に付された添字「f」、「r」は、それが前後輪の何れの系統に関するものであるかを示す包括記号である。例えば、各車輪に設けられたホイールシリンダCWにおいて、「前輪ホイールシリンダCWf」、「後輪ホイールシリンダCWr」と表記される。更に、記号末尾の添字「f」、「r」は省略され得る。添字「f」、「r」が省略された場合には、各記号は総称を表す。例えば、「CW」は、車両の前後車輪に設けられたホイールシリンダの総称である。
マスタシリンダCMからホイールシリンダCWに至るまでの流体路において、マスタシリンダCMに近い側(ホイールシリンダCWから遠い側)が「上部」と称呼され、ホイールシリンダCWに近い側(マスタシリンダCMから遠い側)が「下部」と称呼される。また、流体ユニットHUでの制動液BFの循環流KLにおいて、流体ポンプQBの吐出部に近い側(吸入部から離れた側)が「上流側」と称呼され、流体ポンプQBの吸入部に近い側(吐出部から離れた側)が「下流側」と称呼される。
マスタシリンダCM、流体ユニットHU、及び、ホイールシリンダCWは、流体路(連絡路HS)にて接続される。更に、流体ユニットHUでは、各種構成要素(UB等)が流体路にて接続される。ここで、「流体路」は、制動液BFを移動するための経路であり、配管、アクチュエータ内の流路、ホース等が該当する。以下の説明では、連絡路HS、戻し路HL、減圧路HG等は流体路である。
<制動制御装置SCを搭載した車両>
図1の概略図を参照して、本発明に係る制動制御装置SCを搭載した車両の全体構成について説明する。車両はハイブリッド型である。即ち、車両には、原動機(エネルギを機械的な仕事に変換する装置)として、内燃機関IC(単に、「エンジン」ともいう)、及び、走行用電気モータMD(単に、「走行用モータ」、或いは、「駆動用モータ」ともいう)の2つの異なる動力源が備えられる。走行用モータMDは、車両減速時のエネルギ回生用の発電機としても機能するので、「モータジェネレータ」とも称呼される。また、走行用モータMDは、内燃機関ICのスタータとしても機能し得る。
車両に備えられる原動機制御装置GCは、内燃機関IC、走行用電気モータMD、及び、原動機用の電子制御ユニットECG(「原動機コントローラ」ともいう)にて構成される。内燃機関ICでは、ガソリン等の燃料が燃焼され、それによって発生した燃焼ガスによって機械仕事が得られる。走行用モータMDは、車載された蓄電池をエネルギ源にして動力を発生する。内燃機関IC、及び、走行用モータMDは、原動機コントローラECGによって制御される。
原動機制御装置GCのコントローラECG、及び、制動制御装置SCの制動用電子制御ユニットECU(「制動コントローラ」ともいう)は、通信バスBSを介して接続されている。原動機コントローラECGと制動コントローラECUとの間では、通信バスBSを通して、各種信号(Aa、Pv、FV等)が共有されている。
内燃機関IC(例えば、ガソリンエンジン)では、吸気負圧が発生される。吸気負圧は、エンジンピストンの下降によって発生する吸気管(吸気マニホールド)内の圧力である。吸気負圧は、スロットルが閉じられているアイドリング時、低負荷時には大きくなり、スロットル全開時には小さくなる。
車両には、加速操作部材APが備えられる。加速操作部材AP(例えば、アクセルペダル)は、運転者が車両を加速するために操作する部材である。加速操作部材APには、その操作量Aa(加速操作量)を検出する加速操作量センサAAが設けられる。加速操作量Aaは、加速操作部材APの操作の程度を表示する状態量(状態変数)の1つである。加速操作量センサAAによって検出される加速操作量Aaは、原動機コントローラECGに入力される。原動機コントローラECGでは、加速操作量Aaに基づいて、原動機(内燃機関IC、走行用モータMD)の出力(結果、車輪の駆動力)が調節される。また、加速操作量Aaは、通信バスBSに出力され、制動コントローラECUにて取得される。
原動機コントローラECGでは、制動制御装置SC(特に、制動コントローラECU)からの要求に応じて、吸気負圧発生の作動が実行される。負圧ブースタVBには、吸気負圧が、ブースタ負圧Pvとして蓄えられる。ブースタ負圧Pvが低下すると、負圧ブースタVBの助勢力が減少するため、制動制御装置SCからの要求信号(例えば、要求フラグFV)に応じて、原動機コントローラECGによって、吸気負圧が発生される。詳細には、吸気負圧の発生は、要求フラグFVを介して、制動制御装置SCから原動機制御装置GCに指示される。「要求フラグFV」は、制御フラグであり、「0」で吸気負圧の発生は不要であることが指示され、「1」で吸気負圧の発生が必要であることが指示される。例えば、内燃機関ICが停止状態にある場合には、要求フラグFVが、「0」から「1」に切り替わることで、内燃機関ICがスタータST(又は、走行用モータMD)により起動(始動)され、吸気負圧が発生される。
≪ブースタ負圧Pvの大小関係≫
ブースタ負圧Pvは、大気圧を基準値「0(ゼロ)」とした場合に、マイナス(-)の値として発生される。しかしながら、値の大小を論ずる場合に、ブースタ負圧Pvの符号を含めると説明が煩雑になり得る。このため、以下では、ブースタ負圧Pvの絶対値に基づいて、その大小関係を説明する。従って、「ブースタ負圧Pvが大きい」とは、ブースタ負圧Pvの絶対値(大きさ)が大きく、大気圧からより低下し、真空に近付いていることである。逆に、「ブースタ負圧Pvが小さい」とは、ブースタ負圧Pvの絶対値(大きさ)が小さく、大気圧により近付いていることである。
車両には、制動装置が備えられる。制動装置は、ブレーキキャリパ、摩擦部材(例えば、ブレーキパッド)、及び、回転部材KT(例えば、ブレーキディスク)にて構成される。ブレーキキャリパ(非図示)には、ホイールシリンダCWが設けられる。ホイールシリンダCW内の液圧Pw(「ホイール圧」という)によって、摩擦部材(非図示)が、各車輪WHに固定された回転部材KTに押し付けられる。これにより、車輪WHには制動力が発生される。
車両には、制動操作部材BPが備えられる。制動操作部材BP(例えば、ブレーキペダル)は、運転者が車両を減速するために操作する部材である。制動操作部材BPには、その操作変位Spを検出する操作変位センサSPが設けられる。操作変位Spは、制動操作部材BPの操作の程度を表示する状態量(状態変数)の1つである。
車両には、アンチロックブレーキ制御、横滑り防止制御等の各車輪WHのホイール圧Pwを個別に制御するために、各種センサが備えられる。具体的には、車輪WHに、その回転速度Vw(車輪速度)を検出する車輪速度センサVWが備えられる。また、操舵操作部材(例えば、ステアリングホイール)の操舵量Saを検出する操舵量センサ(非図示)、車両のヨーレイトYrを検出するヨーレイトセンサ(非図示)、車両の前後加速度Gxを検出する前後加速度センサ(非図示)、及び、車両の横加速度Gyを検出する横加速度センサ(非図示)が備えられる。車輪速度Vw、操舵量Sa、ヨーレイトYr、前後加速度Gx、及び、横加速度Gyの各信号は、制動コントローラECUに入力される。
車両には、制動制御装置SCが備えられる。制動制御装置SCでは、2系統の制動系統として、所謂、前後型(「II型」ともいう)のものが採用される。制動制御装置SCによって、実際のホイール圧Pwが調整される。制動制御装置SCは、マスタシリンダCM、負圧ブースタVB、流体ユニットHU、及び、制動コントローラECUにて構成される。
マスタシリンダCMには、タンデム型のものが採用される。具体的には、マスタシリンダCMには、プライマリマスタピストンNM、及び、セカンダリマスタピストンNNが挿入される。2つのマスタピストンNM、NNによって、マスタシリンダCMの内部は、2つの液圧室Rmf、Rmr(=Rm)に区画されている。前輪、後輪液圧室Rmf、Rmrは、「前輪、後輪マスタ室」と称呼される。マスタピストンNM、NNは、操作ロッドRDを介して、制動操作部材BPに連動して移動される。
制動操作部材BPが操作されていない場合(非制動時)には、マスタピストンNM、NSは、最も後退した位置(即ち、マスタ室Rmの体積が最大になる位置)にある。該状態では、マスタシリンダCMのマスタ室RmとマスタリザーバRVとは連通している。マスタリザーバRVは、「大気圧リザーバ」とも称呼され、作動液体用のタンクであり、その内部に制動液BFが貯蔵されている。
制動操作部材BPが操作されると、マスタピストンNM、NSが前進方向(マスタ室Rmの体積が減少する方向)に移動される。該移動により、マスタ室RmとマスタリザーバRVとの連通は遮断される。そして、マスタピストンNM、NSが、更に、前進方向に移動されると、前輪、後輪マスタ室Rmf、Rmrの内圧である前輪、後輪マスタ圧Pmf、Pmr(=Pm)が「0(大気圧)」から増加される。これにより、マスタシリンダCMのマスタ室Rmから、マスタ圧Pmに加圧された制動液BFが出力(圧送)される。制動操作部材BPが戻されると、マスタピストンNM、NNは、前進方向とは反対の後退方向(マスタ室Rmの体積が増加する方向)に移動され、制動液BFはマスタシリンダCMに向けて戻される。
タンデム型マスタシリンダCMの前輪、後輪マスタ室Rmf、Rmr(=Rm)と、前輪、後輪ホイールシリンダCWf、CWr(=CW)とは、前輪、後輪連絡路HSf、HSr(=HS)によって接続されている。連絡路HSは、マスタシリンダCMとホイールシリンダCWとを接続する流体路である。前輪、後輪連絡路HSf、HSrは、流体ユニットHU内で、夫々、2つに分岐され、前輪、後輪ホイールシリンダCWf、CWrに接続される。
マスタシリンダCMには、負圧ブースタVBが設けられる。負圧ブースタVBは、吸気負圧を利用して、制動操作部材BPの操作力Fpを助勢する倍力装置である。負圧ブースタVBは、制動操作部材BPとマスタシリンダCMとの間に配置される。負圧ブースタVBの内部は、ダイヤフラムDmによって2つの気体室Rv、Roに区画されている。気体室Rvが「負圧室」と称呼され、気体室Roが「大気圧室」と称呼される。
負圧室Rvは、負圧ブースタVBにおいて、マスタシリンダCMの側に配置される。負圧室Rvには、内燃機関IC(特に、吸気マニホールド)から、負圧ホースVHを介して、吸気負圧が導入(供給)され、それが蓄えられる。負圧室Rvの内圧が、ブースタ負圧Pvである。
大気圧室Roは、負圧ブースタVBにおいて、制動操作部材BPの側に配置される。大気圧室Ro内では、弁体Vtが操作ロッドRDと結合されている。制動操作部材BPが操作されていない状態では、弁体Vtは閉じられている。該状態では、大気圧室Ro内の気圧は、負圧室Rv内の気圧Pv(ブースタ負圧)に等しい。
制動操作部材BPが操作され、操作ロッドRDがマスタシリンダCMに向けて前進方向に移動されると、弁体Vtが開弁される。これにより、大気圧室Roに外気(大気圧)が導入される。大気圧室Ro内の圧力は大気圧に近付き、負圧室Rv内の圧力であるブースタ負圧Pvとの間に圧力差が発生する。この圧力差により、ダイヤフラムDmには、マスタシリンダCMの方向(即ち、前進方向)の推力が作用する。該推力により、制動操作部材BPの操作力Fpが助勢される。つまり、負圧ブースタVBでは、ブースタ負圧Pvと大気圧との気圧差によって、制動操作部材BPの操作力Fpが軽減される。
負圧ブースタVB(特に、負圧室Rv)には、ブースタ負圧Pvを検出するよう、ブースタ負圧センサPV(単に、「負圧センサ」ともいう)が設けられる。上述したように、ブースタ負圧Pvが小さいほど、負圧室Rvの内圧はより大気圧「0」に近く、負圧ブースタVB内の負圧が不足している状態である。逆に、ブースタ負圧Pvが大きいほど、負圧室Rvの内圧はより真空に近く、負圧ブースタVB内の負圧が充足している状態である。ブースタ負圧Pvの信号は、制動コントローラECUに入力される。
マスタシリンダCMとホイールシリンダCWとの間に、流体ユニットHUが設けられる。流体ユニットHUは、アンチロックブレーキ制御、トラクション制御、横滑り防止制御等の各輪独立制御を実行するための装置である。加えて、流体ユニットHUでは、負圧ブースタVBのブースタ負圧Pvが低下した場合に、負圧ブースタVBに加えて、制動操作力Fpの助勢が行われる。該制御は、「低負圧助勢制御」と称呼される。
流体ユニットHUは、マスタシリンダCMから出力されるマスタ圧Pmを増加して、ホイールシリンダCWにホイール圧Pwを供給することができる。流体ユニットHUは、制動用電子制御ユニットECU(制動コントローラ)によって制御される。制動コントローラECUは、原動機コントローラECGと、通信バスBSを介して接続される。通信バスBSによって、複数のコントローラ(ECU、ECG等)の間で信号伝達が行われる。つまり、複数のコントローラは、通信バスBSに信号(検出値、演算値、制御フラグ等)を送信することができるとともに、通信バスBSから信号を受信することができる。
<流体ユニットHU>
図2の概略図を参照して、流体ユニットHUの構成例について説明する。流体ユニットHUは、低負圧助勢制御を実行するための装置である。流体ユニットHUには、マスタシリンダCMから、前輪、後輪マスタ圧Pmf、Pmr(=Pm)が供給される。そして、流体ユニットHUにて、前輪、後輪マスタ圧Pmf、Pmrが調整(増減)され、前輪、後輪ホイールシリンダCWf、CWrの液圧Pwf、Pwr(前輪、後輪ホイール圧)として出力される。
流体ユニットHUは、連絡路HSにおいて、マスタシリンダCMとホイールシリンダCWとの間に設けられる。流体ユニットHUは、マスタ圧センサPM、調圧弁UB、流体ポンプQB、電気モータMB、調圧リザーバRB、インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOにて構成される。
前輪、後輪調圧弁UBf、UBr(=UB)が、前輪、後輪連絡路HSf、HSr(=HS)に設けられる。調圧弁UBは、常開型のリニア電磁弁(差圧弁)である。調圧弁UBによって、ホイール圧Pwは、前後車輪系統でマスタ圧Pmから個別に増加されることが可能である。
前輪、後輪マスタ圧センサPMf、PMr(=PM)が、マスタシリンダCM(特に、前輪、後輪マスタ室Rmf、Rmr)から供給される実際の液圧Pmf、Pmr(前輪、後輪マスタ圧)を検出するよう、前輪、後輪調圧弁UBf、UBrの上部(マスタシリンダCMに近い側の連絡路HSの部位)に設けられる。マスタ圧センサPMは、流体ユニットHUに内蔵される。前輪、後輪マスタ圧Pmf、Pmr(=Pm)の信号は、制動コントローラECUに入力される。なお、前輪マスタ圧Pmfと後輪マスタ圧Pmrとは実質的には同じであるため、前輪、後輪マスタ圧センサPMf、PMrのうちの何れか一方は省略されてもよい。例えば、後輪マスタ圧センサPMrが省略される構成では、前輪マスタ圧センサPMfによって前輪マスタ圧Pmfのみが検出される。
前輪、後輪戻し路HLf、HLr(=HL)によって、前輪、後輪調圧弁UBf、UBrの上部(マスタシリンダCMに近い側の連絡路HSの部位)と、前輪、後輪調圧弁UBf、UBrの下部(ホイールシリンダCWに近い側の連絡路HSの部位)とが接続される。前輪、後輪戻し路HLf、HLrには、前輪、後輪流体ポンプQBf、QBr(=QB)、及び、前輪、後輪調圧リザーバRBf、RBr(=RB)が設けられる。流体ポンプQBは、電気モータMBによって駆動される。
電気モータMBが駆動されると、流体ポンプQBによって、制動液BFが、調圧弁UBの上部から吸い込まれ、調圧弁UBの下部に吐出される。これにより、連絡路HS、及び、戻し路HLには、流体ポンプQB、及び、調圧リザーバRBを含んだ、制動液BFの循環流KL(即ち、前輪、後輪循環流KLf、KLrであり、破線矢印で示す)が発生する。調圧弁UBによって、連絡路HSの流路が狭められ、制動液BFの循環流KLが絞られると、その際のオリフィス効果によって、調圧弁UBの下部の液圧Pq(「調整圧」という)が、調圧弁UBの上部の液圧Pm(マスタ圧)から増加される。換言すれば、循環流KLにおいて、調圧弁UBに対して、下流側の液圧Pm(マスタ圧)と上流側の液圧Pq(調整圧)との液圧差Sj(差圧)が、調圧弁UBによって調整される。なお、マスタ圧Pmと調整圧Pqとの大小関係では、調整圧Pqはマスタ圧Pm以上である(即ち、「Pq≧Pm」)。
流体ユニットHUの内部にて、前輪、後輪連絡路HSf、HSrは、夫々、2つに分岐されて、前輪、後輪ホイールシリンダCWf、CWrに接続される。各ホイール圧Pwを個別に調節できるよう、ホイールシリンダCW毎に、常開型のインレット弁VI、及び、常閉型のアウトレット弁VOが設けられる。具体的には、インレット弁VIは、分岐された連絡路HS(即ち、連絡路HSの分岐部に対してホイールシリンダCWに近い側)に設けられる。連絡路HSは、インレット弁VIの下部(ホイールシリンダCWに近い側の連絡路HSの部位)にて、減圧路HGを介して、調圧リザーバRBに接続される。そして、減圧路HGには、アウトレット弁VOが配置される。インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOとして、オン・オフ型の電磁弁が採用される。インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOによって、ホイール圧Pwは、各車輪で調整圧Pqから個別に減少されることが可能である。
インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOの駆動によって、ホイール圧Pwが、ホイールシリンダCW毎に独立して調整される。ホイール圧Pwを減少するためには、インレット弁VIが閉弁され、アウトレット弁VOが開弁される。ホイールシリンダCWへの制動液BFの流入が阻止されるとともに、ホイールシリンダCW内の制動液BFが調圧リザーバRBに流出するので、ホイール圧Pwは減少される。ホイール圧Pwを増加するためには、インレット弁VIが開弁され、アウトレット弁VOが閉弁される。制動液BFの調圧リザーバRBへの流出が阻止され、調圧弁UBからの調整圧PqがホイールシリンダCWに供給されるので、ホイール圧Pwが増加される。ここで、ホイール圧Pwの増加の上限は調整圧Pqまでである。ホイール圧Pwを保持するためには、インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOが共に閉弁される。ホイールシリンダCWは流体的に封止されるので、ホイール圧Pwが一定に維持される。
インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOに給電が行われず、それらの作動が停止している場合には、インレット弁VIは開弁され、アウトレット弁VOは閉弁される。この状態では、ホイール圧Pwは、調整圧Pqに等しい(即ち、「Pq=Pw」)。
流体ユニットHUは、制動コントローラECUによってが制御される。制動コントローラECUは、マイクロプロセッサMP、及び、駆動回路DRにて構成される。制動コントローラECUは、通信バスBSを介して、原動機コントローラECGと信号を共有することができる。
制動コントローラECU(特に、マイクロプロセッサMP)には、車輪速度Vw、操舵量Sa、ヨーレイトYr、前後加速度Gx、及び、横加速度Gyが入力される。制動コントローラECUにて、車輪速度Vwに基づいて、車両速度Vxが演算される。制動コントローラECUでは、以下に列挙する各輪独立制御が実行される。具体的には、各輪独立制御として、車輪ロックを防止するアンチロックブレーキ制御(所謂、ABS制御)、駆動車輪の空転(スピン)を抑制するトラクション制御、及び、アンダステア・オーバステアを抑制して車両の方向安定性を向上する横滑り防止制御(所謂、ESC)が実行される。加えて、制動コントローラECUには、負圧センサPVによって検出されるブースタ負圧Pvの信号が入力され、ブースタ負圧Pvに基づいて、上記の低負圧助勢制御が実行される。
制動コントローラECUでは、マイクロプロセッサMPにプログラムされた制御アルゴリズムに応じて、駆動回路DRが制御される。具体的には、駆動回路DRによって、流体ユニットHUを構成する電気モータMB、及び、各種電磁弁(UB等)が駆動される。駆動回路DRには、電気モータMBを駆動するよう、スイッチング素子(例えば、MOS-FET)にてHブリッジ回路が構成される。また、駆動回路DRには、各種電磁弁(UB等)を駆動するよう、スイッチング素子が備えられる。加えて、駆動回路DRには、電気モータMBへの供給電流In(実際値)を検出するモータ電流センサ(非図示)、及び、調圧弁UBへの供給電流Ib(実際値であり、「供給電流」という)を検出する電流センサ(非図示)が含まれる。マイクロプロセッサMPの制御アルゴリズムに基づいて、調圧弁UBの駆動信号Ub、インレット弁VIの駆動信号Vi、アウトレット弁VOの駆動信号Vo、電気モータMBの駆動信号Mbが演算される。そして、駆動信号(Ub等)に基づいて、駆動回路DRによって、電気モータMB、及び、電磁弁UB、VI、VOが制御される。
なお、低負圧助勢制御の実行に際しては、インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOは駆動(電力供給)されず、電気モータMB、及び、調圧弁UBが駆動される。従って、インレット弁VIは開弁状態を、アウトレット弁VOは閉弁状態を、夫々維持するので、調整圧Pqは、ホイール圧Pwとして流体ユニットHUから出力される。つまり、低負圧助勢制御では、調整圧Pqとホイール圧Pwとは等しい。
<低負圧助勢制御>
図3の特性図を参照して、低負圧助勢制御の概要について説明する。特性図では、運転者による制動操作部材BPの操作量Baに対する、ホイール圧Pw(ホイールシリンダCWの液圧)の変化がプロットされている。ここで、制動操作量Baは、制動操作部材BPの操作の程度を表現する状態量(状態変数)であり、操作変位Sp、及び、操作力Fpのうちの少なくとも1つが該当する。
負圧ブースタVBによって、運転者の制動操作力Fpを助勢することが、「負圧助勢」と称呼される。負圧助勢によって、マスタ圧Pm(結果、ホイール圧Pw)を発生するための操作力Fpが軽減される。マスタシリンダCMにより発生された液圧Pm(マスタ圧)が、電気モータMBを動力源にして駆動される流体ポンプQB(即ち、電動ポンプ)によって増大されること(即ち、低負圧助勢制御)が、「電動ポンプ助勢」と称呼される。電動ポンプ助勢によって、ホイール圧Pwがマスタ圧Pmから増加されるので、ホイール圧Pwの発生に必要な制動操作力Fpが軽減される。
図3において、特性線Choは、制動制御装置SCによる制動特性を表現している。即ち、特性線Choは、制動操作量Baに対応して、発生されるべきホイール圧Pwの特性である。特性線Chaは、負圧助勢、及び、電動ポンプ助勢の何れもが行われない場合の特性である。即ち、特性線Chaは、運転者の筋力のみによって、マスタ圧Pm(結果、ホイール圧Pw)が発生される場合の特性である。該特性は、制動操作部材BPのレバー比、シリンダCM、CWの受圧面積等の幾何学的な諸元によって定まる。
特性線Chbは、電動ポンプ助勢は実行されず、負圧助勢のみが行われた場合の特性である。即ち、特性線Chbは、流体ユニットHUは作動していないが、負圧ブースタVBは作動している場合の制動操作量Baに対するマスタ圧Pmの関係である。特性線Chbは、限界点(G)を起点にして、特性線Chaに平行な特性として表現される。ここで、限界点(G)は、「変調点」とも称呼され、負圧による助勢が限界(最大値)に達する点である。限界点(G)では、負圧ブースタVBによって発生される助勢力(運転者の操作力Fpを補助する力)が上限となる。従って、特性線Chaと特性線Chbとによって挟まれた領域で、負圧助勢が行われ得る。
特性線Chbよりも上部では、流体ユニットHUによる低負圧助勢制御が実行される。制動操作量Baが限界点(G)に対応する値Bg(「限界操作量」という)よりも大きい場合には、低負圧助勢制御によって、電動ポンプ助勢が行われる。これにより、制動操作量Baが限界操作量Bgを超えた場合であっても、ホイール圧Pwの増加勾配(制動操作量Baに対するホイール圧Pwの変化量)の低下が補償される。これにより、ホイール圧Pwは、特性線Choに沿って発生され得る。
例えば、制動操作量Baが値baであり、相対的に小さい場合(即ち、「Ba≦Bg」の場合)には、低負圧助勢制御は実行されない。この場合、マスタシリンダCMから出力されるマスタ圧Pm(値pa)が、そのまま、ホイール圧Pw(値pa)としてホイールシリンダCWに供給される。一方、制動操作量Baが値bbであり、相対的に大きい場合(即ち、「Ba>Bg」の場合)には、低負圧助勢制御が実行される。この場合、マスタシリンダCMから出力されるマスタ圧Pm(値pb)が、流体ユニットHUによって、値sbだけ増加されて、液圧「pb+sb」が、ホイール圧PwとしてホイールシリンダCWに供給される。
限界点(G)(座標(Bg,Pg))は、ブースタ負圧Pvの大きさによって変動する。ブースタ負圧Pvが小さくなる(即ち、ブースタ負圧Pvが大気圧「0」に近付く)と、限界点(G)は、特性線Choに沿って、原点O(座標(0,0))に近付くように移動する。一方、ブースタ負圧Pvが大きくなる(即ち、ブースタ負圧Pvが真空に近付く)と、限界点(G)は、特性線Choに沿って、原点O(座標)(0,0))から離れるように移動する。従って、負圧助勢制御が実行される条件(即ち、限界操作量Bg)は、ブースタ負圧Pvに依存する。
<低負圧助勢制御の処理>
図4のフロー図を参照して、低負圧助勢制御(単に、「助勢制御」ともいう)の処理について説明する。助勢制御では、ブースタ負圧Pvに応じて、流体ユニットHUによってマスタ圧Pmが増加される。具体的には、電気モータMBで駆動される流体ポンプQB(電動ポンプ)によって発生される循環流KLが、調圧弁UBによって絞られることで、マスタ圧Pmが増加されて、ホイールシリンダCWに、ホイール圧Pwとして出力される。助勢制御のアルゴリズムは、制動コントローラECUのマイクロプロセッサMPにプログラムされている。従って、助勢制御は、制動制御装置SC(特に、制動コントローラECU)にて実行される。
ステップS110にて、各種センサ(BA、PV等)の検出信号(Ba、Pv等)が取得される。制動操作量センサBAによって検出される制動操作量Baが取得される。「制動操作量Ba」は、制動操作部材BPの操作の程度を表す状態量の総称である。また、「制動操作量センサBA」は、これらを検出するセンサの総称である。具体的には、制動操作部材BPの操作変位Sp、制動操作部材BPの操作力Fpが、制動操作量Baに相当する。また、操作変位Spを検出する操作変位センサSP、操作力Fpを検出する操作力センサFPが、制動操作量センサBAに相当する。換言すれば、ステップS110では、操作変位センサSPによって検出される操作変位Sp、及び、操作力センサFPによって検出される操作力Fpのうちの少なくとも1つに基づいて、制動操作量Baが決定され、助勢制御のアルゴリズムに読み込まれる。
ステップS110では、更に、負圧センサPVによって検出されるブースタ負圧Pvが取得される。ブースタ負圧Pvは、大気圧を基準とした相対圧として検出される。つまり、ブースタ負圧Pvは、負圧室Rvの内圧と外圧(大気圧)との気圧差に相当する。ブースタ負圧センサPVとして、絶対圧センサが採用されてもよい。該構成では、大気圧センサが設けられ、該センサによって検出される大気圧と吸気負圧(絶対圧)との差がブースタ負圧Pvとして決定される。
ステップS120にて、ブースタ負圧Pvに基づいて、限界点(G)が決定される。負圧ブースタVBは、ブースタ負圧Pvによって、操作力Fpに対する助勢力を発生させるが、限界点(G)は該助勢力が限界に達する点である(図3を参照)。ステップS120では、限界点(G)として、限界操作量Bgが設定される。ここで、「限界操作量Bg」は、電動ポンプ助勢が開始される制動操作量Baに相当する。具体的には、ブースタ負圧Pv、及び、負圧ブースタVBの諸元(ダイヤフラムDmの受圧面積等)、マスタシリンダCM及びホイールシリンダCWの諸元(各種シリンダCM、CWの受圧面積等)に基づいて、限界操作量Bgが演算される。限界操作量Bgは、ブースタ負圧Pvが大きいほど、大きくなるように決定される。
ステップS130にて、演算マップ設定ブロックZSTに示すように、ブースタ負圧Pvから算出された限界操作量Bgに基づいて、演算マップZstが設定される。「演算マップZst」は、調整圧Pq(即ち、ホイール圧Pw)を調整するための、調圧弁UBの制御に係る演算特性である。例えば、ステップS130では、演算マップZstとして、制動操作量Baに対する目標差圧Stの関係(「目標差圧特性」ともいう)が決定される。ここで、目標差圧Stは、調整圧Pq(=Pw)とマスタ圧Pmとの差圧Sj(実際値)についての目標値である。
限界点(G)は、ブースタ負圧Pvの増加に従って、特性線Choに沿って増加する。特性線Chbは上方に移動され、負圧助勢の領域は拡大される。助勢制御の実行要求は低下するため、演算マップZst(目標差圧特性)は、該制御が実行され難くなるように設定される。逆に、限界点(G)は、ブースタ負圧Pvの減少に従って、特性線Choに沿って減少する。特性線Chbは下方に移動され、負圧助勢の領域は縮小される。助勢制御の実行要求は増加するため、演算マップZstは、該制御が実行され易くなるように設定される(以上、図3を参照)。
演算マップ設定ブロックZSTに示すように、演算マップZst(目標差圧特性)は、制動操作量Baが限界操作量Bg以下の場合には、目標差圧Stが「0」になるように設定される。そして、演算マップZstは、制動操作量Baが限界操作量Bgよりも大きい場合には、制動操作量Baの増加に従って、目標差圧Stが大きくなるように設定される。限界操作量Bgは、ブースタ負圧Pvが小さいほど小さく決定され、ブースタ負圧Pvが大きいほど大きく決定される。このため、演算マップZstは、ブースタ負圧Pvの減少に伴って、X軸(横軸)に沿って、X軸の減少方向(図中の左方向)に平行移動するように設定される。即ち、演算マップZstでは、同一の制動操作量Baにおいて、ブースタ負圧Pvが小さいほど目標差圧Stは大きくなるように演算され、ブースタ負圧Pvが大きいほど目標差圧Stは小さくなるように演算される。つまり、助勢制御では、同一の制動操作量Baであっても、ブースタ負圧Pvが小さい場合には、ブースタ負圧Pvが大きい場合に比較して、目標差圧Stはより大きくなるように決定される。
ステップS140にて、制動操作量Ba、及び、ブースタ負圧Pvに基づいて、助勢制御の要否が判定される。具体的には、ブースタ負圧Pvに基づいて設定された判定操作量Bhに基づいて、「制動操作量Baが判定操作量Bhよりも大きいか、否か」に基づいて要否が判定される。ここで、「判定操作量Bh」は、限界操作量Bgよりも予め設定された所定量bh(定数)だけ小さい値である(即ち、「Bh=Bg-bh」)。制動操作量Baが判定操作量Bh以下であり、助勢制御の実行が不要であると判定される場合には、処理はステップS110に戻される。一方、制動操作量Baが判定操作量Bhよりも大きく、助勢制御の実行が必要であると判定される場合には、処理はステップS150に進められる。
限界操作量Bgよりも所定量bhだけ小さい判定操作量Bhによって、助勢制御の要否が判定されることにより、制御の応答性が向上される。助勢制御によって、マスタ圧Pmが実際に増加されるのは、目標差圧Stが「0」よりも大きく演算される場合(即ち、「Ba>Bg」の場合)である。しかしながら、電気モータMBの起動には時間を要するため、制動操作量Baが限界操作量Bg以上になる前に助勢制御の実行(特に、電気モータMAの起動)が開始される。これにより、電気モータMBの起動に要する時間遅れが抑制される。
ステップS150にて、制動操作量Ba、及び、ステップS130にて設定された演算マップZstに基づいて、目標差圧St(実際の液圧差Sjに対応する目標値)が演算される。目標差圧Stは、演算マップZstに基づいて、制動操作量Baの増加に従って、大きくなるように決定される。
ステップS160にて、ブースタ負圧Pvに基づいて、目標回転数Ntが演算される。「目標回転数Nt」は、電気モータMBの実際の回転数Naに対応する目標値である。例えば、目標回転数演算ブロックNTに示すように、目標回転数Ntは、予め設定された演算マップZntに従って、ブースタ負圧Pvが小さいほど、大きくなるように決定される。
また、ステップS160では、制動操作量Baが時間微分されて、制動操作量Baの時間に対する変化量dB(操作変化量)が演算される。例えば、操作変化量dBとして、操作変位Spの時間変化量である操作速度dSが採用される。そして、予め設定された演算マップZntに従って、目標回転数Ntは、操作変化量dB(例えば、操作速度dS)が大きいほど、大きくなるように決定される。
更に、ステップS160では、目標回転数Ntが所定回転数ntに決定されてもよい。ここで、所定回転数ntは、予め設定された所定値(定数)である。
ステップS170にて、目標回転数Nt、及び、実際の回転数Na(「モータ回転数」ともいう)に基づいて、電気モータMBが制御(駆動)される。ステップS170では、目標回転数Nt(目標値)、及び、モータ回転数Na(実際値)に基づいて、実際値Naが、目標値Ntに近付き、一致するように、駆動信号Mb(モータ駆動信号)が決定される。ここで、モータ回転数Naは、電気モータMBに設けられた回転角センサの検出値(モータ回転角)に基づいて演算される。具体的には、モータ回転角が時間微分されて、モータ回転数Naが決定される。電気モータMBへの供給電流Im(「モータ電流」ともいう)が、モータ駆動信号Mbによって調整される。「Nt>Na」の場合にはモータ回転数Naが増加するように、モータ電流Imが増加される。一方、「Nt<Na」の場合には、モータ回転数Naが減少するように、モータ電流Imが減少される。
ステップS180にて、目標差圧Stに基づいて、調圧弁UBが制御(駆動)される。ステップS180では、目標差圧St、及び、予め設定された演算マップZit(非図示)に基づいて、目標電流Itが演算される。「目標電流It」は、目標差圧Stを発生させるために必要な、調圧弁UBの供給電流Ib(実際値)に対応する目標値である。目標電流Itは、演算マップZitに応じて、目標差圧Stの増加に従って、大きくなるように決定される。更に、ステップS180では、目標電流It(目標値)、及び、供給電流Ib(実際値)に基づいて、供給電流Ibが、目標電流Itに近付き、一致するように、駆動信号Ub(調圧弁駆動信号)が決定される。ここで、調圧弁UBへの供給電流Ib(「調圧弁電流」ともいう)は、駆動回路DRに設けられた電流センサによって検出される。調圧弁電流Ibは、調圧弁駆動信号Ubによって調整される。「It>Ib」の場合には調圧弁電流Ibが増加され、「It<Ib」の場合には調圧弁電流Ibが減少される。調圧弁電流Ibが目標電流Itに一致するように制御されることで、実際の差圧Sj(実差圧)は目標差圧Stに近付き、一致するように調整される。なお、調整圧Pqを検出する液圧センサが備えられる構成では、調整圧Pq(検出値)とマスタ圧Pm(検出値)との液圧差Sj(差圧の実際値)に基づいて、目標電流Itが微調整されてもよい。
<再起動制御>
図5のフロー図を参照して、内燃機関ICの再起動制御の処理について説明する。
「内燃機関ICの起動(再起動)」では、吸気負圧が発生されるよう、停止している内燃機関IC(特に、回転シャフト)が駆動される。例えば、起動は、スタータST、或いは、走行用モータMDによって行われる。なお、起動は、負圧発生のために内燃機関ICを回すことであるから、起動に際して内燃機関ICへの燃料供給は必須ではない。
「再起動制御」は、ブースタ負圧Pvが減少した場合に、停止中の内燃機関ICを、再度、起動(始動)させる制御である。内燃機関ICが起動(「再起動、或いは、再始動」ともいう)されると、内燃機関ICの吸気マニホールドに負圧が発生する。吸気負圧は、負圧ホースVHを介して、負圧ブースタVBに供給され、ブースタ負圧Pvが増加される。
再起動制御は、制動制御装置SC(特に、制動コントローラECU)から、原動機制御装置GC(特に、原動機コントローラECG)に対して、負圧発生要求に基づいて行われる。具体的には、負圧発生要求は、要求フラグFVによって行われる。「FV=0」では、吸気負圧は不要であり、内燃機関ICの停止状態の維持が指示される。一方、「FV=1」では、吸気負圧の発生が必要であり、内燃機関ICの起動(始動)が要求される。
ステップS210にて、負圧しきい値Pxが所定負圧poに設定される。「負圧しきい値Px」は、内燃機関ICの再起動(再始動)に係るブースタ負圧Pvについてのしきい値である。ブースタ負圧Pvが十分に大きく、負圧しきい値Px以上である場合(即ち、「Pv≧Px」の場合)には、再起動は要求されない。一方、ブースタ負圧Pvが低下し、負圧しきい値Px未満である場合(即ち、「Pv<Px」の場合)には、再起動が要求される。ここで、「所定負圧po」は予め設定された所定値(定数)であり、「初期値」とも称呼される。
ステップS220にて、各種信号が取得される。具体的には、ブースタ負圧Pvが読み込まれる。また、制動操作部材BPの操作量Ba、及び、加速操作部材AP(例えば、アクセルペダル)の操作量Aaが読み込まれる。ここで、加速操作量Aaは、加速操作部材APに設けられた加速操作量センサAAによって検出される。制動操作量Baと同様に、加速操作量Aaも加速操作部材APの操作量の総称である。例えば、加速操作量Aaとして、内燃機関ICのスロットル開度が採用される。
ステップS230にて、制動操作量Baに基づいて、「制動操作中であるか、否か」が判定される。該判定が「制動操作判定」と称呼される。例えば、制動操作判定では、制動操作量Baが制動しきい量bo以下である場合には、制動操作部材BP(ブレーキペダル)が操作されていないことが判定される。「制動しきい量bo」は制動操作判定用のしきい値であり、予め設定された所定値(定数)である。例えば、制動しきい量boは「0」に設定される。「Ba≦bo」の場合には、制動操作判定は否定され、処理はステップS250に進められる。一方、制動操作量Baが制動しきい量boよりも大きい場合には、制動操作部材BPが操作されていることが判定される。「Ba>bo」の場合、制動操作判定は肯定され、処理はステップS240に進められる。
ステップS240にて、負圧しきい値Pxが、制動操作量Baに基づいて調整される。詳細には、減少調整演算ブロックPDに示されるように、制動操作量Ba、及び、予め設定された演算マップZpdに基づいて、制動操作量Baが増加するに従って、負圧しきい値Pxが小さくなるように決定される。例えば、演算マップZpdでは、負圧しきい値Pxが、初期値poから減少するように演算される。ここで、演算マップZpdには、負圧しきい値Pxの下限値pd(予め設定された定数)が設けられている。
或いは、減少調整演算ブロックPDの演算マップZpdは、破線で示す特性のように、制動操作量Baが制動しきい量bo以下である場合(即ち、制動操作部材BPの操作が判定されない場合)には、負圧しきい値Pxは初期値poに決定される。そして、制動操作量Baが制動しきい量boよりも大きい場合(即ち、制動操作部材BPの操作が判定された場合)には、負圧しきい値Pxが、初期値poから所定値pd(下限値)に減少するよう、変更されてもよい。つまり、負圧しきい値Pxは、制動操作部材BPの操作の有無で、2段階で調整される。更に、負圧しきい値Pxは、制動操作量Baの増加に伴って、多段階で減少されてもよい。
何れにしても、ステップS240では、制動操作部材BPの操作が行われている場合には、制動操作部材BPの操作が行われていない場合に比較して、負圧しきい値Pxが小さくなるように調整される。これにより、再起動制御において、制動操作部材BPの操作時には、内燃機関ICの起動が行われ難くされる。
制動操作部材BPが操作されている状態で、内燃機関ICが再起動(単に、「起動」ともいう)されると、制動操作部材BPの引き込み現象が発生する。また、該起動時には、内燃機関ICの始動音が生じる。更には、制動操作部材BPを介して、内燃機関ICの始動振動が運転者に伝達される。制動制御装置SCでは、制動操作部材BP(ブレーキペダル)が操作される場合には、負圧しきい値Pxの減少調整によって、再起動が開始され難くされる。これにより、制動操作部材BPの引き込み現象、内燃機関ICの起動に起因する音、制動操作部材BPの振動等が抑制される。
ステップS250にて、加速操作量Aaに基づいて、「加速操作中であるか、否か」が判定される。該判定が「加速操作判定」と称呼される。例えば、加速操作判定では、加速操作量Aaが加速しきい量ao以下である場合には、加速操作部材AP(アクセルペダル)が操作されていないことが判定される。「加速しきい量ao」は加速操作判定用のしきい値であり、予め設定された所定値(定数)である。例えば、加速しきい量aoは「0」に設定される。「Aa≦ao」の場合には、加速操作判定は否定され、処理はステップS270に進められる。一方、加速操作量Aaが加速しきい量aoよりも大きい場合には、加速操作部材APが操作されていることが判定される。「Aa>ao」の場合、加速操作判定は肯定され、処理はステップS260に進められる。
ステップS260にて、負圧しきい値Pxが、加速操作量Aaに基づいて調整される。詳細には、増加調整演算ブロックPUに示されるように、加速操作量Aa、及び、予め設定された演算マップZpuに基づいて、加速操作量Aaが増加するに従って、負圧しきい値Pxが大きくなるように決定される。例えば、演算マップZpuでは、負圧しきい値Pxが、初期値poから増加するように演算される。ここで、演算マップZpuには、負圧しきい値Pxの上限値pu(予め設定された定数)が設けられている。
或いは、増加調整演算ブロックPUの演算マップZpuは、破線で示す特性のように、加速操作量Aaが加速しきい量ao以下である場合(即ち、加速操作部材APの操作が判定されない場合)には、負圧しきい値Pxは初期値poに決定される。そして、加速操作量Aaが加速しきい量aoよりも大きい場合(即ち、加速操作部材APの操作が判定された場合)には、負圧しきい値Pxが、初期値poから所定値pu(上限値)に増加するよう、変更されてもよい。つまり、負圧しきい値Pxは、加速操作部材APの操作の有無で、2段階で調整される。更に、負圧しきい値Pxは、加速操作量Aaの増加に伴って、多段階で増加されてもよい。
何れにしても、ステップS260では、加速操作部材APの操作が行われている場合には、加速操作部材APの操作が行われていない場合に比較して、負圧しきい値Pxが大きくなるように調整される。これにより、再起動制御において、加速操作部材APの操作時には、内燃機関ICは起動され易くされる。
加速操作部材APが操作されている場合には、運転者は、制動操作部材BPの引き込みを感じない。また、制動操作部材BPの操作中に比較して、運転者は、内燃機関ICの起動について違和感を感じ難い。このため、制動制御装置SCでは、加速操作部材AP(アクセルペダル)が操作される場合には、負圧しきい値Pxの増加調整によって、再起動が開始され易くされる。これにより、負圧ブースタVBのブースタ負圧Pvが確実に確保される。
更に、ステップS260では、負圧しきい値Pxは、車両速度Vx(車体速度)に基づいて調整される。詳細には、車両速度Vx、及び、予め設定された演算マップZpuに基づいて、車両速度Vxが増加するに従って、負圧しきい値Pxが大きくなるように決定される。上記同様に、負圧しきい値Pxは、車両速度Vxに応じて、2段階、又は、多段階で増加され得る。
或いは、車両速度Vx(車体速度)に基づいて、負圧しきい値Pxの増加の要否が決定されてもよい。具体的には、車両速度Vxが所定車速vx未満の場合には、負圧しきい値Pxの増加は禁止され、負圧しきい値Pxは、初期値poのままにされる。そして、車両速度Vxが所定車速vx以上の場合には、負圧しきい値Pxの増加が許可され、負圧しきい値Pxは所定値puに増加される。
何れにしても、ステップS260では、車両速度Vxが大きい(高い)場合には、車両速度Vxが小さい(低い)場合に比較して、負圧しきい値Pxが大きくなるように調整される。これにより、再起動制御において、高速走行時には、内燃機関ICは起動され易くされる。
車両速度Vxが大きいほど、車両の走行音(風切り音、ロードノイズ等)が大きい。このため、車両速度Vxが大きい場合に、内燃機関ICが起動されても、その起動音が感じられ難いことに因る。なお、吸気負圧は、スロットルが閉じられている状態(アイドリング時、内燃機関ICの低負荷時)に発生し易く、スロットル開度が全開である状態では発生し難い。
ステップS270にて、ブースタ負圧Pv、及び、負圧しきい値Pxに基づいて、「負圧発生が必要か、否か(即ち、内燃機関ICの再起動が必要であるか、否か)」が判定される。該判定が「要否判定」と称呼される。要否判定では、ブースタ負圧Pvが負圧しきい値Pxと比較される。ブースタ負圧Pvが、負圧しきい値Px以上である場合(即ち、「Pv≧Px」の場合)には、十分なブースタ負圧Pvが確保されているので、要否判定は否定され、処理はステップS280に進められる。ブースタ負圧Pvが、負圧しきい値Px未満である場合(即ち、「Pv<Px」の場合)には、ブースタ負圧Pvが不足しているので、要否判定は肯定され、処理はステップS290に進められる。
ステップS280にて、通信バスBSを介して、制動コントローラECUから原動機コントローラECGに、「FV=0(吸気負圧は不要)」の信号が送信される。該信号FVに応じて、内燃機関ICの停止状態が継続される。
ステップS290にて、通信バスBSを介して、制動コントローラECUから原動機コントローラECGに、「FV=1(吸気負圧の発生指示)」の信号が送信される。これにより、内燃機関ICの再起動が行われ、吸気負圧が発生される。
<実施形態のまとめ>
以下、制動制御装置SCの実施形態についてまとめる。
制動制御装置SCは、原動機制御装置GCが搭載されたハイブリット車両に適用される。原動機制御装置GCは、内燃機関IC、走行用電気モータMD、及び、原動機コントローラECGにて構成される。内燃機関ICが作動している場合には、吸気マニホールドにて、吸気負圧が発生される。
制動制御装置SCは、負圧ブースタVB、負圧センサPV、及び、制動コントローラECUにて構成される。負圧ブースタVBでは、上記吸気負圧を利用して制動操作部材BPの操作力Fpが軽減される。負圧ブースタVBには、その内圧(特に、負圧室Rvの気圧)をブースタ負圧Pvとして検出する負圧センサPVが設けられる。そして、制動コントローラECUによって、ブースタ負圧Pvが負圧しきい値Px未満である場合には、原動機制御装置GCに対して、内燃機関ICによる吸気負圧の発生が要求される。つまり、内燃機関ICが停止されている場合には、吸気負圧を発生させるために、その起動(始動)が要求される。該要求は、要求フラグFVを介して、制動コントローラECUから、原動機コントローラECGに送信される。
制動操作部材BPが操作されている状態で、内燃機関ICが起動(始動)されると、制動操作部材BPの引き込み現象が生じ得る。また、起動時には、内燃機関ICの始動音が発生するとともに、内燃機関ICの始動振動が、制動操作部材BPを通して、運転者に伝わる。このため、制動制御装置SCでは、コントローラECUによって、制動操作部材BP(ブレーキペダル)が操作される場合には、負圧しきい値Pxが減少するように調整される。つまり、制動操作部材BPが操作されている場合には、制動操作部材BPが操作されていない場合に比べ、負圧しきい値Pxが小さくされ、内燃機関ICの起動が実行される範囲が狭められる。制動操作部材BPが操作されている場合には、内燃機関ICの起動が行われ難くされるので、制動操作部材BPの引き込み現象、内燃機関ICの起動に起因する音、制動操作部材BPの振動等が回避される。結果、制動操作に係る運転者の違和感が抑制される。
制動操作部材BPの操作時に比べ、加速操作部材APの操作時は、運転者は、内燃機関ICの起動に対して違和感を感じ難い。このため、制動制御装置SCでは、コントローラECUによって、加速操作部材AP(アクセルペダル)が操作される場合には、負圧しきい値Pxが増加するように調整される。つまり、加速操作部材APが操作されている場合には、加速操作部材APが操作されていない場合に比べ、負圧しきい値Pxが大きくされ、内燃機関ICの起動の実行範囲が拡大される。加速操作部材APが操作されている場合には、吸気負圧が発生され易くされるため、ブースタ負圧Pvが確実に確保される。
車両速度Vxが高い場合には、車両の走行音は大きくなるので、運転者は、起動による音・振動を感じ難くなる。このため、制動制御装置SCでは、コントローラECUによって、車両速度Vxが大きいほど、負圧しきい値Pxが増加するように調整される。或いは、負圧しきい値Pxの増加は、車両速度Vxが所定速度vx未満の場合には禁止されるが、車体速度Vxが所定速度vx以上の場合には許可される。ここで、所定速度vxは、予め設定された所定値(定数)である。つまり、車両速度Vxが大きい場合には、車両速度Vxが小さい場合に比べ、負圧しきい値Pxが大きくされ、内燃機関ICの起動の実行範囲が拡大される。車両速度Vxが大きい場合には、吸気負圧が発生され易くされるため、運転者が内燃機関ICの起動に気付くことなく、ブースタ負圧Pvが確保される。
GC…原動機制御装置、IC…内燃機関(エンジン)、MD…走行用電気モータ(駆動用モータ)、ECG…原動機コントローラ(GC用の電子制御ユニット)、AP…加速操作部材(アクセルペダル)、AA…加速操作量センサ、Aa…加速操作量、SC…制動制御装置、CM…マスタシリンダ、VB…負圧ブースタ、CW…ホイールシリンダ、HU…流体ユニット、ECU…制動コントローラ(SC用の電子制御ユニット)、BP…制動操作部材(ブレーキペダル)、BA…制動操作量センサ、Ba…制動操作量、BS…通信バス、UB…調圧弁、MB…電気モータ、QB…流体ポンプ、PM…マスタ圧センサ、Pm…マスタ圧、Pq…調整圧、Pw…ホイール圧、PV…負圧センサ、Pv…ブースタ負圧、Px…負圧しきい値(Pvに係る再起動制御のしきい値)、Sj…差圧(PmとPqとの実際の液圧差)、St…目標差圧(Sjに係る目標値)、Vx…車両速度(車体速度)、FV…要求フラグ(吸気負圧の発生を要求する制御フラグ)。


Claims (3)

  1. 吸気負圧を発生する内燃機関、及び、走行用電気モータを備えたハイブリッド型の車両に適用される車両の制動制御装置であって、
    前記車両の制動操作部材の操作力を前記吸気負圧を利用して軽減する負圧ブースタと、
    前記負圧ブースタのブースタ負圧を検出する負圧センサと、
    前記内燃機関が停止している状態で前記ブースタ負圧が負圧しきい値未満になる場合に前記内燃機関の起動を要求するコントローラと、を備え、
    前記コントローラは、前記制動操作部材が操作されている場合には、前記制動操作部材が操作されていない場合に比較して、前記負圧しきい値を小さくする、車両の制動制御装置。
  2. 請求項1に記載される車両の制動制御装置において、
    前記コントローラは、前記車両の加速操作部材が操作されている場合には、前記加速操作部材が操作されていない場合に比較して、前記負圧しきい値を大きくする、車両の制動制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載される車両の制動制御装置において、
    前記コントローラは、前記車両の速度が大きい場合には、前記速度が小さい場合に比較して、前記負圧しきい値を大きくする、車両の制動制御装置。
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