JPH1128507A - 継目無金属管のプラグミル圧延方法 - Google Patents

継目無金属管のプラグミル圧延方法

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JPH1128507A
JPH1128507A JP18122797A JP18122797A JPH1128507A JP H1128507 A JPH1128507 A JP H1128507A JP 18122797 A JP18122797 A JP 18122797A JP 18122797 A JP18122797 A JP 18122797A JP H1128507 A JPH1128507 A JP H1128507A
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JP
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plug
rolling
tube
graphite
lubricant
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Application number
JP18122797A
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English (en)
Inventor
Tetsuya Nakanishi
哲也 中西
Hideyoshi Hara
英栄 原
Shigeru Amano
茂 天野
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】4.5重量%以上のCrを含有するFe基合金
からなる素管をプラグミルで圧延する際、その肉厚圧下
量を2.5mm超にして圧延する場合でも、良好な内面
性状が得られ、しかも十分なプラグ寿命が確保できる継
目無金属管のプラグミル圧延方法。 【解決手段】プラグをその軸長方向へ2.0mm/se
c以上の速度で移動させる一方、素管の内部に、主成分
がアルミニウム、珪素、カルシウム、チタン、鉄、硼素
およびナトリウムのうちの各元素または複数の元素から
なる酸化物、水酸化物または結晶水を含む酸化物のうち
から選ばれた1種または2種以上の粉末と黒鉛粉末との
混合物からなる粉状潤滑剤を投入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、継目無製管法のう
ちの代表的な方式であるマンネスマン−プラグミル方式
におけるプラグミルによる継目無金属管の延伸圧延方法
に係わり、特にCr含有量が4.5重量%以上のFe基
合金からなる素管を大きい肉厚圧下量で圧延することが
可能な継目無金属管のプラグミル圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラグミルは、上下一対の孔型ロール、
この孔型ロールの出側に配置された上下一対のリターン
ロール、および孔型ロールの孔型内に挿入配置されたプ
ラグとを備え、素管に2回の圧延を施す管の延伸圧延機
である。
【0003】すなわち、1回目の圧延は、ピアサーとエ
ロンゲーターで圧延して得られた素管を孔型ロールとプ
ラグとで圧延し、肉厚がある程度減肉された管に成形す
る。次いで、2回目の圧延は、その管をリターンロール
で孔型ロールの入側に戻し、管をその軸心周りに90°
または270°回転させた後に孔型ロールとプラグで圧
延し、所定の外径と肉厚を有する管に成形する。
【0004】この時、プラグは、その圧延中、パスライ
ン方向に位置変動しないように固定した状態で圧延が行
われる(以下、プラグ固定圧延法という)。
【0005】このプラグミルでは、通常、17%Cr−
5%Mo系の高合金製鋳物からなるプラグが用いられ
る。そして、管圧延時には、プラグ自体の摩耗損傷やプ
ラグと管内面との焼き付きを防止または軽減する目的
で、素管の内部に粉末状の潤滑剤が投入される。
【0006】潤滑剤としては、一般に、天然黒鉛や人造
黒鉛の粉末またはこれらの粉末を有機物バインダーなど
を用いて顆粒状にしたいわいる黒鉛系潤滑剤と称される
潤滑剤や大鋸屑(おがくず)などが用いられる。
【0007】そして、圧延時の肉厚圧下量は、所定の管
形状を確保するために、1mm以上とされる。一方、そ
の上限は、鋼種によって異なり、通常、炭素鋼に代表さ
れる普通鋼やCr含有量が4.5重量%未満の低合金鋼
の場合で4mm程度、Cr含有量が4.5重量%以上の
合金鋼やステンレス鋼などのFe基合金のうち、合金鋼
については2.5mm程度、ステンレス鋼については
1.5mm程度とされている。
【0008】その理由は、普通鋼や低合金鋼に比べて
4.5重量%以上のCrを含有する合金鋼やステンレス
鋼の方が、また合金鋼に比べてCr含有量の多いステン
レス鋼の方が熱間加工性に劣るほか、プラグと焼き付き
やすく、肉厚圧下量を大きくすると、延伸圧延後の管内
面性状が悪くなるのみならず、プラグ寿命が短くなるた
めである。
【0009】プラグミル圧延において管内面性状を改善
する方法としては、管圧延中にプラグをその軸長方向へ
移動させる方法(以下、プラグ移動圧延法という)が知
られている(例えば、特開昭62−225707号公報
参照)。
【0010】また、上記の黒鉛系潤滑剤以外の潤滑剤と
しては、管内面に浸炭層が形成されるのを防ぐことを目
的にして開発された次のような潤滑剤が知られている。
【0011】すなわち、その一つは、特開平6−271
879号公報に示される粒径が20μm以下の酸化アル
ミニウムや酸化珪素などの酸化物粉末と黒鉛粉末とを所
定の割合で混合した潤滑剤(以下、黒鉛−アルミナ系潤
滑剤という)である。また、他の一つは、特開平5−7
0782号公報に示されるCaの化合物粉末と黒鉛粉末
とを所定の割合で混合した潤滑剤(以下、黒鉛−Ca化
合物系潤滑剤という)である。
【0012】ところで、プラグミルで4.5重量%以上
のCrを含有する合金鋼やステンレス鋼などのFe基合
金からなる素管を圧延する際、潤滑剤に黒鉛系潤滑剤を
用いて、上記のプラグ移動圧延法を適用すると、その肉
厚圧下量が、合金鋼については2.5mm以下、ステン
レス鋼については1.5mm以下であれば、プラグ固定
圧延法によった場合に比べて、さらに良好な管内面性状
が得られ、プラグ寿命も向上する。
【0013】しかし、肉厚圧下量を、例えば長尺品を製
造する目的などでさらに大きく、具体的には合金鋼の場
合で3.5mm超、ステンレス鋼の場合で2.5mm超
にすると、プラグ移動圧延法を適用しても、潤滑剤に黒
鉛系潤滑剤を用いたのでは、良好な管内面性状が得られ
ない一方、十分なプラグ寿命が確保できないという問題
があった。
【0014】また、上記の特開平6−271879号公
報には、ステンレス鋼管をプラグ固定圧延法で圧延する
際、黒鉛系潤滑剤に代えて黒鉛−アルミナ系潤滑剤を用
いると、ステンレス鋼を延伸比1.2(肉厚圧下量2.
5mmに相当)で圧延した場合でも管内面性状が向上す
るとある。
【0015】しかし、この黒鉛−アルミナ系潤滑剤また
は特開平5−70782号公報に示される黒鉛−Ca化
合物系潤滑剤を用いても、プラグ固定圧延法で圧延した
のでは、肉厚圧下量を合金鋼の場合で3.5mm超、ス
テンレス鋼の場合で2.5mm超にすると、上記同様
に、良好な管内面性状が得られない一方、十分なプラグ
寿命が確保できないという問題があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決するためになされたもので、その課題は、4.
5重量%以上のCrを含有する合金鋼やステンレス鋼な
どのFe基合金からなる素管をプラグミルで圧延する
際、その肉厚圧下量を、合金鋼では3.5mm超、ステ
ンレス鋼では2.5mm超にして圧延する場合でも、良
好な内面性状が得られ、しかも十分なプラグ寿命が確保
できる継目無金属管のプラグミル圧延方法を提供するこ
とにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を達成するために、多くの製造実験を行い、次のこと
を知見した。
【0018】第1に、プラグミルでは、プラグ移動圧延
法の適用が有効で、その際、プラグの移動速度を適正に
調整する一方、素管内面には黒鉛系潤滑剤に代えて上記
の黒鉛−アルミナ系潤滑剤または黒鉛−酸化物系潤滑剤
を用いると、従来以上に大きな肉厚圧下量で圧延して
も、良好な内面性状の管が得られ、しかも十分なプラグ
寿命が確保できることが判明した。
【0019】ここで、プラグ移動圧延法を適用すると管
の内面性状が向上するのは、次の理由による。すなわ
ち、上記の特開昭62−227507号公報中にも記載
されているように、圧延中に被加工材料である素管内面
と摺動接触する部分のプラグ表面積がプラグ固定圧延法
の場合よりも大きくなること。プラグ移動により被加工
材料と摺動接触するプラグ部分が順次更新されて両者の
摺動界面に新たな潤滑剤が引き込まれやすくなって潤滑
剤の供給効率が向上することによる。
【0020】しかし、4.5重量%以上のCrを含有す
る合金鋼やステンレス鋼などのFe基合金からなる素管
を、2.5mm以上、より具体的には合金鋼については
3.5mm超、ステンレス鋼については2.5mm超の
肉厚圧下量で圧延する場合、プラグを2.0mm/se
c未満の速度で移動させたのでは、その効果が十分でな
く、プラグを2.0mm/sec以上の速度で移動させ
る必要があることが判明した。このことは、後述する実
施例の結果から明らかである。
【0021】また、黒鉛系潤滑剤に代えて黒鉛−アルミ
ナ系潤滑剤または黒鉛−Ca化合物系潤滑剤、具体的に
は主成分がアルミニウム、珪素、カルシウム、チタン、
鉄、硼素およびナトリウムのうちの各元素または複数の
元素からなる酸化物、水酸化物または結晶水を含む酸化
物のうちから選ばれた1種または2種以上の粉末と黒鉛
粉末との混合物からなる潤滑剤を用いると、プラグの移
動速度が適正であることと相俟って、良好な内面性状の
管が得られるのに加え、肉厚圧下量が大きいにもかかわ
らず、十分なプラグ寿命が確保できることが判明した。
このことも、後述する実施例の結果から明らかである。
【0022】なお、主成分がアルミニウム、珪素、カル
シウム、チタン、鉄、硼素およびナトリウムのうちの各
元素または複数の元素からなる酸化物、水酸化物または
結晶水を含む酸化物のうちから選ばれた1種または2種
以上の粉末と黒鉛粉末との混合物からなる潤滑剤、すな
わち黒鉛−アルミナ系潤滑剤または黒鉛−Ca化合物系
潤滑剤を用いた場合、良好な内面性状と十分なプラグ寿
命が確保できるのは、次の理由によると推定される。
【0023】すなわち、黒鉛系潤滑剤に代えて用いる上
記潤滑剤中の黒鉛は、高温になると燃焼消滅しやすい。
これに対し、その潤滑剤中のアルミナなどの酸化物や複
合酸化物は燃焼消滅しいない。このため、黒鉛が燃焼消
滅した後にあっても、アルミナなどの酸化物が管内面と
プラグとの摺動界面間に存在し、その粒径が適正な場
合、スリ疵などの機械的な疵を発生させることなく、金
属同士の焼付き発生を効果的に抑制するためと推定され
る。
【0024】上記の知見に基づく本発明の要旨、次の継
目無金属管のプラグミル圧延方法にある。
【0025】4.5重量%以上のCrを含有するFe基
合金からなる素管のプラグミル圧延方法であって、プラ
グを管の圧延進行方向または圧延進行方向とは逆方向に
2.0mm/sec以上の速度で移動させる一方、素管
の内部には、主成分がアルミニウム、珪素、カルシウ
ム、チタン、鉄、硼素およびナトリウムのうちの各元素
または複数の元素からなる酸化物、水酸化物または結晶
水を含む酸化物のうちから選ばれた1種または2種以上
の粉末と黒鉛粉末との混合物からなる粉状の潤滑剤を投
入することを特徴とする継目無金属管のプラグミル圧延
方法。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の方法について、詳
しく説明する。
【0027】《被加工材料について》本発明において、
加工対象の継目無管を、4.5重量%以上のCrを含有
するFe基合金からなる素管に限定するのは、次の理由
による。
【0028】すなわち、Crの含有量が4.5重量%未
満の炭素鋼に代表される普通鋼や、JIS G 345
8に規定されるSTPA12〜24などに代表される低
合金鋼の素管については、プラグ固定圧延法を適用し、
しかも黒鉛系潤滑剤を用いて肉厚圧下量2.5mm以上
で圧延しても、良好な内面性状の管が得られ、プラグ寿
命についても何らの問題もない。
【0029】しかし、4.5重量%以上のCrを含有す
る合金鋼やステンレス鋼などのFe基合金からなる素管
の場合は、前述したように、プラグ固定圧延法を適用し
た場合は勿論であるが、プラグ移動圧延法を適用して
も、潤滑剤に黒鉛系潤滑剤を用いて肉厚圧下量2.5m
m以上で圧延すると、内面性状が極めて劣悪になり、し
かも十分なプラグ寿命の確保ができない。従って、本発
明では、4.5重量%以上のCrを含有するFe基合金
からなる素管を加工対象とすることとした。
【0030】ここで、4.5重量%以上のCrを含有す
るFe基合金から素管としては、JIS規格に規定され
るSTPA25、同26、STBA25、同26、DI
N規格に規定される17175−X2−3などの合金
鋼、JIS規格に規定されるSUS304、同309、
同310、同316、同317、同321、同347、
同SXM15J1などのオーステナイト系ステンレス
鋼、同じくJIS規格に規定されるSUS405、同4
10、同444、同XM8、同XM27などのフェライ
ト系ステンレス鋼、API規格に規定される油井用の1
3Cr鋼などのマルテンサイト系ステンレス鋼、および
JIS規格に規定されるSUS329J1、同329J
2、API規格に規定されるラインパイプ用の22Cr
鋼や25Cr鋼などの二相ステンレス鋼、さらにはこれ
らの各種相当鋼などを挙げることができる。
【0031】《プラグの移動について》本発明では、前
述したように、プラグを2.0mm/sec以上の速度
でその軸長方向に移動させる必要があが、その理由は次
のとおりである。
【0032】すなわち、プラグの移動速度が2.0mm
/sec未満であると、素管の内面と摺動接触する部分
のプラグ表面積の増加程度が十分でない。また、被加工
材料と摺動接触するプラグ部分の更新が遅れ、両者の摺
動界面に引き込まれる新たな潤滑剤の量が不足する。そ
の結果、潤滑不良が生じて焼き付きが発生し、良好な管
内性状と十分なプラグ寿命の確保ができなくなるためで
ある。
【0033】プラグの移動速度は、速ければ速いほどよ
い。このため、その上限は、特に定めない。しかし、プ
ラグの移動速度を速くすればするほど、有効長さの長い
プラグが必要になり、プラグ原単位が悪くなる。また、
長いプラグは、ハンドリングが困難であるほか、ミルに
設置されたプラグチェンジャーの改造が必要になる。従
って、プラグの有効長さは、600mm以下に抑えるこ
とが好ましく、そのためにはその移動速度の上限は20
0mm/sec程度とするのが望ましい。
【0034】プラグの移動方向は、管の圧延進行方向と
同じ方向、または管の圧延進行方向とは逆方向、のいず
れの方向に動かしてもかまわない。
【0035】また、プラグの移動は、孔型ロールとプラ
グによる減肉加工の開始と同時に開始するのが最も好ま
しいが、必ずしもその必要はなく、素管全長の1/3の
圧延が進行するまでの間に移動開始すれば十分である。
【0036】なお、上記の移動速度でプラグを動かすの
であるが、その移動量の絶対値としては、少なくとも2
0mm以上動かすのが好ましい。
【0037】《潤滑剤について》本発明では、前述した
ように、主成分がアルミニウム、珪素、カルシウム、チ
タン、鉄、硼素およびナトリウムのうちの各元素または
複数の元素からなる酸化物、水酸化物または結晶水を含
む酸化物のうちから選ばれた1種または2種以上の粉末
と黒鉛粉末との混合物からなる粉状の潤滑剤を用いる必
要がある。
【0038】その理由は、黒鉛系潤滑剤を用いたので
は、肉厚圧下量を大きくして圧延した場合、黒鉛の燃焼
消滅が早く進行するために焼き付きが多発し、良好な管
内面性状と十分なプラグ寿命の確保ができない。これに
対し、上記の潤滑剤では、上記各元素または複数の元素
からなる酸化物、水酸化物または結晶水を含む酸化物の
粒子によって焼き付きの発生が抑制される。その結果、
良好な管内面性状と十分なプラグ寿命の確保が可能にな
るためである。
【0039】黒鉛としては、天然鱗状黒鉛、天然土状黒
鉛、人造黒鉛など一般に熱間加工で用いられている黒鉛
粉末を用いることができる。黒鉛粉末は、平均粒径が1
〜50μm程度のものを用いるのが好ましい。
【0040】上記の各元素または複数の元素からなる酸
化物としては、酸化アルミニウム(Al23 )、酸化
珪素(SiO2 )、酸化カルシウム(CaO)、酸化チ
タン(TiO2 )、酸化鉄(Fe23 、Fe3
4 )、酸化硼素(B23 )、酸化ナトリウム(Na2
O )、珪酸ソーダ(Na2 Si25 )、硼酸ソーダ
(Na247 )、高炉スラグ化合物の1種であるGr
ossularite(Ca3 Al2 SiO12)などを挙げること
ができる。
【0041】また、水酸化物としては、水酸化アルミニ
ウム(Al(OH)3 )、水酸化カルシウム(Ca(O
H)2 )、水酸化鉄(Fe(OH)3 、Fe(OH)
2 )などを挙げることがでる。
【0042】さらに、結晶水を含む酸化物としては、硼
砂(Na247 ・10H2 O)、Ca−Al化合物
((CaO)4 (Al23 )(H2 O)13)などを挙
げることができる。
【0043】なお、上記各種の酸化物のうち、水酸化物
と結晶水を含む酸化物は、実際の管圧延時における50
0℃以上の高温状態下において無水の酸化物になる。
【0044】酸化物の粒度は、所望の内面性状を確保す
る観点から、平均粒径が10μm以下のものを用いるの
が好ましい。これは、平均粒径が10μmを超えるよう
な大きな酸化物を用いると、圧延中の管内表面に酸化物
が転着して筋疵を誘発することがあり、所望の内面性状
の安定確保が難しくなるためである。
【0045】黒鉛粉末と酸化物粉末とは、黒鉛粉末10
〜80重量%に対し、酸化物粉末を20〜90重量%配
合するのが好ましい。これは、黒鉛粉末の配合量が10
重量%未満、換言すれば酸化物粉末の配合量が90重量
%を超えると、摩擦係数が大きくなりすぎて潤滑性能が
低下し、加工発熱が過大になってプラグと管内面とが焼
付きやすくなる。また、黒鉛粉末の配合量が80重量%
超、換言すれば酸化物粉末の配合量が20重量%未満で
あると、酸化物による焼付き防止効果が得られないため
である。
【0046】黒鉛粉末と酸化物粉末とは、これらを別々
に素管の内部に投入してもよいが、上記の効果を確実に
得るためには予め混合したもので、平均粒径が2mm以
下の粉体状または顆粒状に成形したものを投入するのが
好ましい。これは、従来の黒鉛系潤滑剤を投入するのと
同じ方法、すなミル入側において素管の圧延開始側の管
端からエア−噴射して投入するためである。
【0047】
【実施例】
《実施例1》表1に示す化学成分からなり、1230℃
に加熱された外径187mm、長さ1710mmの中実
丸ビレットを第1ピアサーで穿孔した後、第2ピアサー
に通して外径192mm、肉厚11mm、長さ7510
mmに成形された温度が1150℃の素管を対象に、次
の各条件でプラグミル圧延を行った。
【0048】すなわち、表2に示す化学成分からなり、
有効部の外径が168mm、この有効部の長さが150
mmと250mmである2種類のプラグを準備した。
【0049】なお、2種類のプラグ表面には、いずれも
1000℃に4時間加熱保持することによりFeOを主
体とする厚さ100μmの酸化スケール皮膜を形成させ
た。
【0050】また、表3に示す成分組成からなり、その
粉末または混合粉末を顆粒状に成形し、その平均粒径を
1.0mmに調整した7種類の潤滑剤も準備した。
【0051】そして、上記寸法の素管を、外径185m
m、肉厚7mm(肉厚圧下量4mm)、長さ12000
0mmの仕上げ圧延用素管に延伸圧延するに当たり、各
素管の圧延先端側の内部に上記7種類のうちのいずれか
の潤滑剤を約1kg/本投入した。
【0052】また、有効長さが150mmのプラグを用
いる場合は、プラグ固定圧延法を適用して延伸圧延を行
った。これに対し、有効長さが250mmのプラグを用
いる場合は、プラグ移動圧延法を適用し、その圧延中、
種々の速度でプラグを管圧延の進行方向に移動させて延
伸圧延を行った。
【0053】なお、延伸圧延本数は、各条件とも20本
とし、プラグミルによる延伸圧延に引き続いてリーラ
ー、サイザーおよびロータリーストレートナーに通して
仕上げたままの管を対象に、その内面を目視観察し、目
視観察で判別可能な深さが0.1mm以上の筋状の内面
疵の発生が認められた本数を調べてその発生本数率を求
め、発生本数率が20%超の場合を×、10〜20%の
場合を△、10%未満の場合を○として評価した。
【0054】また、1本の圧延が終了する都度、プラグ
表面を観察し、焼付きやエグレなどの発生状況をしら
べ、使用不可能と判定されるまでのパス回数を調べるこ
とで、プラグ寿命の評価を行った。
【0055】これらの結果を、表4に圧延条件と併せて
示した。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】表4に示す結果から明らかなように、本発
明の方法に従って延伸圧延を行った本発明例(No. 1〜
6)では、いずれの場合も内面疵の発生本数率が5%以
下であり、しかもプラグ寿命も20パス超と良好であっ
た。
【0061】これに対し、本発明の方法と同じ潤滑剤を
用いても、プラグ固定圧延法を適用した比較例(No. 7
〜9)では、内面疵の発生本数率が15〜40%と高
く、しかもプラグ寿命も8〜11パスで本発明の約1/
2以下と短かった。
【0062】また、本発明の方法と同じプラグ移動圧延
法を適用しても、そのプラグの移動速度が1.8m/s
ecで、本発明で規定する範囲を外れる比較例(No. 1
0〜12)では、本発明の方法で用いるのと同じ潤滑剤
を用いた場合(No. 11と12)でも、内面疵の発生本
数率が10%と高く、しかもプラグ寿命も15〜17パ
スで本発明に比べて短かった。
【0063】《実施例2》表5に示す化学成分からな
り、1200℃に加熱された外径225mm、長さ26
50mmの中実丸ビレットを第1ピアサーで穿孔した
後、第2ピアサーに通して外径292mm、肉厚12.
5mm、長さ9600mmに成形された温度が1180
℃の素管を対象に、次の各条件でプラグミル圧延を行っ
た。
【0064】すなわち、実施例1で用いたと同じ化学成
分(表2参照)からなり、有効部の外径が280mm、
この有効部の長さが200mmと350mmである2種
類のプラグを準備した。
【0065】なお、2種類のプラグ表面には、いずれも
1000℃に4時間加熱保持することによりFeOを主
体とする厚さ100μmの酸化スケール皮膜を形成させ
た。
【0066】また、表6に示す成分組成からなり、その
粉末または混合粉末を顆粒状に成形し、その平均粒径を
1.0mmに調整した3種類の潤滑剤も準備した。
【0067】そして、上記寸法の素管を、外径285m
m、肉厚9.5mm(肉厚圧下量3mm)、長さ128
00mmの仕上げ圧延用素管に延伸圧延するに当たり、
各素管の圧延先端側の内部に上記3種類のうちのいずれ
かの潤滑剤を約1kg/本投入した。
【0068】また、有効長さが200mmのプラグを用
いる場合は、プラグ固定圧延法を適用して延伸圧延を行
った。これに対し、有効長さが350mmのプラグを用
いる場合は、プラグ移動圧延法を適用し、その圧延中、
種々の速度でプラグを管圧延の進行方向に移動させて延
伸圧延を行った。
【0069】なお、延伸圧延本数は、各条件とも10本
とし、プラグミルによる延伸圧延に引き続いてリーラ
ー、サイザーおよびロータリーストレートナーに通して
仕上げたままの管を対象に、その内面を目視観察し、目
視観察で判別可能な深さが0.2mm以上の筋状の内面
疵の発生が認められた本数を調べてその発生本数率を求
め、発生本数率が40%超の場合を×、20〜40%の
場合を△、20%未満の場合を○として評価した。
【0070】また、1本の圧延が終了する都度、プラグ
表面を観察し、焼付きやエグレなどの発生状況をしら
べ、使用不可能と判定されるまでのパス回数を調べるこ
とで、プラグ寿命の評価を行った。
【0071】さらに、管内面表面から0.2mm深さま
での表層部分を切削除去して得られた切粉を試料として
化学分析を行って管内面表層部のC含有量を調べ、JI
Sに規定されるSUS304LのCの上限値0.03重
量%を超える場合を×として評価した。
【0072】これらの結果を、表7に圧延条件と併せて
示した。
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】
【0075】
【表7】
【0076】表7に示す結果から明らかなように、本発
明の方法に従って延伸圧延を行った本発明例(No. 1〜
4)では、いずれの場合も内面疵の発生本数率が15%
以下であり、しかもプラグ寿命も6パス以上と良好であ
った。
【0077】これに対し、本発明の方法と同じ潤滑剤を
用いても、プラグ固定圧延法を適用した比較例(No. 5
〜7)では、内面疵の発生本数率が25〜85%と高
く、しかもプラグ寿命も2〜5パスと不芳であった。
【0078】また、本発明の方法と同じプラグ移動圧延
法を適用しても、そのプラグの移動速度が1.8m/s
ecで、本発明で規定する範囲を外れる比較例(No. 8
〜10)では、本発明の方法で用いるのと同じ潤滑剤を
用いた場合(No. 9と10)でも、内面疵の発生本数率
が20%と高く、しかもプラグ寿命も5パスで本発明に
よった場合よりも短かった。
【0079】さらに、従来の黒鉛系潤滑剤を用いると、
管内面にC含有量が規格上限値の0.03重量%を超え
る浸炭層が形成された(No. 5、8および11参照)。
【0080】また更に、この場合には、プラグ移動圧延
法を適用し、その移動速度を本発明で規定する範囲内に
しても、内面疵の発生本数率が30%と高く、しかもプ
ラグ寿命も5パスで、本発明に比べて不芳であった(N
o. 11参照)。
【0081】
【発明の効果】本発明の方法によれば、肉厚圧下量を
2.5mm超にして圧延しても、良好な管内面性状と十
分なプラグ寿命を確保することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】4.5重量%以上のCrを含有するFe基
    合金からなる素管のプラグミル圧延方法であって、プラ
    グを管の圧延進行方向または圧延進行方向とは逆方向に
    2.0mm/sec以上の速度で移動させる一方、素管
    の内部には、主成分がアルミニウム、珪素、カルシウ
    ム、チタン、鉄、硼素およびナトリウムのうちの各元素
    または複数の元素からなる酸化物、水酸化物または結晶
    水を含む酸化物のうちから選ばれた1種または2種以上
    の粉末と黒鉛粉末との混合物からなる粉状の潤滑剤を投
    入することを特徴とする継目無金属管のプラグミル圧延
    方法。
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