JPH11281644A - 肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法並びにこれらの疾患の診断キット - Google Patents

肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法並びにこれらの疾患の診断キット

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JPH11281644A
JPH11281644A JP10194898A JP10194898A JPH11281644A JP H11281644 A JPH11281644 A JP H11281644A JP 10194898 A JP10194898 A JP 10194898A JP 10194898 A JP10194898 A JP 10194898A JP H11281644 A JPH11281644 A JP H11281644A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、検体中のヘパラン硫酸の簡便、か
つ、正確な定量方法で、血液検体中のヘパラン硫酸を定
量することによる、肝疾患又は慢性関節リウマチを検出
する手段を提供すること。 【解決手段】肝疾患及び慢性関節リウマチにおいて、血
液検体中のヘパラン硫酸に量的及び/又は質的な変化が
起こることを見いだし、この変化を上記の定量方法で定
量することにより、肝疾患又は慢性関節リウマチを検出
し得る検出方法、及びこの方法を用いる診断キットを提
供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、検体中のヘパラン
硫酸の量的変化及び/又は質的変化を特定することによ
り疾患を検出する方法、並びにこの方法を用いる診断キ
ットに関する技術分野の発明である。より詳細には、肝
疾患又は慢性関節リウマチにおける、血液検体中のヘパ
ラン硫酸の量的及び/又は質的な変化を特定することに
よって、上記疾患の検出を行う方法、並びにこの方法を
用いる診断キットに関する発明である。
【0002】
【従来の技術】肝疾患は、初期の病態変化が非常に緩や
かである例が多く、異常を検出した際には、すでに病態
が進行しており、手遅れとなってる事例が少なくない。
手遅れでない場合でも、治療に長い月日を費やさねばな
らないことが多い。肝疾患の検出法としては、従来血液
中のコリンエステラーゼ、ヘパプラスチン、GOT、GPT、
γGTP、ビリルビン、免疫グロブリン量等の肝障害マー
カーの測定あるいは肝機能検査が用いられており、ま
た、尿検体中のビリルビン測定も肝疾患のスクリーニン
グ方法として用いられている。また更にCTスキャンによ
る画像診断法も肝疾患の検出に用いられている。さら
に、肝疾患の病因の診断としては、抗肝炎ウイルス抗体
/抗原等の検査が行われている。
【0003】また、肝疾患に伴って起こる線維化を検出
することにより、肝疾患を診断する方法も提供されてい
る。例えば腹腔鏡検査などにより、肝臓の生検を行う組
織学的な検出手段等が提供されている。しかしながら、
この診断方法においては、サンプリングエラーや生体へ
の侵襲などの問題点が指摘されている。そこで、血中γ
−グロブリン値の上昇等により肝疾患に伴う肝臓の線維
化を把握しようとする試みもあるが、いずれも有力な肝
疾患の検出法ということはできないのが現状である。
【0004】慢性関節リウマチの診断に関しては、現
在、アメリカリウマチ学会の診断基準が用いられてい
る。そのうち、客観的検査である血液検査の項目は、リ
ウマチ因子の一項目だけであるが、リウマチ因子測定
は、必ずしも特異性の高い検査法ではない面があること
が知られている。抗リウマチ因子抗体(IgG-RF)を測定
する検査も行われているが、この検査はすでにリウマチ
であることが判明している患者において、血管炎の有無
や関節炎の重症度判定手段として利用されているに過ぎ
ない。
【0005】以上のように、慢性関節リウマチの診断に
おいては、決定的な判定方法が未だ存在せず、患者の主
観を基に判定が行われているのが現状である。また他
に、慢性関節リウマチにおいて血中ヒアルロン酸レベル
が上昇すること等が知られているが、この知見を基にし
て明確に慢性関節リウマチを検出することは困難であ
り、充分に正確な検出ができる方法とはいえない。また
「スタインブローカー(Steinbrocker)らのclass分
類」、「ランスバリー指数」、「ステージ分類」のよう
に、それぞれ、機能障害度、活動性指数、関節の状態と
いうように、患者の日常生活における動作や運動の可能
な程度等を指標とした、慢性関節リウマチの病態把握の
方法が知られている。この方法によれば病態判定をする
ことは可能であるが、患者の主観を基とし、更に定量的
な判定ではないため、個人差が大きく正確性に欠ける面
は否めない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、現在まで
に肝疾患又は慢性関節リウマチの検出手段として、様々
な手段が提供されているものの、いずれの検出手段を用
いても、これらの疾患の検出手段として満足がゆく段階
までには達していない。
【0007】その結果、肝疾患又は慢性関節リウマチに
おいては、正確な診断をするためには数多くの検査が必
要とされている。また、煩雑でもあり、しかも大量の検
体のスクリーニングには適さない。
【0008】そこで、本発明が解決すべき課題は、肝疾
患又は慢性関節リウマチを、正確に、かつ多数の検体を
一次的にスクリーニングすることが可能なほど簡便に検
出することが可能な手段を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、この課題に
対して、肝疾患及び慢性関節リウマチにおける病態変化
を様々な検体を用いて鋭意検討した結果、驚くべきこと
に肝疾患患者及び慢性関節リウマチ患者において、血液
中のヘパラン硫酸に量的及び/又は質的な変化が起こる
ことを見いだし、この知見に基づき高感度に肝疾患又は
慢性関節リウマチを検出し得ることが可能であることを
見出した。
【0010】すなわち、本発明は、血液検体中のヘパラ
ン硫酸の量的変化及び/又は質的変化、特にそのヘパラ
ン硫酸の構成糖であるグルコサミン残基中のN−硫酸基
を含む構造の変化を検出して、肝疾患又は慢性関節リウ
マチを検出する方法、並びにこの検出方法を実施するた
めの診断キットを提供する。
【0011】これらの肝疾患又は慢性関節リウマチの検
出手段の技術的な基軸となる、ヘパラン硫酸の血液検体
における定量方法は、その操作が容易であり、熟練した
技術者でなくとも多くの検体を一度にスクリーニングす
ることが可能であり、また多数の検体であっても測定値
の数値化が可能であるため正確な診断が可能である。こ
のヘパラン硫酸の定量方法については、後述する。
【0012】また、本発明において、「血液検体」と
は、血液由来の液体(全血、血清若しくは血漿等)を意
味する。そして、より正確に肝疾患又は慢性関節リウマ
チにおいてその病態を正確に反映するためには、これら
の中でも血清又は血漿を選択することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。 A.本発明に係わる検出方法について:本発明に係わる
検出方法(以下、本発明検出方法ともいう)は、血液検
体中のヘパラン硫酸の量的変化及び/又は質的変化を特
定して、肝疾患又は慢性関節リウマチを検出する方法で
ある。
【0014】本発明検出方法において、その量的変化及
び/又は質的変化を特定する対象となるヘパラン硫酸
は、ほ乳類では肺,肝臓,腎臓,脳,脾臓,大動脈等で
タンパク質と結合したプロテオグリカンの状態(本明細
書中において、「ヘパラン硫酸プロテオグリカン」とも
記載する)で細胞膜や基底膜に存在する硫酸化多糖であ
る。その基本糖鎖構造はヘパリンと共通のD−グルコサ
ミンとヘキスロン酸(D−グルクロン酸及びL−イズロ
ン酸)のくり返し構造をもち、D−グルコサミンのN位
の硫酸基、6位の硫酸基及び/又はヘキスロン酸の2位
の硫酸基の置換体であるが、ヘパリンと比して、硫酸
基,L−イズロン酸,N−硫酸化グルコサミン含量が低
く、抗血液凝固活性は極めて低い。
【0015】なお、本発明において、「ヘパラン硫酸の
量的及び/又は質的変化」とは、例えば、ヘパラン硫酸
の構成糖のいずれかの残基が何らかの修飾を受けた特定
のヘパラン硫酸の量の変化、分子量の変化、硫酸基量の
変化、又は特定部位に硫酸基を有するヘパラン硫酸の量
の変化等が挙げられる。
【0016】上述したように、肝疾患及び慢性関節リウ
マチ羅患患者において、血液中におけるヘパラン硫酸の
量及び/又は質は、健常人のそれとは異なる傾向があ
る。すなわち、健常人と比較して肝疾患及び慢性関節リ
ウマチ患者においては、この健常人の血液中に存在する
ヘパラン硫酸の量が減少する傾向が強い。
【0017】本発明では、前記健常人における、ヘパラ
ン硫酸の血液検体中での増減を指標として、肝疾患又は
慢性関節リウマチの検出を行うことが可能である。つま
り、本発明において、血液検体から定量される上記のヘ
パラン硫酸の量が、健常人の範囲よりも少なくなれば、
被験者は肝疾患又は慢性関節リウマチであることが明ら
かになり、これにより、肝疾患又は慢性関節リウマチを
検出することができる。
【0018】さらに、ヘパラン硫酸の有する整理活性に
おいて、N−硫酸基を有するグルコサミン残基が重要で
あると考えられている。そして、肝疾患又は慢性関節リ
ウマチにおいては、血液検体中のヘパラン硫酸における
グルコサミン残基中のN−硫酸基の量が減少することが
判明した。従って、血液検体中に存在するヘパラン硫酸
のN−硫酸基を有するグルコサミン残基の有無及び量を
確認することが肝疾患又は慢性関節リウマチの検出にお
いて望ましい。このような観点から、本発明検出方法を
行う前提となる定量方法において用いる抗ヘパラン硫酸
抗体(後述する)は、ヘパラン硫酸のN−硫酸基を有す
るグルコサミン残基を含む抗原決定基を認識するもので
あることが好ましい。
【0019】特に、この抗ヘパラン硫酸抗体としてモノ
クローナル抗体を用いる場合には、少なくともヘパラン
硫酸のN−硫酸基を有するグルコサミン残基を抗原決定
基とするモノクローナル抗体を選択することが特に好ま
しく、このようなモノクローナル抗体としては、抗ヘパ
ラン硫酸抗体10E4、同HepSS−1(共に生化学
工業株式会社製)を挙げることができる。これらの抗ヘ
パラン硫酸抗体においても、ヘパラン硫酸のN−硫酸基
を有するグルコサミン残基を抗原決定基とすると同時
に、ヒアルロン酸に対して交叉反応性が認められないと
いう点においても、肝疾患又は慢性関節リウマチに関し
て本発明を適用するのに好ましい抗ヘパラン硫酸抗体で
ある。
【0020】このように、抗ヘパラン硫酸抗体を用い、
血液検体中のヘパラン硫酸を定量することで、肝疾患又
は慢性関節リウマチを検出する方法が提供される。例え
ば、血液検体中における肝疾患又は慢性関節リウマチと
健常の境界を、前述の本発明に係わる定量法により定量
されるヘパラン硫酸の量で設定して、この値よりもヘパ
ラン硫酸の定量値が低ければ「肝疾患又は慢性関節リウ
マチの疑いがある」として他のパラメータの測定を行っ
てより詳細に疾患を鑑別し、逆にこの値がその設定値よ
りも高ければ「肝疾患及び慢性関節リウマチの疑いが極
めて低い」とすることにより、肝疾患及び慢性関節リウ
マチの検出をすることが可能であり、肝疾患又は慢性関
節リウマチの検出方法が提供される。
【0021】上記設定値は、選択する検体や用いる抗体
の種類や抗原決定基等によっても異なるもので、適宜設
定されるべきものである。例えば、血液検体として血清
を選択し、更にヘパラン硫酸のN−硫酸基を有するグル
コサミン残基を抗原決定基とし、かつヒアルロン酸に対
して交叉反応性が認められないモノクローナル抗体であ
る上記の抗ヘパラン硫酸抗体10E4等を用いて、ヘパ
ラン硫酸の定量を行う場合には、この境界値は20 EU/mL
以上、250 EU/mL以下、好ましくは30 EU/mL以上、150 E
U/mL以下に設定することが好ましい(ここに記載したEU
/mL は、後述する実施例において定義するものと同一で
ある)。
【0022】このようにして実施される本発明検出方法
は、単独で肝疾患又は慢性関節リウマチを検出する手段
として大量検体のスクリーニング等に用いることが可能
である。そして、本発明により、多数の被験者から、肝
疾患又は慢性関節リウマチの疑いがあることが判明した
者について、個別的に既存の検査方法等を駆使して、よ
り確定的な肝疾患又は慢性関節リウマチの検出をするこ
とができる。
【0022】肝疾患について確定的な判断をする場合に
は、例えば本発明に係わる検出方法と組み合わせて、肝
障害検査、肝機能検査又はHBs抗原/抗体検査等を用
いることが想定される。また、慢性関節リウマチについ
て確定的な判断をする場合には、例えば本発明に係わる
検出方法と組み合わせて、既存の判断基準あるいは血中
のIgG−RF等の他の指標と組み合わせることで、よ
り一層その信頼性を向上した慢性関節リウマチの検出を
行うことが可能である。
【0023】B.本発明の基礎となる定量方法につい
て:本発明検出方法を行う上においては、血液検体や尿
検体等の検体中のヘパラン硫酸を的確に定量する定量方
法の確立が技術的に重要である〔なお、本発明における
「定量」は、例えば、ヘパラン硫酸の構成糖のいずれか
の残基が何らかの修飾を受けた特定のヘパラン硫酸の量
等を、測定、特定することを意味するものである。〕。
【0024】検体中における、通常の形態のヘパラン硫
酸の定量手段としては、例えばヘパラン硫酸分解酵素に
よる分解及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
による分析を組み合わせた二糖分析法、HPLCによる
分析及びゲルろ過による分析、又はヘパラン硫酸と抗ヘ
パラン硫酸抗体による抗原抗体反応をその原理として用
いる方法が挙げられる。
【0025】これらの方法のうち、ヘパラン硫酸と抗ヘ
パラン硫酸抗体による抗原抗体反応をその原理として用
いる方法が好ましいが、検体中のヘパラン硫酸の定量が
技術上可能である限りにおいて特に限定されるものでは
ない。
【0026】抗原抗体反応をその原理として用いる方法
としては、例えば、固相担体(後述する)に固着させ
た抗ヘパラン硫酸抗体と、標識されたヘパラン硫酸及び
検体中のヘパラン硫酸との間の抗原抗体反応をその原理
として用いる方法や、固相担体に固着させたヘパラン
硫酸及び検体中のヘパラン硫酸と抗ヘパラン硫酸抗体と
の間の抗原抗体反応をその原理として用いる方法、さら
にはヘパラン硫酸を固着させた、微粒子状固相担体
(後述する)に検体を接触させ、さらに抗ヘパラン硫酸
抗体をこの微粒子状固相担体に接触させて、微粒子状固
相担体同士を凝集させることにより、検体中のヘパラン
硫酸を定量する方法等が挙げられ、かつ好ましい。
【0027】これらの抗原抗体反応をその原理として用
いる定量方法において用い得る、各々の要素〔例えば、
固相担体(微粒子状固相担体を含む),標識されたヘパ
ラン硫酸,抗ヘパラン硫酸抗体等〕は、具体的な定量方
法の態様に応じて適宜選択することが可能であり、特に
限定されるものではないが、ここに各々の要素における
代表的な態様を具体的に例示する。
【0028】抗ヘパラン硫酸抗体又はヘパラン硫酸を固
着させる固相担体としては、例えばマイクロプレート,
ビーズ,チューブ,メンブレン,ゲル,微粒子状固相担
体〔例えば、ゼラチン粒子,カオリン粒子,合成ポリマ
ー粒子(ラテックス粒子等)〕等が挙げられ、これらの
固相担体の中でも、マイクロプレート,ビーズ,チュー
ブ又は微粒子状固相担体を用いることが好ましい。特に
正確な定量性とその実施に際しての簡便性等を考慮する
と、マイクロプレートを固相担体として用いることが好
ましい。
【0029】例えば、抗ヘパラン硫酸抗体を固着させた
マイクロプレートを用いた抗原抗体反応を用いるヘパラ
ン硫酸の定量方法としては、「1)抗ヘパラン硫酸抗体を
固着させたマイクロプレートに、検体と標識されたヘパ
ラン硫酸とを同時に加え、検体中のヘパラン硫酸と標識
されたヘパラン硫酸との、競合的な抗ヘパラン硫酸抗体
への結合を利用して、検体中のヘパラン硫酸を定量する
競合的抗原抗体反応、又は2)抗ヘパラン硫酸抗体を固着
させたマイクロプレートに検体を接触させ、この検体中
のヘパラン硫酸をマイクロプレート上の抗ヘパラン硫酸
抗体に結合させた後、標識されたヘパラン硫酸をマイク
ロプレートに接触させて、マイクロプレート上の抗ヘパ
ラン硫酸抗体に結合している検体に由来するヘパラン硫
酸に対してマイクロプレート上の抗ヘパラン硫酸抗体
に、標識されたヘパラン硫酸を阻害的に結合させて、検
体中のヘパラン硫酸を定量する阻害的抗原抗体反応」等
をその原理として利用した定量方法を挙げることができ
る。
【0030】ここに挙げた抗ヘパラン硫酸抗体を固着さ
せたマイクロプレートを用いる態様の定量方法は、多数
の検体の同時定量を容易にするため、極めて好ましい定
量態様として挙げることができる。
【0031】マイクロプレート等の固相担体への抗ヘパ
ラン硫酸抗体の固着方法としては、物理的吸着法,共有
結合法,包括法等の一般的に用いる方法に従い、抗ヘパ
ラン硫酸抗体を固相担体に固着させることができる。一
般的には、その操作の簡便性により物理的吸着法によっ
て抗ヘパラン硫酸抗体を固相担体に固着させることが好
ましいが、この物理的吸着法に採り得る固着方法が限定
されるものではない。
【0032】さらに、ヘパラン硫酸を固着させたマイク
ロプレート等の固相担体を用いる方法も、代表的な定量
態様の一つとして挙げることができる。例えば、ヘパラ
ン硫酸を固着させたマイクロプレートに血液検体を添加
して、このマイクロプレートに固着させたヘパラン硫酸
及び血液検体中のヘパラン硫酸を抗ヘパラン硫酸抗体に
対して競合的に反応させた後、マイクロプレート上のヘ
パラン硫酸に結合した抗ヘパラン硫酸抗体(抗ヘパラン
硫酸抗体に特異性を有する)等を用いて検出して、検体
中のヘパラン硫酸を定量する方法等の、競合的又は阻害
的抗原抗体反応を利用した方法を挙げることができる。
【0033】これらの一連の定量方法において用い得
る、標識されたヘパラン硫酸は、標識物質をヘパラン硫
酸に結合させたものである。この標識物質として例え
ば、特異的結合対(例えばビオチンとストレプトアビジ
ン等のアビジン類、又はレクチンと糖鎖等)の一方の物
質;FITC,フィコエリトリン,ユーロピウム,フィ
コシアニン,ローダミン,テキサスレッド,ウンベリフ
ェロン,トリカラー,シアニン,7−アミノ−4−メチ
ルクマリン−3−酢酸(AMCA)等の蛍光物質;アル
カリホスファターゼ,β−ガラクトシダーゼ,ペルオキ
シダーゼ,グルコースオキシダーゼ等の酵素類;ジニト
ロフルオロベンゼン,AMP(アデノシン一リン酸)、
2,4−ジニトロアニリン等のハプテン;125I、
131I、3H等のアイソトープなどを用いることが可能で
あり、特に限定されるものではないが、上記の特異的結
合対の一方の物質を標識物質として選択することが好ま
しく、特に、ビオチンとアビジン類からなる特異的結合
対の一方の物質を選択することが好ましい。
【0034】また、これらの標識物質のヘパラン硫酸と
の結合方法は、常法に従うことが可能である。例えば、
ヘパラン硫酸をビオチンで標識する方法としては、例え
ば、ヘパラン硫酸溶液にMES(2−モルホリノエタン
スルホン酸)緩衝液等で溶解したEDC(1−エチル−
3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)及
びビオチン−ヒドラジド溶液を添加して反応させる方法
を挙げることができる。なおこの結合方法においては、
未反応のビオチン−ヒドラジドは、例えば透析,エタノ
ール分画又は限外濾過等の常法によって除去することが
可能であり、容易にビオチン標識したヘパラン硫酸を得
ることができる点で好ましい。
【0035】さらに上記の標識物質が結合したヘパラン
硫酸の標識物質の定量方法自体は、各々の標識物質の定
量方法として既に確立している方法を用いて行うことが
できる。例えば、ビオチンにより標識したヘパラン硫酸
を定量する方法としては、ビオチンに対して親和性の高
いアビジン類(標識済み:例えばペルオキシダーゼに代
表される定量が容易な特定の酵素で標識することが好ま
しい)とヘパラン硫酸に結合したビオチンを反応させる
ことにより、間接的にヘパラン硫酸を定量する方法が挙
げられる。
【0036】なお、上記のペルオキシダーゼをストレプ
トアビジン等のアビジン類の標識物質として用いる場合
には、このペルオキシダーゼにより発色させる基質とし
ては、通常この用途に用いられるテトラメチルベンジジ
ン(TMB)等の発色物質と、ペルオキシダーゼの基質
として過酸化水素水等を使用することが好ましい。
【0037】また、上述した抗ヘパラン硫酸抗体を検出
するために用いる抗ヘパラン硫酸抗体に特異性を有する
二次抗体は、特に限定はされないが、抗ヘパラン硫酸抗
体がウサギ由来であればウサギ免疫グロブリンに対する
抗体、マウス由来であればマウス免疫グロブリンに対す
る抗体等が挙げられ、一次抗体である抗ヘパラン硫酸抗
体の由来及びその種類に応じて適宜選択される。二次抗
体を標識する物質としては、前述のヘパラン硫酸を標識
するための物質として例示した物質群が挙げられるが、
その中でも酵素類を用いるのが一般的である。これらの
二次抗体を標識する物質及びこの標識物質を検出するた
めの方法は、必要に応じて適宜選択することができる。
【0038】抗ヘパラン硫酸抗体−標識二次抗体の特に
好ましい組み合わせを例示すると、マウスIgM抗体で
ある10E4とペルオキシダーゼ標識抗マウスIgM抗
体との組み合わせ等を挙げることができる。
【0039】本発明に係わる定量方法においては、これ
らのマイクロプレートのような容器状固相担体、その
他、個々が目視できる程度の大きさの固相担体を用いる
態様以外の形態も用い得る。このような形態の代表的な
例として、上述の微粒子状固相担体の抗原抗体反応に基
づく凝集反応を指標にする方法が挙げられる。
【0040】例えば、合成ポリマー粒子であるラテック
ス粒子等の微粒子状固相担体を用い、ヘパラン硫酸を固
着させた微粒子状固相担体に検体を接触させ、さらに抗
ヘパラン硫酸抗体を、この微粒子状固相担体に接触させ
ることによって起こる、抗ヘパラン硫酸抗体を介したラ
テックス粒子同士の凝集反応が、接触させた検体中のヘ
パラン硫酸により阻害される度合いを検出することによ
り、検体中のヘパラン硫酸を定量することが可能であ
る。
【0041】また、上記の一連の抗原抗体反応を利用し
た定量方法において用いられる抗体は、ヘパラン硫酸を
認識し得る抗ヘパラン硫酸抗体である限り、モノクロー
ナル抗体であっても,ポリクローナル抗体であっても、
血液検体中のヘパラン硫酸の定量をすることは可能であ
るが、ヘパラン硫酸に特異性を有し、かつヒアルロン酸
には交叉反応性を示さない抗体を用いることが好まし
い。また、より精度の高い結果を得るためにはヘパラン
硫酸中の特定の抗原決定基に対して特異性(その抗体が
特定の抗原決定基を認識して抗原抗体反応を惹起し得る
こと)を有するモノクローナル抗体を用いることが好ま
しい。
【0042】モノクローナル抗体は、ヘパラン硫酸を免
疫原とした免疫細胞のハイブリドーマから所望する抗体
産生クローンを選択する通常公知の方法を採用して製造
することができる。このようにして、本発明に係わる検
出方法の基礎となる定量方法が提供される。
【0043】C.本発明に係わる診断キットについて:
本発明に係わる診断キット(以下、本発明診断キットと
もいう)は、本発明検出方法を実施するための診断キッ
トである。本発明診断キットの態様は、上記本発明検出
方法を簡便に実施するための診断キットであれば特に限
定はされない。また、本発明診断キットは、健常人より
採取した血液検体中のヘパラン硫酸と肝疾患又は慢性関
節リウマチ患者から採取した検体中のヘパラン硫酸との
間の量的及び/又は質的差異を定量して特定することに
より、肝疾患又は慢性関節リウマチを検出し得る診断キ
ットである。さらに、上述したヘパラン硫酸を特異的に
認識する抗ヘパラン硫酸抗体を含有し、抗原抗体反応を
利用して検体中のヘパラン硫酸を検出し得る診断キット
を好ましい態様として例示することができる。
【0044】すなわち本発明診断キットは、少なくとも
抗ヘパラン硫酸抗体と、標識したヘパラン硫酸又は固相
担体へ固着させたヘパラン硫酸(以下、これらのヘパラ
ン硫酸を、「競合ヘパラン硫酸」と示称する)を含むキ
ットとしての形態をとるが、抗ヘパラン硫酸を固着させ
た固相担体を含む形態のキットが、最も好ましい態様の
キットである。
【0045】この本発明診断キットにおける選択すべき
固相担体の態様、固相担体における抗体の固着原理、用
いる抗体の種類等は、上記の本発明特定方法について対
応する説明に従い選択することができる。また、本発明
診断キットの最も好ましい態様の一つは、競合ヘパラン
硫酸として標識物質で標識した、標識ヘパラン硫酸を含
む試薬及びこの標識ヘパラン硫酸に結合した標識物質を
検出するための試薬を含むことが好ましい。
【0046】なお、この診断キット中の標識ヘパラン硫
酸乃至試薬中のヘパラン硫酸は、一定量であり、かつ系
中に均一に存在することが好ましいことは勿論である。
【0047】また、この態様の診断キットにおける標識
ヘパラン硫酸における標識物質の種類と、それに応じた
検出物質の種類については、上記の本発明の基礎となる
定量方法における対応する説明に従い選択することがで
きる。
【0048】さらに、本発明診断キットには、通常の診
断用キットに含まれる緩衝液,蒸留水又は超純水等を必
要に応じ本発明の所期の効果を損なわない限りにおい
て、その構成要素とすることができる。
【0049】また、本発明診断キットには、本発明特定
方法を行うための要素の他に、必要に応じて血液の前処
理試薬を、さらに、肝疾患を検出するか,慢性関節リウ
マチを検出するかの別に応じて、これらの疾患に個別的
な検出手段を、その要素として含ませることも可能であ
る。
【0050】より具体的には、肝疾患を特異的に検出す
ることを目的とした診断キットには、例えば前述の肝障
害検査、肝機能検査又はHBs抗原/抗体検査を行うた
めの要素等を含ませることが可能である。また、慢性関
節リウマチを特異的に検出することを目的とした診断キ
ットには、例えば前述の血中のIgG−RF検査を行う
ための要素等を含ませることが可能である。
【0051】本発明診断キットにより、上記の本発明特
定方法を簡易かつ正確に行うことが可能になり、肝疾患
又は慢性関節リウマチを容易に検出し、適切な治療を行
うことが可能になる。
【0052】
【実施例】以下、本発明を実施例等を用いてより具体的
に説明するが、本発明の技術的範囲がこの実施例等によ
り限定されるべきものではない。
【0053】抗ヘパラン硫酸抗体10E4の抗原決定基
の解析 ヘパラン硫酸分子中の硫酸基の変化に伴う、抗ヘパラン
硫酸モノクローナル抗体10E4の反応性の変化を検討
することで、同10E4の抗原決定基の解析を行った。
すなわち、抗ヘパラン硫酸抗体10E4を固着させたプ
レートに、;各種の濃度の牛腎臓由来のヘパラン硫酸
〔生化学工業株式会社、Lot.No.S94Z02 :HS(BK)〕、
;のヘパラン硫酸を完全に脱硫酸化した上記牛腎臓
由来ヘパラン硫酸修飾物(CDSNAc-HS)、;のCDSNA
c-HSのN位に硫酸基を再び導入したヘパラン硫酸修飾物
(CDSNS-HS)、及び、;のN位の硫酸基のみを完全
に脱硫酸化した上記牛腎臓由来のヘパラン硫酸(NDSNAc
-HS)を添加した。同時にビオチン標識ヘパラン硫酸を
添加し、プレートに固着させた抗ヘパラン硫酸抗体10
E4と競合的抗原抗体反応により反応させた。
【0054】抗ヘパラン硫酸抗体10E4と反応しなか
ったヘパラン硫酸、各ヘパラン硫酸修飾物及びビオチン
標識ヘパラン硫酸を洗浄して除去した。続いて、ビオチ
ンの検出を、後述するように、ペルオキシダーゼ標識ス
トレプトアビジンを用いて行った。ペルオキシダーゼの
酵素活性は、後述するように、発色基質として過酸化水
素を含むTMB溶液を用い、最終的に450nmの吸光度を
指標として定量した(図1)。図1において、縦軸は吸
光度(O.D.)を、横軸はヘパラン硫酸量及び各修飾ヘパ
ラン硫酸量を示す。
【0055】この結果より、抗ヘパラン硫酸抗体10E
4の反応性は、ヘパラン硫酸のグルコサミン残基中のN
−硫酸基の有無に依存することが判明した。すなわち、
抗ヘパラン硫酸抗体10E4の抗原決定基は、少なくと
もヘパラン硫酸のグルコサミン残基中のN−硫酸基を含
む構造であることが明らかになった。また、ヘパラン硫
酸と同様の方法で製造したビオチン標識ヒアルロン酸に
対するモノクローナル抗体10E4の反応性を調べた結
果、モノクローナル抗体10E4は、ヒアルロン酸に対
する交叉反応性を示さないことも明らかになった。
【0056】検量線の作成 (1)ビオチン標識ヘパラン硫酸の調製 ヘパラン硫酸(生化学工業株式会社)を0.1M 2-モルホ
リノエタンスルホン酸(MES)緩衝液(pH5.5)に溶解し
て、10mg/mL のヘパラン硫酸溶液を1mL調製した。この
ヘパラン硫酸溶液に、ジメチルスルホキシド(DMSO)で
20mMに調製したビオチン-LC-ヒドラジド(PIERCE
社製)を25μL 添加した。続いて、0.1M MES緩衝液
(pH5.5)で100mg/mLに調製したEDC(PIERCE
社製)12.5μLをこれに添加し、よく撹拌した後、常温
で16-24時間撹拌反応を行った。反応終了後、この反応
物を分子量3,500 cutoffの透析膜において、透析液とし
てPBS(−)等を用い、微量透析装置(BIO−TEC
K社製)で、十分に遊離のビオチンを除去した。透析終
了後、ビオチン標識ヘパラン硫酸を5mg/mLの濃度に調製
し、凍結保存した。
【0057】(2)抗ヘパラン硫酸抗体コーティングプ
レートの調製 抗ヘパラン硫酸抗体10E4(生化学工業株式会社)を
リン酸緩衝生理食塩水〔pH7.2〜7.5、カルシウムイオン
等の2価イオン不含:以下、PBS(-)とも記載する〕
で、20μg/mLに希釈し、この溶液50μLずつをヌンクイ
ムノプレート(商品名:マキシソープ、ヌンク社製)の
各ウェルに加え、4℃で14〜18時間保存することによ
り、均一にコーティングした。このプレートをPBS
(-)で2回洗浄し、ウエルの抗ヘパラン硫酸抗体10E
4でコーティングされていない部分をブロッキングする
ためのブロッキング物質として,3%ウシ血清アルブミ
ン(BSA)(生化学工業株式会社販売)を含むPBS
(-)溶液を加え、室温で2時間静置した。静置後、この
プレートを洗浄液(0.05%Tween20を含むPBS
(-))で3回洗浄して、所望する抗ヘパラン硫酸抗体コ
ーティングプレートを得た。
【0058】(3)検量線の作成 上記洗浄後、(2)において調製した抗ヘパラン硫酸抗
体コーティングプレートの各ウエルに、0.05%Twee
n20及び1%BSAを含むPBS(-)(以下、反応液
という)を100μL ずつ加えた。続いて、各濃度のヘパ
ラン硫酸標準液(牛腎臓由来、生化学工業株式会社製)
(25〜800μg/mLの各濃度)10μL をこのプレートの各
ウエルに添加した。更に各ウエルに反応液で至適濃度に
希釈した,上記(1)において調製したビオチン標識ヘ
パラン硫酸を100μL 加え、37℃で60分間静置して抗原
抗体反応を行った(ヘパラン硫酸標準液の溶媒として
は、反応液を用いた)。
【0059】この反応終了後、前記洗浄液で各ウエルを
3回洗浄した後、反応液で1000倍に希釈したペルオキシ
ダーゼ標識ストレプトアビジン(HRP標識ストレプト
アビジン:VECTOR社製)を各ウェルに100μL加
え、これを37℃で30分間静置して反応させた。
【0060】反応終了後、このプレートを前記洗浄液で
3回洗浄し、ペルオキシダーゼの基質としてTMB溶液
(モス社製)を100μL 加え、37℃で15分間反応させ、
発色させた。プレートに1N-HClを100μL 加えて反応を
停止させ、TMBの分解による着色液の波長450nmの吸
光度(対照波長630nm)をウェルリーダー(SK-601、生
化学工業株式会社販売)で測定して、検量線を作成した
(図2)。
【0061】なお、ヘパラン硫酸は多様性に富むため、
独自の定義として牛腎臓由来のヘパラン硫酸(生化学工
業株式会社、Lot.No.S94Z02)1μg を1EU と定義し、
ヘパラン硫酸の力価をこの牛腎臓由来ヘパラン硫酸当量
で表示する。
【0062】また、抗ヘパラン硫酸抗体の代わりにマウ
スIgMをプレートに固着させた場合、反応が全く認め
られず、この反応は、非特異的反応ではなく、抗ヘパラ
ン硫酸抗体(10E4)に特異的な反応であることが示
された(図2:control)。
【0063】検体中のヘパラン硫酸の定量による肝疾患
又は慢性関節リウマチの判断 健常人(141例)、変形性膝関節症患者(42例)、肝疾
患患者(54例)及び慢性関節リウマチ患者(54例)の血
清中に存在するヘパラン硫酸の定量を上記の方法で行っ
た(図3)。
【0064】その結果、血清中においては肝疾患および
慢性関節リウマチ患者と健常人との間において、明らか
にヘパラン硫酸レベルの差が認められた(肝疾患および
慢性関節リウマチ患者の血清中ヘパラン硫酸レベルは健
常人に比べて明らかに低い)。
【0065】そこで、仮に75EU/mLを境界値として、こ
の境界値未満又は同境界値以上で分類し、境界値以上を
陰性及び境界値未満を陽性とした際の肝炎および慢性関
節リウマチにおける陽性率を図3に記載した。
【0066】その結果より、ヘパラン硫酸の量により境
界値を設定し、それに基づき疾患の検出を行うことは、
前記の定量方法を用いて定量した血清中のヘパラン硫酸
を基に疾患を検出する上で好ましいことが示唆された。
【0067】さらに、本発明検出方法の有用性を明らか
にするために、本発明に係わる肝疾患又は慢性関節リウ
マチの検出方法における陽性率と、市販のIgG−RF
測定キット(リウマチ検出用、商品名;エイテスト、エ
ーザイ株式会社製)によるIgG−RF定量法、ヒアル
ロン酸測定キット(肝疾患検出用、商品名;ヒアルロン
酸プレート「中外」、中外製薬株式会社製)によるヒア
ルロン酸定量法を用いた場合における、それぞれの陽性
率を各検体で比較検討を行った。
【0068】本発明検出方法においては上述と同様に75
EU/mLを境界値として、この数値よりも定量値が低い場
合を陽性とした。IgG−RF測定キットによる検出
は、健常人の血清及び慢性関節リウマチ患者の血清につ
いて、説明書に記載の方法に則って、インデックス2に
より検査を行った。また、ヒアルロン酸測定キットによ
る検出は、健常人の血清及び肝疾患の患者の血清につい
て、説明書に記載の方法に則って定量値130ng/mLを上回
った際に陽性とした。
【0069】健常人の血清における陽性率、すなわち偽
陽性を示す率を比較した。その結果、本発明に係わる検
出方法において、偽陽性を示す率が著しく低いことが判
明した(第1表)。
【0070】 第 1 表 ──────────────────────────────────── 検出方法 IgG-RF 検出方法 ヒアルロン酸検出方法 本発明方法 ──────────────────────────────────── 偽陽性率 2.7% 8.7% 0.7% ────────────────────────────────────
【0071】慢性関節リウマチ患者の血清における陽性
率を、IgG−RF定量方法び本発明定量方法を用いた
定量値から算出した。IgG−RF検出方法と比較し
て、本発明検出方法において、約2倍の精度で慢性関節
リウマチの検出が可能であることが示された(第2
表)。
【0072】 第 2 表 ─────────────────────────────────── 検出方法 IgG-RF 検出方法 本発明方法 ─────────────────────────────────── 陽性率 38.7% 74.7% ───────────────────────────────────
【0073】肝疾患の患者の血清における陽性率を、ヒ
アルロン酸検出方法及び本発明検出方法に則り算出し
た。本発明検出方法による肝疾患の検出は、ヒアルロン
酸検出方法による肝疾患の検出よりも、高精度に検出す
ることが可能であることが判明した(第3表)。
【0074】 第 3 表 ─────────────────────────────────── 検出方法 ヒアルロン酸検出方法 本発明方法 ─────────────────────────────────── 陽性率 56.7% 59.3% ───────────────────────────────────
【0075】これらの結果を総合すると、本発明検出方
法を利用することにより、肝疾患及び慢性関節リウマチ
の検出を、偽陽性となる比率を減少させて、より高精度
に行うことができると結論された。
【0076】本発明に係わる診断キット 本発明診断キットの構成及び使用法の一例を以下に記載
する。本実施例における診断キットは、次の1〜8の要
素からなる。 1.抗ヘパラン硫酸抗体10E4を固着させたイムノプ
レート(ブロッキング剤でブロッキング済み):1枚 2.標準ヘパラン硫酸溶液(25、50、100、200、400、8
00EU/mL、各0.1mL):1バイアルずつ 3.ビオチン標識ヘパラン硫酸溶液(至適濃度、15m
L):1バイアル 4.ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン溶液(1
μg/mL、15mL):1バイアル 5.テトラメチルベンジジン溶液(1.25mM TMB、2.2
1mM 過酸化水素、1%DMSO、0.08M 酢酸緩衝液、pH4.
9、15mL):1バイアル 6.反応液(1%BSA、0.05% Tween20を含むP
BS(-)、40mL):1バイアル 7.洗浄液(0.05% Tween20を含むPBS
(-)(500mL)):1バイアル 8.反応停止液(1N HCl(15mL)):1バイアル
【0077】この本発明診断キットの使用に際しては、
抗ヘパラン硫酸抗体10E4固着済みイムノプレートの
各ウェルを予め洗浄液で洗浄し、各ウェルに反応液を10
0μLずつ分注した。
【0078】続いて、各濃度のヘパラン硫酸標準液又は
肝疾患患者および慢性関節リウマチ患者の検体血清を10
μL ずつ添加し、さらに各ウェルにビオチン標識ヘパラ
ン硫酸液を100μLずつ添加して、37℃で60分間静置し
た。
【0079】その後、この検出用キットにおいて、洗浄
液で各ウェルを3回洗浄した後、ペルオキシダーゼ標識
ストレプトアビジン液を各ウェルに100μL 加え、これ
を37℃で30分間静置して反応させた。静置後、各ウェル
を洗浄液で3回洗浄し、その後各ウェルにテトラメチル
ベンチジン溶液100μL を添加し、37℃で15分間反応さ
せ、発色させた。
【0080】発色後、各ウェルに反応停止液を100μL
加えて反応を停止させ、ペルオキシダーゼによるTMB
とH2O2との反応生成物の着色波長である450nmの吸光度
(対照波長630nm)をウェルリーダー(SK601、生化学工
業株式会社販売)で定量した。
【0081】このように、本発明によれば、検体中のヘ
パラン硫酸を的確に定量する定量方法を血液検体におい
て用いた、肝疾患又は慢性関節リウマチを検出する方
法、及びこの方法を実施するための診断キットが提供さ
れる。
【0082】
【図面の簡単な説明】
【図1】ヘパラン硫酸と各種修飾体における、抗ヘパラ
ン硫酸抗体10E4の認識率を示した図面である。
【図2】ヘパラン硫酸標準液を用いて作成した検量線で
ある。
【図3】血清中のヘパラン硫酸のレベルの各群間での比
較と75 EU/mLを境界値とした際の肝疾患及び慢性関節リ
ウマチ検出における陽性率を示す図面である。

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】血液検体におけるヘパラン硫酸の量的変化
    及び/又は質的変化を特定する、肝疾患又は慢性関節リ
    ウマチの検出方法。
  2. 【請求項2】血液検体におけるヘパラン硫酸の量的変化
    及び/又は質的変化の特定手段として、血液検体に含ま
    れるグルコサミン残基にN−硫酸基を有するヘパラン硫
    酸の定量を含む、請求項1記載の肝疾患又は慢性関節リ
    ウマチの検出方法。
  3. 【請求項3】血液検体におけるヘパラン硫酸の量的変化
    及び/又は質的変化の特定原理が、抗ヘパラン硫酸抗体
    と血液検体中のヘパラン硫酸の抗原抗体反応である、請
    求項1又は請求項2記載の肝疾患又は慢性関節リウマチ
    の検出方法。
  4. 【請求項4】抗ヘパラン硫酸抗体が、ヒアルロン酸に対
    する交叉反応性が認められない抗ヘパラン硫酸抗体であ
    る、請求項3記載の肝疾患又は慢性関節リウマチの検出
    方法。
  5. 【請求項5】抗ヘパラン硫酸抗体が、少なくともヘパラ
    ン硫酸におけるN−硫酸基を有するグルコサミン残基を
    抗原決定基とする抗ヘパラン硫酸抗体である、請求項3
    又は請求項4記載の肝疾患又は慢性関節リウマチの検出
    方法。
  6. 【請求項6】請求項3乃至5のいずれかの請求項記載の
    検出方法において、抗原抗体反応が、固相担体に固着さ
    せた抗ヘパラン硫酸抗体に対する標識ヘパラン硫酸と血
    液検体中のヘパラン硫酸との競合的抗原抗体反応であ
    る、肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  7. 【請求項7】請求項6記載の検出方法において、競合的
    抗原抗体反応による検出手段に、固相担体上の抗ヘパラ
    ン硫酸抗体に結合した標識ヘパラン硫酸を検出すること
    を含む、肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  8. 【請求項8】請求項6又は請求項7記載の検出方法にお
    いて、標識ヘパラン硫酸における標識物質が、特異的結
    合対の一方の物質、蛍光物質、酵素、ハプテン及びラジ
    オアイソトープからなる群から選択される物質である、
    肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  9. 【請求項9】請求項6又は請求項7記載の検出方法にお
    いて、標識ヘパラン硫酸における標識物質が、特異的結
    合対の一方の物質である、肝疾患又は慢性関節リウマチ
    の検出方法。
  10. 【請求項10】請求項9記載の検出方法において、特異
    的結合対の一方の物質がビオチンである、肝疾患又は慢
    性関節リウマチの検出方法。
  11. 【請求項11】請求項3乃至5のいずれかの請求項記載
    の検出方法において、血液検体におけるヘパラン硫酸の
    量的変化及び/又は質的変化の特定原理が、抗ヘパラン
    硫酸抗体に対する、固相担体に固着させたヘパラン硫酸
    と血液検体中のヘパラン硫酸との競合的抗原抗体反応で
    ある、肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  12. 【請求項12】請求項11記載の検出方法において、競
    合的抗原抗体反応による検出手段が、固相担体上のヘパ
    ラン硫酸に結合した抗ヘパラン硫酸抗体を検出すること
    を含む、肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  13. 【請求項13】請求項11記載の検出方法において、固
    相担体として微粒子状固相担体を使用し、競合的抗原抗
    体反応による検出手段が、抗原抗体反応の際の微粒子状
    固相担体の凝集の程度を検出することを含む、肝疾患又
    は慢性関節リウマチの検出方法。
  14. 【請求項14】下記の工程を含む肝疾患又は慢性関節リ
    ウマチの検出方法: 少なくともN−硫酸基を有するグルコサミン残基を抗
    原決定基とする抗ヘパラン硫酸抗体を固着させたマイク
    ロプレートに、血液検体及びビオチンにより標識した標
    識ヘパラン硫酸を接触させ、マイクロプレートに固着さ
    せた抗ヘパラン硫酸抗体に対し、接触させた血液検体中
    のヘパラン硫酸及び標識ヘパラン硫酸を競合的に抗原抗
    体反応させ、 マイクロプレートに結合した標識ヘパラン硫酸に、ペ
    ルオキシダーゼ標識したアビジン類を結合させ、 マイクロプレートにおけるペルオキシダーゼ活性を測
    定することにより、上記血液検体中のヘパラン硫酸を定
    量する工程。
  15. 【請求項15】抗ヘパラン硫酸抗体が、モノクローナル
    抗体である、請求項3乃至14のいずれかの請求項記載
    の肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  16. 【請求項16】モノクローナル抗体が、抗ヘパラン硫酸
    モノクローナル抗体10E4である、請求項15記載の
    肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  17. 【請求項17】少なくとも抗ヘパラン硫酸抗体を固着さ
    せた固相担体を含む、請求項3乃至10のいずれかの請
    求項記載の肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法を行
    うための診断キット。
  18. 【請求項18】抗ヘパラン硫酸抗体が、ヒアルロン酸に
    対する交叉反応性が認められない抗ヘパラン硫酸抗体で
    ある、請求項17記載の診断キット。
  19. 【請求項19】抗ヘパラン硫酸抗体が、少なくともヘパ
    ラン硫酸におけるN−硫酸基を有するグルコサミン残基
    を抗原決定基とする抗ヘパラン硫酸抗体である、請求項
    17又は請求項18記載の診断キット。
  20. 【請求項20】抗ヘパラン硫酸抗体が、抗ヘパラン硫酸
    モノクローナル抗体10E4である、請求項17乃至1
    9のいずれかの請求項記載の診断キット。
  21. 【請求項21】標識物質で標識された標識ヘパラン硫酸
    を含む、請求項3乃至10のいずれかの請求項記載の肝
    疾患又は慢性関節リウマチの検出方法を行うための診断
    キット。
  22. 【請求項22】標識ヘパラン硫酸が、特異的結合対の一
    方の物質、蛍光物質、酵素、ハプテン及びラジオアイソ
    トープからなる群から選択される物質により標識された
    標識ヘパラン硫酸である、請求項21記載の診断キッ
    ト。
  23. 【請求項23】標識ヘパラン硫酸が、特異的結合対の一
    方の物質で標識された標識ヘパラン硫酸である、請求項
    21記載の診断キット。
  24. 【請求項24】特異的結合対の一方の物質がビオチンで
    ある、請求項23記載の診断キット。
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