JP3909732B2 - 肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法並びにこれらの疾患の診断キット - Google Patents

肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法並びにこれらの疾患の診断キット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、検体中のヘパラン硫酸の量的変化及び/又は質的変化を特定することにより疾患を検出する方法、並びにこの方法を用いる診断キットに関する技術分野の発明である。より詳細には、肝疾患又は慢性関節リウマチにおける、血液検体中のヘパラン硫酸の量的及び/又は質的な変化を特定することによって、上記疾患の検出を行う方法、並びにこの方法を用いる診断キットに関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
肝疾患は、初期の病態変化が非常に緩やかである例が多く、異常を検出した際には、すでに病態が進行しており、手遅れとなってる事例が少なくない。手遅れでない場合でも、治療に長い月日を費やさねばならないことが多い。
肝疾患の検出法としては、従来血液中のコリンエステラーゼ、ヘパプラスチン、GOT、GPT、γGTP、ビリルビン、免疫グロブリン量等の肝障害マーカーの測定あるいは肝機能検査が用いられており、また、尿検体中のビリルビン測定も肝疾患のスクリーニング方法として用いられている。また更にCTスキャンによる画像診断法も肝疾患の検出に用いられている。さらに、肝疾患の病因の診断としては、抗肝炎ウイルス抗体/抗原等の検査が行われている。
【0003】
また、肝疾患に伴って起こる線維化を検出することにより、肝疾患を診断する方法も提供されている。例えば腹腔鏡検査などにより、肝臓の生検を行う組織学的な検出手段等が提供されている。
しかしながら、この診断方法においては、サンプリングエラーや生体への侵襲などの問題点が指摘されている。そこで、血中γ−グロブリン値の上昇等により肝疾患に伴う肝臓の線維化を把握しようとする試みもあるが、いずれも有力な肝疾患の検出法ということはできないのが現状である。
【0004】
慢性関節リウマチの診断に関しては、現在、アメリカリウマチ学会の診断基準が用いられている。そのうち、客観的検査である血液検査の項目は、リウマチ因子の一項目だけであるが、リウマチ因子測定は、必ずしも特異性の高い検査法ではない面があることが知られている。抗リウマチ因子抗体(IgG-RF)を測定する検査も行われているが、この検査はすでにリウマチであることが判明している患者において、血管炎の有無や関節炎の重症度判定手段として利用されているに過ぎない。
【0005】
以上のように、慢性関節リウマチの診断においては、決定的な判定方法が未だ存在せず、患者の主観を基に判定が行われているのが現状である。また他に、慢性関節リウマチにおいて血中ヒアルロン酸レベルが上昇すること等が知られているが、この知見を基にして明確に慢性関節リウマチを検出することは困難であり、充分に正確な検出ができる方法とはいえない。また「スタインブローカー(Steinbrocker)らのclass分類」、「ランスバリー指数」、「ステージ分類」のように、それぞれ、機能障害度、活動性指数、関節の状態というように、患者の日常生活における動作や運動の可能な程度等を指標とした、慢性関節リウマチの病態把握の方法が知られている。この方法によれば病態判定をすることは可能であるが、患者の主観を基とし、更に定量的な判定ではないため、個人差が大きく正確性に欠ける面は否めない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、現在までに肝疾患又は慢性関節リウマチの検出手段として、様々な手段が提供されているものの、いずれの検出手段を用いても、これらの疾患の検出手段として満足がゆく段階までには達していない。
【0007】
その結果、肝疾患又は慢性関節リウマチにおいては、正確な診断をするためには数多くの検査が必要とされている。また、煩雑でもあり、しかも大量の検体のスクリーニングには適さない。
【0008】
そこで、本発明が解決すべき課題は、肝疾患又は慢性関節リウマチを、正確に、かつ多数の検体を一次的にスクリーニングすることが可能なほど簡便に検出することが可能な手段を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、この課題に対して、肝疾患及び慢性関節リウマチにおける病態変化を様々な検体を用いて鋭意検討した結果、驚くべきことに肝疾患患者及び慢性関節リウマチ患者において、血液中のヘパラン硫酸に量的及び/又は質的な変化が起こることを見いだし、この知見に基づき高感度に肝疾患又は慢性関節リウマチを検出し得ることが可能であることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、血液検体中のヘパラン硫酸の量的変化及び/又は質的変化、特にそのヘパラン硫酸の構成糖であるグルコサミン残基中のN−硫酸基を含む構造の変化を検出して、肝疾患又は慢性関節リウマチを検出する方法、並びにこの検出方法を実施するための診断キットを提供する。
【0011】
これらの肝疾患又は慢性関節リウマチの検出手段の技術的な基軸となる、ヘパラン硫酸の血液検体における定量方法は、その操作が容易であり、熟練した技術者でなくとも多くの検体を一度にスクリーニングすることが可能であり、また多数の検体であっても測定値の数値化が可能であるため正確な診断が可能である。
このヘパラン硫酸の定量方法については、後述する。
【0012】
また、本発明において、「血液検体」とは、血液由来の液体(全血、血清若しくは血漿等)を意味する。そして、より正確に肝疾患又は慢性関節リウマチにおいてその病態を正確に反映するためには、これらの中でも血清又は血漿を選択することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
A.本発明に係わる検出方法について:
本発明に係わる検出方法(以下、本発明検出方法ともいう)は、血液検体中のヘパラン硫酸の量的変化及び/又は質的変化を特定して、肝疾患又は慢性関節リウマチを検出する方法である。
【0014】
本発明検出方法において、その量的変化及び/又は質的変化を特定する対象となるヘパラン硫酸は、ほ乳類では肺,肝臓,腎臓,脳,脾臓,大動脈等でタンパク質と結合したプロテオグリカンの状態(本明細書中において、「ヘパラン硫酸プロテオグリカン」とも記載する)で細胞膜や基底膜に存在する硫酸化多糖である。その基本糖鎖構造はヘパリンと共通のD−グルコサミンとヘキスロン酸(D−グルクロン酸及びL−イズロン酸)のくり返し構造をもち、D−グルコサミンのN位の硫酸基、6位の硫酸基及び/又はヘキスロン酸の2位の硫酸基の置換体であるが、ヘパリンと比して、硫酸基,L−イズロン酸,N−硫酸化グルコサミン含量が低く、抗血液凝固活性は極めて低い。
【0015】
なお、本発明において、「ヘパラン硫酸の量的及び/又は質的変化」とは、例えば、ヘパラン硫酸の構成糖のいずれかの残基が何らかの修飾を受けた特定のヘパラン硫酸の量の変化、分子量の変化、硫酸基量の変化、又は特定部位に硫酸基を有するヘパラン硫酸の量の変化等が挙げられる。
【0016】
上述したように、肝疾患及び慢性関節リウマチ羅患患者において、血液中におけるヘパラン硫酸の量及び/又は質は、健常人のそれとは異なる傾向がある。
すなわち、健常人と比較して肝疾患及び慢性関節リウマチ患者においては、この健常人の血液中に存在するヘパラン硫酸の量が減少する傾向が強い。
【0017】
本発明では、前記健常人における、ヘパラン硫酸の血液検体中での増減を指標として、肝疾患又は慢性関節リウマチの検出を行うことが可能である。つまり、本発明において、血液検体から定量される上記のヘパラン硫酸の量が、健常人の範囲よりも少なくなれば、被験者は肝疾患又は慢性関節リウマチであることが明らかになり、これにより、肝疾患又は慢性関節リウマチを検出することができる。
【0018】
さらに、ヘパラン硫酸の有する生理活性において、N−硫酸基を有するグルコサミン残基が重要であると考えられている。そして、肝疾患又は慢性関節リウマチにおいては、血液検体中のヘパラン硫酸におけるグルコサミン残基中のN−硫酸基の量が減少することが判明した。従って、血液検体中に存在するヘパラン硫酸のN−硫酸基を有するグルコサミン残基の有無及び量を確認することが肝疾患又は慢性関節リウマチの検出において望ましい。このような観点から、本発明検出方法を行う前提となる定量方法において用いる抗ヘパラン硫酸抗体(後述する)は、ヘパラン硫酸のN−硫酸基を有するグルコサミン残基を含む抗原決定基を認識するものであることが好ましい。
【0019】
特に、この抗ヘパラン硫酸抗体としてモノクローナル抗体を用いる場合には、少なくともヘパラン硫酸のN−硫酸基を有するグルコサミン残基を抗原決定基とするモノクローナル抗体を選択することが特に好ましく、このようなモノクローナル抗体としては、抗ヘパラン硫酸抗体10E4、同HepSS−1(共に生化学工業株式会社製)を挙げることができる。これらの抗ヘパラン硫酸抗体においても、ヘパラン硫酸のN−硫酸基を有するグルコサミン残基を抗原決定基とすると同時に、ヒアルロン酸に対して交叉反応性が認められないという点においても、肝疾患又は慢性関節リウマチに関して本発明を適用するのに好ましい抗ヘパラン硫酸抗体である。
【0020】
このように、抗ヘパラン硫酸抗体を用い、血液検体中のヘパラン硫酸を定量することで、肝疾患又は慢性関節リウマチを検出する方法が提供される。
例えば、血液検体中における肝疾患又は慢性関節リウマチと健常の境界を、前述の本発明に係わる定量法により定量されるヘパラン硫酸の量で設定して、この値よりもヘパラン硫酸の定量値が低ければ「肝疾患又は慢性関節リウマチの疑いがある」として他のパラメータの測定を行ってより詳細に疾患を鑑別し、逆にこの値がその設定値よりも高ければ「肝疾患及び慢性関節リウマチの疑いが極めて低い」とすることにより、肝疾患及び慢性関節リウマチの検出をすることが可能であり、肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法が提供される。
【0021】
上記設定値は、選択する検体や用いる抗体の種類や抗原決定基等によっても異なるもので、適宜設定されるべきものである。例えば、血液検体として血清を選択し、更にヘパラン硫酸のN−硫酸基を有するグルコサミン残基を抗原決定基とし、かつヒアルロン酸に対して交叉反応性が認められないモノクローナル抗体である上記の抗ヘパラン硫酸抗体10E4等を用いて、ヘパラン硫酸の定量を行う場合には、この境界値は20 EU/mL以上、250 EU/mL以下、好ましくは30 EU/mL以上、150 EU/mL以下に設定することが好ましい(ここに記載したEU/mL は、後述する実施例において定義するものと同一である)。
【0022】
このようにして実施される本発明検出方法は、単独で肝疾患又は慢性関節リウマチを検出する手段として大量検体のスクリーニング等に用いることが可能である。
そして、本発明により、多数の被験者から、肝疾患又は慢性関節リウマチの疑いがあることが判明した者について、個別的に既存の検査方法等を駆使して、より確定的な肝疾患又は慢性関節リウマチの検出をすることができる。
【0022】
肝疾患について確定的な判断をする場合には、例えば本発明に係わる検出方法と組み合わせて、肝障害検査、肝機能検査又はHBs抗原/抗体検査等を用いることが想定される。
また、慢性関節リウマチについて確定的な判断をする場合には、例えば本発明に係わる検出方法と組み合わせて、既存の判断基準あるいは血中のIgG−RF等の他の指標と組み合わせることで、より一層その信頼性を向上した慢性関節リウマチの検出を行うことが可能である。
【0023】
B.本発明の基礎となる定量方法について:
本発明検出方法を行う上においては、血液検体や尿検体等の検体中のヘパラン硫酸を的確に定量する定量方法の確立が技術的に重要である〔なお、本発明における「定量」は、例えば、ヘパラン硫酸の構成糖のいずれかの残基が何らかの修飾を受けた特定のヘパラン硫酸の量等を、測定、特定することを意味するものである。〕。
【0024】
検体中における、通常の形態のヘパラン硫酸の定量手段としては、例えばヘパラン硫酸分解酵素による分解及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析を組み合わせた二糖分析法、HPLCによる分析及びゲルろ過による分析、又はヘパラン硫酸と抗ヘパラン硫酸抗体による抗原抗体反応をその原理として用いる方法が挙げられる。
【0025】
これらの方法のうち、ヘパラン硫酸と抗ヘパラン硫酸抗体による抗原抗体反応をその原理として用いる方法が好ましいが、検体中のヘパラン硫酸の定量が技術上可能である限りにおいて特に限定されるものではない。
【0026】
抗原抗体反応をその原理として用いる方法としては、例えば、▲1▼固相担体(後述する)に固着させた抗ヘパラン硫酸抗体と、標識されたヘパラン硫酸及び検体中のヘパラン硫酸との間の抗原抗体反応をその原理として用いる方法や、▲2▼固相担体に固着させたヘパラン硫酸及び検体中のヘパラン硫酸と抗ヘパラン硫酸抗体との間の抗原抗体反応をその原理として用いる方法、さらには▲3▼ヘパラン硫酸を固着させた、微粒子状固相担体(後述する)に検体を接触させ、さらに抗ヘパラン硫酸抗体をこの微粒子状固相担体に接触させて、微粒子状固相担体同士を凝集させることにより、検体中のヘパラン硫酸を定量する方法等が挙げられ、かつ好ましい。
【0027】
これらの抗原抗体反応をその原理として用いる定量方法において用い得る、各々の要素〔例えば、固相担体(微粒子状固相担体を含む),標識されたヘパラン硫酸,抗ヘパラン硫酸抗体等〕は、具体的な定量方法の態様に応じて適宜選択することが可能であり、特に限定されるものではないが、ここに各々の要素における代表的な態様を具体的に例示する。
【0028】
抗ヘパラン硫酸抗体又はヘパラン硫酸を固着させる固相担体としては、例えばマイクロプレート,ビーズ,チューブ,メンブレン,ゲル,微粒子状固相担体〔例えば、ゼラチン粒子,カオリン粒子,合成ポリマー粒子(ラテックス粒子等)〕等が挙げられ、これらの固相担体の中でも、マイクロプレート,ビーズ,チューブ又は微粒子状固相担体を用いることが好ましい。特に正確な定量性とその実施に際しての簡便性等を考慮すると、マイクロプレートを固相担体として用いることが好ましい。
【0029】
例えば、抗ヘパラン硫酸抗体を固着させたマイクロプレートを用いた抗原抗体反応を用いるヘパラン硫酸の定量方法としては、「1)抗ヘパラン硫酸抗体を固着させたマイクロプレートに、検体と標識されたヘパラン硫酸とを同時に加え、検体中のヘパラン硫酸と標識されたヘパラン硫酸との、競合的な抗ヘパラン硫酸抗体への結合を利用して、検体中のヘパラン硫酸を定量する競合的抗原抗体反応、又は2)抗ヘパラン硫酸抗体を固着させたマイクロプレートに検体を接触させ、この検体中のヘパラン硫酸をマイクロプレート上の抗ヘパラン硫酸抗体に結合させた後、標識されたヘパラン硫酸をマイクロプレートに接触させて、マイクロプレート上の抗ヘパラン硫酸抗体に結合している検体に由来するヘパラン硫酸に対してマイクロプレート上の抗ヘパラン硫酸抗体に、標識されたヘパラン硫酸を阻害的に結合させて、検体中のヘパラン硫酸を定量する阻害的抗原抗体反応」等をその原理として利用した定量方法を挙げることができる。
【0030】
ここに挙げた抗ヘパラン硫酸抗体を固着させたマイクロプレートを用いる態様の定量方法は、多数の検体の同時定量を容易にするため、極めて好ましい定量態様として挙げることができる。
【0031】
マイクロプレート等の固相担体への抗ヘパラン硫酸抗体の固着方法としては、物理的吸着法,共有結合法,包括法等の一般的に用いる方法に従い、抗ヘパラン硫酸抗体を固相担体に固着させることができる。一般的には、その操作の簡便性により物理的吸着法によって抗ヘパラン硫酸抗体を固相担体に固着させることが好ましいが、この物理的吸着法に採り得る固着方法が限定されるものではない。
【0032】
さらに、ヘパラン硫酸を固着させたマイクロプレート等の固相担体を用いる方法も、代表的な定量態様の一つとして挙げることができる。
例えば、ヘパラン硫酸を固着させたマイクロプレートに血液検体を添加して、このマイクロプレートに固着させたヘパラン硫酸及び血液検体中のヘパラン硫酸を抗ヘパラン硫酸抗体に対して競合的に反応させた後、マイクロプレート上のヘパラン硫酸に結合した抗ヘパラン硫酸抗体(抗ヘパラン硫酸抗体に特異性を有する)等を用いて検出して、検体中のヘパラン硫酸を定量する方法等の、競合的又は阻害的抗原抗体反応を利用した方法を挙げることができる。
【0033】
これらの一連の定量方法において用い得る、標識されたヘパラン硫酸は、標識物質をヘパラン硫酸に結合させたものである。この標識物質として例えば、特異的結合対(例えばビオチンとストレプトアビジン等のアビジン類、又はレクチンと糖鎖等)の一方の物質;FITC,フィコエリトリン,ユーロピウム,フィコシアニン,ローダミン,テキサスレッド,ウンベリフェロン,トリカラー,シアニン,7−アミノ−4−メチルクマリン−3−酢酸(AMCA)等の蛍光物質;アルカリホスファターゼ,β−ガラクトシダーゼ,ペルオキシダーゼ,グルコースオキシダーゼ等の酵素類;ジニトロフルオロベンゼン,AMP(アデノシン一リン酸)、2,4−ジニトロアニリン等のハプテン;125I、131I、3H等の
アイソトープなどを用いることが可能であり、特に限定されるものではないが、上記の特異的結合対の一方の物質を標識物質として選択することが好ましく、特に、ビオチンとアビジン類からなる特異的結合対の一方の物質を選択することが好ましい。
【0034】
また、これらの標識物質のヘパラン硫酸との結合方法は、常法に従うことが可能である。
例えば、ヘパラン硫酸をビオチンで標識する方法としては、例えば、ヘパラン硫酸溶液にMES(2−モルホリノエタンスルホン酸)緩衝液等で溶解したEDC(1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)及びビオチン−ヒドラジド溶液を添加して反応させる方法を挙げることができる。なおこの結合方法においては、未反応のビオチン−ヒドラジドは、例えば透析,エタノール分画又は限外濾過等の常法によって除去することが可能であり、容易にビオチン標識したヘパラン硫酸を得ることができる点で好ましい。
【0035】
さらに上記の標識物質が結合したヘパラン硫酸の標識物質の定量方法自体は、各々の標識物質の定量方法として既に確立している方法を用いて行うことができる。
例えば、ビオチンにより標識したヘパラン硫酸を定量する方法としては、ビオチンに対して親和性の高いアビジン類(標識済み:例えばペルオキシダーゼに代表される定量が容易な特定の酵素で標識することが好ましい)とヘパラン硫酸に結合したビオチンを反応させることにより、間接的にヘパラン硫酸を定量する方法が挙げられる。
【0036】
なお、上記のペルオキシダーゼをストレプトアビジン等のアビジン類の標識物質として用いる場合には、このペルオキシダーゼにより発色させる基質としては、通常この用途に用いられるテトラメチルベンジジン(TMB)等の発色物質と、ペルオキシダーゼの基質として過酸化水素水等を使用することが好ましい。
【0037】
また、上述した抗ヘパラン硫酸抗体を検出するために用いる抗ヘパラン硫酸抗体に特異性を有する二次抗体は、特に限定はされないが、抗ヘパラン硫酸抗体がウサギ由来であればウサギ免疫グロブリンに対する抗体、マウス由来であればマウス免疫グロブリンに対する抗体等が挙げられ、一次抗体である抗ヘパラン硫酸抗体の由来及びその種類に応じて適宜選択される。二次抗体を標識する物質としては、前述のヘパラン硫酸を標識するための物質として例示した物質群が挙げられるが、その中でも酵素類を用いるのが一般的である。これらの二次抗体を標識する物質及びこの標識物質を検出するための方法は、必要に応じて適宜選択することができる。
【0038】
抗ヘパラン硫酸抗体−標識二次抗体の特に好ましい組み合わせを例示すると、マウスIgM抗体である10E4とペルオキシダーゼ標識抗マウスIgM抗体との組み合わせ等を挙げることができる。
【0039】
本発明に係わる定量方法においては、これらのマイクロプレートのような容器状固相担体、その他、個々が目視できる程度の大きさの固相担体を用いる態様以外の形態も用い得る。このような形態の代表的な例として、上述の微粒子状固相担体の抗原抗体反応に基づく凝集反応を指標にする方法が挙げられる。
【0040】
例えば、合成ポリマー粒子であるラテックス粒子等の微粒子状固相担体を用い、ヘパラン硫酸を固着させた微粒子状固相担体に検体を接触させ、さらに抗ヘパラン硫酸抗体を、この微粒子状固相担体に接触させることによって起こる、抗ヘパラン硫酸抗体を介したラテックス粒子同士の凝集反応が、接触させた検体中のヘパラン硫酸により阻害される度合いを検出することにより、検体中のヘパラン硫酸を定量することが可能である。
【0041】
また、上記の一連の抗原抗体反応を利用した定量方法において用いられる抗体は、ヘパラン硫酸を認識し得る抗ヘパラン硫酸抗体である限り、モノクローナル抗体であっても,ポリクローナル抗体であっても、血液検体中のヘパラン硫酸の定量をすることは可能であるが、ヘパラン硫酸に特異性を有し、かつヒアルロン酸には交叉反応性を示さない抗体を用いることが好ましい。また、より精度の高い結果を得るためにはヘパラン硫酸中の特定の抗原決定基に対して特異性(その抗体が特定の抗原決定基を認識して抗原抗体反応を惹起し得ること)を有するモノクローナル抗体を用いることが好ましい。
【0042】
モノクローナル抗体は、ヘパラン硫酸を免疫原とした免疫細胞のハイブリドーマから所望する抗体産生クローンを選択する通常公知の方法を採用して製造することができる。
このようにして、本発明に係わる検出方法の基礎となる定量方法が提供される。
【0043】
C.本発明に係わる診断キットについて:
本発明に係わる診断キット(以下、本発明診断キットともいう)は、本発明検出方法を実施するための診断キットである。
本発明診断キットの態様は、上記本発明検出方法を簡便に実施するための診断キットであれば特に限定はされない。また、本発明診断キットは、健常人より採取した血液検体中のヘパラン硫酸と肝疾患又は慢性関節リウマチ患者から採取した検体中のヘパラン硫酸との間の量的及び/又は質的差異を定量して特定することにより、肝疾患又は慢性関節リウマチを検出し得る診断キットである。さらに、上述したヘパラン硫酸を特異的に認識する抗ヘパラン硫酸抗体を含有し、抗原抗体反応を利用して検体中のヘパラン硫酸を検出し得る診断キットを好ましい態様として例示することができる。
【0044】
すなわち本発明診断キットは、少なくとも抗ヘパラン硫酸抗体と、標識したヘパラン硫酸又は固相担体へ固着させたヘパラン硫酸(以下、これらのヘパラン硫酸を、「競合ヘパラン硫酸」と示称する)を含むキットとしての形態をとるが、抗ヘパラン硫酸を固着させた固相担体を含む形態のキットが、最も好ましい態様のキットである。
【0045】
この本発明診断キットにおける選択すべき固相担体の態様、固相担体における抗体の固着原理、用いる抗体の種類等は、上記の本発明特定方法について対応する説明に従い選択することができる。
また、本発明診断キットの最も好ましい態様の一つは、競合ヘパラン硫酸として標識物質で標識した、標識ヘパラン硫酸を含む試薬及びこの標識ヘパラン硫酸に結合した標識物質を検出するための試薬を含むことが好ましい。
【0046】
なお、この診断キット中の標識ヘパラン硫酸乃至試薬中のヘパラン硫酸は、一定量であり、かつ系中に均一に存在することが好ましいことは勿論である。
【0047】
また、この態様の診断キットにおける標識ヘパラン硫酸における標識物質の種類と、それに応じた検出物質の種類については、上記の本発明の基礎となる定量方法における対応する説明に従い選択することができる。
【0048】
さらに、本発明診断キットには、通常の診断用キットに含まれる緩衝液,蒸留水又は超純水等を必要に応じ本発明の所期の効果を損なわない限りにおいて、その構成要素とすることができる。
【0049】
また、本発明診断キットには、本発明特定方法を行うための要素の他に、必要に応じて血液の前処理試薬を、さらに、肝疾患を検出するか,慢性関節リウマチを検出するかの別に応じて、これらの疾患に個別的な検出手段を、その要素として含ませることも可能である。
【0050】
より具体的には、肝疾患を特異的に検出することを目的とした診断キットには、例えば前述の肝障害検査、肝機能検査又はHBs抗原/抗体検査を行うための要素等を含ませることが可能である。また、慢性関節リウマチを特異的に検出することを目的とした診断キットには、例えば前述の血中のIgG−RF検査を行うための要素等を含ませることが可能である。
【0051】
本発明診断キットにより、上記の本発明特定方法を簡易かつ正確に行うことが可能になり、肝疾患又は慢性関節リウマチを容易に検出し、適切な治療を行うことが可能になる。
【0052】
【実施例】
以下、本発明を実施例等を用いてより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲がこの実施例等により限定されるべきものではない。
【0053】
抗ヘパラン硫酸抗体10E4の抗原決定基の解析
ヘパラン硫酸分子中の硫酸基の変化に伴う、抗ヘパラン硫酸モノクローナル抗体10E4の反応性の変化を検討することで、同10E4の抗原決定基の解析を行った。
すなわち、抗ヘパラン硫酸抗体10E4を固着させたプレートに、▲1▼;各種の濃度の牛腎臓由来のヘパラン硫酸〔生化学工業株式会社、Lot.No.S94Z02 :HS(BK)〕、▲2▼;▲1▼のヘパラン硫酸を完全に脱硫酸化した上記牛腎臓由来ヘパラン硫酸修飾物(CDSNAc-HS)、▲3▼;▲2▼のCDSNAc-HSのN位に硫酸基を再び導入したヘ
パラン硫酸修飾物(CDSNS-HS)、及び、▲4▼;▲1▼のN位の硫酸基のみを完全に脱硫酸化した上記牛腎臓由来のヘパラン硫酸(NDSNAc-HS)を添加した。同時にビオチン標識ヘパラン硫酸を添加し、プレートに固着させた抗ヘパラン硫酸抗体10E4と競合的抗原抗体反応により反応させた。
【0054】
抗ヘパラン硫酸抗体10E4と反応しなかったヘパラン硫酸、各ヘパラン硫酸修飾物及びビオチン標識ヘパラン硫酸を洗浄して除去した。続いて、ビオチンの検出を、後述するように、ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンを用いて行った。ペルオキシダーゼの酵素活性は、後述するように、発色基質として過酸化水素を含むTMB溶液を用い、最終的に450nmの吸光度を指標として定量した(図1)。図1において、縦軸は吸光度(O.D.)を、横軸はヘパラン硫酸量及び各修飾ヘパラン硫酸量を示す。
【0055】
この結果より、抗ヘパラン硫酸抗体10E4の反応性は、ヘパラン硫酸のグルコサミン残基中のN−硫酸基の有無に依存することが判明した。
すなわち、抗ヘパラン硫酸抗体10E4の抗原決定基は、少なくともヘパラン硫酸のグルコサミン残基中のN−硫酸基を含む構造であることが明らかになった。
また、ヘパラン硫酸と同様の方法で製造したビオチン標識ヒアルロン酸に対するモノクローナル抗体10E4の反応性を調べた結果、モノクローナル抗体10E4は、ヒアルロン酸に対する交叉反応性を示さないことも明らかになった。
【0056】
検量線の作成
(1)ビオチン標識ヘパラン硫酸の調製
ヘパラン硫酸(生化学工業株式会社)を0.1M 2-モルホリノエタンスルホン酸(MES)緩衝液(pH5.5)に溶解して、10mg/mL のヘパラン硫酸溶液を1mL調製した。このヘパラン硫酸溶液に、ジメチルスルホキシド(DMSO)で20mMに調製したビオチン-LC-ヒドラジド(PIERCE社製)を25μL 添加した。続いて、0.1M MES緩衝液(pH5.5)で100mg/mLに調製したEDC(PIERCE社製)12.5μLをこれに添加し、よく撹拌した後、常温で16-24時間撹拌反応を行った
。反応終了後、この反応物を分子量3,500 cutoffの透析膜において、透析液としてPBS(−)等を用い、微量透析装置(BIO−TECK社製)で、十分に遊離のビオチンを除去した。透析終了後、ビオチン標識ヘパラン硫酸を5mg/mLの濃度に調製し、凍結保存した。
【0057】
(2)抗ヘパラン硫酸抗体コーティングプレートの調製
抗ヘパラン硫酸抗体10E4(生化学工業株式会社)をリン酸緩衝生理食塩水〔pH7.2〜7.5、カルシウムイオン等の2価イオン不含:以下、PBS(-)とも記載する〕で、20μg/mLに希釈し、この溶液50μLずつをヌンクイムノプレート(商品名:マキシソープ、ヌンク社製)の各ウェルに加え、4℃で14〜18時間保存することにより、均一にコーティングした。このプレートをPBS(-)で2回洗浄し、ウエルの抗ヘパラン硫酸抗体10E4でコーティングされていない部分をブロッキングするためのブロッキング物質として,3%ウシ血清アルブミン(BSA)(生化学工業株式会社販売)を含むPBS(-)溶液を加え、室温で2時間静置した。静置後、このプレートを洗浄液(0.05%Tween20を含むPBS(-))で3回洗浄して、所望する抗ヘパラン硫酸抗体コーティングプレートを得た。
【0058】
(3)検量線の作成
上記洗浄後、(2)において調製した抗ヘパラン硫酸抗体コーティングプレートの各ウエルに、0.05%Tween20及び1%BSAを含むPBS(-)(以下、反応液という)を100μL ずつ加えた。続いて、各濃度のヘパラン硫酸標準液(牛腎臓由来、生化学工業株式会社製)(25〜800μg/mLの各濃度)10μL をこのプレートの各ウエルに添加した。更に各ウエルに反応液で至適濃度に希釈した,上記(1)において調製したビオチン標識ヘパラン硫酸を100μL 加え、37℃で60分間静置して抗原抗体反応を行った(ヘパラン硫酸標準液の溶媒としては、反応液を用いた)。
【0059】
この反応終了後、前記洗浄液で各ウエルを3回洗浄した後、反応液で1000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(HRP標識ストレプトアビジン:VECTOR社製)を各ウェルに100μL加え、これを37℃で30分間静置して反応させた。
【0060】
反応終了後、このプレートを前記洗浄液で3回洗浄し、ペルオキシダーゼの基質としてTMB溶液(モス社製)を100μL 加え、37℃で15分間反応させ、発色させた。プレートに1N-HClを100μL 加えて反応を停止させ、TMBの分解による着色液の波長450nmの吸光度(対照波長630nm)をウェルリーダー(SK-601、
生化学工業株式会社販売)で測定して、検量線を作成した(図2)。
【0061】
なお、ヘパラン硫酸は多様性に富むため、独自の定義として牛腎臓由来のヘパラン硫酸(生化学工業株式会社、Lot.No.S94Z02)1μg を1EU と定義し、ヘパラン硫酸の力価をこの牛腎臓由来ヘパラン硫酸当量で表示する。
【0062】
また、抗ヘパラン硫酸抗体の代わりにマウスIgMをプレートに固着させた場合、反応が全く認められず、この反応は、非特異的反応ではなく、抗ヘパラン硫酸抗体(10E4)に特異的な反応であることが示された(図2:control)。
【0063】
検体中のヘパラン硫酸の定量による肝疾患又は慢性関節リウマチの判断
健常人(141例)、変形性膝関節症患者(42例)、肝疾患患者(54例)及び慢性関節リウマチ患者(87例)の血清中に存在するヘパラン硫酸の定量を上記の方法で行った(図3)。
【0064】
その結果、血清中においては肝疾患および慢性関節リウマチ患者と健常人との間において、明らかにヘパラン硫酸レベルの差が認められた(肝疾患および慢性関節リウマチ患者の血清中ヘパラン硫酸レベルは健常人に比べて明らかに低い)。
【0065】
そこで、仮に75EU/mLを境界値として、この境界値未満又は同境界値以上で分類し、境界値以上を陰性及び境界値未満を陽性とした際の肝炎および慢性関節リウマチにおける陽性率を図3に記載した。
【0066】
その結果より、ヘパラン硫酸の量により境界値を設定し、それに基づき疾患の検出を行うことは、前記の定量方法を用いて定量した血清中のヘパラン硫酸を基に疾患を検出する上で好ましいことが示唆された。
【0067】
さらに、本発明検出方法の有用性を明らかにするために、本発明に係わる肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法における陽性率と、市販のIgG−RF測定キット(リウマチ検出用、商品名;エイテスト、エーザイ株式会社製)によるIgG−RF定量法、ヒアルロン酸測定キット(肝疾患検出用、商品名;ヒアルロン酸プレート「中外」、中外製薬株式会社製)によるヒアルロン酸定量法を用いた場合における、それぞれの陽性率を各検体で比較検討を行った。
【0068】
本発明検出方法においては上述と同様に75EU/mLを境界値として、この数値よりも定量値が低い場合を陽性とした。IgG−RF測定キットによる検出は、健常人の血清及び慢性関節リウマチ患者の血清について、説明書に記載の方法に則って、インデックス2により検査を行った。また、ヒアルロン酸測定キットによる検出は、健常人の血清及び肝疾患の患者の血清について、説明書に記載の方法に則って定量値130ng/mLを上回った際に陽性とした。
【0069】
健常人の血清における陽性率、すなわち偽陽性を示す率を比較した。その結果、本発明に係わる検出方法において、偽陽性を示す率が著しく低いことが判明した(第1表)。
【0070】
Figure 0003909732
【0071】
慢性関節リウマチ患者の血清における陽性率を、IgG−RF定量方法び本発明定量方法を用いた定量値から算出した。IgG−RF検出方法と比較して、本発明検出方法において、約2倍の精度で慢性関節リウマチの検出が可能であることが示された(第2表)。
【0072】
Figure 0003909732
【0073】
肝疾患の患者の血清における陽性率を、ヒアルロン酸検出方法及び本発明検出方法に則り算出した。本発明検出方法による肝疾患の検出は、ヒアルロン酸検出方法による肝疾患の検出よりも、高精度に検出することが可能であることが判明した(第3表)。
【0074】
Figure 0003909732
【0075】
これらの結果を総合すると、本発明検出方法を利用することにより、肝疾患及び慢性関節リウマチの検出を、偽陽性となる比率を減少させて、より高精度に行うことができると結論された。
【0076】
本発明に係わる診断キット
本発明診断キットの構成及び使用法の一例を以下に記載する。
本実施例における診断キットは、次の1〜8の要素からなる。
1.抗ヘパラン硫酸抗体10E4を固着させたイムノプレート(ブロッキング剤でブロッキング済み):1枚
2.標準ヘパラン硫酸溶液(25、50、100、200、400、800EU/mL、各0.1mL):1バイアルずつ
3.ビオチン標識ヘパラン硫酸溶液(至適濃度、15mL):1バイアル
4.ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン溶液(1μg/mL、15mL):1バイアル
5.テトラメチルベンジジン溶液(1.25mM TMB、2.21mM 過酸化水素、1%DMSO、0.08M 酢酸緩衝液、pH4.9、15mL):1バイアル
6.反応液(1%BSA、0.05% Tween20を含むPBS(-)、40mL):1バイアル
7.洗浄液(0.05% Tween20を含むPBS(-)(500mL)):1バイアル
8.反応停止液(1N HCl(15mL)):1バイアル
【0077】
この本発明診断キットの使用に際しては、抗ヘパラン硫酸抗体10E4固着済みイムノプレートの各ウェルを予め洗浄液で洗浄し、各ウェルに反応液を100μLずつ分注した。
【0078】
続いて、各濃度のヘパラン硫酸標準液又は肝疾患患者および慢性関節リウマチ患者の検体血清を10μL ずつ添加し、さらに各ウェルにビオチン標識ヘパラン硫酸液を100μLずつ添加して、37℃で60分間静置した。
【0079】
その後、この検出用キットにおいて、洗浄液で各ウェルを3回洗浄した後、ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン液を各ウェルに100μL 加え、これを37℃で30分間静置して反応させた。
静置後、各ウェルを洗浄液で3回洗浄し、その後各ウェルにテトラメチルベンチジン溶液100μL を添加し、37℃で15分間反応させ、発色させた。
【0080】
発色後、各ウェルに反応停止液を100μL 加えて反応を停止させ、ペルオキシダーゼによるTMBとH2O2との反応生成物の着色波長である450nmの吸光度(対照波長630nm)をウェルリーダー(SK601、生化学工業株式会社販売)で定量した。
【0081】
このように、本発明によれば、検体中のヘパラン硫酸を的確に定量する定量方法を血液検体において用いた、肝疾患又は慢性関節リウマチを検出する方法、及びこの方法を実施するための診断キットが提供される。
【0082】
【図面の簡単な説明】
【図1】ヘパラン硫酸と各種修飾体における、抗ヘパラン硫酸抗体10E4の認識率を示した図面である。
【図2】ヘパラン硫酸標準液を用いて作成した検量線である。
【図3】血清中のヘパラン硫酸のレベルの各群間での比較と75 EU/mLを境界値とした際の肝疾患及び慢性関節リウマチ検出における陽性率を示す図面である。

Claims (23)

  1. 血液検体におけるヘパラン硫酸の量的変化及び/又は質的変化を特定する、肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  2. 血液検体におけるヘパラン硫酸の量的変化及び/又は質的変化の特定手段として、血液検体に含まれるグルコサミン残基にN−硫酸基を有するヘパラン硫酸の定量を含む、請求項1記載の肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  3. 血液検体におけるヘパラン硫酸の量的変化及び/又は質的変化の特定原理が、抗ヘパラン硫酸抗体と血液検体中のヘパラン硫酸の抗原抗体反応である、請求項1又は請求項2記載の肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  4. 抗ヘパラン硫酸抗体が、ヒアルロン酸に対する交叉反応性が認められない抗ヘパラン硫酸抗体である、請求項3記載の肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  5. 抗ヘパラン硫酸抗体が、少なくともヘパラン硫酸におけるN−硫酸基を有するグルコサミン残基を抗原決定基とする抗ヘパラン硫酸抗体である、請求項3又は請求項4記載の肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  6. 請求項3乃至5のいずれかの請求項記載の検出方法において、抗原抗体反応が、固相担体に固着させた抗ヘパラン硫酸抗体に対する標識ヘパラン硫酸と血液検体中のヘパラン硫酸との競合的抗原抗体反応である、肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  7. 請求項6記載の検出方法において、競合的抗原抗体反応による検出手段に、固相担体上の抗ヘパラン硫酸抗体に結合した標識ヘパラン硫酸を検出することを含む、肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  8. 請求項6又は請求項7記載の検出方法において、標識ヘパラン硫酸における標識物質が、特異的結合対の一方の物質、蛍光物質、酵素、ハプテン及びラジオアイソトープからなる群から選択される物質である、肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  9. 請求項6又は請求項7記載の検出方法において、標識ヘパラン硫酸における標識物質が、特異的結合対の一方の物質である、肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  10. 請求項9記載の検出方法において、特異的結合対の一方の物質がビオチンである、肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  11. 請求項3乃至5のいずれかの請求項記載の検出方法において、血液検体におけるヘパラン硫酸の量的変化及び/又は質的変化の特定原理が、抗ヘパラン硫酸抗体に対する、固相担体に固着させたヘパラン硫酸と血液検体中のヘパラン硫酸との競合的抗原抗体反応である、肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  12. 請求項11記載の検出方法において、競合的抗原抗体反応による検出手段が、固相担体上のヘパラン硫酸に結合した抗ヘパラン硫酸抗体を検出することを含む、肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  13. 請求項11記載の検出方法において、固相担体として微粒子状固相担体を使用し、競合的抗原抗体反応による検出手段が、抗原抗体反応の際の微粒子状固相担体の凝集の程度を検出することを含む、肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  14. 下記の工程を含む肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法:(1)少なくともN−硫酸基を有するグルコサミン残基を抗原決定基とする抗ヘパラン硫酸抗体を固着させたマイクロプレートに、血液検体及びビオチンにより標識した標識ヘパラン硫酸を接触させ、マイクロプレートに固着させた抗ヘパラン硫酸抗体に対し、接触させた血液検体中のヘパラン硫酸及び標識ヘパラン硫酸を競合的に抗原抗体反応させ、(2)マイクロプレートに結合した標識ヘパラン硫酸に、ペルオキシダーゼ標識したアビジン類を結合させ、(3)マイクロプレートにおけるペルオキシダーゼ活性を測定することにより、上記血液検体中のヘパラン硫酸を定量する工程。
  15. 抗ヘパラン硫酸抗体が、モノクローナル抗体である、請求項3乃至14のいずれかの請求項記載の肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法。
  16. 少なくとも抗ヘパラン硫酸抗体を固着させた固相担体を含む、請求項3乃至10のいずれかの請求項記載の肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法を行うための診断キット。
  17. 抗ヘパラン硫酸抗体が、ヒアルロン酸に対する交叉反応性が認められない抗ヘパラン硫酸抗体である、請求項16記載の診断キット。
  18. 抗ヘパラン硫酸抗体が、少なくともヘパラン硫酸におけるN−硫酸基を有するグルコサミン残基を抗原決定基とする抗ヘパラン硫酸抗体である、請求項16又は請求項17記載の診断キット。
  19. 抗ヘパラン硫酸抗体がモノクローナル抗体である請求項16乃至18のいずれかの請求項記載の診断キット。
  20. 標識物質で標識された標識ヘパラン硫酸を含む、請求項3乃至10のいずれかの請求項記載の肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法を行うための診断キット。
  21. 標識ヘパラン硫酸が、特異的結合対の一方の物質、蛍光物質、酵素、ハプテン及びラジオアイソトープからなる群から選択される物質により標識された標識ヘパラン硫酸である、請求項20記載の診断キット。
  22. 標識ヘパラン硫酸が、特異的結合対の一方の物質で標識された標識ヘパラン硫酸である、請求項20記載の診断キット。
  23. 特異的結合対の一方の物質がビオチンである、請求項20記載の診断キット。
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