JP5715671B2 - 悪性プラズマ細胞疾患の検出又はモニタリング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、悪性プラズマ細胞疾患を検出又はモニタリングするためのアッセイ及び方法、並びに免疫グロブリンに特異的である抗体又は抗体の断片に関し、当該免疫グロブリンは重鎖に結合した軽鎖を含み、単離抗体又は断片は重鎖クラス(重鎖クラスとしても知られている)に対する特異性を有し、同時に軽鎖に対する特異性を有することを更に特徴とする。例えば骨髄腫のような悪性プラズマ細胞疾患の検出における組成物、及び抗体を用いる方法も提供される。
抗体分子(免疫グロブリンとしても知られている)は線対称であり、各々が可変ドメイン及び定常ドメインを含有する2つの同一重鎖及び2つの同一軽鎖から成る。重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、両鎖が抗体分子の抗原結合特異性に寄与するように、組み合わさって抗原結合部位を形成する。抗体の基本四量体構造は、ジスルフィド結合により共有結合した2つの重鎖を含む。各重鎖は順次、再びジスルフィド結合により軽鎖に結合する。これにより、実質的に「Y」字形の分子を生じる。これは、図1に模式的に示されている。
重鎖は、抗体中に見出される2タイプの鎖のうち、小さい軽鎖(25000Da)と比較したときにより大きい鎖であって、通常、分子量50000〜77000Daである。
それぞれIgG、IgA、IgM、IgD及びIgEの成分重鎖であるγ、α、μ、δ及びεといった重鎖の5つの主要クラスがある。IgGは、正常ヒト血清の主要免疫グロブリンであり、総免疫グロブリンの70〜75%を占める。これは、二次免疫応答の主要抗体である。また、2つの重鎖+2つの軽鎖の単一四量体を形成する。
IgMは、総免疫グロブリンの約10%を占める。これらの分子は、J鎖と共に、5つの基本的な四本鎖構造から五量体を形成する。個々の重鎖は約65000の分子量を有し、分子全体では約970000の分子量を有する。IgMは大部分が血管内に限定され、そして初期主要抗体である。
IgAは、ヒト血清中の総免疫グロブリンの15〜20%を示す。IgAの80%よりも多くは単量体として生ずる。しかし、IgA(分泌IgA)のうちのいくらかは二量体として存在する。
IgDは、総血漿免疫グロブリンの1%未満を占める。
IgEは正常血清中にはほとんど存在しないが、好塩基球及びマスト細胞の表面膜上に見出される。IgEは、喘息及び花粉症といったアレルギー性疾患と関連する。
5つの主要クラスに加えて、IgGに関して4つのサブクラスが存在する(IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4)。更に、IgAに関して2つのサブクラスが存在する(IgA1及びIgA2)。
2つのタイプの軽鎖:ラムダ(λ)及びカッパー(κ)が存在する。ヒトにおいてはκ分子はλ分子の約2倍産生されるが、これはいくつかの哺乳類では全く異なる。各鎖は、1つの定常ドメイン及び1つの可変ドメインに折りたたまれる単一ポリペプチド鎖中に約220のアミノ酸を含有する。プラズマ細胞は、κ分子又はλ分子と共に5つのタイプの重鎖のうちの1つを生じる。通常、重鎖合成を約40%を上回る遊離軽鎖の産生が認められ
る。重鎖分子と結合しない軽鎖分子は、「遊離軽鎖分子」として知られている。κ軽鎖は、通常は単量体として見出される。λ軽鎖は、二量体を形成する傾向がある。
抗体産生細胞と関連する多数の増殖性疾患が存在する。図2は、B細胞系疾患及びその関連疾患の発症を示す。これらの疾患は、悪性プラズマ細胞疾患として知られている。これらは、英国、バーミンガムのザ・バイディングサイト・リミテッドから入手可能な文献「無血清軽鎖分析」A.R. Bradwell著(ISBN: 07044 24541)に詳細にまとめられている。
多数のこのような増殖性疾患において、プラズマ細胞は増殖して、同一プラズマ細胞のモノクローナル腫瘍を形成する。これは同一免疫グロブリンの大量産生をもたらし、モノクローナルガンマグロブリン異常症として知られている。
骨髄腫及び原発性全身性アミロイドーシス(ALアミロイドーシス)のような疾患は、英国における癌死亡のそれぞれ約1.5%及び0.3%を占める。多発性骨髄腫は、非ホジキンリンパ腫に次いで2番目に一般的な形態の血液学的悪性疾患である。白人種集団では、その発生率は約40人/100万人/年である。従来、多発性骨髄腫の診断は、骨髄中の過剰なモノクローナルプラズマ細胞、血清又は尿中のモノクローナル免疫グロブリン、並びに高カルシウム血症、腎不全、貧血又は骨病変といった関連器官又は組織の機能不全の存在に基づいている。骨髄の正常プラズマ細胞含量は約1%であるが、多発性骨髄腫では、その含量は通常30%より多く、90%を上回ることもある。
ALアミロイドーシスは、アミロイド沈着のようなモノクローナル遊離軽鎖断片の蓄積を特徴とするタンパク質コンフォメーション障害である。典型的には、これらの患者は心不全又は腎不全を示すが、末梢神経及びその他の器官も関与し得る。
患者の血流内、又は尿内のモノクローナル免疫グロブリンの存在により同定され得る多数のその他の疾患が存在する。これらは、プラズマ細胞腫、及び骨髄の外側に生じて任意の器官で起こり得るプラズマ細胞腫瘍である骨髄外プラズマ細胞腫を含む。モノクローナル免疫グロブリンが存在する場合、モノクローナルタンパク質は典型的にはIgAである。多発性孤立性プラズマ細胞腫は、多発性骨髄腫の兆候を伴って又は伴わずに起こる。ワルデンシュトレームマクログロブリン血症は、モノクローナルIgMの産生に関連する低級リンパ球増殖性障害である。米国では年間約1500のそして英国では年間約300の新規症例が存在する。血清IgM定量は、診断及びモニタリングの両方のために重要である。B細胞非ホジキンリンパ腫は英国における全ての癌死亡の約2.6%原因となり、標準電気泳動法を用いて、患者の約10〜15%の血清中でモノクローナル免疫グロブリンが同定されている。初期の報告は、モノクローナル遊離軽鎖が60〜70%の患者の尿中で検出されることを示した。B細胞慢性リンパ球性白血病モノクローナルタンパク質は、遊離軽鎖イムノアッセイにより同定されている。
更に、いわゆるMGUS状態が存在する。これらは、重大性が分かっていないモノクローナル高ガンマグロブリン血症である。この用語は、多発性骨髄腫、ALアミロイドーシス、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症等の兆候を有さない個体中において、intact型のモノクローナル免疫グロブリンが予期せず存在することを意味する。MGUSは、50代以上の集団の1%、70代以上の3%並びに80代以上の最高10%に見出される。IgA関連又は二クローン性であることも稀にあるが、これらのほとんどがIgG又はIgM関連である。MGUSを有するほとんどの人々が関連のない疾患により死亡するが、MGUSは悪性モノクローナルガンマグロブリン異常症に転換することがある。
上記で強調した疾患に関して少なくともいくつかの場合、疾患は、モノクローナル免疫グロブリン又は遊離軽鎖の濃度の異常を示す。疾患がプラズマ細胞の異常複製をもたらす場
合、これはしばしば、「モノクローン」が血中で増殖、出現するようなタイプの細胞による更なる免疫グロブリンの産生をもたらす。
モノクローナル免疫グロブリン、並びにそれらの免疫グロブリンを構成する重鎖及び軽鎖の同定は、多数の方法で実行される。血清タンパク質電気泳動(SPE)及び免疫固定電気泳動(IFE)は、長年にわたって血清中のモノクローナルタンパク質の存在を同定するために用いられてきた。血清タンパク質電気泳動は、intact型免疫グロブリン多発性骨髄腫に関するスクリーニングのための標準的な方法であり、血清タンパク質が分離、固定、染色されたゲルのスキャニングに基づいている。骨髄腫を有する患者由来の試料のうちのいくつかは電気泳動では正常であるように見えるということを含めて、この方法に関連しての限界が存在する。これは、患者を見逃す可能性及び疾患の誤診をもたらす。更にこの手法は、特に低濃度において、同定される種々のタンパク質の正確な定量が困難である。血清電気泳動は遊離軽鎖の存在を同定するために用いられるが、しかし検出限界は、モノクローナルタンパク質がβタンパク質に並んで移動するか否かに応じて、500mg/L〜2000mg/Lである。血清タンパク質電気泳動は、非分泌性骨髄腫を有する全ての患者において遊離軽鎖に関して陰性である。
免疫固定電気泳動は、免疫グロブリン分子に対する沈降抗体を使用する。これは試験の感度を改善するが、沈降抗体が存在するために、モノクローナル免疫グロブリンを定量するために用いることができない。免疫固定電気泳動はまた、実施がむしろ困難であり、解析が困難であることがある。キャピラリーゾーン電気泳動は血清タンパク質分離のために多数の臨床実験室で用いられ、そしてほとんどのモノクローナル免疫グロブリンを検出し得る。しかしながら免疫固定法と比較すると、キャピラリーゾーン電気泳動は試料中の5%のモノクローナルタンパク質は検出できない。これらのいわゆる「擬陰性」結果は、低濃度モノクローナルタンパク質を含む。
総κアッセイ及び総λアッセイはが開発されている。しかしながら総κアッセイ及び総λアッセイは、モノクローナル免疫グロブリン又は遊離軽鎖を検出するには感度が低過ぎる。これは、このようなアッセイを妨害するポリクローナル結合軽鎖によるバックグラウンド濃度の高さのためである。
更に近年、本出願人は、遊離κ軽鎖と遊離λ軽鎖を別個に検出し得る高感度アッセイを開発した。この方法は、遊離κ軽鎖又は遊離λ軽鎖に対するポリクローナル抗体を使用する。これは、A.R. Bradwellによる文献において詳細に考察されている。このような抗体を
生じる可能性に関しても、多数の異なる潜在的特異性のうちの1つとして、国際公開公報WO97/17372号において考察された。この文書は、従来技術がもたらすよりも特異的である目的の抗体を産生させるために、動物を寛容化する方法を開示している。遊離軽鎖アッセイは、遊離λ軽鎖又は遊離κ軽鎖と結合するために抗体を使用する。遊離軽鎖の濃度は、比濁分析又は濁度測定により決定される。これは、反応容器又はキュベット中の適切な抗体を含有する溶液への試験試料の添加を含む。光線は、キュベット中を通過し、抗原−抗体反応が進行すると、不溶性免疫複合体が形成されるにつれてキュベットを通過する光線は漸増的に散乱される。比濁分析では、光散乱は入射光から離れた角度で光強度を測定することによりモニタリングされるが、濁度測定では、光散乱は入射光線の強度の減衰を測定することによりモニタリングされる。既知の抗原(即ち遊離κ又は遊離λ)の濃度の一連のキャリブレーターは、測定光散乱対抗原濃度の検量線を作成するために最初にアッセイされる。
この形態のアッセイは、遊離軽鎖濃度を効率的に検出するために見出された。更に当該手法の感度は非常に高い。
例えば多発性骨髄腫を引き起こすタイプのモノクローナルプラズマ細胞はλ又はκ軽鎖を有する1つのタイプの抗体のみを生じるため、λ又はκの相対比は変化する。遊離λ軽鎖の量及び遊離κ軽鎖の量が既知である場合、遊離λ軽鎖と遊離κ軽鎖との比を算定することが可能である。種々の疾患を有する患者に関する血清中のλ軽鎖の濃度対血清中のκ軽鎖の濃度をプロットした結果の一例が、図3に示されている。これらの疾患の多くのモノクローナル特性のため、遊離λ軽鎖及び遊離κ軽鎖の量は正常濃度から外れている。
遊離軽鎖に関するκ:λ比の測定は、疾患の診断に役立つ。更に、例えば化学療法又は放射線療法により疾患が治療される場合、当該手法は疾患をモニタリングすることを可能にする。疾患が効果的に治療されている場合には、寿命が比較的短い血中の遊離軽鎖の濃度は変化し、正常血清において観察される正常濃度により近付く。更に、悪性プラズマ細胞疾患では、反対軽鎖の産生の抑制がしばしば認められ、κ:λ比は個々のFLC測定よりも感度が高いことがある。
Haraldsson A.他,(Ann. Clin. Biochem (1991), 28 (5): 461-466)は、総IgG、IgA及びIgMにおけるκとλの比の決定のためのELISAアッセイを開示している。
Chui S.A.他,(J. Clin. Immunol. (1991), 11 (4): 219-223)は、ELISAキットを
用いて原発性IgA腎症を有する患者を試験することを開示する。ELISAは、固相捕捉体としてモノクローナルマウス抗ヒトIgA1、並びにペルオキシダーゼ標識抗κ抗体及び抗λ抗体を用いる。IgA腎症は、IgAが腎臓中の沈着物として蓄積する場合に引き起こされる腎臓疾患であり、家族に遺伝すると考えられている。
図4は、このような疾患全てが遊離軽鎖を生じるわけではない、ということを示す。疾患のマーカーとして遊離軽鎖を使用することは、100%成功するわけではない。
例えばIgGλとIgGκとを区別し得る抗体及びアッセイを開発することが可能であることを本発明者は見出した。従って本発明者は、免疫グロブリンに特異的であり、そして重鎖及び軽鎖の両方に対する特異性を有する抗体を産生しようとした。本発明者は、これを首尾よく成し遂げることができた。本発明者は、結合λ鎖又はκ鎖と接合した共特異的重鎖の産生、又は重鎖サブクラスの産生にさえ関連するモノクローナル疾患の進行を迅速に同定及び/又は追跡を可能にするために、例えばIgGλとIgGκとの比の迅速な定量測定を可能にするアッセイも開発した。
軽鎖タイプと同時に重鎖クラスに特異的な抗体を用いて、或いは重鎖クラスに対する第1の抗体並びに重鎖に結合された軽鎖タイプを決定するための第2の抗体を用いることにより免疫グロブリンの組成を決定することによって、本発明者は悪性プラズマ細胞疾患に関する感度の高いアッセイを開発した。開発されたアッセイは、例えばSPEによるよりも感度の高い疾患モニタリングを可能にする。そのより高い感度は、例えばモノクローナルタンパク質の濃度がSPE検出限界より下がった場合、クローンの検出を可能にする。更に、これらは正常な軽鎖比を有するいくつかの二クローン性疾患を同定する能力を有する。
また、更なる利点は、このアッセイが腎機能により影響されないという点である。遊離λ及び遊離κは腎臓を通して濾過されることにより浄化され、それらの濃度は濾過速度により影響される。そのサイズのため、intact型の免疫グロブリンは他のメカニズムにより浄化される。従って遊離軽鎖のレベルが上昇しても、本発明により検出される免疫グロブリ
ンの量は変化しないことを用いて、特にκ:λ比が変化を示さなかった場合、腎クリアランスの変化のみを示し得る。
用いられるアッセイとしては、ELISA、比濁分析、濁度測定及びフローサイトメトリーが挙げられる。しかしながら本発明は、このようなアッセイに限定されない。
抗体の模式図を示す。 B細胞系列の発生及びその関連疾患を示す。MGUSは、重大性が分かっていないモノクローナル高ガンマグロブリン血症を意味する。 血清タンパク質電気泳動(SPE)及び免疫固定電気泳動(IFE)を用いて陰性と誤認され得る試料を示す血清遊離軽鎖のκ及びλのグラフを示す;LCMMは軽鎖多発性骨髄腫を意味する;NSMMは非分泌性多発性骨髄腫を意味する;IIMMはintact型の免疫グロブリン多発性骨髄腫を意味する(Drayson M, Tang LX, Drew R, Mead GP, Carr-Smith H, Bradwell AR.著「非分泌型多発性骨髄腫患者を同定及びモニタリングするための無血清軽鎖測定」, Blood 2001; 97: 2900-2902、Bradwell AR, Carr-Smith HD, Mead GP, Harvey TC, Drayson MT.著「Bence−Jones骨髄腫患者の血清試験評価」, Lancet 2003; 361: 489-491、Mead GP. Carr-Smith HD, Drayson MT, Morgan GJ, Child JA, Bradwell AR.著「多発性骨髄腫をモニタリングするための無血清軽鎖」, Brit. J. Haematol. 2004; 126: 348-354、Lachmann HJ, Gallimore R, Gillmore JD, Carr-Smith HD, Bradwell AR, Pepys MB, Hawkins PN.著「全身性ALアミロイドーシスにおける、化学療法による循環遊離免疫グロブリンの軽鎖の濃度の変化の結果」, Brit. J. Haematol. 2003; 1223: 78-84)。 種々の型の多発性骨髄腫及びワルデンシュトレームのマクログロブリン血症(WM)を有する患者における血清遊離軽鎖濃度異常の頻度を示す。LCMMは軽鎖多発性骨髄腫を意味する;NSMMは非分泌性多発性骨髄腫を意味する(Drayson M, Tang LX, Drew R, Mead GP, Carr-Smith H, Bradwell AR.著「非分泌型多発性骨髄腫患者を同定及びモニタリングするための無血清軽鎖測定」, Blood 2001; 97: 2900-2902、Bradwell AR, Carr-Smith HD, Mead GP, Harvey TC, Drayson MT.著「Bence−Jones骨髄腫患者の血清試験評価」, Lancet 2003; 361: 489-491、Mead GP. Carr-Smith HD, Drayson MT, Morgan GJ, Child JA, Bradwell AR.著「多発性骨髄腫をモニタリングするための無血清軽鎖」, Brit. J. Haematol. 2004; 126: 348-354)。 下記の方法によりなされるELISAアッセイの(a)IgA1κ及び(b)IgA1λに関する標準曲線を示す: 患者番号7148について、下記のようにELISAにより測定されるIgA κ/λ比(−▲―);重鎖に結合しない試料中の遊離軽鎖に注目しながら決定した場合のκ/λ比(−◆―)、並びに試料中の総IgA(―●―)を示す。試料が採取された各日の各患者のSPEスコア(血清タンパク質電気泳動)も示される。 患者番号7273について、下記のようにELISAにより測定されるIgA κ/λ比(−▲―);重鎖に結合しない試料中の遊離軽鎖に注目しながら決定した場合のκ/λ比(−◆―)、並びに試料中の総IgA(―●―)を示す。試料が採取された各日の各患者のSPEスコア(血清タンパク質電気泳動)も示される。 患者番号7283について、下記のようにELISAにより測定されるIgA κ/λ比(−▲―);重鎖に結合しない試料中の遊離軽鎖に注目しながら決定した場合のκ/λ比(−◆―)、並びに試料中の総IgA(―●―)を示す。試料が採取された各日の各患者のSPEスコア(血清タンパク質電気泳動)も示される。 患者番号7255について、下記のようにELISAにより測定されるIgA κ/λ比(−▲―);重鎖に結合しない試料中の遊離軽鎖に注目しながら決定した場合のκ/λ比(−◆―)、並びに試料中の総IgA(―●―)を示す。試料が採取された各日の各患者のSPEスコア(血清タンパク質電気泳動)も示される。 患者番号7401について、下記のようにELISAにより測定されるIgA κ/λ比(−▲―);重鎖に結合しない試料中の遊離軽鎖に注目しながら決定した場合のκ/λ比(−◆―)、並びに試料中の総IgA(―●―)を示す。試料が採取された各日の各患者のSPEスコア(血清タンパク質電気泳動)も示される。 患者番号70236について、下記のようにELISAにより測定されるIgA κ/λ比(−▲―);重鎖に結合しない試料中の遊離軽鎖に注目しながら決定した場合のκ/λ比(−◆―)、並びに試料中の総IgA(―●―)を示す。試料が採取された各日の各患者のSPEスコア(血清タンパク質電気泳動)も示される。 患者番号70338について、下記のようにELISAにより測定されるIgA κ/λ比(−▲―);重鎖に結合しない試料中の遊離軽鎖に注目しながら決定した場合のκ/λ比(−◆―)、並びに試料中の総IgA(―●―)を示す。試料が採取された各日の各患者のSPEスコア(血清タンパク質電気泳動)も示される。 患者番号70382について、下記のようにELISAにより測定されるIgA κ/λ比(−▲―);重鎖に結合しない試料中の遊離軽鎖に注目しながら決定した場合のκ/λ比(−◆―)、並びに試料中の総IgA(―●―)を示す。試料が採取された各日の各患者のSPEスコア(血清タンパク質電気泳動)も示される。 患者番号70392について、下記のようにELISAにより測定されるIgA κ/λ比(−▲―);重鎖に結合しない試料中の遊離軽鎖に注目しながら決定した場合のκ/λ比(−◆―)、並びに試料中の総IgA(―●―)を示す。試料が採取された各日の各患者のSPEスコア(血清タンパク質電気泳動)も示される。 患者番号70052について、下記のようにELISAにより測定されるIgA κ/λ比(−▲―);重鎖に結合しない試料中の遊離軽鎖に注目しながら決定した場合のκ/λ比(−◆―)、並びに試料中の総IgA(―●―)を示す。試料が採取された各日の各患者のSPEスコア(血清タンパク質電気泳動)も提示される。
本発明の第1の態様は、悪性プラズマ細胞疾患の検出又はモニタリング方法であって、
(i)λ軽鎖と結合した重鎖クラスを有する免疫グロブリン、及び
(ii)同一重鎖クラスを有するがκ軽鎖と結合した重鎖クラスを有する免疫グロブリンの相対量の比を試料中で検出することを包含する方法を提供する。
本方法は好ましくは、試料中の2つの免疫グロブリンの量を定量的に測定する。
好ましくは試料は、哺乳類、好ましくはヒトなどの動物の血液又は血液由来の血清といった組織又は流体から得られる。
更に、尿中のこのようなタンパク質を同定することが可能である。好ましくは試料はin
vitroでアッセイされる。
検出されるクラスは、IgA、IgG、IgM、IgD及びIgEから選択される。抗体は、サブクラス特異性でもある。
種々の重鎖クラス/軽鎖タイプ免疫グロブリンを識別するために単一抗体を用いることが可能である、ということを本発明者は見出した。それゆえ、本発明の方法は、
(i)第1の軽鎖タイプに対する特異性を有すると同時に重鎖に対する特異性を有する抗体又はその断片を、以下の:
(ii)第2の軽鎖タイプに対する特異性を有すると同時に重鎖に対する特異性を有する抗体又はその断片、或いは
(iii)重鎖に対する特異性を有する抗体又はその断片、並びに第2の軽鎖タイプに対する特異性を有する更なる抗体又はその断片
と組合せて用いて決定される。
本発明の代替的な態様では、検出されるべき免疫グロブリンの2つの異なる部分がアッセイに用いられる抗体により結合される。1つの抗体は、重鎖クラスの決定に関わる重鎖の一部と結合する。第2の抗体は、軽鎖がκ鎖なのかλ鎖なのかを同定するのに関わる軽鎖の一部と結合する。
従って、好ましくは、比は
(i)重鎖クラスに対して特異的な少なくとも1つの抗体又はその断片、
(ii)λ軽鎖に特異的な抗体又はその断片、及び
(iii)κ軽鎖に特異的な抗体又はその断片
を用いて決定される。
これらの免疫グロブリンに結合する特異的抗体の存在は、標識された第2の抗体を用いて決定される。例えば結合抗体は、ヒツジ抗体である。検出される免疫グロブリンは、ヒト免疫グロブリンである。それゆえ、ヒト免疫グロブリンに結合するヒツジ抗体の存在は、例えばウサギ又はウマ由来の抗ヒツジ抗体を用いて決定される。
このような抗体の使用は、それらが異なる比率の遊離軽鎖をもたらさない場合であっても、悪性プラズマ細胞疾患により産生されるクローンを特性化することを可能にする。更に、重鎖クラスを同様に同定するので、遊離λ又は遊離κの正確な測定の代わりとして、この試験はより明確である。これは、モノクローナルプラズマ細胞の特性化を改善する。
本発明者により生み出された結果は、例えば観察されるIgGκ及びIgGλ又はIgAκ及びIgAλの比の違いのために異常な遊離κ対遊離λの比をもたらさないいくつかの腫瘍を同定することができることを示す。
重鎖−軽鎖特異的対の測定は、自動化することができる。更に当該手法はより感度が高く、種々の免疫グロブリンの量を定量的に決定することができる。これは、疾患の診断を手助けするために、そして治療に対する疾患の応答をモニタリングするためにも用いられる。
アッセイに用いられる抗体は、重鎖サブクラス特異的である。例えば抗IgA(IgA1及びIgA2)及び抗IgG(例えばIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)抗体は、英国、バーミンガムのThe Binding Siteにより製造される。これは、検出されつつある疾患のより詳細な知識を提供する。
ポリクローナル抗体が好ましく用いられる。これは、例えば同一クラスの種々の免疫グロブリンをモニタリングするための改良型アッセイを開発することを可能にする。ポリクローナル抗体は、重鎖の多数の部分に対して産生されるため、同一クラスの異なる重鎖のいくつかの変動を検出することを可能にする。
本発明の方法は、1つ又は複数の以下の方法を用いても使用されるが、この場合、試料中
における免疫グロブリンに対する抗体の結合は、比濁計、濁度計、フローサイトメトリー、ELISA又はLuminex(商標)ビーズなどの蛍光標識ビーズを用いることにより決定される。或いはマイクロアレイアッセイは、抗体を用いて成される。
好ましくは比は、イムノアッセイ、最も好ましくはELISA(酵素免疫測定法)といった免疫吸着アッセイにより決定される。ELISA型アッセイは、それ自体、当該技術分野において既知である。これらは抗体又は抗体の断片を用いて、血液群、細胞表面マーカ
ー、薬剤及び毒素を検出する。本発明の場合、このタイプのアッセイが本発明の方法のために用いられる。
少なくとも血清タンパク質電気泳動と同じくらい感度が高く、少なくともいくつかの場合には、免疫固定電気泳動(IFE)、FREELITE(商標)(The Binding Site, 英国、バーミンガム)を用いるか又は比濁分析として全重鎖クラス濃度を得るよりも感度の高いELISAアッセイを行うことが可能であることを本発明者は見出した。
ELISAは、特異的抗原を検出するために抗体を用いる。アッセイに用いられる1つ又は複数の抗体は、基質を検出可能分析物に変換し得る酵素で標識される。このような酵素としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ及び当該技術分野において既知のその他の酵素が挙げられる。或いはその他の検出可能なタグ又は標識が、酵素の代わりに、又は酵素と共に用いられる。これらの例としては、放射性同位体、フルオレセイン、アレクサフルオール、オレゴングリーン、BODIPY、ローダミンレッド、カスケードブルー、マリナブルー、パシフィックブルー、カスケードイエロー、金といった当該技術分野において既知の広範囲の着色標識又は蛍光標識、並びにビオチン(例えばInvitrogen Ltd, 英国から入手可能)のような接合体が挙げられる。染料ゾル、金属ゾル又は着色ラテックスも用いられる。1つ又は複数のこれらの標識は、本明細書中に記載される種々の発明に従ってELISAアッセイに、或いは本明細書中に記載される他のアッセイ、標識抗体又はキットに用いられる。
ELISA型アッセイの構成物は、当該技術分野において既知である。例えば免疫グロブリンに特異的な「結合抗体」は支持体上に固定される。この場合、免疫グロブリンは、λ軽鎖又はκ軽鎖に付着する特定クラス又はサブクラスの重鎖を含む。「結合抗体」は、当該技術分野において既知の方法により支持体上に固定される。試料中の免疫グロブリンは、「結合抗体」を介して支持体に免疫グロブリンを結合する「結合抗体」により結合される。
非結合免疫グロブリンは、洗い落とされる。
ELISAアッセイでは、結合免疫グロブリンの存在は、結合抗体以外の当該免疫グロブリンの異なる部分に特異的な標識「検出抗体」を用いることにより決定される。
好ましくはフローサイトメトリーは、対象となる免疫グロブリンの結合を検出し、その比を測定するために用いられる。この手法は、例えば細胞分類に用いられるなど、当該技術分野において既知である。しかしながらそれは、ビーズのような標識粒子を検出するために、そしてそれらのサイズを測定するためにも用いられる。「Practical Flow Cytometry, 3rd Ed. (1994)」(H. Shapiro, Alan R. Liss著, New York)及び「Flow Cytometry, First Principles (2nd Ed.)」(2001, A.L.Given, Wiley Liss著)などの多数の教科書がフローサイトメトリーを記載している。
重鎖クラスに特異的な抗体のような結合抗体のうちの1つは、ポリスチレン又はラテックスビーズなどのビーズに結合される。ビーズは試料、及びλ軽鎖に特異的な抗体などの二次検出抗体と混合される。検出抗体は、好ましくは、試料中で検出されるべき免疫グロブリンを結合する検出可能なラベルで標識される。これは、アッセイされるべき免疫グロブリンが存在する場合、標識ビーズを生じる。
次に標識ビーズは、フローサイトメトリーにより検出される。種々の蛍光標識のような標識が、例えば抗λ抗体及び抗κ抗体に用いられる。これは、結合された免疫グロブリンの各タイプの量を同時に決定することを可能にし、目的の重鎖クラスに関するκ:λ比を迅
速に同定することを可能にする。
代替的に又は付加的に、種々のサイズのビーズが種々の抗体のために、例えば種々のクラス特異的抗体のために用いられる。フローサイトメトリーは、異なるサイズのビーズを区別することができ、それゆえ試料中の各重鎖クラスの量を迅速に決定することができる。
フローサイトメトリーは、目的の重鎖クラス又はサブクラスに関するκ/λ比の迅速な同定を可能にする。これは、免疫固定試験の必要性も低減する。
代替的な方法は、市販のLuminex(商標)ビーズのような蛍光標識ビーズと結合した抗体を用いる。種々のビーズが、種々の抗体と共に用いられる。種々のビーズが、種々の蛍光体混合物で標識され、特定の重鎖クラス又はサブクラスに関するλ/κ比を蛍光波長により検出することを可能にする。Luminexビーズは、米国、テキサス州オースティンのLuminex Corporationから入手可能である。
試料中のモノクローナルタンパク質は、試料中の遊離λ軽鎖又は遊離κ軽鎖の量に注目することにより更に特性化される。これは、好ましくは、英国、バーミンガムのThe Binding Site LtdによりFREELITEの商標で販売されている、遊離λ軽鎖又はκ軽鎖に特異的な抗体を用いて実行される。
本発明の更なる態様は、
(i)重鎖クラスに対して特異的な少なくとも1つの抗体又はその断片、
(ii)λ軽鎖に特異的な抗体又はその断片、及び
(iii)κ軽鎖に特異的な抗体又はその断片
を含む、前記いずれかの請求項に記載の方法において用いる、ELISAアッセイキットのような免疫吸着アッセイキットを提供する。
抗体、ラベル等は好ましくは上記と同様である。
好ましくは重鎖クラスに特異的な抗体は、支持体に固定される。支持体はビーズであってもよいが、好ましくはマイクロタイタープレートウエルである。
1つ又は複数の抗体は、好ましくは検出可能な標識を含む。
IgAλ又はIgAκ或いはその断片といった、既知の量の所定モノクローナルタンパク質などの1つ又は複数の対照は、上記又はその他のELISA、フローサイトメトリー、Luminex、マイクロアレイ又は本明細書中に記載されるその他のアッセイに提供される。断片は、用いられる場合、例えばクラス又は軽鎖タイプを検出するための抗原決定基を有する。
(i)重鎖クラスに対して特異的な少なくとも1つの抗体又はその断片、
(ii)λ軽鎖に特異的な抗体又はその断片、及び
(iii)κ軽鎖に特異的な抗体又はその断片
を含むフローサイトメトリーキット又はLuminexビーズも提供される。
抗体、ラベル等の配置は、好ましくは上記と同様である。
好ましくは重鎖クラスに特異的な抗体は、ビーズなどの支持体上に固定され、各タイプの軽鎖特異的抗体(ii及びiii)は異なる検出可能なラベルで標識される。
好ましくはキットは、種々の重鎖クラスに特異的な複数の異なる抗体又はその断片を含み、種々の重鎖クラス抗体のタイプの各々は異なるサイズのビーズに付着される。
従って本発明の更なる態様は、免疫グロブリン重鎖−軽鎖対に特異的である単離抗体又はその断片であって、軽鎖タイプに対する特異性を有すると同時に重鎖クラスに対する特異性を有することを更なる特徴とする単離抗体又はその断片を提供する。
好ましくは抗体は、軽鎖に結合した重鎖と結合し得るポリクローナル抗体、例えば2つの重鎖及び2つの軽鎖を含有する四量体である。重鎖クラスに対する特異性及び軽鎖クラスに対する特異性を有することは、抗体が種々の重鎖クラスを区別することができるということ、そして同一クラスであるがしかしκ軽鎖又はλ軽鎖に結合した重鎖も区別することができるということを意味することを意図する。例えば抗体は、IgGλとIgGκとを区別することができ、そしてIgGλとIgAλとを区別することができる。好ましくは抗体は、IgGλ、IgGκ、IgAλ、IgAκ、IgMλ、IgMκ、IgDλ、IgDκ、IgEλ又はIgEκに特異的である。
抗体は、重鎖サブクラスと軽鎖の組合せのクラスに特異的でもある。例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1又はIgA2に特異的である。即ち、IgG1κとIgG2κとを区別することができる。
抗体の断片は、重鎖クラス及び/又は軽鎖タイプを特異的に結合すると共に検出することができ、Fab又はF(ab’)2断片である。
実際、本発明の他の態様に用いられる抗体の断片も、Fab又はF(ab’)2断片であ
る。
好ましくは抗体又は断片は、ポリクローナル抗体である。ポリクローナル抗体は、特異的重鎖−軽鎖の組合せに対する種々のエピトープに対して複数の異なる抗体を産生することを可能にする。これは、種々の免疫グロブリン間のわずかな変動を可能にするが、それにもかかわらず同一の重鎖−軽鎖の組合せを含む。
本発明の種々の態様に用いられるポリクローナル抗体は、国際公開公報WO97/17372号に示される方法により産生される。これは、高度に特異的なポリクローナル抗体の産生を可能にする。
抗体又は断片は、当該技術分野において既知の手法により支持体上に固定される。支持体は、例えばマイクロアレイ又はマイクロタイタープレートである。或いは支持体は、ポリスチレン及び/又はラテックスビーズである。これは、例えば欧州特許第0291194号に示されるような、当該技術分野において既知である多数の異なるアッセイ又はELISAアッセイにおいて抗体を用いることを可能にする。抗体はまた、例えばELISAに関して上記されたラベルで標識される。これは任意の要素であり、その存在は容易に検出される。ラベルは、可視ラベル、即ちその天然状態で、裸眼で又は光学的フィルター及び/又は蛍光を生じるためのUV光のような刺激の助けを借りて容易に見ることができる要素である。例えば染料ゾル、金属ゾル(例えば金)又は着色ラテックス粒子などの微小着色粒子が用いられる。
酵素(例えばアルカリ性ホスファターゼ及び西洋ワサビペルオキシダーゼ)のような間接的ラベルは、35Sのような放射性標識と同様に用いられる。
抗体を用いるアッセイは、当該技術分野において既知である。
抗体は、フローサイトメトリーキット又はLuminex(商標)キットを開発するために用いられる。これらの手法は、本明細書中に記載されている。好ましくはこのようなキットは、ポリスチレンなどのビーズに結合された抗体を含む。好ましくはキットは更に、本発明の抗体によりビーズに結合された試料から免疫グロブリンの存在を検出するために標識抗体を含む。
好ましくはキットは、異なる重鎖クラス及び/又は異なる軽鎖タイプに特異的な2つの異なるタイプの抗体を含み、異なるタイプの抗体は、種々のサイズのビーズ上に支持されるか、又は種々の検出可能なラベルで標識される。
本発明による抗体又は断片を含む特異的免疫グロブリン分子の検出キットも提供される。
本発明のキットは更に、遊離λ軽鎖又は遊離κ軽鎖に特異的な抗体を含んでもよい。
キットは更に、以下の:キットを使用するための使用説明書、支持体、バッファー、ラベル、防腐剤又はコントロールのうちの1つ又は複数を含んでもよい。
好ましくは、本発明の種々の態様によるELISAアッセイのような免疫吸着アッセイは、λ軽鎖に特異的な抗体、及びκ軽鎖に特異的な第2の抗体、及び重鎖クラスに特異的な抗体を含む。或いはELISAは、同一重鎖クラスに特異的であるが、異なる軽鎖タイプに特異的な抗体を含む。このようなアッセイは、IgG又はIgAのような重鎖クラスに特異的な捕捉層及び検出抗体(抗λ及び抗κ)を用いる。或いは抗軽鎖(例えば抗κ)は、捕捉層として、クラス特異的抗体(例えば抗IgA)と共に用いられる。
本発明は、好ましくはin vitroにおける特異的結合アッセイを実行する方法であ
って、
(i)免疫グロブリン分子を含有する試料を提供し、
(ii)試料を本発明の抗体又はその断片と接触させ、
(iii)抗体と免疫グロブリン分子の特異的結合を検出すること
を含む方法を更に提供する。
好ましくは特異的結合ステップ(iii)は、比濁計又は濁度計を用いて検出される。すでに示されているように、このような手法は当該技術分野において既知である。
或いは特異的結合アッセイは、酵素免疫測定法(ELISA)を用いて、ステップ(iii)を検出できる。特異的抗体に対する分析物の検出の比色法は、当該技術分野で既知である。例えば欧州特許第0291194号は、種々の分析物を検出するための試験ストリップを用いるイムノアッセイを開示する。当該文書は、このようなアッセイの開発、並びに特異的抗体に結合された場合の分析物の検出方法を示している。アッセイ装置を開発するためのその他の手法は、当該技術分野において既知である。
好ましくは抗体又はその断片は、当該技術分野において既知の手法により固体支持体上に固定される。当該方法は更に、アッセイされるべき免疫グロブリン分子と非特異的に結合することができる標識試薬を提供し、抗体又は断片に結合した標識免疫グロブリンの存在を検出するステップを提供する。標識試薬は、それ自体、免疫グロブリン分子の異なる部分を対象とする別の抗体であってもよく、個々の抗体は、例えば上記の種類のラベルで標識される。ラベルの存在は、例えばサンドイッチアッセイの開発を、並びに標識免疫グロブリンとアッセイされるべき分子の結合及び本発明の特異的抗体との結合の同定を可能にする。
本発明の方法は、特異的クラスを有し、特異的軽鎖タイプを有する第1の免疫グロブリン分子の存在を検出する方法を更に含み、本発明の抗体又はその断片の使用、或いは本発明の方法の使用を含む。
免疫グロブリン分子の量は、定量的に測定することができる。
当該方法は更に、第1の免疫グロブリン分子と同一の特異的重鎖クラスを有する第2の免疫グロブリン分子の存在も検出すると共に定量できるが、種々のタイプの軽鎖が、例えば本発明の種々の抗体を用いて測定される。これは、例えばIgGλとIgGκの比を同定するために、第1の免疫グロブリン分子と第2の免疫グロブリン分子の量の比を決定することを可能にする。これは、疾患の進行を追跡することを可能にし、或いは疾患の治療を追跡することを可能にする。
本発明は更に、本発明の抗体又はその断片の使用、或いは本発明の方法の使用を含む、患者における悪性プラズマ細胞疾患の診断方法を含む。好ましくは血液、尿又は血清がアッセイされる。
好ましくは悪性プラズマ細胞疾患は:多発性骨髄腫、ALアミロイドーシス、孤立性プラズマ細胞腫、骨髄外プラズマ細胞腫、多発性孤立性プラズマ細胞腫、プラズマ細胞白血病、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、B細胞非ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病又はMGUSから選択される。
ここでは、以下の図面を参照しながら、本発明を単なる例示として説明する。
多発性骨髄腫のモニタリングのためのIgA κ/λ ELISAアッセイ系の開発及び分析
序論
多発性骨髄腫(MM)は、血液学的悪性疾患の約10%を占める悪性プラズマ細胞障害である。この疾患は、intact型モノクローナル免疫グロブリン及び/又は遊離軽鎖(FLC)を産生するプラズマ細胞のクローン性増殖を特徴とする。モノクローナル免疫グロブリンは、1〜2%の非分泌性骨髄腫を除く全患者の血清及び/又は尿中で観察される。何人かの患者は、モノクローナル遊離軽鎖の頻度増大を示す。MMのようなモノクローナル高ガンマグロブリン血症の同定を助けるために用いられるのに加え、モノクローナル免疫グロブリンは疾患をモニタリングするために検出、使用される。様々な方法は一般に、モノクローナル免疫グロブリンを同定及び特性化するために用いられる。血清タンパク質電気泳動(SPE)及び免疫固定電気泳動(IFE)は、利用される2つの方法である。SPEはモノクローナル免疫グロブリンの定量的分析を可能にするが、IFEは定性的方法である。更に近年、遊離軽鎖の比濁分析を可能にするFREELITE(商標)が開発された。このアッセイ系は、SPE及びIFEと比較して試料の迅速な試験を可能にし、更に定量的であり、FLC比を算定できる。現在、MMにおいて重鎖に付着するモノクローナル軽鎖を調べるための同程度のアッセイ系は存在しない。この報告は、重鎖に付着するモノクローナル軽鎖の異常な比を検出する能力を評価するために開発された予備アッセイを記載する。記載されるアッセイは、IgAκ及びIgAλの検出のためのELISAアッセイ系であり、IgAκ/λ比の定量を可能にする。
FREELITE(商標)は、英国のThe Binding Site(TBS)Ltdの商標である。
方法
捕捉抗体による96ウエルプレートのコーティング
ヒツジ抗ヒトIgA(TBS製品コードAU010、アフィニティー精製)を、1×PBS(pH7.2)中で5μg/mlに希釈した。100μlの希釈抗血清を各ウエルに添加することにより、マイクロタイタープレート(High bind, Greiner Bio-one)をコーティングした。プレートを、4℃で保湿雰囲気中に18時間放置した。ウエルの内容物を取り除き、110μl/ウエルの50%[v/v]Stabilcoat(生体分子安定剤/遮断剤)を30分間添加して、ウエルのコーティングされていない領域をブロッキングした。ブロッキング溶液の除去後、プレートを真空乾燥機中に1時間放置した。乾燥剤を含有するホイルバッグ中にプレートを密封し、4℃で保存した。
接合体希釈の決定
アフィニティー精製されたヒツジ抗ヒトκ−西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)又はアフィニティー精製されたヒツジ抗ヒトλ−HRPを接合希釈剤(130nMのNaCl、10%[v/v]HRP接合安定剤、0.045%[v/v]Proclin300(防腐剤))中に様々な希釈濃度に希釈した。2つのヒツジ抗ヒトIgAコーティングプレートを、試料希釈剤(1×PBS+2%[v/v]Stabilguard(生体分子安定剤/遮断剤)、1%[w/v]ウシ血清アルブミン(BSA)、0.05%[v/v]Tween−20、0.02%[v/v]Kathon(殺生物剤)、pH7.2)中に1/50に希釈した既知の濃度のIgAコントロール(RID IgA NLコントロール
3.963mg/ml、RID IgA MLコントロール 0.05mg/ml及びRID IgA ULコントロール 0.18mg/ml)と共に30分間インキュベートした
。プレートを洗浄バッファー(16×PBS+1%[v/v]Tween−20、0.02%[v/v]Kathon、pH7.2)で3回洗浄した。1つのプレートに抗ヒトκ−HRPの様々な希釈液を100μl/ウエル加えてインキュベートし、そして第2のプレートに様々な希釈液を100μl/ウエルを加えて抗ヒトλ−HRP接合体と共に30分間インキュベートした。プレートを再び洗浄バッファーで3回洗浄し、100μ/ウエルの3,3’,5,5’テトラメチルベンジジン(TMB)基質と共に30分間インキュベートした。100μl/ウエルの3Mリン酸の添加して、反応を終結させた。Biotek ELISAプレートリーダーを用いて450nmの吸光度を測定した。3つのIg
Aアッセイコントロールに関して最大の吸光度範囲を示したので、1/8000の接合体希釈液を今後のアッセイのために選択した。
IgAκ及びIgAλの標準曲線
IgAκ及びIgAλ血清を用いて、IgAκ及びIgAλ濃度を決定する場合のIgA
ELISAアッセイの感度を評価した。精製ヒトIgAκ(5.14mg/ml)及び
ヒトIgAλ(1.85mg/ml)血清を、3回希釈により段階希釈して、検出可能な濃度範囲の決定を可能にした。用いたELISAアッセイ法は、上記と同様であった。要するに、様々な希釈のIgAκ又はIgAλ血清、或いはIgAコントロール(上記と同様)を、二重反復実験で100μl/ウエルでウエルに添加した。洗浄後、抗ヒトκ−HRP(IgAκ血清プレート用)又は抗ヒトλ−HRP(IgAλ血清プレート用)接合体を添加し、プレートをインキュベート及び洗浄し、TMB基質及び3Mリン酸を添加した。
IgAκ及びIgAλの標準曲線に及ぼす競合の影響
IgAκアッセイに及ぼすIgAλの存在の影響及びその逆の影響を評価するために、IgAλ又はIgAκ血清の段階希釈を抗IgAコーティングプレート全体で実行し、一方、IgAκ又はIgA1λ血清をプレート上でそれぞれ段階希釈した。ELISA法を上
記と同様に実行した。
健常な成人由来の血清試料のκ/λ比の決定
IgAκ及びIgAλ値を別々に決定し、これからκ/λ比を算出した。2つのヒツジ抗ヒトIgAコーティングプレートを上記の100μl/ウエルのIgAコントロール(試料希釈剤中1/800希釈)、様々な希釈のIgAκ又はIgAλ血清、並びに試料希釈剤中で1/4000希釈された健常な成人由来の血清試料と共に30分間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、1/8000希釈した100μl/ウエルの抗ヒトκ−HRP又は抗ヒトλ−HRP接合体と共に30分間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、100μl/ウエルのTMB基質と共に30分間インキュベートした。100μl/ウエルの3Mリン酸の添加により、反応を終結させた。Biotek ELISAプレートリーダーを用いて450nmの吸光度を測定した
。KC4ソフトウエアを用いて結果を分析した。
慢性的骨髄腫患者血清試料のκ/λ比の決定
試料希釈剤中で1/4000希釈した骨髄腫患者血清試料を添加して、IgAκアッセイ及びIgAλアッセイを上記と同様に実行した。
結果及び考察
IgAκ及びIgAλの標準曲線
IgAκに関しては0.22〜2.2μg/ml(図5a)、IgAλに関しては0.22〜3.2μg/ml(図5b)として、アッセイの線状検出範囲を決定した。標準曲線の濃度範囲を決定するために、RID IgA NLコントロールの段階希釈も実行しアッセイを行った。検出可能なアッセイ濃度範囲は、IgAκ及びIgAλに関して得られたものと一致した(データは示されていない)。試験されるべき血清試料は、標準化IgAκ及びIgAλ曲線の線状範囲内に入るためには1/4000希釈を要すると結論づけられた。
IgAκ及びIgAλの標準曲線に及ぼす競合の影響
IgAκアッセイに及ぼすIgAλの競合の影響及びその逆の影響の試験は、1.6μg/ml以上のIgAλ濃度において、IgAλに起因するIgAκ標準曲線に対する干渉が見られた(吸光度の減衰をもたらす)。IgAκは、5.35μg/ml以上でIgAλ標準曲線に対して干渉を示した。これらの知見は、系が更なる最適化を要することを示すが、ここで報告される全ての患者の試験を適切な希釈で実施することにより、競合による干渉が起きないことを確実にした。
健常な成人由来の血清試料のκ/λ比の決定
Blood Transfusion Servicesから入手した健常な成人由来の18の血清試料を二重反復実験でアッセイして、ELISAアッセイのための正常IgA κ/λ比を決定した。結果
は、0.6〜1.2の正常範囲を示した。これらの値は、ELISAによる0.8〜1.5のIgA κ/λ比(Haraldsson他, 1991)、並びに比濁分析による1.1〜1.8の
IgA κ/λ比(Chui他, 1991)を記述する文献中の値と類似した。
慢性的骨髄腫患者血清試料のκ/λ比の決定
バーミンガム大学の臨床免疫学部門から、99の骨髄腫患者血清試料を得た。これらの血清試料は、発症から治療、そしていくつかの場合には再発した疾患状態の10の患者試料セットで構成されていた。大半の試料に関して、SPEの結果、FREELITE(商標)によるFLC κ/λ比(正常範囲0.26〜1.65)及び比濁分析による全IgA
値(正常範囲0.7〜3.6g/l)を予め得ておいた。方法の項に記載したように、IgAκ及びIgAλ ELISAアッセイによりIgA κ/λ比を本試験で得た。得られた結果、並びに疾患をモニタリングするために用いられる他の方法との比較を、各患者に関して以下で考察する。いくつかの症例において、方法間の結果が一致しなかった場合、IFE(Sebia)ゲルも、疾患状態解明のために作製した。
患者番号7148
得られたIgA κ/λ比は、FLC κ/λ比で見られる傾向線と一致する(図6)。総IgA値のほとんども、発症後36日目に得られた試料以外は相関し、総IgA値は正常範囲内であったが、しかしIgA κ/λ比及びFLC κ/λ比は増大し、SPEスコアは+/−であった。この試料のIFEは、IgAκバンドの存在を示した。この患者に関する結果は、IgA κ/λ ELISAアッセイが、比濁分析により得られるSPE及び総IgA値よりも感度が高く、FREELITE(商標)及びIFEと同様の感度を有することを示す。
患者番号7273
算出されたIgA κ/λ比は、FLC κ/λ比及び総IgA値で見られる傾向線と一致する(図7)。SPEスコアは、発症後501日目に得られる試料以外は、他の方法で得られるほとんどの値に対応する。この試料に関しては、SPEスコアは+/−であったが、値は全ての他の方法における正常範囲内である。この試料のIFEは、モノクローナルバンドを示さない。これらの結果は、IgA κ/λ ELISAアッセイがボーダーラインSPEスコアを得る場合に有用であることを示す。
患者番号7283
この患者の試料で得られたIgA κ/λ傾向線は、FLC κ/λ比で見られる傾向線と一致し、SPEスコアのほとんどと一致する(図8)。総IgA値は発症後23日目に得られた試料では抑制されるが、他の結果は全て増大する。発症後49日目に得られた試料に関しては、総IgAは抑制され、SPEスコアは負であり、更にIgA κ/λ比は異
常である(FLC κ/λ比はこの試料に関しては既知でない)。この試料のIFEはI
gAκバンドの存在を示したが、これはIgA κ/λ比がIFEと同様の感度を有する
ことを示す。
患者番号7255
IgA κ/λ比は、他の検出方法を用いて得られるデータの、全てではないほとんどと
一致する(図9)。SPEスコアは、これらの試料に関しては報告されていない。IgA
κ/λ比は、発症後1493、1576及び2255日目に得られた試料に関して正常
範囲を上回る。しかしながら総IgA値はこれらの試料のうちの最初の2つに関しては正常範囲内であり、FLC κ/λ比は3つの試料全てに関して正常範囲内である。IFE
は、3つの試料全てにおいてモノクローナルIgAκバンドの存在を裏付けた。従ってIgA κ/λ ELISAアッセイは、多数の試料に対してFREELITE(商標)より高い感度を有する。
患者番号7401
IgA κ/λ比で見られる傾向線は、すでに得られたFLC κ/λ比及び総IgA値の結果と一致する(図10)。しかしながらSPEスコアは全ての試料に関して負であった。IFEは、初期発症時のIgAλバンドの存在を裏付けた。
患者番号70236
IgA κ/λ比及びFLC κ/λ比の傾向線は類似している(図11)。しかしながら、FLC κ/λ比及びIgA値が正常範囲内であり、SPEスコアが負であるが、Ig
A κ/λ比が異常である2つの試料(発症後165日目及び263日目)が存在する。
IFEは、IgAλバンドの存在を裏付ける。これらの結果は、いくつかの場合、IgA
κ/λ ELISAアッセイがFREELITE(商標)、比濁分析により得られる総IgA値及びSPEより感度が高く、IFEと等しい感度を有することを示唆する。
患者番号70338
試料中に存在するモノクローナル免疫グロブリンの量を調べるために用いられた全ての方法が同様の結果を示した。本発明の試験で得られたIgA κ/λ比は、これらの結果と
一致する(図12)。
患者番号70382
全結果が互いに相関する。留意すべきは、発症時のFLC比である。これは、0.24の正常範囲のほんの少しだけ外側であるに過ぎないが、IgA κ/λ ELISAアッセイを含む他の方法は全て、非常に大きな異常レベルを示す(図13)。
患者番号70392
IgA κ/λ比及びFLC κ/λ比の傾向線は類似する(図14)。しかしながら、FLC κ/λ比は発症時に正常レベルをほんの少し上回っているに過ぎないが、IgA κ/λ比は非常に増大しており、他の全ての結果と一致する。
患者番号70052
IgA κ/λ比は異常であり、総IgA値と一致する。しかしながらSPEスコアは不
明であり、全ての試料に関して負の結果を示唆する。更にFLC κ/λ比は全て、正常
範囲内である(図15)。最初の4つの試料のIFEは、これらの試料中のIgAλバンドの存在を裏付ける。これらの結果は、この患者が遊離軽鎖を分泌しないことを示唆し、従って全結果がFREELITE(商標)アッセイで負である。これらの結果は、このような場合、IgA κ/λ ELISAアッセイが代替的に有用であることも示唆する。
結論として、試験した骨髄腫患者試料に関して、IgA κ/λ ELISAアッセイは、IFEと同じくらい感度が高く、場合によってはSPE、FREELITE(商標)を用いること、及び比濁分析により総IgA値を得ることよりも感度が高いことを示した。IgA κ/λ ELISAアッセイが他の方法より低感度であることを示す証拠は認められない。ELISAベースの本アッセイ系を用いて得られる結果の大多数はFREELITE(商標)アッセイ系の結果と一致し、両方法がκ/λ比を正確に測定して、多発性骨髄腫に特徴的なモノクローナル免疫グロブリンの検査を可能にすることを示唆する。
免疫診断の分野は発達し続けているので、多数の分析物を同時に特性化することを可能にする多重アッセイ系を開発する可能性が検討されている。将来、多重系の使用が臨床環境内でますます実現可能になれば、一試験試料中のIgAκ及びIgAλの同時検出を可能にするために本明細書中に記載されたIgA κ/λ ELISAアッセイを適応することが可能になり。これは、実用的な多重アッセイ系を開発する上での究極的な課題を手助けし、多発性骨髄腫のような疾患の診断及びモニタリングに用いるために、種々のモノクローナル免疫グロブリンの同時測定を可能にする。
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抗クラス−軽鎖タイプ抗体
大まかにはPCT国際公開公報WO97/17372号に示唆された方法を用いて、IgGκに対するポリクローナル抗体を産生した。即ち、ヒツジを用いてポリクローナル抗体を産生した。
10mgのIgGλ及びIgAκを用いて、−3日目(即ち主免疫感作の3日前)にヒツジを寛容化した。
3日後の0日目に、ヒツジは、50μgのIgGκで一次免疫感作された。IgGλ、IgAκ及びIgGκは、ヒト免疫グロブリンであった。
更に0日目に、完全な抗ヒトλ(100μg)及びヒツジ抗ヒトIgA(100μg)をヒツジに投与した。完全な抗λは、結合λ鎖及び遊離λ鎖の両方と結合する。
42日目に、ヒツジは10μgのIgGκで追加免疫により免疫感作された。更にそれは、完全なヒツジ抗ヒト(100μg)及びヒツジ抗ヒトIgA(100μg)の静脈内投与を受けた。
最後に、49日目に、血しょう交換により抗体を回収した。
IgMκ及びIgGλで吸着することにより、抗IgGκを精製した。3%w/vのポリエチレングリコール(6000)を添加することにより過剰な免疫複合体を除去し、沈殿物を遠心分離により除去した。
次に、セファロース4Bと共有結合したIgGκを含むIgGκカラムを通すことにより、陽性アフィニティークロマトグラフィーを行った。次に結合した抗IgGκ抗体を高塩バッファーを用いてカラムから溶離した。
これらの抗体を生理学的バッファー(防腐剤を含むリン酸塩緩衝生理食塩水、pH7.4)に対して透析し、1g/リットルに濃縮した。次に、免疫電気泳動(IEP)によりこの濃縮溶液の特異性を試験した。結果は次の通り血清中のIgGκ及び純IgGκと良好に反応する。また、IgGλ及びIgMκ及びIgAκに対して陰性である。コントロール抗血清は全て、標的タンパク質と陽性に反応した。
IgG、次にIgA及びIgDの重鎖と軽鎖の連結に対する抗体が得られるように、抗体の産生を反復した。これらは、intact型の骨髄腫免疫グロブリンを同定及び定量するために用いられた。
抗IgGκ重鎖抗体:
IgGκ重鎖に対する抗体に関して、抗血清を比濁分析的に用いて検量線を得た。
Figure 0005715671
検量線の形状は、FreeLiteを用いた同様の実験から予測されるものに一致した。
次に、濃度が既知の試料を、比濁アッセイを用いて得られた試料の濃度と比較することにより抗体の効果を試験するために、濃度が既知の種々の骨髄腫試料を検量線に対して試験した。
IgGκ濃度の決定のために得られた結果は、他の方法により決定されたものと一致した
抗IgGλ重鎖抗体:
IgGλ重鎖に対する抗体に関して、抗血清を比濁分析的に用いて検量線を得た。
Figure 0005715671
上記と同様に、検量線の形状は、比濁アッセイを含む実験から予測されるものと一致した。
抗体の量は、その時点で更なる試験を続行するために十分ではなかった。しかしながら検量線は抗IgGκ抗体を包含するものと同様であり、既知の濃度の試料に対して試験した場合と同様の結果が予測された。

Claims (6)

  1. 悪性プラズマ細胞疾患の検出又はモニタリングのために、個々の患者由来の試料中の、
    (i)λ軽鎖と結合した重鎖クラスを有する免疫グロブリン、及び、
    (ii)κ軽鎖と結合した同一重鎖クラスを有する免疫グロブリン
    の相対量の比を定量的に測定する方法であって、該方法は、
    (a)支持体に固定されたかまたはビーズに結合された免疫グロブリンに特異的な結合抗体に、該免疫グロブリンを結合させる工程、
    (b)非結合の免疫グロブリンを洗い落とす工程、および
    (c)標識された検出抗体を用いて、該結合抗体に結合したままの免疫グロブリンを検出する工程
    を含む免疫吸着アッセイによって該免疫グロブリンを検出することを含み、
    前記比が
    (1)重鎖クラスに対して特異的な少なくとも1つの抗体又はその断片、
    (2)λ軽鎖に特異的な抗体又はその断片、及び
    (3)κ軽鎖に特異的な抗体又はその断片
    を用いることにより決定され、
    前記(1)の抗体又はその断片を、前記(a)における結合抗体として使用する場合、前記(2)および(3)の抗体又はその断片は、前記(c)における検出抗体として使用され、
    前記(1)の抗体又はその断片を、前記(c)における検出抗体として使用する場合、前記(2)および(3)の抗体又はその断片は、前記(a)における結合抗体として使用される、方法。
  2. 前記重鎖クラスに対して特異的な抗体が重鎖サブクラス特異的である、請求項1に記載の方法。
  3. 試料中における免疫グロブリンと抗体の結合がフローサイトメトリー又は蛍光標識ビーズを用いることにより決定される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 試料中の遊離λ軽鎖及び/又は遊離κ軽鎖の存在、及び/又は量を検出するステップを更に含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  5. 遊離λ軽鎖及び/又は遊離κ軽鎖が、該遊離λ軽鎖又は遊離κ軽鎖に特異的な抗体により検出される、請求項4に記載の方法。
  6. 悪性プラズマ細胞疾患のモニタリングのためである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
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