JP4053596B2 - 抗体の産生、及び抗体を含む医療的使用 - Google Patents

抗体の産生、及び抗体を含む医療的使用 Download PDF

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Description

本発明は特異的である抗体の産生、及び抗体を投与することを含み且つ抗体−B細胞相互作用の特異性を利用することを含む医療的応用に関する。
公知技術
生きている動物に対し抗体を投与することは、投与された抗体に対応する抗原に対し動物を寛容化する(tolerize)という事実は実に非常に多年に亘り知られている。RhDに対する抗体をもつRh陽性の赤ん坊をもつ妊娠中の女性の治療は多年確立されている。
広義における発明
本発明はその一部はナイーブなB細胞からの免疫応答をそれらのFcレセプターにおいて負の信号を与えるために抗体を投与することによりスイッチをオフにすることが可能であるという理論が単なる免疫学的好奇心ではなくて、実質的な有用な技術的効果のために使用され得て、単一の抗原(又は抗原の狭いグループ)に対する免疫応答のスイッチをオフにし且つ尚他の抗原に対する良好な免疫応答を維持することが望まれる時広い産業的応用を有するという認識に存する。発明の一部は又かかる環境は存在し、且つかかる事物に対する要求があることを理解することに存する。
この特許出願は発明の三つの観点を論じるであろう:
i)特定の抗原物質(これは分子の一部/分子の一又はより多くのエピトープであり得、又は抗原のカクテルからの一つの抗原(又はいくつかの抗原)であり得る)に対し特異的な抗体を産生するというコンセプト。
ii)a)かかる高度に特異的な抗体を産生することがもし可能であれば、ある環境においては特別な抗原物質に対し特異的に患者の免疫系をスイッチオフにし、しかも尚それを一般的にはスイッチオフにせず、治療において(通常注射により)抗原(望ましい生理学的活性をもつ)と又該抗原に対する抗体(抗原への免疫系の攻撃を抑圧するため)の両者を計画的に投与する様にさせることが望ましいことの認識;
b)次いで計画的に導入された生理活性物質をもつ患者に対する「スイッチオフ(switching off)」抗体の投与は、本発明の第一の観点のそれらと同様特異的である様に必然的に産生される抗体なしにそれ自体において新規であるという認識が存在する;そして
iii)外部から投与された有用な物質に対する免疫系を又その物質に対する抗体を投与することによりスイッチオフするやり方を吾々が一度知れば、吾々は同じ全般的効果を、患者内の既に存在する抗体の個体群に依拠して外的物質に対してB細胞をスイッチオフすることにより達成でき、その際、吾々は投与された外的物質を患者内の予め存在している抗体個体群から抗体に対し特異的な他の抗原と結合(抱合)させる(例えば殆どの人々は、以前の破傷風トキソイド免疫感作から、彼らの血液中に既に抗破傷風トキソイド抗体を有し、そして吾々は望ましい生理に活性な物質を、例えば、破傷風トキソイドと抱合させ、それ故、望ましい物質に対する免疫反応を抑圧することができる)という更なる認識。吾々は又非抱合の望ましい物質を同様に投与し得る。
本発明の上記観点の凡ては如何に技術的に抗体/抗原/ナイーブB細胞関連を開発し、抗体産生におけるナイーブB細胞の役割を開発するかの実現に依拠する。
特異的な抗体の産生
本発明の一つの観点は特異的な抗体の産生に関する。特異的な抗体に対する一つの用途はそれらを組み込んだ試験キットである。
抗原を探知するための抗体は動物に問題の抗体を注射し、その免疫応答がそれに対する抗体を産生することを許容し、次いで抗体を抽出して、それらをキット内に組み込むことにより産生され得る。これは公知技術である。
もし、他の蛋白とは僅かにだけ異なり、それに対しては抗体応答が要求されない蛋白に対する抗体を産生することが望まれるならば、これは達成することが困難であり得る。もし差異が非常に小さいならばそれは不可能であり得る。
第一の観点によれば、本発明は分子の選択された一部に対する抗体をつくることの方法からなり、これは選択された部分ではない該分子の部分(非選択部)に対する抗体源の免疫系を寛容化し、抗体源を分子の該選択部で免疫性にし、抗体源が分子の該選択部に対し特異的な抗体を産生することを許容し、そして抗体源から産生された抗体を抽出することを含む。
寛容化(tolerising)は好ましくは抗体源に対し非選択部に対する抗体を導入することにより達成される。
これは選択部に対し特異的で非選択部に対する応答を有しないより多くの抗体を産生することが見出される。
分子の選択部は二つの類似の分子の間の差異(例えばアロタイプ)であることもでき、又単一分子の一部のみであり得る。かくして分子の非選択部は事実異なる類似の分子(例えば第一の蛋白は第二の分子とは異なる一又はより多くのエピトープを有し、第二の分子は寛容化に対する「非選択部」であり、異なるエピトープはそれに対し特定の抗体が育成さるべき選択された部分であり得る。
好ましくは抗体源は動物である。生体外で抗体を産生することは可能であり得るが、動物(好ましくは非人間)を用いるのが好ましい。
好ましくは、抗体源は該選択部ではない該分子の凡て、又はその事実上凡てにより寛容化される。これは分子の不完全な部分で寛容化するか、又は非選択部を有するが選択部ではない類似の分子(例えばもし選択部が二つのアロタイプの間の差異であるならばアロタイプ)で寛容化することにより達成され得る。抗体源は全部の、又は実質上全部の分子をその中に注射することにより分子の選択部で免疫化され得る。さもなくば実質上選択部のみが免疫化され得る。
好ましくは一つの方法は、抗体源の免疫系を分子の非選択部に対し、抗体源を非選択部抗原で免疫化し、非選択部に対する抗体を育成することにより寛容化し、非選択部に対する抗体を抽出し、非選択部に対する抗体を抗体源を寛容化するために用いて、選択部に対する抗体の産生を増大することを含む。
第一の分子の非選択部に対し免疫抗体を寛容化することは、抗体を問題の第一の分子の非選択断片に対し導入するか、又は問題の第一の分子の非選択部を有し、プラス他の一部又は複数部(しかし第一の分子の選択部ではない)を有する他の分子、即ち第二の分子に対し抗体を導入することにより達成され得ることが認識されるであろう。
これは有効に二つの分子間(又は分子の寛容化断片と選択部との間)の差異に対する系の抗体の産生を増大する。これは一つのアロタイプに対する抗体の良好な産生をつくり出すのを助け得るが、他のものはしない。
非選択部に対する抗体を産生するために使用される抗体源は、好ましくは後に選択部に対する抗体を産生するために用いられるものと同じ源(動物)ではない。即ち異なる源(同じ種の動物)は選択部に対する抗体の産生のためにそれを寛容化するために用いられる非選択部に対する抗体を有する。
選択部に対する抗体を産生するために選ばれる動物又は他の抗体源は好ましくは前もって非選択部に対し免疫化されているべきではない。これは一度免疫応答が特定の動物において確立されていると、それは問題の蛋白(非選択部)に対し抗体を導入することによりスイッチオフされ得ない記憶B細胞を有し、それ故(免疫化するために用いられる蛋白の一部として)選択部で免疫化される時動物は選択部及び非選択部の両方に対し抗体を産生するであろうからである。選択部に対する抗体の産生量はより少ないであろうし、そこに二つの異なる抗体があって、それらは分離される必要があるであろう。これは最善には選択部免疫化注射が与えられる動物が非選択部に対し既に免疫化されていないことを保証することにより回避され(且つ明らかにこれは選択又は非選択部を含むであろう全蛋白を含む)。
選択部及び/又は非選択部に対する抗体は動物からその血液中において又は動物により産生されるある他の物質又は材料から抽出され得る。吾々は羊の如き動物から約1パイントの血液を抽出し得る。
好ましくは非選択部に対する抗体は選択部に対する抗体を産生すべきである動物に対して導入される前に精製される。精製は好ましくは親和性(affinity)精製である。もし動物からの抽出物中により広い抗体のミックスが存在するならば、精製はより困難である。実質的に一種のみの抗体を優先的に産生することにより精製ステージの困難が減少される。
望ましい部分に対する抗体を産生すべき動物(又は他の抗体源)はそれが選択部で免疫化されると同時に、又はそれ以前に、又はそれ以後に、非選択蛋白部(又はその部分に対する抗体)に対し寛容化され得る。免疫化の何れかの側の一日又はそれ位以内の任意の時が寛容化に対する適当な時であると見られる。
本発明はポリクロナール抗体の産生をより速く、且つ天然に生起する分子の一部のみに対し許容し、そして得らるべき望ましい種類の抗体の動物抽出物中のより大なる濃度を可能にすることが認められるであろう。
同じ発明は例えば不純な抗原注射(そこでは望ましいものと共に他の抗原が存在する)からの一つの望ましい抗原に対する抗体応答を刺激するために用いられ得る。
発明の第二の観点によれば、吾々は抗体源がそれに対し露出される複数の抗原(他の抗原)から選ばれた選択抗原(第1の抗原)に対する抗体をつくる方法を提供し、この方法は該他の抗原に対し抗体源の免疫系を寛容化し、且つ該第1の抗原に対しては寛容化しないこと;そして該第1の抗原で抗体源を免疫化し、抗体源に該第1の抗原に対する抗体を産生することを許容し;そして抗体源から産生された抗体を抽出することを含む。
吾々は又もし抗体源がそれに対し非選択エピトープ(複数)、又は場合により「他の」抗原を含む抗原を、非選択エピトープ(複数)又は「他の」抗原が投与される前(及び選択された又は第1の抗原)に投与したならば、吾々は選択されたエピトープ、又は場合により第1の抗原に対するより良い産生さえ得ることを見出した。吾々は抗原(非選択エピトープ(複数))、又は「他の」抗原を望ましからざる抗体で寛容化する前、少なくとも1又は2日、そして好ましくは3日、投与し得る。
第三の観点によれば、発明は蛋白の選択部又はエピトープに対する抗体を含む試料を有するテストキットを提供することを含み、抗体は発明の第一の観点に従ってつくられている。
好ましくはテストキットは免疫テストキットである。
抗体はアジュバントと連結され得るし、又ポリスチレン微粒子の如き粒子又はマイクロスクエアと連結され得る。
これまで蛋白の一部のみに対し特異的であるキットはつくるのが困難であり、満足でない結果をつくり出す。好ましくは蛋白は天然に生起するもので、最も好ましくは人間中のものである。
キットは如何にそれを用いるかの指示を含む。それは一瓶のコントロール材料、及び/又は抗体材料の瓶に加えて参照標準材料の一瓶を含み得る。抗体の容器、コントロール材料及び標準参照材料は、もし備えられれば、通常そのものとしてラベルを貼られるであろう。キット中の抗体は1〜5mg/Lの間の抗体をもつ試料において提供されるであろうことが企図されている。
キットは自動化テスト装置で用いられるに適当である(勿論キットは手動で使用され得るが、しかしそれは好ましくはテストが現存の自動化実験室システムで行われることを許容するに十分敏感である)。
患者を治療する(又は治療を始めることを考慮する)時、診断テストが決定がなされる前に実行され得る。
抗体産生の分野での熟練した開業医は、望ましくは分子を望ましい場所において分割するか、又は特定の領域に対し分子を結合することにおける専門家と相談して、何ら過度の困難なしに活性部がマスクされるか又は除去されている抗原を産生することが可能であるべきである。ある試行錯誤が最良の削除点、又は活性領域をマスクする最良のやり方を見出すために要求され得るが、何ら更なる発明は要しないであろう。
吾々が物質の全体に対し寛容化する場合において、熟練者は物質に対する抗体(例えば羊又は人間又は他の哺乳動物)を産生し、且つ精製することにおいて何ら困難を有しない。
他の観点によれば、発明は分子Zの隠蔽された部分Pに対する抗体を産生する方法からなり、分子Z又は隠蔽された部分Pを隠蔽する分子Zの部分を有する分子Zの一部に対し寛容化し;そして分子Z又は露出された隠蔽部Pを有する分子Zの一部で免疫化することを含む。
発明の一例が例示のためにのみ後に述べられるであろうが、はじめに吾々は発明の他の広い観点を論ずるであろう。
有用な効果のための特定の抗原に対する患者の免疫応答
の特定のスイッチ・オフ
発明のこの観点は患者内に免疫応答を引き出す物質(合成的に産生されるか又は天然に産生される)を患者へ投与することを要する病気の治療及びかかる治療に使用するための薬剤及びかかる治療に使用するためのキットに関する。
多くの治療は物質が有益な生理的効果を有する様に患者への物質の注射(又は他の投与)を要する。ある時は、そしてある患者においては(そして必ずしも凡ての患者ではない)、その物質でのある点を超えての第2の治療又はそれ以上の治療の有効性は投与される物質に対し抗体を産生する患者の免疫系により減少される。物質の生理的作用は甚だしく損じられ、患者に対しその物質を投与する価値がない程僅かな有益な効果しかない様な点までさえ到り得る。物質の更に更に大きい投与量が患者の免疫系と戦うことを試みるために与えられ得るが、生理的活性物質への攻撃の問題が残る。最後に免疫系はより高い投与量を(有効に)無効にするに十分な抗体を産生し、サイクルが再び開始する。かかる問題の例はボツリヌス毒素の筋肉内注射での首又は顔の筋肉における筋肉けいれんの治療、及びインターフェロンでの多発性硬化症の治療である。
不幸にして、それは唯一の問題ではない。患者の免疫系はある物質の第2の投与量又はある点をこえる更なる投与量に対し、患者がアナフィラキシーショックを経験するかも知れない程強く反応し得る。その物質の更なる投与量を凡て投与することはより高い投与量というだけで、患者の生命を危険にし得る。
ボツリヌス毒素が筋肉けいれん(例えばまぶたけいれん及び片側顔面のけいれん)を治療するために用いられる時、ある患者は決して繰り返しの投与量に対する反応を起こさないが、ある者はボツリヌス毒素の注射の有益な効果が二三回(又は一回でさえ)の注射の後に減少することを見出す。これは恐らく注射される抗原に対し抗体を創り出し、それを攻撃する(恐らく血液流からのその除去を促進する様にそれを複合化/架橋するか、又はその生理的活性を破壊/損傷する様にそれに対し結合する)故であると吾々は信ずる。
これまでボツリヌス毒素注射に非応答になる患者の問題は第1の株のそれと類似の生理的効果を有するが免疫系により第1の株のそれとは異なる抗原として見られる化学物質を産生するボツリヌスの新しい株を開発することにより克服されてきた。
ボツリヌスの新しい株を開発することは数百万ポンドの費用がかかる。
インターフェロンは多発性硬化症を治療するために用いられる。再び、ある患者はインターフェロンの更なる注射に対する反応を経験し、そして吾々は彼らの免疫系がそれと闘うためのインターフェロンに対する抗体を産生し、その生理的効果を減少又は除去すると信ずる。抗体はインターフェロン分子に付着でき、それらを架橋し、それを体が血液から複合体を排出することを容易にし、インターフェロンをそれが要求される部位の近くでの有効な存在から除去する(この可能性ある機構は又患者の体からの他の生理的活性物質の除去に対し適用し得る)。更に更に多くのインターフェロンは暫時は作用するが、費用がかかる。
この種の問題の更なる例は心筋梗塞に対し投与されたストレプトキナーゼのケースである。抗体は患者の免疫系の故に第2の投与量が有用に与えられることを阻止する。現在この問題は生理的に類似の効果を有するが、免疫系が抗原に対し抗体を巨大な数において流出する備えをしている記憶細胞を有する所の「公知の」抗原であるより寧ろ、免疫系に対する「新規な」物質として見られる類似の産生物を遺伝工学処理することにより克服される。類似であるが、異なる物質の使用は作用するが、ストレプトキナーゼに対する合成代換物は10倍もの多くの費用がかかる。更に第3の代換物がもし将来第3の投与が要求されるなら必要とされるかも知れない。
他の例は関節炎を楽にするために投与されるTNFである。これはある患者に対し、1又は2回の投与に対し驚くほど作用することが示されているが、次いで免疫系が「異質の」物質に対し反応し、次の治療を無効化する様にする。現在TNFで治療されたある患者は二三ヶ月の軽減を有し次いで関節炎の影響を経験することに戻る。
発明の第1の観点によれば、吾々は患者から免疫応答を引き出す物質の投与を要する病気を治療するために用いるための薬剤を提供し、その薬剤は次のものを含む;
(患者に使用の際生理的効果を有する)該物質;
及び少なくとも該物質の第1の部分(及び好ましくはその全体、又は殆ど全体)に対する抗体;
該物質の該第1の部分は薬剤中に存在するそれに対する該抗体がなかったなら、それは使用の際それが投与さるべき患者の中に顕著な免疫応答を引き出す様なものであり;
そして物質の第1の部分に対する抗体は物質がその望ましい生理的効果を有することを妨げない。
これは吾々が投与することを欲する抗原に対し患者の免疫系をスイッチオフし、物質のそれ以上の投与に対する強い免疫応答の発展を阻止するという効果を有する。
それ故吾々はその物質を強い免疫応答なしに再び投与し得る。もし吾々がその物質の第1の部分に対する患者の寛容化の二三ヶ月以内にそれを投与するならば、その物質のそれ以上の投与量を投与する時、第1の部分に対する抗体を再投与する必要はないかも知れない。
もし余りに長い時間が経過したならば、吾々は第2の又はそれ以上の投与量に対しその物質と共に抗体を再び投与することを好むかも知れない。
好ましくは吾々は該物質の実質上全体に対する抗体を投与する。これは物質の実質上どの部分も免疫応答(又は少なくとも強い応答ではない)を引き出さないことを意味し得る。
公知技術において生理的/薬理的に活性な物質に対する抗体を投与することはその物質を体内において有効性を少なくし、それ故好ましくないことが「公知」である。吾々は有益な理由のために投与されんとする非常に外的な物質に対する抗体を投与することに反対するこの自然な偏見が悪いことを認めた。もし、抗体が十分低い投与量で与えられるならばそれらは有益であり得る。
十分低い投与量とは望ましい効果を生成し且つ任意の活性物質に対しそれ以上の創作的活動なしに実験的に決定され得るものである:それは単にテストを必要とする。抗体の好ましい投与量は抗原の投与量及び抗原の寸法並びに治療される人間/動物の寸法と共に変わり得る。
可能な目安としては成人の人間に対する抗体の適当な投与量はマイクログラム(例えば約25μg、又は以上)の範囲内であるが、しかしそれは物質及び患者によって変わる。
吾々は人間又は動物の体の治療方法はUKにおいて、及びあるヨーロッパの国においてはそれ自体としては特許性がないこと、しかし他の海外の国においては特許され得ることを知っている。吾々はかかる国においては、UKにおいて、及びEPCの下で特許性のあるやり方(例えば薬剤自体、キット自体、第2薬効「スイス」定義;そして技術的効果を達成するやり方、例えば必要とされる薬の容積を減少し、又はより廉価な薬剤をつくるというやり方として)での発明の定義を求める。
吾々は投与される抗体が物質の第2の部分に対し高親和性抗体を有しない(又は実際物質の第2の部分に対し実質上抗体がない)ことを保証することを好み得る。(該第2の部分は体への生理的効果をもって、使用上結合される一部であり得る。)
発明の他の観点によれば発明は生理的活性分子に対する抗体を、該分子をその中に有する薬剤の生産において、該分子による治療に対し敏感な疾患又は病気の治療のために使用することを含む。
抗体は好ましくは分子の生理的活性を実質上影響させない様な低いレベルにおいて使用される。薬剤の生産において使用される抗体は好ましくは高い親和性のものである。
発明の他の観点によれば吾々はある物質の投与により緩和される病気を治療するのに使用するためのキットを提供し、そのキットは該物質及び抗体を含み;抗体は少なくとも該物質の一部に対する抗体である。
抗体は好ましくはキット中に予め定められた投与量において提供される。抗体は注射器又はインゼクター中に、又は注射器又はインゼクター用のカートリッジ又はアンプル中に備えられる。抗体及び/又は物質を保持するための容器は好ましくはそれらの身元及び/又は目的を提示する同定手段(例えばラベル)を具備する。
物質又は抗体、又は両者は薬理的に受容し得る担体を具備し得る。
物質及び抗体は同じ媒体中に設けられてもよいし、又は引き続き又は同時に注射される様に適合される。
発明のもう一つの観点によれば、吾々は抗原に対する欲せざる免疫応答を防止し、一方、抗原が生理的に活性であることを許容する方法を提供し、その方法は患者(人間又は動物)を、抗原の生理的効果を破壊することなしに、抗原の実質上凡ての部分又は少なくとも一つ又はいくつかの部分に対し寛容化することを含む。
発明の他の観点は生理的活性物質に対し特異的な抗体の使用であって、その物質で患者を治療する有効性を改良するための使用を含む。
発明の他の観点は、生理的活性物質に対する抗体の使用であって、患者における望ましい生理的効果を達成するためにその物質の繰り返しの投与において必要な物質の投与量を実質的に増加する必要を回避するための使用を含む。
発明の他の観点は生理的活性物質に対する抗体の使用であって、物質の投与量の有効性が患者の免疫応答により減少される前に患者に対し与えられ得る投与量の数、超過時間を増加するための使用を含む。
発明のもう一つの観点によれば、吾々は疾患又は病気(又は症候)を緩和又は改善するための有益な生理的効果を有する生理的活性物質を投与し、且つ又少なくともその物質の一部(及び好ましくはその物質の実質上全部の部分)に対する患者の免疫系を寛容化し、その物質の部分はさもなくば顕著な免疫応答を生成し且つもしそれが免疫系の寛容化に対してでなかったならばその部分に対し抗体を生成するであろう部分であり、免疫系の寛容化は適当な投与量で該物質に対し抗体を投与することにより達成される方法を提供する。
好ましくは方法は更に物質の第1の部分に対する、しかし第2の部分に対してではない、抗体を患者に対し投与して、彼らの免疫系を寛容化し、そこでは抗体は物質と同時に、又は物質を投与するより早いか、より遅いが、しかし物質の投与が抗体が活性である抗原の部分に対する免疫系の応答を抑圧するに十分近い時間(例えば約1日前又は後、又は2日以内)に投与され得ることを含む。物質に対する抗体は患者に対し同じ注射において、又は生理的活性物質である様に同時に投与される。
他の観点によれば、発明はある物質、物質Yの選ばれたエピトープに対する抗体の人間体内に通常に見出されるよりも高い濃度(又は人間体内に通常見出される抗体より純粋な)の疾病の治療に使用するための薬剤の調製における使用を含み、疾病は好ましくはある物質、物質Y、をそれと結合して、又はその治療と共に有する。
吾々は抗体の薬理的に受容可能な担体中のパッケージを提供でき、そこには生理的活性化学薬品又は物質の少なくとも一部分に対し抗体があり、使用においてその部分に対する抗体はそれらが物質の生理活性を完全には破壊しない様なものである。
パッケージは又物質の第2の又は第3の異なる部分に対する抗体をもつことができ、これらの抗体も又物質の生理活性を破壊しない。物質の第4の異なる、又は第4及び第5の異なる、又は第4、第5及び第6の異なる、又は第4、第5、第6及び第7の異なる、又は第4、第5、第6、第7及びそれ以上の異なる部分に対する抗体があり得て、そこでは抗体は使用において物質を生理的に不活性にしない。物質の第1の領域に対する、そしてもし存在するなら第2、第3及びそれに続く領域に対する抗体を超えて実質的な免疫応答(又は何らかの免疫応答)が存在し得る。第1の、そして存在するなら、第2、第3及びそれに続く領域に対する抗体より他の如何なる(又は実質上如何なる)蛋白様物質も存在し得ない。
物質は次の中の任意のものであり得る:
ストレプトキナーゼ;又は
TNF;又は
選択(selection);又は
サイトカイン(cytokine);又は
異なる種の抗体(例えば腫瘍標的抗体又はFab抗体)又は
エリスロポイエチン;又は
ファクターVIII;又は
抗血清(例えばボツリヌス又はジフテリア抗血清);又は
抗毒素(例えば蛇にかまれた毒に対する抗毒素);又は
インターフェロン;又は
ボツリヌス毒素
発明のこの観点は今や後により詳細に述べられるであろうが、第1には吾々は発明の第3の広い領域を論ずるであろう。
異質の物質に対する免疫応答をその物質を抗原と結合し且つその抗原
に対する抗体が存在することを保証することにより抑圧すること
発明の第3の広い観点は、先に論じたものと同じアイデアの使用、即ち、B細胞を我々が計画的に導入することを欲する抗原に対する抗体をもってそれらのFcレセプターをトリガーすることによりスイッチオフするという吾々の実現に関する。吾々は更にB細胞をスイッチオフする抗体は有益な生理的効果を伝えるものと同じ抗原(「その物質」)に対する抗体であらねばならぬことはないことを理解した。もし吾々が任意の抗体によりスイッチオフさるべき物質を認識するB細胞を得ることができるならば、その物質は免疫系による攻撃を回避し得る。従って、吾々は活性物質を第2の抗原に結合し、そして第2の抗原に対する抗体が物質を認識するB細胞をスイッチオフする様なレベルにおいて存在することを保証することを提案する。
発明のもう一つの観点によれば、吾々は生理活性物質の免疫系認識を、該物質を第2の、異なる、抗原に対し結合し、そして患者の体内に存在する該第2の物質に対する抗体が、さもなくば該物質を認識するであろうナイーブなB細胞の作用を抑圧する様なレベルで存在することを保証することによって回避又は減少する方法を提供する。
吾々は又非抱合(unconjugated)活性物質を投与し得る。物質を認識するB細胞がスイッチオフされている限り、非抱合生理活性物質はそれらを顕著にトリガーしない。かくしてたとえ第2の抗原と生理活性物質を抱合することが物質の生理活性(それはそれがある環境においてなすかも知れない)を損なうとしても、吾々は尚生理活性物質を伝達し得る。
物質の抱合はその結合位置を認識するB細胞に対しそれが結合されることを可能にするために結合位置を自由に残しておかねばならず、そして第2の抗原の抱合は尚それをそれに対する抗体が結合し得る様に活性な結合位置と共に残しておかねばならないことが理解されるであろう。
第2の抗原に対する抗体は患者に対し投与され得る。それに代えて、又はそれに加えて、患者は彼らの体内に第2の抗原に対する抗体の予め存在する集団を有し得る。かくして吾々は抗体を投与する必要を回避し得る。
吾々は第2の抗原をそれに対し多くの人々が既に抗体を有するもの(例えば破傷風トキソイド)である様に選択し得る。
吾々は彼らが適当な抗体の予め存在する集団を有することを保証する様に患者を篩別するスクリーニングテストを実施し得る。
発明の他の観点によれば、吾々はある物質の投与により緩和され得る病気の治療において使用するための薬剤を提供し、その薬剤は該物質(第1の抗原)を有するが、第2の抗原と抱合されている。
第2の抗原は破傷風トキソイドであり得る。第2の抗原は患者が、使用において、予め存在する抗体をそれに対し有する抗原であり得る。第2の抗原はこの適用から引き出されたその患者が関係する国の人間人口の少なくともある閾(threshold)比率が、抱合物が投与される時その物質を認識するB細胞を実質的にスイッチオフする様なレベルにおいて存在する抗体を彼らの中に有する様な抗原であり得て、該閾比率は2年の年代に亘って人間人口の少なくとも20%、又は30%、又は40%、又は50%、又は60%、又は70%、又は80%、又は90%を含む。
認識されるであろう様に、上の定義は問題の国の人間人口の特性に依存して変わるものであるが、しかし次いで治療の有効性もそうであろう。如何なる国に対しても、問題の第2の抗原が定義された範囲内に入るかどうかを知ることは完全に可能である。
薬剤は又第2の抗原に対する抗体を有し得る。これらは望ましい結果を達成する様なレベルであるだろう。
薬剤は通常第2の抗原に対する抱合物(conjugate)及び/又は抗体に対する薬理的に受容可能な担体を有するであろう。
薬剤は任意の他の免疫抗原及び/又は他の生理活性物質(望ましい生理的効果を与えるためのものを除いて)を実質上含まないか又は全く含まない。
発明の他の観点によれば、生理活性物質の投与が緩和する様な疾患又は病気の治療のための薬剤の調製において第2の抗原との生理活性物質(第1の抗原)の抱合物の使用を含む。
好ましくはその使用は更に薬剤が投与されるであろう患者が既に第2の抗原に対する抗体を有するものである様に第2の抗原を選択することを含む。
吾々は薬剤の調製において抱合物及び遊離の、抱合されない生理活性物質の両者を使用し得る。
薬剤は患者中に注射されるに適合された単一の液体から成り得る。薬剤は患者中に注射されるに適合された二つの液体で、できれば分離され、できれば多区画インゼクタから注射されるものから成り得る。
発明の他の観点によれば、吾々は次のものから成るキットを提供する:
生理活性物質(第1の抗原)及び第2の異なる抗原との抱合物。
好ましくはキットは次のものの中の一つ又はより多くを有する:−
i)薬理的に受容可能な抗体;
ii)第2の抗原に対する抗体(抱合物と同じ担体媒体中又は別個の担体媒体中の何れかで、媒体は、好ましくは容器中に提供される);
iii)インゼクタ;
iv)如何にキットを用いるかのインストラクション(指示);
v)患者を彼らが第2の抗原に対する抗体の予め存在する集団を有するかどうかを確認するためにテストするに適したテストキット;
vi)複数の容器で、それらの中にそれぞれ異なる抱合物を有し、抱合物はそれらの第2の抗原において異なるもの;
vii)上記vi)の抱合物の第2の抗原に対応する複数の抗体の存在を同定するに適合されたスクリーニングテスト。
他の観点において発明は生理活性物質(第1の抗原)及び第2の抗原の抱合物を投与する前にスクリーニングテスト(通常血液サンプルにつき)を使用することを含み、スクリーニングテストは第2の抗原に対する抗体の存在を探知する。
発明を説明するための可能な理論
吾々は発明を説明するのを助け得る免疫系中に作用するメカニズムに関する可能な理論を論ずることが有用であるだろうと信ずる。吾々はしかしながらこれは単なる理論にすぎないことを明らかにすべきである:発明は作用しそして吾々は吾々が開示した発明の特徴に対する保護を欲する。たとえ最後に異なるメカニズムが作用するとしても吾々は世界に対し発明の技術的効果が得られることを可能にする実用的ステップを開示し、それに対する特許保護を受ける資格がある。
吾々は理論を添付図面に言及して論ぜられるいくつかの例に関して説明するであろう。それらの図面は:
第1図は抗原により刺激されるナイーブなB細胞を図式的に図示する;
第2図は共通のエピトープに対する抗体の存在により抗IgG2抗体を産生することを阻害される異なるナイーブなB細胞を図式的に示す;
第3図は共通のエピトープに対する抗体の存在により抗IgG1抗体を産生することを阻害されるナイーブなB細胞を示す;
第4図は全体のIgG及び遊離のラムダを図式的に示す。
第5図は遊離のラムダに対する抗体がFcレセプターへの負の信号の伝達により形成されることを遊離のラムダ及びFcレセプターへの抗露出決定基(determinant)抗体結合により阻止するB−細胞阻害を示す。
第6図は抗露出決定基抗体の存在による露出決定基抗体の産生に対するB細胞阻害を示し、かかる産生に対するB細胞が刺激されず、一方、隠蔽決定基に対するB細胞が尚刺激され得ることを保証する;
第7図は酵素の活性形及び共通エピトープを有する酵素の非活性形を図式的に示す;
第8図はもしそれが共通エピトープ及びFcレセプターに結合する共通エピトープに対する抗体により阻害されなかったなら、酵素の活性形に対し専属的なエピトープに対し特異的な抗体を産生するB細胞を示す。
第9図はそれに結合されたアルブミンを有する酵素の変形を示す;そして
第10図は抗アルブミンを投与することにより共通エピトープを認識するB細胞の阻害を示す。
例1:IgG1に対する特異的抗体を産生すること
1.IgG1(G1)の凡ての分子はG1特異のエピトープ並びに凡ての他のサブクラスに対し共通であるエピトープを有する。もし吾々がただG1(プラスアジュバント)を以て免疫するならば、その時産生される抗体はG1特異エピトーププラス共通エピトープの両者に対し反応するであろう。
2.もし吾々が免疫化の時の前に(アジュバントの不在において)純粋なG2、G3及びG4の調剤を以て静脈注射するならば、吾々は寛容化効果を得て、それより共通エピトープに対する抗体の発生が部分的に阻害される。
3.吾々は引き続き免疫化の時におけるG2、G3及びG4に対する抗体のみの静脈注射が又共通エピトープに対する免疫応答を減少することを見出した。
4.もし上記2及び3が組み合わせられ、即ち純粋なG2、G3及びG4を免疫感作の3日前に与え、且つG2、G3及びG4に対する抗体を免疫化の時に与えるならば、共通のエピトープに対する免疫応答の阻害は強く増大され、G1特有エピトープに対する抗体のみが産生される。
典型的には、第1図に示す様に、特有のG1エピトープ12を認識する抗原レセプター11をもつ休眠B細胞10はG1と結合し、特異G1エピトープに対する抗体を産生する様刺激されるであろう。同様にG1上の共通エピトープ13に対する抗原レセプターをもつ休眠B細胞は共通エピトープに対する抗体を産生する様刺激され(それはそれ故G2及び/又はG3及び/又はG4と架橋反応するであろう)。
吾々は標的抗原(この場合G1)上の共通エピトープに対する応答を減少又は阻害するため他のサブクラスに対する特定の抗体の投与を使用し得る。このメカニズムは第2図に示される。G2が投与される時(トレロゲン[免疫寛容源]9として)これは共通エピトープを認識する所の存在する任意のB細胞15の抗原レセプター14により結合される。これは通常B細胞を刺激して共通エピトープに対する抗体を産生するであろう。この場合、しかしながらG2に対し特異の抗体16の引き続く投与はB細胞の抗体産生の阻害へと導く。これが介在していると考えられるメカニズムはG2トレロゲンに対する抗体の結合及び抗体及びB細胞レセプターの相互作用を通してである(第2図参照)。この様にして、共通エピトープを認識する凡てのナイーブなB細胞は阻害され、もしG1が特異の抗G2として同時に与えられるならば、特異のG1エピトープを認識するB細胞のみが刺激されるのに利用し得る様にされる。かくしてG1に対し特異の(そして共通エピトープに対してではない)抗体のみが産生される。
吾々は免疫原(immunogen)投与量よりずっと大なるトレロゲン投与量を有し、それ故共通エピトープを認識するB細胞が「除去」されるであろうことを好む。
トレロゲンは静脈注射で且つアジュバントの不存在において投与されるから免疫応答をそれら自体引き出さない。
このプロセスの関連する観点は、G2、G3及びG4に対する純粋な抗体が要求されることである;もしこれらの抗体が不純であれば(即ち又共通エピトープと反応するであろう)、その場合G1を認識するナイーブなB細胞も又第3図における如く止められるであろう。これは(先に純粋なG2、G3及びG4で寛容化された)羊を免疫化し、且つ同時に共通エピトープに対する抗体を投与することにより実験的に証明された。G1に対する乏しい応答が得られた。
例2:遊離ラムダに対する特有の抗体を産生すること
ここでの要件は「隠蔽」エピトープ40(これはラムダが遊離形である時のみ露出される)に対して抗体をつくり、そして常に存在する(ラムダの「遊離の」及び「結合された」形上に)「露出された」エピトープ41ではつくらないことである。この場合エピトープは同じ分子上にあるが、異なる側上にある(第4図参照)。
ここで一つのアプローチは露出された決定基41に対する抗体をつくり、遊離のラムダ42で免疫化する時これらを投与することであり得る。露出された決定基に対する抗体の存在は露出された決定基に対する抗体の産生を阻害し、隠蔽決定基に対する抗体のみが産生されるのを許容する。併しながら、隠蔽エピトープに対する応答のある阻害も又生起し得る(第5図参照)。
上記の二分法(dichotomy)は実験的に証明された;寛容化制度(regime)に従って産生された抗体は通常の免疫化過程を用いて産生されたものよりより特有的であるが、それらはより低い親和性のものである。これを克服するため、トレロゲンとして全IgGを投与し、次いで遊離ラムダの免疫化の時の抗IgGFcを与えることが提案される(第6図参照)。これは露出されたラムダエピトープを認識する凡てのB細胞を阻害し、それ故、隠されたエピトープを認識するB細部のみが刺激されるであろう。かくして隠されたラムダエピトープを認識する抗体のみが産生されるであろう。これと調和する実験結果が達成された。
例3:酵素の活性形に対する特有の抗体を産生すること
これは例2において用いられた同じ基礎的原則に従う。このケースにおいては、酵素の活性形70とのみ反応し、活性(70)及び不活性(73)形の両者上に存在する共通のエピトープ71、72のどれとも反応しない抗体を産生することが望まれる。
一つの当初のアプローチは不活性酵素73に対する抗体を育て、これらを寛容化するために用いることであり得た。併しながら、酵素の活性形で免疫化する時、活性形エピトーブ74を認識するB細胞は第5図に示したそれと類似の状況において阻害される様である(第8図参照)。
この問題は不活性酵素に対し適当な蛋白(例えばアルブミン)を抱合すること(第9図参照)、そして次いでこれをトレロゲンとして投与することにより克服され得る。活性酵素は次いでノムノゲン(免疫原)として抗アルブミンと一緒に与えられるであろう。これは共通エピトープを認識するB細胞の阻害を結果として生ずるであろう−第10図参照。かくして活性形エピトープを認識するB細胞のみが刺激され、活性形の特異的抗体が産生される結果となるであろう。
特異的抗体を産生すること−例
さて吾々が本発明が応用を有すると見る三つの一般的領域を記述し、又吾々が本発明を説明すると信ずると信ずる理論を論じたので、吾々は今や特定の例を、それぞれ例示のためにのみ、添付の図面と関連して記述するであろう:−
第11a図はその重鎖に対し結合された軽鎖を有する異常蛋白(パラプロテイン)を示す;
第11b図は第1a図の軽鎖をその隠蔽決定基を露出して示す;
多発骨髄腫は患者の尿中の異常蛋白を探すことにより検出され得る。正常な人々においては僅かな量の異常蛋白が血液中に存在する。第11a図は図式的に異常蛋白を示す。もし形質細胞(骨細胞)が脱分化されるならば、それらは異常蛋白の一部、軽鎖を産生し得る。これらは全異常蛋白よりずっと小さく(25kDcf.150kD)且つ腎臓により尿中に排出される。第11b図は図式的に第11a図の異常蛋白のラムダ軽鎖を示す。かくして多発骨髄腫は形質細胞のカッパ及び/又はラムダ軽鎖の高レベルを注目することにより検知され得る。現在軽鎖の存在は抗体結合及び電気泳動技術を用いて検知される。用いられた抗体は遊離の軽鎖と、又重鎖に対し結合された軽鎖とも反応し得る。これはテストが骨髄腫とは必ずしも組み合わされない種々の理由に対し存在し得る全部の異常蛋白に対し陽性の結果を示すことができることを意味する(例えば腎臓損傷は全異常蛋白が通過することを許容し得る)。
この例において本発明は軽鎖の隠蔽決定基に対し特異的な抗体を産生することを含む(それは全異常蛋白中での結合に対しては利用可能でなく、遊離の軽鎖が存在する時のみである)。
かかる特異的抗体の産生は宿主の抗体産生動物を異常蛋白の残部−露出された決定基に対する抗体で寛容化し(即ち結合された軽鎖をもつ異常蛋白で寛容化する)、且つ動物を異常蛋白の軽鎖で免疫化することにより増大され得る。これは宿主の動物中に露出された決定基を認識するそれらのB細胞をスイッチオフさせ、隠蔽決定基を認識するB細胞のみを残す様にする;かくして隠蔽決定基に対する抗体のみが産生される。
これらの隠蔽決定基に特異的な抗体は次いで宿主動物から抽出され、免疫分析(assay)用のキットの製造に用いられる。キットは尿中、又は血液中でさえ、遊離の軽鎖を検出するのに使用され得る。
プロセスは遊離のカッパ及びラムダ軽鎖に対する高親和性多クローン抗血清の産生を可能にする。これらの抗血清はテスト及びテストキットに用途を見出す。
実際にすることが提案されるものは一つの例において一つの動物(例えば羊、羊A)を蛋白の非選択部で免疫感作することである。非選択蛋白に対する抗体は次いで動物の血液から抽出され(例えば1パイントの血液がとられ、羊は尚良好な健康をもつ)そして親和(アフィニティ)精製技術で精製される。
全蛋白で免疫感作されず、又蛋白の非選択部でもされなかった他の羊、羊Bがとり出され、望まれない、非選択部とのみ反応する羊Aからの抗体を抽出され、そして又、同時に、選択部がその一部を形成する(遊離の軽鎖をもつ異常蛋白の場合において)蛋白の全体である抗原が注射されるであろう。
羊Bの血液からの抗体が次いで抽出され(例えばとられた血液1リットルに対し100mlで、羊は良好な健康で残される)、そしてこれらは蛋白の選択部に対し特異的な抗体であるだろう。それらはキットにおいて用いられるであろう。さもなくば、それらは第1に精製され、次いで診断キットにおいて用いられる。
選択部がその一部を形成する蛋白の全体を注射する代わりにただ選択部のみを注射することは可能であるが、しかしそれはつくるのにより高価であり、又可能でさえないかも知れない。
本発明に従ってつくられた抗体の一つの主な用途は遊離の免疫グロブリン軽鎖を、好ましくは自動化テストキット中で測定するための免疫分析においてであることが認められるであろう。第11a及び11b図と関連して論じた例は多発骨髄腫を探知することであったが、その技術は勿論他の異常蛋白血症に対するテストを行うのに適している。
患者が異常蛋白血症を有するかどうかを探知するためのテストを実施することに加えて、テストは又患者を定期的に監視(モニター)するために実施されるであろう。
テストの感受性を改良するために粒子に抗体を付着させることは公知の技術である。産生された抗体は粒子(例えばポリスチレン微小球)に対し結合されることが可能である。これはテスト抗血清の産生における他のステージであり得る。
第11a及び11b図の例において、分子の単一部分に対するものであり、分子の他の部分に対してではない(又は二つの類似の分子の間の差に対する)特異抗体が産生されることが認められるであろう。
本発明は広い応用を有する。例えば、同じコンセプトを酵素に対し適用することは酵素の活性部位に対し特異の抗体の産生を許容する(例えば、活性化されない状態における酵素で寛容化し、そして活性化された形態における酵素で免疫感作することにより)。
第7乃至10図に関連して論じた様に、分子の二つの状態の間の差異に特異な抗体を産生するために免疫感作することは可能である。酵素、又は分子、の活性形に対してのみ抗体を産生し、不活性形に対しては産生しない(又は実質上一つの形に対してのみ)ことは可能である。これは官能分析(特定の酵素が官能的であるかどうかを探知するもの)をつくり出すのに用いられ得る。このケースにおいては分子の「選択部」がその活性形態における活性部位であり、又非選択部が全体の不活性分子であり得る。
発明が商業的用途を持ち得る一つの特別な領域は触媒的抗体の産生においてである。抗体は化学反応において触媒として作用し得ることが知られている:丁度酵素が反応を触媒する様に抗体も又特定の反応を触媒することができる。触媒的抗体は反応分子の一又はより多くを「ポケット」乃至結合位置において結合し、それが抗体が触媒する化学反応を行わせるための正しい形状仕込分布を有する様にさせると信ぜられる。触媒的抗体の生産において、適当な形状/寸法及び仕込の鋳型(テンプレート)抗原がそれに対する抗体を産生するために用いられる。本発明は触媒的抗体が、例えば、鋳型抗原に対する抗体で(又は非鋳型抗原自体で)寛容化し、そして次いで鋳型抗原で免疫感作することにより、よりよく産生されることを許容する。非鋳型抗原(又は複数)に対する抗体で寛容化することが好ましい。何故ならこれは鋳型抗原に対しより良い抗体を与えると信ぜられるからである。
勿論、本発明を用いて産生される触媒的抗体は血液又は尿テストキット中で使用される必要はない。それは生体内で反応生成物を得るため(又は反応出発物質を破壊するため)にその反応を触媒するために用いられ得る。さもなくば、それは生体外で問題の反応を触媒するために使用され得る。実際、これは代謝に欠損酵素を有するある人々又は動物を助ける一つの方途であり得る。発明の一つの観点は条件Zの治療のための、薬剤Yの調製における抗体Xの使用として考えられ得る:ここでZは欠損酵素に関連し、そして抗体Xは欠損酵素の反応を触媒し、そして抗体Xは本発明の任意の他の観点によって作られたものである。
条件Zの治療のための薬剤Yの調製において抗体Xを用いるというアイデアは酵素関連条件に限定されず。生理活性物質の存在又は非存在と関連する任意の条件に対し適用可能である。
特定の部分、又はエピトープ、に対し増大せる応答をつくり出すために寛容化/免疫化を用いるというアイデアはその部分、又はエピトープ及び/又は抗体の活性を利用するための道具である。
もし分子の一部に対するB細胞がスイッチオフされるならば分子の他の部分に対する良好な抗体応答を得ることが可能である。抗原混合物中の特定の分子に対する応答を免疫化の時に望ましからざる抗原に対する抗体を投与することにより制限することは如何に望ましい抗体を産生することが好ましいかである。
第1a及び1b図に戻って、これは単一分子上の隠蔽エピトープに対し多クローン性抗血清を産生することが可能であった最初の時である。
発明を分子の一部に対してのみ抗体を産生するために用いることに加えて、それは一つの分子に対し、しかし他の類似のものでなく、しかし異なる分子(異なるアロタイプ)に対する抗体を産生するために使用され得る。これは吾々に異なるアロタイプに対する敏感なプローブを提供することを可能にする。
診断の方法は通常は人間又は動物の体に対してではなく、むしろ体から抽出された試料(例えば血液、尿、組織)について実行されることが認識されるであろう。
本発明は抗体の産生をより早くそして分子の一部に対してのみすることを許容し、得らるべき望ましい種の抗体の動物抽出物中のより大なる濃度を可能にする。
分子の選択部(それに対し抗体が要求されない)は非選択(又は脱選択)部を除く分子の実質上凡てであり得る。もし、分子の非選択部がそれに生理的効果を与える部分であるならば、吾々は生理的活性部分を除いて分子の凡てに対し抗体をつくることができる。これは患者を分子の繰り返しの投与を許容する様に寛容化するためにある範囲の抗体を提供するという観点から非常に便宜である。
有益な効果のための特異的抗原に対する患者の免疫応答の
特異的スイッチ・オフ(switching off)
医療的理由のため選択された免疫応答のスイッチ・オフに関連して発明の一例が今や与えられるが、これは例としてのみであり、図面中の次の図に関連して与えられる:−
第12図はレセプターに結合されたボツリヌス毒素をもつナイーブなB細胞を示す;
第13図は第12図のナイーブなB細胞をそのFcレセプターに結合された抗ボツリヌス毒素の存在により阻害された応答をもって示す。
吾々は既に吾々が作用すると信ずるメカニズムについての当初の議論を提供したが、吾々は今やボツリヌス毒素を用いて筋肉けいれんを治療する例にそれを適用するであろう。
前以てボツリヌス毒素の蛋白構造に対し露出されなかったナイーブなB細胞は、ボツリヌス毒素抗原がB細胞上のレセプターに結合する時、一次抗体応答を産生する(第12図参照)。引き続いて(数日に亘って)記憶細胞が産生されるであろう。これらはボツリヌス毒素抗原に対する抗体を非常に速く(数時間内)に、且つ莫大な数で産生し得る。
第13図は第12図のB細胞を、Fc部位に結合された抗原100に対する抗体101をもって示す。これは有効にB細胞をある時間、スイッチ・オフし、一次抗体の産生を阻止し、且つ記憶B細胞の発達を阻止する。
抗体がFcレセプターに接触する時、それはナイーブなB細胞をある時間スイッチ・オフし、これは抗体がB細胞から脱離した後でさえ続く。B細胞は約1日間スイッチ・オフされ得る。それがスイッチ・オフされている間、それは抗原100の存在に起因する免疫応答を実質上産生しない。
本発明の中心はこの公知のメカニズムが単なる好奇心ではなく、実質上の有益な効果のために、ナイーブなB細胞の活性化を防止するため選ばれた抗原に対して存在する抗体が存在することを保証することにより、特別な、特異的な、抗原に対する免疫応答をスイッチ・オフすることにより用いられ得ることである。
吾々はそれが善よりも多くの害をなすであろうから全体の免疫系をスイッチ・オフすることを欲しないが、狭い抗原のみ(又は単一の抗原)に対する応答をスイッチ・オフすることは吾々にそれらの抗原を投与することを許容するであろう。
特別な分子、例えばボツリヌス毒素、はそれが有する異なる蛋白領域に対し特異的な多数の抗体を引き出すであろう。第14図はボツリヌス毒素20を、その構造の異なる領域乃至部分に対し結合された異なる抗体をもって示す。分子は生理活性部20を有し、これはそれが筋肉けいれんを緩和するため患者中に注射される時望ましい生理的効果を実行することを可能にする。
特別な抗体、抗体24は免疫系により産生され、活性部22に結合する。
もし抗体24が余りに高い親和性(余りに緊密に/余りに長くそれと組み合って止まり十分長くても解離しない)を以て活性部22に結合するならば、それは分子20の活性部の生理的効果に干渉し得る。もし吾々が患者を余りに高い抗体の投与量を以て全分子20の部分の凡てに対し寛容化しようとしたならば、抗体24は分子20の適切な効果が起こることを阻止/妨害し、抗原20の投与を無意味にするという可能性がある。
かくして吾々は吾々が次の何れかであらねばならぬことを認識した:a)活性部が活性のままで留まる様な低い十分なレベルで抗体を存在させる;又はb)抗体を活性部22に対しそれを作用的に残す様に導入しない(抗体で寛容化しない);又はc)十分低い親和性の活性領域に対し向けられる抗体24を有し、それが望ましい生理的効果を有するに十分長い間(又は十分長い時間部分)において「露出されている」/干渉から自由である。
もし吾々が、活性部22に対し全く寛容化しないならば、患者の免疫系が部分22に対する抗体を産生する危険があり、それはナイーブなB細胞は部分22に対してスイッチ・オフされず、そして部分22に対する一次/応答が発達し得るからである。併しながら、部分22は全体の分子よりずっとより小さい応答を引き出すことができ、分子のほんの一部に対し寛容化することにおいて全体的利益を与える(分子はより長い間血液/体組織中に留まる。何故なら利用し得る抗体がそれに対し結合し、且つ架橋がより少ない領域がより少なく存在するからである)。
更に、もし部分22に対する一次免疫応答があるならば、それに従って(もし抗原が血液/体内に留まるならば)記憶B細胞を以て二次応答が存在するであろうが、やはり全般的効果は分子の全体が応答を引き出した場合よりもより少ないであろう。もし部分22に対してのみの抗体が分子に結合するならば、それらが架橋することはより困難であり(異なる位置に結合する多数の異なる抗体と比較して)、そして分子はより長く体に対し利用可能に止まり得る。
もし分子20の第2又は第3の導入が数ヶ月の期間に亘って与えられるならば、部分22に対する二次免疫応答が起こり得る。理想的には、吾々は分子の活性部に対する免疫系をその生理的活性を破壊することなしにスイッチ・オフすることを好むであろう。これは寛容化の時に適当な低い投与量の抗体を用いることにより達成され得る。
吾々はこの効果を達成することを試みるために分子の活性部に対し低親和性の抗体で寛容化することを保証し得る。
吾々は分子の非活性部に対する低親和性抗体を以て、又は高親和性抗体を以て寛容化し得る。
吾々が寛容化するために与える抗体のレベルは、認められるであろう様に非常に低い。吾々は抗体の1,2,3,4,5,6,7,8,9,10又はより多くのマイクログラムを注射し得る。吾々はB細胞(又はそれらの多く)をスイッチ・オフするに丁度十分であればよく、より多くを注射することを要しない。この抗体のレベルは患者から不利な反応の何らか著しい危険があるには余りにも低い。
本発明のキーの部分は吾々が単純に患者の免疫系は繰り返しの治療を無効にするであろうと受け取るべきではないということの理解である。更なる驚くべきステップは第1の考えとは反対に、分子に対し寛容化することはこれはその生理的効果を閉塞するであろうから逆効果を生ずるものではないということの理解である:吾々は尚生理的効果(及び減少した/除去された免疫応答)を、抗体の十分低い投与量をもつこと、分子の一部のみに対し寛容化すること、又は活性部に対する低親和性抗体が存在する(それが可成りの時間に亘り活性であることを許容する)ことを保証することの何れかにより、有することができる。
吾々が利用する免疫メカニズムは新規ではなく、又それらは新しく理解されるものでもない:それはそれらが吾々の発明の少なくとも一部である治療を増大/補足するために使用され得るということの理解である。
現在筋肉けいれんをもつ患者(例えば首又は顔の筋肉)はボツリヌス毒素(例えば共にUKの会社であるSpeywood Pharmaceuticals Ltd,SL6,4UHにより製造されるDUSPORT(商標);又はAllergan Ltd,HP12,3SHにより製造されるBOTOX(商標))を注射することにより治療される。
ボツリヌス毒素の注射は筋肉内に与えられる(目の筋肉けいれんの場合には筋肉注射と皮下注射との間には筋肉が非常に小さいから僅かな差しかない)。著しい数の患者において彼らの応答は多数の注射の後に減少する。
本発明においてはボツリヌス毒素の推奨された投与量と又抗体のある投与量を注射するが、抗体の投与量はマイクログラムの範囲である。抗体はボツリヌス毒素の凡て(又は実質上凡て)に対する抗体であるが、しかし低い投与量(例えば25μg又は以上)においてであるだろう。
殆ど又は全く免疫応答はなく、そして最小レベルをこえてのボツリヌス注射に対する患者の応答の減少が理想的には決して起こらないか、又は顕著な数の注射により遅延されるであろう。著しい数の患者において、吾々はそれ以上の注射が価値がなかったレベルまでの応答における減少をみることを決して予期しないであろう。
吾々は毒素と同時、又はその少し前又は後に抗体を注射し得る。第15図は一瓶のボツリヌス毒素30と一瓶の抗体32及び注射器34を示す。抗体の数マイクログラムが注射器中に毒素の容量が導入される直前又は直後の何れかに導入され、そしてそれら二つは同じ注射器から同時に注射される。さもなくば吾々は二つの注射器をもってもよい−一つは抗体のためにそして一つはボツリヌス毒素のために。吾々は抗体に対し予め負荷した注射器を提供し得る。
吾々は薬剤成分をそれらが注射される際混合する多成分インゼクターを用いることができる。薬剤のその又は各成分は予め定められた容積のカートリッジ/試料として提供され得る。
抗体及びボツリヌス毒素の両者による第1の注射の後に患者は毒素のみの引き続く注射をうけることができ、一方彼の免疫系は尚スイッチ・オフされる。さもなくば吾々は毒素に対し(又は毒素の非活性部に対し)更なる抗体を毒素の各々の(又は少なくともいくつかの)引き続く投与と共に与えることができる。
もし吾々の示唆したメカニズムが正しいならば発明はボツリヌスで以前に注射されたことがなく、それ故毒素に対しナイーブなB細胞を有する患者に対し最も良く実行されることが認められるであろう。
ボツリヌス毒素の注射を与え続ける能力はボツリヌスの別の株を発育させることの必要及びコストを除去する。
第2の例として、ボツリヌス毒素に関連する第1の例をとり、それを心臓アタックを治療するためのストレプトキナーゼと置換える。
勿論、問題の抗原分子の部分のみに対し抗体を産生し得る使用者に対する実際的ステップは存在する。これは特許出願のはじめの方の部分においてカバーされる。
分子の選択された部分に対し抗体をつくる時、非選択部は抗体源からそれを他の分子又は物質で「蔽うこと」によって「隠蔽」され得る。非選択部が物質の生理的活性部分である場合は、その活性部位はその位置をブロックするか又はそれを蔽うか、又はその形状及び/又は充填分布を歪曲する様なあるものをそれと結合によって隠蔽されることができ、それ故分子プラス活性部位ブロッカーが抗体源に対し導入される時「裸の」活性部位に対し抗体がつくられない様にされる。
吾々が分子の選択部に対し特異的な抗体をつくることを欲する時、吾々は問題の第1の分子の非選択フラグメントに対し抗体を導入することにより、又は他の分子、即ち第2の分子に対する抗体であって問題の第1の分子の非選択部プラス他の部分又は複数の部分(しかし第1の部分の選択部ではない)を有するものを導入することにより、第1の分子の非選択部に対する免疫抗体に対し寛容化し得ることが認められるであろう。非選択部に対する及び/又は選択部に対する抗体は、できれば抗体の更なる収穫のために尚動物を生きたままで残す様にして、好ましくは動物から抽出される。例えば動物は血を抜き取られ、その血液から抗体が抽出される。多くの動物から彼らを永久的に傷つけることなく100ml乃至1リットルの血液をとり、動物を将来における更なる抗体獲得のために利用し得る様にしておくことは極めて可能である。非選択部に対する抗体を産生するために用いられる抗体源は好ましくは後に選択部に対し抗体を産生するために用いられる同じ源(動物)ではない。即ち異なる源(同種の動物)は選択部に対する抗体の生産に対しそれを寛容化するために用いられる非選択部に対する抗体を有する。
本発明が応用を有する領域は非包括的リストにおいて次のものを含む:
多発性硬化症を治療するため用いられるインターフェロンは免疫応答を惹起し得る。
筋肉けいれんを治療するためのボツリヌス毒素は免疫応答を引き出し得る。他の神経系応用があり得る。
リウマチ性疾患の治療のための物質はそこに有害な免疫応答である様にさせ得る。例えばTNF、セレクション(selections)及び他のサイトカイン(cytokines)である。
物質による腫瘍の治療。抗体、例えば単クローン抗体は診断又は治療において腫瘍ターゲッティングのために使用され得る。腫瘍構造の一部、例えばエピトープ、又は一より多くのエピトープに対する抗体がつくられ得て、使用においてこれらのエピトープに対し結合し得る。他の物が抗体に対し引きつけられるか、結合されるか又は複合することができ、腫瘍を治療するための薬、又はNMRスキャナー、又はCATスキャナー、又はX−光線マシンの如きスキャナーにより容易に検知されるあるものの如きものである。
吾々は勿論構造(例えば腫瘍)を標的とするために導入される外来の「標的化」抗体に対す患者の免疫応答をスイッチ・オフすることをねらう。例えば使用はそれらの構造の全部、又は大部分に対し寛容化し得る。吾々はそれらの標的上に錠止するそれらの活性結合部位に対し寛容化することは選ばない。標的となる抗体に対し患者の免疫系を寛容化することはそれらをより有効である様にする。それは患者の免疫系によりそれほど強く除去されないからである。心臓病学において使用するための物質は本発明に対し他の用途を提供する。ストレプトキナーゼは心筋梗塞を治療するために用いられ、患者の免疫系は第2の所与量の投与を妨げる。
本発明は第2のそしてそれ以上の投与量が与えられることを許容し得る。
ボツリヌス及びジフテリア抗毒素の如き製薬の抗血清に対する免疫応答(IgE)の減少は使用の他の領域を提供する。抗毒素に対する応答を減少することはそれらに体内においてよりよく働くか/より長く続くことを可能にし得る。蛇にかまれた毒又は他の毒は使用の他の領域である。
血液学は使用の広い領域を提供する。患者に異質の蛋白、例えばファクターVIIIを血友病を治療するため注射することはよく知られている。本発明は吾々に異質のファクターVIII(又は他の物質)に対する患者の免疫応答を減少又は実質上除去することを許容する。
治療用の使用のために抗体を用いること、例えば毒性の薬の除去(Fab抗体はジギタリス中毒で悩む人々の中に注射される)は又知られている。本発明は我々に患者の免疫系から注射抗体をそれらの異質構造/蛋白に対し寛容化し、一方それらの活性な、毒素と相互作用する領域は尚機能する様にして注射抗体を「隠蔽」することを許容する。
単クローン抗体は移植手術に続く器官排除を制御するのに用いられる。その目的に対し投与される抗体に対し、選択的に免疫応答をスイッチ・オフすることは発明の他の使用である。吾々は抗排除抗体の低い投与量において寛容化でき、それによりそれらに対する免疫系応答を最小にし、それらがより良く且つより長く作用することを許容する。
吾々は移植された器官の特異抗原に対し患者の免疫系を寛容化し、その排除を防止/遅延することに発明のための使用を見ることさえできる。移植された器官は異質の「投与された」物質(請求項の意味内)であると考えられ得る。
使用の更なる領域は腎臓の問題を緩和するのを助けるエリスロポエチンでの治療である。これは免疫応答を引き出すが、それは本発明を用いて修正され得る。
使用の更なる領域は吾々が今や純粋な抗体Aでない抗体、抗体Aの注射を与えて不純物に対する免疫応答をスイッチ・オフしうるということであり、免疫系を抗体を以て適当な低い投与量においてそれらに対し寛容化し、実質上抗体Aに対してのみ応答を残す。これは吾々により安い、より純粋でない、抗体Aを使用することを可能にする。多くの薬又はワクチンのコストの多くはそれらを精製することと組み合っている。吾々はこの様にして(かかる純粋な物質に対する必要性を除去して)精製コストを減少することが可能であり得る。
実際免疫応答(それは望まれていない)を含む複合の蛋白/抗原の領域は本発明が使用され得る領域である。
吾々が好ましく導入する抗体はそれらが付着する蛋白に対し高い親和性を有する。吾々はもし活性部位(S)に対しともかく任意の抗体があるならば、低親和性抗体をもつことを好むかも知れない。
吾々は生理活性物質とそれに対する抗体を人間又は動物上のほぼ同じ部位に(可能ならば順次に、又は同時に)注射することを好む。吾々は物質を一つの部位に注射し、そして抗体を他の部位に注射することを好むかも知れない。二つの部位は十分間隔をおいて離れてあり得る。部位(site)の一つ又は両者は皮下、脈管内又は筋肉内であり得る。
物質を抗原と組み合わせ且つその抗原に対する抗体が存在することを
保証すること(例えば体内に予め存在する抗体の集団が存在する抗原
を選択すること)により異物に対する免疫応答を抑圧すること
本発明の産業的応用の一例として吾々は心筋梗塞を患う患者に対するストレプトキナーゼの投与をとりあげよう。その例は例示のためのみで、この出願に付随する更なる図面に関連して記載されるであろう。
第16図はストレプトキナーゼを認識するB細胞の図式的表示であって、そのFcレセプターに結合する抗アルブミン抗体によりスイッチ・オフされ、負の信号を発生し、抗アルブミン抗体はアルブミンで抱合されるストレプトキナーゼによりFcレセプターの付近にある様に助長される:そして
第17図は第16図に示された如きメカニズムと同種の図式的表示であるが、しかし抗破傷風抗体が既に患者の血液中に存在しており、Fcレセプターをトリガーし、且つ破傷風トキソイドがストレプトキナーゼと抱合する抗原である。
患者へのストレプトキナーゼの最初の投与において(又は引き続く投与において)、患者中のストレプトキナーゼに対する抗体の産生を阻止するために、それに対し他の分子(例えばアルブミン)を共有結合で付着させ得る。この抱合体は次いで抗アルブミンと一緒に投与され得て、ストレプトキナーゼを認識するB細胞は「スイッチ・オフ」されるであろう。かくしてストレプトキナーゼに対する抗体は全く産生されないであろう−第16図参照。
この不利な点はアルブミンに対する抗体が患者のB細胞の人間Fcレセプターと結合するため人間の抗体であることである。かかる人間の抗体は容易に入手可能ではない。
別法は抱合分子としてのアルブミンをRhesus D抗原で置換えることであろう;Rhesus Dに対する人間抗体は商業的に入手可能である。抗Rhesus Dを投与することは併しながらRhesus陽性の患者には着手し得ない。それは抗体が患者の赤血球上のRhesus D抗原に結合するであろうから。
より良い選択はアルブミンを破傷風トキソイドの如き分子と置換することであろう。多くの個人は破傷風に対する保護として破傷風トキソイドで日常的に免疫化されている:彼らはそれ故既に彼らの循環系中にこれに対し抗体を有する。(もし抗破傷風トキソイドレベルが余りに低いか又は欠除するならば、患者はストレプトキナーゼ−破傷風トキソイド抱合体と同時に与えられ得る破傷風トキソイドで免疫化/追加免疫(ブースト)され得る)。もしストレプキナーゼ−破傷風トキソイド抱合体が投与されるならば、既に存在する抗破傷風トキソイド抗体がストレプトキナーゼに対する抗体の産生を阻止するであろう(第17図参照)。かくして何ら抗体を投与する必要は存在しない。このアプローチの利点は次の如くである:
i.非抱合のストレプトキナーゼがストレプトキナーゼ抱合体と同時に与えられ得る。これは抱合プロセスから結果し得るストレプトキナーゼの酵素活性の損失が補償されるであろうことを意味する。ストレプトキナーゼを認識するB細胞は尚抱合体、又はそれらの大多数によりスイッチ・オフされるであろう。
ii.抗体が患者に対し投与されることを要しない。
iii.これは「単一ショット」治療である。(患者の破傷風トキソイドに対する免疫の当初のスクリーンが、しかし乍ら、必要か又は望ましいかも知れない)。
この過程は物質が一回以上の機会に与えられるべきである任意の医療状況に対して適用でき、その物質に対する抗体が産生されないということが必須である。
あと知恵を以て、発明をなした後、そのプロセスは(ナイーブな)B細胞が異なる変種のインフルエンザウイルスに露出される時天然に起こる状況と類似していると見られ得る。ここでは第1のウイルス株がそのエピトープに応答するB細胞を創生し、そして第2のウイルス株が遭遇される時両方の株に共通のエピトープは最初の株との第1の接触を以て発生されるものより大なる応答を発生するが第2のウイルス上の新しいエピトープは、前に見られたものでなく、それらが第1の株に既に遭遇しなかった免疫系に遭遇した第2の株を持ったであろうよりずっと弱い応答を発生する。
吾々は患者が既に存在する抗体集団をそれに対しもっている抗原と抱合された生理的(又は薬理的)活性物質を投与することを提案するであろう。吾々は又同時に非抱合の生理的/薬理的活性物質を投与し得る。「同時に」は必ずしも同じ注射において、又は抱合注射の数秒以内を意味しない−それは時間、又は一日でさえ、又はより多くの後であり得る。吾々はB細胞スイッチ・オフ抱合体を投与するよりずっと前に非抱合の活性物質を投与することを考えないであろう。
吾々は次のものの一つ又はより多くのキットを提供することをもくろんでいる:−抱合体をもつ容器:指示書(instructions);インゼクタ;非抱合活性物質(抱合物質と一緒に又は別個の容器内に);望ましい現存する抗体集団の存在を決定するためのテストキット。
破傷風トキソイドに対する抱合/結合の代わりに、予め存在する抗体集団がそれに対し存在する他の抗原が使用され得る。例えばある国における多くの人々は各種の疾病に対する接種を有する。UK及び他の国々では人間集団は多くの疾病に対し広く接種され、且つ多くの「幼年時代」の疾病を経験する。水痘、結核、おたふくかぜ、百日咳、腸チフス、ポリオ、猩紅熱及び他の多くの抗原がそれらに対する抗体を有する人間集団の大部分を有するであろう。
吾々が提供するキットは多数の異なる抗原−異なる抗原との生理的活性物質抱合体を含み得て、使用者は(入手し得る抗原抱合体に対応する)多数の抗体を探索するためのスクリーニング・テストを実施後、望ましい抗原/活性物質抱合体を選択する。

Claims (13)

  1. 分子(XY)の選択部分(Y)に対する抗体を生成する方法であって、
    1の非ヒト動物の免疫系を前記分子(XY)の非選択部分(X)を含有する化合物に対して露出し、且つ前記第1の非ヒト動物を前記分子(XY)の非選択部分(X)に対する抗体に露出することによって、前記第1の非ヒト動物の免疫系を前記分子(XY)の非選択部分(X)に対して寛容化し、及び
    前記第1の非ヒト動物を前記分子(XY)の全部、即ち前記分子の前記選択部分(Y)及び寛容化に用いた前記部分(X)で免疫化して、前記第1の非ヒト動物に前記分子(XY)の前記選択部分(Y)に特異的な抗体を産生させ、前記第1の非ヒト動物から産生されたこれらの抗体を抽出することからなり、ここで、前記非選択部分(X)に対する抗体を産生するために第2の非ヒト動物を用い、該第2の非ヒト動物が、後に前記選択部分(Y)に対する抗体の産生に用いられる前記第1の非ヒト動物と同じ個体源ではなく、且つ前記選択部分(Y)に対する抗体の産生のために選ばれる前記第1の非ヒト動物が、前記非選択部分(X)に対し予め免疫化されたものではない、抗体生成方法。
  2. 前記第2の非ヒト動物を前記分子(XY)の非選択部分(X)又は全部で免疫化して前記非選択部分(X)に対する抗体を育成し、前記非選択部分(X)に対する抗体を抽出し、及び前記非選択部分(X)に対する抗体を第1の非ヒト動物の寛容化に用いることにより、前記第1の非ヒト動物の免疫系を前記分子(XY)の非選択部分(X)に対して寛容化し、前記選択部分(Y)に対する抗体の産生を増大させる、請求項1の抗体生成方法。
  3. 記第1の非ヒト動物により産生される血液又は他の物質材料が抽出され、前記選択部分及び/又は非選択部分に対する抗体が前記血液又は他の物質材料から得られる、請求項1からの何れか1の抗体生成方法。
  4. 前記生成される抗体がポリクローナル抗体である、請求項1からの何れか1の抗体生成方法。
  5. 前記選択部分(Y)が2つの類似の分子の間の相違部分からなり、前記寛容化に用いられる前記非選択部分が1つの分子の全部又は一部であり、前記免疫化が前記第1の非ヒト動物に対し他方の分子の全部又は一部を導入することにより達成される、請求項1からの何れか1の抗体生成方法。
  6. 前記2つの類似の分子がアロタイプである、請求項の抗体生成方法。
  7. 前記アロタイプがIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4から選ばれる、請求項の抗体生成方法。
  8. 前記分子の前記選択部分が、酵素の活性化部位からなる、請求項1からの何れか1の抗体生成方法。
  9. 前記抗体が分子(XZY)の選択部分(Y)に対して生成され、Xが前記分子(XZY)の非選択部分の一部からなり、Zが前記分子(XZY)の非選択部分の別の一部からなり、Yが前記分子(XZY)の選択部分であって隠れたエピトープからなる、請求項1の抗体生成方法であって、
    非ヒト動物の免疫系を前記分子(XZY)の前記非選択部分(XZ)を含有する化合物に露出し、且つ前記非ヒト動物を前記分子(XZY)の非選択部分(XZ)に対する抗体に露出することによって、前記非ヒト動物の免疫系を前記分子(XZY)の前記非選択部分(XZ)に対して寛容化し、及び
    前記抗体源を露出された前記選択部分(Y)を有するZY又はXY、ZY、XY又はXZYで免疫化して、前記非ヒト動物に前記分子(XZY)の前記選択部分(Y)に対する抗体を産生させることからなる抗体生成方法。
  10. 前記抗体が遊離の軽鎖に特異的である、請求項1から及びの何れか1の抗体生成方法。
  11. 前記非選択部分に対する前記抗体が静脈注射される、請求項1から10の何れか1の抗体生成方法。
  12. 請求項1から11の何れか1の抗体生成方法を用いて抗体を生成し、生成された抗体を受容可能な担体と共に提供することからなる、診断テストキットの調製方法。
  13. 前記抗体が血液その他の物質から抽出され、又は非ヒト動物を生きたまま残すような仕方で材料が抽出される、請求項又は請求項に従属する請求項から及び10から12の何れか1の方法。
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