JP2000304747A - 動脈硬化症惹起性リポ蛋白の検出方法およびこれに用いる抗体 - Google Patents

動脈硬化症惹起性リポ蛋白の検出方法およびこれに用いる抗体

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JP2000304747A
JP2000304747A JP11109001A JP10900199A JP2000304747A JP 2000304747 A JP2000304747 A JP 2000304747A JP 11109001 A JP11109001 A JP 11109001A JP 10900199 A JP10900199 A JP 10900199A JP 2000304747 A JP2000304747 A JP 2000304747A
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Kazuo Uchida
壱夫 内田
Shinichi Mashiba
新一 真柴
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IKAGAKU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動脈硬化症惹起性リポ蛋白を検出する新規な
方法を提供する。 【解決手段】ポリスチレン、ナイロン、ポリプロピレ
ン、ポリカーボネートなどの高分子化合物を固相法の検
出系素材として用いるか、コラーゲン、フィブロネクチ
ン、ラミニン、プロテオグリカン類などの細胞外基質成
分を固相試薬として用いて、これらに吸着、接着させて
動脈硬化症惹起性リポ蛋白を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、血液中に存在するAp
oB蛋白を含有するリポ蛋白のうち、ポリスチレンやポリ
プロピレン、ナイロンなどの高分子化合物、もしくはコ
ラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリ
カンなどの細胞外基質成分に吸着、接着性を示すことを
特徴とする動脈硬化症惹起性リポ蛋白を特異的に検出す
る検出方法およびその抗体に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】動脈硬化症は大動脈、
冠状動脈、脳動脈および頚動脈に多く発生し、心筋梗
塞、脳梗塞などの主因となる疾患である。従来、血液中
でこれら生体内での動脈硬化症の状態を直接反映する測
定対象がなく、血清中あるいは血漿中のLDL 、リポ蛋白
(a) 、レムナントリポ蛋白、酸化LDL などが血管壁脂質
蓄積と関わりの深い、動脈硬化症惹起性のリポ蛋白とし
て測定されてきた。なかんずく、酸化LDL と粥状動脈硬
化病変の進展との関連性がスタインバーグ(Steinberg,
D.et al.N.Engl.J.Med.320:915,1989) らにより指摘さ
れて以来、動脈硬化の進展における酸化LDL の関与が注
目されてきた。
【0003】その後、スカベンジャー受容体(Kodama T,
et al.Nature 343:531,1990)など酸化を受けたLDL に対
する受容体の存在が明らかにされ、酸化LDL がこれらの
受容体を介して、マクロファージに取り込まれることに
よって、泡沫細胞となり粥腫形成のきっかけとなるとい
う仮説、また、酸化LDL が血管内皮細胞を障害すること
で、血小板の粘着凝集や白血球の遊走集結、血漿成分の
血管内壁への浸潤がおこり、さらには血管平滑筋細胞の
内膜への遊走や増殖を促進する作用も伴い、複雑な病変
に進行し、血管の内腔を狭めるという仮説が提唱されて
いる。
【0004】この酸化LDL が動脈硬化病巣に存在するか
否かについての検討は、Herberland,M.E.et al.Science
241:215,1988.やYIa-Herttula,S.et al.J.Clin.Inves
t.84:1086,1989.らが、マロンジアルデヒドを用いて人
工的に修飾したLDL を抗原として得た抗体で動脈硬化病
巣部が染色されることを確認している。一方、血液中の
酸化LDL と疾病との関わりについては未だ明確になって
いないのが現状である。本発明者らが先に発見した酸化
LDL/α1 アンチトリプシン複合体(特許出願番号平8−
317162号)や、Itabe,H.et al.J.Biol.Cem.269:1
5274,1994.の方法による血液中酸化LDL濃度と各種循
環器系疾患の進展状態との関連性については、現在検討
が進められている。
【0005】一方、Williamsらにより(Arterioacler,Tr
om.,15:551,1995)新たな動脈硬化発症機序仮説として、
血管内皮下の脂質沈着を発端とする機序仮説が提唱され
ている。この場合のマクロファージの作用や平滑筋細胞
の形質転換後の食細胞化は、過剰の脂質が局所に蓄積し
ないための生体の防御反応であるとも考えられている。
従って、このような局所(血管内壁下)における生体の
防御反応が破綻をきたした時、動脈硬化症の進展がおこ
ると考えられている。このような状況下で本発明者ら
は、血液中に血管内皮下の脂質沈着を発端とする機序仮
説を裏付けるような、もっと粥状動脈硬化病巣の進展と
深く関わるタイプ(Lp(a)のごとく、強力に細胞外基質成
分へ吸着する性質を有する)のLDL もしくは酸化LDL が
存在するのではないか、さらに細胞外基質蛋白に吸着す
る性質を有するLDL は、最近、動脈硬化形成性が強く示
唆されているところの中性脂肪含有リポ蛋白が代謝され
て生ずるsmall dense LDL とも関連するのではないかと
考え、鋭意研究を進めた。すなわち、本発明は、粥状動
脈硬化病巣の進展と深く関わる物質を発見し、これを有
効に検出する方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】血中に増加したLDL が粥
状動脈硬化を惹起する分子機構については、いまだ不明
な点が多く残されているが、本発明者は、種々の研究と
検討の結果、循環血液中に存在するLDL が多様な特性を
有することに気付き、そのなかから血管壁への脂質蓄積
性に富む、つまり、細胞外基質成分への沈着性の強い、
新規なリポ蛋白の存在を発見して本発明に至った。すな
わち、本発明者は、粥状動脈硬化病巣の進展と深く関わ
る特性を有する新規なLDL (LDL/免疫グロブリン複合体
や酸化LDL/免疫グロブリン複合体として存在しているも
のを含む、新規な動脈硬化惹起性リポ蛋白)を発見し、
これらの検出方法を確立して本発明を完成させた。
【0007】より具体的には、本発明は、ポリスチレ
ン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなど
の高分子化合物を固相法の検出系素材として用いるか、
コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグ
リカン類などの細胞外基質成分を固相試薬として用い
て、これらに吸着、接着させて検出するようにした動脈
硬化症惹起性リポ蛋白の検出方法である。本発明に係る
新規な動脈硬化惹起性リポ蛋白は、ポリスチレンなどの
高分子化合物や、コラーゲンなどの細胞外基質成分に吸
着性を有し、これを高感度かつ定量的に検出できること
は本発明者によって確認されており、従って、本発明に
よれば、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患、脳梗塞を
はじめとする脳動脈系疾患や腎動脈系疾患、抹消動脈系
疾患などの粥状硬化症を主因とする種々の循環器系疾患
の診断を有効に実現することができる。
【0008】本発明において好適な測定対象は、上記高
分子化合物や細胞外基質成分に吸着、接着性を示す物質
のうち、血液中に存在するApoB蛋白を含有するリポ蛋白
であり、より好適には、LDL/免疫グロブリン複合体ない
しは酸化LDL/免疫グロブリン複合体(以下、LDL ないし
は酸化LDL-免疫グロブリン複合体のように略記すること
がある)である。ここで免疫グロブリンとは、IgA 、Ig
G 、IgM のいずれか一つ、又は複数を意味する。なお、
更に好ましくは、免疫グロブリンのうち、IgA(1量
体、2量体もしくは分泌型IgA )が好適である。
【0009】また、本発明は、酸化LDL-IgA 複合体を抗
原として用いることを特徴とする抗ヒト酸化LDL-IgA 複
合体モノクローナル抗体にも関する。すなわち、請求項
6に記載の通り、本発明は、マウス骨髄腫細胞と酸化LD
L-IgA で免疫された哺乳類の脾臓細胞とを融合させて得
られるハイブリドーマにより産生される抗ヒト酸化LDL-
IgA 複合体モノクローナル抗体であって、酸化LDL-IgA
複合体を特異的に認識する抗体である。この抗体を用い
れば、酸化LDL-IgA 複合体を測定対象として動脈硬化惹
起性リポ蛋白を確実に検出することができる。
【0010】本発明はさらに、血清、血漿および、これ
らから分離したLDL 画分を至適な濃度に希釈した後、ポ
リスチレンやナイロン、ポリプロピレン、ポリカーボネ
ート等の高分子化合物、もしくはコラーゲン、フィブロ
ネクチン、ラミニン、プロテオグリカン等の細胞外基質
蛋白質を固相試薬とした系や、該抗体と接触させ、結合
したLDL ないしは酸化LDL-IgA 複合体もしくは、LDL な
いし酸化LDL とIgG 、IgM の複合体を含むこれらの固相
ないしは固相試薬でトラップされたリポ蛋白を、さらに
LDL を認識する抗体(抗ヒトApoB抗体)と接触させて、
ヒトLDL ないしは酸化LDL と免疫グロブリンの複合体を
含む動脈硬化症惹起性リポ蛋白を測定することができ、
動脈硬化性疾患の診断などに好適である。
【0011】
【実施例】以下、本発明に至る経緯も含めて具体的に説
明する。 1.本発明に至る経緯 本発明者は、細胞外基質成分への沈着性の強い、新規な
リポ蛋白の存在を発見した後、in vitroにおいて、LDL
とIgA の複合体形成を試み、人工的に酸化変性を受けた
LDL により複合体が形成されることを確認した。即ち、
native LDL、糖化LDL および、酸化LDL に精製品IgA を
添加し、いずれのLDL がIgA と複合体を形成するかを検
討した。各LDL とIgA の混合試料をアガロース電気泳動
後、ファットレッド(Fat red)7B による脂質染色および
イムノブロット(immunoblot)法によるIgA 染色を行っ
た。
【0012】その結果、native LDLおよび糖化LDL とIg
A の混合試料では複合体形成を認めなかったが、血管内
皮細胞処理か硫酸銅処理により調整した酸化LDL とIgA
の混合試料では複合体(酸化LDL-IgA 複合体)の形成を
認めた。さらに、糖尿病や心筋梗塞患者血清を用いて、
超遠心分離により得たLDL (1.006g/ml<d<1.063g/ml)
を抗ヒトIgA イムノアフィニティクロマト手法によっ
て、LDL-IgA 複合体を単離精製した。このLDL-IgA 複合
体を形成するLDL の性質として、酸化LDL に特徴的な脂
質過酸化物の増加、ApoB蛋白の崩壊、そしてLDL 粒子全
体の陰性荷電の増加を認めた。さらに、ゲル濾過分析に
て得た各画分を用いたELISA から、LDL 画分中にLDL-Ig
A 複合体の存在が確認された(図1)。
【0013】そこで本発明者らは、LDL ないしは酸化LD
L がIgA という好都合な標識を付けて存在する事実に着
目し、酸化LDL と複合体を形成するIgA を特異的に認識
するモノクローナル抗体を作製できれば、この抗体を用
いて血液中のLDL ないしは酸化LDL とIgA の複合体を認
識、測定、単離、精製することが可能と考えた。抗体作
製時の抗原には、人工的に調整した酸化LDL-IgA 複合体
を用いた。得られた抗体のIgA に対する反応特異性は、
native IgAや血液中に存在が知られているIgA-α1 アン
チトリプシン複合体を形成するIgA には反応性を示さな
いが、酸化LDL と複合体を形成するIgA を認識した。ま
た、本抗体はApoB蛋白は認識しないことも判明した。
【0014】2.抗ヒト酸化LDL 結合IgA モノクローナ
ル抗体の作製法 続いて、モノクローナル抗体作製法の一例について詳細
に説明しておく。 〔抗原の調整〕ヒト血清から超遠心分離により得たLDL
(1.006g/ml<d<1.063g/ml)を抗ヒトα1 アンチトリプ
シンポリクローナル抗体を用いたイムノアフィニティー
カラムを通し、LDL-α1 アンチトリプシン複合体を除去
する。このα1 アンチトリプシンフリーのLDL に精製ヒ
トIgA を添加し、硫酸銅液を加え37℃に1夜放置して、
酸化LDL-IgA 複合体を形成させた。LDL とIgA の結合体
形成の確認は、複合体を試料としてゲル濾過分析により
得た各画分についてELISA (固相抗体として抗ヒトIgA
抗体、酵素標識抗体に抗ヒトApoB抗体を用いる)を実施
することにより確認できる。
【0015】〔動物への免疫〕この複合体(抗原)をリ
ン酸緩衝生理食塩液で蛋白濃度として1mg/ml溶液となる
ように調整し、この溶液をフロインドアジュバンドを等
量混合して得られるエマルジョンを、6週令のマウス
(Ba1b/C系マウス)の腹腔内に 500μl 投与した。この
作業を2週間おきに計3回免疫を行った。 〔細胞融合〕最終免疫後4日目に、このマウスの脾臓か
ら採取した脾リンパ球細胞をマウス骨髄腫細胞(P3-X63
-Ag8-U1)と融合させた。融合方法は、常法に従い、50%
ポリエチレングリコール4000溶液を融合促進剤として用
い、融合促進剤の添加、混合および希釈の各操作からな
る融合時間を10分間、37℃で行った。次に、HAT 培地
(ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン・10%ウ
シ胎児血清を含むRPMI培地)に融合終了後の融合を分散
させ、ついで、複数枚の96穴マイクロプレートの各ウエ
ルに 200μl 分注し、37℃50%炭酸ガス存在下で培養し
た。
【0016】〔抗ヒト酸化LDL 結合IgA モノクローナル
抗体産生ハイブリドーマの選択および単一化〕約1週間
後、各ウェルのHAT 培地を 100μl 吸引し、HT培地(ヒ
ポキサンチン・チミジン・10%ウシ胎児血清を含むRPMI
培地)を各ウェルに分注し、2〜3日後、抗体産生ハイ
ブリドーマの選択を行った。選択方法は、酸化LDL-IgA
複合体、native IgA、native apoB を各々固定化した96
穴マイクロプレートに、各ウェルのハイブリドーマ形成
コロニーの培養上清を 100μl 分注して反応させ、つい
で洗浄後、ペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブ
リン抗体を 100μl 添加して、抗原抗体反応させ、洗
浄、呈色とELISA の常法に従って操作し、目的とする抗
体(酸化LDL 結合IgA に反応性を示すが、native IgA、
native apoB には反応しない抗体)産生ハイブリドーマ
を複数個選択した。次に、目的とする抗体産生を示した
コロニーを回収し、限界希釈法によってハイブリドーマ
の単一コロニーを得るようにクローニングを行った。こ
の方法は、回収したコロニーをHT培地で希釈し、96穴
マイクロプレートの各ウェルにハイブリドーマがウェル
当たり1個以下となるようにフィーダー細胞と共に散布
した。以上の操作を2回行い、モノクローン化された抗
ヒト酸化LDL 結合IgA 抗体産生ハイブリドーマを複数個
得た。
【0017】〔抗ヒト酸化LDL 結合IgA モノクローナル
抗体の腹水化〕8週令のマウス(Ba1b/C系マウス)の腹
腔内にプリスタン(免疫抑制剤)を投与した。3〜7日
後に抗体産生ハイブリドーマを腹腔内に投与し、約7日
後にマウス腹腔から腹水化された抗体を回収した。 〔抗体の精製〕腹水化して得られたそれぞれの抗体を50
%硫酸アンモニウムで2回塩折分離を行い、リン酸緩衝
生理食塩液にて透析して精製し、複数個の抗ヒト酸化LD
L 結合IgA モノクローナル抗体を得た。 〔抗体の選択〕精製した複数個の抗ヒト酸化LDL 結合Ig
A モノクローナル抗体と人工的に調整した酸化LDL-IgA
複合体をそれぞれ反応させ、二次抗体として抗ヒトApoB
酵素標識抗体を用いたELISA において感度に優れた、抗
ヒト酸化LDL 結合IgA モノクローナル抗体(IgA-LA-1と
命名)を選定した。
【0018】3.本発明によれば、被検体の血液成分を
本発明の抗体と接触させ、該抗体と特異的に反応した抗
原量を定量することにより、血液中に含まれるLDL ない
しは酸化LDL-IgA 複合体を測定することができる。測定
法はラジオイムノアッセイ、酵素免疫法、イムノブロッ
ト法、免疫沈降法、蛍光イムノアッセイ、化学若しくは
生物発光イムノアッセイなどの公知法によって行われ
る。酵素免疫法(ELISA) によるLDL ないしは酸化LDL-Ig
A 複合体の測定法を例にとり、以下に具体的に説明す
る。
【0019】〔マイクロプレートへの抗体の固定化〕マ
イクロプレート(NUNC社製)の各ウェルに、抗ヒト酸化
LDL 結合IgA モノクローナル抗体(IgA-LA-1)5μg/ml
を含む0.1Mトリス緩衝液(pH8.4) を 100μlずつ分注
し、一夜4℃で放置して抗体を固相に吸着させる。 〔酵素標識抗体の調整〕別途、抗ヒトApoBポリクローナ
ル抗体、あるいは抗ヒトApoBモノクローナル抗体(酸化
LDL を抗原として作製したもの)をペプシンと2−メル
カプトエタノールアミンによりFab'として、ペルオキシ
ダーゼをこのFab'に標識して酵素標識抗体を調整する。
【0020】〔血清中あるいは血漿中LDL ないしは酸化
LDL-IgA 複合体の測定〕各ウェルに 100μl の1%ウシ
アルブミンを含むトリス緩衝液(0.1M 、pH8.0)を分注、
次いで血清もしくは血漿50μl を加えて混和した後、37
℃で2時間反応させる。次に洗浄液(Tween20を終濃度0.
005 %含むリン酸緩衝液:0.02M:pH7.4)で3回洗浄す
る。その後、ペルオキシダーゼ標識抗ヒトApoB Fab' 抗
体溶液(1%ウシアルブミンを含むトリス緩衝液)を各
ウエルに 100μl ずつ加え混合した後、37℃で1時間反
応させ、先と同様に3回洗浄する。基質発色液は、1.66
mM TMBZ (同仁化学)をメタノールで溶解後、メタノー
ル濃度が50%になるように0.2Mトリス緩衝液を加えた基
質溶液と、0.02%過酸化水素を含む35mMクエン酸溶液と
を等量ずつ混和した溶液 100μl を各ウェルに加え、室
温で10分間放置後、反応停止液(2.5Mリン酸溶液) 100
μl を各ウェルに加える。マイクロプレート用比色計を
用いて450/630nm の波長で比色し吸光度を算出する。人
工的に調整した酸化LDL-IgA 複合体を上述と同様の操作
にて反応させ、作成した検量線から試料中のLDL ないし
は酸化LDL-IgA 複合体濃度を算出する。
【0021】4.また、本発明によれば、LDL もしくは
酸化LDL と免疫グロブリン複合体を含む動脈硬化症惹起
性リポ蛋白は、細胞外基質成分に対して沈着性が強力で
あることから、固相に細胞外基質蛋白を固定化し、この
蛋白に吸着させたLDL ないしは酸化LDL と免疫ブロブリ
ンの複合体を含む動脈硬化症惹起性リポ蛋白を検出する
方法について述べる。固相化に細胞外基質蛋白として、
血管をはじめ皮膚、骨、腱、筋などの生体のほとんどす
べての組織に存在するコラーゲンを用いた測定法を例に
とり、以下に具体的に説明する。
【0022】〔マイクロプレートへの細胞外基質蛋白の
固定化〕マイクロプレート(NUNC社製)の各ウェルにI
型コラーゲンを10μg/mlを含む0.1Mトリス緩衝液(pH8.
4) を 100μl ずつ分注し、37℃で放置して蒸発乾固さ
せてコラーゲンを固相に吸着させる。 〔酵素標識抗体の調整〕別途、抗ヒトApoBポリクローナ
ル抗体、あるいは抗ヒトApoBモノクローナル抗体(酸化
LDL を抗原として作製したもの)をペプシンと2−メル
カプトエタノールアミンによりFab'として、ペルオキシ
ダーゼをこのFab'に標識して酵素標識抗体を調整する。
【0023】〔血清中あるいは血漿中LDL もしくは酸化
LDL-免疫グロブリン複合体の測定〕各ウェルに 100μl
の1%ウシアルブミンを含むトリス緩衝液(0.1M、pH8.
0)を分注、次いで血清もしくは血漿50μl を加えて混和
した後、37℃で2時間反応させる。次に洗浄液(Tween20
を終濃度 0.005%含むリン酸緩衝液:0.02M、pH7.4)で3
回洗浄する。その後、ペルオキシダーゼ標識抗ヒトApoB
Fab' 抗体溶液(1%ウシアルブミンを含むトリス緩衝
液) を各ウェルに 100μl ずつ加え混合した後、37℃で
1時間反応させ、先と同様に3回洗浄する。基質発色液
は1.66mM TMBZ (同仁化学)をメタノールで溶解後、メ
タノール濃度が50%になるように0.2Mトリス緩衝液を加
えた基質溶液と、0.02%過酸化水素を含む35mMクエン酸
溶液とを等量ずつ混和した溶液 100μl を各ウェルに加
え、室温で10分間放置後、反応停止液(2.5M リン酸溶
液)100μl を各ウェルに加える。マイクロプレート用比
色計を用いて450/630nm の波長で比色し吸光度を算出す
る。人工的に調整した酸化LDL-IgA 複合体を上述と同様
の操作にて反応させ、作成した検量線から試料中の酸化
LDL-IgA 複合体濃度を算出する。
【0024】5.さらに、本発明によればLDL もしくは
酸化LDL と免疫グロブリンとの複合体を含む動脈硬化症
惹起性リポ蛋白はポリスチレンやナイロンなどの高分子
化合物に対して吸着性が強力であることから、固相法に
よっても該リポ蛋白を測定することができる。固相にポ
リスチレン製マイクロプレートを用いた方法を例にと
り、具体的に説明する。
【0025】〔酵素標識抗体の調整〕別途、抗ヒトApoB
ポリクローナル抗体、あるいは抗ヒトApoBモノクローナ
ル抗体(酸化LDL を抗原として作製したもの)をペプシ
ンと2−メルカプトエタノールアミンによりFab'とし
て、ペルオキシダーゼをこのFab'に標識して酵素標識抗
体を調整する。 〔血清中あるいは血漿中LDL もしくは酸化LDL と免疫グ
ロブリンとの複合体を含む動脈硬化症惹起性リポ蛋白の
測定〕無処理のポリスチレン製マイクロプレート(NUNC
社製)の各ウェルに 100μlの1%ウシアルブミンを含
むトリス緩衝液(0.1M 、pH8.0)を分注、次いで血清もし
くは血漿50μl を加えて混和した後、37℃で2時間反応
させる。次に洗浄液(Tween20 を終濃度 0.005%含むリ
ン酸緩衝液:0.02M、pH7.4)で3回洗浄する。
【0026】その後、ペルオキシダーゼ標識抗ヒトApoB
Fab' 抗体溶液(1%ウシアルブミンを含むトリス緩衝
液) を各ウエルに 100μl ずつ加え混合した後、37℃で
1時間反応させ、先と同様に3回洗浄する。基質発色液
は1.66mM TMBZ (同仁化学)をメタノールで溶解後、メ
タノール濃度が50%になるように0.2Mトリス緩衝液を加
えた基質溶液と、0.02%過酸化水素を含む35mMクエン酸
溶液とを等量ずつ混和した溶液 100μl を各ウェルに加
え、室温で10分間放置後、反応停止液(2.5M リン酸溶
液)100μl を各ウェルに加える。マイクロプレート用比
色計を用いて450/630nm の波長で比色し吸光度を算出す
る。ヒト血清からコラーゲンを固定化したアフィニティ
ーカラムで単離・精製したLDL もしくは酸化LDL-免疫グ
ロブリン複合体を含む動脈硬化症惹起性リポ蛋白を上述
と同様の操作にて反応させ、作成した検量線から試料中
の動脈硬化症惹起性リポ蛋白濃度を算出する。
【0027】6.動脈硬化症惹起性リポ蛋白測定値と他
の動脈硬化性疾患関連検査値の関係性 健常者および、高脂血症、糖尿病患者血清160 例につい
てLDL ないしは酸化LDL-IgA 複合体を含む動脈硬化症惹
起性リポ蛋白〔1.固相法(ポリスチレンマイクロプレ
ートを用いた方法)、2.固相化蛋白法( Type I コラ
ーゲン固相化法)〕、酸化LDL-α1 アンチトリプシン複
合体、LDL-コレステロール、総コレステロール、中性脂
肪、Lp(a) 、HDL コレステロール、HbA1c を測定し、因
子分析によって検査項目間の関係性について検討した。
結果は表1に示すごとく、酸化LDL-α1 アンチトリプシ
ン複合体と動脈硬化症惹起性リポ蛋白は異なる病態生理
学的意義を有することがわかった。また、両項目間に相
関性を認めなかった(図2)。さらに、LDL ないしは酸
化LDL とIgA 複合体を含む動脈硬化症惹起性リポ蛋白は
LDL-コレステロール、中性脂肪、HDL-コレステロール、
Lp(a) とも相関性を示さなかった(図3)。
【0028】
【表1】
【0029】7.糖尿病患者および、マルチプルリスク
ファクター症候群患者血清中の動脈硬化症惹起性リポ蛋
白濃度。 図4に示すごとく、糖尿病患者およびマルチプルリスク
ファクター症候群患者血清中の動脈硬化症惹起性リポ蛋
白濃度は、健常者に比べて有意に高値であった。
【0030】8.血中Lp(a) 濃度と細胞外基質蛋白(コ
ラーゲン)吸着性Lp(a) 濃度の関係および、血中LDL-コ
レステロール濃度と動脈硬化症惹起性リポ蛋白濃度の関
係 細胞外基質成分への吸着性を示すが由に動脈硬化症の危
険因子とされているLp(a) は、血中のLp(a) 濃度依存性
にコラーゲン結合性Lp(a) として検出される。即ち、血
中に存在するLp(a) はすべて細胞外基質成分への吸着特
性を有することが示唆される(図5b)。LDL ではその
一部が細胞外基質成分への吸着性を示すにすぎず(図5
a)、血中のLDL 総濃度から細胞外基質成分吸着性のリ
ポ蛋白量を推定することはできない。別途、コラーゲン
(細胞外基質成分)結合性リポ蛋白として本発明者らの
方法によってのみ検出可能となる。つまり、血中LDL 中
にLp(a) と同様の細胞外基質成分吸着性のリポ蛋白(動
脈硬化症惹起性リポ蛋白)が存在する。
【0031】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、LDL もし
くは酸化LDL と免疫グロブリンとの複合体を含む動脈硬
化症惹起性リポ蛋白の測定することによって、心筋梗塞
や狭心症などの冠動脈系疾患、脳梗塞や脳血管系痴呆な
どの脳動脈系疾患、糖尿病性腎症などの動脈系疾患、お
よび、抹消動脈閉塞症などの循環器系疾患を診断するこ
とができ有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】LDL 画分中に存在するLDL-IgA 複合体およびコ
ラーゲン吸着性リポ蛋白を示したものである。
【図2】酸化LDL-α1 アンチトリプシン複合体と動脈硬
化症惹起性リポ蛋白の関係を示したものである。
【図3】動脈硬化症惹起性リポ蛋白濃度とLDL-コレステ
ロール、中性脂肪、HDL-コレステロール、Lp(a) 濃度と
の関係性を示したものである。
【図4】健常者、糖尿病者、マルチプルリスクファクタ
ー症候群における動脈硬化性惹起リポ蛋白濃度を示した
ものである。
【図5】血中Lp(a) 濃度と細胞外基質蛋白(コラーゲ
ン)吸着性Lp(a) 濃度の関係および、血中LDL-コレステ
ロール濃度と動脈硬化症惹起性リポ蛋白濃度の関係を示
したものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/545 G01N 33/545 Z 33/554 33/554 33/577 33/577 B 33/92 33/92 Z // C12P 21/08 C12P 21/08 (C12P 21/08 C12R 1:91) Fターム(参考) 2G045 AA01 BA13 BB01 BB05 BB20 BB22 BB24 BB41 BB50 BB51 CA26 CB02 CB17 DA37 DA62 FA29 FB01 FB03 FB06 FB07 FB16 GC10 4B064 AG27 CA10 CA20 DA13 4H045 AA11 AA30 BA40 BA55 CA42 DA76 EA50 FA72 GA10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリスチレン、ナイロン、ポリプロピレ
    ン、ポリカーボネートなどの高分子化合物を固相法の検
    出系素材として用いるか、コラーゲン、フィブロネクチ
    ン、ラミニン、プロテオグリカン類などの細胞外基質成
    分を固相試薬として用いて、これらに吸着、接着させて
    検出するようにした動脈硬化症惹起性リポ蛋白の検出方
    法。
  2. 【請求項2】 LDL と免疫グロブリンの複合体、もしく
    は酸化LDL と免疫グロブリンの複合体を測定対象とする
    請求項1に記載の動脈硬化性疾患惹起性リポ蛋白の検出
    方法。
  3. 【請求項3】 前記免疫グロブリンは、IgA (1量体、
    2量体もしくは分泌型IgA )である請求項2に記載の動
    脈硬化性疾患惹起性リポ蛋白の検出方法。
  4. 【請求項4】 固相法、酵素免疫法、ラテックス凝集反
    応、免疫発光分析法、イムノクロマト法などの免疫学的
    測定法を用いる請求項1ないし請求項3のいずれかに記
    載の動脈硬化惹起性リポ蛋白の検出方法。
  5. 【請求項5】 抗LDL 結合IgA 抗体と、酵素をはじめと
    する標識物質を標識した抗ヒトApoB抗体などの免疫反応
    検出試薬を用いる請求項3または請求項4に記載の動脈
    硬化症惹起性リポ蛋白の検出方法。
  6. 【請求項6】 マウス骨髄腫細胞と、LDL/IgA 複合体で
    免疫された哺乳類の脾臓細胞とを融合させて得られるハ
    イブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体であ
    って、nativeなIgA (1量体および2量体)やApoB(nat
    ive および変性ApoB) には反応せず、LDL/IgA 複合体を
    特異的に認識するモノクローナル抗体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104597252A (zh) * 2015-01-23 2015-05-06 浙江卓运生物科技有限公司 一种人血清氧化低密度脂蛋白的免疫比浊检测试剂盒
CN109891240A (zh) * 2016-10-12 2019-06-14 斯弗因高泰克有限公司 载脂蛋白e4的检测方法

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