JPH1128015A - コンバイン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 刈取部速度が車速同調のコンバインに
おいて、低速走行時の脱穀扱口などでの穀稈詰まり事故
を防止する。 【解決手段】 刈取部（８）が一定高さまで下降した
とき自動的に刈取部（８）を駆動するようにしたコンバ
インにおいて、刈取部（８）を一定速度で短時間（Ｔ）
駆動する刈取定速駆動手段（５９）を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は穀稈を連続的に刈取
って脱穀するコンバインに関する。

【０００２】

【発明が解決しようとする課題】刈取部を一定高さまで
上昇させたとき自動的に刈取部の駆動を停止させると共
に、刈取部を一定高さまで下降させたとき自動的に刈取
部を車速同調で駆動するようにした手段があるが、例え
ば短稈の作業条件下で刈取部を一定高さまで下降させて
低速で刈始めた場合、前工程で刈取部に残る挾扼稈がフ
ィードチェンに受継ぎされるとき、該チェンで引張られ
て稈元側を前方とする縦姿勢で扱口に挿入される状態と
なって、この扱口付近に稈詰まりなどが発生する原因と
なる。

【０００３】

【課題を解決するための手段】したがって本発明は、刈
取部が一定高さまで下降したとき自動的に刈取部を駆動
するようにしたコンバインにおいて、刈取部の一定高さ
までの下降時、刈取部を一定速度で短時間駆動する刈取
定速駆動手段を設けて、刈取部を一定高さまで下降させ
ての刈取作業再開時には、再開初期の低速度（刈始め時
は車速が低い）より高速の一定速度（フィードチェンと
略同一速度）で刈取部を短時間駆動して、刈取部に残っ
た前工程の挾扼稈をフィードチェンにスムーズに受継ぎ
させて、脱穀扱口などでの稈詰まりなどを良好に防止す
るものである。

【０００４】また、一定速度で短時間駆動後、刈取部速
度を車速同調に切換えて、例えば機体旋回後の車速が低
速より通常の速度に戻るときには、走行速度に刈取部の
引起しスピードを同調させるなどして、常に適正な搬送
姿勢を保っての脱穀部へのスムーズな穀稈の供給を促進
させるものである。

【０００５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づいて詳述する。図１は制御回路図、図２はコンバイン
の全体側面図、図３は同平面図であり、図中（１）は走
行クローラ（２）を装設するトラックフレーム、（３）
は前記トラックフレーム（１）に架設する機台、（４）
はフィードチェン（５）を左側に張架し扱胴（６）及び
処理胴（７）を内蔵している脱穀部、（８）は刈刃
（９）及び穀稈搬送機構（１０）などを備える刈取部、
（１１）は刈取フレーム（１２）を介して刈取部（８）
を昇降させる油圧昇降シリンダ、（１３）は排藁チェン
（１４）終端を臨ませる排藁カッタ、（１５）は脱穀部
（４）からの穀粒を揚穀筒（１６）を介して搬入する穀
物タンク、（１７）は前記タンク（１５）の穀粒を機外
に搬出する排出オーガ、（１８）は運転操作部（１９）
及び運転席（２０）を備える運転キャビン、（２１）は
運転キャビン（１８）下方に設けるエンジンであり、連
続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。

【０００６】さらに、図４及び図５に示す如く、分草板
（２２）…を介し取入れられる未刈り穀稈を起立させる
引起タイン（２３）…を有する６条分の引起ケース（２
４）…と、引起された穀稈の株元側を掻込む６条分のス
ターホイル（２５）…及び掻込ベルト（２６）…と、掻
込んだ穀稈株元を切断する刈刃（９）と、右側２条分の
刈取穀稈を左斜め後方に搬送する右下部搬送チェン（２
７）及び右上部搬送タイン（２８）と、中央２条分の刈
取穀稈を後方の右下部搬送チェン（２７）及び右上部搬
送タイン（２８）の送り中間位置近傍に合流させる中央
下部搬送チェン（２９）及び中央上部搬送タイン（３
０）と、左側２条分の刈取穀稈を右下部搬送チェン（２
７）及び右上部搬送体（２８）の送り終端位置近傍に合
流させる左下部搬送チェン（３１）及び左上部搬送タイ
ン（３２）と、前記右下部搬送チェン（２７）の送り終
端に合流する６条分の刈取穀稈の株元側を受継ぎ搬送す
る縦搬送チェン（３３）と、前記右上部搬送タイン（２
８）の送り終端に合流する６条分の刈取穀稈の穂先側を
脱穀部（４）に搬送する後上部搬送タイン（３４）と、
前記縦搬送チェン（３３）の送り終端部に設けてフィー
ドチェン（５）に適正姿勢で刈取穀稈を受継ぎ搬送する
補助搬送前チェン（３５）及び補助搬送後チェン（３
６）を、６条刈り用の前記刈取部（８）に備え、６条分
の刈取穀稈を縦搬送チェン（３３）に受継ぎ合流させて
フィードチェン（５）に供給し脱穀処理するように構成
している。

【０００７】さらに、前記の左中右の掻込ベルト（２
６）…上側にリミットスイッチ型の左中右の穀稈センサ
（３７）…を固定させ、刈刃（９）によって株元を切断
する直前まで掻込ベルト（２６）に掻込まれた未刈り穀
稈の中間部を前記センサ（３７）によって感知し、左中
右側の穀稈の有無によって刈取作業中であるか否かを検
出すると共に、脱穀部（４）の扱胴（６）前方の扱口に
長稈センサ（３８）及び短稈センサ（３９）を設け、フ
ィードチェン（５）の挾持搬送によって扱胴（６）に送
給される穀稈の稈長変化を各センサ（３８）（３９）に
よって検出するように構成している。また、扱深調節支
点軸を兼用する搬送入力ケース（４０）を介して前記縦
搬送チェン（３３）の送り始端部を刈取フレーム（１
２）に取付けると共に、搬送入力ケース（４０）を中心
に縦搬送チェン（３３）の送り終端部を深扱乃至浅扱位
置に揺動させる電動扱深モータ（４１）を設け、扱深モ
ータ（４１）の正逆転制御により、補助搬送前チェン
（３５）の送り始端部に対し、縦搬送チェン（３３）の
送り終端部を接離させ、扱胴（６）による穀稈扱深さを
変更させるもので、長稈及び短稈センサ（３８）（３
９）の検出結果に基づき扱深モータ（４１）を自動制御
し、扱胴（６）に送給する刈取穀稈の扱深さを略一定に
保つと共に、左中右の穀稈センサ（３７）…の少なくと
もいずれか１つが掻込み穀稈によってオンになることに
より刈取作業の開始が検出され、また左中右の穀稈セン
サ（３７）の全てがオフになることにより刈取作業の終
了が検出され、刈取作業中に扱深さを一定に保つ自動制
御が行われるように構成している。

【０００８】さらに、図６に示す如く、前記エンジン
（２１）の動力をカウンタケース（４２）に伝える自在
継手付ドライブシャフト（４３）を設けると共に、脱穀
出力軸（４４）、選別出力軸（４５）、刈取出力軸（４
６）、走行出力軸（４７）をカウンタケース（４２）に
設ける。前記脱穀出力軸（４４）に設ける脱穀プーリ
（４８）を介して扱胴（６）及び処理胴（７）をＶベル
ト駆動すると共に、送塵ファン（４９）、唐箕（５
０）、１番コンベア（５１）、二番コンベア（５２）、
揺動駆動軸（５３）、吸排塵ファン（５４）、排藁カッ
タ（１３）を、選別出力軸（４５）の選別プーリ（５
５）を介してＶベルト駆動するように構成している。

【０００９】また、前記ドライブシャフト（４３）上に
作業油圧ポンプ（５６）を設け、油タンクを兼用するカ
ウンタケース（４２）内の作動油を前記刈取シリンダ
（１１）などに送給して作動させると共に、脱穀クラッ
チ（５７）を介してドライブシャフト（４３）の動力を
選別出力軸（４５）に伝え、選別出力軸（４５）に脱穀
出力軸（４４）を連結させ、脱穀クラッチ（５７）を介
して脱穀部（４）各部に動力を伝えるように構成してい
る。また、前記吸排塵ファン（５４）の動力をフィード
チェンクラッチ（５８）を介してフィードチェン（５）
に伝えるように構成している。

【００１０】また、前記刈取出力軸（４６）に刈取定速
駆動手段である定速クラッチ機構（５９）の定速クラッ
チを介してドライブシャフト（４３）の動力を伝えると
共に、刈取部（８）の各部を駆動する刈取入力１軸（６
０）に入力プーリ（６１）を設け、前記１軸（６０）に
刈取２軸（６２）を連結させ、刈取部（８）各部に動力
を伝えるもので、前記刈取フレーム（１２）基部を支え
る刈取部（８）の昇降支点軸（６３）上に前記１軸（６
０）を設け、減速ギヤ（６４）及びスプロケット（６
５）を介して前記１軸（６０）左端側に補助搬送後チェ
ン（３６）を連結させるように構成している。

【００１１】さらに、左右一対の走行クローラ（２）
（２）を駆動する走行変速ケース（６６）を設け、油圧
ポンプ及び油圧モータを内蔵する油圧無段変速機（６
７）を走行変速ケース（６６）に取付け、走行出力軸
（４７）に変速機（６７）をベルト連結させ、エンジン
（２１）動力によって変速機（６７）を常時回転させる
もので、変速機（６７）の変速出力により変速ケース内
の変速ギヤを介して左右の走行クローラ（２）（２）を
駆動するように構成している。

【００１２】また、前記走行変速ケース（６６）に車速
同調出力軸（６８）を設け、走行クローラ（２）の前進
走行速度に比例させて出力軸（６８）を増減速回転させ
ると共に、出力軸（６８）に一方向クラッチ（６９）を
介して軸支させる車速同調プーリ（７０）と、前記刈取
入力１軸（６０）の入力プーリ（６１）を、テンション
プーリ形刈取クラッチ（７１）を介してベルト連結させ
る。また、前記刈取出力軸（４６）を車速同調プーリ
（７０）にベルト連結させ、刈取クラッチ（７１）入の
とき、低速走行状態で車速同調出力軸（６８）回転数が
刈取出力軸（４６）回転数よりも低いと、刈取出力軸
（４６）によって１軸（６０）が駆動される一方、高速
走行状態で車速同調出力軸（６８）回転数が刈取出力軸
（４６）回転数よりも高いと、車速同調出力軸（６８）
によって１軸（６０）が駆動され、走行速度に比例した
速度で刈取部（８）が駆動されるように構成している。

【００１３】図１に示す如く、刈取部（８）の対本機高
さを検出するポテンショメータ形昇降センサ（７２）
と、刈取部（８）の対地高さを検出する超音波式刈高セ
ンサ（７３）と、手動操作によって刈取クラッチ（７
１）を入切させる刈取スイッチ（７４）と、手動操作に
よって刈取部（８）を昇降させる昇降スイッチ（７５）
と、前記定速クラッチ機構（５９）をオン動作させて刈
取部（８）を一定速度で駆動する刈取クイックスイッチ
（７６）と、刈取部（８）を一定高さまで上昇させると
き刈取クラッチを自動的に切とするオートリフトスイッ
チ（７７）と、刈取部（８）を一定高さまで下降させる
とき刈取クラッチを自動的に入とさせるオートセットス
イッチ（７８）と、前記オートリフトスイッチ（７７）
及びオートセットスイッチ（７８）の操作でもって刈取
部（８）を一定高さまで上昇或いは下降させるとき刈取
クラッチを自動で入切させるためのオートクラッチスイ
ッチ（７９）とをコントローラ（８０）に接続させると
共に、電磁操作式の前記昇降シリンダ（１１）と、前記
刈取クラッチ（７１）を入切する電動刈取クラッチモー
タ（８１）と、前記フィードチェンクラッチ（５８）を
入切する電動フィードチェンモータ（８２）と、電動式
の前記定速クラッチ機構（５９）とにコントローラ（８
０）を接続させて、刈取部（８）の昇降制御や刈取部
（８）の速度制御を行うように構成している。

【００１４】さらに、図７に示す如く前記刈取クラッチ
モータ（８１）とフィードチェンモータ（８２）とを同
一仕様構造とし、前記モータ（８１）（８２）に減速ケ
ース（８３）を一体固定させ、減速ケース（８３）の出
力軸（８４）にクラッチアーム（８５）を固定させ、該
クラッチアーム（８５）にピン（８６）を介してリンク
（８７）を連結させ、該リンク（８７）にクラッチワイ
ヤ（８８）を連結させ、出力軸（８４）回りにクラッチ
アーム（８５）を回転させ、クラッチワイヤ（８８）を
引張って刈取クラッチ（７１）或いはフィードチェンク
ラッチ（５８）を切動作させると共に、前記出力軸（８
４）回りにクラッチアーム（８５）を逆回転させ、クラ
ッチワイヤ（８８）を緩めて刈取クラッチ（７１）或い
はフィードチェンクラッチ（５８）を入動作させるもの
で、刈取クラッチモータ（８１）によってクラッチアー
ム（８５）を約１９０度正逆回転させて刈取クラッチ
（７１）を切入すると共に、フィードチェンモータ（８
２）によってクラッチアーム（８５）を約１７０度正逆
回転させてフィードチェンクラッチ（５８）を切入し、
フィードチェン（５）が停止後に刈取部（８）が停止
し、フィードチェン（５）が作動後に刈取部（８）が作
動するように構成している。また、刈取クラッチモータ
（８１）とフィードチェンモータ（８２）を互に逆方向
に回転させてクラッチ（７１）（５８）を切作動（また
は入作動）させると共に、クラッチアーム（８５）など
のクラッチ（７１）（５８）入切操作部品を刈取クラッ
チモータ（８１）機構とフィードチェンモータ（８２）
機構とで略同一仕様構造に構成している。

【００１５】本実施例は上記の如く構成するものにし
て、図８のフローチャートに示す如く、オートクラッチ
スイッチ（７７）のオンによる刈取クラッチ（７１）の
自動制御状態中にあって、刈終りとなって回向位置など
でオートリフトスイッチ（７８）をオン操作するとき、
刈取部（８）が一定旋回高さ迄上昇し、刈取部（８）が
一定旋回高さ迄上昇したことを昇降センサ（７２）が検
出するとき、刈取クラッチ（７１）が切となって刈取部
（８）の駆動が停止される。

【００１６】そして旋回後オートセットスイッチ（７
９）をオン操作するとき、刈取部（８）が下限一定高さ
となる自動刈高さ範囲迄下降し、刈取部（８）が自動刈
高さ範囲迄下降したことを刈高さセンサ（７３）が検出
するとき、刈取クラッチ（７１）が入となると同時に、
例えば２秒程度の一定短時間（Ｔ）だけ定速クラッチ機
構（５９）の定速クラッチがオン動作して、フィードチ
ェン（５）の速度と略同一の速度で刈取部（８）を定速
駆動して、前工程で刈取部（８）に残っている挾扼稈を
フィードチェン（５）にスムーズ受継ぎさせる。またこ
の受継ぎが完了する一定短時間（Ｔ）経過後に刈取部
（８）の回転を車速同調とさせて、通常の刈取作業中は
走行速度に刈取部（８）速度を同調させ、常に適正な搬
送姿勢を保って脱穀部（４）にスムーズに穀稈を供給す
るものである。

【００１７】また引起し性能などが不足する低速時や、
前後進を繰返すフチ刈り（畦際の刈取作業）などの低速
時に、前記クイックスイッチ（７６）をオン操作して定
速クラッチ機構（５９）の定速クラッチをオン動作させ
ることによって、刈取部（８）速度を一定に保って安定
した引起し性能の確保や刈取部（８）に残る挾扼稈の脱
穀部へのスムーズな流し込みを図ることができるもので
ある。

【００１８】

【発明の効果】以上実施例から明らかなように本発明
は、刈取部（８）が一定高さまで下降したとき自動的に
刈取部（８）を駆動するようにしたコンバインにおい
て、刈取部（８）を一定速度で短時間（Ｔ）駆動する刈
取定速駆動手段（５９）を設けたものであるから、刈取
部（８）を一定高さまで下降させての刈取作業再開時に
は、再開初期の低速度（刈始め時は車速が低い）より高
速の一定速度（フィードチェンと略同一速度）で刈取部
（８）を短時間（Ｔ）駆動して、刈取部（８）に残った
前工程の挾扼稈をフィードチェン（５）にスムーズに受
継ぎさせて、脱穀扱口などでの稈詰まりなどを良好に防
止することができるものである。

【００１９】また、一定速度で短時間（Ｔ）駆動後、刈
取部（８）速度を車速同調に切換えるものであるから、
例えば機体旋回後の車速が低速より通常の速度に戻ると
きには、走行速度に刈取部（８）の引起しスピードを同
調させるなどして、常に適正な搬送姿勢を保っての脱穀
部（４）へのスムーズな穀稈の供給を促進させることが
できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】制御回路図である。

【図２】コンバインの全体側面図である。

【図３】コンバインの全体平面図である。

【図４】刈取部の側面説明図である。

【図５】刈取部の平面説明図である。

【図６】コンバイン駆動系統図である。

【図７】フィードチェンモータ及び刈取クラッチモータ
の説明図である。

【図８】フローチャートである。

【符号の説明】

（８） 刈取部 （５９） 定速クラッチ機構（刈取定速駆動手段） （Ｔ） 時間

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 刈取部が一定高さまで下降したとき自動
   的に刈取部を駆動するようにしたコンバインにおいて、
   刈取部の一定高さまでの下降時、刈取部を一定速度で短
   時間駆動する刈取定速駆動手段を設けたことを特徴とす
   るコンバイン。
2. 【請求項２】 一定速度で短時間駆動後、刈取部速度を
   車速同調に切換えるように設けたことを特徴とする請求
   項１記載のコンバイン。