JP2004097052A - コンバインの駆動制御構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送が途切れることによる刈取穀稈の搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生を回避しながら、畦際での植立穀稈の刈り取りを良好に行えるようにする。
【解決手段】走行機体2に、刈取搬送部3を昇降可能に連結し、脱穀装置5を搭載したコンバインの駆動制御構造において、制御手段29が、刈取搬送部3の高さ位置を検出する高さセンサ33により刈取搬送部3の予め設定された所定高さ位置以上の上昇が検出され、走行機体2の旋回を検出する旋回センサ32により走行機体2の旋回が検出されると、刈取搬送部3及びフィードチェーン20の駆動を停止し、高さセンサ33により刈取搬送部3の所定高さ位置より下方への下降が検出され、旋回センサ32により走行機体2の旋回が検出されなくなると、刈取搬送部3及びフィードチェーン20を駆動させるように構成した。
【選択図】 図3
【解決手段】走行機体2に、刈取搬送部3を昇降可能に連結し、脱穀装置5を搭載したコンバインの駆動制御構造において、制御手段29が、刈取搬送部3の高さ位置を検出する高さセンサ33により刈取搬送部3の予め設定された所定高さ位置以上の上昇が検出され、走行機体2の旋回を検出する旋回センサ32により走行機体2の旋回が検出されると、刈取搬送部3及びフィードチェーン20の駆動を停止し、高さセンサ33により刈取搬送部3の所定高さ位置より下方への下降が検出され、旋回センサ32により走行機体2の旋回が検出されなくなると、刈取搬送部3及びフィードチェーン20を駆動させるように構成した。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行装置を備えた走行機体に、刈取搬送部を昇降可能に連結するとともに脱穀装置を搭載してあるコンバインの駆動制御構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンバインにおいて、例えば、現在の作業経路での収穫作業を終えて次の作業経路に機体を移動させる方向転換を行う際に、刈取搬送部及び脱穀装置に装備したフィードチェーンを駆動させていると、その方向転換の際には植立穀稈の刈り取りが行われないことから、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送が途切れるようになる。すると、作業経路を移行する方向転換の開始時や次の作業経路での収穫作業の再開時に、連続搬送によって搬送姿勢の乱れが抑制されていた刈取穀稈の搬送姿勢に乱れが発生し、その乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良を招き易くなる。
【0003】
そこで従来では、刈取搬送部の高さ位置を検出する高さセンサと、この高さセンサの検出に基づいて刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動を制御する制御手段とを装備し、現在の作業経路での収穫作業を終えて次の作業経路に機体を移動させる方向転換を行うために、刈取搬送部を予め設定された所定高さ位置以上の高さ位置まで上昇させると、刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動が自動的に停止され、その後の方向転換を終えて次の作業経路での収穫作業を開始するために、刈取搬送部を予め設定された所定高さ位置よりも下方の高さ位置まで下降させると、刈取搬送部及びフィードチェーンが自動的に再駆動されるように構成することで、作業経路を移行する植立穀稈の刈り取りが行われない方向転換を行っても、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送状態を維持できるようにして、その連続搬送が途切れることによる搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生を回避するようにしていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−56084号公報(段落番号0015、図3−4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、コンバインにおいて畦に向けて直進しながら畦際の植立穀稈を刈り取る際には、その前端に装備された分草具の畦への突入を回避するために、走行機体を直進させながら分草具の先端が畦に沿って移動するように刈取搬送部を上昇させて畦際の植立穀稈を刈り取る所謂高刈りを行うのであるが、上記の従来技術では、その高刈り時に、高さセンサにより刈取搬送部の予め設定された所定高さ位置以上の上昇が検出されると、刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動が停止されることから、畦際において刈り残しが発生する上に、その刈り残された植立穀稈が刈取搬送部によって押し倒されてしまう不都合が生じるようになっていた。
【0006】
又、上記の不都合を回避するために、制御手段を、高さセンサからの検出に基づいて刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動を制御する駆動制御状態と制御しない非駆動制御状態とに切り換え可能に構成し、上述した高刈り時には、制御手段を非駆動制御状態に切り換えることで、刈取搬送部を予め設定された所定高さ位置以上の高さ位置に上昇させた状態であっても、刈取搬送部及びフィードチェーンによる穀稈の刈り取り搬送を行えるようにしているのであるが、この場合には、その高刈り後に機体を次の作業経路に移動させる方向転換時にも刈取搬送部及びフィードチェーンが駆動されることから、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送が途切れて刈取穀稈の搬送姿勢が乱れることに起因した搬送詰まりや脱穀不良を招くとともに、隣接する植立穀稈の穂先部分を刈取搬送部によって無駄に刈り取ってしまう不都合が生じるようになり、これらの不都合を回避するためには、その方向転換時に、刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動状態を切り換えるための専用の操作を行わなければならないようになっていた。
【0007】
本発明の目的は、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送が途切れることによる刈取穀稈の搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生を回避しながら、畦際での植立穀稈の刈り取りを良好に行えるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
〔構成〕
上記目的を達成するため、本発明のうちの請求項1に記載の発明では、走行装置を備えた走行機体に、刈取搬送部を昇降可能に連結するとともに脱穀装置を搭載してあるコンバインの駆動制御構造において、前記走行機体の旋回を検出する旋回センサと、前記刈取搬送部の高さ位置を検出する高さセンサと、前記刈取搬送部及び前記脱穀装置に装備したフィードチェーンの駆動を制御する制御手段とを装備し、該制御手段が、前記高さセンサ及び前記旋回センサの検出に基づいて、前記高さセンサにより前記刈取搬送部の予め設定された所定高さ位置以上の上昇が検出され、かつ、前記旋回センサにより前記走行機体の旋回が検出されると、前記刈取搬送部及び前記フィードチェーンの駆動を停止し、前記高さセンサにより前記刈取搬送部の前記所定高さ位置より下方への下降が検出され、かつ、前記旋回センサにより前記走行機体の旋回が検出されなくなると、前記刈取搬送部及び前記フィードチェーンを駆動させるように構成した。
【0009】
〔作用〕
上記請求項1に記載の発明によると、機体を畦際に向けて直進させながら分草具の先端が畦に沿って移動するように刈取搬送部を上昇させて畦際の植立穀稈を刈り取る所謂高刈りを行っても、機体を直進させている限り、刈取搬送部の高さ位置に関係なく刈取搬送部及びフィードチェーンが駆動されることから、それらによる畦際の穀稈に対する刈り取り搬送を良好に行えるようになり、結果、その高刈りの最中に刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動が停止されることに起因して発生する、畦際の植立穀稈が刈り残されて刈取搬送部によって押し倒される不都合を回避できるようになる。
【0010】
又、その高刈り後に、刈取搬送部を予め設定された所定高さ位置以上の高さ位置に位置させたままで機体を次の作業経路に移動させる方向転換を行う際には、その方向転換を行うための機体の旋回に伴って、刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動が自動的に停止され、その方向転換後に、刈取搬送部を予め設定された所定高さ位置よりも下方の高さ位置まで下降させて機体を直進させると、刈取搬送部及びフィードチェーンが自動的に駆動されることから、刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動状態を切り換えるための専用の操作を行わなくても、作業経路を移行する方向転換の際に隣接する植立穀稈の穂先部分を刈取搬送部によって無駄に刈り取ってしまう不都合を回避できるとともに、作業経路を移行する植立穀稈の刈り取りが行われない方向転換を行っても、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送状態を維持することができて、その連続搬送が途切れることによる搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生を回避できるようになる。
【0011】
更に、高刈りを行う必要のない通常の作業経路の移行時においても、機体を次の作業経路に移動させる方向転換を行うために、刈取搬送部を予め設定された所定高さ位置以上の高さ位置まで上昇させて機体を旋回させると、刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動が自動的に停止され、その方向転換後に、刈取搬送部を予め設定された所定高さ位置よりも下方の高さ位置まで下降させて機体を直進させると、刈取搬送部及びフィードチェーンが自動的に駆動されることから、刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動状態を切り換えるための専用の操作を行わなくても、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送状態を維持することができて、その連続搬送が途切れることによる搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生を回避できるようになる。
【0012】
〔効果〕
従って、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送が途切れることによる刈取穀稈の搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生を回避しながら、畦際での高刈り時における植立穀稈の刈り残しや押し倒し、及び、その高刈り後の方向転換時における隣接穀稈に対する無駄な刈り取りを回避できて、畦際での植立穀稈の刈り取りを良好に行える作業性に優れたものにすることができるようになった。
【0013】
〔構成〕
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、前記制御手段を、前記高さセンサ及び前記旋回センサの検出に基づいて前記刈取搬送部及び前記フィードチェーンの駆動を制御する第1制御状態と、前記高さセンサの検出に基づいて、前記高さセンサにより前記刈取搬送部の予め設定された所定高さ位置以上の上昇が検出されると前記刈取搬送部及び前記フィードチェーンの駆動を停止し、前記高さセンサにより前記刈取搬送部の前記所定高さ位置より下方への下降が検出されると前記刈取搬送部及び前記フィードチェーンを駆動させる第2制御状態とに切り換え可能に構成した。
【0014】
〔作用〕
上記請求項2に記載の発明によると、例えば、畦際の植立穀稈を回り刈りする場合には、第1制御状態に切り換えておくことで、前述したように、高刈りを良好に行えるとともに、その高刈り後の作業経路を移行する方向転換の際に、隣接する植立穀稈の穂先部分を刈取搬送部によって無駄に刈り取ってしまう不都合を回避でき、かつ、その方向転換を行っても、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送が途切れることによる搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生を回避できるようになる。
【0015】
又、例えば、畦際以外の植立穀稈を回り刈りや往復刈りする場合には、高刈りを行う必要がないことから、第2制御状態に切り換えておくことで、作業経路を移行する際には、その移行を開始するために刈取搬送部を予め設定された所定高さ位置まで上昇させた段階から、機体の旋回を待たずに、刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動を停止させることができ、これによって、機体の旋回に伴って刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動を停止させる場合に生じる、刈り取り対象の植立穀稈が無くなってから刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動が停止されるまでのタイムラグを小さくすることができ、結果、作業経路の移行にかかわらず、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送状態をより良好な状態に維持できるようになる。
【0016】
〔効果〕
従って、作業経路の移行にかかわらず、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送状態をより良好な状態に維持できることから、その連続搬送が途切れることによる刈取穀稈の搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生をより効果的に回避できるようになった。
【0017】
〔構成〕
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の発明において、前記刈取搬送部に対する伝動を断続する刈取クラッチと、前記フィードチェーンに対する伝動を断続するフィードチェーンクラッチとを装備し、前記制御手段が、カム機構を介して前記刈取クラッチ及び前記フィードチェーンクラッチに連係された単一のアクチュエータの作動を制御して、前記刈取搬送部及び前記フィードチェーンの駆動状態と駆動停止状態とを現出するように構成した。
【0018】
〔作用〕
上記請求項3に記載の発明によると、刈取クラッチに対する専用のアクチュエータとフィードチェーンクラッチに対する専用のアクチュエータとを装備し、それらのアクチュエータの作動を制御手段が制御する場合に比較して、構成の簡素化並びに製造コストの削減を図れるようになる。
【0019】
〔効果〕
従って、構成の簡素化並びに製造コストの削減を図りながら、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送が途切れることによる刈取穀稈の搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生を回避できるとともに、畦際での植立穀稈の刈り取りを良好に行える作業性に優れたものにすることができるようになった。
【0020】
〔構成〕
本発明のうちの請求項4に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の発明において、前記刈取搬送部に対する動力を独立変速する刈取変速装置を装備し、前記制御手段が、前記刈取搬送部の駆動状態では前記刈取変速装置を走行速度に応じた変速位置に操作し、前記刈取搬送部の駆動停止状態では前記刈取変速装置を中立位置に操作するように構成した。
【0021】
〔作用〕
上記請求項4に記載の発明によると、刈取搬送部の駆動状態では、走行速度に応じて刈取搬送部の駆動速度が変更されることから、走行速度にかかわらず刈取搬送部の駆動速度を一定にしていた場合に発生する、走行速度の上昇に伴う刈取搬送部に対する穀稈供給量の増加にかかわらず刈取搬送部での穀稈処理量が一定であることに起因した刈取穀稈の搬送詰まりを回避できるようになる。
【0022】
又、刈取変速装置を有効利用して刈取搬送部の駆動停止状態を現出することから、刈取搬送部に対する伝動を断続する専用のクラッチを設ける場合に比較して構成の簡素化並びに製造コストの削減を図れるようになる。
【0023】
〔効果〕
従って、構成の簡素化並びに製造コストの削減を図りながら、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送が途切れることによる刈取穀稈の搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生を回避できるとともに、畦際での植立穀稈の刈り取りを良好に行える上に、刈取搬送部に対する穀稈供給量と刈取搬送部での穀稈処理量との関係に起因した刈取穀稈の搬送詰まりを回避できる、より作業性に優れたものにすることができるようになった。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1には自脱形コンバインの全体側面が示されており、このコンバインは、左右一対のクローラ式走行装置(走行装置の一例)1の駆動で走行する走行機体2の前部に、植立穀稈を刈り取って後方に向けて搬送する刈取搬送部3を、油圧式のリフトシリンダ4の作動で昇降揺動するように連結し、その刈取搬送部3からの刈取穀稈に対して脱穀処理を施すとともに、この脱穀処理で得られた処理物に対して選別処理を施す脱穀装置5と、この脱穀装置5からの穀粒を貯留する穀粒タンク6とを走行機体2に搭載し、走行機体2における穀粒タンク6の前方箇所に搭乗運転部7を形成して構成されている。
【0025】
図1及び図2に示すように、左右の各クローラ式走行装置1は、静油圧式無段変速装置8やギヤ式変速装置9などを介して伝達されるエンジン10からの動力で駆動され、搭乗運転部7に装備した変速レバー11を前後方向に揺動操作することで、静油圧式無段変速装置8による無段階の変速操作と前後進の切り換え操作とを行うことができ、又、搭乗運転部7に装備した操作レバー12を左右方向に揺動操作することで、ギヤ式変速装置9による直進状態、左右の緩旋回状態、及び左右の急旋回状態の切り換え現出を行えるように構成されている。
【0026】
刈取搬送部3は、静油圧式無段変速装置8による変速後の動力がワンウェイクラッチ13やベルトテンション式の刈取クラッチ14などを介して伝達されることで、複数の引起装置15、バリカン形の刈取装置16、及び穀稈搬送装置17などが駆動され、機体の走行に伴って、その前端に装備された複数の分草具18が倒伏した植立穀稈を分草し、各引起装置15が分草後の植立穀稈を引き起こし、刈取装置16が引き起こされた植立穀稈の株元側を切断し、穀稈搬送装置17が刈取穀稈を起立姿勢から横倒し姿勢に切り換えながら後方の脱穀装置5に向けて搬送するように構成され、又、操作レバー12を前後方向に揺動操作することで、リフトシリンダ4の作動による昇降操作を行えるようになっている。
【0027】
脱穀装置5は、ベルトテンション式の脱穀クラッチ19を介して伝達されるエンジン10からの動力で、フィードチェーン20、扱胴21、及び唐箕22などが駆動され、フィードチェーン20が穀稈搬送装置17により搬送された刈取穀稈の株元側を受け取って後方に向けて搬送し、その搬送中の刈取穀稈の穂先側に対して扱胴21が扱き作用を施し、唐箕22がその扱き作用によって得られた処理物に対して選別風を供給するように構成され、その選別風などによる選別処理によって得られた穀粒が、一番回収スクリュー23などを介して穀粒タンク6に供給搬送され、穀粒とワラ屑などとの混在物が、2番回収スクリュー24などを介して図外の揺動選別装置に還元搬送されるようになっている。
【0028】
フィードチェーン20は、それに対する伝動のみがフィードチェーンクラッチ25とベルト式無段変速装置26とを介して行われるようになっており、これによって、その独立した変速操作と伝動状態の切り換え操作とを行えるようになっている。
【0029】
図1〜10に示すように、刈取クラッチ14、脱穀クラッチ19、及びフィードチェーンクラッチ25は、カム機構27を介した単一の電動式のクラッチモータ(アクチュエータの一例)28の作動で断続操作されるパワークラッチに構成され、クラッチモータ28の作動は、マイクロコンピュータからなる制御装置(制御手段の一例))29によって制御され、制御装置29には、搭乗運転部7に装備したクラッチレバー30の操作位置を検出するクラッチセンサ31、走行機体2の旋回を検出する旋回センサ32、及び、刈取搬送部3の高さ位置を検出する高さセンサ33などからの各検出情報が入力されるようになっている。
【0030】
カム機構27は、その固定枠34に3本の支軸35〜37が装備され、その第1支軸35には、クラッチモータ28に装備された駆動ギヤ38に噛合する従動ギヤ39と3つのカム40〜42とを一体装備した第1筒軸43が相対回転可能に外嵌され、その第2支軸36には、第1連係ワイヤ44などを介して脱穀クラッチ19のテンションアーム45に連係されるとともに第1カム40によって操作される第1アーム46と、第2連係ワイヤ47などを介して刈取クラッチ14のテンションアーム48に連係されるとともに第2カム41によって操作される第2アーム49とが相対回転可能に外嵌され、その第3支軸37には、第3連係ワイヤ50などを介してフィードチェーンクラッチ25の操作アーム51に連係された第3アーム52と、第3カム42によって操作される被操作アーム53とを一体装備した第2筒軸54が相対回転可能に外嵌されている。
【0031】
クラッチセンサ31には、クラッチレバー30の切り位置、脱穀位置、刈取脱穀位置への操作を検出するスイッチが採用され、旋回センサ32には、操作レバー12の直進位置への操作によってオン操作されるオンオフスイッチが採用され、高さセンサ33には、刈取搬送部3の昇降揺動支点周りでの操作角を検出するポテンショメータが採用されている。
【0032】
制御装置29は、搭乗運転部7に装備されたオンオフスイッチからなる操作具55の操作によって、旋回センサ32及び高さセンサ33の検出に基づいた刈取搬送部3及びフィードチェーン20の駆動制御が可能な第1制御状態と、高さセンサ33の検出に基づいた刈取搬送部3及びフィードチェーン20の駆動制御が可能な第2制御状態とに切り換え可能に構成されている。
【0033】
そして、第1制御状態と第2制御状態のいずれにおいても、クラッチセンサ31によりクラッチレバー30の切り位置への操作が検出されると、クラッチモータ28の作動により、第1カム40による第1アーム46の押圧操作、第2カム41による第2アーム49の押圧操作、及び、第3カム42による被操作アーム53の押圧操作のそれぞれが解除され、第1アーム46によってオンオフスイッチからなる作業停止検出センサ56がオン操作される作業停止位置まで第1筒軸43を回動させることで、第1バネ57の付勢による脱穀クラッチ19の遮断状態、第2バネ58の付勢による刈取クラッチ14の遮断状態、及び、第3バネ59の付勢によるフィードチェーンクラッチ25の接続状態を現出して、刈取搬送部3及び脱穀装置5を駆動停止させた作業停止状態を現出するように構成されている(図7参照)。
【0034】
又、クラッチセンサ31によりクラッチレバー30の脱穀位置への操作が検出されると、クラッチモータ28の作動により、第1カム40による第1アーム46の押圧操作のみが行われる脱穀位置まで第1筒軸43を回動させることで、第1バネ57の付勢に抗した脱穀クラッチ19の接続状態、第2バネ58の付勢による刈取クラッチ14の遮断状態、及び、第3バネ59の付勢によるフィードチェーンクラッチ25の接続状態を現出して、脱穀装置5のみを駆動させた枕扱き作業状態を現出するように構成されている(図8参照)。
【0035】
更に、クラッチセンサ31によりクラッチレバー30の刈取脱穀位置への操作が検出されると、クラッチモータ28の作動により、第1カム40による第1アーム46の押圧操作と、第2カム41による第2アーム49の押圧操作とが行われる刈取脱穀位置まで第1筒軸43を回動させることで、第1バネ57の付勢に抗した脱穀クラッチ19の接続状態、第2バネ58の付勢に抗した刈取クラッチ14の接続状態、及び、第3バネ59の付勢によるフィードチェーンクラッチ25の接続状態を現出して、刈取搬送部3及び脱穀装置5を駆動させた刈取脱穀作業状態を現出するように構成されている(図9参照)。
【0036】
第1制御状態では、上記の刈取脱穀作業状態において、高さセンサ33により刈取搬送部3の予め設定された所定高さ位置以上の上昇が検出され、かつ、旋回センサ32により走行機体2の旋回が検出されると、クラッチモータ28の作動により、第1カム40による第1アーム46の押圧操作を維持しながら、第2カム41による第2アーム49の押圧操作が解除され、第3カム42による被操作アーム53の押圧操作が行われる刈取搬送停止位置まで第1筒軸43を回動させることで、第1バネ57の付勢に抗した脱穀クラッチ19の接続状態、第2バネ58の付勢による刈取クラッチ14の遮断状態、及び、第3バネ59の付勢に抗したフィードチェーンクラッチ25の遮断状態を現出して、刈取搬送部3及び脱穀装置5のフィードチェーン20の駆動を停止させた刈取搬送停止状態を現出するように構成されている(図10参照)。
【0037】
又、その刈取搬送停止状態において、高さセンサ33により刈取搬送部3の所定高さ位置より下方への下降が検出され、かつ、旋回センサ32により走行機体1の旋回が検出されなくなると、クラッチモータ28の作動により、前述した刈取脱穀位置まで第1筒軸43を回動させることで、刈取搬送部3及びフィードチェーン20を再駆動させて前述した刈取脱穀作業状態を再現出するように構成されている(図9参照)。
【0038】
一方、第2制御状態では、前述した刈取脱穀作業状態において、高さセンサ33により刈取搬送部3の予め設定された所定高さ位置以上の上昇が検出されると、クラッチモータ28の作動により、前述した刈取搬送停止位置まで第1筒軸43を回動させることで、前述した刈取搬送停止状態を現出し(図10参照)、その刈取搬送停止状態において、高さセンサ33により刈取搬送部3の所定高さ位置より下方への下降が検出されると、クラッチモータ28の作動により、前述した刈取脱穀位置まで第1筒軸43を回動させることで、前述した刈取脱穀作業状態を再現出するように構成されている(図9参照)。
【0039】
上記の構成から、例えば、畦際の植立穀稈を回り刈りする場合には、第1制御状態に切り換えておけば、図11に示すように、機体を畦際に向けて直進させながら各分草具18の先端が畦に沿って上昇移動するように刈取搬送部3を上昇させて畦際の植立穀稈を刈り取る所謂高刈りを行っても、機体を直進させている限り、刈取搬送部3の高さ位置に関係なく刈取搬送部3及びフィードチェーン20を駆動させることができて、それらによる畦際の穀稈に対する刈り取り搬送を良好に行えるようになり、結果、その高刈りの最中に刈取搬送部3及びフィードチェーン20の駆動が停止されることに起因して発生する、畦際の植立穀稈が刈り残されて刈取搬送部3によって押し倒される不都合を回避できるようになる。
【0040】
又、その高刈り後に、刈取搬送部3を予め設定された所定高さ位置以上の高さ位置に位置させたままで機体を次の作業経路に移動させる方向転換を行うと、その方向転換を行うための機体の旋回に伴って、刈取搬送部3及びフィードチェーン20の駆動が自動的に停止され、その方向転換後に、刈取搬送部3を予め設定された所定高さ位置よりも下方の高さ位置まで下降させて機体を直進させると、刈取搬送部3及びフィードチェーン20が自動的に駆動されることから、刈取搬送部3及びフィードチェーン20の駆動状態を切り換えるための専用の操作を行わなくても、作業経路を移行する方向転換の際に隣接する植立穀稈の穂先部分を刈取搬送部3によって無駄に刈り取ってしまう不都合を回避できるとともに、作業経路を移行する植立穀稈の刈り取りが行われない方向転換を行っても、刈取搬送部3やフィードチェーン20による刈取穀稈の連続搬送状態を維持することができて、その連続搬送が途切れることによる搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生を回避できるようになる。
【0041】
一方、例えば、畦際以外の植立穀稈を回り刈りや往復刈りする場合には、前述した高刈りを行う必要がないことから、第2制御状態に切り換えておけば、機体を次の作業経路に移行させる際には、その移行を開始するために刈取搬送部3を予め設定された所定高さ位置まで上昇させた段階から、機体の旋回を待たずに、刈取搬送部3及びフィードチェーン20の駆動を停止させることができ、これによって、機体の旋回に伴って刈取搬送部3及びフィードチェーン20の駆動を停止させる場合に比較して、刈り取り対象の植立穀稈が無くなってから刈取搬送部3及びフィードチェーン20の駆動が停止されるまでのタイムラグを小さくすることができて、刈取搬送部3やフィードチェーン20による刈取穀稈の連続搬送状態をより良好な状態に維持できることから、その連続搬送が途切れることによる刈取穀稈の搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生をより効果的に回避できるようになる。
【0042】
尚、カム機構27には、第1筒軸43に一体装備した出力ギヤ60と、この出力ギヤ60に噛合する中継ギヤ61とを介して、第1筒軸43の回動操作量を検出して制御装置29に出力するポテンショメータからなる回転センサ62が装備されており、制御装置29は、この回転センサ62の検出に基づいて、第1筒軸43の操作位置を検知するように構成されている。又、刈取搬送部3の所定高さ位置は、搭乗運転部7に装備されたポテンショメータからなる設定器63を回動操作することで、所望の高さ位置に設定変更できるようになっている。
【0043】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)刈取クラッチ14、脱穀クラッチ19、及びフィードチェーンクラッチ25のそれぞれが、電動シリンダなどの専用のアクチュエータの作動で独立して断続操作されるパワークラッチに構成されたものであってもよい。
【0044】
(2)制御手段29が、第1制御状態での制御作動のみを行うように構成してもよい。
【0045】
(3)旋回センサ32を、例えば左右の各クローラ式走行装置1の駆動速度を独立検出する左右の速度計から構成してもよい。
【0046】
(4)図12及び図13に示すように、刈取搬送部3に対する動力を独立して高低2段に変速する噛合式の刈取変速装置64(図12参照)、又は、刈取搬送部3に対する動力を独立して無段変速する静油圧式の刈取変速装置65(図13参照)を装備し、制御装置29が、刈取搬送部3の駆動状態では、刈取変速装置64,65を変速操作する電動式のシリンダ(アクチュエータの一例)66の作動を制御して、変速レバー11によって設定される走行速度に応じた変速位置に操作し、又、刈取変速装置64,65を中立位置に操作することで刈取搬送部3の駆動停止状態を現出するように構成してもよい。
【0047】
ちなみに、図12及び図13に示す符号67は、変速レバー11の操作量を検出して制御装置29に出力するポテンショメータからなるレバーセンサであり、制御装置29は、このレバーセンサ67の検出に基づいて走行速度を検知するように構成されている。又、符号68は、脱穀クラッチ19を断続操作する専用の電動シリンダ(アクチュエータの一例)であり、符号69は、フィードチェーンクラッチ25を断続操作する専用の電動シリンダ(アクチュエータの一例)である。
【0048】
上記の構成によると、刈取搬送部3の駆動状態では、走行速度に応じて刈取搬送部3の駆動速度が変更されることから、走行速度にかかわらず刈取搬送部3の駆動速度を一定にしていた場合に発生する、走行速度の上昇に伴う刈取搬送部3に対する穀稈供給量の増加にかかわらず刈取搬送部3での穀稈処理量が一定であることに起因した刈取穀稈の搬送詰まりを回避できるようになる。
【0049】
又、刈取変速装置64,65を有効利用して刈取搬送部3の駆動停止状態を現出することから、刈取搬送部3に対する伝動を断続する専用の刈取クラッチ14を設ける場合に比較して構成の簡素化並びに製造コストの削減を図れるようになり、更に、変速レバー11の操作によって後進状態が現出されると、制御手段29が刈取変速装置64,65を中立位置に操作するように構成すれば、ワンウェイクラッチ13を不要にすることができ、その分、構成の簡素化並びに製造コストの削減を更に図れるようになる。
【0050】
尚、刈取変速装置64,65を変速操作するアクチュエータ66、及び、脱穀クラッチ19又はフィードチェーンクラッチ25を断続操作するアクチュエータ68,69として、電動式のモータや油圧式のシリンダなどを採用するようにしてもよく、又、レバーセンサ67に代えてクローラ式走行装置1の駆動速度を検出する速度計を装備し、この速度計の検出に基づいて制御装置29が走行速度を検知するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】自脱形コンバインの全体側面図
【図2】要部の伝動構成を示す概略図
【図3】制御構成を示すブロック図
【図4】カム機構の構成及び第2アームの連係を示す要部の縦断側面図
【図5】カム機構の構成及び第1アームの連係を示す要部の縦断側面図
【図6】カム機構の構成を示す要部の縦断背面図
【図7】カム機構による作業停止状態を示す概略図
【図8】カム機構による枕扱き作業状態を示す概略図
【図9】カム機構による刈取脱穀作業状態を示す概略図
【図10】カム機構による刈取搬送停止状態を示す概略図
【図11】高刈り状態を示す側面図
【図12】噛合式の刈取変速装置を装備した別実施形態での要部の構成を示す概略図
【図13】静油圧式の刈取変速装置を装備した別実施形態での要部の構成を示す概略図
【符号の説明】
1 走行装置
2 走行機体
3 刈取搬送部
5 脱穀装置
14 刈取クラッチ
20 フィードチェーン
25 フィードチェーンクラッチ
27 カム機構
28 アクチュエータ
29 制御手段
32 旋回センサ
33 高さセンサ
64 刈取変速装置(噛合式)
65 刈取変速装置(静油圧式)
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行装置を備えた走行機体に、刈取搬送部を昇降可能に連結するとともに脱穀装置を搭載してあるコンバインの駆動制御構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンバインにおいて、例えば、現在の作業経路での収穫作業を終えて次の作業経路に機体を移動させる方向転換を行う際に、刈取搬送部及び脱穀装置に装備したフィードチェーンを駆動させていると、その方向転換の際には植立穀稈の刈り取りが行われないことから、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送が途切れるようになる。すると、作業経路を移行する方向転換の開始時や次の作業経路での収穫作業の再開時に、連続搬送によって搬送姿勢の乱れが抑制されていた刈取穀稈の搬送姿勢に乱れが発生し、その乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良を招き易くなる。
【0003】
そこで従来では、刈取搬送部の高さ位置を検出する高さセンサと、この高さセンサの検出に基づいて刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動を制御する制御手段とを装備し、現在の作業経路での収穫作業を終えて次の作業経路に機体を移動させる方向転換を行うために、刈取搬送部を予め設定された所定高さ位置以上の高さ位置まで上昇させると、刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動が自動的に停止され、その後の方向転換を終えて次の作業経路での収穫作業を開始するために、刈取搬送部を予め設定された所定高さ位置よりも下方の高さ位置まで下降させると、刈取搬送部及びフィードチェーンが自動的に再駆動されるように構成することで、作業経路を移行する植立穀稈の刈り取りが行われない方向転換を行っても、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送状態を維持できるようにして、その連続搬送が途切れることによる搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生を回避するようにしていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−56084号公報(段落番号0015、図3−4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、コンバインにおいて畦に向けて直進しながら畦際の植立穀稈を刈り取る際には、その前端に装備された分草具の畦への突入を回避するために、走行機体を直進させながら分草具の先端が畦に沿って移動するように刈取搬送部を上昇させて畦際の植立穀稈を刈り取る所謂高刈りを行うのであるが、上記の従来技術では、その高刈り時に、高さセンサにより刈取搬送部の予め設定された所定高さ位置以上の上昇が検出されると、刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動が停止されることから、畦際において刈り残しが発生する上に、その刈り残された植立穀稈が刈取搬送部によって押し倒されてしまう不都合が生じるようになっていた。
【0006】
又、上記の不都合を回避するために、制御手段を、高さセンサからの検出に基づいて刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動を制御する駆動制御状態と制御しない非駆動制御状態とに切り換え可能に構成し、上述した高刈り時には、制御手段を非駆動制御状態に切り換えることで、刈取搬送部を予め設定された所定高さ位置以上の高さ位置に上昇させた状態であっても、刈取搬送部及びフィードチェーンによる穀稈の刈り取り搬送を行えるようにしているのであるが、この場合には、その高刈り後に機体を次の作業経路に移動させる方向転換時にも刈取搬送部及びフィードチェーンが駆動されることから、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送が途切れて刈取穀稈の搬送姿勢が乱れることに起因した搬送詰まりや脱穀不良を招くとともに、隣接する植立穀稈の穂先部分を刈取搬送部によって無駄に刈り取ってしまう不都合が生じるようになり、これらの不都合を回避するためには、その方向転換時に、刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動状態を切り換えるための専用の操作を行わなければならないようになっていた。
【0007】
本発明の目的は、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送が途切れることによる刈取穀稈の搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生を回避しながら、畦際での植立穀稈の刈り取りを良好に行えるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
〔構成〕
上記目的を達成するため、本発明のうちの請求項1に記載の発明では、走行装置を備えた走行機体に、刈取搬送部を昇降可能に連結するとともに脱穀装置を搭載してあるコンバインの駆動制御構造において、前記走行機体の旋回を検出する旋回センサと、前記刈取搬送部の高さ位置を検出する高さセンサと、前記刈取搬送部及び前記脱穀装置に装備したフィードチェーンの駆動を制御する制御手段とを装備し、該制御手段が、前記高さセンサ及び前記旋回センサの検出に基づいて、前記高さセンサにより前記刈取搬送部の予め設定された所定高さ位置以上の上昇が検出され、かつ、前記旋回センサにより前記走行機体の旋回が検出されると、前記刈取搬送部及び前記フィードチェーンの駆動を停止し、前記高さセンサにより前記刈取搬送部の前記所定高さ位置より下方への下降が検出され、かつ、前記旋回センサにより前記走行機体の旋回が検出されなくなると、前記刈取搬送部及び前記フィードチェーンを駆動させるように構成した。
【0009】
〔作用〕
上記請求項1に記載の発明によると、機体を畦際に向けて直進させながら分草具の先端が畦に沿って移動するように刈取搬送部を上昇させて畦際の植立穀稈を刈り取る所謂高刈りを行っても、機体を直進させている限り、刈取搬送部の高さ位置に関係なく刈取搬送部及びフィードチェーンが駆動されることから、それらによる畦際の穀稈に対する刈り取り搬送を良好に行えるようになり、結果、その高刈りの最中に刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動が停止されることに起因して発生する、畦際の植立穀稈が刈り残されて刈取搬送部によって押し倒される不都合を回避できるようになる。
【0010】
又、その高刈り後に、刈取搬送部を予め設定された所定高さ位置以上の高さ位置に位置させたままで機体を次の作業経路に移動させる方向転換を行う際には、その方向転換を行うための機体の旋回に伴って、刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動が自動的に停止され、その方向転換後に、刈取搬送部を予め設定された所定高さ位置よりも下方の高さ位置まで下降させて機体を直進させると、刈取搬送部及びフィードチェーンが自動的に駆動されることから、刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動状態を切り換えるための専用の操作を行わなくても、作業経路を移行する方向転換の際に隣接する植立穀稈の穂先部分を刈取搬送部によって無駄に刈り取ってしまう不都合を回避できるとともに、作業経路を移行する植立穀稈の刈り取りが行われない方向転換を行っても、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送状態を維持することができて、その連続搬送が途切れることによる搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生を回避できるようになる。
【0011】
更に、高刈りを行う必要のない通常の作業経路の移行時においても、機体を次の作業経路に移動させる方向転換を行うために、刈取搬送部を予め設定された所定高さ位置以上の高さ位置まで上昇させて機体を旋回させると、刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動が自動的に停止され、その方向転換後に、刈取搬送部を予め設定された所定高さ位置よりも下方の高さ位置まで下降させて機体を直進させると、刈取搬送部及びフィードチェーンが自動的に駆動されることから、刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動状態を切り換えるための専用の操作を行わなくても、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送状態を維持することができて、その連続搬送が途切れることによる搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生を回避できるようになる。
【0012】
〔効果〕
従って、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送が途切れることによる刈取穀稈の搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生を回避しながら、畦際での高刈り時における植立穀稈の刈り残しや押し倒し、及び、その高刈り後の方向転換時における隣接穀稈に対する無駄な刈り取りを回避できて、畦際での植立穀稈の刈り取りを良好に行える作業性に優れたものにすることができるようになった。
【0013】
〔構成〕
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、前記制御手段を、前記高さセンサ及び前記旋回センサの検出に基づいて前記刈取搬送部及び前記フィードチェーンの駆動を制御する第1制御状態と、前記高さセンサの検出に基づいて、前記高さセンサにより前記刈取搬送部の予め設定された所定高さ位置以上の上昇が検出されると前記刈取搬送部及び前記フィードチェーンの駆動を停止し、前記高さセンサにより前記刈取搬送部の前記所定高さ位置より下方への下降が検出されると前記刈取搬送部及び前記フィードチェーンを駆動させる第2制御状態とに切り換え可能に構成した。
【0014】
〔作用〕
上記請求項2に記載の発明によると、例えば、畦際の植立穀稈を回り刈りする場合には、第1制御状態に切り換えておくことで、前述したように、高刈りを良好に行えるとともに、その高刈り後の作業経路を移行する方向転換の際に、隣接する植立穀稈の穂先部分を刈取搬送部によって無駄に刈り取ってしまう不都合を回避でき、かつ、その方向転換を行っても、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送が途切れることによる搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生を回避できるようになる。
【0015】
又、例えば、畦際以外の植立穀稈を回り刈りや往復刈りする場合には、高刈りを行う必要がないことから、第2制御状態に切り換えておくことで、作業経路を移行する際には、その移行を開始するために刈取搬送部を予め設定された所定高さ位置まで上昇させた段階から、機体の旋回を待たずに、刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動を停止させることができ、これによって、機体の旋回に伴って刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動を停止させる場合に生じる、刈り取り対象の植立穀稈が無くなってから刈取搬送部及びフィードチェーンの駆動が停止されるまでのタイムラグを小さくすることができ、結果、作業経路の移行にかかわらず、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送状態をより良好な状態に維持できるようになる。
【0016】
〔効果〕
従って、作業経路の移行にかかわらず、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送状態をより良好な状態に維持できることから、その連続搬送が途切れることによる刈取穀稈の搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生をより効果的に回避できるようになった。
【0017】
〔構成〕
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の発明において、前記刈取搬送部に対する伝動を断続する刈取クラッチと、前記フィードチェーンに対する伝動を断続するフィードチェーンクラッチとを装備し、前記制御手段が、カム機構を介して前記刈取クラッチ及び前記フィードチェーンクラッチに連係された単一のアクチュエータの作動を制御して、前記刈取搬送部及び前記フィードチェーンの駆動状態と駆動停止状態とを現出するように構成した。
【0018】
〔作用〕
上記請求項3に記載の発明によると、刈取クラッチに対する専用のアクチュエータとフィードチェーンクラッチに対する専用のアクチュエータとを装備し、それらのアクチュエータの作動を制御手段が制御する場合に比較して、構成の簡素化並びに製造コストの削減を図れるようになる。
【0019】
〔効果〕
従って、構成の簡素化並びに製造コストの削減を図りながら、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送が途切れることによる刈取穀稈の搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生を回避できるとともに、畦際での植立穀稈の刈り取りを良好に行える作業性に優れたものにすることができるようになった。
【0020】
〔構成〕
本発明のうちの請求項4に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の発明において、前記刈取搬送部に対する動力を独立変速する刈取変速装置を装備し、前記制御手段が、前記刈取搬送部の駆動状態では前記刈取変速装置を走行速度に応じた変速位置に操作し、前記刈取搬送部の駆動停止状態では前記刈取変速装置を中立位置に操作するように構成した。
【0021】
〔作用〕
上記請求項4に記載の発明によると、刈取搬送部の駆動状態では、走行速度に応じて刈取搬送部の駆動速度が変更されることから、走行速度にかかわらず刈取搬送部の駆動速度を一定にしていた場合に発生する、走行速度の上昇に伴う刈取搬送部に対する穀稈供給量の増加にかかわらず刈取搬送部での穀稈処理量が一定であることに起因した刈取穀稈の搬送詰まりを回避できるようになる。
【0022】
又、刈取変速装置を有効利用して刈取搬送部の駆動停止状態を現出することから、刈取搬送部に対する伝動を断続する専用のクラッチを設ける場合に比較して構成の簡素化並びに製造コストの削減を図れるようになる。
【0023】
〔効果〕
従って、構成の簡素化並びに製造コストの削減を図りながら、刈取搬送部やフィードチェーンによる刈取穀稈の連続搬送が途切れることによる刈取穀稈の搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生を回避できるとともに、畦際での植立穀稈の刈り取りを良好に行える上に、刈取搬送部に対する穀稈供給量と刈取搬送部での穀稈処理量との関係に起因した刈取穀稈の搬送詰まりを回避できる、より作業性に優れたものにすることができるようになった。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1には自脱形コンバインの全体側面が示されており、このコンバインは、左右一対のクローラ式走行装置(走行装置の一例)1の駆動で走行する走行機体2の前部に、植立穀稈を刈り取って後方に向けて搬送する刈取搬送部3を、油圧式のリフトシリンダ4の作動で昇降揺動するように連結し、その刈取搬送部3からの刈取穀稈に対して脱穀処理を施すとともに、この脱穀処理で得られた処理物に対して選別処理を施す脱穀装置5と、この脱穀装置5からの穀粒を貯留する穀粒タンク6とを走行機体2に搭載し、走行機体2における穀粒タンク6の前方箇所に搭乗運転部7を形成して構成されている。
【0025】
図1及び図2に示すように、左右の各クローラ式走行装置1は、静油圧式無段変速装置8やギヤ式変速装置9などを介して伝達されるエンジン10からの動力で駆動され、搭乗運転部7に装備した変速レバー11を前後方向に揺動操作することで、静油圧式無段変速装置8による無段階の変速操作と前後進の切り換え操作とを行うことができ、又、搭乗運転部7に装備した操作レバー12を左右方向に揺動操作することで、ギヤ式変速装置9による直進状態、左右の緩旋回状態、及び左右の急旋回状態の切り換え現出を行えるように構成されている。
【0026】
刈取搬送部3は、静油圧式無段変速装置8による変速後の動力がワンウェイクラッチ13やベルトテンション式の刈取クラッチ14などを介して伝達されることで、複数の引起装置15、バリカン形の刈取装置16、及び穀稈搬送装置17などが駆動され、機体の走行に伴って、その前端に装備された複数の分草具18が倒伏した植立穀稈を分草し、各引起装置15が分草後の植立穀稈を引き起こし、刈取装置16が引き起こされた植立穀稈の株元側を切断し、穀稈搬送装置17が刈取穀稈を起立姿勢から横倒し姿勢に切り換えながら後方の脱穀装置5に向けて搬送するように構成され、又、操作レバー12を前後方向に揺動操作することで、リフトシリンダ4の作動による昇降操作を行えるようになっている。
【0027】
脱穀装置5は、ベルトテンション式の脱穀クラッチ19を介して伝達されるエンジン10からの動力で、フィードチェーン20、扱胴21、及び唐箕22などが駆動され、フィードチェーン20が穀稈搬送装置17により搬送された刈取穀稈の株元側を受け取って後方に向けて搬送し、その搬送中の刈取穀稈の穂先側に対して扱胴21が扱き作用を施し、唐箕22がその扱き作用によって得られた処理物に対して選別風を供給するように構成され、その選別風などによる選別処理によって得られた穀粒が、一番回収スクリュー23などを介して穀粒タンク6に供給搬送され、穀粒とワラ屑などとの混在物が、2番回収スクリュー24などを介して図外の揺動選別装置に還元搬送されるようになっている。
【0028】
フィードチェーン20は、それに対する伝動のみがフィードチェーンクラッチ25とベルト式無段変速装置26とを介して行われるようになっており、これによって、その独立した変速操作と伝動状態の切り換え操作とを行えるようになっている。
【0029】
図1〜10に示すように、刈取クラッチ14、脱穀クラッチ19、及びフィードチェーンクラッチ25は、カム機構27を介した単一の電動式のクラッチモータ(アクチュエータの一例)28の作動で断続操作されるパワークラッチに構成され、クラッチモータ28の作動は、マイクロコンピュータからなる制御装置(制御手段の一例))29によって制御され、制御装置29には、搭乗運転部7に装備したクラッチレバー30の操作位置を検出するクラッチセンサ31、走行機体2の旋回を検出する旋回センサ32、及び、刈取搬送部3の高さ位置を検出する高さセンサ33などからの各検出情報が入力されるようになっている。
【0030】
カム機構27は、その固定枠34に3本の支軸35〜37が装備され、その第1支軸35には、クラッチモータ28に装備された駆動ギヤ38に噛合する従動ギヤ39と3つのカム40〜42とを一体装備した第1筒軸43が相対回転可能に外嵌され、その第2支軸36には、第1連係ワイヤ44などを介して脱穀クラッチ19のテンションアーム45に連係されるとともに第1カム40によって操作される第1アーム46と、第2連係ワイヤ47などを介して刈取クラッチ14のテンションアーム48に連係されるとともに第2カム41によって操作される第2アーム49とが相対回転可能に外嵌され、その第3支軸37には、第3連係ワイヤ50などを介してフィードチェーンクラッチ25の操作アーム51に連係された第3アーム52と、第3カム42によって操作される被操作アーム53とを一体装備した第2筒軸54が相対回転可能に外嵌されている。
【0031】
クラッチセンサ31には、クラッチレバー30の切り位置、脱穀位置、刈取脱穀位置への操作を検出するスイッチが採用され、旋回センサ32には、操作レバー12の直進位置への操作によってオン操作されるオンオフスイッチが採用され、高さセンサ33には、刈取搬送部3の昇降揺動支点周りでの操作角を検出するポテンショメータが採用されている。
【0032】
制御装置29は、搭乗運転部7に装備されたオンオフスイッチからなる操作具55の操作によって、旋回センサ32及び高さセンサ33の検出に基づいた刈取搬送部3及びフィードチェーン20の駆動制御が可能な第1制御状態と、高さセンサ33の検出に基づいた刈取搬送部3及びフィードチェーン20の駆動制御が可能な第2制御状態とに切り換え可能に構成されている。
【0033】
そして、第1制御状態と第2制御状態のいずれにおいても、クラッチセンサ31によりクラッチレバー30の切り位置への操作が検出されると、クラッチモータ28の作動により、第1カム40による第1アーム46の押圧操作、第2カム41による第2アーム49の押圧操作、及び、第3カム42による被操作アーム53の押圧操作のそれぞれが解除され、第1アーム46によってオンオフスイッチからなる作業停止検出センサ56がオン操作される作業停止位置まで第1筒軸43を回動させることで、第1バネ57の付勢による脱穀クラッチ19の遮断状態、第2バネ58の付勢による刈取クラッチ14の遮断状態、及び、第3バネ59の付勢によるフィードチェーンクラッチ25の接続状態を現出して、刈取搬送部3及び脱穀装置5を駆動停止させた作業停止状態を現出するように構成されている(図7参照)。
【0034】
又、クラッチセンサ31によりクラッチレバー30の脱穀位置への操作が検出されると、クラッチモータ28の作動により、第1カム40による第1アーム46の押圧操作のみが行われる脱穀位置まで第1筒軸43を回動させることで、第1バネ57の付勢に抗した脱穀クラッチ19の接続状態、第2バネ58の付勢による刈取クラッチ14の遮断状態、及び、第3バネ59の付勢によるフィードチェーンクラッチ25の接続状態を現出して、脱穀装置5のみを駆動させた枕扱き作業状態を現出するように構成されている(図8参照)。
【0035】
更に、クラッチセンサ31によりクラッチレバー30の刈取脱穀位置への操作が検出されると、クラッチモータ28の作動により、第1カム40による第1アーム46の押圧操作と、第2カム41による第2アーム49の押圧操作とが行われる刈取脱穀位置まで第1筒軸43を回動させることで、第1バネ57の付勢に抗した脱穀クラッチ19の接続状態、第2バネ58の付勢に抗した刈取クラッチ14の接続状態、及び、第3バネ59の付勢によるフィードチェーンクラッチ25の接続状態を現出して、刈取搬送部3及び脱穀装置5を駆動させた刈取脱穀作業状態を現出するように構成されている(図9参照)。
【0036】
第1制御状態では、上記の刈取脱穀作業状態において、高さセンサ33により刈取搬送部3の予め設定された所定高さ位置以上の上昇が検出され、かつ、旋回センサ32により走行機体2の旋回が検出されると、クラッチモータ28の作動により、第1カム40による第1アーム46の押圧操作を維持しながら、第2カム41による第2アーム49の押圧操作が解除され、第3カム42による被操作アーム53の押圧操作が行われる刈取搬送停止位置まで第1筒軸43を回動させることで、第1バネ57の付勢に抗した脱穀クラッチ19の接続状態、第2バネ58の付勢による刈取クラッチ14の遮断状態、及び、第3バネ59の付勢に抗したフィードチェーンクラッチ25の遮断状態を現出して、刈取搬送部3及び脱穀装置5のフィードチェーン20の駆動を停止させた刈取搬送停止状態を現出するように構成されている(図10参照)。
【0037】
又、その刈取搬送停止状態において、高さセンサ33により刈取搬送部3の所定高さ位置より下方への下降が検出され、かつ、旋回センサ32により走行機体1の旋回が検出されなくなると、クラッチモータ28の作動により、前述した刈取脱穀位置まで第1筒軸43を回動させることで、刈取搬送部3及びフィードチェーン20を再駆動させて前述した刈取脱穀作業状態を再現出するように構成されている(図9参照)。
【0038】
一方、第2制御状態では、前述した刈取脱穀作業状態において、高さセンサ33により刈取搬送部3の予め設定された所定高さ位置以上の上昇が検出されると、クラッチモータ28の作動により、前述した刈取搬送停止位置まで第1筒軸43を回動させることで、前述した刈取搬送停止状態を現出し(図10参照)、その刈取搬送停止状態において、高さセンサ33により刈取搬送部3の所定高さ位置より下方への下降が検出されると、クラッチモータ28の作動により、前述した刈取脱穀位置まで第1筒軸43を回動させることで、前述した刈取脱穀作業状態を再現出するように構成されている(図9参照)。
【0039】
上記の構成から、例えば、畦際の植立穀稈を回り刈りする場合には、第1制御状態に切り換えておけば、図11に示すように、機体を畦際に向けて直進させながら各分草具18の先端が畦に沿って上昇移動するように刈取搬送部3を上昇させて畦際の植立穀稈を刈り取る所謂高刈りを行っても、機体を直進させている限り、刈取搬送部3の高さ位置に関係なく刈取搬送部3及びフィードチェーン20を駆動させることができて、それらによる畦際の穀稈に対する刈り取り搬送を良好に行えるようになり、結果、その高刈りの最中に刈取搬送部3及びフィードチェーン20の駆動が停止されることに起因して発生する、畦際の植立穀稈が刈り残されて刈取搬送部3によって押し倒される不都合を回避できるようになる。
【0040】
又、その高刈り後に、刈取搬送部3を予め設定された所定高さ位置以上の高さ位置に位置させたままで機体を次の作業経路に移動させる方向転換を行うと、その方向転換を行うための機体の旋回に伴って、刈取搬送部3及びフィードチェーン20の駆動が自動的に停止され、その方向転換後に、刈取搬送部3を予め設定された所定高さ位置よりも下方の高さ位置まで下降させて機体を直進させると、刈取搬送部3及びフィードチェーン20が自動的に駆動されることから、刈取搬送部3及びフィードチェーン20の駆動状態を切り換えるための専用の操作を行わなくても、作業経路を移行する方向転換の際に隣接する植立穀稈の穂先部分を刈取搬送部3によって無駄に刈り取ってしまう不都合を回避できるとともに、作業経路を移行する植立穀稈の刈り取りが行われない方向転換を行っても、刈取搬送部3やフィードチェーン20による刈取穀稈の連続搬送状態を維持することができて、その連続搬送が途切れることによる搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生を回避できるようになる。
【0041】
一方、例えば、畦際以外の植立穀稈を回り刈りや往復刈りする場合には、前述した高刈りを行う必要がないことから、第2制御状態に切り換えておけば、機体を次の作業経路に移行させる際には、その移行を開始するために刈取搬送部3を予め設定された所定高さ位置まで上昇させた段階から、機体の旋回を待たずに、刈取搬送部3及びフィードチェーン20の駆動を停止させることができ、これによって、機体の旋回に伴って刈取搬送部3及びフィードチェーン20の駆動を停止させる場合に比較して、刈り取り対象の植立穀稈が無くなってから刈取搬送部3及びフィードチェーン20の駆動が停止されるまでのタイムラグを小さくすることができて、刈取搬送部3やフィードチェーン20による刈取穀稈の連続搬送状態をより良好な状態に維持できることから、その連続搬送が途切れることによる刈取穀稈の搬送姿勢の乱れに起因した搬送詰まりや脱穀不良の発生をより効果的に回避できるようになる。
【0042】
尚、カム機構27には、第1筒軸43に一体装備した出力ギヤ60と、この出力ギヤ60に噛合する中継ギヤ61とを介して、第1筒軸43の回動操作量を検出して制御装置29に出力するポテンショメータからなる回転センサ62が装備されており、制御装置29は、この回転センサ62の検出に基づいて、第1筒軸43の操作位置を検知するように構成されている。又、刈取搬送部3の所定高さ位置は、搭乗運転部7に装備されたポテンショメータからなる設定器63を回動操作することで、所望の高さ位置に設定変更できるようになっている。
【0043】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)刈取クラッチ14、脱穀クラッチ19、及びフィードチェーンクラッチ25のそれぞれが、電動シリンダなどの専用のアクチュエータの作動で独立して断続操作されるパワークラッチに構成されたものであってもよい。
【0044】
(2)制御手段29が、第1制御状態での制御作動のみを行うように構成してもよい。
【0045】
(3)旋回センサ32を、例えば左右の各クローラ式走行装置1の駆動速度を独立検出する左右の速度計から構成してもよい。
【0046】
(4)図12及び図13に示すように、刈取搬送部3に対する動力を独立して高低2段に変速する噛合式の刈取変速装置64(図12参照)、又は、刈取搬送部3に対する動力を独立して無段変速する静油圧式の刈取変速装置65(図13参照)を装備し、制御装置29が、刈取搬送部3の駆動状態では、刈取変速装置64,65を変速操作する電動式のシリンダ(アクチュエータの一例)66の作動を制御して、変速レバー11によって設定される走行速度に応じた変速位置に操作し、又、刈取変速装置64,65を中立位置に操作することで刈取搬送部3の駆動停止状態を現出するように構成してもよい。
【0047】
ちなみに、図12及び図13に示す符号67は、変速レバー11の操作量を検出して制御装置29に出力するポテンショメータからなるレバーセンサであり、制御装置29は、このレバーセンサ67の検出に基づいて走行速度を検知するように構成されている。又、符号68は、脱穀クラッチ19を断続操作する専用の電動シリンダ(アクチュエータの一例)であり、符号69は、フィードチェーンクラッチ25を断続操作する専用の電動シリンダ(アクチュエータの一例)である。
【0048】
上記の構成によると、刈取搬送部3の駆動状態では、走行速度に応じて刈取搬送部3の駆動速度が変更されることから、走行速度にかかわらず刈取搬送部3の駆動速度を一定にしていた場合に発生する、走行速度の上昇に伴う刈取搬送部3に対する穀稈供給量の増加にかかわらず刈取搬送部3での穀稈処理量が一定であることに起因した刈取穀稈の搬送詰まりを回避できるようになる。
【0049】
又、刈取変速装置64,65を有効利用して刈取搬送部3の駆動停止状態を現出することから、刈取搬送部3に対する伝動を断続する専用の刈取クラッチ14を設ける場合に比較して構成の簡素化並びに製造コストの削減を図れるようになり、更に、変速レバー11の操作によって後進状態が現出されると、制御手段29が刈取変速装置64,65を中立位置に操作するように構成すれば、ワンウェイクラッチ13を不要にすることができ、その分、構成の簡素化並びに製造コストの削減を更に図れるようになる。
【0050】
尚、刈取変速装置64,65を変速操作するアクチュエータ66、及び、脱穀クラッチ19又はフィードチェーンクラッチ25を断続操作するアクチュエータ68,69として、電動式のモータや油圧式のシリンダなどを採用するようにしてもよく、又、レバーセンサ67に代えてクローラ式走行装置1の駆動速度を検出する速度計を装備し、この速度計の検出に基づいて制御装置29が走行速度を検知するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】自脱形コンバインの全体側面図
【図2】要部の伝動構成を示す概略図
【図3】制御構成を示すブロック図
【図4】カム機構の構成及び第2アームの連係を示す要部の縦断側面図
【図5】カム機構の構成及び第1アームの連係を示す要部の縦断側面図
【図6】カム機構の構成を示す要部の縦断背面図
【図7】カム機構による作業停止状態を示す概略図
【図8】カム機構による枕扱き作業状態を示す概略図
【図9】カム機構による刈取脱穀作業状態を示す概略図
【図10】カム機構による刈取搬送停止状態を示す概略図
【図11】高刈り状態を示す側面図
【図12】噛合式の刈取変速装置を装備した別実施形態での要部の構成を示す概略図
【図13】静油圧式の刈取変速装置を装備した別実施形態での要部の構成を示す概略図
【符号の説明】
1 走行装置
2 走行機体
3 刈取搬送部
5 脱穀装置
14 刈取クラッチ
20 フィードチェーン
25 フィードチェーンクラッチ
27 カム機構
28 アクチュエータ
29 制御手段
32 旋回センサ
33 高さセンサ
64 刈取変速装置(噛合式)
65 刈取変速装置(静油圧式)
Claims (4)
- 走行装置を備えた走行機体に、刈取搬送部を昇降可能に連結するとともに脱穀装置を搭載してあるコンバインの駆動制御構造であって、
前記走行機体の旋回を検出する旋回センサと、前記刈取搬送部の高さ位置を検出する高さセンサと、前記刈取搬送部及び前記脱穀装置に装備したフィードチェーンの駆動を制御する制御手段とを装備し、該制御手段が、前記高さセンサ及び前記旋回センサの検出に基づいて、前記高さセンサにより前記刈取搬送部の予め設定された所定高さ位置以上の上昇が検出され、かつ、前記旋回センサにより前記走行機体の旋回が検出されると、前記刈取搬送部及び前記フィードチェーンの駆動を停止し、前記高さセンサにより前記刈取搬送部の前記所定高さ位置より下方への下降が検出され、かつ、前記旋回センサにより前記走行機体の旋回が検出されなくなると、前記刈取搬送部及び前記フィードチェーンを駆動させるように構成してあるコンバインの駆動制御構造。 - 前記制御手段を、前記高さセンサ及び前記旋回センサの検出に基づいて前記刈取搬送部及び前記フィードチェーンの駆動を制御する第1制御状態と、前記高さセンサの検出に基づいて、前記高さセンサにより前記刈取搬送部の予め設定された所定高さ位置以上の上昇が検出されると前記刈取搬送部及び前記フィードチェーンの駆動を停止し、前記高さセンサにより前記刈取搬送部の前記所定高さ位置より下方への下降が検出されると前記刈取搬送部及び前記フィードチェーンを駆動させる第2制御状態とに切り換え可能に構成してある請求項1に記載のコンバインの駆動制御構造。
- 前記刈取搬送部に対する伝動を断続する刈取クラッチと、前記フィードチェーンに対する伝動を断続するフィードチェーンクラッチとを装備し、前記制御手段が、カム機構を介して前記刈取クラッチ及び前記フィードチェーンクラッチに連係された単一のアクチュエータの作動を制御して、前記刈取搬送部及び前記フィードチェーンの駆動状態と駆動停止状態とを現出するように構成してある請求項1又は2に記載のコンバインの駆動制御構造。
- 前記刈取搬送部に対する動力を独立変速する刈取変速装置を装備し、前記制御手段が、前記刈取搬送部の駆動状態では前記刈取変速装置を走行速度に応じた変速位置に操作し、前記刈取搬送部の駆動停止状態では前記刈取変速装置を中立位置に操作するように構成してある請求項1又は2に記載のコンバインの駆動制御構造。
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CN109923995A (zh) * | 2017-12-18 | 2019-06-25 | 株式会社久保田 | 联合收割机 |
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-
2002
- 2002-09-06 JP JP2002261570A patent/JP2004097052A/ja active Pending
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