JP3573533B2 - 普通形コンバイン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は例えば稲・麦・大豆など穀物を刈取って脱穀処理するようにした普通形コンバインに関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
穀稈刈取用第1刈刃及び刈株高さ調整用第2刈刃を有する二段刈取式にあっては、刈取部に一体的に第2刈刃が設けられていて、刈取部を下降させての刈始め時や、刈取部を上昇させての刈終り時には同時に第2刈刃も下降或いは上昇させての刈取り作業が行われている。
【0003】
しかし乍ら、このような刈始め時に刈取部とともに第2刈刃が下降する場合、圃場際に散存する排藁や第1及び第2刈刃間に残存する排藁が第2刈刃に引掛るなどして第2刈刃の切れを悪くさせ、また刈終り時に刈取部とともに第2刈刃が上昇する場合、第1及び第2刈刃間の穀稈を第1刈刃のみによって刈取られた高い刈株の未刈り稈として残してしまう。
【0004】
【課題を解決するための手段】
したがって本発明は、穀稈刈取用第1刈刃の後方に刈株高さ調整用第2刈刃を配備させ、接地ソリ体を備える第2刈刃を単独昇降させる第2刈刃昇降機構を設けると共に、刈取部の昇降より設定時間遅延して第2刈刃を昇降する第2刈刃昇降制御手段を設ける普通形コンバインにおいて、車速が車速センサを介し入力され、刈取部を下降させるとき、車速に基づき、第1及び第2刈刃間を第2刈刃が通過するのに要する時間が算出され、前記時間が経過後に第2刈刃を前記接地ソリ体の接地位置まで下降させるもので、刈始め時は既に残存する排藁を通過した後、第1刈刃で刈取られた後の刈株を第2刈刃で刈取ってこの刈取性能を安定維持させ、圃場全体の株を低い刈高さにすることができるものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は刈取部の側面説明図、図2はコンバイン全体の側面図、図3は同平面図であり、図中(1)は走行クローラ(2)をトラックフレーム(3)に装備する機台、(4)は軸流式のスクリュ形扱胴(5)及び選別機構(6)などを備えていて前記機台(1)に搭載する脱穀部、(7)は揚穀筒(8)を介して取出す脱穀部(4)の穀粒を溜める穀物タンク、(9)は前記脱穀部(4)の下部前方に油圧シリンダ(10)を介して昇降可能に装設する刈取部、(11)は運転席(12)及び運転操作部(13)を備えて前記穀物タンク(7)の前方に配設させる運転キャビン、(14)は前記穀物タンク(7)の後方に備えていてエンジン(15)を内設するエンジン部、(16)は前記穀物タンク(7)内の穀粒を取出す上部穀粒搬出オーガである。
【0006】
そして、前記刈取部(9)は、未刈り穀稈を取入れる穀物刈取ヘッダー(17)と、該ヘッダー(17)の後部略中央に連結させて刈取穀稈を脱穀部(4)に送給するフィーダハウス(18)によって構成すると共に、未刈り穀稈掻込み用リール(19)と、往復駆動型第1及び第2刈刃(20)(21)と、穀稈掻込オーガ(22)とを前記穀物ヘッダー(17)に備え、前記ヘッダー(17)に取込まれる刈取穀稈をフィーダハウス(18)に内設する供給チェンコンベア(23)を介し脱穀部(4)に送り込んで脱穀処理するように構成している。
【0007】
また、前記脱穀部(4)の右外側には二番還元筒(24)を配備させていて、二番処理物を選別機構(6)に戻して再選別するように設けている。
【0008】
さらに、前記第1刈刃(20)は刈取ヘッダー(17)の刈取フレーム(25)前端に備えて穀稈を刈取ると共に、前記第2刈刃(21)は第1刈刃(20)後方の低位置に備えて第1刈刃(20)によって刈取られた高い刈株をさらに刈取って低い刈株高さに均一調整するもので、刈取フレーム(25)後側にブラケット(26)を介し取付ける回動支点軸(27)に、第2刈刃(21)の左右両端側を左右支持フレーム(28)を介して上下動自在に支持させている。
【0009】
図4にも示す如く、前記第2刈刃(21)は可動刃(21a)と受刃(21b)を有し、受刃(21b)後部に固設する受刃台(29)を前記支持フレーム(28)後端に連結させると共に、受刃台(29)に支軸(30)を介して接地ソリ体(31)を揺動自在に取付け、該ソリ体(31)の接地を検出するポテンショメータ形第2刈刃下限センサ(32)を支軸(30)に設けて、第2刈刃(21)の刈高さを前記下限センサ(32)で検知するように構成している。
【0010】
そして前記刈取フレーム(25)の基端を固設する刈取部(9)後側の上部横フレーム(33)と左右支持フレーム(28)間を、各ブラケット(34)(35)を介し左右の昇降機構である油圧昇降シリンダ(36)を介設して、該シリンダ(36)の伸縮操作でもって第2刈刃(21)の支持高さの調節を行うように構成している。
【0011】
図6に示す如く、前記刈取部(9)の駆動はフィーダハウス(18)と運転席(12)の後部間に設けた刈取入力ケース(37)からの駆動力でもって行うもので、刈取入力ケース(37)の入力軸(38)をプーリ(39)(40)及びベルト(41)及びテンションプーリ形刈取クラッチ(42)を介しカウンタ軸(43)に連動連結させると共に、該カウンタ軸(43)を自在継手軸(44)を介し前記エンジン(15)の出力軸に連動連結させている。そして前記刈取入力ケース(37)には正逆転ギヤ機構(45)を備え、該ギヤ機構(45)を介する出力軸(46)を前記チェンコンベア(23)のコンベア駆動軸(47)にスプロケット(48)(49)及びチェン(50)を介し連動連結させて、前記供給チェンコンベア(23)の正逆駆動を行うように構成している。
【0012】
また、フィーダハウス(18)右前面に支持するフィーダハウス出力軸(51)に、該ハウス(18)右外側のスプロケット(52)(53)及びチェン(54)を介し前記駆動軸(47)を連動連結させると共に、刈取カウンタ軸(55)に自在継手軸(56)を介し前記出力軸(51)を連動連結させ、前記掻込オーガ(22)のオーガ軸(22a)にスプロケット(57)(58)及びチェン(59)を介し、また前記第1刈刃(20)の刈刃駆動軸(60)にプーリ(61)(62)及びベルト(63)を介し刈取カウンタ軸(55)をそれぞれ連動連結させて、掻込オーガ(22)及び第1刈刃(20)の各駆動を行うように構成している。
【0013】
さらに前記刈取カウンタ軸(55)は、リール駆動用のリール第1カウンタ軸(64)に無段変速プーリ(65)(66)及び無段変速ベルト(67)を介し連動連結させると共に、前記リール(19)を支持するリール支持フレーム(68)基端のリール第2カウンタ軸(69)にスプロケット(70)(71)及びチェン(72)を介し前記第1カウンタ軸(64)を、また前記リール(19)のリール駆動軸(73)にスプロケット(74)(75)及びチェン(76)を介し第2カウンタ軸(69)をそれぞれ連動連結させて、リール(19)の駆動を行うように構成している。
【0014】
またさらに、前記回動支点軸(27)と同一軸芯のヘッダー(17)右後側の第2刈刃カウンタ軸(77)にスプロケット(78)(79)及びチェン(80)及び第2刈刃クラッチ(81)を介し刈取カウンタ軸(55)を連動連結すると共に、第2刈刃(21)の刈刃駆動軸(82)にプーリ(83)(84)及びベルト(85)を介し連動連結させて、第2刈刃(21)の駆動を行うように構成している。
【0015】
また図5にも示す如く、エンジン出力でもって選別機構(6)を駆動する脱穀部(4)後側位置の選別駆動軸に、脱穀部(4)の2番コンベア(86)の2番コンベア軸(87)を連動連結させ、1番コンベア(88)の1番コンベア軸(89)に脱穀部(4)の左外側でスプロケット(90)(91)及びチェン(92)を介し2番コンベア軸(87)を連動連結させると共に、1番及び2番コンベア軸(89)(87)間に設ける唐箕入力カウンタ軸(93)のスプロケット(94)を前記チェン(92)に結合連結させ、唐箕(95)の唐箕駆動軸(96)に無段変速プーリ(97)(98)及び無段変速ベルト(99)及びテンションプーリ形唐箕クラッチ(100)を介し前記カウンタ軸(93)を連動連結させて、1番及び2番コンベア(88)(86)や唐箕(95)を回転駆動するように構成している。
【0016】
前記唐箕クラッチ(100)は脱穀左外側壁にベース台(101)を介し固設する唐箕変速モータ(101)に、一対の減速ギヤ(102a)(102b)・変速ロッド(103)・変速アーム(104)を介して唐箕クラッチ(100)のテンションアーム(105)を連動連結させて、変速モータ(101)の正逆駆動でもって唐箕駆動軸(96)の変速プーリ(98)の有効プーリ径を大小に変化させて唐箕(95)の回転を増減速制御するように構成している。
【0017】
図7に示す如く、走行ミッションケースの走行出力より車速を検出する車速センサ(106)と、前記チェンコンベア(23)の回転トルクの変化より脱穀部(4)に投入される穀稈量を検出する穀稈量センサ(107)と、前記下限センサ(32)と、刈取昇降レバーによる刈取部(9)の上昇及び下降を検知する刈取上昇及び下降スイッチ(108)(109)とを入力接続させる昇降制御手段であるコントローラ(110)を備えると共に、第2刈刃用昇降シリンダ(36)と、第2刈刃クラッチ(81)を入切操作するモータ或いはシリンダなど第2刈刃クラッチ操作部材(119)と、前記唐箕変速モータ(101)とにコントローラ(110)を出力接続させて、前記第2刈刃(21)の昇降及び駆動制御や唐箕(95)の回転制御を行わしめるように構成している。
【0018】
また図8に示す如く、脱穀クラッチ及び前記刈取クラッチ(42)の切時にオンで入時にオフとなる常閉形脱穀スイッチ(112)及び刈取スイッチ(113)と、主クラッチペダルの踏込み時(切時)にオンとなる常開形安全スイッチ(114)とを、エンジン(15)を始動する始動モータ(115)とバッテリ(116)間の接続回路中に直列状に介設して、脱穀クラッチ或いは刈取クラッチ(42)のオン時にはエンジン(15)の始動を不可能とさせて、誤操作による危険を防止し安全性を向上させるように構成している。
【0019】
本実施例は上記の如く構成するものにして、作業開始時に植付部(9)を下降、或いは作業中に植付部(9)を上昇及び下降動作させた場合には、第2刈刃(21)は図9のフローチャートに示す如き追従制御が行われるもので、前記コントローラ(110)に作業速度である車速がセンサ(106)を介し入力され、刈取部(9)の下降がスイッチ(109)によって入力されるとき、第1刈刃(20)と第2刈刃(21)間の距離(L)と車速(V)の関係より、走行中第2刈刃(21)が第1及び第2刈刃(20)(21)間を通過するに要する設定時間(T)が算出(T=L/V)され、この設定時間(T)経過後に第2刈刃(21)は前記ソリ体(31)の下限接地位置まで下降し、刈刃クラッチ(81)の入動作により第2刈刃(21)の駆動が行われる。つまり刈始め時などの刈取部(9)の下降開始時には一緒に第2刈刃(21)は下降を開始せず、第1刈刃(20)の通過位置に第2刈刃(21)が到達する設定時間経過後に第2刈刃(21)を下降させ、常に第1刈刃(20)で刈取った刈株跡を第2刈刃(21)で追従して刈取りする状態とさせて、第1刈刃(20)の未刈り部を第2刈刃(21)で刈取るとき、未刈り部の排藁などが第2刈刃(21)引掛って切れを悪化させるのを防止している。
【0020】
また刈取部(9)の上昇時においても、第1刈刃(20)で刈取った最終の刈株跡までは第2刈刃(21)の下降状態を保持したまま刈取りを行い、最終の刈株まで刈取った後に第2刈刃(21)を上昇させて、第1刈刃(20)による高い刈株のままで残るのを防止し、圃場全体を均一の低い刈株とするものである。
【0021】
また図10のフローチャートに示す如く、前記穀稈量センサ(107)の検出値に基づいて唐箕(95)の回転制御を行うもので、脱穀部(4)に投入される穀稈量が標準より大或いは小となるとき唐箕(95)の回転数を大或いは小に増減速制御して、選別精度を安定維持させるものである。
【0022】
図11は穀物タンクを回転させる構成としたもので、この回転式穀物タンク(117)は両端を円錐部(117a)に形成し、中央のドラム部(117b)の外側をローラ或いはベアリンクなど回転体(118)に前高後低の傾斜姿勢で回転自在に支持させ、傾斜上端側のタンク(117)の回動中心に揚穀筒(8)の穀物投入口(8a)を臨ませると共に、傾斜下端のタンク回転軸(119)をギヤ伝動機構(120)を介しエンジン(15)側に連動連結させて、タンク(117)を回転し内部の籾同志を擦れ合う状態に撹拌することによって、タンク(117)での籾貯蔵中に籾から枝梗の分離除去を可能とするように構成したものである。またこの場合タンク(117)の両端を円錐形状とすることによって、本機との干渉を最小に抑制し、さらに揚穀角(8)の穀物投入口(8a)をタンク(117)の回動中心とすることによって、タンク(117)側に形成される穀物取入口を最小形状として籾のスムーズなタンク取入れを可能とさせることができる。
【0023】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように本発明は、穀稈刈取用第1刈刃(20)の後方に刈株高さ調整用第2刈刃(21)を配備させ、接地ソリ体(31)を備える第2刈刃(21)を単独昇降させる第2刈刃昇降機構(36)を設けると共に、刈取部(9)の昇降より設定時間遅延して第2刈刃(21)を昇降する第2刈刃昇降制御手段(110)を設ける普通形コンバインにおいて、車速(V)が車速センサ(106)を介し入力され、刈取部(9)を下降させるとき、車速(V)に基づき、第1及び第2刈刃(20)(21)間を第2刈刃(21)が通過するのに要する時間(T)が算出され、前記時間(T)が経過後に第2刈刃(21)を前記接地ソリ体(31)の接地位置まで下降させるもので、刈始め時は既に残存する排藁を通過した後、第1刈刃(20)で刈取られた後の刈株のみを第2刈刃(21)で刈取ってこの刈取性能を安定維持させることができ、圃場全体の株を低い刈高さにすることができ、後処理性を向上させることができるなど顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】刈取部の側面説明図である。
【図2】コンバインの全体側面図である。
【図3】コンバインの全体平面図である。
【図4】第2刈刃の側面説明図である。
【図5】唐箕の側面説明図である。
【図6】駆動系の説明図である。
【図7】制御回路図である。
【図8】電気回路図である。
【図9】フローチャートである。
【図10】フローチャートである。
【図11】回転式穀物タンクの側面利説明図である。
【符号の説明】
(9) 刈取部
(20) 第1刈刃
(21) 第2刈刃
(36) 昇降シリンダ(昇降機構)
(110)コントローラ(昇降制御手段)

Claims (1)

  1. 穀稈刈取用第1刈刃(20)の後方に刈株高さ調整用第2刈刃(21)を配備させ、接地ソリ体(31)を備える第2刈刃(21)を単独昇降させる第2刈刃昇降機構(36)を設けると共に、刈取部(9)の昇降より設定時間遅延して第2刈刃(21)を昇降する第2刈刃昇降制御手段(110)を設ける普通形コンバインにおいて、車速(V)が車速センサ(106)を介し入力され、刈取部(9)を下降させるとき、車速(V)に基づき、第1及び第2刈刃(20)(21)間を第2刈刃(21)が通過するのに要する時間(T)が算出され、前記時間(T)が経過後に第2刈刃(21)を前記接地ソリ体(31)の接地位置まで下降させることを特徴とするコンバイン。
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