JPH11279006A - ハマキガ科ハマキガ亜科害虫の交信攪乱方法 - Google Patents

ハマキガ科ハマキガ亜科害虫の交信攪乱方法

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JPH11279006A
JPH11279006A JP8660798A JP8660798A JPH11279006A JP H11279006 A JPH11279006 A JP H11279006A JP 8660798 A JP8660798 A JP 8660798A JP 8660798 A JP8660798 A JP 8660798A JP H11279006 A JPH11279006 A JP H11279006A
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欽也 小川
Masaomi Azuma
正臣 我妻
Fumiaki Mochizuki
文昭 望月
Takehiko Fukumoto
毅彦 福本
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 Z−11−テトラデセニルアセテートのみを
有効成分とした交信攪乱剤を5〜10年と継続的に使用し
た結果、有効性が低下する現象が認められてきた果樹、
茶樹のハマキガ科害虫にも有効なフェロモン製剤による
防除法。 【解決手段】 (A)Z−11−テトラデセニルアセテ
ート40〜97重量%、(B)E−11−テトラデセニルア
セテートとZ−9−テトラデセニルアセテートの5:95
〜95:5の範囲内の混合比の混合物3〜60重量%からな
る組成物、または該組成物に(C)Z−9−ドデセニル
アセテートを添加したもの、または(D)10−メチル−
ドデシルアセテートを添加したものを原体成分とする交
信攪乱剤を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハマキガ科ハマキガ
亜科害虫を交信攪乱法によって防除する方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ハマキガ科ハマキガ亜科に属し、Z−1
1−テトラデセニルアセテート(以下ではZ−11−TD
Aと略すこともある)を性フェロモン成分としている種
は現在129種知られている。この成分だけをフェロモン
成分としている種は僅かで、多くはこの成分以外の他の
成分をも含有する。交信攪乱は性フェロモン成分を天然
組成比で行うのが一般的である。しかしハマキガ科ハマ
キガ亜科に属しZ−11−テトラデセニルアセテートを
性フェロモン成分としている害虫に対する交信攪乱は、
性フェロモンの組成や組成比の如何に拘わらず、Z−1
1−テトラデセニルアセテートのみが使用されており、
その他の成分を加えても有効性は向上しないと云われて
きた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしZ−11−テト
ラデセニルアセテートのみを有効成分とした交信攪乱剤
を5〜10年と継続的に使用すると、有効性が低下する現
象が認められてきた。これに対する対応策として、前記
各害虫の性フェロモン成分のうちZ−11−テトラデセ
ニルアセテート及びこれ以外でフェロモン組成中最大含
有率の成分を利用する交信攪乱剤が提案されている(特
願平9-240939号公報参照)。ハマキガ科ハマキガ亜科に
属する重要害虫では、E−11−テトラデセニルアセテー
ト(以下ではE−11−TDAと略すこともある)をその
性フェロモン成分とする種群(グループ)と、Z−9−
テトラデセニルアセテート(以下ではZ−9−TDAと
略すこともある)をその性フェロモン成分とする種群
(グループ)とに大別できる。特願平9-240939号による
交信攪乱剤は、各グループ内の害虫を防除する場合は非
常に有効な剤であるが、グループ外の害虫には不活性成
分が増加するため効果が低かった。また果樹では前記両
グループの害虫が同時に加害するケースが多いため、こ
れらのグループを同時に防除できる交信攪乱法の開発が
望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこのような
課題を解決するために、種々の組成の交信攪乱剤につい
て検討した結果、下記(A)、(B)からなる組成物を
原体主成分とする交信攪乱剤を用いることを特徴とする
Z−11−テトラデセニルアセテートを性フェロモン成
分として有するハマキガ科ハマキガ亜科害虫の交信攪乱
法がこのような課題を解決するために極めて有効なこと
を見出した。即ちその組成は、 (A)Z−11−テトラデセニルアセテート 40〜97重量% (B)E−11−テトラデセニルアセテートとZ−9−テトラデセニルアセテー トの5:95〜95:5の範囲内の混合比の混合物 3〜60重量%で ある。 また上記(A),(B)からなる組成物90〜99重量%と
Z−9−ドデセニルアセテート1〜10重量%とからなる
組成物、上記(A),(B)からなる組成物90〜99重量
%と10−メチル−ドデシルアセテート1〜10重量%とか
らなる組成物を原体主成分とする交信攪乱剤がそれぞれ
チャハマキ、チャノコカクモンハマキに対し同様に極め
て有効なことを見出した。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明において使用されるZ−11
−テトラデセニルアセテート、Z−9−テトラデセニル
アセテート、E−11−テトラデセニルアセテート、Z−
9−ドデセニルアセテート(以下ではZ−9−DDAと
略すこともある)などの各幾何異性体の合成は公知の方
法により行うことができる。
【0006】また本発明においては、使用するフェロモ
ン原体の酸化、分解を防止するため酸化防止剤が添加使
用されるが、酸化防止剤としてはジ−t−ブチルヒドロ
キシトルエン(BHT)が例示され、合成フェロモン原
体重量に対して約2%添加するが、本発明の交信攪乱剤
の機能を妨げない限りその他一般の酸化防止剤も使用可
能である。
【0007】本発明の交信攪乱剤用には除放性のフェロ
モン放出細管に関する技術(特開昭57-9705 号公報)及
び賦形性に関する技術(特開昭57-156403 号公報)によ
り公知のポリエチレンチューブを用い、これに所定の比
率で混合した所定量の合成フェロモン原体を充填して交
信攪乱剤とする。
【0008】本発明の交信攪乱剤は害虫を防除する圃場
に必要量のフェロモン物質が放出されるように予め概略
計算して等間隔に点在させて設置するが、リンゴ、モ
モ、ナシ畑、茶畑のハマキガ科ハマキガ亜科害虫のリン
ゴコカクモンハマキ、リンゴモンハマキ及びチャハマ
キ、チャノコカクモンハマキに対して好適な施用量は 5
0〜 500本/10aであり、この範囲は施用面積、気象条
件、畑の地形などの立地条件、交信攪乱剤の形状によっ
て異なり、たとえば面積がha単位以上と大きく、風速
が弱い畑であれば施用本数を若干減らしてもよい。リン
ゴコカクモンハマキはリンゴ、ナシ、モモ、ウメ、オウ
トウを、リンゴモンハマキは、リンゴ、ナシ等を、チャ
ハマキ、チャノコカクモンハマキは茶葉を加害するの
で、本発明の交信攪乱剤はこれらの果樹、茶樹類のハマ
キガ科害虫の交信攪乱に有効である。
【0009】本発明における性フェロモン原体組成の限
定理由を以下に記す。本発明における原体組成中の
(A)のZ−11−テトラデセニルアセテートの配合量は
40〜97重量%の範囲内にあることが好ましい。40重量%
未満では効果が低下し、97重量%を超えると効果が変わ
らないかまたは極端に低下する。本発明における性フェ
ロモン原体組成中の(B)のE−11−テトラデセニルア
セテートとZ−9−テトラデセニルアセテートとの混合
比率は5:95〜95:5の範囲内にあることが好ましい。
この範囲内にあるときは高い防除効果が得られ、範囲外
では防除効果が低下する。またこの混合物の配合量は3
〜60重量%の範囲内が好ましい。3重量%未満では効果
が変わらないか、または効果が極端に低下し、60重量%
を超えても効果が低下する。本発明における原体組成中
の(C),(D)のZ−9−ドデセニルアセテート、10
−メチル−ドデシルアセテート(以下では10−Me −D
DAと略すこともある)の配合量は1〜10重量%の範囲
内が好ましい。1重量%未満では効果が小さく、10重量
%を超えると(A),(B)の量が少なくなり、交信攪
乱効果と防除効果がともに低下する。
【0010】本発明における交信攪乱剤のポリエチレン
チューブ中に充填されているフェロモン原体は管壁を透
過し、管外壁表面から蒸発して畑の雰囲気(空気)中に
緩やかに持続的に放出される。
【0011】
【実施例】以下実施例を挙げ本発明を詳細に説明する。
なお実施例1〜30及び全ての比較例で使用される原体に
対してその重量の約2%の酸化防止剤BHTを添加し
た。なお原体組成は全て重量%である。 (実施例1〜12及び比較例1〜10) (リンゴコカクモハマキの交信攪乱)リンゴコカクモン
ハマキは、Z−9−テトラデセニルアセテートをその性
フェロモン成分として有する代表的な重要害虫である。
本発明における(A)、(B)の各々を(表1)に示す
配合比で混合した組成物のそれぞれ80mgを長さ20センチ
のポリエチレンチューブに封じ込んで交信攪乱剤のディ
スペンサーとした(実施例1〜12)。これを市販のZ
−11−テトラデセニルアセテート剤をリンゴコカクモ
ンハマキ防除を目的として過去5年〜10年連続使用して
いるリンゴ園各1haに 1,500本/haの割合で設置した。
さらに、比較のためにリンゴコカクモンハマキの天然成
分を有効成分とした同様のディスペンサーを設置した前
記と同面積同使用歴の試験区(比較例9)を設けた。各
圃場の中心部に各々2個のフェロモントラップを5m間
隔で設置し、世代を通してリンゴコカクモンハマキの捕
獲数を比較した。他方300 m離れたリンゴ園を無処理対
照区(比較例10)として設け、そこにフェロモン処理圃
場と同様にフェロモントラップを設置した。交信攪乱率
は以下の計算式により算出した。 交信攪乱率(%)= 100−(処理圃場のトラップ数)×
100/(無処理圃場のトラップ数) また、防除効果は被害新梢率により表した。それぞれの
結果を(表1)にしめした。
【0012】
【表1】
【0013】(表1)において *1 Z-11→Z−11−テトラデセニルアセテート Z9&E11→Z−9−テトラデセニルアセテートとE−11
−テトラデセニルアセテートの混合物 Z9→Z−9−テトラデセニルアセテート *2 Z−9−テトラデセニルアセテートとE−11−
テトラデセニルアセテートの5:95の混合物 *3 Z−9−テトラデセニルアセテートとE−11−
テトラデセニルアセテートの50:50の混合物 *4 Z−9−テトラデセニルアセテートとE−11−
テトラデセニルアセテートの95:5の混合物 *5 天然組成比(Z−11TDA:Z−9−TDA=
1:9
【0014】市販のZ−11−テトラデセニルアセテー
ト剤を5〜10年連続使用した圃場において、市販のZ−
11−テトラデセニルアセテート剤のみ処理(比較例
9)では攪乱効果と防除効果は低下していた。また特願
平9-240939号で報告された交信攪乱剤を用いた場合(比
較例4、5)は、比較例9に比べ効果は改善されてい
る。しかし本発明における交信攪乱剤を使用した場合の
実施例1〜4(Z−9−TDA:E−11−TDA=
5:95の混合物を用いた場合)は、いずれも99%以上の
交信攪乱率が得られ、さらに新梢被害率も 0.2%以下と
高い防除効果が得られた。また、実施例5〜8(Z−9
−TDA:E−11−TDA=50:50混合物を用いた場
合)、実施例9〜12(Z−9−TDA:E−11−T
DA=95:5混合物を用いた場合)も同様の交信攪乱効
果と防除効果が得られた。また比較例1〜3からZ−1
1−テトラデセニルアセテートの比率を30重量%に落と
すと交信攪乱効果と防除効果がともに低下することがわ
かる。
【0015】(実施例13〜24及び比較例11〜19) (リンゴモンハマキの交信攪乱)リンゴモンハマキはE
−11−テトラデセニルアセテートをその性フェロモン
成分として有する代表的な重要害虫である。本発明にお
ける(A)、(B)の各々を(表2)に示す配合比で混
合した組成物のそれぞれ80mgを長さ20cmのポリエチレン
チューブに封じ込んで交信攪乱剤のディスペンサーとし
た(実施例13〜24)。これを、市販のZ−11−テ
トラデセニルアセテート剤を過去5〜10年連続使用して
いるリンゴ園各1haに 1,500本/haの割合で均等に設置
した。またZ−11−テトラデセニルアセテート40〜90
重量%に対して、10〜60重量%のE−11−テトラデセニ
ルアセテートを添加した同様のディスペンサーを作製し
(比較例14〜17)、同様のフェロモン製剤使用歴のある
リンゴ園各1haに 1,500本/haの割合で設置した。さら
に、比較のために、リンゴモンハマキの天然組成を有効
成分とした同様のディスペンサーを設置した区(比較例
18)を設けた。各圃場の中心部におのおの2個のフェロ
モントラップを5m間隔で設置し、世代を通して捕獲数
を比較した。約 300m離れたリンゴ園を無処理対照区
(比較例19)として設け、そこにディスペンサー処理圃
場と同様にフェロモントラップを設置した。交信攪乱率
を前記の方法で算出し、防除効果として新梢被害率を測
定した。その結果を(表2)に示した。
【0016】
【表2】
【0017】*1 Z-11→Z−11−テトラデセニルアセ
テート Z9&E11→Z−9−テトラデセニルアセテートとE−11
−テトラデセニルアセテートの混合物 Z9→Z−9−テトラデセニルアセテート *2 Z−9−テトラデセニルアセテートとE−11−テ
トラデセニルアセテートの5:95の混合物 *3 Z−9−テトラデセニルアセテートとE−11−テ
トラデセニルアセテートの50:50の混合物 *4 Z−9−テトラデセニルアセテートとE−11−テ
トラデセニルアセテートの95:5の混合物 *5 天然組成比(Z−11−TDA:E−11−TDA=
3:7)
【0018】Z−11−テトラデセニルアセテート40〜
90重量%に対し、Z−9−テトラデセニルアセテートと
E−11−テトラデセニルアセテートの混合物即ち実施
例13〜16(Z−9−TDA:E−11−TDA=5:
95の混合物を用いた場合)、実施例17〜20(Z−9
−TDA:E−11−TDA=50:50の混合物を用いた場
合)、実施例21〜24(Z−9−TDA:E−11−T
DA=95:5の混合物を用いた場合)の各混合物を10〜
60重量%添加した場合、いずれも99%以上の交信攪乱率
が得られ、さらに新梢被害率も 0.1%と高い防除効果が
得られることが分かる。一方、天然組成比の原体を攪乱
剤として用いた場合や、特願平9-240939号の組成を用い
た場合(比較例14〜16)は、比較例19と比べ効果は改善
されているが、本発明のいずれの実施例に比べても効果
が劣ることが分かる。また比較例11〜13からZ−11−
テトラデセニルアセテートの比率を30重量%に落とすと
交信攪乱効果と防除効果がともに低下することがわか
る。
【0019】(実施例25〜27及び比較例20〜24) (チャハマキの交信攪乱)チャハマキはZ−9−ドデセ
ニルアセテートをフェロモン成分として有する茶の主要
害虫である。(表3)のように実施例6と実施例18に
使用した交信攪乱剤(Z−11−TDA:Z−9−TD
A:E−11−TDAの8:1:1混合液)に、Z−9
−DDAを添加混合した液中のZ−9−DDAの比率が
1重量%、5重量%、10重量%となるようにこれを添加
し、それぞれの 160mgを長さ20cmのポリエチレンチュー
ブに封じ込んで交信攪乱剤のディスペンサーとした。こ
れを市販のZ−11−テトラデセニルアセテート剤を過
去5年〜15年連続使用している茶園各1haに 5,000本/
haの割合で均等に設置した(実施例25〜27)。比較
のために、Z−9−テトラデセニルアセテートを添加し
ない攪乱剤(比較例20)や、市販のZ−11−テトラデ
セニルアセテート剤(比較例21)や、天然組成の原体を
攪乱剤としたもの(比較例 23 )を同様に設置した。各
圃場の中心部に2個のチャハマキのフェロモントラップ
と1個のプランクトラップを5m間隔で設置し、世代を
通してトラップ数を比較した。約 100m離れた茶園を無
処理対照区(比較例 24 )として設け、そこにディスペ
ンサー処理圃場と同様にフェロモントラップを設置し
た。交信攪乱率をフェロモントラップの捕獲数より算出
し、防除効果は1m2 あたりのチャハマキの幼虫数で示
した。結果を(表3)に示した。
【0020】
【表3】
【0021】 Z−11−テトラデセニルアセテート
とZ−9−テトラデセニルアセテートとE−11−テト
ラデセニルアセテートの8:1:1混合物 *1 Z9→Z−9−ドデセニルアセテート *2 Z−11−テトラデセニルアセテート剤 市販品 *3 天然組成比(Z−11−TDA:Z−9−DDA:11
- DDA=88:8:4)
【0022】Z−11−テトラデセニルアセテートを5
〜15年連続使用した圃場において、Z−11−テトラデ
セニルアセテートのみ処理(比較例21)では攪乱効果と
防除効果も非常に低くかった。しかし、Z−9−ドデセ
ニルアセテートを1%〜10重量%添加した実施例25〜
27では顕著な防除効果が認められた。またZ−9−ド
デセニルアセテートを添加しない場合(比較例20)は効
果が低いことがわかる。また比較例22からはZ−9−ド
デセニルアセテートの比率を15%にまで上げると原体中
の(A),(B)の比率が低下して、攪乱効果と防除効
果が低下することがわかる。
【0023】(実施例28〜30及び比較例 25 〜29) (チャノコカクモンハマキの交信攪乱)チャノコカクモ
ンハマキは10−メチル−ドデシルアセテート(以下では
10−Me−DDAと略す)をフェロモン成分として有す
る茶の主要害虫である。実施例6と実施例18に使用し
た交信攪乱剤(Z−11−テトラデセニルアセテート:
Z−9−テトラデセニルアセテート:E−11−テトラ
デセニルアセテート重量の8:1:1混合液)に、10−
Me−DDAを添加混合した液中の10-Me−DDAの
比率が1重量%、5重量%、10重量%となるようにこれ
を添加し、それぞれの 160mgを長さ20cmのポリエチレン
チューブに封じ込んで交信攪乱剤のディスペンサーとし
た。これを市販のZ−11−テトラデセニルアセテート
剤を過去5年〜15年連続使用している茶園各1haに 5,0
00本/haの割合で均等に設置した(実施例28〜3
0)。比較のために、10−Me−DDAを添加しない攪
乱剤(比較例25)や、市販のZ−11−テトラデセニル
アセテート剤(比較例27)や、天然組成の原体を攪乱剤
としたもの(比較例28)を同様に設置した。各圃場の中
心部に2個のチャハマキのフェロモントラップと1個の
プランクトラップを5m間隔で設置し、世代を通してト
ラップ数を比較した。約 100m離れた茶園を無処理対照
区(比較例29)として設け、そこにディスペンサー処理
圃場と同様にフェロモントラップを設置した。交信攪乱
率をフェロモントラップの捕獲数より算出し、防除効果
は1m2あたりのチャノコカクモンハマキの幼虫数で示
した。結果を(表4)に示した。
【0024】
【表4】
【0025】 Z−11−テトラデセニルアセテート
とZ−9−テトラデセニルアセテートとE−11−テト
ラデセニルアセテートの8:1:1混合物 *1 10Me:10−Me−DDA *2 Z−11−テトラデセニルアセテート剤 市販品 *3 天然組成比(Z−11−TDA:Z−9−TDA:E
−11- TDA:10−Me−DDA=31: 63:4:2)
【0026】Z−11−テトラデセニルアセテートを5
〜15年連続使用した圃場において、Z−11−テトラデ
セニルアセテートのみ処理(比較例27)では攪乱効果と
防除効果も非常に低くかった。しかし、10−Me−DD
Aを1〜10重量%添加した実施例28〜30では顕著な
防除効果が認められた。また10−Me−DDAを添加し
ない場合(比較例25)は効果が低かった。比較例26から
は10−メチル−ドデシルアセテートの比率を15%にまで
上げると原体中の(A),(B)の比率が低下して、攪
乱効果と防除効果が低下することがわかる。
【0027】
【発明の効果】本発明のハマキガ科ハマキガ亜科害虫の
交信攪乱法を用いれば、Z−11−テトラデセニルアセ
テートをそのフェロモン成分として有するハマキガ科ハ
マキガ亜科害虫に対し長期的に高い攪乱効果および防除
効果を示すので、難防除であるハマキガ科ハマキガ亜科
害虫防除に資するところが大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 望月 文昭 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28番地の 1 信越化学工業株式会社合成技術研究所 内 (72)発明者 福本 毅彦 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28番地の 1 信越化学工業株式会社合成技術研究所 内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)、(B)からなる組成物を原
    体主成分とする交信攪乱剤を用いることを特徴とするZ
    −11−テトラデセニルアセテートを性フェロモン成分
    として有するハマキガ科ハマキガ亜科害虫の交信攪乱方
    法。 (A)Z−11−テトラデセニルアセテート 40〜97重量% (B)E−11−テトラデセニルアセテートとZ−9−テトラデセニルアセテー トの5:95〜95:5の範囲内の混合比の混合物 3〜60重量%
  2. 【請求項2】 下記(A),(B),(C)からなる組
    成物を原体主成分とする交信攪乱剤を用いることを特徴
    とするZ−11−テトラデセニルアセテートを性フェロ
    モン成分として有するハマキガ科ハマキガ亜科害虫の交
    信攪乱方法。 (A)Z−11−テトラデセニルアセテート 40〜97重量%と (B)E−11−テトラデセニルアセテートとZ−9−テトラデセニルアセテー トの5:95〜95:5の範囲内の混合比の組成物 3〜60重量% とからなる組成物 90〜99重量%、 (C)Z−9−ドデセニルアセテート 1〜10重量%。
  3. 【請求項3】 下記(A),(B),(D)からなる組
    成物を原体主成分とする交信攪乱剤を用いることを特徴
    とするZ−11−テトラデセニルアセテートを性フェロ
    モン成分として有するハマキガ科ハマキガ亜科害虫の交
    信攪乱方法。 (A)Z−11−テトラデセニルアセテート 40〜97重量%と (B)E−11−テトラデセニルアセテートとZ−9−テトラデセニルアセテー トの5:95〜95:5の範囲内の混合比の組成物 3〜60重量% とからなる組成物 90〜99重量%、 (D)10−メチル−ドデシルアセテート 1〜10重量%。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007210921A (ja) * 2006-02-08 2007-08-23 Shin Etsu Chem Co Ltd ミダレカクモンハマキの誘引剤
CN114190377A (zh) * 2021-12-15 2022-03-18 中国农业科学院茶叶研究所 顺11-十四碳烯乙酸酯作为湘黄卷蛾性信息素的应用以及一种诱芯及其制备方法和应用

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