JPH11278936A - 光記録膜用保護膜のための焼結体の製造方法 - Google Patents
光記録膜用保護膜のための焼結体の製造方法Info
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- JPH11278936A JPH11278936A JP10083794A JP8379498A JPH11278936A JP H11278936 A JPH11278936 A JP H11278936A JP 10083794 A JP10083794 A JP 10083794A JP 8379498 A JP8379498 A JP 8379498A JP H11278936 A JPH11278936 A JP H11278936A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 スパッタリング用ターゲットに用いるターゲ
ット材として使用した時、安定した成膜が可能なZnS
−SiO2 焼結体の製造方法。 【解決手段】 平均粒径が5μm以下のZnS粉末を3
50〜600℃で熱処理し、該ZnS粉末を平均粒径が
5μm以上のSiO2 粉末と混合して造粒粉とし、該造
粒粉を焼結するZnS−SiO2 焼結体の製造方法であ
って、これにより該焼結体の相対密度が90%以上とな
る。前記焼結を、Ar雰囲気、または真空中で、950
〜1100℃の焼結温度で、150〜300kg/cm
2 に加圧した状態で行うことが好ましい。前記造粒粉
は、熱処理を行った前記ZnS粉末中に、球状または角
状の前記SiO2 粉末を10〜30 mol%添加して混合
することが好ましい。
ット材として使用した時、安定した成膜が可能なZnS
−SiO2 焼結体の製造方法。 【解決手段】 平均粒径が5μm以下のZnS粉末を3
50〜600℃で熱処理し、該ZnS粉末を平均粒径が
5μm以上のSiO2 粉末と混合して造粒粉とし、該造
粒粉を焼結するZnS−SiO2 焼結体の製造方法であ
って、これにより該焼結体の相対密度が90%以上とな
る。前記焼結を、Ar雰囲気、または真空中で、950
〜1100℃の焼結温度で、150〜300kg/cm
2 に加圧した状態で行うことが好ましい。前記造粒粉
は、熱処理を行った前記ZnS粉末中に、球状または角
状の前記SiO2 粉末を10〜30 mol%添加して混合
することが好ましい。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光記録膜用保護膜
のための焼結体の製造方法に関し、特に、スパッタリン
グ法により光記録膜上に保護膜を成膜するための、ター
ゲット材に適したZnS−SiO2 焼結体の製造方法に
関する。
のための焼結体の製造方法に関し、特に、スパッタリン
グ法により光記録膜上に保護膜を成膜するための、ター
ゲット材に適したZnS−SiO2 焼結体の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】光ビームを照射して記録、消去を行う光
ディスクなどの光記録膜の両側は、光記録膜の保護のた
めに、SiO2 を添加したZnS(ZnS−SiO2 )
の保護膜で覆う構造をとっている。この保護膜は、主と
してスパッタリング用ターゲット(焼結体のターゲット
材を銅平板などに張り合わせたもの)を原料とし、高周
波(RF)スパッタリング法によって形成される。
ディスクなどの光記録膜の両側は、光記録膜の保護のた
めに、SiO2 を添加したZnS(ZnS−SiO2 )
の保護膜で覆う構造をとっている。この保護膜は、主と
してスパッタリング用ターゲット(焼結体のターゲット
材を銅平板などに張り合わせたもの)を原料とし、高周
波(RF)スパッタリング法によって形成される。
【0003】ターゲット材であるZnS−SiO2 焼結
体の製造方法としては、特開平6−65725号公報に
おいて、粒径が5μm以下のZnS粉末およびSiO2
粉末を用い、ホットプレス法を用いたZnS−SiO2
焼結体の製造方法が開示されていて、該ZnS−SiO
2 焼結体の相対密度は90%以上である。しかし、該製
造方法では、原料粉末に純度99.999重量%以上の
高純度ZnS粉末および純度99.999重量%以上の
高純度SiO2 粉末が必要であるので、コストがかさむ
問題があった。
体の製造方法としては、特開平6−65725号公報に
おいて、粒径が5μm以下のZnS粉末およびSiO2
粉末を用い、ホットプレス法を用いたZnS−SiO2
焼結体の製造方法が開示されていて、該ZnS−SiO
2 焼結体の相対密度は90%以上である。しかし、該製
造方法では、原料粉末に純度99.999重量%以上の
高純度ZnS粉末および純度99.999重量%以上の
高純度SiO2 粉末が必要であるので、コストがかさむ
問題があった。
【0004】また、前記公報以前より、相対密度が90
%以上のZnS−SiO2 焼結体の製造には、950℃
以上(例えば1100℃)の高温でのホットプレスが必
要であることが知られているが、この高温でのホットプ
レスを行うと、主にSの揮発が活発化して、S量が低下
してしまう。このため、透過率等の膜特性が安定して得
られないという問題がある。また、この製造法により得
られたZnS−SiO2 焼結体をターゲット材として用
いて、成膜速度を高めるためにスパッタリングの投入電
力を高くして成膜を行うと、スパッタリング用ターゲッ
トに割れや欠け(チッピング)が生じてしまう。このた
め、保護膜が短時間で使用寿命に至るという問題を抱え
ていた。
%以上のZnS−SiO2 焼結体の製造には、950℃
以上(例えば1100℃)の高温でのホットプレスが必
要であることが知られているが、この高温でのホットプ
レスを行うと、主にSの揮発が活発化して、S量が低下
してしまう。このため、透過率等の膜特性が安定して得
られないという問題がある。また、この製造法により得
られたZnS−SiO2 焼結体をターゲット材として用
いて、成膜速度を高めるためにスパッタリングの投入電
力を高くして成膜を行うと、スパッタリング用ターゲッ
トに割れや欠け(チッピング)が生じてしまう。このた
め、保護膜が短時間で使用寿命に至るという問題を抱え
ていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の方法は、この
ような従来の問題点を解決し、スパッタリング用ターゲ
ットに用いるターゲット材として使用した時、安定した
成膜が可能なZnS−SiO2 焼結体の製造方法を提供
するものである。
ような従来の問題点を解決し、スパッタリング用ターゲ
ットに用いるターゲット材として使用した時、安定した
成膜が可能なZnS−SiO2 焼結体の製造方法を提供
するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、平均粒
径が5μm以下のZnS粉末を350〜600℃で熱処
理し、該ZnS粉末を平均粒径が5μm以上のSiO2
粉末と混合して造粒粉とし、該造粒粉を焼結するZnS
−SiO2 焼結体の製造方法であって、これにより該焼
結体の相対密度が90%以上となる。
径が5μm以下のZnS粉末を350〜600℃で熱処
理し、該ZnS粉末を平均粒径が5μm以上のSiO2
粉末と混合して造粒粉とし、該造粒粉を焼結するZnS
−SiO2 焼結体の製造方法であって、これにより該焼
結体の相対密度が90%以上となる。
【0007】前記焼結を、Ar雰囲気または真空中で、
950〜1100℃の焼結温度で、150〜300kg
/cm2 に加圧した状態で行うことが好ましい。
950〜1100℃の焼結温度で、150〜300kg
/cm2 に加圧した状態で行うことが好ましい。
【0008】前記造粒粉は、熱処理を行った前記ZnS
粉末中に前記SiO2 粉末を10〜30 mol%添加して
混合することが好ましい。
粉末中に前記SiO2 粉末を10〜30 mol%添加して
混合することが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者は、従来より公知の製造
方法によって得られたZnS−SiO2 焼結体をターゲ
ット材に用いて行うスパッタリングにおいて、スパッタ
リング用ターゲットの割れや欠けの発生原因と、安定し
た膜特性の保護膜が得られない原因とについて、検討を
行った。
方法によって得られたZnS−SiO2 焼結体をターゲ
ット材に用いて行うスパッタリングにおいて、スパッタ
リング用ターゲットの割れや欠けの発生原因と、安定し
た膜特性の保護膜が得られない原因とについて、検討を
行った。
【0010】まず、前記特開平6−65725号公報に
挙げてある純度99.999重量%以上の高純度の原料
粉末ではなく、純度99.99重量%で粒径5μm以下
のZnS粉末と、純度99.9〜99.99重量%で粒
径5μm以下のSiO2 粉末を混ぜた造粒粉を使用する
と、1100℃以下の焼結温度でホットプレスを行った
ZnS−SiO2 焼結体の相対密度は、90%以下であ
った。一方、前記造粒粉に、1100℃より高い焼結温
度でホットプレスを行えば、ZnS−SiO2焼結体
は、容易に90%以上の相対密度を達成することができ
る。しかし、S含有率を測定すると、1100℃より高
い焼結温度で得られたZnS−SiO2 焼結体は、11
00℃以下の焼結温度で得られたZnS−SiO2 焼結
体に比べて、S含有率が減少していた。その結果、11
00℃より高い焼結温度で得られたZnS−SiO2 焼
結体をターゲット材として用いて、スパッタリング法で
成膜を行った保護膜は、膜透過率などの膜特性が悪化し
ていた。また、成膜速度を高めるために投入電力を70
0Wにして成膜を行うと、スパッタリング用ターゲット
に割れや欠けが発生していた。
挙げてある純度99.999重量%以上の高純度の原料
粉末ではなく、純度99.99重量%で粒径5μm以下
のZnS粉末と、純度99.9〜99.99重量%で粒
径5μm以下のSiO2 粉末を混ぜた造粒粉を使用する
と、1100℃以下の焼結温度でホットプレスを行った
ZnS−SiO2 焼結体の相対密度は、90%以下であ
った。一方、前記造粒粉に、1100℃より高い焼結温
度でホットプレスを行えば、ZnS−SiO2焼結体
は、容易に90%以上の相対密度を達成することができ
る。しかし、S含有率を測定すると、1100℃より高
い焼結温度で得られたZnS−SiO2 焼結体は、11
00℃以下の焼結温度で得られたZnS−SiO2 焼結
体に比べて、S含有率が減少していた。その結果、11
00℃より高い焼結温度で得られたZnS−SiO2 焼
結体をターゲット材として用いて、スパッタリング法で
成膜を行った保護膜は、膜透過率などの膜特性が悪化し
ていた。また、成膜速度を高めるために投入電力を70
0Wにして成膜を行うと、スパッタリング用ターゲット
に割れや欠けが発生していた。
【0011】本発明者は、1100℃以下の焼結温度で
ホットプレスを行ったZnS−SiO2 焼結体と、11
00℃より高い焼結温度でホットプレスを行ったZnS
−SiO2 焼結体とについて解析を行った結果、成膜時
に割れや欠けが生じずに、成膜して得られる保護膜が安
定した膜特性であるには、以下の特性のZnS−SiO
2 焼結体をターゲット材として使用することが有効であ
ると分かった。
ホットプレスを行ったZnS−SiO2 焼結体と、11
00℃より高い焼結温度でホットプレスを行ったZnS
−SiO2 焼結体とについて解析を行った結果、成膜時
に割れや欠けが生じずに、成膜して得られる保護膜が安
定した膜特性であるには、以下の特性のZnS−SiO
2 焼結体をターゲット材として使用することが有効であ
ると分かった。
【0012】(1)1100℃以下の焼結温度で焼結を
行い、ZnS−SiO2 焼結体の相対密度が90%以上
である。
行い、ZnS−SiO2 焼結体の相対密度が90%以上
である。
【0013】(2)β−ZnS相(111)面のピーク
強度の、α−ZnS相(100)面のピーク強度に対す
る比が1.0以上である。
強度の、α−ZnS相(100)面のピーク強度に対す
る比が1.0以上である。
【0014】(3)ZnのSに対する原子比が0.97
〜1.03の範囲内である。
〜1.03の範囲内である。
【0015】これらの特性を満足するZnS−SiO2
焼結体をターゲット材に使用することによって、割れや
欠けが生じずに安定して保護膜の成膜ができる。
焼結体をターゲット材に使用することによって、割れや
欠けが生じずに安定して保護膜の成膜ができる。
【0016】しかし、これらの特性を満足するZnS−
SiO2 焼結体を製造するためには、留意しなければな
らないことがあり、以下に本発明の方法の詳細および理
由を説明する。
SiO2 焼結体を製造するためには、留意しなければな
らないことがあり、以下に本発明の方法の詳細および理
由を説明する。
【0017】「原料粉末」原料粉末には、350〜60
0℃で熱処理した平均粒径5μm以下のZnS粉末と、
平均粒径5μm以上のSiO2 粉末を用いる。
0℃で熱処理した平均粒径5μm以下のZnS粉末と、
平均粒径5μm以上のSiO2 粉末を用いる。
【0018】SiO2 粉末には、最大粒径が200μm
までのSiO2 粉末を用いることができ、平均粒径が1
0〜100μmのSiO2 粉末が好ましい。最大粒径が
200μmを超えると、成膜した保護膜中の組成分布に
支障が生じる場合がある。
までのSiO2 粉末を用いることができ、平均粒径が1
0〜100μmのSiO2 粉末が好ましい。最大粒径が
200μmを超えると、成膜した保護膜中の組成分布に
支障が生じる場合がある。
【0019】SiO2 粉末の形状が球状であると、流動
性が向上するために、充填密度が高くでき、より高密度
化が可能となる。一方、角状であれば、充填密度は若干
低下するものの、ZnS−SiO2 焼結体の組織がジグ
ザグな粒界を持つために、特に粒界からの亀裂破壊に強
いZnS−SiO2 焼結体が得られる。さらに、後述す
る成膜時の割れや欠けに対して強固になりやすい。
性が向上するために、充填密度が高くでき、より高密度
化が可能となる。一方、角状であれば、充填密度は若干
低下するものの、ZnS−SiO2 焼結体の組織がジグ
ザグな粒界を持つために、特に粒界からの亀裂破壊に強
いZnS−SiO2 焼結体が得られる。さらに、後述す
る成膜時の割れや欠けに対して強固になりやすい。
【0020】また、球状と角状のそれぞれの特長を生か
し、用途によって使い分けることもできる。
し、用途によって使い分けることもできる。
【0021】「焼結密度」前述したように、1100℃
より高い高温下で焼結できないために、1100℃以下
の焼結温度で、90%以上の相対密度のZnS−SiO
2 焼結体を得るには、350〜600℃で熱処理した平
均粒径が5μm以下のZnS粉末と、平均粒径5μm以
上のSiO2 粉末が必要である。つまり、1100℃以
下では、焼結促進が大きく見込めないために、粗いSi
O2 粉末を原料粉末に用いることで、原料粉末の粒度分
布を拡げて充填密度を高め、その結果、高密度化が可能
となる。
より高い高温下で焼結できないために、1100℃以下
の焼結温度で、90%以上の相対密度のZnS−SiO
2 焼結体を得るには、350〜600℃で熱処理した平
均粒径が5μm以下のZnS粉末と、平均粒径5μm以
上のSiO2 粉末が必要である。つまり、1100℃以
下では、焼結促進が大きく見込めないために、粗いSi
O2 粉末を原料粉末に用いることで、原料粉末の粒度分
布を拡げて充填密度を高め、その結果、高密度化が可能
となる。
【0022】充填密度を高くするには、SiO2 粉末の
形状が球状の方がよい。
形状が球状の方がよい。
【0023】「Sの揮発」焼結温度が1100℃のよう
な高温になると、ZnSは熱解離が起こり、主にSの揮
発が活発化する。このためZnS−SiO2 焼結体中の
S量は減少し、該ZnS−SiO2 焼結体をターゲット
材として成膜した保護膜は、透過率等の膜特性が悪化す
る。ZnS−SiO2 焼結体中のS量の低下を補うため
に、原料粉末の段階でS粉末を減少分だけ添加しておく
等の工夫が考えられるが、焼結炉内をより汚染してしま
ったり、Sの偏析が生じてしまう等の問題で好ましくな
い。
な高温になると、ZnSは熱解離が起こり、主にSの揮
発が活発化する。このためZnS−SiO2 焼結体中の
S量は減少し、該ZnS−SiO2 焼結体をターゲット
材として成膜した保護膜は、透過率等の膜特性が悪化す
る。ZnS−SiO2 焼結体中のS量の低下を補うため
に、原料粉末の段階でS粉末を減少分だけ添加しておく
等の工夫が考えられるが、焼結炉内をより汚染してしま
ったり、Sの偏析が生じてしまう等の問題で好ましくな
い。
【0024】本発明の方法では、ZnS−SiO2 焼結
体中のS量について、ZnのSに対する原子比が0.9
7〜1.03の範囲内であれば、安定した膜特性の保護
膜が得られることを見出した。このS量の制御には、焼
結温度を1100℃以下にすることが重要であると共
に、予め原料粉末を熱処理しておくことが必要である。
原料粉末の一つのZnS粉末中には未反応で存在する遊
離Sがある。この遊離Sを除去しておかないと、焼結中
にSが揮発し始め、ZnS−SiO2 焼結体表面のS濃
度が高くなり、良好な膜特性の保護膜が得られないばか
りか、長期的に安定した膜質の保護膜が得られない問題
が生じる。よって、ZnS粉末を予め熱処理して安定さ
せておくことで、焼結中のS量の変動を抑制し、長期的
に安定した膜質の保護膜を成膜するZnS−SiO2 焼
結体を作製することができる。さらに、ZnS−SiO
2 焼結体中のS量について、ZnのSに対する原子比を
0.97から1.03の範囲内に制御することが容易と
なり、S濃度の分布のばらつきを小さくもできる。この
際の熱処理は、350〜600℃の温度で行う。この温
度範囲内であれば、ZnSの熱解離によるS量の減少や
部分的な酸化が行われず、ZnS粉末中の遊離Sを除去
できる。熱処理は、真空中、大気雰囲気、不活性ガス雰
囲気のいずれかを選べる。
体中のS量について、ZnのSに対する原子比が0.9
7〜1.03の範囲内であれば、安定した膜特性の保護
膜が得られることを見出した。このS量の制御には、焼
結温度を1100℃以下にすることが重要であると共
に、予め原料粉末を熱処理しておくことが必要である。
原料粉末の一つのZnS粉末中には未反応で存在する遊
離Sがある。この遊離Sを除去しておかないと、焼結中
にSが揮発し始め、ZnS−SiO2 焼結体表面のS濃
度が高くなり、良好な膜特性の保護膜が得られないばか
りか、長期的に安定した膜質の保護膜が得られない問題
が生じる。よって、ZnS粉末を予め熱処理して安定さ
せておくことで、焼結中のS量の変動を抑制し、長期的
に安定した膜質の保護膜を成膜するZnS−SiO2 焼
結体を作製することができる。さらに、ZnS−SiO
2 焼結体中のS量について、ZnのSに対する原子比を
0.97から1.03の範囲内に制御することが容易と
なり、S濃度の分布のばらつきを小さくもできる。この
際の熱処理は、350〜600℃の温度で行う。この温
度範囲内であれば、ZnSの熱解離によるS量の減少や
部分的な酸化が行われず、ZnS粉末中の遊離Sを除去
できる。熱処理は、真空中、大気雰囲気、不活性ガス雰
囲気のいずれかを選べる。
【0025】「混合」混合には、ボールミル、振動ミ
ル、Vブレンダーなどを用いることもできるが、均一混
合が容易なボールミルを使用した混合が最も好ましい。
ル、Vブレンダーなどを用いることもできるが、均一混
合が容易なボールミルを使用した混合が最も好ましい。
【0026】ボールミルを使用した混合時間では、12
〜72時間の範囲が好ましい。混合時間が12時間未満
であると、混合粉末が不均一となり、混合時間が72時
間を超えると、混合粉末中に不純物が多く混入するため
好ましくない。
〜72時間の範囲が好ましい。混合時間が12時間未満
であると、混合粉末が不均一となり、混合時間が72時
間を超えると、混合粉末中に不純物が多く混入するため
好ましくない。
【0027】「焼結方法」焼結には、ZnS粉末で覆っ
て焼結を行う雰囲気調整法や、不活性ガス雰囲気下で焼
結を行う常圧焼結法も採用できるが、ZnOの生成抑制
ができ、低温でも容易に高密度が得られるホットプレス
法が好ましい。
て焼結を行う雰囲気調整法や、不活性ガス雰囲気下で焼
結を行う常圧焼結法も採用できるが、ZnOの生成抑制
ができ、低温でも容易に高密度が得られるホットプレス
法が好ましい。
【0028】「焼結」該ホットプレス法で、Arガスを
導入した雰囲気や、真空中等で、焼結中の昇温速度は1
〜10℃/minが好ましい。
導入した雰囲気や、真空中等で、焼結中の昇温速度は1
〜10℃/minが好ましい。
【0029】焼結温度は、1100℃以下が好ましく、
特に好ましくは950〜1100℃が良い。この際の焼
結時間は10時間以下が好ましい。焼結温度が950℃
未満であると、90%以上の相対密度のZnS−SiO
2 焼結体を得ることができない。また、焼結時の圧力
は、面圧で150〜300kg/cm2 が好ましい。
特に好ましくは950〜1100℃が良い。この際の焼
結時間は10時間以下が好ましい。焼結温度が950℃
未満であると、90%以上の相対密度のZnS−SiO
2 焼結体を得ることができない。また、焼結時の圧力
は、面圧で150〜300kg/cm2 が好ましい。
【0030】「成膜時の割れや欠け」通常、成膜時に起
こるスパッタリング用ターゲットの割れや欠けは、熱応
力によって起こり、多くは焼結体の低い焼結密度に起因
している。焼結密度が低いと、焼結体内の気孔率が高い
ために、気孔に応力が集中して亀裂が生じやすいからで
ある。
こるスパッタリング用ターゲットの割れや欠けは、熱応
力によって起こり、多くは焼結体の低い焼結密度に起因
している。焼結密度が低いと、焼結体内の気孔率が高い
ために、気孔に応力が集中して亀裂が生じやすいからで
ある。
【0031】しかし、ZnS−SiO2 焼結体において
は、相対密度が90%以上であっても、成膜時に割れや
欠けが見られた。この割れや欠けの生じたZnS−Si
O2焼結体の断面をSEM観察すると、割れや欠けの原
因となる他の欠陥(成形むら)等の生成は見られなかっ
た。さらに詳細に、観察検討した結果、この90%以上
の焼結密度のZnS−SiO2 焼結体には、異常粒成長
した粗大な結晶粒が局所的に見られ、これを基点に割れ
や欠けが発生していることが分かった。この粗大な結晶
粒は、焼結温度が1000℃近傍から徐々に見られ始
め、1100℃を超えると急激に増加していた。この粗
大な結晶粒の生成原因を調べるために、ZnS−SiO
2 焼結体のXRD測定を行った結果、α−ZnS相のピ
ークが1000℃近傍から徐々に見られ始め、1100
℃を超えると急激に増加していることが分かった。
は、相対密度が90%以上であっても、成膜時に割れや
欠けが見られた。この割れや欠けの生じたZnS−Si
O2焼結体の断面をSEM観察すると、割れや欠けの原
因となる他の欠陥(成形むら)等の生成は見られなかっ
た。さらに詳細に、観察検討した結果、この90%以上
の焼結密度のZnS−SiO2 焼結体には、異常粒成長
した粗大な結晶粒が局所的に見られ、これを基点に割れ
や欠けが発生していることが分かった。この粗大な結晶
粒は、焼結温度が1000℃近傍から徐々に見られ始
め、1100℃を超えると急激に増加していた。この粗
大な結晶粒の生成原因を調べるために、ZnS−SiO
2 焼結体のXRD測定を行った結果、α−ZnS相のピ
ークが1000℃近傍から徐々に見られ始め、1100
℃を超えると急激に増加していることが分かった。
【0032】すなわち、α−ZnS相の生成が割れや欠
けの発生原因に関与しているのであるから、成膜時に起
こるスパッタリング用ターゲットの割れや欠けを抑制す
るためには、1100℃以下で焼結することでα−Zn
S相を低減させ、かつ相対密度を90%以上にすること
が必要である。
けの発生原因に関与しているのであるから、成膜時に起
こるスパッタリング用ターゲットの割れや欠けを抑制す
るためには、1100℃以下で焼結することでα−Zn
S相を低減させ、かつ相対密度を90%以上にすること
が必要である。
【0033】前述したように、本発明の方法において
は、平均粒径5μm以上のSiO2 粉末を用いること
で、1100℃以下での焼結でも90%以上の相対密度
を達成している。該SiO2 粉末は粗大であるが、11
00℃以下の焼結温度でZnS粉末とSiO2 粉末間の
焼結が活発化することはないため、粒界からの亀裂等に
よる割れや欠けが生じることはない。
は、平均粒径5μm以上のSiO2 粉末を用いること
で、1100℃以下での焼結でも90%以上の相対密度
を達成している。該SiO2 粉末は粗大であるが、11
00℃以下の焼結温度でZnS粉末とSiO2 粉末間の
焼結が活発化することはないため、粒界からの亀裂等に
よる割れや欠けが生じることはない。
【0034】また、角状のSiO2 粉末を用いれば、成
膜時の割れや欠けに関してより強固なZnS−SiO2
焼結体が得られやすい。
膜時の割れや欠けに関してより強固なZnS−SiO2
焼結体が得られやすい。
【0035】「焼結体の分析方法」また、ZnS−Si
O2 焼結体の分析方法は、以下の通りである。
O2 焼結体の分析方法は、以下の通りである。
【0036】α−ZnS相の生成状況は、得られたZn
S−SiO2 焼結体を粉末化してXRDにて測定を行
い、得られたピークから、β−ZnS相とα−ZnS相
を検出し、β−ZnS相(111)面のピーク強度の、
α−ZnS相(100)面のピーク強度に対する比をと
って評価を行った。ZnS−SiO2 焼結体中のS量の
分析方法は、得られたZnS−SiO2 焼結体の表面か
ら、深さ方向に0.2mm、2mmの位置まで研削し、
厚さ1mmの試料を切り出した後、粉末化してICP分
析をした。分析結果から、ZnとSの原子%を換算し、
Znの原子%の、Sの原子%に対する比をとって評価し
た。
S−SiO2 焼結体を粉末化してXRDにて測定を行
い、得られたピークから、β−ZnS相とα−ZnS相
を検出し、β−ZnS相(111)面のピーク強度の、
α−ZnS相(100)面のピーク強度に対する比をと
って評価を行った。ZnS−SiO2 焼結体中のS量の
分析方法は、得られたZnS−SiO2 焼結体の表面か
ら、深さ方向に0.2mm、2mmの位置まで研削し、
厚さ1mmの試料を切り出した後、粉末化してICP分
析をした。分析結果から、ZnとSの原子%を換算し、
Znの原子%の、Sの原子%に対する比をとって評価し
た。
【0037】
【実施例】(実施例1)400℃のAr雰囲気で、1時
間熱処理をした平均粒径2μmのZnS粉末中に、平均
粒径10μmの球状のSiO2 粉末を、20 mol%添加
し、原料粉末とした。この原料粉末を、樹脂製ポットに
入れ、硬質ZrO2 ボールを用いて乾式ボールミル混合
を18時間行った。造粒後、ホットプレスで1000℃
まで、5℃/minで昇温し、Ar雰囲気で、面圧20
0kg/cm2 で加圧しながら1時間焼結を行って、直
径160mm、厚さ7mmの円盤状の焼結体を得た。得
られた焼結体の焼結密度測定後、焼結体の一部を切断し
て粉末化し、XRD、ICP分析で測定を行った。得ら
れた結果を表1に示す。
間熱処理をした平均粒径2μmのZnS粉末中に、平均
粒径10μmの球状のSiO2 粉末を、20 mol%添加
し、原料粉末とした。この原料粉末を、樹脂製ポットに
入れ、硬質ZrO2 ボールを用いて乾式ボールミル混合
を18時間行った。造粒後、ホットプレスで1000℃
まで、5℃/minで昇温し、Ar雰囲気で、面圧20
0kg/cm2 で加圧しながら1時間焼結を行って、直
径160mm、厚さ7mmの円盤状の焼結体を得た。得
られた焼結体の焼結密度測定後、焼結体の一部を切断し
て粉末化し、XRD、ICP分析で測定を行った。得ら
れた結果を表1に示す。
【0038】また、得られた焼結体を直径150mm、
厚さ5mmの円盤状に加工して、スパッタリング用ター
ゲットを作製し、これを用いてRFマグネトロンスパッ
タリング法で成膜を行った。スパッタリング条件は、投
入電力700W、Arガス圧0.3Paに固定した。そ
して、1時間の成膜後のスパッタリング用ターゲットの
割れや欠けの発生状況を目視観察し、さらに膜厚が10
00A(オングストローム)になるように成膜して膜透
過率を調べた。結果を表1に示す。
厚さ5mmの円盤状に加工して、スパッタリング用ター
ゲットを作製し、これを用いてRFマグネトロンスパッ
タリング法で成膜を行った。スパッタリング条件は、投
入電力700W、Arガス圧0.3Paに固定した。そ
して、1時間の成膜後のスパッタリング用ターゲットの
割れや欠けの発生状況を目視観察し、さらに膜厚が10
00A(オングストローム)になるように成膜して膜透
過率を調べた。結果を表1に示す。
【0039】(実施例2)400℃のAr雰囲気で、1
時間熱処理をした平均粒径2μmのZnS粉末中に、平
均粒径30μmの球状のSiO2 粉末を、20 mol%添
加し、原料粉末とした。この原料粉末を、樹脂製ポット
に入れ、硬質ZrO2 ボールを用いて乾式ボールミル混
合を18時間行った。造粒後、ホットプレスで1000
℃まで、5℃/minで昇温し、Ar雰囲気で、面圧2
00kg/cm2 で加圧しながら1時間焼結を行って、
直径160mm、厚さ7mmの円盤状の焼結体を得た。
得られた焼結体について、実施例1と同様な評価を行っ
た。得られた結果を表1に示す。
時間熱処理をした平均粒径2μmのZnS粉末中に、平
均粒径30μmの球状のSiO2 粉末を、20 mol%添
加し、原料粉末とした。この原料粉末を、樹脂製ポット
に入れ、硬質ZrO2 ボールを用いて乾式ボールミル混
合を18時間行った。造粒後、ホットプレスで1000
℃まで、5℃/minで昇温し、Ar雰囲気で、面圧2
00kg/cm2 で加圧しながら1時間焼結を行って、
直径160mm、厚さ7mmの円盤状の焼結体を得た。
得られた焼結体について、実施例1と同様な評価を行っ
た。得られた結果を表1に示す。
【0040】また、得られた焼結体を直径150mm、
厚さ5mmの円盤状に加工して、スパッタリング用ター
ゲットを作製し、実施例1と同様な成膜評価を行った。
結果を表1に示す。
厚さ5mmの円盤状に加工して、スパッタリング用ター
ゲットを作製し、実施例1と同様な成膜評価を行った。
結果を表1に示す。
【0041】(実施例3)400℃のAr雰囲気で、1
時間熱処理をした平均粒径2μmのZnS粉末中に、平
均粒径100μmの角状のSiO2 粉末を、20 mol%
添加し、原料粉末とした。この原料粉末を、樹脂製ポッ
トに入れ、硬質ZrO2 ボールを用いて乾式ボールミル
混合を18時間行った。造粒後、ホットプレスで100
0℃まで、5℃/minで昇温し、Ar雰囲気で、面圧
200kg/cm2 で加圧しながら1時間焼結を行っ
て、直径160mm、厚さ7mmの円盤状の焼結体を得
た。得られた焼結体について実施例1と同様な評価を行
った。得られた結果を表1に示す。
時間熱処理をした平均粒径2μmのZnS粉末中に、平
均粒径100μmの角状のSiO2 粉末を、20 mol%
添加し、原料粉末とした。この原料粉末を、樹脂製ポッ
トに入れ、硬質ZrO2 ボールを用いて乾式ボールミル
混合を18時間行った。造粒後、ホットプレスで100
0℃まで、5℃/minで昇温し、Ar雰囲気で、面圧
200kg/cm2 で加圧しながら1時間焼結を行っ
て、直径160mm、厚さ7mmの円盤状の焼結体を得
た。得られた焼結体について実施例1と同様な評価を行
った。得られた結果を表1に示す。
【0042】また、得られた焼結体を直径150mm、
厚さ5mmの円盤状に加工して、スパッタリング用ター
ゲットを作製し、実施例1と同様な成膜評価を行った。
結果を表1に示す。
厚さ5mmの円盤状に加工して、スパッタリング用ター
ゲットを作製し、実施例1と同様な成膜評価を行った。
結果を表1に示す。
【0043】(実施例4)400℃の大気雰囲気で、2
時間熱処理をした平均粒径2μmのZnS粉末中に、平
均粒径5μmの球状のSiO2 粉末を、20 mol%添加
し、原料粉末とした。この原料粉末を、樹脂製ポットに
入れ、硬質ZrO2 ボールを用いて乾式ボールミル混合
を18時間行った。造粒後、ホットプレスで1000℃
まで、5℃/minで昇温し、Ar雰囲気で、面圧20
0kg/cm2 で加圧しながら1時間焼結を行って、直
径160mm、厚さ7mmの円盤状の焼結体を得た。得
られた焼結体について実施例1と同様な評価を行った。
得られた結果を表1に示す。
時間熱処理をした平均粒径2μmのZnS粉末中に、平
均粒径5μmの球状のSiO2 粉末を、20 mol%添加
し、原料粉末とした。この原料粉末を、樹脂製ポットに
入れ、硬質ZrO2 ボールを用いて乾式ボールミル混合
を18時間行った。造粒後、ホットプレスで1000℃
まで、5℃/minで昇温し、Ar雰囲気で、面圧20
0kg/cm2 で加圧しながら1時間焼結を行って、直
径160mm、厚さ7mmの円盤状の焼結体を得た。得
られた焼結体について実施例1と同様な評価を行った。
得られた結果を表1に示す。
【0044】また、得られた焼結体を直径150mm、
厚さ5mmの円盤状に加工して、スパッタリング用ター
ゲットを作製し、実施例1と同様な成膜評価を行った。
結果を表1に示す。
厚さ5mmの円盤状に加工して、スパッタリング用ター
ゲットを作製し、実施例1と同様な成膜評価を行った。
結果を表1に示す。
【0045】(実施例5)600℃のAr雰囲気で、1
時間熱処理をした平均粒径2μmのZnS粉末中に、平
均粒径30μmの球状のSiO2 粉末を、20 mol%添
加し、原料粉末とした。この原料粉末を、樹脂製ポット
に入れ、硬質ZrO2 ボールを用いて乾式ボールミル混
合を18時間行った。造粒後、ホットプレスで1100
℃まで、5℃/minで昇温し、Ar雰囲気で、面圧2
00kg/cm2 で加圧しながら1時間焼結を行って、
直径160mm、厚さ7mmの円盤状の焼結体を得た。
得られた焼結体について実施例1と同様な評価を行っ
た。得られた結果を表1に示す。
時間熱処理をした平均粒径2μmのZnS粉末中に、平
均粒径30μmの球状のSiO2 粉末を、20 mol%添
加し、原料粉末とした。この原料粉末を、樹脂製ポット
に入れ、硬質ZrO2 ボールを用いて乾式ボールミル混
合を18時間行った。造粒後、ホットプレスで1100
℃まで、5℃/minで昇温し、Ar雰囲気で、面圧2
00kg/cm2 で加圧しながら1時間焼結を行って、
直径160mm、厚さ7mmの円盤状の焼結体を得た。
得られた焼結体について実施例1と同様な評価を行っ
た。得られた結果を表1に示す。
【0046】また、得られた焼結体を直径150mm、
厚さ5mmの円盤状に加工して、スパッタリング用ター
ゲットを作製し、実施例1と同様な成膜評価を行った。
結果を表1に示す。
厚さ5mmの円盤状に加工して、スパッタリング用ター
ゲットを作製し、実施例1と同様な成膜評価を行った。
結果を表1に示す。
【0047】(実施例6)600℃のAr雰囲気で、1
時間熱処理をした平均粒径2μmのZnS粉末中に、平
均粒径30μmの球状のSiO2 粉末を、20 mol%添
加し、原料粉末とした。この原料粉末を、樹脂製ポット
に入れ、硬質ZrO2 ボールを用いて乾式ボールミル混
合を18時間行った。造粒後、ホットプレスで950℃
まで、5℃/minで昇温し、Ar雰囲気で、面圧20
0kg/cm2 で加圧しながら1時間焼結を行って、直
径160mm、厚さ7mmの円盤状の焼結体を得た。得
られた焼結体について実施例1と同様な評価を行った。
得られた結果を表1に示す。
時間熱処理をした平均粒径2μmのZnS粉末中に、平
均粒径30μmの球状のSiO2 粉末を、20 mol%添
加し、原料粉末とした。この原料粉末を、樹脂製ポット
に入れ、硬質ZrO2 ボールを用いて乾式ボールミル混
合を18時間行った。造粒後、ホットプレスで950℃
まで、5℃/minで昇温し、Ar雰囲気で、面圧20
0kg/cm2 で加圧しながら1時間焼結を行って、直
径160mm、厚さ7mmの円盤状の焼結体を得た。得
られた焼結体について実施例1と同様な評価を行った。
得られた結果を表1に示す。
【0048】また、得られた焼結体を直径150mm、
厚さ5mmの円盤状に加工して、スパッタリング用ター
ゲットを作製し、実施例1と同様な成膜評価を行った。
結果を表1に示す。
厚さ5mmの円盤状に加工して、スパッタリング用ター
ゲットを作製し、実施例1と同様な成膜評価を行った。
結果を表1に示す。
【0049】(比較例1)平均粒径2μmのZnS粉末
中に、平均粒径2μmのSiO2 粉末を、20 mol%添
加し、原料粉末とした。この原料粉末を、樹脂製ポット
に入れ、硬質ZrO2 ボールを用いて乾式ボールミル混
合を18時間行った。造粒後、ホットプレスで1000
℃まで、5℃/minで昇温し、Ar雰囲気で、面圧2
00kg/cm2 で加圧しながら1時間焼結を行って、
直径160mm、厚さ7mmの円盤状の焼結体を得た。
得られた焼結体について実施例1と同様な評価を行っ
た。得られた結果を表1に示す。
中に、平均粒径2μmのSiO2 粉末を、20 mol%添
加し、原料粉末とした。この原料粉末を、樹脂製ポット
に入れ、硬質ZrO2 ボールを用いて乾式ボールミル混
合を18時間行った。造粒後、ホットプレスで1000
℃まで、5℃/minで昇温し、Ar雰囲気で、面圧2
00kg/cm2 で加圧しながら1時間焼結を行って、
直径160mm、厚さ7mmの円盤状の焼結体を得た。
得られた焼結体について実施例1と同様な評価を行っ
た。得られた結果を表1に示す。
【0050】また、得られた焼結体を直径150mm、
厚さ5mmの円盤状に加工して、スパッタリング用ター
ゲットを作製し、実施例1と同様な成膜評価を行った。
結果を表1に示す。
厚さ5mmの円盤状に加工して、スパッタリング用ター
ゲットを作製し、実施例1と同様な成膜評価を行った。
結果を表1に示す。
【0051】(比較例2)平均粒径2μmのZnS粉末
中に、平均粒径2μmのSiO2 粉末を、20 mol%添
加し、原料粉末とした。この原料粉末を、樹脂製ポット
に入れ、硬質ZrO2 ボールを用いて乾式ボールミル混
合を18時間行った。造粒後、ホットプレスで1200
℃まで、5℃/minで昇温し、Ar雰囲気で、面圧2
00kg/cm2 で加圧しながら1時間焼結を行って、
直径160mm、厚さ7mmの円盤状の焼結体を得た。
得られた焼結体について実施例1と同様な評価を行っ
た。得られた結果を表1に示す。
中に、平均粒径2μmのSiO2 粉末を、20 mol%添
加し、原料粉末とした。この原料粉末を、樹脂製ポット
に入れ、硬質ZrO2 ボールを用いて乾式ボールミル混
合を18時間行った。造粒後、ホットプレスで1200
℃まで、5℃/minで昇温し、Ar雰囲気で、面圧2
00kg/cm2 で加圧しながら1時間焼結を行って、
直径160mm、厚さ7mmの円盤状の焼結体を得た。
得られた焼結体について実施例1と同様な評価を行っ
た。得られた結果を表1に示す。
【0052】また、得られた焼結体を直径150mm、
厚さ5mmの円盤状に加工して、スパッタリング用ター
ゲットを作製し、実施例1と同様な成膜評価を行った。
結果を表1に示す。
厚さ5mmの円盤状に加工して、スパッタリング用ター
ゲットを作製し、実施例1と同様な成膜評価を行った。
結果を表1に示す。
【0053】(比較例3)700℃大気雰囲気で1時間
熱処理した平均粒径2μmのZnS粉末中に、平均粒径
2μmのSiO2 粉末を、20 mol%添加し、原料粉末
とした。この原料粉末を、樹脂製ポットに入れ、硬質Z
rO2 ボールを用いて乾式ボールミル混合を18時間行
った。造粒後、ホットプレスで1100℃まで、5℃/
minで昇温し、Ar雰囲気で、面圧200kg/cm
2 で加圧しながら1時間焼結を行って、直径160m
m、厚さ7mmの円盤状の焼結体を得た。得られた焼結
体について実施例1と同様な評価を行った。得られた結
果を表1に示す。
熱処理した平均粒径2μmのZnS粉末中に、平均粒径
2μmのSiO2 粉末を、20 mol%添加し、原料粉末
とした。この原料粉末を、樹脂製ポットに入れ、硬質Z
rO2 ボールを用いて乾式ボールミル混合を18時間行
った。造粒後、ホットプレスで1100℃まで、5℃/
minで昇温し、Ar雰囲気で、面圧200kg/cm
2 で加圧しながら1時間焼結を行って、直径160m
m、厚さ7mmの円盤状の焼結体を得た。得られた焼結
体について実施例1と同様な評価を行った。得られた結
果を表1に示す。
【0054】また、得られた焼結体を直径150mm、
厚さ5mmの円盤状に加工して、スパッタリング用ター
ゲットを作製し、実施例1と同様な成膜評価を行った。
結果を表1に示す。
厚さ5mmの円盤状に加工して、スパッタリング用ター
ゲットを作製し、実施例1と同様な成膜評価を行った。
結果を表1に示す。
【0055】実施例1〜6のZnS粉末は、Ar雰囲気
かまたは大気中で、400℃かまたは600℃で熱処理
を行った。該ZnS粉末を、平均粒径が5μm以上のS
iO2 粉末と混合して造粒粉とし、該造粒粉を950〜
1100℃の焼結温度でホットプレスをして得られたZ
nS−SiO2 焼結体は、焼結密度が90%以上であ
り、β−ZnS相(111)面のピーク強度の、α−Z
nS相(100)面のピーク強度に対する比が1.0以
上であり、ZnのSに対する原子比が0.97〜1.0
3の範囲内であった。該ZnS−SiO2 焼結体を用い
て成膜を行った保護膜は、時間による変化の少ない安定
した膜透過率であり、成膜時のスパッタリング用ターゲ
ットに割れや欠けが発生することもなかった。
かまたは大気中で、400℃かまたは600℃で熱処理
を行った。該ZnS粉末を、平均粒径が5μm以上のS
iO2 粉末と混合して造粒粉とし、該造粒粉を950〜
1100℃の焼結温度でホットプレスをして得られたZ
nS−SiO2 焼結体は、焼結密度が90%以上であ
り、β−ZnS相(111)面のピーク強度の、α−Z
nS相(100)面のピーク強度に対する比が1.0以
上であり、ZnのSに対する原子比が0.97〜1.0
3の範囲内であった。該ZnS−SiO2 焼結体を用い
て成膜を行った保護膜は、時間による変化の少ない安定
した膜透過率であり、成膜時のスパッタリング用ターゲ
ットに割れや欠けが発生することもなかった。
【0056】ZnS粉末の熱処理を行わないまま、低い
焼結温度でホットプレスを行った比較例1のZnS−S
iO2 焼結体の焼結密度は82%と低かった。そのた
め、該ZnS−SiO2 焼結体を用いて成膜を行った保
護膜は、膜透過率が低く、安定した良好な膜特性は得ら
れなかった。
焼結温度でホットプレスを行った比較例1のZnS−S
iO2 焼結体の焼結密度は82%と低かった。そのた
め、該ZnS−SiO2 焼結体を用いて成膜を行った保
護膜は、膜透過率が低く、安定した良好な膜特性は得ら
れなかった。
【0057】ZnS粉末の熱処理を行わず、1200℃
の高い焼結温度でホットプレスをした比較例2のZnS
−SiO2 焼結体は、S濃度のばらつきが大きく、β−
ZnS相(111)面のピーク強度の、α−ZnS相
(100)面のピーク強度に対する比も0.1と低く、
特に表面のS濃度が高かった。そのため、膜透過率が低
く、安定した良好な膜特性は得られなかった。
の高い焼結温度でホットプレスをした比較例2のZnS
−SiO2 焼結体は、S濃度のばらつきが大きく、β−
ZnS相(111)面のピーク強度の、α−ZnS相
(100)面のピーク強度に対する比も0.1と低く、
特に表面のS濃度が高かった。そのため、膜透過率が低
く、安定した良好な膜特性は得られなかった。
【0058】また、比較例3では700℃の高温でZn
S粉末の熱処理を行った結果、Sの揮発が多くなりすぎ
て、焼結体には一部ZnO相の生成がみられて、ターゲ
ット材として不適当であった。
S粉末の熱処理を行った結果、Sの揮発が多くなりすぎ
て、焼結体には一部ZnO相の生成がみられて、ターゲ
ット材として不適当であった。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】以上、詳細に説明してきたように、本発
明の方法によれば、平均粒径が5μm以下のZnS粉末
を350〜600℃で熱処理し、平均粒径が5μm以上
のSiO2 粉末と混合して造粒粉とし、該造粒粉を焼結
するZnS−SiO2 焼結体の製造方法により、該Zn
S−SiO2 焼結体をスパッタリング用ターゲットに用
いるターゲット材として使用して得られる保護膜は、膜
透過率等の膜特性が高く、かつ安定していて、高品質な
光記録膜用保護膜を提供することができる。
明の方法によれば、平均粒径が5μm以下のZnS粉末
を350〜600℃で熱処理し、平均粒径が5μm以上
のSiO2 粉末と混合して造粒粉とし、該造粒粉を焼結
するZnS−SiO2 焼結体の製造方法により、該Zn
S−SiO2 焼結体をスパッタリング用ターゲットに用
いるターゲット材として使用して得られる保護膜は、膜
透過率等の膜特性が高く、かつ安定していて、高品質な
光記録膜用保護膜を提供することができる。
【0061】また、成膜速度を高めるためにスパッタリ
ングの投入電力を高めて成膜を行っても、該ZnS−S
iO2 焼結体を使用したスパッタリング用ターゲットに
割れや欠けの発生することがないので、製造コストを著
しく低減できるという高い効果が得られる。
ングの投入電力を高めて成膜を行っても、該ZnS−S
iO2 焼結体を使用したスパッタリング用ターゲットに
割れや欠けの発生することがないので、製造コストを著
しく低減できるという高い効果が得られる。
Claims (4)
- 【請求項1】 平均粒径が5μm以下のZnS粉末を3
50〜600℃で熱処理し、該ZnS粉末を平均粒径が
5μm以上のSiO2 粉末と混合して造粒粉とし、該造
粒粉を焼結することを特徴とするZnS−SiO2 焼結
体の製造方法。 - 【請求項2】 前記焼結を、Ar雰囲気または真空中
で、950〜1100℃の焼結温度で、150〜300
kg/cm2 の加圧状態で行うことを特徴とする請求項
1に記載のZnS−SiO2 焼結体の製造方法。 - 【請求項3】 前記造粒粉が、熱処理を行った前記Zn
S粉末中に、前記SiO2 粉末を、10〜30 mol%添
加して混合することで得られることを特徴とする請求項
1または2に記載のZnS−SiO2 焼結体の製造方
法。 - 【請求項4】 350〜600℃で熱処理を行った平均
粒径が5μm以下のZnS粉末中に、平均粒径が5μm
以上のSiO2 粉末を、10〜30 mol%添加して混合
することで得られる造粒粉。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10083794A JPH11278936A (ja) | 1998-03-30 | 1998-03-30 | 光記録膜用保護膜のための焼結体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10083794A JPH11278936A (ja) | 1998-03-30 | 1998-03-30 | 光記録膜用保護膜のための焼結体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11278936A true JPH11278936A (ja) | 1999-10-12 |
Family
ID=13812566
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10083794A Pending JPH11278936A (ja) | 1998-03-30 | 1998-03-30 | 光記録膜用保護膜のための焼結体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11278936A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003028023A1 (fr) * | 2001-09-21 | 2003-04-03 | Nikko Materials Company, Limited | Cible de pulverisation cathodique et procede de production associe, ainsi que support d'enregistrement optique forme avec un film de protection de disque optique de type a changement de phase |
US6656260B2 (en) | 1999-12-28 | 2003-12-02 | Kyocera Corporation | ZnS-series sintered material and method for producing the same, target using the ZnS-series sintered material, thin film, and optical recording medium using the thin film |
WO2006137199A1 (ja) * | 2005-06-23 | 2006-12-28 | Nippon Mining & Metals Co., Ltd. | スパッタリングターゲット及び光情報記録媒体用薄膜 |
JP2007211345A (ja) * | 1998-12-07 | 2007-08-23 | Nikko Kinzoku Kk | 光ディスク保護膜形成用スパッタリングターゲット |
KR100949234B1 (ko) | 2002-02-08 | 2010-03-24 | 소니 주식회사 | 광학 기록 매체의 초기화 방법 |
-
1998
- 1998-03-30 JP JP10083794A patent/JPH11278936A/ja active Pending
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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