JP2000053468A - ZnS−SiO2系焼結体およびその製造方法 - Google Patents

ZnS−SiO2系焼結体およびその製造方法

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JP2000053468A
JP2000053468A JP10222181A JP22218198A JP2000053468A JP 2000053468 A JP2000053468 A JP 2000053468A JP 10222181 A JP10222181 A JP 10222181A JP 22218198 A JP22218198 A JP 22218198A JP 2000053468 A JP2000053468 A JP 2000053468A
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JP
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zns
sio
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powder
sintering
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JP10222181A
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English (en)
Inventor
Shoji Takanashi
昌二 高梨
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好で安定な膜特性の膜が得られ、割れが発
生しないZnS−SiO2 系焼結体およびその製造方法
を提供する。 【解決手段】 本発明の焼結体は、(1)X線回折によ
るβ−ZnS相(111)面のピーク強度とα−ZnS
相(100)面のピーク強度との比が1.0以上、かつ
(2)Zn含有量とS含有量との原子比が厚さ方向に一
様に0.97〜1.03であることを特徴とする。ま
た、本発明の製造方法は、(1)遊離SがSO4 成分と
して0.8重量%以下で平均粒径が5μm以下のZnS
粉末、および平均粒径が5μm以上のSiO2 粉末を原
料粉末に用い、(2)1100℃以下の焼結温度で焼結
を行うことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スパッタリング法
によって光ディスクの保護膜を形成する際に用いられる
スパッタリングターゲットに好適なZnS−SiO2
焼結体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ビームを照射して記録・消去を行う光
ディスクは、記録膜の保護のために、SiO2 を添加し
たZnS(ZnS−SiO2 )膜で該記録膜の両側を挾
む構造をとっている。この保護膜を形成するには、Si
2 を10〜30モル%含み、残部が実質的にZnSか
らなるZnS−SiO2 系焼結体を銅平板などに張り合
わせてスパッタリングターゲットを作製し、このスパッ
タリングターゲットを主たる原料として高周波(RF)
スパッタリング法を行う。
【0003】特開平6−65725号公報には、粒径が
各々5μm以下で、各々高純度(5N)のZnS粉末お
よびSiO2 粉末を、該ZnS粉末に対する該SiO2
粉末の混合比率を20モル%前後として用いることによ
り、相対密度が90%以上で、安定かつ高速度の成膜が
可能なZnS−SiO2 系焼結体を製造することが開示
されている。しかし、この焼結体からなるスパッタリン
グターゲットからは、透過率などの膜特性の良好な膜が
長期的に安定して得られない、つまり良好で安定な膜特
性の膜が得られないという問題を抱えていた。また、上
記ターゲットは、これを用いて成膜する際に投入電力が
高いと、割れ・欠け(チッピング)(以下、これらを
「割れ」という)が生じてしまい、短時間で使用寿命に
至るという問題も有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、上記従来の問題を解消し、良好で安定な膜特性の膜
が得られ、割れが発生しないZnS−SiO2 系焼結体
およびその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のZnS−SiO
2 系焼結体およびその製造方法は、上記目的を達成する
ものであり、第1発明の焼結体は、(a)SiO2 を1
0〜30モル%含み、残部がZnSおよび不可避不純物
であり、(b)相対密度が90%以上である焼結体にお
いて、(1)X線回折(XRD)によるβ−ZnS相
(111)面のピーク強度とα−ZnS相(100)面
のピーク強度との比(以下、「強度比」という)が1.
0以上、かつ(2)Zn含有量とS含有量との原子比
(以下、「原子比」という)が、厚さ方向に一様に0.
97〜1.03であることを特徴とする。
【0006】第2発明の製造方法は、ZnS粉末とSi
2 粉末とを混合し成形した後に常圧焼結法などで、ま
たは該混合後にホットプレスを用いて焼結することによ
り、(a)SiO2 を10〜30モル%含み、残部がZ
nSおよび不可避不純物であり、(b)相対密度が90
%以上である焼結体を製造する方法において、(1)該
混合において、遊離SがSO4 成分として0.8重量%
以下で平均粒径が5μm以下の該ZnS粉末、および平
均粒径が5μm以上の該SiO2 粉末を用い、(2)1
100℃以下の焼結温度で該焼結を行うことを特徴とす
る。遊離SをSO4 成分として0.8重量%以下にする
には、350〜600℃の温度で熱処理するのが好まし
い。また、焼結温度は950℃以上が好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明者は、上記特開平6−65
725号公報などに開示された方法で種々の焼結体を試
作した。そして、良好で安定な膜特性の膜が得られない
原因、および割れ発生の原因について、上記焼結体を用
いて検討を行った。
【0008】すなわち、種々の平均粒径を有するZnS
粉末とSiO2 粉末とを用い、混合・造粒後、種々の温
度でホットプレス処理を行った。そして、試作した焼結
体について、(1)相対密度、(2)強度比および
(3)ICP分析による原子比Zn/Sを測定した。次
に、上記焼結体のスパッタリング試験を行った。この試
験では、成膜速度を高めるために投入電力を700Wに
して成膜し、膜特性(透過率など)や割れ発生の有無を
確認した。さらに、得られたデータの解析を行った。
【0009】上記検討の結果、良好で安定な膜特性の膜
が得られ、割れが発生しないZnS−SiO2 系焼結体
には、次の(1)〜(3)の事項が必要であることが分
かった。
【0010】(1)相対密度が90%以上であること、
【0011】(2)強度比が1.0以上であること、お
よび
【0012】(3)原子比が厚さ方向に一様に0.97
〜1.03であること。
【0013】また、上記焼結体を製造するには、焼結の
際の焼結温度を1100℃以下とすることが必要である
ことが分かった。
【0014】本発明者は、上記知見に基づき、さらに鋭
意研究を行って本発明に到達した。 [焼結体] (1)相対密度 相対密度は、90%以上である。90%未満では焼結体
中に気孔が多いために気孔に熱応力が集中して成膜時に
亀裂が生じやすい。
【0015】(2)強度比 強度比は、1.0以上である。1.0未満では成膜時に
割れが発生しやすい。成膜時に割れが見られた焼結体の
断面をSEM観察すると、異常粒成長により生成した粗
大な結晶粒が局所的に見られ、この粗大結晶粒を基点に
割れが発生していた。上記粗大結晶粒は、焼結温度が1
000℃近傍から徐々に見られ、1100℃を超えると
急激に増加していた。焼結体のXRD測定を行うと、α
−ZnS相のピークが焼結温度1000℃近傍から徐々
に見られ、焼結温度が1100℃を超えるとα−ZnS
相のピークが急激に増加していた。つまり、成膜時の割
れを抑制するためには、1100℃以下で焼結してα−
ZnS相を低減させる、言い換えれば、強度比を1.0
以上にすることが必要である。
【0016】(3)原子比 原子比は、厚さ方向に一様に0.97〜1.03であ
る。厚さ方向に一様であれば安定した膜特性が得られ、
0.97〜1.03の範囲内では良好な膜特性が得られ
る。原子比が0.97未満(Zn量減少)のターゲット
や、1.03を超える(S量減少)ターゲットを用いて
成膜すると、膜特性が悪化する。
【0017】(4)抗折強度 抗折強度は、2.0kgf/mm2 以上が好ましい。
2.0kgf/mm2 未満では、相対密度が90%以上
であっても成膜時に割れが生じやすい。
【0018】[焼結体の製造方法] (1)原料粉末 原料粉末には、遊離SがSO4 成分として0.8重量%
以下で平均粒径が5μm以下のZnS粉末と、平均粒径
が5μm以上、好ましくは10〜100μmのSiO2
粉末とを用いる。平均粒径が5μm以下の細かいZnS
粉末と、平均粒径が5μm以上の粗いSiO2 粉末との
混合粉末は、粒度分布が広がり充填密度が高まる。その
ため、相対密度90%以上の焼結体を製造することが可
能となる。粒径が200μmを超える粒子がSiO2
末に含まれるのは好ましくない。このような粉末粒子が
含まれると、形成される膜の組成分布に支障をきたしや
すい。
【0019】ZnS粉末は、遊離SをSO4 成分として
0.8重量%以下にしたものを用いる。通常のZnS粉
末中には、調製した際に残留した遊離SがSO4 成分と
して1.2〜3重量%程度ある。上記遊離Sは、焼結中
に揮発し始め、焼結体表面に向かってS濃度を高くする
などS濃度のバラツキを大きくする。つまり、原子比を
0.97〜1.03の範囲内に制御しにくくする。その
ため、良好で安定な膜特性をもつ膜が得られない。遊離
SをSO4 成分として0.8重量%以下にするには、通
常のZnS粉末を350〜600℃で熱処理するのが好
ましい。熱処理温度が350℃未満では、遊離Sの除去
が十分に行い得ない。一方、600℃を超えると、Zn
Sの熱解離やZnO相の一部生成によるS含有量の減少
が起こる。熱処理雰囲気は、真空、大気、不活性ガスな
どを適宜採用する。
【0020】SiO2 粉末は、球状・角状などの形状の
ものを用いることができる。球状であると、流動性が向
上するために高充填密度を得やすい。また、角状であれ
ば、ジグザグな結晶粒界をもつ組織のために成膜時の割
れ(結晶粒界からの亀裂破壊)に対してより強固な焼結
体を得やすい。これらの利点を勘案して、所望の焼結体
を製造することができる。
【0021】(2)混合 混合は、ボールミル、振動ミル、Vブレンダーなどを用
いることができるが、均一混合が容易なボールミル混合
が最も好ましい。
【0022】ボールミル混合の場合、混合時間は12〜
72時間が好ましい。12時間未満では混合状態が不均
一となり、72時間を超えると混合粉末中に不純物が多
く混入してくる。
【0023】(3)成形 上記混合で得られた混合粉末は、造粒後、金型や冷間静
水圧プレスなどを用いて成形を行う(その後に焼結)
か、ホットプレス法により成形・焼結を行う。
【0024】(4)焼結 (a)真空中・アルゴン雰囲気下などで成形・焼結を行
うホットプレス法、(b)成形体をZnS粉末で覆う調
整雰囲気下や、不活性ガス雰囲気下で行う常圧焼結法な
どを採用することができる。ホットプレス法は、ZnO
生成を抑制したり、比較的低温で簡便に高密度が得られ
たりする利点を有するので好ましい。ホットプレス法を
用いた場合の圧力(面圧)は150〜400kgf/c
2 が好ましい。
【0025】焼結温度は1100℃以下、好ましくは9
50℃以上である。そのため、焼結が活発化せず、結晶
粒界からの亀裂破壊などによる割れが生じることはな
い。また、原子比を0.97〜1.03の範囲内に制御
しやすい。1100℃を超えると、焼結が大いに促進し
てこれによる高相対密度が得られるが、上記したように
α−ZnS相による成膜時の割れが発生しやすい。ま
た、ZnSの熱解離が起こり主にSの揮発が活発化し
(場合によりZnOが生成する)て、焼結体中のS含有
量が減少する。なお、焼結体中のS含有量低下を補うた
めに、S量の減少分だけS粉末を原料粉末として用いる
ことなどが考えられるが、(a)焼結炉内をより汚染し
てしまう、(b)Sの偏析が生じてしまうなどの問題が
あり好ましくない。一方、焼結温度が低すぎると、相対
密度90%以上の焼結体を製造することができない。
【0026】焼結温度までの昇温速度は1〜10℃/分
が好ましい。また、焼結時間は10時間以下が好まし
い。
【0027】
【実施例】[実施例1]遊離SをSO4 成分として1.
2重量%含むZnS粉末を400℃アルゴン雰囲気中で
1時間熱処理して、遊離SをSO4 成分として0.7重
量%含む平均粒径2μmの粉末にした。なお、ZnS粉
末中の遊離Sの分析は、イオンクロマトグラフィにより
行った。このZnS粉末を原料粉末とした。また、Si
2 粉末は、粒子形状が球形で平均粒径10μmの粉末
を原料粉末とした。
【0028】上記SiO2 粉末を20モル%含み、残部
が上記ZnS粉末となるようにこれらの粉末を調合した
後、樹脂製ポットに入れ、硬質ZrO2 ボールを用いて
乾式ボールミル混合を18時間行った。混合後、混合粉
末を取り出して造粒した。
【0029】造粒して得たペレットをホットプレスに入
れ、アルゴン雰囲気中で1000℃まで5℃/分で昇温
し、面圧200kgf/cm2 で加圧しながら1時間焼
結を行った。そして、直径160mm、厚さ7mmの円
盤状の焼結体を得た。
【0030】以上の焼結体製造条件の主なものを表1に
示す。
【0031】焼結体の相対密度、強度比、原子比および
抗折強度を測定した。
【0032】(1)強度比:焼結体を粉末化してXRD
を行った後、得たピークからβ−ZnS相とα−ZnS
相を検出し、強度比を算出した。また、得たピーク中に
おけるZnO相ピークの有無から、ZnO相生成の有無
を判別した。
【0033】(3)原子比:焼結体の表面から深さ方向
に0.2mm、2mmの位置まで研削し、厚さ1mmの
試料を切り出した後、粉末化してICP分析した。得た
Zn含有量、S含有量の分析結果を原子%に換算し、原
子比を算出した。
【0034】(4)抗折強度:JIS規格(R160
1)に準じて行った。すなわち、焼結体から幅10m
m、厚さ5mm、長さ30mmの試験片を10個作製
し、3点曲げ強さ試験を行い平均値を算出した。
【0035】上記測定で得られた結果を表2に示す。な
お、上記強度比測定において、ZnO相は生成していな
かった。
【0036】さらに、上記焼結体を直径150mm、厚
さ5mmの円盤状に加工してスパッタリングターゲット
を作製し、これを用いてRFマグネトロンスパッタリン
グ法で成膜を行った。スパッタリング条件は、投入電力
700W、Arガス圧0.3Paに固定した。そして、
1時間成膜後、ターゲットの割れ発生状況を目視観察し
た。その後さらに、膜厚が1000Aになるまで成膜し
て(成膜時間:20秒間)膜透過率(500nm)を測
定した。これらの結果を表2に示す。
【0037】[実施例2]原料粉末のうち、粒子形状が
角形で平均粒径100μmのSiO2 粉末を用いた以外
は、実施例1と同様に試験した。焼結体製造条件の主な
ものを表1に、得られた結果を表2に示す。なお、強度
比測定において、ZnO相は生成していなかった。
【0038】[実施例3]原料粉末のうちZnS粉末
は、熱処理温度を600℃とした以外は実施例1と同様
に熱処理し、遊離SをSO4 成分として0.4重量%含
む平均粒径2μmの粉末にして、以後の試験に供した。
また、SiO2 粉末は、粒子形状が球形で平均粒径が3
0μmの粉末を用いた。さらに、焼結の際、ペレットの
昇温を1100℃まで5℃/分で行った以外は実施例1
と同様に焼結した。
【0039】上記以外は実施例1と同様に試験した。焼
結体製造条件の主なものを表1に、得られた結果を表2
に示す。なお、強度比測定において、ZnO相は生成し
ていなかった。
【0040】[実施例4]粒子形状が球形で平均粒径が
30μmのSiO2 粉末を原料粉末に用いた以外は、実
施例1と同様に試験した。ただし、焼結体の抗折強度は
測定しなかった。焼結体製造条件の主なものを表1に、
得られた結果を表2に示す。なお、強度比測定におい
て、ZnO相は生成していなかった。
【0041】[実施例5]原料粉末のうちZnS粉末
は、雰囲気を大気とし、熱処理時間を2時間とした以外
は実施例1と同様に熱処理し、遊離SをSO4 成分とし
て0.2重量%含む平均粒径2μmの粉末にして、以後
の試験に供した。また、SiO2 粉末は、粒子形状が球
形で平均粒径が5μmの粉末を用いた。
【0042】上記以外は実施例1と同様に試験した。た
だし、焼結体の抗折強度は測定しなかった。焼結体製造
条件の主なものを表1に、得られた結果を表2に示す。
なお、強度比測定において、ZnO相は生成していなか
った。
【0043】[実施例6]原料粉末のうちZnS粉末
は、熱処理温度を600℃とした以外は実施例1と同様
に熱処理し、遊離SをSO4成分として0.4重量%含
む平均粒径2μmの粉末にして、以後の試験に供した。
また、SiO2 粉末は、粒子形状が球形で平均粒径が3
0μmの粉末を用いた。さらに、焼結の際、ペレットの
昇温を950℃まで5℃/分で行った以外は実施例1と
同様に焼結した。
【0044】上記以外は実施例1と同様に試験した。た
だし、焼結体の抗折強度は測定しなかった。焼結体製造
条件の主なものを表1に、得られた結果を表2に示す。
なお、強度比測定において、ZnO相は生成していなか
った。
【0045】[比較例1]原料粉末のうちZnS粉末
は、遊離SをSO4 成分として1.2重量%含む平均粒
径2μmの粉末を熱処理することなく以後の試験に供し
た。また、SiO2粉末は、粒子形状が球形で平均粒径
が2μmの粉末を用いた。
【0046】上記原料粉末の調合以後は実施例1と同様
に試験した。焼結体製造条件の主なものを表1に、得ら
れた結果を表2に示す。なお、強度比測定において、Z
nO相は生成していなかった。
【0047】[比較例2]原料粉末のうちZnS粉末
は、遊離SをSO4 成分として1.2重量%含む平均粒
径2μmの粉末を熱処理することなく以後の試験に供し
た。また、SiO2粉末は、粒子形状が球形で平均粒径
が2μmの粉末を用いた。さらに、焼結の際、ペレット
の昇温を1200℃まで5℃/分で行った以外は実施例
1と同様に焼結した。
【0048】上記以外は実施例1と同様に試験した。焼
結体製造条件の主なものを表1に、得られた結果を表2
に示す。なお、強度比測定において、ZnO相は生成し
ていなかった。
【0049】[比較例3]遊離SをSO4 成分として
1.2重量%含むZnS粉末を700℃大気雰囲気中で
1時間熱処理して、遊離SをSO4 成分として0.05
重量%含む平均粒径2μmの粉末にして、以後の試験に
供した。また、SiO2 粉末は、平均粒径が2μmの粉
末を用いた。さらに、焼結の際、ペレットの昇温を11
00℃まで5℃/分で行った以外は実施例1と同様に焼
結した。
【0050】上記以外は実施例1と同様にして焼結体を
製造した。その製造条件の主なものを表1に示す。
【0051】次に実施例1と同様に、焼結体の相対密度
および強度比を測定した。その結果、相対密度は87%
であった(表2参照)。また、強度比測定で得たピーク
から、ZnO相が生成していることが分かった。そのた
め、強度比算出および原子比測定を行わなかった。ま
た、抗折強度測定も行わなかった。
【0052】その後、実施例1と同様に成膜試験を行っ
た。ただし、膜透過率については測定を行わなかった。
成膜後のターゲットに割れが発生していた(表2参
照)。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】 (注)*:ZnO相一部生成
【0055】表1および表2から次の(1)〜(4)の
ことが分かる。
【0056】(1)実施例1〜6の焼結体は、本発明の
製造条件をいずれも満足して製造されているので、良好
で安定な膜特性の膜が得られ、割れが発生しない。
【0057】(2)比較例1の焼結体は、(a)ZnS
粉末を熱処理しないので、(a−1)原子比を厚さ方向
に一様に0.97〜1.03に制御できない、(a−
2)良好で安定な膜が得られない。また、(b)SiO
2 粉末の平均粒径が5μm未満であるので、(b−1)
90%以上の相対密度が得られない、(b−2)抗折強
度が2.0kgf/mm2 未満である、(b−3)割れ
が発生する。
【0058】(3)比較例2の焼結体は、(a)ZnS
粉末を熱処理しないので、(a−1)原子比を厚さ方向
に一様に0.97〜1.03に制御できない、(a−
2)良好な膜が得られない。また、(b)SiO2 粉末
の平均粒径が5μm未満であるので、(b−1)抗折強
度が2.0kgf/mm2 未満である、(b−2)割れ
が発生する。そして、(c)焼結温度が1100℃を超
えるので、(c−1)強度比が1.0未満である、(c
−2)割れが発生する。
【0059】(4)比較例3の焼結体は、(a)ZnS
粉末熱処理温度が600℃を超えるので、ZnO相の生
成が起こる。また、(b)SiO2 粉末の平均粒径が5
μm未満であるので、(b−1)90%以上の相対密度
が得られない、(b−2)割れが発生する。
【0060】
【発明の効果】以上から、本発明により、良好で安定な
膜特性の膜が得られ、割れが発生しないZnS−SiO
2 系焼結体およびその製造方法を提供することができる
ことが分かる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)SiO2 を10〜30モル%含
    み、残部がZnSおよび不可避不純物であり、(b)相
    対密度が90%以上である焼結体において、(1)X線
    回折によるβ−ZnS相(111)面のピーク強度とα
    −ZnS相(100)面のピーク強度との比が1.0以
    上、かつ(2)Zn含有量とS含有量との原子比が、厚
    さ方向に一様に0.97〜1.03であることを特徴と
    するZnS−SiO2 系焼結体。
  2. 【請求項2】 抗折強度が2.0kgf/mm2 以上で
    ある請求項1に記載のZnS−SiO2 系焼結体。
  3. 【請求項3】 ZnS粉末とSiO2 粉末とを混合し、
    成形した後、焼結することにより、(a)SiO2 を1
    0〜30モル%含み、残部がZnSおよび不可避不純物
    であり、(b)相対密度が90%以上である焼結体を製
    造する方法において、(1)該混合において、遊離Sが
    がSO4 成分として0.8重量%以下で平均粒径が5μ
    m以下の該ZnS粉末、および平均粒径が5μm以上の
    該SiO2 粉末を用い、(2)1100℃以下の焼結温
    度で該焼結を行うことを特徴とするZnS−SiO2
    焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 ZnS粉末とSiO2 粉末とを混合した
    後、ホットプレスを用いて焼結することにより、(a)
    SiO2 を10〜30モル%含み、残部がZnSおよび
    不可避不純物であり、(b)相対密度が90%以上であ
    る焼結体を製造する方法において、(1)該混合におい
    て、遊離SがSO4 成分として0.8重量%以下で平均
    粒径が5μm以下の該ZnS粉末、および平均粒径が5
    μm以上の該SiO2 粉末を用い、(2)1100℃以
    下の焼結温度で該焼結を行うことを特徴とするZnS−
    SiO2 系焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 150〜300kgf/cm2 の圧力
    (面圧)のホットプレスを用いる請求項4に記載のZn
    S−SiO2 系焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】 遊離SがSO4 成分として0.8重量%
    以下のZnS粉末は、350〜600℃で熱処理したも
    のである請求項3または4に記載のZnS−SiO2
    焼結体の製造方法。
  7. 【請求項7】 熱処理は、雰囲気が真空、大気または不
    活性ガスである請求項6に記載のZnS−SiO2 系焼
    結体の製造方法。
  8. 【請求項8】 SiO2 粉末は、粒子形状が球状または
    角状である請求項3または4に記載のZnS−SiO2
    系焼結体の製造方法。
  9. 【請求項9】 SiO2 粉末は、含まれる粒子の粒径が
    200μm以下である請求項3、4または8に記載のZ
    nS−SiO2 系焼結体の製造方法。
  10. 【請求項10】 1〜10℃/分の昇温速度で焼結温度
    に達する請求項3または4に記載のZnS−SiO2
    焼結体の製造方法。
  11. 【請求項11】 焼結は、10時間以下行う請求項3ま
    たは4に記載のZnS−SiO2 系焼結体の製造方法。
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