JPH11276584A

JPH11276584A - 針無注射器

Info

Publication number: JPH11276584A
Application number: JP10086401A
Authority: JP
Inventors: Tatsuo Kimura; 辰男木村
Original assignee: Shimadzu Corp
Current assignee: Shimadzu Corp
Priority date: 1998-03-31
Filing date: 1998-03-31
Publication date: 1999-10-12

Abstract

(57)【要約】【課題】ぐらつかず注射が正確に行なえる針無注射器
を得る。【解決手段】針無注射器１の先端ノズル２に規正部材
10を装着した。規正部材10は基部12とスカート部13より
なり、基部12に形成された開口11に先端ノズル２を挿入
し、開口11の周縁14が先端ノズル２に設けた環状溝21に
嵌まり込み、規正部材10が針無注射器１の先端ノズル２
に装着される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は皮下注射用の針無
注射器、特に、正確に注射が行な得る針無注射器に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】皮下注射用の針無注射器は、注射器先端
ノズルの突端のジェット噴射口から薬液をジェット噴射
することにより、注射針を使わずに薬液を皮膚から体内
に注入できる注射器である。この針無注射器は、殆ど無
痛で薬液を簡単に注射することができるので、医療施設
だけでなく、例えば糖尿病患者が日常的にインスリンを
自分で注射（自己注射）するのにも使われている。

【０００３】針無注射器１は、図５に示すように本体と
しての第１グリップ（本体）ＧＡと第１グリップに対し
て回転摺動する第２グリップＧＢと、第１グリップＧＡ
の先端に捩じ込まれた着脱自在の先端ノズル２とよりな
り、ノズル２には吸引された薬液が入る注射液室（シリ
ンダ室）３とジェット噴射口（オリフィス）４が形成さ
れており、注射液室３の内には往復摺動できるようにピ
ストン５が配設され、ピストン５は前記第２グリップＧ
Ｂに連結されており、ノズル２を図示のように下方にし
た状態では、薬液を吸引する時はグリップＧＢの回転操
作でピストン５が矢印方向に引上げられ、逆に薬液を噴
射する時はピストン５が圧縮バネ６の圧力（または、ガ
スの圧力）によって急激に押し下げられて注射液室３の
内の薬液がジェット噴射口４から勢いよくジェット噴射
される構成となっている。なお、図中ＧＴは注射液室３
内に吸引された薬液をジェット噴射、すなわち、注射を
行う際のリリースボタン、７はピストンロッドである。

【０００４】針無注射器１で皮下注射を行なうに当たっ
ては、針無注射器１の第１グリップＧＡを握って、第２
グリップＧＢを所望の吸引量を示す目盛りに合うように
回転操作して針無注射器１のピストン５を矢印方向で示
す方向へ引き上げ、図示しない注射する薬液を入れてあ
る薬液バイアル（薬液容器）からノズル２の注射液室３
内に所望量の薬液を吸入する。

【０００５】なお、針無注射器は噴射式皮下注射方式の
針無しの注射器であることから、薬液バイアルから注射
器内に薬液を吸引する際に、中空針を備えたアダプタを
使用し、このアダプタを中空針がガラス製の薬液バイア
ルのゴム栓を貫通するように薬液バイアルの口に取り付
け、このアダプタの薬液バイアルとの対向面に形成され
た凹部に針無注射器の注射器先端ノズルを嵌め込んで針
無注射器とアダプタとを連結し、針無注射器先端ノズル
２のオリフィス４を中空針を介して薬液バイアル内の薬
液に連通させるようにしている。

【０００６】また、薬液の吸引時には、図に示す状態の
針無注射器とそれの先端ノズル部にアダプタを介して連
結する薬液バイアル（いずれも図示せず）を１８０°回
転させ、通常の針有注射器と同様に薬液バイアルを上に
し、所望量の吸引量を示す目盛りに合うように第２グリ
ップＧＢを回転させてピストン５を引下げると、このピ
ストン５の引下げで注射液室３内が負圧となり、薬液バ
イアル内の薬液がアダプタの中空針→オリフィス４の経
路で注射液室３へと導入される。必要量の薬液を吸引
後、アダプタを針無注射器１から分離し、針無注射器１
の注射器先端ノズル２のオリフィス４を注射個所に当て
ておき、リリースボタンＧＴを押すと、ピストン５が圧
縮バネ６の圧力で押されて急激に押し下げられ、注射液
室３内の吸入されていた薬液がオリフィス４から噴射さ
れて患者の体内に注入される。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
針無注射器では注射に際し、次の問題がある。

【０００８】すなわち、針無注射器は注射時に、患者自
ら注射器先端ノズルを腕、大腿部等の注射個所の体表に
押し当ててリリースボタンを押す必要があり、また、注
射を正確に行なう上で、注射器先端ノズルのオリフィス
を注射個所の体表に垂直に押し当てる必要がある。

【０００９】しかしながら、注射時に注射器先端ノズル
２は図６に示すように体表Ｓにほぼ点接触した状態であ
るので、接触部を中心に矢印で示すように３６０°の自
由度をもって針無注射器１がぐらつくことになり、針無
注射器１のぐらつきで注射器先端ノズルと体表との接触
が甘くなり、注射器先端ノズルのオリフィスが体表に垂
直に当接せず、その結果、注射器に吸入された規定量の
薬液を有効に体内に注入することができず、注射を正確
に行なうことができないことになる。また、薬液が体表
から飛散し高価なインスリン等の薬液を無駄に消費する
という問題があり、特に、日常的にインスリンの自己注
射を必要とする糖尿病患者では重大な問題である。

【００１０】このような注射時の針無注射器の振れ、な
いし、ぐらつきの発生は、自己注射に不慣れな人、手足
が震え易い高齢者や力の弱い子供にとっては深刻な問題
である。

【００１１】この発明は、上記の事情に鑑み、注射時に
注射部位に対する注射器の姿勢の安定化を図って注射器
のぐらつきが生じないようにして正確な注射が行な得る
ようにした針無注射器を提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を達成するための手段】上記の目的を達成するた
めにこの発明の針無注射器は、注射器先端ノズル、また
は、ノズルが連なる注射器本体に注射部位に当接して注
射器の姿勢を規正する規正部材を設けたことを特徴とし
ている。また、規正部材は、注射器先端ノズル、また
は、注射器本体に係合する基部と、この基部と結合する
ノズル先端に向けて延びるスカート部とよりなり、規正
部材の構成材としては透明で弾性を有しているものが望
ましい。さらに、規正部材のスカート部とそれの当接す
る注射部位（体表）とで形成される空所中を減圧する減
圧手段を設けたものであってもよい。

【００１３】このような構成によれば、規正部材が注射
部位の腕等の体表に接触し、注射器の姿勢を規正して注
射器先端ノズルのオリフィスを体表に垂直に当接するよ
うにし、且つ、注射器のぐらつきを防止する。したがっ
て、針無注射器による自己注射に不慣れな人、高齢者や
子供であっても正確に注射が行な得ると共に、インスリ
ン等の高価な薬材を無駄にすることがない。

【００１４】また、規正部材を弾性材で構成すれば、規
正部材のスカート部が吸盤として作用し、注射時の注射
器先端ノズルの注射部位への押し付けにより規正部材が
体表に吸着して注射器の姿勢をより安定にすると共に、
適切な注射部位に注射器先端ノズルを位置決めすること
ができる。さらに、規正部材を透明材で構成すれば、注
射器先端ノズルの体表への当接部位が規正部材を透して
観察できるので、目的とする注射部位に適切、且つ、正
確に注射することができる。また、減圧手段を設けて規
正部材のスカート部とそれの先端が当接する注射部位
（体表）とで形成される空所中を減圧すれば、規正部材
のスカート部が体表に吸着して注射器の姿勢をより安定
にすると共に、体表と注射器先端ノズルとの密着が確実
となり、注射がより正確に行える。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施例を図面
を参照しながら説明する。図１は、一実施例の要部であ
る噴射式の針無注射器の先端ノズル部の構成を示す断面
図である。針無注射器１は、図５に示したように、注射
器先端ノズル２には、吸引された薬液が入る注射液室
（シリンダ室）３と先端側の突端に直径１５０μｍ程度
のオリフィス４が形成されている。一方、注射液室３の
内には、往復摺動できるようにしてピストン５が配設さ
れており、薬液を吸引する時はピストン５が引下げら
れ、逆に薬液を噴射する時は圧縮バネ６の圧力（または
ガス圧力）によってピストン５が急激に押し上げられる
通常の針無注射器と同様の薬液噴射構造となっており、
図示の実施例では注射器先端ノズル２に後述の規正部材
10の基部が係合する環状溝21が設けられている。

【００１６】10は注射時に注射器先端ノズル２を腕等の
注射部位の体表Ｓに押しつけた際に、注射器先端ノズル
２突端のオリフィス４が体表Ｓに対し垂直となるように
針無注射器１の姿勢を規正する規正部材である。規正部
材10は、ある程度腰のある透明弾性素材、例えば透明シ
リコンゴム製で、図示の実施例では開口11を有する基部
12とこの基部12に連結し、注射器先端ノズル２の突端に
向けて延び、且つ、先端が開放周縁15となっているスカ
ート部13よりなる。基部12の開口11に注射器先端ノズル
２を挿入し、開口11の周縁14が注射器先端ノズル２の環
状溝21に嵌入することにより、規正部材10が針無注射器
１に装着される。なお、規正部材10のスカート部13の開
放周縁15は図中点線で示すように体表Ｓと非接触時には
注射器先端ノズル２の突端より所定距離ｄだけ突出して
いる。

【００１７】つぎに、以上に述べた構成を有する針無注
射器１による皮下注射の実行について説明する。まず、
図５で説明したようにアダプタを介して針無注射器１に
図示しない薬液バイアルを連結し、図１に示す状態の針
無注射器１を１８０°回転させて薬液バイアルを上にし
て、所望量の吸引量を示す目盛りに合うように第２グリ
ップＧＢ（図５参照）を回転させてピストン５を引下げ
て注射液室３内に薬液バイアル内の薬液を所定量吸引
し、針無注射器１をアダプタから分離する。

【００１８】そして、図１に示すように針無注射器１の
注射器先端ノズル２を注射個所の体表Ｓに押し当てて、
リリースボタンＧＴ（図５参照）を押すと、ピストン５
が圧縮バネ６（図５参照）の圧力で押されて急激に押し
上げられて注射液室３内に吸引されている所定量の薬液
がオリフィス４から噴射されて患者の体内に注入され
る。

【００１９】この注射時の注射器先端ノズル２の体表Ｓ
への押し当てにより、体表Ｓと非接触時には、図中点線
で示す状態の規正部材10のスカート部13の開放周縁15′
が体表Ｓとの接触で図示のように押し広げられて開放周
縁15が体表Ｓに吸着する。針無注射器１の注射器先端ノ
ズル２の体表Ｓへの押し当てにより規正部材10のスカー
ト部13の開放周縁15が体表Ｓに吸着した状態では、図示
のように針無注射器１が、注射器先端ノズル２の先端
（突端）と、それを中心とするスカート部13のリング状
の開放周縁15で支持されることになり、注射器先端ノズ
ル２が体表Ｓに対して面接触するのと同等となる。

【００２０】したがって、針無注射器１の注射器先端ノ
ズル２の体表Ｓとの接触部を支点とする点線矢印で示す
ぐらつきが生じることがなく、針無注射器１は注射器先
端ノズル２の突端のオリフィス４が体表Ｓに垂直に当接
する姿勢に保たれ、また、注射個所、すなわち、注射器
先端ノズル２のオリフィス４の体表Ｓとの接触位置は、
透明なスカート部13を透して確認できると共に、規正部
材10のスカート部13の開放周縁15が体表Ｓに吸着し注射
器先端ノズル２のオリフィス４の体表Ｓとの接触位置が
ズレないので、適正注射位置に正確に注射を行なうこと
ができる。

【００２１】また、針無注射器１が注射器先端ノズル２
の突端とそれを中心とする規正部材10のスカート部13の
リング状の開放周縁15で支持されているので、図２に示
すように角度θぶれたとしても、スカート部13の開放周
縁15で囲まれた体表が注射器先端ノズル２の突端を中心
に傾動することになり、注射器先端ノズル２の先端オリ
フィス４と体表Ｓとの接触状態は、図１の接触状態と変
わることがなく、正確な注射が実行できる。

【００２２】図４は他の実施例を示すもので、規正部材
10のスカート部13に吸引口13′ を設け、この吸引口1
3′ を減圧機構としてのゴム球（スポイト球）30に連な
るチューブ31に接続したものである。なお、図４の構成
の針無注射器１では、規正部材10は必ずしも弾性素材で
ある必要はない。この減圧機構を備えた針無注射器１に
より皮下注射を行うには、図１の針無注射器１で説明し
たと同様にアダプタを用いて薬液バイアル内の所定量の
薬液を注射液室内に吸引する。

【００２３】そして、ゴム球30を握締めてゴム球20内の
空気を排出し、ゴム球30を握締めた状態で、スカート部
13の開放周縁15を注射個所の体表Ｓに押し当ててゴム球
30をはなすと、ゴム球30はそれの弾性で膨らみ、スカー
ト部13−体表Ｓ−注射器先端ノズルで形成される空所Ｒ
内の空気が吸引され、空所Ｒ内が減圧される。これによ
り、スカート部13の開放周縁15が体表Ｓに吸着すると共
に、開放周縁15で囲まれた体表Ｓが図中点線で示すよう
にスカート部13内に吸い込まれて注射器先端ノズル２の
先端オリフィス４が体表Ｓに確実に密着し、適正注射位
置に正確に注射を行なうことができる。また、注射後は
ゴム球30を握締め空所Ｒ内を加圧することで、スカート
部13の開放周縁15の体表Ｓとの吸着を解除し、針無注射
器１を注射個所の体表Ｓより取り除く。

【００２４】なお、実施例では、注射器先端ノズルに設
けた環状溝に規正部材を構成する基部の開口周縁を嵌め
込ませることで規正部材を針無注射器に装着するように
したが、図３(a) に示すように規正部材10の基部12に形
成した開口11との嵌め合いにより注射器先端ノズル２に
装着するようにしてもよい。

【００２５】また、実施例では規正部材を弾性材で形成
したが、剛体であってもよい。この場合、注射器先端ノ
ズルの体表の押し当てにより規正部材10′の下部周端16
が体表に接触するように図３(b) に示すように注射器先
端ノズル２の先端より所定距離ｄ′だけ引っ込めておく
必要がある。このように規正部材を剛体で形成しｄ′引
っ込めておけば、注射器先端ノズルと体表との接触状
態、接触位置が見れるので、透明性を有している必要が
ない。また、このようにすればｄ′の調整で注射器先端
ノズルの体表への押し当て圧をある程度規制できる利点
がある。

【００２６】さらに、実施例では、規正部材を注射器先
端ノズルに装着したが、注射器本体に装着するようにし
てもよい。このようにすれば、注射時の注射器のぐらつ
きをより確実に防止することができる。また、実施例で
は、規正部材を基部とスカート部よりなるラッパ形状と
し、針無注射器の押し当てでもってスカート部下部が体
表に円周接触するようにしたが、その形状、ならびに、
接触状態も実施例に特定されるものではない。

【００２７】さらに、実施例では、減圧機構をゴム球と
し、ゴム球の膨らみで空所内を減圧するようにしたが、
ゴム球のポンピングで空所内を減圧するものであっても
よく、また、減圧機構はゴム球に限定されるものではな
い。

【００２８】また、図４に示すように、ゴム球を針無注
射器の第２グリップにマジックファスナ等で付設してお
けば、針無注射器の握持とゴム球による減圧操作を片手
で行うことが可能となる。

【００２９】

【発明の効果】この発明の針無注射器によれば、注射時
に針無注射器がぐらつかないので、自己注射に不慣れな
人、高齢者や子供であっても常に正確な注射が行な得
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例の要部の構成を示す断面図で
ある。

【図２】この発明の作用説明用図である。

【図３】規正部材の変形例を示す断面図である。

【図４】この発明の他の実施例の構成を示す模式図であ
る。

【図５】針無注射器の概略構成図である。

【図６】従来の針無注射器の問題点説明図である。

【符号の説明】

１…針無注射器２…注射器先端ノ
ズル 10、10′…規正部材 11…開口 12…基部 13…スカート部 13′ …吸引口 14…開口11の
周縁 21…環状溝 30…ゴム球（スポ
イト球） 31…チューブ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】注射液のジェット噴射口を有するノズル
を注射器本体先端に備えた噴射式の針無注射器であっ
て、前記ノズルまたは注射器本体に、注射時に注射部位
に当接して前記注射器の姿勢を規正する規正部材を設け
たことを特徴とする針無注射器。
【請求項２】請求項１に記載の針無注射器であって、
前記規正部材が、前記ノズルまたは注射器本体に係合す
る基部と、この基部に連らなりノズル先端に向けて延び
るスカート部とよりなることを特徴とする針無注射器。
【請求項３】請求項１または請求項２に記載の針無注
射器であって、前記規正部材が弾性材で形成されたもの
であることを特徴とする針無注射器。
【請求項４】請求項１または請求項２または請求項３
に記載の針無注射器であって、前記規正部材が透明材で
形成されたものであることを特徴とする針無注射器。
【請求項５】請求項２または請求項３または請求項４
に記載の針無注射器であって、前記規正部材のスカート
部とそれの当接する注射部位とで形成される空所中を減
圧する減圧手段を設けたことを特徴とする針無注射器。