JPH11275953A - いちご栽培装置 - Google Patents

いちご栽培装置

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JPH11275953A
JPH11275953A JP10102048A JP10204898A JPH11275953A JP H11275953 A JPH11275953 A JP H11275953A JP 10102048 A JP10102048 A JP 10102048A JP 10204898 A JP10204898 A JP 10204898A JP H11275953 A JPH11275953 A JP H11275953A
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正明 植木
Hideaki Takagiwa
英明 高際
Hiromi Tochigi
博美 栃木
Yukio Inaba
幸雄 稲葉
Yukio Ohashi
幸雄 大橋
Yoshiyuki Ishihara
良行 石原
Akitsugu Hatakeyama
昭嗣 畠山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 いちご栽培にあって、栽培農家に経済的な負
担の少ない栽培装置を開発すると共に、今後問題化され
るであろう余剰液による環境汚染問題を未然に解消す
る。 【解決手段】 上記課題を解決する為本発明いちご栽培
装置は、横架させた2本のアーム間に可撓性フィルムを
断面U字型に弛ませて栽培ベットを形成すると共に該ベ
ット内に培地を装填し、該栽培ベットの下方を防水性を
備えた外層シートで囲繞させて気層空間を形成すると共
に、該気層空間の一部に暖房機及び/又は冷房機に連結
した温風又は冷風を送るダクトを配設し、該ベッドの上
方に培養液を滴下させる送液管を配設すると共に、毛管
現象にて培養液を拡散させる浸潤性シートを培地上面及
び/又は下面に敷設して構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いちご等を栽培す
る為の栽培装置に関し、更に詳細には、比較的経済的に
培地の温度管理が実現できると共に培養液の使用量を可
及的に少量又は零とする環境汚染の少ない栽培装置を提
供するものである。
【0002】
【従来の技術】いちご栽培は、生産性の向上や、省力
化、及び収穫時の摘み取り姿勢の矯正等の作業環境の改
善等を図る為に、ベットを一定の高さに上げて栽培する
方式(高架式)の開発が急務となっているが、ベットを
上に上げると地熱の供給がないので夜間等の冷気で培地
の温度が下がり易いという欠点を有している。そこで、
冬期の安定生産の為に培地の加温が不可欠で、この解決
策として温湯を循環させるパイプを培地内に設置してい
るのが一般的である。具体的には、図6に示す如く断面
コの字型の箱体を発泡スチロール、合成樹脂、アルミニ
ウム等で形成し、箱体に培地を充填すると共にそこに温
湯循環用のパイプを通し、互いに外周を不透根シートで
覆った後、下部に排水溝を刻んで余剰な培養液を廃棄処
分している。
【0003】しかし、このような従来装置では、 (a)温湯を循環させる為には、燃焼熱で温湯を発生さ
せるボイラーと、該ボイラからの温湯を送る循環ポンプ
及び循環パイプ等の設備が必要となり、装置的に大規模
化する。 (b)栽培ベッドとして用いられているコの字型の発泡
スチロール、合成樹脂等のベッドは、専用の型を用いて
成形しなければならず、成形に要する費用が高価である
と共に、フレキシブル性に欠ける。 (c)培地の上に設けたパイプから培養液を放水するタ
イプでは、ポンプとの距離が近いか遠いかによって散水
量が異なってくると共に、その過剰分が余剰液を作り出
し、多分の余剰液が土壌や河川に流れ出すと土壌の汚染
や河川、海の富栄養化等の環境汚染問題を惹起する原因
となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
基づいてなされたもので、熱供給の方式を変えて装置を
軽備化させる等して栽培農家に経済的な負担の少ない栽
培装置を開発すると共に、今後問題化されるであろう余
剰液による環境汚染問題を未然に解消することを主たる
課題として本発明を完成させたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明いちご栽培装置
は、横架させた2本のアーム間に可撓性フィルムを断面
U字型に弛ませて栽培ベットを形成すると共に該ベット
内に培地を装填し、該栽培ベットの下方を防水性を備え
た外層シートで囲繞させて気層空間を形成すると共に、
該気層空間の一部に暖房機及び/又は冷房機に連結した
温風又は冷風を送るダクトを配設し、該ベッドの上方に
培養液を滴下させる送液管を配設すると共に、毛管現象
にて培養液を拡散させる浸潤性シートを培地上面及び/
又は下面に敷設して構成される。
【0006】第二の発明は、横架させた2本のアーム間
に可撓性フィルムを断面U字型に弛ませて栽培ベットを
少なくとも2個以上形成すると共に該ベット内に培地を
装填し、該2個以上の栽培ベットの下方を囲繞させて防
水性を備えた外層シートを配して気層空間を形成すると
共に、該気層空間の一部で上記2個以上の栽培ベットの
間に暖房機及び/又は冷房機に連結した温風又は冷風を
送るダクトを配設し、該ベッドの上方に培養液を滴下さ
せる送液管を配設すると共に、毛管現象にて培養液を拡
散させる浸潤性シートを培地上面及び/又は下面に敷設
して構成される。
【0007】このとき、栽培ベットの下部に、外層シー
ト上で培養液が貯留する箇所に向けて毛管現象で水分を
吸引し得る吸水布を垂下させるのが望ましい。
【0008】又、培地は、クリプトモスとパーライトと
を混合させたものとするのが望ましい。
【0009】
【実施態様】培地幅に適した間隔で、鉄パイプの二本の
アーム1を架設し、そこに断面略U字形となるよう弛ま
せてベットシート2を渡し、左右端部を巻き付けて固定
し、そこに培地3を充填して培地ベッド4を形成する。
該シート2の固定には、シート端末とアームとを固定用
のパッカーで止めるか、或いは、シート端末を袋状に縫
い合わせる等する。該ベッドシート2には、不透根シー
トを用いるのが一般的で、該不透根シートとは、水及び
空気が透過可能であるが、毛根、土砂等は通さないよう
網目を形成したものをいい、不織布又は織布がある。こ
のシートで形成されたU字方の中に培地3を充填して栽
培ベッド4を構成する。
【0010】該培地3には、従来ロックウールとするの
が一般的であるが、これは保水性に優れる一方で、空隙
性に乏しいので根腐れを起こし易く、又、廃棄にあって
は、腐敗性がないので処理が困難であるという欠点を持
っていた。そこで本発明では、杉の皮を乾燥させて細か
くしたクリプトモスにパーライトを混入させたものを培
地3とした。この培地3は、保水性と空隙性のバランス
に秀れ、生育結果を示すと表1の通りとなった。
【表1】 即ち、クリプトモスにパーライト30%混合のものは、
554.8g/株及び561.8g/株で、従来のロッ
クウールの可販果収量が合計で469.3g/株である
のに対し、17%以上の収量の増加をもたらすことが判
明した。
【0011】次に、図1に示す如く、上記栽培ベット4
の下方を外層シート5で囲繞させて気層空間6を形成す
る。即ち、前記栽培ベッド4の下部に外層シート5を、
ベッドシート2と同様二本のアームに断面略U字形とな
るよう且つベッドシート2より更に弛ませてシートを渡
し、左右端部を巻き付けて固定し、該栽培ベッド4と外
層シート5との間に気層空間6を形成する。該外層シー
ト5は、少なくとも防水性を備え、望ましくは、断熱性
及び遮光性に優れた素材を用い、例えば、高密度ポリエ
チレンと低密度ポリエチレンの二層構造のシートとす
る。
【0012】そして、該気層空間6の一部、例えば、中
央部に前記気層空間6内に暖気又は冷気を通すダクト7
を配設し、該ダクト7に暖房燃焼機又は冷房機を連結す
る(図示省略)。該ダクト7は、可撓性の合成樹脂等で
形成し、例えば、厚み0.005〜0.01mm程度の
ポリエチレンを半径60mm程度のチューブ体とし、そ
こに細径の通気孔7aを穿設して暖気を送る直接型とす
るか、或いは、通気孔を設けずダクトからの放射、伝導
で暖める間接型とする。直接型の場合、温風がベットシ
ートを介して培地を直接暖めるので、加熱効率が高い
が、培地の水分を奪い易く、一方、間接型は加熱効率が
悪いが、水分を奪う割合が少ないという長所短所を有し
ており、目的に応じて型を選択する。直接型及び間接型
のいずれも、ダクトチューブの端末に絞り部を設けて送
風された温風又は冷風の排出量の調整を行う。暖房機の
場合、重油を燃焼させる室内暖房用の温風暖房機又はハ
ウス加熱機等の温風を発生し得る機器であれば良く、該
暖房機を新設させても良いが、温風暖房機等は室内暖房
用の既設の暖房機をそのまま利用することができる。こ
の点、ボイラーを必要とする温湯式と比べて装置の簡潔
化が図れる。
【0013】又、該ダクトの形成にあって、図2に示す
如く、栽培ベット4を2個並べ、該栽培ベットの下方を
囲繞させて外層シート2を配して気層空間6を形成し、
該栽培ベット4の間にダクトを配設する二連式とするこ
ともでき、更に該栽培ベットを3個以上並べて多連式と
することもできる。
【0014】次に、培地への養液の均一分散及び後述の
余剰水の抑制を図る目的で、該栽培ベッド4の上に給液
管を配し、その一部に孔を穿設し、培養液を滴下させ、
その下に浸潤性シート8を配する。該浸潤性シート8と
は、滴下した液を毛管作用で繊維方向に浸透させていく
性能を有するシートをいい、例えばポリエステルの長繊
維を不織布としたものがある。該シート7は、培地の上
に敷設する態様と、培地の下に敷設する態様とがあり、
上側に敷設する場合は、ベッド幅いっぱいに敷設するの
が望ましいが、ベッドの側部にはいちごの株が植えられ
るので、その部分は切り抜く等して除き、下に敷設する
場合には不透根シートと併用するのが望ましい。勿論、
該浸潤性シート8は上部と下部の双方に敷設するのが好
ましいが、経済性を考慮して態様を選択する。
【0015】次に、給液管9は、培地上方に設置して培
養液を滴下させて必要量を供給するもので、例えば、図
3に示す如く、ホース本体の外側に取水口9aを穿ち、
そこからジグザグ型の通路9bを形成し、その終端部に
排水口9cを穿設する点滴部を形成する。ホース本体か
ら取入口9aに導かれた水は、ジグザグ型の通路9bを
流れるので、ホース内水圧が調整されて灌水量が一定と
なる。
【0016】更に、気層空間の下部に溜まった余剰液に
対し、その溜まり部に毛管作用で吸い上げ可能な吸水布
10を垂下させて余剰液の吸い上げ機構を形成する。該
吸水布10は、毛細管現象を惹起させ得る布体で構成
し、例えば、浸潤性シート8と同様ポリエステルの長繊
維を不織布としたものとすることができる。該吸水布1
0は、浸潤性シート8を下側に敷いて、吸水布10と連
結させると、吸い上げ液が更に拡散して培地への液供給
を均一にする。
【0017】該吸水布10の形成にあたって、栽培ベッ
ト4中央の直下にダクト7を配設する場合には吸水布1
0を垂下させ難いが、この場合には、吸水布10をダク
ト7の回りに迂回させれば良く、吸水布10の毛管現象
は高低差に影響されるだけであって吸水布10の長さに
影響されないので、吸水力に何等問題は生じない。
【0018】次に、本実施態様に基づいていちご栽培を
行う際の作用を説明する。先ず、冬期に暖房機を燃焼さ
せ、ダクト7を通して気層空間6に暖気を送ると、該ダ
クト7から通気孔7aを通って暖気が気層空間6内に充
満し、該気層空間6は栽培ベット4の下側全体と接触し
ているから、該栽培ベット4を全体的に、且つ、均一
に、効率良く暖めて、冬期におけるいちご培地を適温に
維持する。この温風による栽培ベットの加温と従来装置
による加温とを比較し、その収量の違いを比べたのが下
記の表2である。
【表2】 従来型:発泡スチロール製正方形型ベットに難分解バー
クミックスを装填して培地とし、その培地内に電熱線を
配して加温したもの。 温風型:シート製ベットに、難分解バークミックスを培
地とし、ダクトから温風で加温したもの。 この結果、12月,1月,2月の前記においては、従来
型の月別収量が僅か上回ったものの、3月,4月,5月
の後期においては逆に温風型が大幅に上回り、全体とし
ても合計収量及び1果重も従来型を上回り、適切な加温
であることが裏付けられた。
【0019】このとき、暖房機で生じた暖気はダクト7
を介して気層空間6に送られ、該気層空間6に充満した
暖気が栽培ベット4を暖め、その後該暖気は、気層空間
6の一部から空中に放出させれば良い。従って、循環式
としてパイプを密閉状に連結させて、重い温湯を循環ポ
ンプで循環させる従来の装置と比較すると、装備が軽量
化されると共に大幅に簡潔化される。又、該暖房機は、
ハウス暖房用のもの等既設の物を利用することができる
ので、経済的負担が少ない。
【0020】このことは、夏期等で栽培ベットを冷やす
必要が生じた場合でも、ダクトを冷房機に連結させてや
れば良く、作用もまったく同様である。
【0021】次に、上記栽培ベット4に対し、培養液を
供給する際、従来の散水又は放水式にあっては、滴下し
た養液が培地に落とされ、重力に従ってそのまま下方に
浸透するから、滴下したところから殆ど拡散しない傾向
にあった。しかし、本発明装置では、給液管9から滴下
された養液が、浸潤性シート8に落とされ、それが毛管
現象により繊維方向に沿って浸透し、シート全体が浸潤
状態となり、更に培地へと養液が浸透していく。これ
を、従来装置との比較で試験したのが、図4及び表3で
ある。
【表3】 A:給液管から直接培地に滴下させた場合(図4A) B:給液管から培地上面に浸潤シートを敷設ものに滴下
させた場合(図4B) この結果、従来のものが給液管の直下の部分に、全体の
約15%が拡散しているに過ぎないのに対し(図4A参
照)、本発明装置は100%培地全体に拡散しており、
効率良い拡散が確認された。又、保水量も13%程度向
上している(図4B参照)。
【0022】又、従来装置にあっては、培地全体に養液
を満たす必要性から、若干過剰の養液を供給することと
なり、余剰液を生じることが不可避であったが、本発明
装置では、上記湿潤シート8によって、養液に均一拡散
が図られるから、可及的に少量の養液供給で済む。加え
て、吸水布10を垂らすと、仮に過剰量の養液を加え、
外層シート5上に余剰水が溜まった場合にも、該吸水布
10が毛管現象によりこの余剰水を吸い上げ、培地内へ
と吸収し、余剰水を零とする。この吸い上げ状態及び拡
散状態を試験したのが、図5及び表4である。
【表4】 C:ベット直下に吸水布を垂下し、余剰水から吸引する
場合(図5A)。 D:ベット下面に浸潤シートを敷設したものと吸水布と
を組合せて余剰水から吸引する場合(図5B)。 この結果、吸水布は、培地1000cc当たり260c
c以上の吸水量を持つことが確認された。又、上記浸潤
性シート8との組合せにおいては、吸水量は若干の向上
をもたらすに過ぎないが、拡散割合は9%から18%へ
と大きく割合が向上した(図5B参照)。
【0023】又、該吸水布10と浸潤性シート8とを組
合せた状態での苗の生育と廃液量を試験したのが表5で
ある。
【表5】 条件:給液管の下で培地の上面に浸潤シートを敷設し、
ベット下部に吸水布を施した。給液は1回当たり1株に
38ccとした。 この結果、同様な生育が得られながら、給液量は約半分
程度で済み、且つ、廃液量は零となることが確認され
た。
【0024】
【実施例1】ビニールハウス内で地上で約90cmの高
さに、鉄製パイプ2本を約30メートル程に横架させ、
そこに不透根シートとしてポリエステル繊維(東洋紡B
KS1820)を幅約30cmで最大厚み15cm程度
となるよう弛ませてU字型の栽培ベットを形成し、端部
をパッカーで固定した。培地には、クリプトモスSとパ
ーライト30%を混合させて装填した。同時に、外層シ
ートとして、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレン
の二層としたシート(ダイヤテックス テルエ−スブラ
ック)を、鉄製パイプに固定し、最大厚みが10cm程
度となるよう気層空間を形成した。その内部中央に直径
約6cmのチューブ状のポリエチレンをダクトとして通
し、該ダクトに直径1mm程度の通気孔を多数穿設し
た。該ダクトは、重油燃焼型の暖房機に連結した。該栽
培ベットの上に浸潤性シートとしてポリエステルの不織
布(ユニチカ ラブマット)を敷き、その上方に低密度
ポリエチレンで形成したドリップチューブ(NETAF
IM)を配設し、培養液を滴下させた。この結果、2月
の厳冬期にも培地が約15℃前後に維持され、収量が4
95g/株となった。且つ、余剰水は僅か20mmが溜
まる程度であった。
【0025】
【実施例2】ビニールハウス内で地上で約90cmの高
さに、鉄製パイプ4本を約30メートル程に横架させ、
そこに不透根シートとしてポリエステル繊維(東洋紡B
KS1820)を幅約30cmで高さ15cm程度とな
るよう弛ませてU字型の栽培ベットを2個並べて形成
し、端部をパッカーで固定した。培地には、クリプトモ
スSとパーライト30%を混合させて装填した。同時
に、外層シートとして、高密度ポリエチレンと低密度ポ
リエチレンの二層としたシート(ダイヤテックステルエ
−スブラック)を、上記2個の栽培ベットの下部を囲う
ようにし、最大高さが10cm程度となるよう気層空間
を形成した。該気層空間の栽培ベットの下部の不透根シ
ートから外層シートの液溜まり部に向けて約13cmの
長さでポリエステルの不織布(ユニチカ ラブマット)
を垂下した。そして、該2個の栽培ベットの中間位置に
直径約6cmのチューブ状のポリエチレンをダクトとし
て通し、該ダクトに直径1mmの通気孔を多数穿設し
た。該ダクトは、燃焼型の暖房機に連結した。該栽培ベ
ットの上に低密度ポリエチレンで形成したドリップチュ
ーブ(NETAFIM)を配設し、培養液を滴下させ
た。その結果、実施例1と同様の優れた収量を得ると共
に、余剰水が零となり、更に部品点数が減少し、廉価な
タイプとなった。
【0026】
【発明の効果】以上の構成に係る本発明は、下記の如き
効果を奏する。 (a)栽培ベットの底面が直下に形成された気層空間に
全面的に接触し、そこから供給される暖気又は冷気によ
って、培地が均一で且つ効率良く温度管理がなされ、極
めて高い収量を得ることができる。同時に、該気層空間
による暖気又は冷気は、空中に放散することができ、重
い温湯を密閉状のパイプ内で循環させる従来装置と比較
すると、装備が簡便になると共に、暖房機をハウス暖房
用等の既設のものを利用できるので経済的負担を大幅に
軽減させる。
【0027】(b)培養液の給液管からの滴下と浸潤性
シートとの組合せにより、培養液の培地への拡散が効率
的となり、培地全体に渡って均一な濃度で培養液が供給
されると共に、過剰な供給をできるかぎり抑制すること
ができるので、経済的であると共に余剰水の発生をも可
及的に少なくする。
【0028】(c)上記浸潤性シートに加えて吸水布を
垂下せさると、外層シートに溜まった余剰水を再び培地
に戻して培養液として働かせることができ、余剰水の発
生を零にすることが可能となり、環境汚染問題を完全に
解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の模式的側断面図。
【図2】本発明装置の別の態様の模式的側断面図。
【図3】本発明装置の給液部の一態様を示す平面図。
【図4】培地への養液の拡散状態を示す模式的側断面図
で、(A)が従来の装置の場合、(B)が本発明浸潤性
シートを培地上面に敷設した場合を示す。
【図5】培地への養液の拡散状態を示す模式的側断面図
で、(A)が吸水布だけを垂下したの場合、(B)が吸
水布と培地下面に敷設した浸潤性シートとを組合せた場
合を示す。
【図6】従来装置の培地と加温を示す側断面図。
【符号の説明】
1 アーム 2 ベットシート 3 培地 4 栽培ベット 5 外層シート 6 気層空間 7 ダクト 7a 通気孔 8 浸潤性シート 9 給液管 10 吸水布
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲葉 幸雄 栃木県栃木市大塚町2920 栃木県農業試験 場栃木分場内 (72)発明者 大橋 幸雄 栃木県栃木市大塚町2920 栃木県農業試験 場栃木分場内 (72)発明者 石原 良行 栃木県宇都宮市塙田1−1−20 栃木県普 及教育課内 (72)発明者 畠山 昭嗣 栃木県栃木市大塚町2920 栃木県農業試験 場栃木分場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 横架させた2本のアーム間に可撓性フィ
    ルムを断面U字型に弛ませて栽培ベットを形成すると共
    に該ベット内に培地を装填し、 該栽培ベットの下方を防水性を備えた外層シートで囲繞
    させて気層空間を形成すると共に、該気層空間の一部に
    暖房機及び/又は冷房機に連結した温風又は冷風を送る
    ダクトを配設し、 該ベッドの上方に培養液を滴下させる送液管を配設する
    と共に、毛管現象にて培養液を拡散させる浸潤性シート
    を培地上面及び/又は下面に敷設したことを特徴とする
    いちご栽培装置。
  2. 【請求項2】 横架させた2本のアーム間に可撓性フィ
    ルムを断面U字型に弛ませて栽培ベットを少なくとも2
    個以上形成すると共に該ベット内に培地を装填し、 該2個以上の栽培ベットの下方を囲繞させて防水性を備
    えた外層シートを配して気層空間を形成すると共に、該
    気層空間の一部で上記2個以上の栽培ベットの間に暖房
    機及び/又は冷房機に連結した温風又は冷風を送るダク
    トを配設し、 該ベッドの上方に培養液を滴下させる送液管を配設する
    と共に、毛管現象にて培養液を拡散させる浸潤性シート
    を培地上面及び/又は下面に敷設したことを特徴とする
    いちご栽培装置。
  3. 【請求項3】 栽培ベットの下部に、外層シート上で培
    養液が貯留する箇所に向けて毛管現象で水分を吸引し得
    る吸水布を垂下させた請求項1,2項いずれか1項記載
    のいちご栽培装置。
  4. 【請求項4】 培地を、クリプトモスとパーライトとを
    混合させたものとした請求項1,2,3項いずれか1項
    記載の栽培装置。
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