JPH11273054A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JPH11273054A
JPH11273054A JP7620898A JP7620898A JPH11273054A JP H11273054 A JPH11273054 A JP H11273054A JP 7620898 A JP7620898 A JP 7620898A JP 7620898 A JP7620898 A JP 7620898A JP H11273054 A JPH11273054 A JP H11273054A
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paint
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JP7620898A
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English (en)
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Kazuo Ohashi
一男 大橋
Hidehiko Nakayama
英比古 中山
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コストパフォーマンスに優れ、表面電気抵抗
値の低下した磁気記録媒体を安定して製造する方法を提
供すること。 【解決手段】 カーボンブラック、無機粉末及び結合剤
を含有する下層用塗料と、強磁性粉末及び結合剤を含有
する上層用塗料とを同時又は逐次で支持体上に塗布し、
下層及び上層をこの順で設ける磁気記録媒体の製造方法
において、カーボンブラックは粒径80nm以下で、下
層用塗料中の上記無機粉末100重量部に対して0.1
〜5重量部含有され、下層用塗料は固形分が30〜40
重量%で、且つ乾燥厚みが5μmとなるように塗布した
ときの乾燥塗膜の表面電気抵抗値が105 〜107 Ω/
□であり、下層用塗料及び上層用塗料を、下層の乾燥厚
みが上層の乾燥厚みの3倍以上となるようにそれぞれ塗
布することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気テープや磁気
ディスク等の磁気記録媒体の製造方法に関するものであ
り、更に詳しくは表面電気抵抗の低下した多層構造の磁
気記録媒体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】磁気記
録媒体の製造においては、諸々の工程において静電気に
より粉塵が磁気記録層の表面に付着し、これが原因とな
って磁気記録媒体の電磁変換特性や走行耐久性が低下す
ることがある。また、記録・再生中に磁気記録媒体が静
電気によって記録再生ドライブの部材に絡み付き、走行
安定性が損なわれることもある。そこで、磁気記録媒体
の表面電気抵抗を低下させ、帯電を防止するための提案
が種々なされている。しかし、これまでの提案では表面
電気抵抗は未だ充分に低下されておらず、依然として電
磁変換特性および走行耐久性の改善が要望されている。
【0003】表面電気抵抗を低下させる方法としては、
導電性物質であるカーボンブラックの配合量を増やす方
法が挙げられる。しかし、カーボンブラックの配合量を
過度に増やすとカーボンブラックを含めた粉末の分散性
が低下して、媒体の表面性を低下させ、しかも表面電気
抵抗を上昇させてしまう。そこで、カーボンブラックに
代わる電気伝導性の高い物質を用いることが考えられる
が、現在のところ、性能とコストとが見合った物質がな
い。
【0004】従って、本発明の目的は、コストパフォー
マンスに優れ、しかも表面電気抵抗値の低い磁気記録媒
体を安定して製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上層より
厚い下層を設け、かつ小粒径のカーボンブラックが比較
的少量配合された下層用塗料の抵抗値を下げることで、
上記目的が達成されることを見いだした。
【0006】本発明は上記知見に基づきなされたもの
で、カーボンブラック、無機粉末および結合剤を含有す
る下層用塗料と、強磁性粉末および結合剤を含有する上
層磁性層用塗料とを同時又は逐次で支持体上に塗布し、
下層及び上層磁性層をこの順で設ける磁気記録媒体の製
造方法において、上記カーボンブラックは粒径80nm
以下で、上記下層用塗料中の上記無機粉末100重量部
に対して0.1〜5重量部含有され、上記下層用塗料は
固形分が30〜40重量%で、且つ乾燥厚みが5μmと
なるように塗布したときの乾燥塗膜の表面電気抵抗値が
105 〜107 Ω/□であり、上記下層用塗料および上
記上層磁性層用塗料を、上記下層の乾燥厚みが上記上層
磁性層の乾燥厚みの3倍以上となるようにそれぞれ塗布
することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法を提供す
ることにより上記目的を達成したものである。
【0007】また、本発明は上記製造方法により製造さ
れる好ましい磁気記録媒体として、カーボンブラック、
無機粉末および結合剤を含有する下層と、強磁性粉末お
よび結合剤を含有する上層磁性層とがこの順で支持体上
に設けられてなる磁気記録媒体において、上記上層磁性
層側の表面電気抵抗が1×105 〜8×106 Ω/□で
あることを特徴とする磁気記録媒体を提供するものであ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気記録媒体の製
造方法を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照し
て説明する。ここで、図1は、本発明の磁気記録媒体の
製造方法により製造される磁気記録媒体の構成の一例を
示す概略図である。
【0009】図1に示す磁気記録媒体1においては、支
持体2の一方の面上に、該支持体2に隣接して下層3が
設けられおり、該下層3に隣接して最上層としての上層
磁性層4が設けられている。また、該支持体2の他方の
面上にバックコート層5が設けられている。
【0010】上記磁気記録媒体1の製造においては、先
ず、下層3を形成するための下層用塗料と、上層磁性層
4を形成するための上層磁性層用塗料とを、これらの層
がそれぞれ所定の乾燥厚みとなるように、支持体2上に
ウエット・オン・ウエット方式により同時重層塗布を行
い、上層磁性層および下層の塗膜を形成する。即ち、上
層磁性層は、下層の湿潤時に塗設・形成されていること
が好ましい。下層用塗料はカーボンブラック、無機粉末
及び結合剤を含んでおり、一方、上層磁性層用塗料は強
磁性粉末及び結合剤を含んでいる。同時重層塗布は、例
えば特開平7−299404号公報の第4欄3行〜第6
欄41行に記載されている方法等によって行うことがで
きる。尚、支持体2を構成する材料としてはポリエチレ
ンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレー
ト(PEN)、ポリアミド(PA)の非磁性材料が好適
に用いられる。支持体2の厚さは1〜13μm、特に1
〜8μmであることが高容量の磁気記録媒体を得る点か
ら好ましい。
【0011】次いで、これらの塗膜に対して磁場配向処
理を行う。磁場配向処理は、各塗膜が乾燥する前に行わ
れ、例えば磁気テープを製造する場合には、塗料の塗布
面に対して平行方向に約40kA/m以上、好ましくは
約80〜800kA/mの磁界を印加する方法や、塗料
が湿潤状態の内に約80〜800kA/mのソレノイド
等の中を通過させる方法により行うことができる。
【0012】引き続き、塗膜の乾燥処理を行う。乾燥処
理は、例えば加熱された気体の供給により行うことがで
き、この際、気体の温度とその供給量を制御することに
より塗膜の乾燥の程度を制御することができる。乾燥温
度は20〜120℃、特に40〜100℃であることが
好ましい。
【0013】乾燥処理後、得られた原反を一旦巻き取
り、続いてカレンダー処理を行う。カレンダー処理は、
メタルロールとコットンロール若しくは合成樹脂ロール
との間、又は2本のメタルロールの間を通すスーパーカ
レンダー法等により行うことができる。カレンダー処理
の条件としては、ロール線圧が100〜500kg/c
m、特に100〜400kg/cmであることが好まし
く、ロール表面温度が50〜150℃、特に70〜10
0℃であることが好ましい。
【0014】カレンダー処理後、支持体2の裏面側に、
カーボンブラック及び結合剤を主成分とし且つこれらの
成分が溶剤に分散されてなるバックコート塗料を塗布
し、塗膜を乾燥させてバックコート層5を形成する。そ
の後、所定時間、所定温度にて養生させる。養生後、例
えば磁気テープを得る場合には所定幅にスリットするこ
とによって、上記磁気記録媒体1が得られる。
【0015】而して、上記磁気記録媒体1の製造方法に
おいては、下層用塗料に粒径80nm以下のカーボンブ
ラックが上記無機粉末100重量部に対して0.1〜5
重量部含有されている。また、下層用塗料は固形分が3
0〜40重量%で、且つ乾燥厚みが5μmとなるように
塗布したときの乾燥塗膜の表面電気抵抗値が105 〜1
7 Ω/□である。そして、下層用塗料および上層磁性
層用塗料は、下層3の乾燥厚みが上層磁性層4の乾燥厚
みの3倍以上となるようにそれぞれ塗布される。以下、
これらの特徴についてそれぞれ説明する。
【0016】下層用塗料に含有されるカーボンブラック
について説明すると、その粒径が80nmより大きい場
合、下層3中に占めるカーボンブラックの体積が大きく
なり、膜剛性の低下につながり易い。また、下層用塗料
におけるカーボンブラックの含有量が上記無機粉末10
0重量部に対して0.1重量部未満であると磁気記録媒
体の表面電気抵抗値が充分に低下せず、5重量部より多
いと粒子間の凝集が起こり易くなり、磁気記録媒体の表
面性が低下する。このような理由により、下層用塗料に
含有されるカーボンブラックの粒径および配合量は上述
の範囲にする。カーボンブラックの粒径の好ましい範囲
は10〜70nm、特に20〜40nmである。カーボ
ンブラックの粒径が10nmより小さいと凝集し易くな
り磁気記録媒体の表面性を低下させる傾向があるので、
これ以上の粒径であることが好ましい。また、カーボン
ブラックの含有量の好ましい範囲は上記無機粉末100
重量部に対して1〜4重量部、特に1〜3重量部であ
る。カーボンブラックの粒径は電子顕微鏡観察によって
測定される。
【0017】下層用塗料の固形分は上述の通り30〜4
0重量%とする。30重量%未満では塗布後の乾燥時間
が長くなり、カーボンブラックの凝集が助長され、40
重量%より多いと下層用塗料中の粉末の流動性が悪くな
る。固形分の好ましい範囲は32〜38重量%である。
【0018】下層用塗料および上層磁性層用塗料の塗布
に際しては、下層3の乾燥厚みが上層磁性層4の乾燥厚
みの3倍以上、好ましくは3〜25倍、特に好ましくは
4〜15倍となるように両塗料を塗布する。このような
厚みの比となるように塗布を行うことにより、得られる
磁気記録媒体の上層磁性層側の表面電気抵抗が下層3の
表面電気抵抗に依存するようになる。尚、両者のそれぞ
れの厚みについては後述する。
【0019】そして、本発明において最も特徴的な点
は、下層用塗料を乾燥厚みが5μmとなるように塗布し
たときの乾燥塗膜の表面電気抵抗値(以下、下層塗料抵
抗値という。)が105 〜107 Ω/□となるよう制御
したところにある。上述のカーボンブラックを含み且つ
上述の固形分を有する下層用塗料において乾燥塗膜の表
面電気抵抗値を決定づけるのはカーボンブラックである
が、本発明者らの検討によって、塗料中のカーボンブラ
ック粒子間の距離を制御することにより、このような下
層塗料抵抗値を有する乾燥塗膜を形成し得る下層用塗料
を得ることができることが判明した。導電性物質である
カーボンブラック粒子間には結合剤が絶縁物質として存
在し、カーボンブラック−結合剤−カーボンブラックの
微視的構造はあたかもコンデンサの様に振る舞っている
ものと思われる。従って、カーボンブラック粒子間の距
離が大きいと下層塗料抵抗値が高くなり、逆に粒子間の
距離が小さいと下層塗料抵抗値が低くなる。しかし、カ
ーボンブラック粒子間の距離が短くなりすぎて凝集が起
こると、見掛け上、大粒径のカーボンブラック粒子とな
り、そのカーボンブラック粒子間の距離は大きくなるの
で、下層塗料抵抗値が下がらないものと推察される。従
って、凝集を防ぐ目的でも、カーボンブラックの配合量
は上述の範囲であることが必要とされる。
【0020】下層塗料抵抗値は5×105 〜8×107
Ω/□、特に5×105 〜8×10 6 Ω/□であること
が好ましい。尚、本発明において下層塗料抵抗値の測定
に膜厚5μmを採用した理由は、膜厚が5μmになると
表面電気抵抗値が膜厚に依存しなくなることを見出した
ことによる。膜厚が薄い場合には表面電気抵抗値が膜厚
に依存して変化するため、バルクの抵抗値を正確に測定
できない。斯かる下層塗料抵抗値を有する乾燥塗膜を形
成し得る下層用塗料を用いることにより、本発明の製造
方法で得られる磁気記録媒体の上層磁性層側の表面電気
抵抗値は好ましくは1×105 〜8×106 Ω/□程度
となる。
【0021】カーボンブラック粒子間の距離を制御し、
下層塗料抵抗値を上記の範囲とするには具体的に以下の
(1) 〜(3) の方法が挙げられるが、これらは代表的な例
示であり、これらに限定されるものではない。 (1) DBP吸油量(ASTM D−2414−79)が
300ml/100g以上のカーボンブラックを使用す
る。更に好ましいDBP吸油量は350〜900ml/
100g、特に400〜600ml/100gである。 (2) pH(ASTM D−1512−79)が8以上、
特に8〜10のカーボンブラックを使用する。 (3) 塗膜を乾燥させる際に、下層用塗料の溶剤成分中、
最も低い沸点の溶剤の該沸点より20℃低い温度〜10
℃高い温度の温風を吹き付けて乾燥を行う。 特に、これら(1) 〜(3) の方法を2つ以上を組み合わせ
るとカーボンブラック粒子間の距離が適度になるので好
ましい。
【0022】下層用塗料に含有される上記無機粉末とし
ては、磁性粉末および非磁性粉末の何れでもよい。特
に、その粒径(長軸長)が100nm以下であると、下
層3と上層磁性層4との界面が平滑になり、上層磁性層
4の表面が平滑になるので好ましい。磁性粉末として
は、特開平9−35246号公報の第3欄2行〜第4欄
8行に記載のものが挙げられ、特に強磁性六方晶系フェ
ライト粉末が好ましい。その板径は10〜70nmが好
ましく、板径比(板径/板厚)は2〜7が好ましい。ま
た、その保磁力は135〜260kA/m、飽和磁化は
25〜75Am2 /kg、BET比表面積は30〜70
2 /gであることが好ましい。非磁性粉末としては、
特開平9−35246号公報の第9欄44行〜第10欄
7行に記載のものが挙げられ、特にα−酸化鉄、酸化チ
タン、炭酸カルシウムが好ましい。その粒径は5〜80
nmであることが好ましい。また、上記磁性粉末と該非
磁性粉末とを混合してもよい。
【0023】下層用塗料に含有される結合剤としては、
例えば特開平9−35246号公報の第4欄第25〜3
2行に記載のものが挙げられ、特に塩化ビニル系樹脂、
ポリウレタン系樹脂およびニトロセルロース系樹脂等が
好適に用いられる。これらの結合剤は、ヒドロキシル
基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ニトロ
基または硝酸エステル基、アセチル基、硫酸塩、エポキ
シ基、ニトリル基、カルボニル基、アミノ基、アルキル
アミノ基、アルキルアンモニウム塩基、スルホベタイ
ン、カルボベタインなどのベタイン構造などの分極性の
官能基(いわゆる極性基)を含有していることも好まし
い。
【0024】上記下層用塗料は、上記カーボンブラッ
ク、無機粉末及び結合剤を含みこれらの成分がケトン系
溶剤、芳香族系溶剤、脂環式炭化水素系溶剤等に分散さ
れて形成されている。更に、下層用塗料に、上記成分に
加えて脂肪酸や脂肪酸エステル等の潤滑剤、α−アルミ
ナ及び酸化クロム等のモース硬度が8以上の研磨材、イ
ソシアネート系化合物等の硬化剤などを任意に含有させ
ることにより、磁気記録媒体1の性能を一層向上させる
ことができる。
【0025】下層用塗料における上記各成分の好ましい
配合量は、上記磁性粉末および上記非磁性粉末の合計量
100重量部(磁性の下層3を形成する場合)、又は上
記非磁性粉末100重量部(非磁性の下層3を形成する
場合)に対してそれぞれ以下の通りである。 ・結合剤:1〜50重量部、特に2〜25重量部 ・潤滑剤:1〜20重量部、特に3〜10重量部 ・研磨材:1〜30重量部、特に1〜12重量部 ・硬化剤:0〜12重量部、特に0〜8重量部
【0026】上述の成分の分散状態を適切にコントロー
ルし、下層塗料抵抗値が上述の範囲となるような下層用
塗料を調製するためには、例えば、先ず、カーボンブラ
ック、磁性粉末および非磁性粉末等の無機粉末、結合剤
及び研磨材を、少量の溶剤と共にナウターミキサー等に
投入し予備混合して混合物を得、この混合物を連続式加
圧ニーダー等により混練(固練り)する。この混練工程
においては、結合剤の量を可能な限り多くし且つ溶剤の
量を可能な限り少なくすることが各粉末、特に上記カー
ボンブラックの分散性の向上に重要である。混練工程で
得られた混練物を、溶剤で希釈して固形分を好ましくは
30〜50重量%程度となした後、攪拌機で分散する。
更に、サンドミル等のミリング装置を用いた微分散が行
われる。この際、ミリング装置によるミリングパス数を
制御することにより、各種粉末、特に上記カーボンブラ
ックの分散状態を適切にコントロールすることができ
る。微分散の後、潤滑剤等の添加剤を添加し、更に溶剤
を添加して固形分を、最終的に得られる下層用塗料の固
形分である30〜40重量%程度に調整する。この後、
攪拌機で所定時間攪拌し、引き続き濾過フィルターを用
いて濾過する。濾過フィルターとしては絶対濾過精度が
1〜30μm程度のものを用いることが不純物の除去効
率の点で好ましい。最後に上記硬化剤を添加し下層用塗
料が得られる。
【0027】このようにして得られた下層用塗料は、下
層3の乾燥厚みが0.7〜2μm、特に0.7〜1.5
μmとなるように塗布されることが好ましい。下層3の
乾燥厚みが0.7μmに満たないと塗布後の表面抵抗を
十分に下げることが難しくなることがあり、2μmを超
えると媒体の全厚が厚くなってしまい、テープにしたと
きの高容量化の設計が難しくなるので上記範囲内とする
ことが好ましい。尚、上述した通り、下層3の乾燥厚み
は、後述する上層磁性層4の乾燥厚みの3倍以上となっ
ている。
【0028】次に、上記磁気記録媒体1の製造方法に用
いられる上層磁性層用塗料について説明すると、該上層
磁性層用塗料は上述の通り強磁性粉末および結合剤を含
んでおり、これらの成分が溶剤に分散されて形成されて
いる。これら強磁性粉末および結合剤としては、下層用
塗料に含有されるものと同様のものを用いることができ
る。特に強磁性粉末として針状または紡錘状の強磁性金
属粉末または強磁性酸化鉄系粉末を用いることが電磁変
換特性の向上の点から好ましい。これらの強磁性粉末は
長軸長が100nm以下、特に80nm以下、針状比が
2〜8、特に2〜10、BET比表面積が30〜70m
2 /g、特に40〜70m2 /gであることが好まし
い。
【0029】上層磁性層用塗料は、下層用塗料と同様
に、カーボンブラック、潤滑剤、研磨材および硬化剤等
を含有していてもよい。これらの成分としては、下層用
塗料に含有されるものと同様のものを用いることができ
る。特にカーボンブラックとして上述した粒径、DBP
吸油量及びpHを有するものを用いることが好ましい。
【0030】上層磁性層用塗料に含有される各成分の好
ましい配合量は、上記強磁性粉末100重量部に対して
それぞれ以下の通りである。 ・結合剤:1〜30重量部、特に2〜15重量部 ・カーボンブラック:0.1〜10重量部、特に0.1
〜5重量部 ・潤滑剤:0.1〜5重量 部、特に0.5〜2重量部 ・研磨材:2〜20重量部、特に3〜15重量部 ・硬化剤:5重量部以下、特に2重量部以下
【0031】尚、上層磁性層用塗料に関して特に説明し
なかった点については下層用塗料に関して詳述した説明
が適宜適用される。
【0032】上層磁性層塗料を下層3上に塗布し乾燥さ
せて形成される上層磁性層4は、その乾燥厚みが、S/
N比の向上や自己減磁の点から、0.05〜0.6μ
m、特に0.06〜0.35μmであることが好まし
い。
【0033】以上、本発明の磁気記録媒体の製造方法を
その好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上
記実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範
囲において種々の変更が可能である。例えば、下層用塗
料および上層磁性層用塗料の塗布には逐次重層塗布法を
用いてもよい。また、バックコート層5を形成した後
に、下層用塗料および上層磁性層用塗料の塗布し、下層
3及び上層磁性層4を形成してもよい。また、支持体2
と下層3との間および/又は支持体2とバックコート層
5との間に必要に応じて磁気記録媒体の各種性能を高め
得る一又は二以上の層を形成してもよい。また、本発明
の製造方法により得られる磁気記録媒体は、8mmビデ
オテープやDATテープ、DVCテープ等の画像音声記
録テープ、DDSテープや1/4インチデータカートリ
ッジ(QIC)テープなどのデータ記録テープ等の磁気
テープとして好適であるが、フレキシブルディスクのよ
うな磁気ディスク等の他の磁気記録媒体としても適用す
ることもできる。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
すると共にその有効性を例証する。しかしながら、本発
明の範囲は斯かる実施例に制限されるものではない。
尚、特に断らない限り、「部」及び「%」それぞれ「重
量部」及び「重量%」を意味する。
【0035】〔実施例1〕 (1) 下層用塗料の調製 下記のバリウムフェライト、α−酸化鉄、カーボンブラ
ック及び研磨材を下記の部数で以て少量の溶剤と混合
し、この混合物を連続式加圧ニーダーで混練して、固形
分濃度が85%である混練物を得た。この混練物に溶剤
を添加して固形分濃度が30〜40%となるように希釈
して攪拌機で分散させた。更に、微分散させ、次いで潤
滑剤を添加し、更に溶剤を添加して固形分濃度を最終濃
度である35%に調整した。次いで、絶対濾過精度1μ
mの濾過フィルターを用いて濾過し、最後に硬化剤を添
加して下記組成を有する下層用塗料を得た。このように
して得られた下層用塗料をその乾燥塗膜の膜厚が5μm
になるようにPETフィルム上に塗布した場合の表面電
気抵抗値(下層塗料抵抗値)をJIS−K6723に従
い測定した。その結果を表1に示す。
【0036】 <下層用塗料> ・平板状バリウムフェライト 50部 (保磁力160kA/m、飽和磁化60Am2 /kg、板径50nm、板状比 6) ・針状α−酸化鉄(平均長軸長80nm) 50部 ・研磨材(α−アルミナ、平均粒径0.5μm) 7部 ・カーボンブラック(表1参照) ・結合剤(ニトロ基を含んだ塩化ビニル系共重合体) 20部 ・潤滑剤(オレイン酸ブチル) 5部 ・硬化剤 6部 〔ポリイソシアネート、日本ポリウレタン工業(株)製 商品名(コロネートL )〕 ・溶剤(メチルエチルケトン、b.p.80℃) 100部 ・溶剤(トルエン、b.p.111℃) 50部 ・溶剤(シクロヘキサノン、b.p.150℃) 100部
【0037】(2) 上層磁性層用塗料およびバックコート
塗料の調製 下層用塗料の調製と同様の方法により、下記組成を有す
る上層磁性層用塗料およびバックコート塗料を得た。
【0038】 <上層磁性層用塗料> ・鉄を主体とする針状金属強磁性粉末 100部 (保磁力143kA/m、飽和磁化141Am2 /kg、平均長軸長0.08μ m、針状比6) ・研磨材(α−アルミナ、粒径0.24μm) 10部 ・カーボンブラック 0.5部 (平均一次粒径30nm、pH9.5、DBP吸油量500ml/100g) ・結合剤(ニトロ基を含んだ塩化ビニル系共重合体) 20部 ・潤滑剤(オレイン酸ブチル) 5部 ・硬化剤 6部 〔ポリイソシアネート、日本ポリウレタン工業(株)製 商品名(コロネートL )〕 ・溶剤(メチルエチルケトン) 100部 ・溶剤(トルエン) 50部 ・溶剤(シクロヘキサノン) 100部
【0039】 <バックコート塗料> ・カーボンブラック(平均一次粒径:0.018 μm) 40部 ・カーボンブラック(平均一次粒径:0.075 μm) 2部 ・結合剤 50部 〔ポリウレタン樹脂、日本ポリウレタン工業(株)製のニッポラン2301(商品名 )〕 ・結合剤 27部 〔ニトロセルロース、旭化成工業社製のCelnova BTH 1/2 (商品名)〕 ・硬化剤 4部 〔ポリイソシアネート、武田薬品工業社製のD−250N(商品名)〕 ・銅フタロシアニン 5部 ・ステアリン酸 1部 ・溶剤(メチルエチルケトン) 140部 ・溶剤(トルエン) 140部 ・溶剤(シクロヘキサノン) 140部
【0040】(3) 磁気記録媒体の製造 厚さ5μmのPETフィルム(支持体)の一面に、上層
磁性層用塗料および下層用塗料を、上層磁性層および下
層の乾燥厚さがそれぞれ0.15μm及び1.5μmと
なるように、2つの押し出し口を持つコーターヘッドを
用いて同時重層塗布し、それぞれの塗膜を形成した。次
いで、これらの塗膜が湿潤状態から乾燥状態になる間
で、400kA/mの磁場強度のソレノイド中を通過さ
せ磁場配向処理し、更に70℃の温風を吹き付けて乾燥
処理した。次に、95℃、300kg/cmの条件でカ
レンダー処理を施し、上層磁性層および下層を形成し
た。引き続き、上記支持体の反対側の面上にバックコー
ト塗料を乾燥厚さが0.7μmになるように塗布し、更
に同様の乾燥を行いバックコート層を形成した。次い
で、50℃で50時間養生させた後、3.8mm幅にス
リットし、図1に示す構造を有する磁気テープを得た。
【0041】〔実施例2〜4及び比較例1〜5〕下層用
塗料に配合されるカーボンブラックの種類および配合
量、下層用塗料の調製の際のミリングパス数、下層用塗
料の固形分、下層の乾燥厚み、及び塗膜の乾燥条件を表
1に示す通りとする以外は実施例1と同様にして磁気テ
ープを得た。
【0042】〔性能評価〕実施例および比較例で得られ
た磁気テープについて、上層磁性層側の表面電気抵抗
値、上層磁性層の中心線平均粗さRa及び走行安定性を
下記の方法にて測定・評価した。その結果を表1に示
す。
【0043】〔上層磁性層側の表面電気抵抗値〕スリッ
トする前の磁気テープ原反を用い、上層磁性層側の表面
電気抵抗値をJIS−K6723に従い測定した。
【0044】〔中心線平均粗さRa〕Zygo社製Lase
r Interferometric Microscope Maxim 3D Model 5700を
用い、以下の条件で測定した。 ・Filter:Fixed ・Remove:Cylinder ・Filter Freg :4.0(1/mm) ・Filter Wavelength :0.250(mm) ・Trim:0 ・Trim Move :All ・レンズ:Fizeau ×40
【0045】〔走行安定性〕20±5℃、50±10%
RHの通常環境下で磁気テープをドライブに装填し、1
000パス走行させた後、テープを取り出す。この磁気
テープから5ポジションをランダムに選び、上層磁性層
側を光学顕微鏡(倍率50倍)で観察し、傷および2μ
m以上の塵埃をカウントして、下記の基準で評価した。 ○・・・ゴミの付着および傷なし。 △・・・ゴミの付着あり(5ポジションの平均5コ以
上)。 ×・・・ゴミの付着および深い傷あり。
【0046】
【表1】
【0047】表1に示す結果から明らかなように、本発
明の方法により製造された磁気テープ(実施例1〜4)
は、比較例の磁気テープに比して表面電気抵抗が低下し
ていることが判る。また、上層磁性層の中心線平均粗さ
Raが低く、磁気ヘッドとのスペーシングロスが低減さ
れ、電磁変換特性に優れることも判る。更に走行安定性
も高いことが判る。
【0048】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明の磁気記録
媒体の製造方法によれば、コストパフォーマンスに優
れ、表面電気抵抗値の低下した磁気記録媒体を安定して
製造することができる。また、本発明によれば、電磁変
換特性および走行耐久性に優れた磁気記録媒体を製造す
ることができる。更に、本発明の製造方法により得られ
る磁気記録媒体は、表面電気抵抗の低下したものとな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の製造方法により製造さ
れる磁気記録媒体の構成の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体 2 支持体 3 下層 4 上層磁性層 5 バックコート層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カーボンブラック、無機粉末および結合
    剤を含有する下層用塗料と、強磁性粉末および結合剤を
    含有する上層磁性層用塗料とを同時又は逐次で支持体上
    に塗布し、下層及び上層磁性層をこの順で設ける磁気記
    録媒体の製造方法において、 上記カーボンブラックは粒径80nm以下で、上記下層
    用塗料中の上記無機粉末100重量部に対して0.1〜
    5重量部含有され、 上記下層用塗料は固形分が30〜40重量%で、且つ乾
    燥厚みが5μmとなるように塗布したときの乾燥塗膜の
    表面電気抵抗値が105 〜107 Ω/□であり、 上記下層用塗料および上記上層磁性層用塗料を、上記下
    層の乾燥厚みが上記上層磁性層の乾燥厚みの3倍以上と
    なるようにそれぞれ塗布することを特徴とする磁気記録
    媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記カーボンブラックのDBP吸油量が
    300ml/100g以上であることを特徴とする請求
    項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 カーボンブラック、無機粉末および結合
    剤を含有する下層と、強磁性粉末および結合剤を含有す
    る上層磁性層とがこの順で支持体上に設けられてなる磁
    気記録媒体において、上記上層磁性層側の表面電気抵抗
    が1×105〜8×106 Ω/□であることを特徴とす
    る磁気記録媒体。
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