JPH11271382A - 導電装置の部分放電発生位置検出装置及び部分放電強度検出装置 - Google Patents

導電装置の部分放電発生位置検出装置及び部分放電強度検出装置

Info

Publication number
JPH11271382A
JPH11271382A JP5521198A JP5521198A JPH11271382A JP H11271382 A JPH11271382 A JP H11271382A JP 5521198 A JP5521198 A JP 5521198A JP 5521198 A JP5521198 A JP 5521198A JP H11271382 A JPH11271382 A JP H11271382A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mode
intensity
frequency
partial discharge
ratio
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP5521198A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4216920B2 (ja
Inventor
Hirotaka Muto
浩隆 武藤
Masafumi Doi
雅史 土井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP05521198A priority Critical patent/JP4216920B2/ja
Publication of JPH11271382A publication Critical patent/JPH11271382A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4216920B2 publication Critical patent/JP4216920B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 筒状体内に同軸に収容された導体を有する導
電装置において部分放電の径方向の位置を知ることがで
きる部分放電発生位置検出装置を得る。 【解決手段】 タンク11内の部分放電によって発生す
る電磁波モードを検出し高速フーリエ変換装置23にて
フーリェ変換を行い、周波数スペクトルを求める。割算
器26によりタンク11と内部高圧導体12の寸法から
想定できるTE11モードの遮断周波数より小さい第一
の周波数成分の強度A1とTE11モードの遮断周波数
以上の第二の周波数成分の強度A2との比率U=A1/
A2を求め、判定装置27にてUの時間変化の有無か
ら、放電が自由異物、固定異物何れによるものかを決定
する。固定異物による場合は、比率Uから部分放電のタ
ンク内の径方向の発生位置を求める。強度A1はTEM
モードの強度であり、電磁波モード中のTEMモードの
割合から、放電の径方向の位置を知ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガス絶縁開閉装置
や電力ケーブル等の導電装置の部分放電発生位置検出装
置、特に筒状体の長さ方向と交差する方向の位置を的確
に知ることができる導電装置の部分放電発生位置検出装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の導電装置であるガス絶縁機器の部
分放電検出装置として、例えば特開平2−31174号
公報に記載されたものがある。これは、部分放電の周波
数スペクトルの特性から異常を検出するもので、例えば
周波数スペクトルに現れる複数のスペクトル強度の山の
スペクトル幅を測定または比較して、コンタクトの接触
不良、電気フロート、スペーサのクラックとボイド、金
属線等の異常原因を診断しようとするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の部分放電検出装
置は上記の如きであったが、この方法では部分放電が径
方向のどのあたりの位置で発生しているのかを、的確に
知ることができなかった。異常の径方向の位置によって
は早急に点検を要するものもあり、しばらくは放置して
おいても有害ではないものもあることから、径方向の異
常位置の判定を的確に行える装置が望まれている。
【0004】すなわち、例えばガス絶縁開閉装置(以下
GISという)の筒状体であるタンク内への異物の混入
を考えた場合、同じ形状の異物でもタンク側にある場合
は起立→浮上→破壊という段階を踏むのに対し、内部高
圧導体側にある場合は直ちに破壊に結び付く可能性があ
る。よって、異物の径方向の位置を知ることは絶縁診断
上重要なことである。
【0005】本発明の目的とするところは、上記のよう
な問題点を解決して、導電性材料で形成された筒状体と
この筒状体内に収容され筒状体の長さ方向に延伸された
導体とを有する導電装置における上記筒状体内で発生す
る部分放電が、筒状体の長さ方向と交差する方向のどの
位置で発生したか、すなわち筒状体が円筒状であればそ
の径方向のどの位置で発生したかを知ることができる導
電装置の部分放電発生位置検出装置を得ることにある。
さらに、部分放電の強度を知ることができる部分放電強
度検出装置を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の導電装置の部分放電発生位置検出装置にお
いては、導電性材料で形成された筒状体とこの筒状体内
に収容され筒状体の長さ方向に延伸された導体とを有す
る導電装置における筒状体内で発生する電磁波を検出す
る電磁波検出部を有し検出された電磁波の内の所定の電
磁波モードの強度に基づいて部分放電の筒状体の長さ方
向と交差する方向の発生位置を知る検知装置を設けた。
【0007】筒状体内において放電が発生すると放電の
エネルギにより各種の電磁波モードが励起される。一般
に励起源の強度、すなわち放電の強度が同じであれば、
モード固有の電界強度分布において電界が高くなる場所
で励起するとそのモードが強く励起される。すなわち、
各モードの電磁波強度は放電源の位置に依存する。従っ
て、これら電磁波モードの強度から部分放電源の筒状体
の長さ方向と交差する方向の位置を知ることができる。
【0008】そして、検知装置は、異なる電磁波モード
の強度の比に基づいて発生位置を知るものであることを
特徴とする。部分放電は、放電発生の都度、その強度は
変化するが、電磁波モード間の強度の比は変化しない。
そして、その比は放電源の径方向の位置に依存するの
で、モード間の強度の比から、部分放電の発生位置を的
確に知ることができる。
【0009】さらに、検知装置は、TEMモードの強度
と、少なくともTEm1モード、但しmは1以上の整
数、を含む電磁波モードの強度との比に基づいて発生位
置を知るものであることを特徴とする。TEMモードと
TEm1モードは、個々のモードが径方向位置に対して
ほぼ1対1に対応する電界強度分布をもつ。特に、TE
Mモードは導体からの距離に反比例する電界分布を示す
ことから、TEMモードの強度とTEm1モードを含む
電磁波モードの強度との比から放電源の位置を知ること
ができる。なお、少なくともTEm1モードを含む電磁
波モードであれば、TMモードやTEm2モード(mは
整数)などの電磁波モードが含まれていても、その割合
が小さいので、大きな影響は受けない。
【0010】また、検知装置は、TE11モードの遮断
周波数未満の所定の第一の周波数の強度をTEMモード
の強度とし、TE11波の遮断周波数以上の所定の第二
の周波数の強度との比に基づいて発生位置を知るもので
あることを特徴とする。TEモードあるいはTMモード
はTE11波の遮断周波数未満には成分をもたないの
で、TE11モードの遮断周波数未満の第一の周波数の
強さはTEMモードの強さを示すものであり、TEMモ
ードの強さとTE11モードの遮断周波数以上の第二の
周波数の強さとの比を求めることにより、その放電がT
EMモードをどの程度を含むのかがわかり、放電発生源
の位置がわかる。TEモードやTMモードの分離が不要
であるので、測定が容易である。なお、少なくともTE
m1モードを含む電磁波モードであれば、TMモードや
TEm2モード(mは整数)などの電磁波モードが含ま
れていても、その割合が小さいので、大きな影響は受け
ない。
【0011】そして、検知装置は、TE11モードの遮
断周波数未満の所定範囲の周波数帯域の強度の積分値を
TEMモードの強度とし、TE11波の遮断周波数以上
の所定範囲の周波数帯域の強度の積分値との比に基づい
て放電の発生位置を知るものであることを特徴とする。
部分放電によるGIS中でのスペクトルは急峻で複数の
ピークが発生することが多い。従って、所定の第一の周
波数あるいは第二の周波数での強度ではなく、各所定範
囲の周波数帯域の強度の積分値を求めることにより検出
強度が大きくなる。従って、それぞれの周波数帯域にお
いて求めた積分値の比に基づけば、検出感度が良くな
る。
【0012】さらに、検知装置は、TEMモードの強度
と、TEm1モード、但しmは1以上の整数、の強度と
の比に基づいて発生位置を知るものであることを特徴と
する。TEMモードの強度は筒状体の軸と交差する方向
の位置に依存してほぼ単調に増加する。また、TEm1
モードの強度は、筒状体の軸と直交する方向の位置に依
存して中心導体に近いほど、ほぼ単調にTEMモードよ
りも少ない割合で増加するか、ほぼ一定で変化しない
か、あるいは減少する。すなわち、筒状体の軸と直交す
る方向の位置と周波数スペクトル強度との関係が1対1
となる。従って、TEMモードとTEm1モードを用い
ることによって、径方向の位置をより正確に判定でき
る。特に、TEMモードとTEm1モードの境界となる
周波数は導電装置の構造から計算できることから、モー
ドを同定するための煩雑な実験的作業をすることなく、
容易に部分放電の発生位置を知ることができる。
【0013】また、検知装置は、TEp1モードの強度
と、TEq1モードの強度との比、但しpは2以下の整
数、qはpより大きい整数、に基づいて発生位置を知る
ものであることを特徴とする。TEp1モード、ただし
pは2以下の整数、はその強度が筒状体の軸と直交する
方向の位置に依存して中心導体に近くなるに従って、ほ
ぼ単調に増加するか、ほぼ一定で変化しない。一方、T
Eq1モードは、qをpより大きく選択した場合は、中
心導体に近くなるに従ってTEp1モードよりもその強
度の増加の割合が小さい。故に、TEp1モードの強度
とTEq1モードの強度の比はより強く筒状体の軸と交
差する方向の位置に依存する。従って、このようなモー
ド比を選択することによって、より正確な部分放電の発
生位置を知ることができる。
【0014】そして、検知装置は、TE31モードの遮
断周波数未満の所定の第一の周波数の強度と、TE31
モードの遮断周波数以上の所定の第二の周波数の強度と
の比に基づいて発生位置を知るものであることを特徴と
する。TE31の遮断周波数より低い周波数にはTE
M、TE11、TE21の3種類のモードしか含まれな
い。これらのモードはタンクに近いほどその強度が小さ
いモードである。一方、TE31モードの遮断周波数以
上の周波数では放電源の位置がタンクに近いほどその強
度が大きい。
【0015】従って、両者の比をとった場合、その値は
部分放電の発生位置に極めて敏感となる。さらに、例え
ば特定のガス絶縁開閉装置の形状に対応する各モードの
周波数を知るには、あらかじめ模擬放電源などにより実
測する必要がある。これに対し、ガス絶縁開閉装置の形
状から理論的に導出可能なTE31モードの遮断周波数
を境界周波数とすることで、検知すべき周波数を実験的
に探索する必要がなくなるので、測定が容易である。
【0016】さらに、検知装置は、TE31波の遮断周
波数未満の所定範囲の周波数帯域の強度の積分値と、T
E31波の遮断周波数以上の所定範囲の周波数帯域の強
度の積分値との比に基づいて発生位置を知るものである
ことを特徴とする。部分放電によるGIS中でのスペクト
ルは急峻で複数のピークが発生することが多い。従っ
て、所定の第一の周波数あるいは第二の周波数での強度
ではなく、各所定範囲の周波数帯域の強度の積分値を求
めることにより検出強度が大きくなる。従って、それぞ
れの周波数帯域において求めた積分値の比に基づけば、
検出感度を良くすることができる。
【0017】また、電磁波検出部が、外部アンテナであ
ることを特徴とする。特定の電磁波モードの周波数を知
るには、放電源と電磁波検出部との角度を変化させてそ
の強度の周期性を調べる必要がある。この場合外部アン
テナを用いることにより角度依存性の測定が容易とな
る。
【0018】そして、検知装置は、異なる電磁波モード
の強度の比が時間的に変化するとき筒状体内を動く自由
異物による放電であると判定する自由異物判定手段を有
するものであることを特徴とする。異なる電磁波モード
の強度の比が時間的に変化することは、筒状体内の放電
発生位置が筒状体の長さ方向と交差する方向に移動して
いることを意味する。すなわち、この放電は筒状体内を
筒状体の長さ方向と交差する方向に移動する自由異物に
よるものと判定できる。
【0019】さらに、導電装置は、ガス絶縁開閉装置、
ガス絶縁母線又は電力ケーブルであることを特徴とす
る。これら導電装置は、内部放電によりTEM、TEm
nモード(m,nは整数)の電磁波を発生し、これらモ
ード間の強度の比から放電源の位置を知ることができ
る。
【0020】また、この発明にかかる部分放電強検出装
置は、導電性材料で形成された筒状体とこの筒状体内に
収容され筒状体の長さ方向に延伸された導体とを有する
導電装置における筒状体内で発生する電磁波の内のTE
21モードの強度を求めてこれを部分放電強度の指標と
する。TE21モードは筒状体の長さ方向と交差する方
向の位置にほとんど依存しないので本モードを検出する
ことにより放電強度の正確な測定が可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】ガス絶縁機器等の導電装置の内部
異常は、発生する部分放電の周波数スペクトルを検出す
ることで診断できる。相分離母線GISは円筒同軸構造
をしているので、電磁波の伝搬に関して同軸導波管と見
なすことができる。同軸導波管内を伝搬する電磁波モー
ドには、TEMモード(tansverse elec
tro−magnetic mode)、TEmnモー
ド、TMmnモードの基本的に3種類のモードが存在す
る。ここで、TEmnモード(transversee
lectric mode)の場合は、mおよびnは1
以上の整数である。TMmnモード(transver
se magnetic mode)の場合は、mは0以
上の整数、nは1以上の整数である。各電磁波モードは
それぞれのモードに固有の電磁界分布をもつ。
【0022】図1〜図4は、各モードの電界分布の一例
を示す特性図である。図1はTEMモードとTEm1モ
ードの特性を示し、図2はTMm1モードの径方向電界
成分の径方向分布を示す。図3は、TE11モードとT
M01モードの電界の径方向成分を示す特性図、図4
は、各モードの周波数分布図である。
【0023】TEMモードは、良く知られているように
同軸中心からの距離に反比例する電界分布を示すことか
ら、図1のように、電界強度と径方向位置とは1対1に
対応する。放電発生源がタンク側にある場合、放電発生
源から放射された電磁波は、放電発生源が内部高圧導体
側にある場合に比べて内部高圧導体との結合が弱くな
る。TEMモードの電磁波が発生するためには導体が2
つ必要なことから、タンク側で放電した場合は内部高圧
導体側で放電した場合に比べて内部高圧導体との結合が
弱い分TEMモードの電磁波が発生しにくくなってい
る。
【0024】一方、図2のように、TMm1モードは中
心導体とタンク底面との間においてその強度が極小とな
る位置があり、電界強度と径方向位置は1対1に対応し
ない。また、図示はしていないが、TEmn、TMmn
モードの内nが2以上のモードについては、中心導体と
タンクとの間においてその強度が極小となる位置があ
り、電界強度と径方向の位置とは1対1に対応しない。
【0025】ところで、部分放電源はGISのタンク内
のある位置に偶発的に存在し、例えば中心導体表面や、
タンク底面、スペーサ表面などが可能性としてある。そ
れらの放電源において放電が発生すると電磁波が励起さ
れる。前述したように、GISのように同軸構造容器内
においては放電のエネルギにより各電磁波モードが励起
される。励起される電磁波モードそれぞれの強度は放電
の大きさや放電源の位置に依存する。
【0026】一般に励起源の強度、すなわち放電の強度
が同じであれば、モード固有の電界強度分布において電
界が高くなる場所で励起するとそのモードが強く励起さ
れる。すなわち、図1および図2に示した各モードの電
界分布は各モードの電磁波強度の放電源位置依存性を示
している。従って、例えば、TE11モードの場合はタ
ンク底面に放電源が存在する場合に比較して中心導体側
に存在する方が強く励起されることを示している。一
方、TE31モードに関しては、タンク底面側に存在す
る方が強く励起されることを示している。
【0027】従って、部分放電によって発生するTE
M、TEmn、TMmnモードの内、TEMモード、T
Em1モードの強度を用いることによって放電源の径方
向の位置を知ることができる。なお、図2に示すように
TMモードは電界分布が中心導体表面とタンク底面の間
で極小値をもち径方向の位置とモードの強度が1対1に
対応しない。また、図示していないが、TEmnモード
の内、nが2以上のモードの場合にもTMモードと同様
にモードの強度と径方向の位置が必ずしも1対1に対応
しない場合がある。ゆえに、TMモードを単独の指標と
して用いることは適当でない。但し、図3の特性図に示
すようにTEMモードやTE11モードに比べてその値
は小さいので、TEMモードやTE11モード等に混在
していても、それほど影響を与えない。
【0028】ところで、部分放電は放電の種類によっ
て、また印加電圧によって決まる放電源周辺の電界によ
って放電の大きさが異なる。即ち、特定の電磁波モード
の強度の違いだけでは、放電の大きさの違いを反映して
いるのか、あるいは、部分放電発生の径方向位置の違い
を反映しているのかを知ることができない。従って、あ
る特定のモードの強度だけでは、放電源の径方向の位置
を同定することは困難である。
【0029】放電の大きさは発生の都度変化するが、何
らかの方法により放電の大きさの影響を除くことができ
れば、それは放電の大きさには依存せず、径方向だけに
依存することになり、特定の電磁波モードの強度の違い
は部分放電発生の径方向の位置の違いを反映することに
なるはずである。そうすれば、TEMモード、TEm1
モードの内のいずれかの電磁波モードの強さを検出する
ことにより、放電源の径方向上の位置を知ることができ
る。この発明は、上記のような着想に基づいてなされた
もので、以下にいくつかの実施の形態について説明す
る。
【0030】実施の形態1.以下、この発明の実施の一
形態を図5〜図10について具体的に説明する。図5は
筒状体であるGISのタンク内部に混入した導電性異物
と部分放電の検知装置の構成を示す構成図、図6は検知
装置の動作を示すフローチャートである。図7は部分放
電が内部高圧導体側にて発生した場合に発生する電磁波
の周波数スペクトルを示すスペクトル図、図8は部分放
電がタンク側で発生した場合に発生する電磁波の周波数
スペクトルを示すスペクトル図、図9は検知装置の検知
結果を示す特性図、図10は検知結果の時間変化を示す
特性図である。
【0031】ところで、上記で述べたTEM、TE、T
Mの各モードの周波数域は、図4の周波数分布図に示す
ような関係にある。例えば、TE11モードの電磁波は
ある所定の周波数fcTE11未満の区域には存在しな
い。すなわち各電磁波モードには遮断周波数fcが存在
する。遮断周波数fcとはある電磁波モードがその周波
数以上でしか存在しないという周波数である。
【0032】この遮断周波数fcは例えば、GISのよ
うな同軸円筒構造の場合には理論的に計算できる。この
遮断周波数fcは導波管として働くGIS10の形状で
決るもので、内部高圧導体12の外径をx、タンク11
の内径をyとすると、TEm1モードの遮断周波数は、
近似的に次の(1)式 fc=2c・m/π(x+y) ここに、c:光速 (1) で与えられる。例えば、内部高圧導体12の外径x=1
30mm、タンク11の内径y=550mmとすると、
TE11モードの遮断周波数fcTE11は約281M
Hzとなる。ただし、厳密には電磁界の境界条件にもと
づいた数値解析により得ることができる。
【0033】遮断周波数fcから電磁波モードを特定す
ることができる場合がある。例えば、TE11モードの
遮断周波数fcTE11以下ではTEMモードしか存在
できないので、fcTE11以下のスペクトル強度はT
EMモードのものであると判定できる。従って、遮断周
波数fcTE11より小さい所定の周波数における成分
の強さを求めれば、それがTEMモードの強さである。
そして、放電強度の影響を除くためにこのTEMモード
の強度と、TEMモード以外のTEやTMモードの強度
との比を求めることにより正規化する。この正規化され
たTEMモードの径方向電界成分の強度と放電発生の径
方向の位置dとは、1対1に対応するので、正規化され
たTEMモードの強さから、その放電の径方向の発生位
置を知ることができる。
【0034】図5において、導電装置としてのGIS1
0は次のように構成され、この発明の検知装置20が設
けられている。円筒状のタンク11の中心部に、断面が
中空円形の内部高圧導体12がタンク11と同軸になる
ようにして設けられている。内部高圧導体12は、タン
ク11の長さ方向に所定間隔をおいて設けられたコーン
状の絶縁スペーサ13により支持固定されている。ま
た、タンク11の内部、すなわち内部高圧導体12の周
囲には、絶縁媒体である六弗化硫黄ガス(以下、SF6
ガスと表す)が充填されている。
【0035】タンク11内部の異常状態として、内部高
圧導体12の表面に起立して固定された内部高圧導体固
定針15、タンク12の内壁面に起立して固定されたタ
ンク固定針16、固定されていない自由異物17、がそ
れぞれ放電発生源となる場合について考える。
【0036】検知装置20は、次のように構成されてい
る。電磁波検出器21がタンク11内に設置されてい
る。タンク11内部において部分放電が発生すると電磁
波が発生する。この電磁波を電磁波検出器21で検出
し、検出した信号を増幅器22で増幅し、高速フーリエ
変換装置23に取り込む。電磁波検出器21は、タンク
11の内面と面一に形成された平板状のアンテナであ
る。
【0037】そして、高速フーリエ変換装置23により
高速フーリエ変換を行い、周波数スペクトルを求める。
さらに、抽出器25によりこの周波数スペクトルのう
ち、TE11モードの遮断周波数fcTE11未満の第
一の周波数f1の成分の大きさA1(dBV)と、TE
11モードの遮断周波数fcTE11以上の第二の周波
数f2の成分の大きさA2(dBV)を取出す。
【0038】割算器26により、比率U=A1/A2を
求める。判定装置27は、比率Uの大きさ及び時間変化
の有無に基づき、固定異物か自由異物かを判定し、固定
異物の場合はタンク11内における径方向の位置を図9
の曲線Dに基づいて算出する。表示装置28は、判定装
置27の判定結果の文字情報及び比率Uの値を表示す
る。詳細は、後述する。なお、図5における高速フーリ
エ変換装置23、抽出器25、割算器26がこの発明に
おける正規化手段である。
【0039】第一、第二の周波数f1,f2は、このT
E11モードの遮断周波数fcTE11未満の周波数の
区域と、fcTE11以上の区域からそれぞれ選ぶ。す
ると、第一の周波数f1においてはTEMモードの波だ
けしか含まない。前述のように、例えば内部高圧導体1
2の外径x=130mm、タンク11の内径y=550
mmとすると、TE11モードの遮断周波数fcTE1
1は約281MHzになる。
【0040】例えば、f1=80MHz、f2=1GH
zに選ぶ。このように選ぶと、第一の周波数f1の成分
と第二の周波数f2の成分の各大きさの違いは、電磁波
中に含まれるTEM波とTE波との違いを反映するもの
になる。そして、放電発生源が内部高圧導体12側にあ
るか、タンク11側にあるかで電磁波中に含まれるTE
M波の割合が違ってくる。
【0041】次に動作について、図6のフローチャート
を参照しながら説明する。タンク11内に、放電発生源
としての上記の各種の異物である内部高圧導体固定針1
5、タンク固定針16、自由異物17のうちの一つを取
り付け、電圧を印加する。ステップS11において、そ
の時の部分放電にともなって発生する電磁波を電磁波検
出器21にて検出し、ステップS12において電磁波検
出器21からの信号を増幅器22で増幅する。
【0042】ステップS13において、増幅した信号を
高速フーリエ変換装置23に取り込み、波形を高速フー
リエ変換を行い、周波数スペクトルを求める。放電発生
源が内部高圧導体固定針15(図5参照)の場合の周波
数スペクトルを図7に、タンク固定針16(図5参照)
の場合の周波数スペクトルを図8に示す。なお、図7、
図8において、横軸が周波数frequncy(H
z)、縦軸が振幅Ampli(dBV)である。
【0043】TE11モードの遮断周波数fcTE11
未満の成分に着目すると、放電発生源が内部高圧導体固
定針15の場合である図7の方が、放電発生源がタンク
固定針16の場合である図8よりもかなり大きくなって
いる。
【0044】ステップS14において、高速フーリエ変
換装置23により求めた周波数スペクトルから、例えば
f1=80MHz、f2=1GHzにおける成分の大き
さA1,A2を抽出器25により抽出する。
【0045】ステップS15において、割算器26によ
り、比率U=A1/A2を求める。上述のように、第一
の周波数f1はTEMモードの波だけしか含まないの
で、比率U=A1/A2は、電磁波中に含まれるTEM
波の割合を反映するものになる。なお、比率Uを求めて
第一の周波数f1の成分A1の値を第二の周波数f2の
成分A2により正規化するのは、放電源が同じ場所にあ
っても放電発生の都度A1やA2の大きさは変化する
が、放電源が同じ場所にあれば放電電磁波中に含まれる
TEM波の割合はほとんど変わらないので、正規化する
ことにより放電の大きさが変わることの影響をなくすこ
とができるためである。
【0046】ステップS16において、判定装置27は
比率Uの時間変化の有無を判定する。時間変化があれ
ば、ステップS17において、この放電は自由異物によ
るものであると判定し、ステップS18において表示装
置28に「部分放電発生、自由異物」の表示をする。自
由異物の場合は内部高圧導体12とタンク11との間を
行き来するので、すなわち径方向に移動していることに
なり、比率Uが時間的に増減する。この場合、それは自
由異物による部分放電により発生した電磁波の信号であ
ると言える。
【0047】ステップS16において比率Uが時間に対
して変化せず一定の場合は、ステップS19において放
電発生源は径方向には移動していない、すなわち固定異
物であると判定する。
【0048】ステップS16の判定において、放電発生
源が固定異物で内部高圧導体12近傍にある場合は、図
10の特性Eのように所定値U1、タンク11近傍にあ
る場合は特性FのようにU1よりも小さい所定値U2を
示し、時間的に変化しない。また、自由異物であれば特
性Gのように時間的に所定値U1と所定値U2との間を
変化する。従って、固定異物か自由異物か判別すること
ができる。なお、図10において、横軸は時間t(m
s)、縦軸はUの大きさである。
【0049】ステップS20において、部分放電の位置
を求める。比率Uは、放電発生源が内部高圧導体12側
にあるかタンク11側にあるかでその大きさが異なる。
図9は、横軸に放電発生源の内部高圧導体12からの距
離d、縦軸に比率Uの値をプロットした曲線Dを示すも
のである。
【0050】この曲線Dは、GISの寸法により予め想
定することができ、放電発生源が内部高圧導体12の近
傍にあるとき比率U=U1、タンク11の近くの場合は
比率U=U2である。比率Uの値が大きいほど部分放電
の位置が内部高圧導体12に近いことが分る。すなわ
ち、放電発生源の径方向、すなわちタンク11の長さ方
向と交差する方向の位置を知ることができる。
【0051】従って、ステップS20において、判定装
置27は図9の曲線Dに相当するデータテーブルに基づ
いて、放電発生源のタンク11内における径方向の位置
を求める。例えばU=U1の場合は、内部高圧導体12
近傍で部分放電が発生していることが分る。
【0052】ステップS21において、表示装置28に
「部分放電発生、固定異物」と表示するとともにステッ
プS20において判定装置27により求めた放電発生源
のタンク11内における径方向の位置を例えば「内部高
圧導体側」と表示する。あわせて、データテーブルに基
づき図9の曲線Dを表示し、その上に比率U=U1の値
を点Hとして表示する。さらに、比率Uの時間変化を図
10の特性E,F,Gと同様に時間軸を横軸にとって表
示する。
【0053】表示装置28により、図9に示すような予
め内部高圧導体12から放電発生位置までの距離に対応
してU=A1/A2をプロットした曲線D上に比率U=
U1を点Hとして表示することにより、異物による部分
放電発生の位置を視覚的に捉えることができる。
【0054】実施の形態2.図11〜図14は、この発
明の他の実施の形態を示すものであり、図11は部分放
電が内部高圧導体側にて発生した場合に発生する電磁波
の周波数スペクトル、図12は部分放電がタンク側に発
生した場合に発生する電磁波の周波数スペクトルを示す
スペクトル図である。図13は650MHzでのスペク
トル強度のセンサと放電源の角度依存性、図14は78
5MHzでのスペクトル強度のセンサと放電源の角度依
存性を示す特性図である。
【0055】ところで、上述したように図5の実施の形
態においては、TE11モードの遮断周波数fcTE1
1が281MHzであり、第一の周波数f1を80MH
z、第二の周波数f2を1GHzに選んだ。従って、第
一の周波数f1における成分の強さはTEMモードの電
磁波の強さであり、第二の周波数f2における成分の強
さは図4のようにTEM、TE、TMモードの電磁波が
混在したものの強さである可能性がある。
【0056】図2あるいは図3に示したように、TMモ
ードは電界分布が中心導体表面とタンク底面(内面)と
の間で極小値をもち、径方向の位置とモードの強度とが
1対1に対応しない。このため、上記TMモードを含ま
ないモード、例えばTEm1モードだけの強さを用いた
方が、放電発生の径方向位置を一層感度良く特定でき
る。以下、具体的に説明する。
【0057】検地装置20は、図5に示したものと同様
のものを用いる。但し、この実施の形態においては、抽
出器25が抽出する周波数成分が図5のものとは異な
る。すなわち、高速フーリエ変換装置23により高速フ
ーリェ変換を行い、求められた周波数スペクトルから抽
出器25により第1のモードであるTE21モードの成
分の大きさA1(dBV)と、第二のモードであるTE
31モードの成分の大きさA2(dBV)を取出す。T
E21、TE31モードの周波数の検出方法に関しては
後述する。
【0058】割算器26により、比率U=A1/A2を
求める。判定装置27は、比率Uの大きさ及び時間変化
の有無に基づき、固定異物か自由異物かを判定し、固定
異物の場合はタンク11内における径方向の位置を図9
の曲線Dと同様の曲線に基づいて算出する。表示装置2
8は、判定装置27の判定結果の文字情報及び比率Uの
値を表示する。
【0059】ここで、本実施の形態を実現するために
は、検出するべきTE21モードとTE31モードの電
磁波がいかなる周波数において検出できるかをあらかじ
め知っておく必要がある。それぞれのモードの強度を示
す周波数は、次のようにして求めることができる。すな
わち、TEmnモードの電磁波は理論的にタンク円周回
転方向にsin(mθ)あるいはcos(mθ)なる周
期性をもつことが知られている。ここで、θは放電源と
センサのタンク円周方向への回転角度である。すなわ
ち、センサをタンク円周方向に移動させると、その強度
はsin(mθ)あるいはcos(mθ)なる周期性を
もつ。
【0060】従って、ある特定の周波数成分の円周方向
依存性を測定しその強度の周期がπ/mであればその周
波数はTEmnモードと判断することができる。このよ
うにして、ある特定の周波数ピークがどの電磁波モード
であるかを知ることができる。従って、工場試験時、あ
るいは、GIS設置場所において模擬放電源等によりセ
ンサと放電源の角度依存性を測定することにより、その
GISにおける各モードの周波数を知ることができる。
【0061】さて、具体的に電磁波モードと周波数との
関係の求め方について述べる。図11は模擬放電源を中
心導体上に設置して測定した周波数スペクトル、図12
はタンク底面側に設置して測定した周波数スペクトルで
ある。図中には理論的に計算した各モードTE11、T
E21、TE31、TE41、TE12、TE22、T
M01、TM11、TM21の遮断周波数も記入した。
【0062】図13と図14は、図12内に示した周波
数スペクトル上の周波数f1と周波数f2での強度に関
してセンサと放電源の角度位置を相対的に変化させたと
きの特性である。周波数f1に関しては山が4個、周波
数f2に関しては山が6個あることがわかる。従って、
先に述べたように、周波数f1はTE21モード、周波
数f2はTE31モードのスペクトルピークであること
がわかる。このようにして、スペクトルピーク強度の円
周位置依存性を測定することにより、各周波数ピークの
モードを知ることができる。
【0063】以上のことから本実施の形態では、例えば
第一の周波数としてTE21モードであるf1=650
MHzを選択し、第2の周波数としてTE31モードで
あるf2=785MHzを選ぶ。これらの周波数を選ぶ
と、第一の周波数f1の成分と第二の周波数f2の成分
の大きさの違いは、電磁波中に含まれるTE21モード
とTE31モードとの違いになる。
【0064】次に動作について、図6のフローチャート
を参照しながら説明する。タンク11内に、放電発生源
としての上記の各種の異物である内部高圧導体固定針1
5、タンク固定針16、自由異物17のうちの一つを取
り付け、電圧を印加する。ステップS11において、そ
の時の部分放電にともなって発生する電磁波を電磁波検
出器21にて検出し、ステップS12において電磁波検
出器21からの信号を増幅器22で増幅する。
【0065】ステップS13において、増幅した信号を
高速フーリエ変換装置23に取り込み、波形を高速フー
リェ変換を行い、周波数スペクトルを求める。放電発生
源が内部高圧導体固定針15の場合の周波数スペクトル
が図11、タンク固定針16の場合の周波数スペクトル
が図12である。なお、図11、図12において、横軸
が周波数frequncy(Hz)、縦軸が振幅Amp
li(dBV)である。TE21モードの成分、即ち周
波数f1の強度に着目すると、放電発生源が内部高圧導
体固定針とタンク固定針16の場合でほとんど変化しな
いが。TE31モード、即ち周波数f2での強度を見る
と、設置タンク固定針の方がその強度は大きい。
【0066】ステップS14において、高速フーリエ変
換装置23により求めた周波数スペクトルから、f1=
650MHz、f2=785MHzにおける成分の大き
さA1、A2を抽出器25により抽出する。
【0067】ステップS15において、割算器26によ
り、比率U=A1/A2を求める。上述のように、第一
の周波数f1はTE21モードだけしか含まず、第二の
周波数f2はTE31モードしか含まないように選んで
いるので、比率U=A1/A2は、電磁波中に含まれる
TE21波とTE31波の比になる。なお、第一の周波
数f1の成分A1の値を第二の周波数f2の成分A2に
より比率Uを求めるのは、放電発生の都度A1やA2の
大きさが変化するが、比によって判定すればこの影響を
なくすことができるためである。
【0068】ステップS19において、判定装置27は
比率Uの時間変化の有無を判定する。時間変化があれ
ば、ステップS20において、この放電は自由異物によ
るものであると判定し、ステップS21において表示装
置28に「部分放電発生、自由異物」の表示をする。自
由異物の場合は内部高圧導体12とタンク11との間を
行き来するので、すなわち径方向に移動していることに
なり、比率Uが時間的に増減する。この場合、それは自
由異物による部分放電により発生した電磁波のスペクト
ルであると言える。
【0069】ステップS19において比率Uが時間に対
して変化せず一定の場合は、ステップS21において放
電発生源は径方向には移動していない、すなわち固定異
物であると判定する。
【0070】ステップS19の判定において、放電発生
源が固定異物で内部高圧導体12近傍にある場合は、所
定値U3、タンク11近傍にある場合は特性Fのように
U3よりも小さい所定値U4を示し、時間的に変化しな
い。また、自由異物であれば時間的に所定値U3と所定
値U4との間を変化する。従って、固定異物か自由異物
か判別することができる。
【0071】ステップS20において、部分放電の位置
を求める。比率Uは、放電発生源が内部高圧導体12側
にあるかタンク11側にあるかでその大きさが異なる。
従って、予め図9の曲線Dと同様の横軸に放電発生源の
内部高圧導体12からの距離d、縦軸に比率Uの値をプ
ロットした曲線を求めておく。
【0072】この曲線は、GISの寸法により予め決る
ものであり、放電発生源が内部高圧導体12の近傍にあ
るとき比率U=U3、タンク11の近くの場合は比率U
=U4である。比率Uの値が大きいほど部分放電の位置
が内部高圧導体12に近いことが分る。すなわち、放電
発生源の径方向の位置を知ることができる。
【0073】従って、ステップS20において、判定装
置27は比率Uと距離dとの関係を示すデータテーブル
に基づいて、放電発生源のタンク11内における径方向
の位置を求める。例えばU=U3の場合は、内部高圧導
体12の近傍において部分放電が発生していることが分
る。
【0074】上記実施例では第1のモードとしてTE2
1モード、第2のモードとしてTE31モードの強度比
U=A1(TE21)/A2(TE31)を用いて放電
源の径方向位置を推定できるようにしたが、第1のモー
ドとしてTEMモードを用いても強度比U=A1(TE
M)/A2(TE21)あるいはU=A1(TEM)/
A2(TE31)にて推定するようにしても良い。
【0075】第1のモードとしてTEMモードを用いる
と次のような効果がある。TEMモードの最低遮断周波
数はTE11モードの遮断周波数であり、本周波数は前
述したように理論的に計算できる。TE11モードの遮
断周波数以下の周波数ではTEMモードしか存在しない
ので、TEMモードの周波数は実験的に円周位置依存性
を測定することなく特定できる。従って、TEMモード
を第1の検知周波数とすることにより、モード間の比を
求める手順が容易となる。
【0076】実施の形態3.図15は、さらにこの発明
の他の実施の形態を示す検知装置の構成図である。この
実施の形態では、検知装置20aは電磁波検出器21a
以外は図5の検知装置20と同様のものである。電磁波
検出器21aをスペーサ13の外周部に設置しスペーサ
13から漏れてくる電磁波を検出するようにした。
【0077】このような電磁波検出器21aとしてはル
ープ型のアンテナを用いることができる。スペーサ13
は誘電体であるので、タンク11内部の部分放電によっ
て発生した電磁波はスペーサ部からタンク11外部に漏
れてくる。スペーサ外部に設置した電磁波検出器21a
をスペーサ外周にそって回転させることによって検出し
ている周波数とモードとの関係が明らかにできる。本構
成では電磁波検出器を円周方向に回転させることができ
るので、模擬放電等によって周波数と電磁波モードの関
係を知ることが容易となる。
【0078】実施の形態4.ところで、部分放電により
発生する電磁波において、TE11モードの遮断周波数
fcTE11未満の区域においてはTE波及びTM波は
存在せずTEM波しか存在しない。しかし、TEM波は
図4、図11に示したようにTE11モードの遮断周波
数fcTE11以上の区域においても存在し、TE波と
TM波とTEM波の三者が混在する。
【0079】前述したように、周波数スペクトルにおい
て、ある特定の周波数ピークがどのモードであるかを判
定するには、模擬的な部分放電を発せさせ、スペクトル
強度のタンク円周位置依存性を測定しなければならな
い。実際の運転中のGISにおいては、このような模擬
的な部分放電を発生させることが困難な場合がある。こ
の場合、ある特定のモードである周波数f2の選定が困
難となる。このような場合は、特定の周波数でのスペク
トル強度を選ぶのではなく、ある周波数帯でのスペクト
ル強度の積分値を選べばよい。具体的な区域としては、
TE11モードの遮断周波数fcTE11未満の所定範
囲の区域における積分値S1、TE11モードの遮断周
波数fcTE11以上の所定範囲の区域における積分値
S2を求め、この両者の比率V=S1/S2を求めれば
よい。
【0080】図16〜図18は、上記比率Vに基づいて
判定するこの発明の他の実施の形態を示すもので、図1
6は検知装置の構成図である。図17は検知装置の動作
を示すフローチャート、図18は図16の検知装置の検
知結果を示す特性図である。図16において、検知装置
30は、次のように構成されている。増幅器22で電磁
波検出器21の信号を増幅し、高速フーリエ変換装置2
3に供給するのは、図5の検知装置20と同様である。
【0081】積分装置31は、高速フーリエ変換装置2
3により高速フーリエ変換を行って求めた周波数スペク
トルに基づき、TE11モードの遮断周波数fcTE1
1未満の区域における所定範囲のスペクトル強度の積分
値S1、TE11モードの遮断周波数fcTE11以上
の区域における所定範囲のスペクトル強度の積分値S2
を求める。割算器26は、積分値S1とS2の比率V=
S1/S2を求める。
【0082】判定装置27は、比率Vの大きさ及び時間
変化の有無に基づき、固定異物か自由異物かを判定し、
固定異物の場合はタンク11内における径方向の位置を
算出する。図18に比率V=S1/S2をプロットした
ものを示す。横軸は、図9と同様、放電発生源の内部高
圧導体12からの距離であり、放電異物が内部高圧導体
12近辺にあるときは所定の値V1を、タンク11近傍
にあるときは、所定の値V1より小さい別の所定の値V
2になる。このように、図18において比率Vの値を曲
線J上にプロットすることによっても放電発生源の径方
向の位置を知ることができる。
【0083】表示装置28は、判定装置27の判定結果
の文字情報及び比率Vの値を表示する。なお、図16に
おける高速フーリエ変換装置23、積分器31、割算器
26がこの発明における正規化手段である。
【0084】次に動作を図17のフローチャートによっ
て説明する。ステップS34において、高速フーリエ変
換装置23により求めた周波数スペクトルから、TE1
1モードの遮断周波数fcTE11を例えば上述のfc
TE11=281MHzとし、f=0〜280MHzま
での範囲におけるスペクトル強度の積分値S1、及びf
=281〜1200MHzまでの範囲におけるスペクト
ル強度の積分値S2を積分器31により求める。
【0085】ステップS35において、割算器26によ
り、比率V=S1/S2を求める。上述のように、得ら
れた周波数スペクトルはfcTE11未満の区域におい
てはTEMモードだけしか含まず、比率V=S1/S2
は、電磁波中に含まれるTEM波の割合を反映するもの
になる。比率Vを求めて積分値S1を積分値S2により
正規化するのは、放電発生の都度S1やS2の大きさが
変化するので、この影響を正規化することによりなくす
ためである。
【0086】ステップS16において判定装置27は、
比率Vの時間変化の有無を判定する。時間変化があれ
ば、ステップS17において、この放電は自由異物によ
るものであるとして、ステップS18において表示装置
28に「部分放電発生、自由異物」の表示をする。
【0087】ステップS16において比率Vが時間に対
して変化せず一定の場合は、ステップS19において放
電発生源は径方向には移動していない、すなわち固定異
物であるとする。放電発生源が固定異物で内部高圧導体
12近傍にある場合は、図18の曲線Jにおける所定値
V1、タンク11近傍にある場合は上記V1よりも小さ
い所定値V2を示し、時間的に変化しない。
【0088】ステップS36において、部分放電の位置
を求める。比率Vは、放電発生源が内部高圧導体12側
にあるかタンク11側にあるかでその大きさが異なる。
図18は、横軸に放電発生源の内部高圧導体12からの
距離d、縦軸に比率Vの値をプロットした曲線Jを示す
ものである。この曲線Jは、上述の図9の曲線Dと同様
にGISの寸法により予め想定することができ、放電発
生源が内部高圧導体12近傍にあるとき比率V=V1、
タンク11の近くにある場合は比率V=V2である。
【0089】従って、ステップS36において、判定装
置27は図18の曲線Jに相当するデータテーブルに基
づいて、放電発生源のタンク11内における径方向の位
置を求める。例えばV=V2の場合は、図18において
曲線J上のK点であり、タンク11側で部分放電が発生
していることが分る。
【0090】ステップS21において、表示装置28に
「部分放電発生、固定異物」と表示するとともにステッ
プS21において判定装置27により求めた放電発生源
のタンク11内における径方向の位置を例えば「タンク
側」と表示する。あわせて、データテーブルに基づき図
18の曲線Jを表示し、その上に比率V=V2の値を点
Kとして表示する。さらに、比率Vの時間変化を図10
の特性E,F,Gと同様にして表示する。
【0091】なお、上記実施の形態では、TE11モー
ドの遮断周波数fcTE11未満の区域のスペクトル強
度の積分値S1とTE11モードの遮断周波数fcTE
11以上の区域のスペクトル強度の積分値S2という2
つの積分値の違いを用いた。しかし、この2つ以外に全
周波数域に亘るスペクトル強度の積分値STを用いても
よい。
【0092】つまり3つの積分値S1,S2,STのう
ち任意の2つを選んで、すなわちV=S1/S2の代り
に、W=S1/STあるいはX=S2/STを求めて、
予め求めておいた図18の曲線Jと同様のデータターブ
ルに基づいて放電発生源の径方向の位置を同定できる。
また、この比率Wや比率Xの時間変化を追うことによっ
て放電発生源が固定異物なのか自由異物なのかを知るこ
とができる。
【0093】実施の形態5.また、実際にGISが稼働
している場所においては、センサ位置は固定の場合が多
い。また、試験的に部分放電源をGIS内部に設置し
て、図13、14のようなセンサと放電源の角度依存性
を測定することも、困難である。従って、特定の周波数
ピークがどのモードであるかを実験的に知るのは困難な
場合がある。
【0094】このような場合は、特定のモードに対応す
る周波数のスペクトル強度を選ぶのではなく、GISの
構造から計算したTE31モードの遮断周波数を境界と
して、それ以上とそれ以下の周波数スペクトル強度の積
分値を選んでも良い。具体的な区域としては、TE31
モードの遮断周波数fcTE31未満の所定範囲の区域
における積分値S1、TE31モードのfcTE31よ
り大きい所定範囲の区域における積分値S2を求め、こ
の両者の比率V=S1/S2を求めればよい。
【0095】検知装置は、図16の検知装置30と同様
のものであるが、その動作が若干異なる。積分装置31
は、高速フーリエ変換装置23により高速フーリェ変換
を行って求めた周波数スペクトルに基づき、TE31モ
ードの遮断周波数fcTE31以下の区域における所定
範囲のスペクトル強度の積分値S1、fcTE31より
大きい区域における所定範囲のスペクトル強度の積分値
S2を求める。割算器26は、積分値S1とS2の比率
V=S1/S2を求める。
【0096】判定装置27は、比率Vの大きさ及び時間
変化の有無に基づき、固定異物か自由異物かを判定し、
固定異物の場合はタンク11内における径方向の位置を
算出する。図7と同様に、比率Vの値を曲線J上にプロ
ットすることによっても放電発生源の径方向の位置を知
ることができる。表示装置28は、判定装置27の判定
結果の文字情報及び比率Vの値を表示する。
【0097】次に動作は図17のフローチャートと同様
であるので、これによって説明する。ステップS35に
おいて、高速フーリエ変換装置23により求めた周波数
スペクトルから、f=0〜730MHzまでの範囲にお
けるスペクトル強度の積分値S1、及びf=730〜1
200MHzまでの範囲におけるスペクトル強度の積分
値S2を積分器31により求める。730MHzはTE
31モードの遮断周波数である。
【0098】ステップS35において、割算器26によ
り、比率V=S1/S2を求める。上述のように、得ら
れた周波数スペクトルは730MHz以下の区域におい
てはTEMモード、TE11、TE21だけしか含まな
い。これらのモードはすべて放電源が中心導体に近いほ
どその強度が大きくなるモードである。一方、730M
Hz以上の周波数成分は中心導体に近いほどその強度が
弱くなる。従って、比率V=S1/S2は、その大きさ
が放電源の径方向の位置と1対1に対応する。積分値S
1と積分値S2の比率Vを求めて径方向位置の判断基準
とするのは、放電発生の都度S1とS2の大きさが比例
関係を保ちつつ変化するので、この影響をなくすためで
ある。
【0099】ステップS16において判定装置27は、
比率Vの時間変化の有無を判定する。時間変化があれ
ば、ステップS17において、この放電は自由異物によ
るものであるとして、ステップS18において表示装置
28に「部分放電発生、自由異物」の表示をする。
【0100】ステップS16において比率Vが時間に対
して変化せず一定の場合は、ステップS19において放
電発生源は径方向には移動していない、すなわち固定異
物であるとする。放電発生源が固定異物で内部高圧導体
12近傍にある場合は、所定値V3、タンク11近傍に
ある場合は上記V3よりも小さい所定値V4を示し、時
間的に変化しない。
【0101】ステップS36において、部分放電の位置
を求める。比率Vは、放電発生源が内部高圧導体12側
にあるかタンク11側にあるかでその大きさが異なる。
横軸に放電発生源の内部高圧導体12からの距離d、縦
軸に比率Vの値をプロットした曲線は、上述の図17の
曲線Jと同様にGISの寸法により予め決るものであ
り、放電発生源が内部高圧導体12の近傍にあるとき比
率V=V3、タンク11の近くの場合は比率V=V4で
ある。従って、ステップS36において、判定装置27
は比率Uと距離dのデータテーブルに基づいて、放電発
生源のタンク11内における径方向の位置を求める。
【0102】ステップS21において、表示装置28に
「部分放電発生、固定異物」と表示するとともにステッ
プS36において判定装置27により求めた放電発生源
のタンク11内における径方向の位置を例えば「タンク
表面上」と表示する。あわせて、データテーブルに基づ
き図17の曲線Jと同様の曲線を表示し、その上に比率
Vの値を点として表示する。さらに、比率Vの時間変化
を図10の特性E、F、Gと同様にして表示する。
【0103】実施の形態6.図19〜図24は、さらに
この発明の他の実施の形態を示すもので、図19は検知
装置の構成図、図20は検知装置の動作を示すフローチ
ャートである。図21、図22は内部高圧導体側におい
て部分放電が発生したときに発生する電磁波のそれぞれ
低い方の帯域フィルタ、高い方の帯域フィルタを通過し
た波形である。図23、図24はタンク側において部分
放電が発生したときに発生する電磁波のそれぞれ低い方
の帯域フィルタ、高い方の帯域フィルタを通過した波形
である。
【0104】この実施の形態は、図5や図16に示した
実施の形態のように周波数スペクトルを求めなくとも放
電発生源の径方向の位置、及び放電発生源が固定異物な
のか自由異物なのかを判断することができるものであ
る。
【0105】図19において、検知装置40は、次のよ
うに構成されている。低い方の帯域フィルタ41は、増
幅器22で増幅された電磁波検出器21の信号のうち、
TE11モードの遮断周波数fcTE11、例えば上述
のfcTE11=281MHz未満の区域における所定
の周波数帯域、例えば150〜250MHzの信号を通
過させる。低い方の帯域フィルタ41を通過した信号は
整流器42に整流され、ピークホールド回路43にてそ
の最大値B1が記憶される。
【0106】高い方の帯域フィルタ44は、増幅器22
で増幅された電磁波検出器21の信号のうち、TE11
モードの遮断周波数fcTE11以上の区域における所
定の周波数帯域、例えば900〜1000MHzの信号
を通過させる。高い方の帯域フィルタ44を通過した信
号は整流器45にて整流され、ピークホールド回路46
にてその最大値B2が記憶される。
【0107】割算器26は、各最大値B1,B2の比率
Y=B1/B2を求める。判定装置27は、比率Yの大
きさ及び時間変化の有無に基づき、固定異物か自由異物
かを判定し、固定異物の場合はタンク11内における径
方向の位置を算出する。表示装置28は、判定装置27
の判定結果の文字情報及び比率Yの値を表示する。な
お、図19における帯域フィルタ41,44、整流回路
42,45、ピークホールド回路43,46、割算器2
6がこの発明における正規化手段である。
【0108】次に動作を図20のフローチャートによっ
て説明する。ステップS11において、電磁波検出器2
1により検出し、ステップS12において増幅する。ス
テップS53において、低い方の帯域フィルタ41、高
い方の帯域フィルタ44でそれぞれの周波数帯域の信号
を通過させ、整流する。ステップS54において、ピー
クホールド回路43,46に低い方の帯域及び高い方の
帯域フィルタ41,44を通過した信号を入力し、各最
大値B1,B2を記憶する。
【0109】ステップS55において、割算器26によ
りY=B1/B2を求める。ステップS16において、
判定装置27は比率Yの時間変化の有無を判定する。時
間変化があれば、ステップS17において、この放電は
自由異物によるものであると判定し、ステップS18に
おいて表示装置28に「部分放電発生、自由異物」の表
示をする。ステップS16において比率Yが時間に対し
て変化せず一定の場合は、ステップS19において放電
発生源は径方向には移動していない、すなわち固定異物
であると判定する。
【0110】ステップS56において、部分放電の位置
を求める。比率Yは、放電発生源が内部高圧導体12側
にあるかタンク11側にあるかでその大きさが異なる。
図6や図17のステップS20,S36と同様にして、
比率Yの値と内部高圧導体からの距離に関するデータテ
ーブルに基づき、放電発生源のタンク11内における径
方向の位置を求める。このデータテーブルも同様にGI
Sの寸法により予め想定することができ、放電発生源が
内部高圧導体12の近くにあるときYの値は大きく、タ
ンク11の近くにある場合はYの値は小さい。
【0111】放電発生源が内部高圧導体12近傍にある
場合、150〜250MHzの低い方の帯域フィルタ4
1を通過した波形は図21のようになり、900〜10
00MHzの高い方の帯域フィルタ44を通過した波形
は図22のようになる。このとき、ピークホールド回路
43で検出される最大値B1は図21より約6/100
0V、ピークホールド回路46で検出される最大値B2
は図23より7/1000Vであり、これよりY=6/
7=0.86となる。なお、図21、図22において、
横軸が時間t(s)、縦軸が振幅Ampli(V)であ
る。
【0112】また、放電発生源がタンク11近傍にある
場合、低い方の帯域フィルタ41を通過した波形は図2
3のようになり、高い方の帯域フィルタ44を通過した
波形は図24のようになる。このとき、ピークホールド
回路43で検出される最大値B1は図23より約0.6
2/1000V、ピークホールド回路46で検出される
最大値B2は図24より4/1000Vであり、これよ
りY=0.62/4=0.16となる。なお、図23、
図24において、横軸が時間t(s)、縦軸が振幅Am
pli(V)である。このように、放電発生源の位置に
より比率Yの値が大きく変化するので、発生位置を容易
に求めることができる。
【0113】そして、ステップS21において、表示装
置28に「部分放電発生、固定異物」と表示するととも
にステップS56において判定装置27により求めた放
電発生源のタンク11内における径方向の位置を例えば
「タンク側」と表示する。あわせて、データテーブルに
基づき図9の曲線Dと同様の曲線を表示し、その上に比
率Yの値を点として表示する。さらに、比率Yの時間変
化を図10の特性E,F,Gと同様に表示する。
【0114】また、図19における帯域フィルタ41,
42の通過周波数を他の周波数帯に選んでも、例えば次
のように選んでも、同様の結果が得られ、放電発生の位
置、自由異物によるものか固定異物によるものかを知る
ことができる。低い方の帯域フィルタ41の通過帯域
を、TE31モードの遮断周波数fcTE31、例えば
上述のfcTE31=730MHz未満の区域における
所定の周波数帯域、例えば200〜300MHzの信号
を通過させるように選定する。高い方の帯域フィルタ4
4は、TE31モードの遮断周波数fcTE31(73
0MHz)以上の区域における所定の周波数帯域、例え
ば900〜1000MHzの信号を通過させるように選
ぶ。
【0115】実施の形態7.図25、図26は、さらに
この発明の他の実施の形態を示すもので、図25は検知
装置の構成図、図26は内部高圧導体からの距離と二つ
の検出器出力の比との関係を示す特性図である。この実
施の形態も、周波数スペクトルを求めなくとも放電発生
源の径方向の位置、及び放電発生源が固定異物なのか自
由異物なのかを判断することができるものである。
【0116】検知装置50は次のように構成されてい
る。図25において、二つの電磁波検出器51,55を
準備し、一方の電磁波検出器51にてTEM波を検出
し、もう一方の電磁波検出器55にてTE波を検出す
る。このとき、二つの電磁波検出器51,55から同じ
タイミングで信号を取り出せるように調整しておく。そ
して、上記電磁波検出器51,55により検出された信
号を増幅器52,56にて増幅する。ピークホールド回
路54,58によりTEM,TE各モードの電磁波の最
大値C1,C2を記憶する。
【0117】割算器26により最大値C1,C2の比率
Z=C1/C2を求める。なお、図25における整流回
路53,57、ピークホールド回路54,58、割算器
26がこの発明における正規化手段である。
【0118】この2つの電磁波検出器51,55の最大
値の比率Z=C1/C2から電磁波に含まれているTE
Mモードの電磁波の割合がわかる。図26に2つの電磁
波検出器51,55からの出力の比率Zをプロットした
曲線Mを示す。図9の曲線Dと同様の傾向を有する。こ
のときの横軸dは図9と同様、放電発生源の高圧導体1
2からの距離である。図26から放電発生源の径方向の
位置を知ることができる。また、この時間変化を追うこ
とによって放電発生源が固定異物なのか自由異物なのか
を知ることができる。
【0119】実施の形態8.図5の実施の形態では、タ
ンク11内部の異常状態として、内部高圧導体12の表
面に起立して固定された内部高圧導体固定針15、タン
ク12の内壁面に起立して固定されたタンク固定針1
6、固定されていない自由異物17、がそれぞれ放電発
生源となる場合について述べたが、異常状態はこれに限
られるものではなく、この発明は他の場合についても適
用できる。
【0120】図27〜図29は、さらにこの発明の他の
実施の形態を示すものであり、図27はGISのタンク
内部に混入し、絶縁スペーサの表面に付着した導電性異
物と部分放電の検知装置の構成を示す構成図、図28は
部分放電が絶縁スペーサ上でかつ内部高圧導体側にて発
生した場合に発生する電磁波の周波数スペクトルを示す
スペクトル図、図29は部分放電が絶縁スペーサ上でか
つタンク側にて発生した場合に発生する電磁波の周波数
スペクトルを示すスペクトル図である。
【0121】図27において、タンク11内部の異常状
態として、絶縁スペーサ13の表面の内部高圧導体12
近傍に固定された導電性異物であるスペーサ沿面針1
8、絶縁スペーサ13の表面のタンク11近傍に固定さ
れた導電性異物であるスペーサ沿面針19の2ケースに
ついて考える。その他の構成については、図5に示した
ものと同様のものである。
【0122】内部の部分放電により発生した電磁波を検
出し増幅して高速フーリエ変換装置23により高速フー
リエ変換を行って、周波数スペクトルを求める。この周
波数スペクトルは、絶縁スペーサ13の内部高圧導体1
2近傍に固定されたスペーサ沿面針18による部分放電
の場合は図28に、絶縁スペーサ13のタンク11近傍
に固定されたスペーサ沿面針19による部分放電の場合
は図29に示すようなものになる。なお、図28、図2
9において、横軸が周波数frequncy(Hz)、
縦軸が振幅Ampli(dBV)である。
【0123】そこで、図28において、TE11モード
の遮断周波数fcTE11(この実施の形態の場合、2
81MHz)未満の周波数であるf1=80MHz、T
E11モードの遮断周波数fcTE11以上の周波数で
あるf2=1GHzにおける成分の大きさA1,A2を
求め、U=A1/A2を計算する。
【0124】また、図29においても同様にf1=80
MHz、f2=1GHzにおける成分の大きさA1,A
2を求め、U=A1/A2を計算する。絶縁スペーサ1
3の表面に付着した導電性異物による部分放電の場合に
ついても、成分A2で正規化されたA1の値は、図5に
示した異常の場合と同じ傾向を示し、その大きさから絶
縁スペーサ13の径方向のどの位置で部分放電が発生し
たのかを知ることができる。
【0125】このように、絶縁スペーサ13の表面にお
ける放電の場合においても、正規化された比率Uは、図
5における内部高圧導体12やタンク11における部分
放電の場合とほぼ同じ傾向を示す。すなわち、放電発生
源が内部高圧導体12側にあればUの値は大きくなり、
逆にタンク11側にあればUの値は小さくなる。このこ
とからUの値から放電発生の径方向の位置を求めること
ができる。
【0126】上記実施の形態では、絶縁スペーサ13の
表面において部分放電が発生した場合について説明した
が、例えば絶縁スペーサ13の内部にボイドがあって部
分放電が発生する場合について全く同様にその位置を検
出できる。また、図15、図16、図19や図25に示
した検知装置20a,30,40,50によっても絶縁
スペーサ13の表面における放電や内部放電等を検出で
きる。
【0127】実施の形態9.この発明の他の実施の形態
である部分放電強度検出装置の構成を図30に示す。こ
の実施の形態では、図11〜図14の実施の形態2で述
べたのと同様な方法にてTE21モードに対応する周波
数をあらかじめ決定しておき、TE21モードの周波数
でのスペクトル強度を部分放電強度の指標として用い
る。
【0128】図1に示したように、TE21モードの強
度は径方向位置にはほとんど依存しない。従って、TE
21モードを放電の大きさの指標とすることにより径方
向位置の影響が除かれ、放電の大きさの指標として正確
な判断ができる。
【0129】次に強度検知装置である検知装置60の動
作について説明する。部分放電にともなって発生する電
磁波を電磁波検出器21にて検出し、電磁波検出器21
からの信号を増幅器22で増幅する。増幅した信号を高
速フーリエ変換装置23に取り込み、波形を高速フーリ
ェ変換を行う。実施の形態2で述べたように、TE21
モードに相当する周波数として650MHzを選んでい
るので、抽出器25にて、本周波数でのスペクトル強度
を求める。
【0130】最後に表示装置28に650MHzでの強
度の経時変化等を表示する。本実施例では径方向依存性
をもたないTE21モードの電磁波を放電強度の指標と
でき、放電源の径方向位置に無関係に放電の大きさを判
断できる。なお、TEモードの周波数として650MH
zでなく、他のTE21モードの周波数を選んでもよ
い。
【0131】なお、図5、図15、図16、図19、図
25、図27、図30等に示した原理を実現するにはア
ナログやデジタル演算増巾器等を用いたデイスクリート
回路でもよいし、マイクロプロセッサやデジタルシグナ
ルプロッセサによるデジタル制御でソフトウエア処理に
より実現することもできる。
【0132】以上の各実施の形態においては、タンク1
1と同軸に1本の内部高圧導体12が配設された相分離
型のものを示したが、三相一括形母線であっても同様の
効果を奏する。また、導電装置がGIS以外の、導電性
の筒状体とこの筒状体内に収容された導電体を有する他
の導電装置、例えばガス絶縁母線や電力ケーブル等であ
ってもよい。以上のようにして、部分放電が発生した場
合に導電装置の径方向の位置検出ができるので内部異常
に対して、絶縁破壊事故の未然防止や的確な対応ができ
る。
【0133】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されて
いるので、次のような効果を奏する。すなわち、本発明
の導電装置の部分放電発生位置検出装置においては、導
電性材料で形成された筒状体とこの筒状体内に収容され
筒状体の長さ方向に延伸された導体とを有する導電装置
における筒状体内で発生する電磁波を検出する電磁波検
出部を有し検出された電磁波の内の所定の電磁波モード
の強度に基づいて部分放電の筒状体の長さ方向と交差す
る方向の発生位置を知る検知装置を設けたので、筒状体
内において放電が発生すると放電のエネルギにより各種
の電磁波モードが励起されるが、一般に励起源の強度、
すなわち放電の強度が同じであれば、モード固有の電界
強度分布において電界が高くなる場所で励起するとその
モードが強く励起されることとなり、各モードの電界分
布は放電源の位置に依存する。従って、これら電磁波モ
ードの強度から部分放電源の筒状体の長さ方向と交差す
る方向の位置を知ることができ、それに応じて適切な対
応を行うことができる。
【0134】そして、検知装置は、異なる電磁波モード
の強度の比に基づいて発生位置を知るものであることを
特徴とするので、部分放電は、放電発生の都度、その強
度は変化するが、電磁波モード間の強度の比は変化せ
ず、放電源の径方向の位置に依存するので、モード間の
強度の比から、部分放電の発生位置を的確に知ることが
でき、それに応じて適切な対応を行うことができる。
【0135】さらに、検知装置は、TEMモードの強度
と、少なくともTEm1モード、但しmは1以上の整
数、を含む電磁波モードの強度との比に基づいて発生位
置を知るものであることを特徴とするが、TEMモード
とTEm1モードは、個々のモードが径方向位置に対し
てほぼ1対1に対応する電界強度分布をもち、TEMモ
ードは導体からの距離に反比例する電界分布を示すこと
から、TEMモードの強度とTEm1モードを含む電磁
波モードの強度との比から放電源の位置を知ることがで
き、特にTEMモードとTEm1モードの境界となる周
波数は導電装置の構造から計算できることから、煩雑な
実験的作業をすることなく、容易に部分放電の発生位置
を知ることができる位置検出装置を得ることができる。
【0136】また、検知装置は、TE11モードの遮断
周波数未満の所定の第一の周波数の強度をTEMモード
の強度とし、TE11波の遮断周波数以上の所定の第二
の周波数の強度との比に基づいて発生位置を知るもので
あることを特徴とするが、TEモードあるいはTMモー
ドはTE11波の遮断周波数未満には成分をもたないの
で、TE11モードの遮断周波数未満の第一の周波数の
強さはTEMモードの強さを示すものであり、TEMモ
ードの強さとTE11モードの遮断周波数以上の第二の
周波数の強さとの比を求めることにより、その放電がT
EMモードをどの程度を含むのかがわかり、放電発生源
の位置がわかる。TEモードやTMモードの分離が不要
であるので、測定が容易である。
【0137】そして、検知装置は、TE11モードの遮
断周波数未満の所定範囲の周波数帯域の強度の積分値を
TEMモードの強度とし、TE11波の遮断周波数以上
の所定範囲の周波数帯域の強度の積分値との比に基づい
て放電の発生位置を知るものであることを特徴とする。
従って、所定の第一の周波数あるいは第二の周波数での
強度を用いる場合に比較して、積分することにより検出
強度が大きくなるのでより高感度に放電の発生位置を知
ることができる。
【0138】さらに、検知装置は、TEMモードの強度
と、TEm1モード、但しmは1以上の整数、の強度と
の比に基づいて発生位置を知るものであることを特徴と
するので、TEMモードの強度は筒状体の軸と直交する
方向の位置に依存してほぼ単調に増加する。また、TE
m1モードの強度は、筒状体の軸と直交する方向の位置
に依存してほぼ単調にTEMモードよりも少ない割合で
増加するか、ほぼ一定で変化しないか、あるいは減少す
る。すなわち、筒状体の軸と直交する方向の位置と周波
数スペクトル強度との関係が1対1となる。従って、T
EMモードとTEm1モードを用いることによって、部
分放電の発生位置をより正確に判定できる。特にTEM
モードとTEm1モードの境界となる周波数は導電装置
の構造から計算できることから、煩雑な実験的作業をす
ることなく、容易に部分放電の発生位置を知ることがで
きる位置検出装置を得ることができる。
【0139】また、検知装置は、TEp1モードの強度
と、TEq1モードの強度との比、但しpは2以下の整
数、qはpより大きい整数、に基づいて発生位置を知る
ものであることを特徴とする。TEp1モード、ただし
pは2以下の整数、はその強度が筒状体の軸と直交する
方向の位置に依存して中心導体に近くなるに従って、ほ
ぼ単調に増加するか、ほぼ一定で変化しない。一方、T
Eq1モードは、qをpより大きく選択した場合は、中
心導体に近くなるに従ってTEp1モードよりもその強
度の増加の割合が小さい。従って、TEp1モードの強
度とTEq1モードの強度の比はより強く筒状体の軸と
交差する方向の位置に依存する。従って、このようなモ
ード比を選択することによって、より正確な部分放電の
発生位置を知ることができる。
【0140】そして、検知装置は、TE31モードの遮
断周波数未満の所定の第一の周波数の強度と、TE31
モードの遮断周波数以上の所定の第二の周波数の強度と
の比に基づいて発生位置を知るものであることを特徴と
するので、TE31の遮断周波数より低い周波数にはT
EM、TE11、TE21の3種類のモードしか含まれ
ない。これらのモードはタンクに近いほどその強度が小
さいモードである。一方、TE31モードの遮断周波数
以上の周波数では放電源の位置がタンクに近いほどその
強度が大きい。従って、両者の比をとった場合、その値
は部分放電の発生位置に極めて敏感となる。さらに、例
えば特定のガス絶縁開閉装置の形状に対応する各モード
の周波数を知るには、あらかじめ模擬放電源などにより
実測する必要がある。これに対し、ガス絶縁開閉装置の
形状から理論的に導出可能なTE31モードの遮断周波
数を境界周波数とすることで、検知すべき周波数を実験
的に探索する必要がなくなるので、測定が容易である。
【0141】さらに、検知装置は、TE31波の遮断周
波数未満の所定範囲の周波数帯域の強度の積分値と、T
E31波の遮断周波数以上の所定範囲の周波数帯域の強
度の積分値との比に基づいて発生位置を知るものである
ことを特徴とする。従って、所定の第一の周波数あるい
は第二の周波数での強度を用いる場合に比較して、積分
することにより検出強度が大きくなるのでより高感度に
放電の発生位置を知ることができる。
【0142】また、電磁波検出部が、外部アンテナであ
ることを特徴とするので、特定の電磁波モードの周波数
を知るには、放電源と電磁波検出部との角度を変化させ
てその強度の周期性を調べる必要がある。この場合外部
アンテナを用いることにより角度依存性の測定が容易と
なる。
【0143】そして、検知装置は、異なる電磁波モード
の強度の比が時間的に変化するとき筒状体内を動く自由
異物による放電であると判定する自由異物判定手段を有
するものであることを特徴とするので、異なる電磁波モ
ードの強度の比が時間的に変化することは、筒状体内の
放電発生位置が筒状体の長さ方向と交差する方向に移動
していることを意味する。すなわち、この放電は筒状体
内を筒状体の長さ方向と交差する方向に移動する自由異
物によるものと判定できる。
【0144】さらに、導電装置は、ガス絶縁開閉装置、
ガス絶縁母線又は電力ケーブルであることを特徴とする
が、これら導電装置は、内部放電によりTEM、TEm
nモード(m,nは整数)の電磁波を発生し、これらモ
ード間の強度の比から放電源の位置を知ることができ、
それに応じて部分放電に対して適切な対応を行うことが
できる。
【0145】また、この発明にかかる部分放電強検出装
置は、導電性材料で形成された筒状体とこの筒状体内に
収容され筒状体の長さ方向に延伸された導体とを有する
導電装置における筒状体内で発生する電磁波の内のTE
21モードの強度を求めてこれを部分放電強度の指標と
するものであるので、TE21モードは筒状体の長さ方
向と交差する方向の位置にほとんど依存しないので本モ
ードを検出することにより放電強度の正確な測定が可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 TEMおよびTEm1モードの径方向電界分
布を示す特性図である。
【図2】 TMm1モードの径方向電界分布を示す特性
図である。
【図3】 TE11モードとTM01モードの電界の径
方向成分を示す特性図である。
【図4】 各モードの周波数分布図である。
【図5】 この発明の実施の一形態を示すもので、GI
Sのタンク内部に混入した導電性異物と部分放電の検知
装置の構成を示す構成図である。
【図6】 図5の検知装置の動作を示すフローチャート
である。
【図7】 図5において部分放電が内部高圧導体側にて
発生した場合に発生する電磁波の周波数スペクトルを示
すスペクトル図である。
【図8】 図5において部分放電がタンク側に発生した
場合に発生する電磁波の周波数スペクトルを示すスペク
トル図である。
【図9】 図5の検知装置の検知結果を示す特性図であ
る。
【図10】 図5の検知装置の検知結果の時間変化を示
す特性図である。
【図11】 この発明の実施の形態2を示すもので、図
5において部分放電が内部高圧導体側にて発生した場合
に発生する電磁波の周波数スペクトルを示すスペクトル
図である。
【図12】 この発明の実施の形態2を示すもので、図
5において部分放電がタンク側に発生した場合に発生す
る電磁波の周波数スペクトルを示すスペクトル図であ
る。
【図13】 図12に示した周波数スペクトルの650
MHzでのスペクトル強度のセンサと放電源の角度依存
性を示す特性図である。
【図14】 図12に示した周波数スペクトルの785
MHzでのスペクトル強度のセンサと放電源の角度依存
性を示す特性図である。
【図15】 さらに、この発明の他の実施の形態を示す
もので、外部アンテナを用いる場合の部分放電検出装置
の構成図である。
【図16】 さらに、この発明の他の実施の形態を示す
検知装置の構成図である。
【図17】 図16の検知装置の動作を示すフローチャ
ートである。
【図18】 図16の検知装置の検知結果を示す特性図
である。
【図19】 さらにこの発明の他の実施の形態を示す検
知装置の構成図である。
【図20】 図19の検知装置の動作を示すフローチャ
ートである。
【図21】 図19の検知装置において、内部高圧導体
側において部分放電が発生したときに発生する電磁波の
低い方の帯域フィルタを通過した波形である。
【図22】 図19の検知装置において、内部高圧導体
側において部分放電が発生したときに発生する電磁波の
高い方の帯域フィルタを通過した波形である。
【図23】 図19の検知装置において、タンク側にお
いて部分放電が発生したときに発生する電磁波の低い方
の帯域フィルタを通過した波形である。
【図24】 図19の検知装置において、タンク側にお
いて部分放電が発生したときに発生する電磁波の高い方
の帯域フィルタを通過した波形である。
【図25】 さらにこの発明の他の実施の形態を示す検
知装置の構成図である。
【図26】 図25における検知装置における内部高圧
導体からの距離と二つの検出器出力の比との関係を示す
特性図である。
【図27】 さらに、この発明の他の実施の形態を示す
もので、GISのタンク内部に混入し、絶縁スペーサの
表面に付着した導電性異物と部分放電の検知装置の構成
を示す構成図である。
【図28】 図27の検知装置において、部分放電が絶
縁スペーサ上でかつ内部高圧導体側にて発生した場合に
発生する電磁波の周波数スペクトルを示すスペクトル図
である。
【図29】 図27の検知装置において、部分放電が絶
縁スペーサ上でかつタンク側に発生した場合に発生する
電磁波の周波数スペクトルを示すスペクトル図である。
【図30】 さらに、この発明の他の実施の形態を示す
もので、TE21モードを放電強度の指標とする部分放
電強度検出装置の構成図である。
【符号の説明】
11 タンク、12 内部高圧導体、20,20a,3
0,40,50,60 検知装置、21,21a 電磁
波検出器、23 高速フーリエ変換装置、25 抽出
器、26 割算器、27 判定装置、31 積分器、4
1,44 帯域フィルタ、42,45 整流回路、4
3,46 ピークホールド回路、51,55 電磁波検
出器、53,57 整流回路、54,58 ピークホー
ルド回路。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性材料で形成された筒状体とこの筒
    状体内に収容され上記筒状体の長さ方向に延伸された導
    体とを有する導電装置における上記筒状体内で発生する
    電磁波を検出する電磁波検出部を有し検出された電磁波
    の内の所定の電磁波モードの強度に基づいて上記部分放
    電の上記筒状体の長さ方向と交差する方向の発生位置を
    知る検知装置を備えた導電装置の部分放電発生位置検出
    装置。
  2. 【請求項2】 検知装置は、異なる電磁波モードの強度
    の比に基づいて発生位置を知るものであることを特徴と
    する請求項1に記載の導電装置の部分放電発生位置検出
    装置。
  3. 【請求項3】 検知装置は、TEMモードの強度と、少
    なくともTEm1モード、但しmは1以上の整数、を含
    む電磁波モードの強度との比に基づいて発生位置を知る
    ものであることを特徴とする請求項2に記載の導電装置
    の部分放電発生位置検出装置。
  4. 【請求項4】 検知装置は、TE11モードの遮断周波
    数未満の所定の第一の周波数の強度をTEMモードの強
    度とし、上記TE11波の遮断周波数以上の所定の第二
    の周波数の強度との比に基づいて発生位置を知るもので
    あることを特徴とする請求項3に記載の導電装置の部分
    放電発生位置検出装置。
  5. 【請求項5】 検知装置は、TE11モードの遮断周波
    数未満の所定範囲の周波数帯域の強度の積分値をTEM
    モードの強度とし、上記TE11波の遮断周波数以上の
    所定範囲の周波数帯域の強度の積分値との比に基づいて
    発生位置を知るものであることを特徴とする請求項3に
    記載の導電装置の部分放電発生位置検出装置。
  6. 【請求項6】 検知装置は、TEMモードの強度と、T
    Em1モード、但しmは1以上の整数、の強度との比に
    基づいて発生位置を知るものであることを特徴とする請
    求項2に記載の導電装置の部分放電発生位置検出装置。
  7. 【請求項7】 検知装置は、TEp1モードの強度と、
    TEq1モードの強度との比、但しpは2以下の整数、
    qはpより大きい整数、に基づいて発生位置を知るもの
    であることを特徴とする請求項2に記載の導電装置の部
    分放電発生位置検出装置。
  8. 【請求項8】 検知装置は、TE31モードの遮断周波
    数未満の所定の第一の周波数の強度と、TE31モード
    の遮断周波数以上の所定の第二の周波数の強度との比に
    基づいて発生位置を知るものであることを特徴とする請
    求項3に記載の導電装置の部分放電発生位置検出装置。
  9. 【請求項9】 検知装置は、TE31波の遮断周波数未
    満の所定範囲の周波数帯域の強度の積分値と、上記TE
    31波の遮断周波数以上の所定範囲の周波数帯域の強度
    の積分値との比に基づいて発生位置を知るものであるこ
    とを特徴とする請求項3に記載の導電装置の部分放電発
    生位置検出装置。
  10. 【請求項10】 電磁波検出部が、外部アンテナである
    ことを特徴とする請求項3ないし請求項9のいずれか1
    項に記載の部分放電位置検出装置。
  11. 【請求項11】 検知装置は、異なる電磁波モードの強
    度の比が時間的に変化するとき筒状体内を動く自由異物
    による放電であると判定する自由異物判定手段を有する
    ものであることを特徴とする請求項2に記載の導電装置
    の部分放電発生位置検出装置。
  12. 【請求項12】 導電装置は、ガス絶縁開閉装置、ガス
    絶縁母線又は電力ケーブルであることを特徴とする請求
    項2に記載の導電装置の部分放電発生位置検出装置。
  13. 【請求項13】 導電性材料で形成された筒状体とこの
    筒状体内に収容され上記筒状体の長さ方向に延伸された
    導体とを有する導電装置における上記筒状体内で発生す
    る電磁波の内のTE21モードの強度を求めてこれを部
    分放電強度の指標とする部分放電強度検出装置。
JP05521198A 1998-01-26 1998-03-06 導電装置の部分放電発生位置検出装置 Expired - Fee Related JP4216920B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05521198A JP4216920B2 (ja) 1998-01-26 1998-03-06 導電装置の部分放電発生位置検出装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1256698 1998-01-26
JP10-12566 1998-01-26
JP05521198A JP4216920B2 (ja) 1998-01-26 1998-03-06 導電装置の部分放電発生位置検出装置

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008014855A Division JP4690428B2 (ja) 1998-01-26 2008-01-25 導電装置の部分放電強度検出装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11271382A true JPH11271382A (ja) 1999-10-08
JP4216920B2 JP4216920B2 (ja) 2009-01-28

Family

ID=26348196

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP05521198A Expired - Fee Related JP4216920B2 (ja) 1998-01-26 1998-03-06 導電装置の部分放電発生位置検出装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4216920B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009005223A1 (en) * 2007-07-02 2009-01-08 Korea Electric Power Corporation System and method for detecting partial discharge position
JPWO2008026291A1 (ja) * 2006-09-01 2010-01-14 三菱電機株式会社 部分放電判定方法及び部分放電判定装置
CN111239263A (zh) * 2020-01-19 2020-06-05 国网宁夏电力有限公司电力科学研究院 一种gis设备内部的异物缺陷的检测方法及系统
CN111289861A (zh) * 2020-03-26 2020-06-16 云南电网有限责任公司电力科学研究院 一种局部放电源位置的检测方法

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2008026291A1 (ja) * 2006-09-01 2010-01-14 三菱電機株式会社 部分放電判定方法及び部分放電判定装置
JP4979706B2 (ja) * 2006-09-01 2012-07-18 三菱電機株式会社 部分放電判定方法及び部分放電判定装置
WO2009005223A1 (en) * 2007-07-02 2009-01-08 Korea Electric Power Corporation System and method for detecting partial discharge position
KR100915712B1 (ko) * 2007-07-02 2009-09-04 한국전력공사 전력기기의 부분방전위치 검출시스템 및 방전위치 검출방법
GB2463611A (en) * 2007-07-02 2010-03-24 Korea Electric Power Corp System and method for detecting partial discharge position
JP2010531454A (ja) * 2007-07-02 2010-09-24 コリア・エレクトリック・パワー・コーポレーション 電力器機の部分放電位置検出システム及び放電位置検出方法
GB2463611B (en) * 2007-07-02 2012-10-03 Korea Electric Power Corp System and method for detecting partial discharge position
CN111239263A (zh) * 2020-01-19 2020-06-05 国网宁夏电力有限公司电力科学研究院 一种gis设备内部的异物缺陷的检测方法及系统
CN111239263B (zh) * 2020-01-19 2022-10-28 国网宁夏电力有限公司电力科学研究院 一种gis设备内部的异物缺陷的检测方法及系统
CN111289861A (zh) * 2020-03-26 2020-06-16 云南电网有限责任公司电力科学研究院 一种局部放电源位置的检测方法
CN111289861B (zh) * 2020-03-26 2022-01-25 云南电网有限责任公司电力科学研究院 一种局部放电源位置的检测方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4216920B2 (ja) 2009-01-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100691655B1 (ko) 가스절연기기의 부분방전진단장치 및 진단방법
JP4470157B2 (ja) 部分放電測定方法及びその装置
JP4797175B2 (ja) 部分放電電荷量測定方法および装置
JPH10170596A (ja) 絶縁機器診断システム及び部分放電検出法
JP2009115505A (ja) 巻線の検査装置及び検査方法
JP2006170815A (ja) ガス絶縁機器の部分放電診断方法およびシステム
KR20060041190A (ko) 전기 디바이스의 부분방전검출방법 및 장치
JP6296689B2 (ja) 電力ケーブルの無停電絶縁劣化診断方法
JP4979706B2 (ja) 部分放電判定方法及び部分放電判定装置
JP2006266820A (ja) 部分放電判定方法及び部分放電判定装置
KR100632078B1 (ko) 초고압 케이블의 부분방전 측정 시 노이즈 제거장치 및방법
JPH11271382A (ja) 導電装置の部分放電発生位置検出装置及び部分放電強度検出装置
JP4740421B2 (ja) 三相一括ガス絶縁機器の部分放電部位標定方法
JP4690428B2 (ja) 導電装置の部分放電強度検出装置
JP3172626B2 (ja) 高圧機器の部分放電検出方法
JP4802302B2 (ja) 電力ケーブルの水トリー劣化診断方法
JP2001242212A (ja) ガス絶縁電気機器の部分放電の種類判定方法および装置
JP2723902B2 (ja) スペクトラム減算方式部分放電監視システム
JPH0382316A (ja) ガス絶縁機器の部分放電検出装置
JP2023032488A (ja) 部分放電検出方法及び部分放電検出装置
JP2011252779A (ja) 磁界プローブを用いた電気機器の部分放電検出方法
JP2022148040A (ja) 部分放電検出装置及び部分放電検出方法
JP2000221229A (ja) 部分放電検出装置及び部分放電検出方法
JPH07109428B2 (ja) コロナ放電検出器
JPH0560827A (ja) 絶縁劣化検出装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20040727

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041021

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071127

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080125

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081104

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081107

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111114

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121114

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121114

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131114

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees