JPH11270733A - 電磁弁制御装置 - Google Patents

電磁弁制御装置

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JPH11270733A
JPH11270733A JP9403498A JP9403498A JPH11270733A JP H11270733 A JPH11270733 A JP H11270733A JP 9403498 A JP9403498 A JP 9403498A JP 9403498 A JP9403498 A JP 9403498A JP H11270733 A JPH11270733 A JP H11270733A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 電磁弁の実際の作動を簡単な構成及び処理で
容易に検知する。 【解決手段】 電磁弁の弁体が作動時に電磁弁内部に衝
突することにより生じる音を検出するマイク33と、こ
のマイク33の検出出力から電磁弁の作動を検知するた
めのCPU31からなる制御回路とを備えた制御装置3
を、電磁弁の近傍に設ける。また、電磁弁が複数あり、
各電磁弁毎に音又は振動の波形或いは周波数が異ならせ
てあって、作動検知手段は、この波形或いは周波数の違
いによりどの電磁弁の音又は振動であるかを判別して、
各電磁弁の作動検知を個別に行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用自動変速機
における電磁弁の制御などに適用して好適な電磁弁制御
装置であって、電磁弁の実際の作動を容易かつ確実に検
知できる機能を有する電磁弁制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両用自動変速機などに使用さ
れる電磁弁は、コイルの通電制御が開始されてから実際
に弁体(プランジャ)が作動するまでの時間が、各種条
件(電源電圧、温度、抵抗値公差など)の変動により若
干ばらつく。このため、電磁弁の作動タイミングが問題
となる場合には、実際に弁体が作動したことを検知し、
その実際の作動タイミングに基づいて電磁弁の通電制御
の内容を修正するといった補正を行うことが好ましい。
また、弁体がなんらかの要因で拘束される現象(バルブ
スティック)などが生じて、電磁弁の作動信号が出力さ
れているのに弁体が作動しないといった故障が生じた場
合には、これを的確に検知して警告を発する等の適応な
措置をとる必要もある。
【0003】そこで、電磁弁の作動検知、及びそれに基
づく電磁弁の故障判定や、電磁弁駆動信号の補正を行う
技術が要望されるが、従来そのような技術としては、特
開平4−211777号公報や特開平5−118463
号公報に開示されたものが知られている。ところが、こ
れら公報に記載された装置は、いずれも電磁弁のコイル
の電流値を連続的に検出し、この電流値の変化率の変化
から電磁弁の実際の作動を検知するものであった。すな
わち、弁体の移動に伴うコイルの自己インダクタンスの
一次的な変化により、コイルの電流が瞬間的に僅かに減
少する変化(変曲点)を読取り、このような変化が読取
られた時点で、実際に電磁弁の弁体が作動したと判定す
るものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このため、従来の電磁
弁の作動検知技術では、コイルの電流値の変化率を逐次
リアルタイムで正確に演算する処理が必要になり、装置
を構成するマイクロコンピュータ等の高い処理速度と演
算精度が要求され、ひいてはコスト高になるなどの問題
があった。
【0005】そこで本発明は、電磁弁の実際の作動を簡
単な処理で容易かつ確実に検知できる機能を有する電磁
弁制御装置を提供することを第1の目的としている。ま
た、このような作動検知機能により、電磁弁の故障判定
や、電磁弁駆動信号の補正が容易に行える電磁弁制御装
置を提供することを第2の目的としている。
【0006】また、電磁弁が複数あった場合にも、これ
ら電磁弁毎の作動検知が容易に実現できる電磁弁制御装
置を提供することを第3の目的としている。さらに、作
動検知のための構成がより簡素で、誤動作の可能性がよ
り少ない電磁弁制御装置を提供することを第4の目的と
している。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の電磁弁制御装置は、電磁弁のコイル
への通電制御を行って電磁弁を駆動する駆動制御手段
と、電磁弁の弁体が作動時に電磁弁内部に衝突すること
により生じる音又は振動を検出する検出手段と、この検
出手段の検出出力から電磁弁の作動を検知する作動検知
手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】また、請求項2記載の電磁弁制御装置は、
電磁弁を作動させるべく前記駆動制御手段により通電制
御が開始されてから、前記作動検知手段により電磁弁の
作動が実際に検知されるまでの遅延時間を計測する計時
手段と、電磁弁の実作動時間を適正値だけ確保すべく、
前記計時手段により計測された前記遅延時間に基づいて
前記駆動制御手段の出力に補正を加える補正手段とを、
さらに備えたことを特徴とする。
【0009】また、請求項3記載の電磁弁制御装置は、
電磁弁を作動させるべく前記駆動制御手段により通電制
御が開始されてから所定時間が経過するまでの間に、前
記作動検知手段により電磁弁の実際の作動が検知できな
いとき、電磁弁のコイルと弁体及び前記駆動制御手段を
含むソレノイド系の故障と判定する故障判定手段を、さ
らに備えたことを特徴とする。
【0010】また、請求項4記載の電磁弁制御装置は、
前記電磁弁が複数あり、各電磁弁毎に前記音又は振動の
波形或いは周波数が異ならせてあって、前記作動検知手
段は、この波形或いは周波数の違いによりどの電磁弁の
音又は振動であるかを判別して、各電磁弁の作動検知を
個別に行うことを特徴とする。
【0011】また、請求項5記載の電磁弁制御装置は、
前記電磁弁が複数あり、各電磁弁毎に駆動タイミングが
異ならせてあって、前記作動検知手段は、この駆動タイ
ミングの違いによりどの電磁弁の音又は振動であるかを
判別して、各電磁弁の作動検知を個別に行うことを特徴
とする。
【0012】また、請求項6記載の電磁弁制御装置は、
前記作動検知手段により各電磁弁の作動検知を行う期間
に、それぞれ上限と下限を設け、作動検知を行う期間が
各電磁弁毎に時分割されるようにしたことを特徴とす
る。
【0013】また、請求項7記載の電磁弁制御装置は、
少なくとも前記駆動制御手段及び前記作動検知手段を構
成する制御回路を電磁弁の近傍に配設し、前記検出手段
を前記制御回路と一体的に設けたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を車両用自動変速機
においてデューティ制御される電磁弁に適用した一形態
例を、図面を参照して説明する。図1(a)は、車両の
エンジン1と自動変速機2からなる駆動系の全体構成例
の概略を示す側面図であり、図1(b)は、自動変速機
2における制御装置3(いわゆるコントロールユニッ
ト)の配置状態を示す拡大平面図であり、図1(c)
は、制御装置3の配置状態を示す拡大側面図である。ま
た図2(a)は、制御装置3の主要構成の配置状態を示
す拡大平面図であり、図2(b)は、制御装置3の要部
構成を示すブロック図であり、図2(c)は、制御装置
3の作用(電磁弁作動検知の原理)を示す図である。
【0015】制御装置3は、本発明の電磁弁制御装置と
して機能するものであり、この場合コントロールバルブ
ユニット4の上面に一体的に設けられている。ここで、
コントロールバルブユニット4は、自動変速機2の各種
の油圧式摩擦係合要素を制御するための電磁弁5を含む
油圧回路であり、通常図1に示すごとく自動変速機2の
ケーシング下部に設けられたオイルパン6内に配設され
ている。また制御装置3は、マイコロコンピュータを含
む制御回路より構成され、図2(a)に示すように、C
PU31と、各電磁弁5のソレノイド5aを励磁する駆
動回路群32と、マイク33とが、この場合同一基盤上
に実装されてなる。ここで、マイク33は、電磁弁5の
作動音を検出するもので、本発明の検出手段に相当す
る。また、CPU31よりなるマイクロコンピュータを
含む制御回路は、本発明の駆動制御手段、作動検知手
段、計時手段、補正手段、及び故障判定手段として機能
する。
【0016】また、制御装置3を構成する上記制御回路
は、マイク33の出力(作動音信号)をCPU31の読
取りに適した信号に変換するための信号入力回路(例え
ば、図2(b)に示すフィルタ回路34、アンプ回路3
5、A/D変換回路36)を、やはり同一基盤上に備え
ており、この信号入力回路を介して作動音信号がCPU
31に入力される。また、CPU31よりなるマイクロ
コンピュータは、予め設定された動作プログラムにより
後述するフローチャートに従って動作して、本発明の実
施例としての特徴的な処理を行うものであるが、この場
合基本的には次のような原理で電磁弁5の作動検知を行
う。
【0017】すなわち、電磁弁が正常に作動する場合に
は、例えば図4(b)に示すように、コイル通電開始後
電流は徐々に増大し、ある遅延時間T2だけ遅れて弁体
が動くが、この時弁体が弁座等の当接部(バルブボディ
を構成する剛体の内面)に衝突して、音や振動が発生す
る。この音や振動は、通常は変速機の外に漏れないよう
に遮蔽し又は低減しているものであるが、必ずある程度
は発生する。そこで本例では、マイク33によりこの作
動音を検出するようにしており、マイク33より入力さ
れた作動音信号の振幅とパルス幅が、図2(c)に示す
ように予め設定されたしきい値VM及びTMを越えたと
きに、その時点で電磁弁が作動したと判定する。
【0018】ここでしきい値VMやTMは、実際に電磁
弁を作動させたときにマイク33より入力される作動音
信号の振幅及びパルス幅の大きさと、周囲のノイズ等の
影響で電磁弁作動時以外にマイク33より入力される信
号の振幅及びパルス幅の大きさとを実験等により求め、
前記作動音がノイズ等の影響で生じる信号と区別して検
知されるように設定すればよい。この場合、マイク33
は電磁弁の近傍に配置されているので、電磁弁の作動に
より生じる上記作動音の大きさは、周囲のノイズ等より
も確実かつ安定的に大きくなり、このような原理でより
信頼性高く作動検知が可能となる。
【0019】なお自動変速機2は、例えばエンジン1の
回転をトルクコンバータを介して入力し、複数組のプラ
ネタリギアを有する変速機構により変速してプロペラシ
ャフト(車軸側)に出力するものである。この種の自動
変速機における変速機構は、トルクコンバータからのイ
ンプットシャフトの回転を、シフト位置に応じて、プラ
ネタリギアを構成する特定のギア又はキャリアに伝動し
たり、特定のギア又はキャリアの回転を適宜アウトプッ
トシャフトに伝動したり、或いは適宜特定のギア又はキ
ャリアの回転を拘束するために、通常複数のクラッチや
ブレーキ等の油圧式摩擦係合要素を備えている。
【0020】また、車速とスロットル開度のマップであ
るいわゆる変速線図等に基づいて変速判断やロックアッ
プの判断が行われ、所定の摩擦係合要素の締結・解放の
切換えにより、当該変速判断等に応じた変速やロックア
ップが行われる。なおロックアップとは、ロックアップ
クラッチの締結により、トルクコンバータの入出力を直
結して燃費向上を図る操作である。また、ロックアップ
時のロックアップクラッチの締結圧は、通常徐々に増加
するように制御されて、ショックのない滑らかなロック
アップ動作が実現される。
【0021】また、各摩擦係合要素に供給される元圧
(いわゆるライン圧)は、リアルタイムで調整され、エ
ンジントルクに見合った必要十分な圧力とされること
で、変速ショックのない円滑な変速が実現され、また燃
費向上も図られる。なお、エンジントルクを認識するた
めのパラメータとしては、エンジン用コントロールユニ
ット(図示省略)より入力されるスロットル開度の信号
が通常用いられる。そして、このような各摩擦係合要素
の締結・解放の切換えや、ライン圧の制御は、本例の場
合各電磁弁5の作動を制御装置3がコントロールするこ
とにより行われる。
【0022】そして本例では、自動変速機2の各電磁弁
5のうちで、特にライン圧制御のためにデューティ制御
される電磁弁(いわゆるライン圧ソレノイド)と、ロッ
クアップクラッチの締結圧制御のためにデューティ制御
される電磁弁(いわゆるロックアップソレノイド)と
を、本発明の作動検知等の対象の電磁弁としている。こ
こで、例えばライン圧ソレノイドは、一般的には例えば
図3(a)に示すようなライン圧特性を実現すべくその
デューティ比が制御されるもので、デューティ比DUと
ライン圧PLの基本的関係は、例えば図3(b)に示す
ようになっている。
【0023】ここでデューティ比DU[%]は、図4
(a)に示すように、電磁弁のコイルに印加される電圧
波形の周期をT0、電圧が印加されている時間をT1と
した場合、DU=T1/T0×100[%]である。な
お、図4(b)に示すように、電磁弁の実際の作動は前
述したような遅延時間T2分だけ遅れるため、実際に電
磁弁が作動している時間T3(以下、ON時間T3とい
う。)は、電圧が印加されている時間T1(以下、駆動
信号のON時間T1という。)よりも短く、しかも遅延
時間T2が変動することによって変動することになる。
また実際のライン圧PLは、周期T0が一定のため、例
えば図3(b)に示すようにON時間T3に対応してい
る。このため本例では、後述する如く、実際の遅延時間
T2を検知して、その結果に基づいてデューティ比DU
を補正し、要求されるライン圧PLに対応したON時間
T3が確保されるようにしている。
【0024】次に、上述した自動変速機における電磁弁
制御装置の動作(主に制御装置3の処理内容の要部)
を、図5,6に示したフローチャートに従って説明す
る。装置が始動されると、図5に示す一連の処理と、図
6に示す一連の処理が、それぞれ所定のデューティサイ
クルの周期T0(例えば、20msec)で、所定の割
込みにより繰返し実行される。まず図5に示す処理のス
テップS2では、車両の走行状態を表わす各信号の値が
読み込まれる。ここでの信号には、少なくともスロット
ル開度や車速の信号が含まれる。
【0025】次にステップS4では、ステップS2で読
取られた信号に基づいて、予め設定された所定のライン
圧特性から、その状況に応じた最適なライン圧PLが求
められる。次いでステップS6では、求められた最適な
ライン圧PLから、図3(c)に示すように予め設定さ
れた特性に基づいて、最適なON時間T3が求められ
る。
【0026】次にステップS10では、前述の遅延時間
T2の測定値(後述のステップS20で登録されたも
の)の最新のデータを読み込み、その後ステップS12
において、この遅延時間T2の最新のデータに基づい
て、駆動信号のON時間T1(T1=T2+T3)を求
める。なお、制御の開始直後等においては遅延時間T2
が未だ測定されていないので、そのような場合には、例
えば予め設定された平均的な遅延時間T2の値が読み込
まれて使用されるか、或いは図3(b)に示すような基
本的な関係から駆動信号のON時間T1が求められる。
【0027】次にステップS14では、ライン圧ソレノ
イドのコイルにステップS12で求められたON時間T
1だけ通電する通電制御を行う。すなわち、駆動信号の
デューティ比DU[%]がT1/T0×100になるよ
うに、ライン圧ソレノイドの通電制御を実行する。なお
ここでは、ライン圧ソレノイドへの電圧の印加を開始し
た時点で、遅延時間T2を計時するためのタイマの計時
を開始する処理も同時に行われる。
【0028】次にステップS16では、ライン圧ソレノ
イドの通電開始後、下限と上限で規定される所定の期間
において、前述のしきい値VM及びTMを越える作動音
信号の入力があるか否か(即ち、ライン圧ソレノイドが
実際に作動したか否か)を、判定する。なお、ここでい
う所定の期間とは、例えば図7(a)に示すような時間
TL1(下限)と時間TL2(上限)の間の期間であ
り、この場合、ライン圧ソレノイドの駆動信号波形とロ
ックアップソレノイドの駆動信号波形の位相差DL0に
等しい長さをもつ。またこのステップS16では、前述
のしきい値を越える作動音信号の入力があった時点で、
前述のタイマの計時を終了する処理も同時に行われる。
【0029】次にステップS18では、上記所定の期間
において、前述のしきい値を越える作動音信号の入力が
1回だけあったか否か判断し、1回だけあればステップ
S20に進み、1回もない場合或いは2回以上あった場
合には、ステップS22に進む。そしてステップS20
では、前述のタイマの計時結果を遅延時間T2として登
録する。一方ステップS22では、ライン圧ソレノイド
の故障フラグを1とする。なお、この故障フラグはライ
ン圧ソレノイドのソレノイド系の故障を意味するフラグ
で、このフラグが1になると、例えば図示省略した別の
ルーチンの処理で、適応な措置(車両の運転者への警告
等)がとられる。
【0030】次に、図6に示す処理のステップS32で
は、前述のステップS2〜S12と同様に、状況に応じ
たロックアップソレノイドの駆動信号の最適なON時間
L1(図7(b)に示す)を決定する。次いでステップ
S34では、ライン圧ソレノイドに対して時間DL0だ
け遅らせて、ロックアップソレノイドの駆動信号(印加
電圧)を時間L1だけオンしてロックアップソレノイド
のコイルに通電する通電制御が行われる。なおここで
も、ロックアップソレノイドへの電圧の印加を開始した
時点で、ロックアップソレノイドの遅延時間T2を計時
するためのタイマの計時を開始する処理も同時に行われ
る。
【0031】次にステップS36では、ロックアップソ
レノイドの通電開始後、下限と上限で規定される所定の
期間において、前述のしきい値VM及びTMを越える作
動音信号の入力があるか否か(即ち、ロックアップソレ
ノイドが実際に作動したか否か)を、判定する。なお、
ここでいう所定の期間も、例えば図7(b)に示すよう
な時間TL1(下限)と時間TL2(上限)の間の期間
であり、この場合、ライン圧ソレノイドの駆動信号波形
とロックアップソレノイドの駆動信号波形の位相差DL
0に等しい長さをもつ。またこのステップS36では、
前述のしきい値を越える作動音信号の入力があった時点
で、前述のタイマの計時を終了する処理も同時に行われ
る。
【0032】次にステップS38では、上記所定の期間
において、前述のしきい値を越える作動音信号の入力が
1回だけあったか否か判断し、1回だけあればステップ
S40に進み、1回もない場合或いは2回以上あった場
合には、ステップS42に進む。そしてステップS40
では、前述のタイマの計時結果をロックアップソレノイ
ドの遅延時間T2として登録する。一方ステップS42
では、ロックアップソレノイドの故障フラグを1とす
る。なお、この故障フラグはロックアップソレノイドの
ソレノイド系の故障を意味するフラグで、このフラグが
1になると、例えば図示省略した別のルーチンの処理
で、適応な措置(車両の運転者への警告等)がとられ
る。
【0033】以上の処理によれば、1組のマイク33及
びその信号入力回路により各電磁弁の作動音を検出する
ことで、各電磁弁(ライン圧ソレノイド及びロックアッ
プソレノイド)毎の作動検知が容易に可能となり、しか
もこの作動検知に基づいて、各電磁弁の故障判定と通電
制御の補正が行われる。すなわち、各電磁弁が正常に動
作すれば、例えば図7(c)に示すように、前述のしき
い値を越えるパルス幅TMP,TMLの作動音信号が毎
周期1回だけそれぞれ検出され、その検出時点までの時
間TP0,TL0が各電磁弁の遅延時間T2の最新デー
タとして毎周期登録される。
【0034】そして、各電磁弁の通電制御におけるデュ
ーティ比DUは、要求されるライン圧PLに対応したO
N時間T3が確保されるように、遅延時間T2の最新デ
ータに基づいて補正される。このため、遅延時間T2の
ばらつきや変動にかかわらず最適なON時間T3が実現
され、ひいては状況に応じた最適な値にライン圧PLが
信頼性高く調整される。また、いずれかの電磁弁のソレ
ノイド系が故障してその弁体が正常に動作しなければ、
上述のような適正な作動音信号の検出がその電磁弁につ
いてなされないため、その電磁弁が作動していないと判
断され、該当する電磁弁が故障していることが検知され
て適応の処置がとられる。
【0035】したがって本例の装置によれば、従来のよ
うに高い演算速度と演算精度が要求される電流値の演算
を行うことなく、電磁弁の作動検知が容易に行える。ま
た、このような作動検知に基づいて、電磁弁の故障判定
や駆動信号の補正が容易に行えるという効果がある。す
なわち、前述した従来技術であれば、図4(b)〜
(d)に示すような電流波形の違いを読取って、電磁弁
が正常に作動しているか否か、或いは電磁弁がどの程度
の遅延時間をもって作動しているかを判定していたが、
本例では電磁弁が実際に作動したときに生じる音を検出
してこれら判定を行っているため、電流波形を読取る演
算が不要となり、処理が格段に容易となる。
【0036】しかも本例では、複数の電磁弁の作動検知
が別個に行えるため、複数の電磁弁の故障判定や駆動信
号の補正が容易に可能となり、この種の電磁弁を複数有
する自動変速機等において特に好適である。特に本例
は、各電磁弁毎に駆動タイミングを異ならせ、この駆動
タイミングの違いによりどの電磁弁の音又は振動である
かを判別して、各電磁弁の作動検知を個別に行うように
しており、各電磁弁の作動検知(作動音の検出)を行う
期間には、それぞれ上限(TL2)と下限(TL1)を
設け、作動検知を行う期間が各電磁弁毎に時分割される
ようにした。このため、ある一つの電磁弁の作動音等に
より他の電磁弁が作動したと誤って判断されてしまうと
いった誤検出が、信頼性高く防止され、ひいては各電磁
弁毎の作動検知等がそれぞれ信頼性高く行えるという特
長がある。
【0037】また本例では、電磁弁の作動音の検出手段
としてのマイク33を制御装置3(制御回路)と一体的
に設け、それらの間のハーネスを不要としているととも
に、1個のマイク33で複数の電磁弁の作動検知を行う
構成であるため、特に構成が簡素化されており、このよ
うな点からも小型化及び低コスト化が実現できる。ま
た、制御装置3と一体化されたマイク33は、各電磁弁
の近傍に配設されているため、周囲のノイズ等の影響を
受け難く、この点でも信頼性の高い作動検知等が可能と
なる。
【0038】なお、本発明は上記形態例に限られず、各
種の態様があり得る。例えば、上記例では、電磁弁作動
時に生じる音(空気の振動)を検出することで作動検知
を行っているが、電磁弁作動時に同様に生じる固体振動
を振動センサにより検出することにより同様に作動検知
を行うこともできる。
【0039】また上記例は、各電磁弁毎に駆動タイミン
グを異ならせ、この駆動タイミングの違いによりどの電
磁弁の作動音であるかを判別して、各電磁弁の作動検知
を別個に行う態様例であるが、各電磁弁毎に作動時に生
じる音や振動の波形或いは周波数を異ならせることによ
って、各電磁弁の作動検知を別個に行うこともできる。
例えば、電磁弁の弁体と、この弁体が作動時に衝突する
当接部との間に、各電磁弁毎に硬度の異なる材料を介在
させておき、作動時の音や振動の波形或いは周波数を各
電磁弁毎に異ならせておけば、どの電磁弁が作動して生
じた音又は振動であるかは容易に判別でき、電磁弁が複
数あっても個別に作動検知等が可能となる。
【0040】
【発明の効果】請求項1記載の電磁弁制御装置では、電
磁弁の弁体が作動時に電磁弁内部に衝突することにより
生じる音又は振動から電磁弁の作動が検知される。この
ため、従来のように高い演算速度と演算精度が要求され
る電流値の演算を行うことなく、電磁弁の作動検知が容
易に行える。
【0041】また、請求項2又は3記載の電磁弁制御装
置によれば、このような作動検知に基づいて、電磁弁の
駆動信号の補正や故障判定が容易に行えるという効果が
ある。
【0042】すなわち、請求項2記載の電磁弁制御装置
では、電磁弁を作動させるべく通電制御が開始されてか
ら、前記作動検知により電磁弁の作動が実際に検知され
るまでの遅延時間が計測され、電磁弁の実作動時間を適
正値だけ確保すべく、前記遅延時間に基づいて電磁弁の
駆動信号に補正が加えられる。このため、遅延時間のば
らつきや変動にかかわらず最適な実作動時間が実現され
る。
【0043】また、請求項3記載の電磁弁制御装置で
は、電磁弁を作動させるべく通電制御が開始されてから
所定時間が経過するまでの間に、前記作動検知により電
磁弁の実際の作動が検知できないとき、ソレノイド系の
故障と判定する。したがって、いわゆるバルブスティッ
クや断線又は駆動回路等の故障による作動不能事故が即
座に検知できる。
【0044】また、請求項4又は5記載の電磁弁制御装
置では、複数の電磁弁の作動検知を個別に行うことがで
きるため、複数の電磁弁個々の故障判定や駆動信号の補
正が容易に可能となり、この種の電磁弁を複数有する自
動変速機等に用いて好適である。
【0045】特に請求項6記載の電磁弁制御装置では、
各電磁弁毎に駆動タイミングを異ならせ、この駆動タイ
ミングの違いによりどの電磁弁の音又は振動であるかを
判別して、各電磁弁の作動検知を個別に行うようにして
おり、各電磁弁の作動検知を行う期間には、それぞれ上
限と下限を設け、作動検知を行う期間が各電磁弁毎に時
分割されるようにした。このため、ある一つの電磁弁の
作動音等により他の電磁弁が作動したと誤って判断され
てしまうといった誤検出が、信頼性高く防止され、ひい
ては各電磁弁毎の作動検知等がそれぞれ信頼性高く行え
るという特長がある。
【0046】また、請求項7記載の電磁弁制御装置で
は、電磁弁の駆動制御手段及び作動検知手段を構成する
制御回路を電磁弁の近傍に配設し、電磁弁作動時に生じ
る音又は振動の検出手段を前記制御回路と一体的に設け
た。このため、前記制御回路と検出手段の間のハーネス
が不要になり、この点からも小型化及び低コスト化が実
現できる。また、制御回路と一体化された検出手段は、
やはり各電磁弁の近傍に配設されることになるため、周
囲のノイズ等の影響を受け難く、この点でも信頼性の高
い作動検知等が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用例である車両の自動変速機の概略
構成を示す図である。
【図2】上記自動変速機における制御装置の主要構成及
び作用を示す図である。
【図3】上記自動変速機におけるライン圧特性等を示す
図である。
【図4】上記自動変速機における電磁弁の駆動信号と電
流との関係を示す図である。
【図5】上記制御装置の特徴的処理内容を示すフローチ
ャートである。
【図6】上記制御装置の特徴的処理内容を示すフローチ
ャートである。
【図7】上記自動変速機における各電磁弁毎の作動検知
を説明する図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 自動変速機 3 制御装置(駆動制御手段、作動検知手段、計時手
段、補正手段、故障判定手段) 4 コントロールバルブユニット 5 電磁弁 5a ソレノイド 6 オイルパン 31 CPU 32 駆動回路 33 マイク(検出手段)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電磁弁のコイルへの通電制御を行って電
    磁弁を駆動する駆動制御手段と、電磁弁の弁体が作動時
    に電磁弁内部に衝突することにより生じる音又は振動を
    検出する検出手段と、この検出手段の検出出力から電磁
    弁の作動を検知する作動検知手段とを備えたことを特徴
    とする電磁弁制御装置。
  2. 【請求項2】 電磁弁を作動させるべく前記駆動制御手
    段により通電制御が開始されてから、前記作動検知手段
    により電磁弁の作動が実際に検知されるまでの遅延時間
    を計測する計時手段と、電磁弁の実作動時間を適正値だ
    け確保すべく、前記計時手段により計測された前記遅延
    時間に基づいて前記駆動制御手段の出力に補正を加える
    補正手段とを、さらに備えたことを特徴とする請求項1
    記載の電磁弁制御装置。
  3. 【請求項3】 電磁弁を作動させるべく前記駆動制御手
    段により通電制御が開始されてから所定時間が経過する
    までの間に、前記作動検知手段により電磁弁の実際の作
    動が検知できないとき、電磁弁のコイルと弁体及び前記
    駆動制御手段を含むソレノイド系の故障と判定する故障
    判定手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項1又
    は2記載の電磁弁制御装置。
  4. 【請求項4】 前記電磁弁が複数あり、各電磁弁毎に前
    記音又は振動の波形或いは周波数が異ならせてあって、
    前記作動検知手段は、この波形或いは周波数の違いによ
    りどの電磁弁の音又は振動であるかを判別して、各電磁
    弁の作動検知を個別に行うことを特徴とする請求項1乃
    至3の何れかに記載の電磁弁制御装置。
  5. 【請求項5】 前記電磁弁が複数あり、各電磁弁毎に駆
    動タイミングが異ならせてあって、前記作動検知手段
    は、この駆動タイミングの違いによりどの電磁弁の音又
    は振動であるかを判別して、各電磁弁の作動検知を個別
    に行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載
    の電磁弁制御装置。
  6. 【請求項6】 前記作動検知手段により各電磁弁の作動
    検知を行う期間に、それぞれ上限と下限を設け、作動検
    知を行う期間が各電磁弁毎に時分割されるようにしたこ
    とを特徴とする請求項5記載の電磁弁制御装置。
  7. 【請求項7】 少なくとも前記駆動制御手段及び前記作
    動検知手段を構成する制御回路を電磁弁の近傍に配設
    し、前記検出手段を前記制御回路と一体的に設けたこと
    を特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の電磁弁制
    御装置。
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