JP3592928B2 - 電磁弁制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用自動変速機における電磁弁の制御などに適用して好適な電磁弁制御装置であって、電磁弁の実際の作動を容易かつ確実に検知できる機能を有する電磁弁制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両用自動変速機などに使用される電磁弁は、コイルの通電制御が開始されてから実際に弁体(プランジャ)が作動するまでの時間が、各種条件(電源電圧、温度、抵抗値公差など)の変動により若干ばらつく。このため、電磁弁の作動タイミングが問題となる場合には、実際に弁体が作動したことを検知し、その実際の作動タイミングに基づいて電磁弁の通電制御の内容を修正するといった補正を行うことが好ましい。
また、弁体がなんらかの要因で拘束される現象(バルブスティック)などが生じて、電磁弁の作動信号が出力されているのに弁体が作動しないといった故障が生じた場合には、これを的確に検知して警告を発する等の適応な措置をとる必要もある。
【0003】
そこで、電磁弁の作動検知、及びそれに基づく電磁弁の故障判定や、電磁弁駆動信号の補正を行う技術が要望されるが、従来そのような技術としては、特開平4−211777号公報や特開平5−118463号公報に開示されたものが知られている。ところが、これら公報に記載された装置は、いずれも電磁弁のコイルの電流値を連続的に検出し、この電流値の変化率の変化から電磁弁の実際の作動を検知するものであった。
すなわち、弁体の移動に伴うコイルの自己インダクタンスの一次的な変化により、コイルの電流が瞬間的に僅かに減少する変化(変曲点)を読取り、このような変化が読取られた時点で、実際に電磁弁の弁体が作動したと判定するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このため、従来の電磁弁の作動検知技術では、コイルの電流値の変化率を逐次リアルタイムで正確に演算する処理が必要になり、装置を構成するマイクロコンピュータ等の高い処理速度と演算精度が要求され、ひいてはコスト高になるなどの問題があった。
【0005】
そこで本発明は、電磁弁の実際の作動を簡単な処理で容易かつ確実に検知できる機能を有する電磁弁制御装置を提供することを第1の目的としている。
また、このような作動検知機能により、電磁弁の故障判定や、電磁弁駆動信号の補正が容易に行える電磁弁制御装置を提供することを第2の目的としている。
【0006】
また、電磁弁が複数あった場合にも、これら電磁弁毎の作動検知が容易に実現できる電磁弁制御装置を提供することを第3の目的としている。
さらに、作動検知のための構成がより簡素で、誤動作の可能性がより少ない電磁弁制御装置を提供することを第4の目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の電磁弁制御装置は、電磁弁のコイルへの通電制御を行って電磁弁を駆動する駆動制御手段と、電磁弁の弁体が作動時に電磁弁内部に衝突することにより生じる音又は振動を検出する検出手段と、この検出手段の検出出力から電磁弁の作動を検知する作動検知手段とを備え、
前記電磁弁が複数あり、各電磁弁毎に駆動タイミングが異ならせてあって、前記作動検知手段は、この駆動タイミングの違いによりどの電磁弁の音又は振動であるかを判別して、各電磁弁の作動検知を個別に行うことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2記載の電磁弁制御装置は、前記作動検知手段により各電磁弁の作動検知を行う期間に、それぞれ上限と下限を設け、作動検知を行う期間が各電磁弁毎に時分割されるようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3記載の電磁弁制御装置は、電磁弁のコイルへの通電制御を行って電磁弁を駆動する駆動制御手段と、電磁弁の弁体が作動時に電磁弁内部に衝突することにより生じる音又は振動を検出する検出手段と、この検出手段の検出出力から電磁弁の作動を検知する作動検知手段とを備え、
前記電磁弁が複数あり、各電磁弁毎に前記音又は振動の波形或いは周波数が異ならせてあって、前記作動検知手段は、この波形或いは周波数の違いによりどの電磁弁の音又は振動であるかを判別して、各電磁弁の作動検知を個別に行うことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4記載の電磁弁制御装置は、電磁弁を作動させるべく前記駆動制御手段により通電制御が開始されてから、前記作動検知手段により電磁弁の作動が実際に検知されるまでの遅延時間を計測する計時手段と、電磁弁の実作動時間を適正値だけ確保すべく、前記計時手段により計測された前記遅延時間に前記実作動時間の適正値を加算して得られた時間を、前記駆動制御手段による前記コイルへの通電時間として設定する通電時間設定手段とを、さらに備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5記載の電磁弁制御装置は、電磁弁を作動させるべく前記駆動制御手段により通電制御が開始されてから所定時間が経過するまでの間に、前記作動検知手段により電磁弁の実際の作動が検知できないとき、電磁弁のコイルと弁体及び前記駆動制御手段を含むソレノイド系の故障と判定する故障判定手段を、さらに備えたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項6記載の電磁弁制御装置は、少なくとも前記駆動制御手段及び前記作動検知手段を構成する制御回路を電磁弁の近傍に配設し、前記検出手段を前記制御回路と同一基盤上に設けたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を車両用自動変速機においてデューティ制御される電磁弁に適用した一形態例を、図面を参照して説明する。
【0014】
図1(a)は、車両のエンジン1と自動変速機2からなる駆動系の全体構成例の概略を示す側面図であり、図1(b)は、自動変速機2における制御装置3(いわゆるコントロールユニット)の配置状態を示す拡大平面図であり、図1(c)は、制御装置3の配置状態を示す拡大側面図である。
また図2(a)は、制御装置3の主要構成の配置状態を示す拡大平面図であり、図2(b)は、制御装置3の要部構成を示すブロック図であり、図2(c)は、制御装置3の作用(電磁弁作動検知の原理)を示す図である。
【0015】
制御装置3は、本発明の電磁弁制御装置として機能するものであり、この場合コントロールバルブユニット4の上面に一体的に設けられている。ここで、コントロールバルブユニット4は、自動変速機2の各種の油圧式摩擦係合要素を制御するための電磁弁5を含む油圧回路であり、通常図1に示すごとく自動変速機2のケーシング下部に設けられたオイルパン6内に配設されている。
また制御装置3は、マイコロコンピュータを含む制御回路より構成され、図2(a)に示すように、CPU31と、各電磁弁5のソレノイド5aを励磁する駆動回路群32と、マイク33とが、この場合同一基盤上に実装されてなる。ここで、マイク33は、電磁弁5の作動音を検出するもので、本発明の検出手段に相当する。また、CPU31よりなるマイクロコンピュータを含む制御回路は、本発明の駆動制御手段、作動検知手段、計時手段、及び通電時間設定手段として機能する。
【0016】
また、制御装置3を構成する上記制御回路は、マイク33の出力(作動音信号)をCPU31の読取りに適した信号に変換するための信号入力回路(例えば、図2(b)に示すフィルタ回路34、アンプ回路35、A/D変換回路36)を、やはり同一基盤上に備えており、この信号入力回路を介して作動音信号がCPU31に入力される。
また、CPU31よりなるマイクロコンピュータは、予め設定された動作プログラムにより後述するフローチャートに従って動作して、本発明の実施例としての特徴的な処理を行うものであるが、この場合基本的には次のような原理で電磁弁5の作動検知を行う。
【0017】
すなわち、電磁弁が正常に作動する場合には、例えば図4(b)に示すように、コイル通電開始後電流は徐々に増大し、ある遅延時間T2だけ遅れて弁体が動くが、この時弁体が弁座等の当接部(バルブボディを構成する剛体の内面)に衝突して、音や振動が発生する。この音や振動は、通常は変速機の外に漏れないように遮蔽し又は低減しているものであるが、必ずある程度は発生する。そこで本例では、マイク33によりこの作動音を検出するようにしており、マイク33より入力された作動音信号の振幅とパルス幅が、図2(c)に示すように予め設定されたしきい値VM及びTMを越えたときに、その時点で電磁弁が作動したと判定する。
【0018】
ここでしきい値VMやTMは、実際に電磁弁を作動させたときにマイク33より入力される作動音信号の振幅及びパルス幅の大きさと、周囲のノイズ等の影響で電磁弁作動時以外にマイク33より入力される信号の振幅及びパルス幅の大きさとを実験等により求め、前記作動音がノイズ等の影響で生じる信号と区別して検知されるように設定すればよい。この場合、マイク33は電磁弁の近傍に配置されているので、電磁弁の作動により生じる上記作動音の大きさは、周囲のノイズ等よりも確実かつ安定的に大きくなり、このような原理でより信頼性高く作動検知が可能となる。
【0019】
なお自動変速機2は、例えばエンジン1の回転をトルクコンバータを介して入力し、複数組のプラネタリギアを有する変速機構により変速してプロペラシャフト(車軸側)に出力するものである。
この種の自動変速機における変速機構は、トルクコンバータからのインプットシャフトの回転を、シフト位置に応じて、プラネタリギアを構成する特定のギア又はキャリアに伝動したり、特定のギア又はキャリアの回転を適宜アウトプットシャフトに伝動したり、或いは適宜特定のギア又はキャリアの回転を拘束するために、通常複数のクラッチやブレーキ等の油圧式摩擦係合要素を備えている。
【0020】
また、車速とスロットル開度のマップであるいわゆる変速線図等に基づいて変速判断やロックアップの判断が行われ、所定の摩擦係合要素の締結・解放の切換えにより、当該変速判断等に応じた変速やロックアップが行われる。なおロックアップとは、ロックアップクラッチの締結により、トルクコンバータの入出力を直結して燃費向上を図る操作である。また、ロックアップ時のロックアップクラッチの締結圧は、通常徐々に増加するように制御されて、ショックのない滑らかなロックアップ動作が実現される。
【0021】
また、各摩擦係合要素に供給される元圧(いわゆるライン圧)は、リアルタイムで調整され、エンジントルクに見合った必要十分な圧力とされることで、変速ショックのない円滑な変速が実現され、また燃費向上も図られる。なお、エンジントルクを認識するためのパラメータとしては、エンジン用コントロールユニット(図示省略)より入力されるスロットル開度の信号が通常用いられる。
そして、このような各摩擦係合要素の締結・解放の切換えや、ライン圧の制御は、本例の場合各電磁弁5の作動を制御装置3がコントロールすることにより行われる。
【0022】
そして本例では、自動変速機2の各電磁弁5のうちで、特にライン圧制御のためにデューティ制御される電磁弁(いわゆるライン圧ソレノイド)と、ロックアップクラッチの締結圧制御のためにデューティ制御される電磁弁(いわゆるロックアップソレノイド)とを、本発明の作動検知等の対象の電磁弁としている。
ここで、例えばライン圧ソレノイドは、一般的には例えば図3(a)に示すようなライン圧特性を実現すべくそのデューティ比が制御されるもので、デューティ比DUとライン圧PLの基本的関係は、例えば図3(b)に示すようになっている。
【0023】
ここでデューティ比DU[%]は、図4(a)に示すように、電磁弁のコイルに印加される電圧波形の周期をT0、電圧が印加されている時間をT1とした場合、DU=T1/T0×100[%]である。なお、図4(b)に示すように、電磁弁の実際の作動は前述したような遅延時間T2分だけ遅れるため、実際に電磁弁が作動している時間T3(以下、ON時間T3という。)は、電圧が印加されている時間T1(以下、駆動信号のON時間T1という。)よりも短く、しかも遅延時間T2が変動することによって変動することになる。また実際のライン圧PLは、周期T0が一定のため、例えば図3(b)に示すようにON時間T3に対応している。このため本例では、後述する如く、実際の遅延時間T2を検知して、その結果に基づいてデューティ比DUを補正し、要求されるライン圧PLに対応したON時間T3が確保されるようにしている。
【0024】
次に、上述した自動変速機における電磁弁制御装置の動作(主に制御装置3の処理内容の要部)を、図5,6に示したフローチャートに従って説明する。
装置が始動されると、図5に示す一連の処理と、図6に示す一連の処理が、それぞれ所定のデューティサイクルの周期T0(例えば、20msec)で、所定の割込みにより繰返し実行される。
まず図5に示す処理のステップS2では、車両の走行状態を表わす各信号の値が読み込まれる。ここでの信号には、少なくともスロットル開度や車速の信号が含まれる。
【0025】
次にステップS4では、ステップS2で読取られた信号に基づいて、予め設定された所定のライン圧特性から、その状況に応じた最適なライン圧PLが求められる。
次いでステップS6では、求められた最適なライン圧PLから、図3(c)に示すように予め設定された特性に基づいて、最適なON時間T3が求められる。
【0026】
次にステップS10では、前述の遅延時間T2の測定値(後述のステップS20で登録されたもの)の最新のデータを読み込み、その後ステップS12において、この遅延時間T2の最新のデータに基づいて、駆動信号のON時間T1(T1=T2+T3)を求める。なお、制御の開始直後等においては遅延時間T2が未だ測定されていないので、そのような場合には、例えば予め設定された平均的な遅延時間T2の値が読み込まれて使用されるか、或いは図3(b)に示すような基本的な関係から駆動信号のON時間T1が求められる。
【0027】
次にステップS14では、ライン圧ソレノイドのコイルにステップS12で求められたON時間T1だけ通電する通電制御を行う。すなわち、駆動信号のデューティ比DU[%]がT1/T0×100になるように、ライン圧ソレノイドの通電制御を実行する。なおここでは、ライン圧ソレノイドへの電圧の印加を開始した時点で、遅延時間T2を計時するためのタイマの計時を開始する処理も同時に行われる。
【0028】
次にステップS16では、ライン圧ソレノイドの通電開始後、下限と上限で規定される所定の期間において、前述のしきい値VM及びTMを越える作動音信号の入力があるか否か(即ち、ライン圧ソレノイドが実際に作動したか否か)を、判定する。
なお、ここでいう所定の期間とは、例えば図7(a)に示すような時間TL1(下限)と時間TL2(上限)の間の期間であり、この場合、ライン圧ソレノイドの駆動信号波形とロックアップソレノイドの駆動信号波形の位相差DL0に等しい長さをもつ。
またこのステップS16では、前述のしきい値を越える作動音信号の入力があった時点で、前述のタイマの計時を終了する処理も同時に行われる。
【0029】
次にステップS18では、上記所定の期間において、前述のしきい値を越える作動音信号の入力が1回だけあったか否か判断し、1回だけあればステップS20に進み、1回もない場合或いは2回以上あった場合には、ステップS22に進む。
そしてステップS20では、前述のタイマの計時結果を遅延時間T2として登録する。
一方ステップS22では、ライン圧ソレノイドの故障フラグを1とする。なお、この故障フラグはライン圧ソレノイドのソレノイド系の故障を意味するフラグで、このフラグが1になると、例えば図示省略した別のルーチンの処理で、適応な措置(車両の運転者への警告等)がとられる。
【0030】
次に、図6に示す処理のステップS32では、前述のステップS2〜S12と同様に、状況に応じたロックアップソレノイドの駆動信号の最適なON時間L1(図7(b)に示す)を決定する。
次いでステップS34では、ライン圧ソレノイドに対して時間DL0だけ遅らせて、ロックアップソレノイドの駆動信号(印加電圧)を時間L1だけオンしてロックアップソレノイドのコイルに通電する通電制御が行われる。なおここでも、ロックアップソレノイドへの電圧の印加を開始した時点で、ロックアップソレノイドの遅延時間T2を計時するためのタイマの計時を開始する処理も同時に行われる。
【0031】
次にステップS36では、ロックアップソレノイドの通電開始後、下限と上限で規定される所定の期間において、前述のしきい値VM及びTMを越える作動音信号の入力があるか否か(即ち、ロックアップソレノイドが実際に作動したか否か)を、判定する。
なお、ここでいう所定の期間も、例えば図7(b)に示すような時間TL1(下限)と時間TL2(上限)の間の期間であり、この場合、ライン圧ソレノイドの駆動信号波形とロックアップソレノイドの駆動信号波形の位相差DL0に等しい長さをもつ。
またこのステップS36では、前述のしきい値を越える作動音信号の入力があった時点で、前述のタイマの計時を終了する処理も同時に行われる。
【0032】
次にステップS38では、上記所定の期間において、前述のしきい値を越える作動音信号の入力が1回だけあったか否か判断し、1回だけあればステップS40に進み、1回もない場合或いは2回以上あった場合には、ステップS42に進む。
そしてステップS40では、前述のタイマの計時結果をロックアップソレノイドの遅延時間T2として登録する。
一方ステップS42では、ロックアップソレノイドの故障フラグを1とする。なお、この故障フラグはロックアップソレノイドのソレノイド系の故障を意味するフラグで、このフラグが1になると、例えば図示省略した別のルーチンの処理で、適応な措置(車両の運転者への警告等)がとられる。
【0033】
以上の処理によれば、1組のマイク33及びその信号入力回路により各電磁弁の作動音を検出することで、各電磁弁(ライン圧ソレノイド及びロックアップソレノイド)毎の作動検知が容易に可能となり、しかもこの作動検知に基づいて、各電磁弁の故障判定と通電制御の補正が行われる。
すなわち、各電磁弁が正常に動作すれば、例えば図7(c)に示すように、前述のしきい値を越えるパルス幅TMP,TMLの作動音信号が毎周期1回だけそれぞれ検出され、その検出時点までの時間TP0,TL0が各電磁弁の遅延時間T2の最新データとして毎周期登録される。
【0034】
そして、各電磁弁の通電制御におけるデューティ比DUは、要求されるライン圧PLに対応したON時間T3が確保されるように、遅延時間T2の最新データに基づいて補正される。このため、遅延時間T2のばらつきや変動にかかわらず最適なON時間T3が実現され、ひいては状況に応じた最適な値にライン圧PLが信頼性高く調整される。
また、いずれかの電磁弁のソレノイド系が故障してその弁体が正常に動作しなければ、上述のような適正な作動音信号の検出がその電磁弁についてなされないため、その電磁弁が作動していないと判断され、該当する電磁弁が故障していることが検知されて適応の処置がとられる。
【0035】
したがって本例の装置によれば、従来のように高い演算速度と演算精度が要求される電流値の演算を行うことなく、電磁弁の作動検知が容易に行える。また、このような作動検知に基づいて、電磁弁の故障判定や駆動信号の補正が容易に行えるという効果がある。
すなわち、前述した従来技術であれば、図4(b)〜(d)に示すような電流波形の違いを読取って、電磁弁が正常に作動しているか否か、或いは電磁弁がどの程度の遅延時間をもって作動しているかを判定していたが、本例では電磁弁が実際に作動したときに生じる音を検出してこれら判定を行っているため、電流波形を読取る演算が不要となり、処理が格段に容易となる。
【0036】
しかも本例では、複数の電磁弁の作動検知が別個に行えるため、複数の電磁弁の故障判定や駆動信号の補正が容易に可能となり、この種の電磁弁を複数有する自動変速機等において特に好適である。
特に本例は、各電磁弁毎に駆動タイミングを異ならせ、この駆動タイミングの違いによりどの電磁弁の音又は振動であるかを判別して、各電磁弁の作動検知を個別に行うようにしており、各電磁弁の作動検知(作動音の検出)を行う期間には、それぞれ上限(TL2)と下限(TL1)を設け、作動検知を行う期間が各電磁弁毎に時分割されるようにした。このため、ある一つの電磁弁の作動音等により他の電磁弁が作動したと誤って判断されてしまうといった誤検出が、信頼性高く防止され、ひいては各電磁弁毎の作動検知等がそれぞれ信頼性高く行えるという特長がある。
【0037】
また本例では、電磁弁の作動音の検出手段としてのマイク33を制御装置3(制御回路)と一体的に設け、それらの間のハーネスを不要としているとともに、1個のマイク33で複数の電磁弁の作動検知を行う構成であるため、特に構成が簡素化されており、このような点からも小型化及び低コスト化が実現できる。
また、制御装置3と一体化されたマイク33は、各電磁弁の近傍に配設されているため、周囲のノイズ等の影響を受け難く、この点でも信頼性の高い作動検知等が可能となる。
【0038】
なお、本発明は上記形態例に限られず、各種の態様があり得る。例えば、上記例では、電磁弁作動時に生じる音(空気の振動)を検出することで作動検知を行っているが、電磁弁作動時に同様に生じる固体振動を振動センサにより検出することにより同様に作動検知を行うこともできる。
【0039】
また上記例は、各電磁弁毎に駆動タイミングを異ならせ、この駆動タイミングの違いによりどの電磁弁の作動音であるかを判別して、各電磁弁の作動検知を別個に行う態様例であるが、各電磁弁毎に作動時に生じる音や振動の波形或いは周波数を異ならせることによって、各電磁弁の作動検知を別個に行うこともできる。例えば、電磁弁の弁体と、この弁体が作動時に衝突する当接部との間に、各電磁弁毎に硬度の異なる材料を介在させておき、作動時の音や振動の波形或いは周波数を各電磁弁毎に異ならせておけば、どの電磁弁が作動して生じた音又は振動であるかは容易に判別でき、電磁弁が複数あっても個別に作動検知等が可能となる。
【0040】
【発明の効果】
請求項1又は3記載の電磁弁制御装置では、電磁弁の弁体が作動時に電磁弁内部に衝突することにより生じる音又は振動から電磁弁の作動が検知される。このため、従来のように高い演算速度と演算精度が要求される電流値の演算を行うことなく、電磁弁の作動検知が容易に行える。
また、複数の電磁弁の作動検知を個別に行うことができるため、この種の電磁弁を複数有する自動変速機等に用いて好適である。
【0041】
特に請求項2記載の電磁弁制御装置では、各電磁弁毎に駆動タイミングを異ならせ、この駆動タイミングの違いによりどの電磁弁の音又は振動であるかを判別して、各電磁弁の作動検知を個別に行うようにしており、各電磁弁の作動検知を行う期間には、それぞれ上限と下限を設け、作動検知を行う期間が各電磁弁毎に時分割されるようにした。このため、ある一つの電磁弁の作動音等により他の電磁弁が作動したと誤って判断されてしまうといった誤検出が、信頼性高く防止され、ひいては各電磁弁毎の作動検知等がそれぞれ信頼性高く行えるという特長がある。
【0042】
また、請求項4記載の電磁弁制御装置によれば、前述した作動検知に基づいて、各電磁弁の駆動信号の補正(通電時間の適正な設定)がそれぞれ容易に行えるという効果がある。
すなわち、請求項4記載の電磁弁制御装置では、電磁弁を作動させるべく通電制御が開始されてから、前記作動検知により電磁弁の作動が実際に検知されるまでの遅延時間が計測され、電磁弁の実作動時間を適正値だけ確保すべく、前記遅延時間に前記実作動時間の適正値を加算して得られた時間を、前記駆動制御手段による前記コイルへの通電時間として設定する。このため、遅延時間のばらつきや変動にかかわらず最適な実作動時間が実現される。
【0043】
また、請求項5記載の電磁弁制御装置によれば、前述した作動検知に基づいて、各電磁弁の故障判定がそれぞれ容易に行えるという効果がある。
すなわち、請求項5記載の電磁弁制御装置では、電磁弁を作動させるべく通電制御が開始されてから所定時間が経過するまでの間に、前記作動検知により電磁弁の実際の作動が検知できないとき、ソレノイド系の故障と判定する。したがって、いわゆるバルブスティックや断線又は駆動回路等の故障による作動不能事故が即座に検知できる。
【0044】
また、請求項6記載の電磁弁制御装置では、電磁弁の駆動制御手段及び作動検知手段を構成する制御回路を電磁弁の近傍に配設し、電磁弁作動時に生じる音又は振動の検出手段を前記制御回路と同一基盤上に設けた。このため、前記制御回路と検出手段の間のハーネスが不要になり、この点からも小型化及び低コスト化が実現できる。また、制御回路と同一基盤上に設けられた検出手段は、やはり各電磁弁の近傍に配設されることになるため、周囲のノイズ等の影響を受け難く、この点でも信頼性の高い作動検知等が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用例である車両の自動変速機の概略構成を示す図である。
【図2】上記自動変速機における制御装置の主要構成及び作用を示す図である。
【図3】上記自動変速機におけるライン圧特性等を示す図である。
【図4】上記自動変速機における電磁弁の駆動信号と電流との関係を示す図である。
【図5】上記制御装置の特徴的処理内容を示すフローチャートである。
【図6】上記制御装置の特徴的処理内容を示すフローチャートである。
【図7】上記自動変速機における各電磁弁毎の作動検知を説明する図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 自動変速機
3 制御装置 (駆動制御手段、作動検知手段、計時手段、補正手段、故障判定手段)
4 コントロールバルブユニット
5 電磁弁
5a ソレノイド
6 オイルパン
31 CPU
32 駆動回路
33 マイク(検出手段)
Claims (6)
- 電磁弁のコイルへの通電制御を行って電磁弁を駆動する駆動制御手段と、電磁弁の弁体が作動時に電磁弁内部に衝突することにより生じる音又は振動を検出する検出手段と、この検出手段の検出出力から電磁弁の作動を検知する作動検知手段とを備え、
前記電磁弁が複数あり、各電磁弁毎に駆動タイミングが異ならせてあって、前記作動検知手段は、この駆動タイミングの違いによりどの電磁弁の音又は振動であるかを判別して、各電磁弁の作動検知を個別に行うことを特徴とする電磁弁制御装置。 - 前記作動検知手段により各電磁弁の作動検知を行う期間に、それぞれ上限と下限を設け、作動検知を行う期間が各電磁弁毎に時分割されるようにしたことを特徴とする請求項1記載の電磁弁制御装置。
- 電磁弁のコイルへの通電制御を行って電磁弁を駆動する駆動制御手段と、電磁弁の弁体が作動時に電磁弁内部に衝突することにより生じる音又は振動を検出する検出手段と、この検出手段の検出出力から電磁弁の作動を検知する作動検知手段とを備え、
前記電磁弁が複数あり、各電磁弁毎に前記音又は振動の波形或いは周波数が異ならせてあって、前記作動検知手段は、この波形或いは周波数の違いによりどの電磁弁の音又は振動であるかを判別して、各電磁弁の作動検知を個別に行うことを特徴とする電磁弁制御装置。 - 電磁弁を作動させるべく前記駆動制御手段により通電制御が開始されてから、前記作動検知手段により電磁弁の作動が実際に検知されるまでの遅延時間を計測する計時手段と、電磁弁の実作動時間を適正値だけ確保すべく、前記計時手段により計測された前記遅延時間に前記実作動時間の適正値を加算して得られた時間を、前記駆動制御手段による前記コイルへの通電時間として設定する通電時間設定手段とを、さらに備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電磁弁制御装置。
- 電磁弁を作動させるべく前記駆動制御手段により通電制御が開始されてから所定時間が経過するまでの間に、前記作動検知手段により電磁弁の実際の作動が検知できないとき、電磁弁のコイルと弁体及び前記駆動制御手段を含むソレノイド系の故障と判定する故障判定手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の電磁弁制御装置。
- 少なくとも前記駆動制御手段及び前記作動検知手段を構成する制御回路を電磁弁の近傍に配設し、前記検出手段を前記制御回路と同一基盤上に設けたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の電磁弁制御装置。
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