JPH11270388A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射制御装置

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JPH11270388A
JPH11270388A JP10077556A JP7755698A JPH11270388A JP H11270388 A JPH11270388 A JP H11270388A JP 10077556 A JP10077556 A JP 10077556A JP 7755698 A JP7755698 A JP 7755698A JP H11270388 A JPH11270388 A JP H11270388A
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timing
injection
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純 長谷川
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山下  幸宏
Taiji Isobe
大治 磯部
Wakichi Kondo
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    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Abstract

(57)【要約】 【課題】内燃機関の始動性を向上させることができる燃
料噴射制御装置を提供する。 【解決手段】エンジン10の吸気管11には、燃料を吸
気ポート3に噴射供給するインジェクタ1が配設されて
いる。ECU30は、エンジン10が完爆前の始動状態
にあるか否かを判別し、完爆前である旨が判定された場
合、完爆後に設定される通常の噴射開始タイミング(例
えば吸気TDC前60°CA)よりも遅角側に噴射開始
タイミングを設定する。このとき、ECU30は、次の
燃焼気筒における吸気バルブ16の開弁時間と、同じく
次の燃焼気筒における燃料噴射時間とを比較し、該比較
の結果、吸気バルブ16の開弁時間の方が長ければ、イ
ンジェクタ1による噴射開始タイミングを予め定められ
た所定時期(例えば吸気TDC後30°CA)とする。
また、前記比較の結果、燃料噴射時間の方が長ければ、
インジェクタ1による噴射開始タイミングを進角側に移
行させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の燃料噴
射制御装置に係り、特に機関始動当初から完爆までの期
間において燃料噴射量或いは燃料噴射時期を好適に制御
するための燃料噴射制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の低温始動時においては通常、
クランキングの開始から完爆に至るまでの期間で燃料噴
射量の暖機増量が行われる。この暖機増量はポートやシ
リンダ壁面への燃料の付着や燃料の気化作用の不足を補
うために実施され、例えば機関始動時における冷却水温
の温度に応じた増量補正係数が設定される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところがここに、内燃
機関が完爆に至るまでの期間において機関回転数を速や
かに立ち上げたいという要望がある。これに対し、従来
既存の技術では、主にポート壁面への燃料付着(ポート
ウエット)が原因で、筒内に所望の気化燃料を導入する
ことができず失火などの不良燃焼が生じる。そのため、
内燃機関の始動直後における燃焼が不安定になり、完爆
までの回転数の上昇が遅れたり、車両の乗り心地(始動
フィーリング)が悪化したりするという不都合を招く。
【0004】本発明は、上記問題に着目してなされたも
のであって、その目的とするところは、内燃機関の始動
性を向上させることができる内燃機関の燃料噴射制御装
置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明では、完爆判定手段は、内燃
機関が完爆前の始動状態にあるか否かを判別する。始動
時噴射時期設定手段は、前記完爆判定手段により内燃機
関の完爆前である旨が判定された場合、完爆後に設定さ
れる通常の燃料噴射時期よりも遅角側に燃料噴射時期を
設定する。
【0006】要するに、吸気バルブの開弁に伴う吸気行
程期間に対応させてインジェクタによる燃料噴射を実施
する、いわゆる「吸気行程同期噴射」を実施する装置で
は、流れの速い吸気流に乗せて噴射燃料が気筒内に流入
するため、噴射燃料のポートウエット量やバルブウエッ
ト量が低減できるという利点がある。同噴射の場合、噴
射燃料を吸気ポート内で滞留させて均一混合気を生成す
る、いわゆる「吸気行程外噴射」よりも遅い時期に燃料
噴射時期が設定される。ところが、機関の始動直後にお
いては、機関回転数が微小回転域にあるため、通常運転
時(完爆後)と同様の吸気行程同期噴射を行う場合に、
意図する噴射時期よりも早期に燃料噴射が行われる。従
って、ポート壁面などへの燃料付着量(ウエット量)が
増加し、始動性の悪化を招く。
【0007】これに対し上記構成によれば、完爆前の始
動状態下において通常の燃料噴射時期よりも遅角側に噴
射時期を移行させることで、微小回転域であっても吸気
行程(吸気バルブの開弁時期)に同期した燃料噴射が実
施できる。そのため、燃料のウエット量が低減でき、所
望の燃焼トルクが得られる。その結果、機関始動時にお
いて速やかに且つ安定した状態で回転数が上昇し、ひい
ては、内燃機関の始動性を向上させることができる。
【0008】因みに本明細書において、「完爆」とは、
機関始動時のスタータモータなどによる初期回転の付与
後に、内燃機関が自力で回転を維持できるようになる状
態を意味する。
【0009】請求項2に記載の発明では、次の燃焼気筒
における吸気バルブの開弁時間と、同じく次の燃焼気筒
における燃料噴射時間とを比較し、前記比較の結果、吸
気バルブの開弁時間の方が長ければ、インジェクタによ
る燃料噴射時期を予め定められた所定時期とする(第1
の設定手段)。また、前記比較の結果、燃料噴射時間の
方が長ければ、インジェクタによる燃料噴射時期を前記
第1の設定手段よりも進角側に移行させる(第2の設定
手段)。
【0010】つまり、内燃機関の始動に伴う回転上昇時
には、それに連れて吸気バルブの開弁時間が徐々に短く
なり、吸気バルブの閉弁までにインジェクタによる燃料
噴射が間に合わなくなるおそれがある。しかしながら上
記構成によれば、インジェクタによる燃料噴射時期が遅
過ぎて吸気バルブの閉弁に間に合わないような事態が回
避でき、噴射燃料が確実に気筒内に流入する。従って、
噴射燃料が吸気ポート内でウエットになることもなく、
このウエットに起因して空燃比の制御精度が悪化すると
いった不都合も回避できる。
【0011】請求項3に記載の発明では、前記吸気バル
ブの開弁時間は、バルブリフト量が所定値以上となる期
間の時間から算出されるものとしている。つまり、吸気
バルブが開弁してもバルブリフト量が微小量であれば、
吸気流速が遅く燃料のウエット量が多くなる。そこで、
吸気バルブの開弁時間を上記の如く規定して、比較的吸
気流速の速い期間で燃料を流入させることとしている。
【0012】一方、次の請求項4〜請求項6に記載の発
明によれば、機関始動から完爆までの始動状態下におい
て、より的確に燃料噴射時期が設定できる。すなわち、 ・請求項4に記載の発明では、機関回転数の上昇に伴い
徐々に燃料噴射時期を進角側に移行させる。 ・請求項5に記載の発明では、機関温度の上昇に伴い徐
々に燃料噴射時期を進角側に移行させる。 ・請求項6に記載の発明では、燃焼サイクル数のカウン
トアップに伴い徐々に燃料噴射時期を進角側に移行させ
る。
【0013】これら請求項4〜請求項6の発明によれ
ば、例えば機関始動開始から完爆に近づく過程におい
て、噴射時期が徐々に進角側に移行する。従って、完爆
に至るまでの燃料噴射時期が適正に設定できると共に、
完爆に至る際には通常の燃料噴射(吸気行程同期噴射)
にスムーズに移行させることができる。
【0014】また、請求項7に記載の発明では、複数種
の機関運転情報に応じて燃料噴射時期を個々に算出し、
前記算出した個々の燃料噴射時期のうち、最も遅角側の
値を選択する。この場合、最も遅角側の燃料噴射時期を
選択することで、過剰な進角制御が抑制され、吸気ポー
ト内での燃料の滞留(吸気バルブの開弁以前での滞留)
に伴うウエットがより確実に解消できる。
【0015】請求項8に記載の発明では、機関始動時に
おいて、吸気バルブの開弁時間よりも長い時間で噴射供
給される燃料の余剰分を次の燃焼気筒における燃料噴射
量に加算する。かかる場合、請求項9に記載したよう
に、インジェクタによる燃料噴射が所定のクランク角ま
で継続した時点で、その時の燃料噴射を停止させるとよ
い。
【0016】上記請求項8,9の発明によれば、機関始
動時に燃料噴射時期が遅角側に設定され、それにより仮
に所定の燃料噴射量が吸気バルブの開弁時間内に噴射し
きれない場合にも、燃料余剰分を次の燃焼に持ち越すこ
とで所望の燃焼トルクが確保できる。
【0017】また、請求項10に記載の発明では、機関
始動時における燃料噴射の終了時期を機関回転数に基づ
いて設定する。例えば機関始動時に回転数が急増するこ
とを考慮するのであれば、噴射終了時期を進角側に移行
させる。これにより、噴射開始時期と噴射終了時期との
両方が、回転上昇に伴い進角側に移行することとなり、
最適時期での燃料の気筒内流入が実現できる。
【0018】一方、請求項11に記載の発明において、
始動時噴射量算出手段は、内燃機関が完爆前の始動状態
にある場合に、次の燃焼気筒の始動時噴射量を算出す
る。回転上昇予測手段は、同じく内燃機関が完爆前の始
動状態にある場合に、燃焼による機関回転数の上昇分を
予測する。閉弁時噴射量算出手段は、前記予測した機関
回転数の上昇分に基づいて、前記始動時噴射量のうち吸
気バルブ閉弁時に噴射される燃料量を算出する。噴射量
補正手段は、前記算出した吸気バルブ閉弁時の噴射量に
基づいて前記始動時噴射量を増量補正する。
【0019】吸気行程同期噴射の実施に際し、吸気行程
外噴射となる燃料噴射分、すなわち吸気バルブ開弁直前
の閉弁時に噴射される燃料は、吸気流に乗って気筒内に
流入するのではなく、筒内流入前にポートウエットとし
てポート壁面に付着する。従って、機関始動時において
初爆に伴い回転数が急激に上昇する場合に、インジェク
タによる燃料噴射が吸気バルブ閉弁時(吸気行程前の期
間)にかかると、この閉弁時噴射でのウエットにより気
筒への燃料流入量が不足してしまい機関始動性に悪影響
を及ぼす。
【0020】これに対して上記構成によれば、機関回転
数の上昇分に応じて吸気バルブの閉弁時噴射となる燃料
噴射量を正確に把握し、その噴射量に応じて始動時噴射
量を増量補正する。そのため、吸気バルブ閉弁時噴射の
ウエットによる燃料不足が解消され、ひいては内燃機関
の始動性を向上させることができる。
【0021】上記請求項11の発明においては、請求項
12に記載したように、吸気バルブの開弁時噴射と同吸
気バルブの閉弁時噴射との筒内流入率に基づいて噴射量
補正値を求め、その噴射量補正値を用いて始動時噴射量
を補正するとよい。つまり、吸気バルブ開弁時の噴射燃
料の筒内流入率と、同閉弁時の噴射燃料の筒内流入率と
を比較すると、後者の方がかなり小さい(図19参
照)。これは、ポートウエットとして吸気ポート内に残
留する燃料量の差に起因すると考えられる。かかる場
合、この筒内流入率を考慮した噴射量補正値を与えるこ
とで、より一層適正な燃料噴射を実施することが可能と
なる。
【0022】吸気バルブ閉弁時の燃料噴射分はウエット
として吸気ポート内に残留するため、この燃料ウエット
分を筒内に流入させるには、燃料噴射後、ポート壁面に
付着した燃料を蒸発させることが考えられる。そこで、
請求項13に記載の発明では、前記算出した吸気バルブ
閉弁時の燃料噴射分とその閉弁時噴射分に応じた補正噴
射分とを加算した燃料量を、その時の燃焼気筒の吸気行
程よりも先のタイミングで分割して噴射する。これによ
り、燃焼気筒の吸気行程よりも先のタイミングで分割噴
射された燃料は一旦ポート壁面に付着するが、吸気行程
までの期間において徐々に蒸発し、その後、吸気バルブ
の開弁に伴い気筒内に流入される。この構成によっても
本来流入すべき燃料量の不足が解消されるようになる。
その結果、筒内への燃料流入が効率良く行われ、エンジ
ン始動性が向上する。
【0023】請求項14に記載の発明では、始動時燃料
噴射の終了が吸気バルブの閉弁時期よりも遅くならない
よう、前記予測した機関回転数の上昇分に基づいて燃料
噴射時期を補正する(燃料噴射時期補正手段)。インジ
ェクタによる燃料噴射が吸気行程後にかかると、その
分、気筒内への燃料流入量が減ってしまうが、機関回転
数の上昇分に応じて燃料噴射時期を補正することによ
り、上記不具合が回避できる。
【0024】請求項15に記載の発明では、前記回転上
昇予測手段は、機関始動開始からの噴射回数と機関温度
とから機関回転数の上昇分を予測する。この場合、フリ
クション(摺動摩擦)による影響が回転数予測に反映さ
れ、回転数上昇分が正確に予測できる。機関温度として
は、エンジン冷却水の温度やシリンダ壁面の温度などが
適用できる。
【0025】請求項16に記載の発明では、機関始動当
初の燃料噴射時には、燃料噴射量の補正或いは燃料噴射
時期の補正を実施しないこととしている。ここで、機関
始動当初とは、例えばクランキング開始から初爆が来る
までの期間を言い、この期間においては燃焼による回転
上昇の影響を受けないことから噴射量補正や噴射時期補
正を禁止する。これにより、不要な補正処理が省略でき
る。
【0026】請求項17に記載の発明では、内燃機関の
全気筒が一通り燃焼した際にそれを1サイクルとして、
機関始動開始からの燃焼サイクル数をカウントする手段
を備え、前記始動時噴射量算出手段は、内燃機関の始動
開始からの燃焼サイクル数に基づいて始動時噴射量を算
出する。実際には、請求項18に記載したように、燃焼
サイクル数が大きくなるほど噴射量を減量させるとよ
い。
【0027】つまり、機関始動当初は燃料ウエット分を
考慮して始動時噴射量を増量しておくが、燃焼サイクル
を繰り返す毎に燃料ウエットが飽和点に近づき、次第に
噴射増量が不要になる。そこで、燃焼サイクル数が大き
くなるのに従い噴射量を減量し、過多量の燃料噴射を抑
制する。
【0028】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、この
発明を具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明
する。
【0029】本実施の形態における燃料噴射制御装置
は、周知のマイクロコンピュータを主体とする電子制御
装置(以下、ECUという)により機関への燃料噴射を
制御するシステムにあって、特に機関始動時の燃料噴射
時期を適正に制御する装置に関する。はじめに、同図1
を参照して、本実施の形態の装置、並びに同装置が適用
される内燃機関の構成について説明する。
【0030】エンジン10は、第1〜第4(#1〜#
4)の4つの気筒を有する4気筒火花点火式内燃機関か
らなり、その燃焼順序は#1→#3→#4→#2となっ
ている。気筒には各々にインジェクタ1が図示の如く配
設されている。図示しない燃料供給系から圧送される燃
料は、デリバリパイプ2を通じて各気筒のインジェクタ
1に分配供給される。該インジェクタ1がECU30に
より指令される燃料噴射量に対応した時間だけ開弁駆動
されることにより、それら各対応する気筒の吸気ポート
3に燃料が噴射供給される。
【0031】一方、インジェクタ1によって噴射供給さ
れた燃料は、エンジン10の吸気管11に設けられてい
るエアクリーナ12、スロットルバルブ14及びサージ
タンク15を介して吸入される空気と混合される。そし
てこの混合気は、吸気バルブ16を介してシリンダ17
内の燃焼室18に導入される。
【0032】ここで、スロットルバルブ14は、例えば
車両の図示しないアクセルペダルに連動して、上記吸気
管11に吸入され噴射燃料と混合される空気の量を調節
するバルブである。また、サージタンク15は、このス
ロットルバルブ14を介して吸入される空気の脈動を抑
えるために配設されている。
【0033】上記シリンダ17内の燃焼室18に導入さ
れた混合気は、その中で圧縮され、点火プラグ19から
点火火花が発せられることにより点火して爆発する。エ
ンジン10は、この爆発によって回転トルクを得る。ま
た、燃焼後のガスは、排気ガスとして排気バルブ20を
介して排気管21に排出される。なお、点火プラグ19
は、点火コイル22により昇圧されて且つ、ディストリ
ビュータ23により気筒毎に分配される高電圧の印加に
よって上記点火火花を発生する。
【0034】スタータモータ28は、始動時のエンジン
10に初期回転を付与するものであって、スタータスイ
ッチ40のON操作に従いバッテリ50より給電を受け
て回転駆動する。
【0035】他方、上記装置では、以下のような各種セ
ンサを通じて、エンジン10の運転状態が検出される。
吸気管11のサージタンク15には吸気圧センサ13が
配設されており、同センサ13は吸気管11に吸入され
る空気の圧力(吸気圧)を測定する。ディストリビュー
タ23には回転数センサ24が配設されており、同セン
サ24はエンジン10の回転数並びに回転角を検出す
る。ここで、回転数センサ24は、30°CA毎にパル
ス状の回転角信号(NEパルス)を出力する。また、エ
ンジン10のシリンダ17(ウォータージャケット)に
は水温センサ26が配設されており、同センサ26はエ
ンジン冷却水の温度を検出する。これら各センサの出力
は何れも、ECU30に取り込まれる。
【0036】ECU30は、上記各種センサ13,2
4,26による検出出力をもとに吸気圧PM、エンジン
回転数NE、水温Twなどの制御パラメータを検知し、
これらのデータに基づいてエンジン10への燃料噴射量
(時間)や点火時期を演算する。そして、上記演算結果
に基づいて上記インジェクタ1や点火コイル22の駆動
を制御する。
【0037】特に本実施の形態では、エンジン10が排
気行程から吸気行程に移行する所定期間で燃料を噴射
し、この噴射燃料を吸気行程での吸気バルブ16の開弁
に伴い気筒内(燃焼室18内)に流入させる、いわゆる
「吸気行程同期噴射」を実施することとしている。この
場合、エンジン10の排気行程で燃料を噴射して吸気ポ
ート3内で均一混合気を形成し、その後混合気を気筒内
に流入させる、いわゆる「吸気行程外噴射」と比較し
て、燃料噴射時期が遅角側に設定されることとなる。吸
気行程外噴射では、吸気TDC前150°CA〜90°
CA付近にて燃料噴射が開始されるのに対し、吸気行程
同期噴射では、吸気TDC前60°CA付近にて燃料噴
射が開始される。
【0038】また、ECU30には、スタータスイッチ
40の操作情報(ON/OFF信号)も取り込まれ、E
CU30は、このスタータスイッチ40の操作情報に基
づいて、エンジン10の始動操作の有無を判断する。な
お、ECU30は、バッテリ50から給電を受け、その
バッテリ電圧VBにより後述する燃料噴射制御をはじめ
とする各種の制御を実行する。
【0039】次に、上記の如く構成される燃料噴射制御
装置の作用を説明する。図2は、燃料噴射制御ルーチン
を示すフローチャートであって、同ルーチンは各気筒の
燃料噴射毎に、すなわち180°CA毎にECU30に
より実行される。
【0040】さて、図2のルーチンがスタートすると、
ECU30は、先ずステップ101で完爆フラグXST
が「0」であるか否かを判別する。完爆フラグXST
は、始動後のエンジン10が完爆に至ったかどうかを表
すものであって、XST=0は完爆前であることを、X
ST=1は完爆後であることをそれぞれ示す。因みに、
ECU30への電源投入当初は、当該フラグが「0」に
初期化されるようになっている。
【0041】XST=0であれば、ECU30はステッ
プ102に進み、エンジン始動時の燃料噴射制御に要す
る各種情報を読み込む。つまり、前記回転数センサ24
により検出されたエンジン回転数NE、前記吸気圧セン
サ13により検出された吸気圧PM、前記水温センサ2
6により検出された水温Twなどを読み込む。
【0042】その後、ECU30は、ステップ103で
完爆判定回転数STBNEをマップ検索する。具体的に
は、図4の関係に従い、その時々の水温Twに応じた完
爆判定回転数STBNEを設定する。図4によれば、T
w<−20℃ではSTBNE=800rpmが、Tw=
−20〜0℃ではSTBNE=600rpmが、Tw>
0℃ではSTBNE=400rpmが、それぞれ設定さ
れる。
【0043】その後、ECU30は、ステップ104で
前記のエンジン回転数NEと完爆判定回転数STBNE
とを大小比較する。NE<STBNEであれば、ECU
30は完爆前とみなし、ステップ104を否定判別して
ステップ105に進む。ECU30は、ステップ105
で図5を用いて次の燃焼気筒における予想エンジン回転
数(次回の予想NE)をマップ検索する。図5によれ
ば、完爆前のエンジン回転数NEと吸気圧PMとから次
回の予想NEが求められる。
【0044】また、ECU30は、続くステップ106
で次の燃焼気筒における吸気バルブ16の開弁時間(バ
ルブ開弁時間Tin)を算出する。具体的に説明すれ
ば、図6に示すように、排気バルブ20はBDCの直前
に開弁し、TDC(吸気TDC)の直後に閉弁する。ま
た、吸気バルブ16は吸気TDCの直前に開弁し、BD
C直後に閉弁する。吸気バルブ16のリフト量が所定の
しきい値Lrを越える期間を「バルブ開弁時間Tin」
とすると、このバルブ開弁時間Tin〔msec〕は、 Tin=30/NE・1000・K で算出される。ここで、「K」は、吸気バルブ16が開
弁する吸気行程(180°CA)内においてバルブリフ
ト量がしきい値Lrを越える時間を求めるための係数で
ある(K<1)。因みに上式において、NE値の信頼性
を高めるには、Tw<0℃であればTDC〜ATDC3
0°CAでの瞬時回転数をNE〔rpm〕として用い、
Tw≧0℃であればATDC30°CA〜ATDC60
°CAでの瞬時回転数をNE〔rpm〕として用いると
よい。
【0045】なお上述の通り、バルブリフト量>Lrの
期間でバルブ開弁時間Tinを求めることにより、比較
的吸気流速の速い期間でバルブ開弁時間Tinを設定す
ることができる。つまり、吸気流速が遅く燃料のウエッ
ト量が多くなる領域(Tinの前後)を除いてTin値
が設定できる。
【0046】その後、ECU30は、ステップ107で
エンジン始動時における燃料噴射量TAUを算出する。
このとき、例えば図7の関係に従い水温Twに応じて始
動時燃料量TAUSTが算出され、この始動時燃料量T
AUSTに回転数補正などを行うことにより時間単位で
の燃料噴射量TAU〔msec〕が算出される。
【0047】さらにその後、ECU30は、ステップ1
08で前記算出したバルブ開弁時間Tinと燃料噴射量
TAUとを大小比較する。Tin≧TAUであれば、E
CU30は次回のバルブ開弁時間Tin内にて所望の燃
料量(TAU)が噴射供給できるとみなし、ステップ1
08を否定判別してステップ109に進む。ECU30
は、ステップ109でインジェクタ1による噴射開始タ
イミングを「ATDC30°CA(吸気TDC後30°
CA)」とする。なお、噴射開始タイミング=ATDC
30°CAとすることは、エンジン10の低温始動時に
おいて、吸気流速が最大となるタイミングを狙って燃料
噴射を実施することを意味する。
【0048】その後、ECU30はステップ110に進
み、前記設定した噴射開始タイミング(ATDC30°
CA)をアウトプットコンペアレジスタにセットして本
ルーチンを一旦終了する。
【0049】また、前記ステップ108においてTin
<TAUであれば、ECU30は次回のバルブ開弁時間
Tin内にて所望の燃料量(TAU)が噴射供給できな
いとみなし、ステップ108を肯定判別してステップ1
20に進む。かかる場合、ECU30は、ステップ12
0で後述する図3の手順に従い、噴射開始タイミングを
設定する。噴射開始タイミングの設定後、ECU30は
ステップ110に進み、噴射開始タイミングをアウトプ
ットコンペアレジスタにセットして本ルーチンを一旦終
了する。
【0050】一方、NE≧STBNEであれば(ステッ
プ104がYESの場合)、ECU30は完爆に至った
とみなしてステップ111に進む。ECU30は、ステ
ップ111で完爆フラグXSTに「1」をセットすると
共に、続くステップ112で始動後のTAU値を算出す
る。このとき一般には、エンジン回転数NEとエンジン
負荷(吸気圧PM)とに応じて基本噴射量が算出される
と共に、当該基本噴射量に対して空燃比補正などが実施
され、TAU値が算出される。
【0051】その後、ECU30は、ステップ113で
始動後(通常時)における噴射開始タイミングを設定す
る。具体的には、噴射開始タイミングを「BTDC60
°CA(吸気TDC前60°CA)」とする。噴射開始
タイミングの設定後、ECU30はステップ110に進
み、噴射開始タイミングをアウトプットコンペアレジス
タにセットして本ルーチンを一旦終了する。
【0052】完爆フラグXSTに「1」がセットされた
以降は、前記ステップ101が毎回否定判別され、EC
U30はステップ101から直接ステップ112に進
み、始動後のTAU値を算出する(通常の燃料噴射制御
を実施する)。
【0053】次に、前記図2のステップ120における
噴射開始タイミングの設定手順を図3を用いて説明す
る。図3において、ECU30は、ステップ121で図
8の関係に従い、その時々のエンジン回転数NEに応じ
て噴射開始タイミングを算出する。図8によれば、AT
DC30°CAを基準として、噴射開始タイミングはエ
ンジン回転数NEが高くなるほど進角側に移行する。ま
た、ECU30は、ステップ122で図9の関係に従
い、その時々の水温Twに応じて噴射開始タイミングを
算出する。図9によれば、ATDC30°CAを基準と
して、噴射開始タイミングは水温Twが高くなるほど進
角側に移行する。
【0054】その後のステップ123では、ECU30
は、前記ステップ121,122で算出した各々の噴射
開始タイミングが一致するか否かを判別する。ステップ
123がYESであれば(NEによる値=Twによる値
の場合)、ECU30はステップ124に進む。ECU
30は、ステップ124で前記図8又は図9のいずれか
による算出値(NEによる値又はTwによる値)を今回
の噴射開始タイミングとして設定した後、元の図2のル
ーチンに戻る。
【0055】ステップ123がNOであれば(NEによ
る値≠Twによる値の場合)、ECU30はステップ1
25に進む。そして、ECU30は、ステップ125の
判別結果に基づき、前記図8による算出値(NEによる
値)又は前記図9による算出値(Twによる値)のいず
れかを今回の噴射開始タイミングとして設定した後(ス
テップ126,127)、元の図2のルーチンに戻る。
ステップ125〜127では、前記図8又は図9による
算出値のうち、遅角側の噴射開始タイミングが選択され
る。
【0056】実際には、水温Twが例えば−20℃以上
であれば、前記図8による算出値(NEによる算出値)
が選択され、水温Twが例えば−20℃未満であれば、
前記図9による算出値(Twによる算出値)が選択され
るようになっている。
【0057】図10は、上記制御動作をより具体的に示
すタイムチャートである。図10には、エンジン10の
低温始動時(Tw=−20〜0℃程度)において、その
始動当初の燃料噴射動作を示している。同図のクランク
角カウンタは、NEパルス毎(30°CA毎)にカウン
トアップされるカウンタであって、#1〜#4の各気筒
の燃焼が一通り完了する720°CA毎(1サイクル
毎)に「0」にクリアされる。同カウンタは、「0〜2
4」の範囲内で計数される。カウンタの計数動作は前記
図2の燃料噴射制御ルーチンにて実施されるものである
が、前記図2ではその図示を省略している。
【0058】各気筒への噴射信号は、#1→#3→#4
→#2の順にECU30より出力される。エンジン始動
当初は完爆フラグXSTが「0」に初期化されている
(図示略)。スタータモータ28によるクランキング時
においては、エンジン回転数NEが微小回転域にあり、
前記図2,3のルーチンによれば、例えば前記図8の関
係を用い、エンジン回転数NEに応じて噴射開始タイミ
ングが設定される。すなわち、 ・エンジン始動当初から時刻t1までの期間では、噴射
開始タイミング=ATDC30°CAが、 ・時刻t1〜t2の期間では、噴射開始タイミング=吸
気TDCが、 ・時刻t2〜t3の期間では、噴射開始タイミング=B
TDC30°CAが、 ・時刻t3以降の期間では、噴射開始タイミング=BT
DC60°CAが、それぞれ設定される。
【0059】こうしてエンジン10の低温始動時におい
ては、エンジン回転数NEの上昇に伴い噴射開始タイミ
ングが、ATDC30°CA→吸気TDC→BTDC3
0°CA→BTDC60°CAの順に切り換えられる。
換言すれば、NEの上昇に伴い噴射開始タイミングが前
出しされることとなる。
【0060】なお本実施の形態では、前記図2のステッ
プ104が請求項記載の完爆判定手段に相当し、同ステ
ップ105〜109,120が始動時噴射時期設定手段
に相当する。このうち、ステップ108が比較手段に、
ステップ109が第1の設定手段に、ステップ120
(図3のルーチン)が第2の設定手段に、それぞれ相当
する。
【0061】以上詳述した本実施の形態によれば、以下
に示す効果が得られる。 (a)本実施の形態では、エンジン10が完爆前の始動
状態にあるか否かを判別し、エンジン10の完爆前であ
る旨が判定された場合、完爆後に設定される通常の噴射
開始タイミング(燃料噴射時期)よりも遅角側に噴射開
始タイミングを設定するようにした。上記構成によれ
ば、完爆前の始動状態下において通常の噴射開始タイミ
ングよりも遅角側に同タイミングを移行させることで、
微小回転域であっても吸気行程(吸気バルブ16の開弁
時期)に同期した燃料噴射が実施できる。そのため、燃
料のウエット量が低減でき、所望の燃焼トルクが得られ
る。結果として、エンジン始動時において速やかに且つ
安定した状態で回転数が上昇し、ひいては、エンジン1
0の始動性が向上する。また上記構成によれば、ポート
ウエット等に起因する失火などの不良燃焼が改善され、
車両の乗り心地(始動フィーリング)も向上する。
【0062】(b)次の燃焼気筒における吸気バルブ1
6の開弁時間(Tin)と、同じく次の燃焼気筒におけ
る燃料噴射時間(TAU)とを比較し、前記比較の結
果、バルブ開弁時間Tinの方が長ければ、インジェク
タ1による開始開始タイミングを予め定められた所定時
期とした(ATDC30°CA)。また、前記比較の結
果、燃料噴射時間TAUの方が長ければ、インジェクタ
1による噴射開始タイミングを進角側に移行させるよう
にした(前記図8,図9参照)。
【0063】つまり、エンジン10の始動に伴う回転上
昇時には、それに連れてバルブ開弁時間Tinが徐々に
短くなるが、インジェクタ1による燃料噴射時期が遅過
ぎて吸気バルブ16の閉弁に間に合わないような不都合
が回避でき、噴射燃料が確実に気筒内に流入する。従っ
て、噴射燃料が吸気ポート3内でウエットになることも
なく、このウエットに起因して空燃比の制御精度が悪化
するといった問題も回避できる。
【0064】(c)バルブリフト量が所定値以上となる
期間でバルブ開弁時間Tinを算出するようにした。つ
まり、吸気バルブ16が開弁してもバルブリフト量が微
小量であれば、吸気流速が遅く燃料のウエット量が多く
なる。そこで、バルブ開弁時間Tinを上記の如く規定
して、比較的吸気流速の速い期間で燃料を流入させるこ
ととした。
【0065】(d)エンジン始動時に、エンジン回転数
NE及び水温Twに応じて噴射開始タイミングを個々に
算出し(前記図8,図9)、これら個々の噴射開始タイ
ミングのうち、遅角側の値を選択するようにした。この
場合、遅角側の噴射開始タイミングを選択することで、
過剰な進角制御が抑制され、吸気ポート3内での燃料の
滞留(吸気バルブ16の開弁以前での滞留)に伴うウエ
ットがより確実に解消される。
【0066】(e)前記図8では、エンジン回転数NE
の上昇に伴い徐々に噴射開始タイミングを進角側に移行
させ、前記図9では、水温Twの上昇に伴い徐々に噴射
開始タイミングを進角側に移行させるようにした。かか
る場合、完爆に至るまでの噴射開始タイミングが適正に
設定できると共に、完爆に至る際には通常の燃料噴射
(吸気行程同期噴射)にスムーズに移行させることがで
きる。
【0067】(f)また、完爆判定回転数STBNEを
水温Twに応じて可変に設定し、この完爆判定回転数S
TBNEに応じてエンジン10が完爆に至ったか否かを
判定することとした。この場合、エンジン10が自力で
回転を維持できる回転数が水温Tw(機関温度)により
異なっても、実際に完爆に至るまでの期間において適正
な燃料噴射量制御が継続できる。
【0068】(g)エンジン始動時の燃料噴射制御が適
正に実施できることにより、当該始動時におけるエミッ
ション排出量が減少するという効果も併せて得られるこ
ととなる。
【0069】次に、本発明における第2〜第5の実施の
形態を説明する。但し、以下の各実施の形態の構成にお
いて、上述した第1の実施の形態と同等であるものにつ
いては図面に同一の記号を付すと共にその説明を簡略化
する。そして、以下には第1の実施の形態との相違点を
中心に説明する。
【0070】(第2の実施の形態)図11は、第2の実
施の形態における燃料噴射制御ルーチンを示すフローチ
ャートである。同図のルーチンは、前記図2のルーチン
の一部を変更したものであって、前記図2のステップ1
05〜109及び120の処理を、図11のステップ2
01,202の処理に変更している。
【0071】図11において前記図2との相違点を説明
すれば、ECU30は、ステップ201で始動時におけ
る燃料噴射TAUを設定した後、ステップ202で噴射
開始タイミングを設定する。この場合、例えば前記図8
の関係を用い、エンジン回転数NEに応じて噴射開始タ
イミングを設定する。又は前記図9の関係を用い、水温
Twに応じて噴射開始タイミングを設定する。要するに
図11では、前記図2とは異なり、バルブ開弁時間Ti
nの算出や、Tin値と燃料噴射量TAUとの比較など
の処理を省略して構成している。
【0072】以上本実施の形態によれば、上記第1の実
施の形態と同様に、エンジン始動時において速やかに且
つ安定状態で回転数が上昇し、ひいては、エンジン10
の始動性が向上するなどの優れた効果が得られる。
【0073】(第3の実施の形態)次に、第3の実施の
形態を図12〜図15を用いて説明する。上記第1,第
2の実施の形態では、エンジン始動時における噴射開始
タイミングを可変に設定することを特徴としていたが、
本実施の形態では、上記と同様に噴射開始タイミングを
可変に設定することに加え、バルブ開弁時間内に供給で
きない燃料の余剰分を次の燃焼気筒の燃料噴射に持ち越
すことを特徴としている。
【0074】図12は、本実施の形態における燃料噴射
制御ルーチンの一部を示すフローチャートである。図1
2において、ECU30は、ステップ301で前回の燃
料噴射量〔msec〕から同じく前回のバルブ開弁時間
〔msec〕を減算してΔTAUを算出する。
【0075】次いで、ECU30は、ステップ302で
ΔTAUが「0」よりも大きいか否かを判別する。ΔT
AU≦0(ステップ302がNO)であれば、ECU3
0は、ステップ303で「ΔTAU=0」とした後、ス
テップ304に進む。ΔTAU>0(ステップ302が
YES)であれば、ECU30はそのままステップ30
4に進む。
【0076】ECU30は、ステップ304で今回の噴
射量に「ΔTAU・Ke」を加算し、その加算値を燃料
噴射量TAUとする。ここで、「Ke」は、燃料の蒸発
率を補正するための蒸発率補正係数であって、例えば図
14の関係に従い設定される。つまり、外気温(又は吸
気温)が例えば−10℃以上の条件下において、当該外
気温に応じて蒸発率補正係数Keが設定される(Ke>
1)。その後、ECU30は、ステップ305で所定の
噴射開始タイミングをアウトプットコンペアレジスタに
セットする。
【0077】一方、図13は、ECU30によるNE割
込みルーチンを示すフローチャートである(但し、同処
理は完爆前にのみ実施されればよい)。図13におい
て、ECU30は、ステップ401で今現在のクランク
角が「噴射終了タイミング」に達したか否かを判別す
る。ここで、噴射終了タイミングは、吸気バルブ16の
開弁終了のタイミングに相当する。
【0078】また、ステップ402で既に燃料噴射が完
了したか否かを判別する。そして、ステップ401がY
ESで且つ、ステップ402がNOであることを条件
に、ECU30はステップ403に進み、燃料噴射を直
ちに停止させる。すなわち、噴射終了のクランク角にお
いて、それまで継続されていた燃料噴射が強制終了され
る。
【0079】図13のルーチンにより燃料噴射が途中で
中断された場合、噴射できなかった燃料の余剰分が前記
図12のステップ301でΔTAUとして算出される。
そして、次回噴射量に「ΔTAU・Ke」が加算されて
燃料噴射量TAUが求められ、そのTAU分の燃料がエ
ンジン10に噴射供給される(ステップ304,30
5)。
【0080】本実施の形態によれば、上記第1,第2の
実施の形態と同様に、エンジン始動時において速やかに
且つ安定状態で回転数が上昇し、ひいては、エンジン1
0の始動性が向上するなどの優れた効果が得られる。
【0081】特に本第3の実施の形態では、エンジン始
動時において、バルブ開弁時間よりも長い時間で噴射供
給される燃料の余剰分(ΔTAU)を次の燃焼気筒にお
ける燃料噴射量に加算するようにした。またこのとき、
インジェクタ1による燃料噴射が所定のクランク角まで
継続した時点で、その時の燃料噴射を停止させるように
した。そのため、エンジン始動時に噴射開始タイミング
が遅角側に設定され、それにより仮に所定の燃料噴射量
が吸気バルブ16の開弁時間内に噴射しきれない場合に
も、燃料余剰分を次の燃焼に持ち越すことで所望の燃焼
トルクが確保できる。さらに、前記ΔTAUに燃料蒸発
率の補正係数Keを乗算することとしたため、より精度
の高い燃料噴射制御が実現できる。
【0082】上記第3の実施の形態において、エンジン
始動時における噴射終了タイミング(前記図13におけ
るステップ401の噴射終了タイミング)を可変に設定
するようにしてもよい。具体的には、例えば図15の関
係に従い、エンジン回転数NEに基づいて噴射終了タイ
ミングを設定する。図15では、完爆前のNE値に応じ
て噴射終了タイミングがATDC150°CA〜ATD
C30°CAの範囲内で設定され、低NEほど、噴射終
了タイミングが遅角側に設定される。これにより、噴射
開始タイミングと噴射終了タイミングとの両方が、回転
上昇に伴い進角側に移行することとなり、最適時期での
燃料の気筒内流入が実現できる。
【0083】(第4の実施の形態)次に、第4の実施の
形態を図16〜図21を用いて説明する。本実施の形態
では、エンジン始動時の燃料噴射量のうち、吸気バルブ
閉弁時に噴射されてポートウエットとなる燃料量を求
め、その燃料量に応じて噴射量補正を実施することとし
ており、主としてウエットによる燃料不足を解消してエ
ンジン始動性を向上させることをその狙いとしている。
【0084】図16及び図17は本実施の形態における
燃料噴射制御ルーチンを示し、同ルーチンは例えば前記
図2のルーチンに置き換えて実行される。ECU30
は、先ず図16のステップ501で今現在、エンジン始
動時であるか否かを判別する。この場合、例えばエンジ
ン回転数NEが完爆判定回転数(前記図4にて設定され
る値)に達しているか否かが判別され、NE値が完爆判
定回転数未満であれば始動時であるとみなされる。
【0085】エンジン始動時である旨が判別された場合
(ステップ501がYESの場合)、ECU30はステ
ップ502に進み、IGオン後、クランキングが開始さ
れてからの噴射回数と燃焼サイクル数とを読み込む。燃
焼サイクル数は、エンジン10の全気筒の燃料噴射が一
通り終わる時点で(720°CA毎に)カウントアップ
される数値であって、例えば4気筒エンジンの場合、噴
射回数=4カウントで「1」ずつインクリメントされ
る。噴射回数及び燃焼サイクル数の各値は図示しない他
の処理にて計数される。
【0086】その後、ECU30は、ステップ503で
燃焼サイクル数に基づいて始動時基本噴射量TAUAを
算出する。始動時基本噴射量TAUAは、燃焼サイクル
数の増加に伴い減少するように設定されるが、燃焼サイ
クルが同じである#1〜#4気筒で全て同一の値として
与えられる。つまり、始動開始当初(第1サイクル)の
基本噴射量には噴射燃料のウエット分を考慮した増量値
が付加される。これに対し、第2サイクル以降において
は燃焼サイクルを繰り返す毎にウエット分が飽和点に近
づくため、基本噴射量が減量される。
【0087】その後、ECU30は、ステップ504で
エンジン水温Twに基づいて水温補正係数FTHWを算
出する。水温補正係数FTHWは、水温Twが低いほど
大きな値が設定される。
【0088】次に、ECU30は、ステップ505で前
記算出した始動時基本噴射量TAUAと水温補正係数F
THWとを乗算し、その積を始動時噴射量TAUBとす
る(TAUB=TAUA・FTHW)。
【0089】その後、ECU30は、図17のステップ
506でクランキング開始からの噴射回数が「2」より
も大きいか否かを判別する。仮に始動開始直後の第1,
第2噴射であれば、ECU30はステップ506を否定
判別する。そして、ECU30は、ステップ507で燃
焼による回転数上昇分ΔNEに応じた噴射量補正値FD
NEを「0」とし、続くステップ508で回転数上昇分
ΔNEに応じた噴射時期補正値FTINJを「0」とす
る。
【0090】つまり、エンジン始動当初の第1,第2噴
射に関しては燃焼による回転数上昇の影響を受けないた
め、回転数上昇分ΔNEに基づく補正を禁止する。因み
に、クランキング開始から燃焼開始までには360°C
A程度の回転を要すると考えられる。
【0091】また、第3噴射以降においては、ECU3
0はステップ506を肯定判別する。そして、ECU3
0は、ステップ509で始動開始からの噴射回数に基づ
き、燃焼による回転数上昇分ΔNEを予測する。ΔNE
値は、始動第1噴射から正常燃焼できると仮定した場合
のNE上昇から予測されるものとしている。この場合、
図中のテーブル値に示すように噴射回数からΔNE値が
求められると共に、始動時の水温Tw毎に異なる特性が
適宜切り換えられる(図では、Tw1>Tw2>Tw3
である)。
【0092】NE上昇の挙動を図18のタイムチャート
を用いて説明する。始動後に燃焼を開始すると推測され
る第3噴射以降(図の#4気筒の噴射以降)において
は、水温Twに応じてNE上昇度合が異なる。この場
合、水温Twが高いほどエンジンフリクションの影響が
少ないため、Tw1>Tw2であれば、Tw1の方がN
E上昇度合が大きい(ΔNE値が大きい)。
【0093】また次に、ECU30は、ステップ510
で前記予測したΔNE値に基づいて噴射量補正値FDN
Eを算出する。この場合、今回の燃焼気筒の吸気TDC
におけるNE値に、前記予測したΔNE値を加算し、そ
の加算値(NE+ΔNE)から吸気弁開時間TVOを算
出する。また、始動時噴射量(噴射時間)TAUBと吸
気弁開時間TVOとの差から、吸気弁開時噴射の余剰
分、つまり吸気弁閉時噴射量TVCを算出する(TVC
=TAUB−TVO)。そして、水温Tw毎の特性に合
わせつつ、吸気弁閉時噴射量TVCに応じて吸気弁閉時
の噴射量不足分に相当する噴射量補正値FDNEを、図
中のテーブル値により算出する。
【0094】ここで、吸気弁開時と吸気弁閉時との同一
噴射量における気筒内(シリンダ内)への燃料流入率
は、例えば図19に示す関係を有する。すなわち、図1
9によれば、吸気弁閉時噴射の方が吸気弁開時噴射より
も筒内流入率が小さく、また、水温Twが低いほど筒内
流入率が小さくなる。そのため、吸気弁閉時噴射では燃
料の筒内流入率が比較的低く且つ、同流入率が水温Tw
に応じて変化することを考慮して、噴射量補正値FDN
Eを設定する。
【0095】図18のタイムチャートでは、第3噴射目
の噴射量補正値FDNEの算出に際し、#4気筒の吸気
TDCにおける予想回転数(NE+ΔNE(i))か
ら、吸気弁開時間TVOが算出され、そのTVO値から
吸気弁閉時噴射量TVC(吸気弁開時噴射の余剰分)が
算出される。なお、第3噴射での回転数上昇分ΔNE
(i)は第1噴射(#1気筒の噴射)の燃焼による回転
上昇に相当し、第4噴射での回転数上昇分ΔNE(i+
1)は第2噴射(#3気筒の噴射)の燃焼による回転上
昇に相当する。
【0096】さらに、ECU30は、ステップ511で
前記予測したΔNE値に基づいて、次回噴射時期の補正
値FTINJを算出する。この場合、図中のテーブル値
を用い、ΔNE値が大きくなるほど、噴射時期補正値F
TINJを進角側補正の値にする。
【0097】そして、補正値FDNE,FTINJの算
出後、ECU30は、ステップ512で以下の式より最
終噴射量TAUを算出する。 TAU=TAUB+FDNE また、ECU30は、ステップ513で以下の式より最
終噴射時期TINJを算出する。
【0098】TINJ=TINJB+FTINJ 但し、「TINJB」は、予め設定されている固定の基
本噴射時期である。最後に、ECU30は、ステップ5
15で前記算出したTAU値,TINJ値に基づいてイ
ンジェクタ1による燃料噴射を指令して本ルーチンを終
了する。一方、前記図16のステップ501がNOの場
合(エンジン始動時でない場合)、ECU30はそのま
ま図17のステップ514に進み、ステップ514,5
15で始動後における通常の燃料噴射制御を実施する。
【0099】エンジン始動時における燃料噴射量と燃料
噴射時期との制御について、図20及び図21を用いて
より具体的に説明する。但し、図20,21では便宜
上、噴射燃料の飛行時間を「0」として燃料噴射パルス
を示す。
【0100】図20(a)に示すように、始動直後の第
1,第2噴射では、噴射量補正値FDNEが「0」であ
るため、「TAU=TAUB」として最終噴射量TAU
が設定される。また、図20(b)に示すように、第3
噴射以降では、ΔNE値に応じた吸気弁閉時噴射量TV
Cと噴射量補正値FDNEとが算出され、それらの演算
結果に基づき、「TAU=TAUB+FDNE」として
最終噴射量TAUが設定される。
【0101】一方、図21(a)に示すように、始動直
後の第1,第2噴射では、噴射時期補正値FTINJが
「0」であるため、「TINJ=TINJB」として最
終噴射時期TINJ(噴射開始タイミング)が設定され
る。また、図21(b)に示すように、第3噴射以降で
は、ΔNE値に応じて噴射時期補正値FTINJが算出
され、「TINJ=TINJB+FTINJ」として最
終噴射時期TINJ(噴射開始タイミング)が設定され
る。図21(b)では、予測した回転数上昇分ΔNEに
基づき、吸気行程終了近辺(例えばBDC)になるよう
に噴射時期が補正される。つまり、始動時燃料噴射の終
了が吸気バルブ16の閉弁時期よりも遅くならないよ
う、最終噴射時期TINJが設定される。
【0102】なお本実施の形態では、図16のステップ
503〜505が請求項記載の始動時噴射量算出手段
に、図17のステップ509が回転上昇予測手段に、同
ステップ510が閉弁時噴射量算出手段に、同ステップ
510,512が噴射量補正手段に、同ステップ51
1,513が燃料噴射時期補正手段に、それぞれ相当す
る。
【0103】以上第4の実施の形態によれば、以下に示
す効果が得られる。 (a’)エンジン始動時に回転数上昇分ΔNEを予測
し、そのΔNE値に基づいて始動時噴射量TAUBのう
ちで吸気バルブ閉弁時の燃料噴射量(吸気弁閉時噴射量
TVC)を算出した。そして、吸気弁閉時噴射量TVC
に基づき始動時噴射量TAUBを増量補正するようにし
た。上記構成によれば、エンジン始動時において回転数
NEが急激に上昇してインジェクタ1による燃料噴射が
吸気バルブ閉弁時(吸気行程前の期間)にかかるような
場合にも、吸気バルブ閉弁時噴射のウエットによる燃料
不足が解消される。その結果、エンジン10の始動性を
向上させることができる。
【0104】(b’)吸気バルブ16の開弁時噴射と同
バルブ16の閉弁時噴射との筒内流入率に基づいて噴射
量補正値FDNEを求め、その噴射量補正値FDNEを
用いて始動時噴射量TAUBを補正するようにした。か
かる場合、吸気バルブ16の開弁時と閉弁時との筒内流
入率を考慮した噴射量補正値FDNEを与えることで、
より一層適正な燃料噴射を実施することが可能となる。
【0105】(c’)始動時燃料噴射の終了が吸気バル
ブの閉弁時期よりも遅くならないよう、前記予測した回
転数上昇分ΔNEに基づいて燃料噴射時期を補正するよ
うにした。インジェクタ1による燃料噴射が吸気行程後
にかかると、その分、気筒内への燃料流入量が減ってし
まうが、回転数上昇分ΔNEに応じて燃料噴射時期を補
正することにより、上記不具合が回避できる。
【0106】(d’)エンジン始動開始からの噴射回数
と温度Twとから回転数上昇分ΔNEを予測するように
した。この場合、エンジンフリクションによる影響が回
転数予測に反映され、回転数上昇分ΔNEが正確に予測
できる。
【0107】(e’)エンジン始動当初の燃料噴射時に
は、燃料噴射量の補正或いは燃料噴射時期の補正を実施
しないこととした。これにより、不要な補正処理が省略
できる。
【0108】(f’)エンジン10の始動開始からの燃
焼サイクル数と水温Twとに基づいて始動時噴射量TA
UBを算出することとし、燃焼サイクル数が大きくなる
ほど噴射量を減量させ且つ、水温Twが低いほど増量さ
せることとした。この場合、燃料ウエットの飽和の程度
に応じて始動時噴射量TAUBが設定でき、過多量の燃
料が噴射されるといった不都合が抑制される。
【0109】(第5の実施の形態)次に、上記第4の実
施の形態の一部を変更した第5の実施の形態について説
明する。本実施の形態では、インジェクタによる噴射燃
料の筒内流入率を高めるため、始動時噴射量を分割して
噴射するようにしている。これを図22のタイムチャー
トを用いて説明する。
【0110】図22に示すように、第3噴射以降(#4
気筒の噴射以降)での燃料噴射に際し、前の燃焼気筒の
燃料噴射時期に合わせて最終噴射量TAUの一部(図の
斜線部)を分割して噴射させる。つまり、吸気弁閉時噴
射量TVC(吸気バルブ閉弁時の燃料噴射分)とそのT
VC値に応じた噴射量補正値FDNEとを加算した燃料
量(TVC+FDNE)を、その時の燃焼気筒の吸気行
程よりも先のタイミングで分割して噴射する。
【0111】上記構成によれば、燃焼気筒の吸気行程よ
りも先のタイミングで分割噴射された燃料は一旦吸気ポ
ート壁面に付着するが、吸気行程までの期間において徐
々に蒸発し、吸気行程で気筒内に流入される。これによ
り、吸気バルブ閉弁時の燃料噴射分がウエットのままで
吸気ポート内に残留して、本来流入すべき燃料量が不足
するといった問題が解消される。その結果、筒内への燃
料流入が効率良く行われ、エンジン始動性が向上する。
【0112】図22では、前の燃焼気筒の燃料噴射時期
に合わせて分割噴射(前噴射)を実施しているが、前噴
射の時期はこれに限定されるものではない。要は、吸気
バルブ閉弁時の燃料噴射分の蒸発時間を考慮して、先の
タイミングで噴射するものであればよい。例えばポート
壁面での蒸発時間が長くと予想される際には、比較的早
い時期に前噴射を行い、蒸発時間が短いと予想される際
には、比較的遅い時期に前噴射を行うとよい。
【0113】なお、本発明の実施の形態は、上記以外に
次の形態にて実現できる。上記第1〜第3の実施の形態
では、エンジン始動時においてエンジン回転数NE或い
は水温Twに応じて噴射開始タイミングを設定していた
が、これを変更する。例えばエンジン始動当初(IGオ
ン時)からの燃焼のサイクル数に応じて噴射開始タイミ
ングを設定する。この場合、前記図8の横軸をサイクル
数に代えたマップを使用すればよく、燃焼サイクル数の
カウントアップに伴い徐々に噴射開始タイミングを進角
側に移行させる。
【0114】また、エンジン始動当初(IGオン時)か
らの経過時間に応じて噴射開始タイミングを設定する。
この場合、上記経過時間の増加に伴い噴射開始タイミン
グを進角側に移行させる。またさらに、エンジン回転数
NE,水温Tw,燃焼サイクル数,経過時間などに応じ
て噴射開始タイミングを設定する際、同タイミングをリ
ニアに変更するように構成してもよい。上記それぞれの
処理は、第2の実施の形態における図11のステップ2
02にも適宜適用できる。
【0115】さらに、エンジン完爆の前と後とで噴射開
始タイミング(燃料噴射時期)を2値で変更する。例え
ば完爆前には噴射開始タイミング=ATDC30°CA
とし、完爆後には噴射開始タイミング=BTDC60°
CAとする。要は、完爆前である旨が判定された場合に
おいて、完爆後に設定される通常の噴射開始タイミング
よりも遅角側に同タイミングを設定するものであればよ
い。
【0116】前記図2のルーチンでは、完爆判定回転数
STBNEを水温Twに応じて可変に設定していたが、
この完爆判定回転数STBNEを固定値とする。この場
合、STBNE値の検索処理が省略されることで、EC
U30による演算負荷が軽減できる。
【0117】上記第4の実施の形態では、エンジン始動
当初における噴射量補正や噴射時期補正の要否を判断す
る基準として「第3噴射以降」か否かを判別したが、こ
れを変更する。例えばクランキング開始後、初爆が来た
かどうかを判別する。そして、初爆以前は噴射量補正や
噴射時期補正を禁止し(補正量=0)、初爆以降におい
ては噴射量補正や噴射時期補正を実施する。
【0118】上記第4の実施の形態では、回転数上昇分
ΔNEに応じて噴射量補正と噴射時期補正とを実施した
が、これを変更する。少なくとも上記手順による噴射量
補正を実施する装置に関しては、吸気バルブ閉弁時噴射
のウエットによる燃料不足を解消し、エンジン始動性が
向上するといった効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態における燃料噴射制御装置の
概要を示す全体構成図。
【図2】第1の実施の形態における燃料噴射制御ルーチ
ンを示すフローチャート。
【図3】噴射タイミング設定のサブルーチンを示すフロ
ーチャート。
【図4】水温と完爆判定回転数STBNEとの関係を示
す図。
【図5】予想NEを検索するためのマップ。
【図6】バルブリフト量と吸気流速との関係を示す図。
【図7】水温と始動時燃料量TAUSTとの関係を示す
図。
【図8】エンジン回転数と噴射開始タイミングとの関係
を示す図。
【図9】水温と噴射開始タイミングとの関係を示す図。
【図10】動作の概要説明のためのタイムチャート。
【図11】第2の実施の形態において、燃料噴射制御ル
ーチンを示すフローチャート。
【図12】第3の実施の形態において、燃料噴射制御ル
ーチンの一部を示すフローチャート。
【図13】NE割込みルーチンを示すフローチャート。
【図14】外気温と蒸発率補正係数Keとの関係を示す
図。
【図15】エンジン回転数と噴射終了タイミングとの関
係を示す図。
【図16】第4の実施の形態において、燃料噴射制御ル
ーチンを示すフローチャート。
【図17】図16に続き、燃料噴射制御ルーチンを示す
フローチャート。
【図18】エンジン始動時における各気筒の燃料噴射と
回転上昇挙動とを示すタイムチャート。
【図19】水温と燃料の筒内流入率との関係を示す図。
【図20】噴射量補正について具体的に示す図。
【図21】噴射時期補正について具体的に示す図。
【図22】第5の実施の形態において、エンジン始動時
における各気筒の燃料噴射と回転上昇挙動とを示すタイ
ムチャート。
【符号の説明】
1…インジェクタ、3…吸気ポート、10…エンジン
(内燃機関)、16…吸気バルブ、24…回転数検出手
段としての回転数センサ、26…温度検出手段としての
水温センサ、30…完爆判定手段,始動時噴射時期設定
手段,比較手段,第1の設定手段,第2の設定手段,始
動時噴射量算出手段,回転上昇予測手段,閉弁時噴射量
算出手段,噴射量補正手段,燃料噴射時期補正手段を構
成するECU(電子制御装置)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 和吉 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インジェクタから吸気ポートに燃料を噴射
    供給する内燃機関に適用され、吸気バルブの開弁に伴う
    吸気行程期間に対応させてインジェクタによる燃料噴射
    を実施する内燃機関の燃料噴射制御装置であって、 前記内燃機関が完爆前の始動状態にあるか否かを判別す
    る完爆判定手段と、 前記完爆判定手段により内燃機関の完爆前である旨が判
    定された場合、完爆後に設定される通常の燃料噴射時期
    よりも遅角側に燃料噴射時期を設定する始動時噴射時期
    設定手段とを備えることを特徴とする内燃機関の燃料噴
    射制御装置。
  2. 【請求項2】次の燃焼気筒における吸気バルブの開弁時
    間と、同じく次の燃焼気筒における燃料噴射時間とを比
    較する比較手段を更に備え、 前記始動時噴射時期設定手段は、 前記比較の結果、吸気バルブの開弁時間の方が長けれ
    ば、前記インジェクタによる燃料噴射時期を予め定めら
    れた所定時期とする第1の設定手段と、 また前記比較の結果、燃料噴射時間の方が長ければ、前
    記インジェクタによる燃料噴射時期を前記第1の設定手
    段よりも進角側に移行させる第2の設定手段とを有する
    請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の燃料噴射制御装置におい
    て、 前記吸気バルブの開弁時間は、バルブリフト量が所定値
    以上となる期間の時間から算出されるものである内燃機
    関の燃料噴射制御装置。
  4. 【請求項4】機関回転数を検出する回転数検出手段を備
    え、 前記始動時噴射時期設定手段は、機関回転数の上昇に伴
    い徐々に燃料噴射時期を進角側に移行させる請求項1〜
    請求項3のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装
    置。
  5. 【請求項5】機関温度を検出する温度検出手段を備え、 前記始動時噴射時期設定手段は、機関温度の上昇に伴い
    徐々に燃料噴射時期を進角側に移行させる請求項1〜請
    求項3のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装
    置。
  6. 【請求項6】機関始動開始からの燃焼サイクル数をカウ
    ントするカウント手段を備え、 前記始動時噴射時期設定手段は、前記燃焼サイクル数の
    カウントアップに伴い徐々に燃料噴射時期を進角側に移
    行させる請求項1〜請求項3のいずれかに記載の内燃機
    関の燃料噴射制御装置。
  7. 【請求項7】前記始動時噴射時期設定手段は、複数種の
    機関運転情報に応じて燃料噴射時期を個々に算出し、前
    記算出した個々の燃料噴射時期のうち、最も遅角側の値
    を選択する請求項1〜請求項3のいずれかに記載の内燃
    機関の燃料噴射制御装置。
  8. 【請求項8】機関始動時において、吸気バルブの開弁時
    間よりも長い時間で噴射供給される燃料の余剰分を次の
    燃焼気筒における燃料噴射量に加算する請求項1〜請求
    項7のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  9. 【請求項9】請求項8に記載の燃料噴射制御装置におい
    て、 前記インジェクタによる燃料噴射が所定のクランク角ま
    で継続した時点で、その時の燃料噴射を停止させる内燃
    機関の燃料噴射制御装置。
  10. 【請求項10】請求項9に記載の燃料噴射制御装置にお
    いて、 機関始動時における燃料噴射の終了時期を機関回転数に
    基づいて設定する内燃機関の燃料噴射制御装置。
  11. 【請求項11】インジェクタから吸気ポートに燃料を噴
    射供給する内燃機関に適用され、吸気バルブの開弁に伴
    う吸気行程期間に対応させてインジェクタによる燃料噴
    射を実施する内燃機関の燃料噴射制御装置であって、 内燃機関が完爆前の始動状態にある場合に、次の燃焼気
    筒の始動時噴射量を算出する始動時噴射量算出手段と、 同じく内燃機関が完爆前の始動状態にある場合に、燃焼
    による機関回転数の上昇分を予測する回転上昇予測手段
    と、 前記予測した機関回転数の上昇分に基づいて、前記始動
    時噴射量のうち吸気バルブ閉弁時に噴射される燃料量を
    算出する閉弁時噴射量算出手段と、 前記算出した吸気バルブ閉弁時の噴射量に基づいて前記
    始動時噴射量を増量補正する噴射量補正手段とを備える
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  12. 【請求項12】請求項11に記載の燃料噴射制御装置に
    おいて、 前記噴射量補正手段は、吸気バルブの開弁時噴射と同吸
    気バルブの閉弁時噴射との筒内流入率に基づいて噴射量
    補正値を求め、その噴射量補正値を用いて始動時噴射量
    を補正する内燃機関の燃料噴射制御装置。
  13. 【請求項13】請求項11又は請求項12に記載の燃料
    噴射制御装置において、 前記算出した吸気バルブ閉弁時の燃料噴射分とその閉弁
    時噴射分に応じた補正噴射分とを加算した燃料量を、そ
    の時の燃焼気筒の吸気行程よりも先のタイミングで分割
    して噴射する内燃機関の燃料噴射制御装置。
  14. 【請求項14】請求項11又は請求項12に記載の燃料
    噴射制御装置において、 始動時燃料噴射の終了が吸気バルブの閉弁時期よりも遅
    くならないよう、前記予測した機関回転数の上昇分に基
    づいて燃料噴射時期を補正する燃料噴射時期補正手段を
    備える内燃機関の燃料噴射制御装置。
  15. 【請求項15】請求項11〜請求項14のいずれかに記
    載の燃料噴射制御装置において、 前記回転上昇予測手段は、機関始動開始からの噴射回数
    と機関温度とから機関回転数の上昇分を予測する内燃機
    関の燃料噴射制御装置。
  16. 【請求項16】請求項11〜請求項15のいずれかに記
    載の燃料噴射制御装置において、 機関始動当初の燃料噴射時には、燃料噴射量の補正或い
    は燃料噴射時期の補正を実施しない内燃機関の燃料噴射
    制御装置。
  17. 【請求項17】請求項11〜請求項16のいずれかに記
    載の燃料噴射制御装置において、 前記内燃機関の全気筒が一通り燃焼した際にそれを1サ
    イクルとして、機関始動開始からの燃焼サイクル数をカ
    ウントする手段を備え、 前記始動時噴射量算出手段は、内燃機関の始動開始から
    の燃焼サイクル数に基づいて始動時噴射量を算出する内
    燃機関の燃料噴射制御装置。
  18. 【請求項18】請求項17に記載の燃料噴射制御装置に
    おいて、 前記始動時噴射量算出手段は、燃焼サイクル数が大きく
    なるほど噴射量を減量させる内燃機関の燃料噴射制御装
    置。
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