JPH11269755A - 三次元繊維構造体 - Google Patents

三次元繊維構造体

Info

Publication number
JPH11269755A
JPH11269755A JP10066780A JP6678098A JPH11269755A JP H11269755 A JPH11269755 A JP H11269755A JP 10066780 A JP10066780 A JP 10066780A JP 6678098 A JP6678098 A JP 6678098A JP H11269755 A JPH11269755 A JP H11269755A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thickness direction
yarn
fiber structure
dimensional fiber
yarns
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10066780A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3656395B2 (ja
Inventor
Yoshiharu Yasui
義治 安居
Fujio Hori
藤夫 堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyoda Automatic Loom Works Ltd filed Critical Toyoda Automatic Loom Works Ltd
Priority to JP06678098A priority Critical patent/JP3656395B2/ja
Publication of JPH11269755A publication Critical patent/JPH11269755A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3656395B2 publication Critical patent/JP3656395B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板部と補強リブとが厚さ方向糸により結合
された三次元繊維構造体の、補強リブと基板部との接続
部の強度を大きくする。 【解決手段】 三次元繊維構造体Wは基板部1にT字状
の補強リブ2が厚さ方向糸zにより結合されている。基
板部1及び補強リブ2ともそれぞれ複数の糸層を積層し
て形成された面内4軸の配向となる積層糸群と、その厚
さ方向に配列された厚さ方向糸zとを含む5軸の三次元
繊維構造体で構成されている。積層糸群は互いに直交す
る両面内配列糸と、両面内配列糸に対して±45°で交
差するように配列されたバイアス糸からなる。補強リブ
2と基板部1とはその平面部が対応する位置において
は、厚さ方向糸zが基板部1の厚さ方向と平行に配列さ
れている。また、屈曲部4と対応する位置においては、
厚さ方向糸zは基板部1の厚さ方向に対して交差する状
態で、屈曲部4及び基板部1を貫通するように配列され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は三次元繊維構造体に
係り、詳しくは補強リブを有する板状の三次元繊維構造
体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】繊維強化複合材(FRP複合材)は軽量
の構造材料として広く使用されている。複合材用補強基
材として三次元織物(三次元繊維構造体)がある。この
三次元織物を骨格材として、樹脂あるいは無機物をマト
リックスとした複合材はロケット、航空機、自動車、船
舶及び建築物の構造材として幅広い用途が期待されてい
る。
【0003】そして、航空機の胴体等に使用されるステ
ィフナー付プレートを、三次元繊維構造体を骨格材とし
た耐衝撃性に優れた三次元繊維構造体複合材で製作する
ことが考えられている。例えば、NASA(米国航空宇
宙局)の報告書NASA/TP−97−206234に
は、図16(a)に示すように、ユニ・ウィーブ織物
(Uni-Weave fabric)を複数枚積層して形成したT字状
の補強リブ70と、図16(b)に示すように、ユニ・
ウィーブ織物を複数枚積層して形成した平板71とを結
合糸で縫い合わせて製造した三次元繊維構造体W(図1
6(c)に図示)が開示されている。補強リブ70及び
基板71はそれぞれ配向角が0°、45°、−45°及
び90°のユニ・ウィーブ織物を複数枚積層して面内4
軸とし、結合糸を含めて5軸構成となっている。
【0004】特開平1−207465号公報には、平板
部上に断面T字状やI字状の突条部が複数本形成された
異形断面の三次元織物と、その製造方法が開示されてい
る。この三次元織物は、三次元織物の断面形状に対応し
て多数本の長さ方向糸を複数行、複数列に配列し、幅方
向糸を隣接する長さ方向糸群の行間に、長さ方向糸と直
交する状態で幅方向に往復させながら挿入する工程と、
垂直方向糸を長さ方向糸の列間に長さ方向糸と直交する
状態で上下方向に往復させながら挿入する工程とを繰り
返して製造される。
【0005】特開平3−286841号公報には、平板
状のプリプレグと、ほぼL字状に屈曲させた2枚のプリ
プレグを接合してほぼT字状に形成したプリプレグとを
図16と同様に接合した状態でファイバで縫合する複合
材構造物の製造方法が開示されている。
【0006】特開平6−184906号公報には、複数
の板状部が接続部において屈曲状態で連続する形状に形
成された三次元繊維構造体が開示されている。この三次
元繊維構造体は隣接する板状部の接続部の強度を高める
ため、両板状部に跨がって連続する糸をその構成要素と
して持っている。この三次元繊維構造体は屈曲状態で連
続する板状部を構成するように、糸の配列方向が異なる
糸層が所定数積層形成された積層糸群を厚さ方向糸で結
合して構成する。また、二つの三次元繊維構造体を合体
して異なる断面形状の三次元繊維構造体を製造する方法
が開示されている。例えば、コ字形の三次元繊維構造体
を背中合わせに合体させてH状断面の三次元繊維構造体
を製造することが開示されている。
【0007】また、特開平4−289243号公報に
は、複数の板状部がT字状に接合された接合部を有する
形状に形成され、各板状部がその厚さ方向の成分を含む
少なくとも3軸で構成され、隣接する板状部の接合部と
交差する方向に延びるとともに各板状部の厚さ方向と直
交する面に沿って配列され、かつ接合部を挟む両板状部
に跨って連続する糸をその構成要素として持つ三次元織
物(三次元繊維構造体)が開示されている。この三次元
織物は図17に示すように、多数の規制部材72に貫通
された状態で断面L字状に形成された積層糸群73,7
4と、平板状の積層糸群75を組み合わせ、各積層糸群
73〜75を貫通する規制部材72を順次厚さ方向糸z
と順次置換して積層糸群73〜75を結合することによ
り形成される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】特開平1−20746
5号公報に開示された三次元織物は、平板部や突条部が
面内2軸で厚さ方向の糸を含めても3軸構成で、かつ屈
曲状態で連続する面に跨って配列される糸がないため、
複合材を形成した時の物性が不十分となる。
【0009】その他の従来技術の三次元繊維構造体(三
次元織物)は、各板状部が少なくとも面内3軸で構成さ
れ、かつ屈曲状態で連続する面に跨って配列される糸が
存在する。従って、特開平1−207465号公報に開
示された三次元織物を骨格材とした複合材より物性(特
に強度や耐衝撃性)の優れた複合材を形成することがで
きる。
【0010】しかし、前記従来の三次元繊維構造体は、
平板部と補強リブとを結合する結合糸(厚さ方向糸)
は、いずれも平板部の厚さ方向と平行に配列されるた
め、平板部及び補強リブの平面が対向する位置において
のみ両者を貫いて結合に寄与する。従って、補強リブの
屈曲部と平板部とが対向する箇所、即ち、図17におい
て鎖線で囲んだ領域では、両者を貫いて結合に寄与する
結合糸が存在しない。その結果、複合材を製造したとき
に、応力集中が生じやすい箇所の強度が不十分となり、
それを補うため三次元繊維構造体全体の強度を高める必
要が生じて、三次元繊維構造体が厚くなるという問題が
ある。
【0011】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的は基板部と補強リブとが厚さ方向
糸により結合された三次元繊維構造体の、補強リブと基
板部との接続部の強度を大きくして、同じ要求物性であ
れば複合材を薄くできる三次元繊維構造体を提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、三次元繊維構造体で構
成された基板部と、三次元繊維構造体で構成された補強
リブとが厚さ方向糸により結合された三次元繊維構造体
であって、前記補強リブはほぼ直角に屈曲された状態で
連続する板状部を有し、前記板状部の一つが前記基板部
に垂直となるように基板部に結合されるとともに、前記
補強リブと前記基板部とを結合する厚さ方向糸は、前記
補強リブの屈曲部と対応する位置においては、前記基板
部の厚さ方向に対して交差する状態で屈曲部及び基板部
を貫通するように配列されている。
【0013】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、前記補強リブは少なくとも前記基板
部との結合部付近がT字状に形成されている。請求項3
に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明
において、前記基板部及び前記補強リブは、それぞれ複
数の糸層を積層して形成された面内3軸以上の配向とな
る積層糸群と、その厚さ方向に配列された厚さ方向糸と
を含む少なくとも4軸で構成されている。
【0014】請求項4に記載の発明では、請求項3に記
載の発明において、前記基板部、補強リブ及び厚さ方向
糸が全てカーボン糸で形成されている。請求項1に記載
の発明の三次元繊維構造体では、補強リブの屈曲部と対
応する位置において、基板部の厚さ方向に対して交差す
る状態で屈曲部及び基板部を貫通するように配列された
厚さ方向糸が存在する。従って、補強リブに横方向から
の力が作用したとき、前記厚さ方向糸がその力を担うた
め、強度が高くなる。
【0015】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、補強リブは少なくとも基板部との結
合部付近がT字状に形成されているため、横方向のどち
ら側から力が作用しても曲げに対して良好な強度を確保
できる。
【0016】請求項3に記載の発明では、請求項1又は
請求項2に記載の発明において、基板部及び補強リブ
は、それぞれ複数の糸層を積層して形成された面内3軸
以上の配向となる積層糸群と、その厚さ方向に配列され
た厚さ方向糸とを含む少なくとも4軸で構成されている
ため、物性(特に強度や耐衝撃性)の優れた複合材を得
ることができる。
【0017】請求項4に記載の発明では、請求項3に記
載の発明において、前記基板部、補強リブ及び厚さ方向
糸が全てカーボン糸で形成されているため、他の材質製
の糸やカーボン糸と他の材質製の糸とを組み合わせて使
用した場合に比較して、複合材としたときの物性が向上
する。
【0018】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発
明を具体化した第1の実施の形態を図1〜図12に従っ
て説明する。図1及び図2に示すように、三次元繊維構
造体Wは基板部1と補強リブ2とが厚さ方向糸zにより
結合されて構成されている。基板部1は平板状に形成さ
れ、補強リブ2は基板部1との結合部付近がT字状とな
る断面形状に形成されている。この実施の形態では補強
リブ2はL字状断面の三次元繊維構造体WLを接合し
て、全体の断面形状がT字状に形成されている。補強リ
ブ2はほぼ直角に屈曲された状態で連続する板状部2
a,2b,2cを有し、板状部2a,2b,2cのうち
の一つの板状部2aが基板部1に垂直となるように基板
部1に結合されている。補強リブ2は互いに平行に複数
(この実施の形態では2個)設けられている。
【0019】基板部1及び補強リブ2は、それぞれ複数
の糸層(x糸層、y糸層及びバイアス糸層)を積層して
形成された面内4軸の配向となる積層糸群3と、その厚
さ方向に配列された厚さ方向糸zとを含む5軸の三次元
繊維構造体で構成されている。図3(a)〜(d)はL
字状断面の三次元繊維構造体WLの積層糸群3を構成す
る各糸層の糸の配列を示す模式図である。
【0020】図3(b)に示すように、x糸層は三次元
繊維構造体の厚さ方向と直交する面内において、幅方向
又は長さ方向の一方(この実施の形態では幅方向)に沿
って配列された第1の面内配列糸xからなり、1本の糸
が折り返し状に配列されて形成されている。図3(a)
に示すように、y糸層はx糸層と平行な面内で第1の面
内配列糸xと直交する方向に配列された第2の面内配列
糸yからなり、1本の糸が折り返し状に配列されて形成
されている。図3(c),(d)に示すように、バイア
ス糸層はx糸層と平行な面内で両面内配列糸x,yに対
して所定の角度(この実施の形態では45°及び−45
°)で交差するように折り返し状に平行に配列されたバ
イアス糸B1 ,B2 からなる。バイアス糸B1 ,B2 は
屈曲部4と交差する状態で両板状部2a,2bに跨がっ
て連続するように配列されている。また、基板部1を構
成するx糸層、y糸層及びバイアス糸層も同様に構成さ
れている。即ち、基板部1及び補強リブ2は、配向角が
90°の第1の面内配列糸xと、配向角が0°の第2の
面内配列糸yと、配向角が45°のバイアス糸B1と、
配向角が−45°のバイアス糸B2 とで積層糸群3が構
成されている。なお、配向角とは糸が三次元繊維構造体
Wの長手方向となす角度を意味する。
【0021】図1に示すように、補強リブ2と基板部1
とはその平面部が対応する位置においては、厚さ方向糸
zが基板部1の厚さ方向と平行に配列されている。ま
た、補強リブ2の屈曲部4と対応する位置においては、
厚さ方向糸zは基板部1の厚さ方向に対して交差する状
態で、屈曲部4及び基板部1を貫通するように配列され
ている。基板部1の厚さ方向と交差するように配列され
る厚さ方向糸zが基板部1となす角度θは、40°〜7
0°の範囲が好ましい。厚さ方向糸zは基板部1の表面
側(補強リブ2が接合される面と同じ側)で折り返すよ
うに底面側から挿入されるとともに、表面側において幅
方向に配列された抜け止め糸(図示せず)により抜け止
めされている。厚さ方向糸zが抜け止め糸と共同で各糸
層を締め付けることにより、各糸層が結合されている。
【0022】なお、各糸を構成する繊維の材質としては
複合材の用途に応じてカーボン繊維、ガラス繊維、セラ
ミック繊維、ポリアラミド繊維等種々のものが使用され
る。この実施の形態においては、各糸としてカーボン糸
が使用されている。カーボン糸にはカーボン繊維のロー
ビング(トウ)が使用されている。ロービング(トウ)
とは細い単繊維のフィラメントを多数本束ねた実質無撚
りの繊維束を意味する。
【0023】前記のように構成された三次元繊維構造体
Wは繊維強化複合材の強化材(骨格材)として使用さ
れ、マトリックスとして樹脂や無機物が使用される。例
えば、カーボン/カーボン複合材を構成する場合は、三
次元繊維構造体Wに樹脂を含浸、硬化させた後、焼成し
て製作する。
【0024】前記のように構成された三次元繊維構造体
Wを骨格材とした複合材の補強リブに横方向からの荷重
(力)が作用した場合、補強リブ2の屈曲部4(コーナ
部)に大きな応力が作用する。第2の面内配列糸y及び
バイアス糸B1 ,B2 が屈曲部4と交差する方向に延び
るとともに両板状部2a,2b、2a,2cに跨がって
配列されているため、それらの糸が屈曲部4に作用する
応力に耐える方向の力を分担するように有効に寄与す
る。また、屈曲部4及び基板部1を貫通するように配列
された厚さ方向糸zも、屈曲部4に作用する応力に補強
リブに作用する力が作用したとき、前記厚さ方向糸zが
その力に耐える方向の力を分担するため、複合材の強度
が向上する。
【0025】次に前記のように構成された三次元繊維構
造体Wの製造方法の一例を説明する。三次元繊維構造体
Wを製造する場合、図4に示すようなほぼL字状の枠体
5を使用して、本願出願人が先に提案した方法(特開平
9−137336号公報)でL字状の三次元織物(三次
元繊維構造体)を2体製作する。また、四角形状の枠体
を使用して基板部1となる平板状の積層糸群3を1体製
作する。
【0026】L字状の枠体5は厚さ方向糸zの挿入区域
と対応する領域6を囲むように形成された本体5aと、
本体5aの外側に取り外し可能に所定ピッチで立設され
た多数の規制部材としてのピン7と、枠体5のコーナ部
に取り外し可能にねじ(図示せず)により固定された支
持バー8とから構成されている。支持バー8の角部にも
ピン7が取り外し可能に嵌合されている。四角形状の枠
体は四角形の枠体本体に、所定ピッチでピンが取り外し
可能に立設されている。
【0027】積層糸群3に厚さ方向糸zを挿入する厚さ
方向糸挿入装置は、特開平8−218249号公報、特
開平9−137336号公報で本願出願人が提案した装
置と基本的に同様に構成されている。次に厚さ方向糸挿
入装置を図6に従って説明する。図6は厚さ方向糸挿入
装置9の概略部分平面図である。
【0028】厚さ方向糸挿入装置9は積層糸群3が配列
された枠体5を取付け部材10を介して一対の支持ブラ
ケット11間(片側のみ図示)に支持し、厚さ方向糸z
を1列ずつ同時に挿入するようになっている。取付け部
材10はボルトにより枠体5に固定されるとともに、支
持ブラケット11の支持片12にボルト13により固定
されるようになっている。
【0029】厚さ方向糸挿入装置9のベースプレート1
4の前側(図6の下側)には支持テーブル15が図6の
左右方向に移動可能に配設され、支持テーブル15上に
支持ブラケット11が立設されている。支持テーブル1
5は図示しない送り装置により所定ピッチずつ移動され
るようになっている。なお、図6に示す支持テーブル1
5の位置は、厚さ方向糸zの挿入がほとんど終了に近づ
いた時点における位置である。
【0030】ベースプレート14には支持テーブル15
より後側に一対のブラケット16(一方のみ図示)が立
設され、両ブラケット16間には一対のガイドロッド1
7が支持テーブル15の移動方向と平行に架設されてい
る。ガイドロッド17には支持プレート18が摺動可能
に支持されている。支持プレート18はブラケット16
に固定されたエアシリンダ19のピストンロッド19a
に連結され、エアシリンダ19の作動により所定の距離
を往復移動可能となっている。
【0031】支持プレート18の前後両端には一対の支
持ブラケット20が立設され、支持ブラケット20間に
平行に架設されたガイドロッド(図示せず)に移動体2
1が摺動可能に支持されている。移動体21の前端には
針支持体22が固定され、針支持体22の前部に厚さ方
向糸挿入針(以下、単に挿入針という)23がピン7の
配列ピッチと対応する所定ピッチで1列に水平に固定さ
れている。針支持体22は前側の支持ブラケット20に
形成された孔(図示せず)を貫通する状態で配設されて
いる。
【0032】移動体21はモータ24により駆動される
ボールネジ機構25の作動により、針支持体22ととも
に待機位置と作用位置とに移動される。挿入針23は待
機位置では支持ブラケット11に支持された積層糸群3
と係合不能となり、作用位置では針孔23a(図11に
図示)が積層糸群3の反対側となる位置まで積層糸群3
を貫通する。
【0033】支持ブラケット20には上下一対の支持ロ
ッド26が支持ブラケット20を貫通した状態で摺動可
能に支持されている。支持プレート18には後側の支持
ブラケット20寄りに、ブラケット27を介してエアシ
リンダ28が前後方向に延びるように固定されている。
両支持ロッド26は後端側が連結板29を介して互いに
連結され、連結板29がエアシリンダ28のピストンロ
ッド28aに連結されている。両支持ロッド26の前端
には穿孔針支持体30が固定され、穿孔針支持体30に
は穿孔針31が挿入針23と対応した所定ピッチで1列
に固定されている。穿孔針31の列はエアシリンダ19
の作動時における支持プレート18の移動距離と等しい
間隔を保って挿入針23の列と平行に配置されている。
エアシリンダ28の作動により穿孔針支持体30は穿孔
針31が支持ブラケット11に支持された積層糸群3と
係合不能な待機位置と、積層糸群3を貫通する作用位置
とに移動される。
【0034】ベースプレート14上には前側の支持ブラ
ケット20の近傍にエアシリンダ32が前後方向に延び
るように配設され、そのピストンロッド32aの先端に
ブラケット33を介して押圧部材34が固定されてい
る。押圧部材34は挿入針23列の配列方向に沿って延
びる断面L字状に形成され、挿入針23あるいは穿孔針
31の通過を許容する櫛歯部を備え、挿入針23あるい
は穿孔針31を挟んだ状態で積層糸群3を押圧可能とな
っている。
【0035】押圧部材34は支持ブラケット11に支持
された積層糸群3に対して挿入針23及び穿孔針31の
待機位置側に配設され、挿入針23列の挿入位置近傍に
おいて挿入針23列の移動方向に沿って移動可能に配設
されている。エアシリンダ32の作動により押圧部材3
4は支持ブラケット11に支持された積層糸群3と係合
して積層糸群3を挿入針23列の前進側へ押圧する作用
位置と、積層糸群3と係合不能な待機位置とに移動され
る。
【0036】支持ブラケット11に支持された積層糸群
3を挟んで押圧部材34と反対側には、一対のプレスブ
ロック35,36が配設されている。両プレスブロック
35,36は積層糸群3との接触部の幅がピン7の配列
ピッチより広く形成され、各プレスブロック35,36
は積層糸群3の上方において別個に揺動可能に支持され
た一対のレバー(図示せず)の先端にそれぞれ固定され
ている。両プレスブロック35,36は押圧部材34と
対向する位置でかつ、挿入針23又は穿孔針31の進入
を許容する隙間が生じるように互いに近接して配設され
ている。そして、図示しないエアシリンダの作動による
前記各レバーの揺動により、各プレスブロック35,3
6が積層糸群3を針列の後退側へ押圧する作用位置と、
積層糸群3と係合不能な待機位置とに移動される。
【0037】積層糸群3の支持位置の下方には挿入針2
3列が積層糸群3を貫通する位置と対応する位置に、抜
け止め糸挿通用針(以下、単に抜け止め糸針という)3
7が挿入針23列の配列方向に沿って移動可能に配設さ
れている(図11にその一部を図示)。抜け止め糸針3
7は先端にベラを有し、図示しない駆動装置により往復
動されて、作用位置に配置されたときの挿入針23列に
連なる厚さ方向糸zのループを貫通する作用位置と、積
層糸群3と対応する位置から退避した待機位置とに配置
されるようになっている。
【0038】なお、図示の都合上、図1及び図2に示す
概略図と、図4、図10及び図11等とでは、厚さ方向
糸zの挿入ピッチと、枠体に立設されたピン7のピッチ
や本数、あるいは三次元繊維構造体Wの長さと幅との比
等が異なる。
【0039】次に前記のように構成された枠体5及び厚
さ方向糸挿入装置9を使用して補強リブ2を有する三次
元繊維構造体Wを製造する手順を説明する。枠体5を支
持ブラケットに固定した状態で、第1の面内配列糸x、
第2の面内配列糸y及びバイアス糸B1 ,B2 がそれぞ
れピン7と係合する状態で折り返すようにして、図3
(a)〜(d)に示すようにそれぞれ配列される。そし
て、図5に示すように、枠体5の外側にx糸層、y糸層
及びバイアス糸層が所定の複数層積層された積層糸群3
が形成される。また、四角形状の枠体上に第1の面内配
列糸x、第2の面内配列糸y及びバイアス糸B1 ,B2
がそれぞれピンと係合する状態で折り返すようにして配
列され、x糸層、y糸層及びバイアス糸層が所定の複数
層積層された平板状の積層糸群3が形成される。
【0040】なお、積層糸群3の密度を高めるとともに
厚さを調整するため、各糸層の配列が完了するたび、あ
るいは適宜の糸層が形成された時点毎に、糸層が上から
押圧部材で押圧されて積層糸群3が圧縮される。
【0041】次に厚さ方向糸挿入装置9を使用して、L
字状の両積層糸群3に厚さ方向糸zが公知の方法で挿入
される。ただし、厚さ方向糸zはハンドリングを可能に
する程度の粗い間隔で予備的に挿入される。そして、図
7に示すように、厚さ方向糸zが粗く挿入されたL字状
の三次元繊維構造体WLが2体作成される。
【0042】次に2体の三次元繊維構造体WLを接合さ
せて、ほぼT字状の三次元繊維構造体WTを形成する。
このとき、二つの枠体5に挿通されているピン7の一部
を共通化して、図8に示すように、2個の枠体5で三次
元繊維構造体を支持した状態で、2体の三次元繊維構造
体WLの接合部に、正規の密度で厚さ方向糸zが挿入さ
れる。L字状の積層糸群3に厚さ方向糸zを挿入すると
きと、T字状の三次元繊維構造体WTに厚さ方向糸zを
挿入するときとで、枠体5を支持するのに異なる形状の
支持片12が使用される。
【0043】なお、一部のピン7を共通化する際、図7
に示すように、一方の枠体5のピン7としてパイプを使
用し、他方の枠体5のピン7として先端が尖ったピンを
使用し、尖ったピン7をパイプ製のピン7に当接させて
押し出すと、作業が容易になる。
【0044】次にT字状の三次元繊維構造体WTの端部
を基板部1に接合するサイズに合わせて所定の位置で切
断して枠体5から取り外すと、図9に示すように、基板
部1との接合部に粗いピッチで厚さ方向糸zが挿入され
たT字状の三次元繊維構造体WTが得られる。なお、三
次元繊維構造体WTを切断する際に積層糸群3を構成す
る糸が乱れないように、切断部近傍の厚さ方向糸zの挿
入密度を高めておくのが好ましい。
【0045】次に図10(a)に示すように、平板状の
積層糸群3が形成された枠体38に治具39,40を使
用して、T字状の三次元繊維構造体WTを基板部1に対
する補強リブ2の所定の接合位置に取り付ける。治具3
9はほぼ門型に形成されるとともに、その両端にボルト
挿通孔(図示せず)が形成された取付部39aを備えて
いる。また、治具40を介して三次元繊維構造体WTの
中央の板状部2aを挟持する挟持部39bが所定間隔で
形成されている。治具40は図11に示すように、三次
元繊維構造体WTとほぼ同じ長さの平板で形成されてい
る。そして、図10(a)に示すように、各三次元繊維
構造体WTはそれぞれ一対の治具40に挟まれた状態で
治具39の挟持部39bに挟持される。治具39は六角
穴付きボルト41により枠体38に固定される。
【0046】次に枠体38を厚さ方向糸挿入装置9の支
持ブラケット11に固定して、厚さ方向糸zの挿入を行
う。図11は厚さ方向糸zの挿入状態を示す模式斜視図
である。このとき、T字状の三次元繊維構造体WTある
いはL字状の積層糸群3への厚さ方向糸zの挿入時に使
用されたプレスブロック35,36と異なる形状のプレ
スブロック42,43が使用される。図11に示すよう
に、プレスブロック42,43には積層糸群3と対向す
る側に、T字状の三次元繊維構造体WT及び治具40と
干渉しないための凹部44が形成されている。
【0047】そして、支持テーブル15が挿入開始位置
に配置され、挿入針23、穿孔針31、押圧部材34及
びプレスブロック42,43が待機位置に配置された状
態から積層糸群3及びT字状の三次元繊維構造体WTの
積層糸群3との接合部への厚さ方向糸zの挿入作業が開
始される。
【0048】先ずエアシリンダ32が作動されて押圧部
材34が作用位置に配置される。次に両プレスブロック
42,43が作用位置に配置され、押圧部材34及び両
プレスブロック42,43により積層糸群3は穿孔針3
1列と対応する箇所が圧縮状態に保持される。その状態
でエアシリンダ28が作動されて穿孔針31が積層糸群
3を貫通する位置まで前進した後、元の位置まで後退す
る。穿孔針31は押圧部材34及び両プレスブロック4
2,43にガイドされながら移動し、穿孔針31が多少
曲がっていても穿孔針31は積層糸群3に対して垂直に
挿通される。積層糸群3は押圧部材34及び両プレスブ
ロック42,43によって押圧されているため、穿孔針
31の前進時に各糸の配列が乱れることはない。積層糸
群3を構成する繊維が押圧部材34及び両プレスブロッ
ク42,43の圧縮作用によりある程度密に配置された
状態にあるため、穿孔針31の抜き跡に孔が形成され
る。
【0049】次にエアシリンダ19が突出作動されて支
持プレート18とともに穿孔針31列及び挿入針23列
が移動され、挿入針23列が穿孔針31の抜き跡の孔と
対向する位置に配置される。その状態でプレスブロック
42が待機位置に配置された後、モータ24が作動さ
れ、挿入針23が前進して作用位置に配置される。挿入
針23は針孔23aが積層糸群3の前方に出るまで積層
糸群3に挿通される。挿入針23が前進端に達した後、
モータ24が逆転されて挿入針23がわずかに後退させ
られる。その結果、積層糸群3から針孔23aに連なる
厚さ方向糸zが抜け止め糸針37の通過を許容するルー
プを形成した状態となる。
【0050】次に抜け止め糸針37が作動され、抜け止
め糸(図示せず)が前記ループに挿通される。その後、
モータ24が逆転されて挿入針23が後退し、積層糸群
3から離脱して待機位置に配置される。また、プレスブ
ロック42が再び作用位置に配置される。この状態で張
力調整部(図示せず)の作用により厚さ方向糸zが引き
戻され、積層糸群3内に挿入された厚さ方向糸zが抜け
止め糸により抜け止めされた状態で締付けられる。次に
エアシリンダ19が作動され、支持プレート18ととも
に穿孔針31列及び挿入針23列が初期位置に戻され
る。また、エアシリンダ32が作動されて押圧部材34
が待機位置に配置され、プレスブロック42,43も待
機位置に配置される。以上により厚さ方向糸zの1回の
挿入サイクルが完了する。そして、平板状の積層糸群3
及びT字状の三次元繊維構造体WTの積層糸群3との接
合部に対して、T字状の三次元繊維構造体WTの屈曲部
4と対応する位置を除いた幅方向全域にわたって厚さ方
向糸zが1列分挿入される。
【0051】なお、図11では挿入針23及び穿孔針3
1の各ピッチが模式的に等ピッチに図示されているが、
屈曲部4と対応する位置では、挿入針23及び穿孔針3
1は針支持体22及び穿孔針支持体30から取り外され
ている。
【0052】次に支持テーブル15が厚さ方向糸zの挿
入ピッチ分移動され、穿孔針31が積層糸群3への次回
の厚さ方向糸挿入位置と対向する状態となる。以下、前
記と同様にして順次厚さ方向糸zの挿入サイクルが実行
される。そして、図10(b)に示すように、平板状の
積層糸群3とT字状の三次元繊維構造体WTとが、その
屈曲部4と対応する位置を除いた箇所において厚さ方向
糸zで結合された三次元繊維構造体が形成される。
【0053】次に基板部1及び補強リブ2の屈曲部4と
対応する位置への厚さ方向糸zの挿入が行われる。この
とき、図12に示すように、治具39,40を取り外
し、枠体38を支持する支持ブラケット11と支持テー
ブル15の間に規制治具45を挟んだ状態で、支持ブラ
ケット11を支持テーブル15に固定する。規制治具4
5は枠体38の角度を厚さ方向糸zの挿入角度と対応す
るように規制する役割を果たす。そして、屈曲部4と対
応する位置に基板部1の厚さ方向に対して交差する状態
で、厚さ方向糸zを屈曲部4及び基板部1を貫通するよ
うに挿入する。なお、治具39,40を取り付けたまま
で、厚さ方向糸zの挿入を行ってもよい。図12の角度
で厚さ方向糸zの挿入を行った後、規制治具45を18
0°反転させた状態で支持ブラケット11を支持し、図
12の状態に対して、枠体38が支持テーブル15と垂
直な面に対して対称となる状態で、再び屈曲部4と対応
する位置に厚さ方向糸zを挿入する。そして、厚さ方向
糸zの挿入が終了した後、各ピン7が枠体38から取り
外されて、基板部1の周縁が所定の位置で切断されて三
次元繊維構造体Wの製造が完了する。
【0054】この実施の形態では以下の効果を有する。 (1) 三次元繊維構造体Wの補強リブ2の屈曲部4と
対応する位置においては、厚さ方向糸zが基板部1の厚
さ方向に対して交差する状態で屈曲部4及び基板部1を
貫通するように配列されている。従って、補強リブ2を
単に接着あるいは一体成形した場合に比較して、基板部
1と補強リブ2とが厚さ方向糸zにより結合された三次
元繊維構造体Wの、補強リブ2と基板部1との接続部の
強度が大きくなり、同じ要求物性であれば三次元繊維構
造体Wを骨格材とした複合材を薄くできる。
【0055】(2) 厚さ方向糸zによって結合される
積層糸群3を構成する各糸層の糸が、ピン7(規制部
材)を基準として折り返し状に配列されるため、糸を緊
張した状態で配列でき、かつその状態で厚さ方向糸zが
挿入される。従って、クロス(平面上の織物)を積層し
てステッチ縫いで各クロスを結合した三次元繊維構造体
に比較して、糸の真直度が良好で高品質(物性が良い)
の三次元繊維構造体Wが得られる。
【0056】(3) 補強リブ2は少なくとも基板部1
との結合部付近がT字状に形成されているため、横方向
のどちら側から力が作用しても曲げに対して良好な強度
を確保できる。
【0057】(4) 三次元繊維構造体Wは基板部1及
び補強リブ2とも、それぞれ複数の糸層を積層して形成
された面内3軸以上(面内4軸)の配向となる積層糸群
3と、その厚さ方向に配列された厚さ方向糸zとを含む
4軸以上(5軸)で構成されている。従って、物性(特
に強度や耐衝撃性)の優れた複合材を得ることができ
る。
【0058】(5) 補強リブ2と基板部1とを一体に
して製織する方法では面内3軸以上の三次元織物を製造
するには、機構が非常に複雑になり、効率良く三次元織
物を製造するのが難しい。しかし、複数の糸層を積層し
て形成された面内3軸以上(面内4軸)の配向となる積
層糸群3を厚さ方向糸zで結合した、三次元繊維構造体
Wの場合は、面内4軸であっても、比較的容易に製造で
きる。
【0059】(6) 基板部1、補強リブ2及び厚さ方
向糸zが全てカーボン糸で形成されているため、他の材
質製の糸やカーボン糸と他の材質製の糸とを組み合わせ
て使用した場合に比較して、複合材としたときの物性が
向上する。例えば、糸としてガラス繊維製の糸を使用す
ると、カーボン糸に比較して重量が大きくなる。また、
ポリアラミド繊維は吸水率が大きく、複合材を形成する
際に物性低下の要因となる。
【0060】(7) 三次元繊維構造体Wを構成するバ
イアス糸B1 ,B2 が、第1及び第2の面内配列糸x,
yに対してほぼ±45°の角度で交差するように配列さ
れている。従って、他の角度で配列した場合に比較し
て、斜め方向からの力に対して最も有効に機能する。
【0061】(8) 各糸層を構成する糸として、少な
くとも当該糸層内で連続した1本の糸が使用されている
ため、各糸を適切な張力を付与した状態で配列するのが
容易となり、複合材としたときの物性の向上に寄与す
る。
【0062】(9) 厚さ方向糸zの挿入時に、枠体3
に保持された積層糸群3が、押圧部材34により位置決
めされた状態で、押圧部材34と、プレスブロック4
2,43とにより押圧される。従って、押圧部材34が
ガイドとしての役割を果たし、穿孔針31による積層糸
群3の所定位置への孔の形成が容易になる。
【0063】(10) 補強リブ2用のT字状の三次元
繊維構造体WTを製作する際、厚さ方向糸zがハンドリ
ングを可能にする程度の粗い間隔で予備的に挿入された
L字状の三次元繊維構造体WLを2体製作して、それを
組み合わせた後、正規のピッチで厚さ方向糸zを挿入す
る。従って、予備的な厚さ方向糸zの挿入を行わずにL
字状の積層糸群3を接合して、厚さ方向糸zの挿入を行
う場合に比較して、T字状の三次元繊維構造体WTの製
作、及び基板部1との接合のための厚さ方向糸zの挿入
作業が容易になる。
【0064】(第2の実施の形態)次に第2の実施の形
態を図13に従って説明する。この実施の形態では基板
部1と補強リブ2用のT字状の三次元繊維構造体WTと
を結合する厚さ方向糸zの挿入方法が前記実施の形態と
異なっている。前記実施の形態と同一部分は同一符号を
付して詳しい説明は省略する。
【0065】前記実施の形態ではT字状の三次元繊維構
造体WTの長手方向と直交する方向に一列ずつ、厚さ方
向糸zが順次挿入されたが、この実施の形態ではT字状
の三次元繊維構造体WTの長手方向と平行に一列ずつ、
厚さ方向糸zが順次挿入される。三次元繊維構造体WT
を挟持する治具40は三次元繊維構造体WTより長く形
成され、その両端が枠体38のピン7の間を通って積層
糸群3の幅より外側に配置された状態で治具39の挟持
部39bに挟持される。そして、プレスブロック42,
43を使用せず、治具40及び押圧部材34によって、
積層糸群3及び三次元繊維構造体WTの押圧が行われ
る。また、治具39は取付部39aを突設せずに、治具
39の支柱の底部にネジ穴(図示せず)が形成され、枠
体38側に形成されたボルト挿通孔(図示せず)を貫通
するボルトにより、枠体38に固定されるようになって
いる。
【0066】従って、この実施の形態においても、前記
実施の形態の(1)〜(10)の効果が得られる。ま
た、前記実施の形態の厚さ方向糸挿入装置9に比較し
て、プレスブロック42,43を省略できるため、構造
が簡単になるとともに、挿入工程数も少なくなって、厚
さ方向糸zの挿入に必要な時間の短縮が図れる。
【0067】なお、実施の形態は前記に限定されるもの
ではなく、例えば、次のように具体化してもよい。 ○ 補強リブ2の形状は三次元繊維構造体Wの長手方向
あるいは幅方向と平行に延びる構成に限らず、図14に
示すように、基板部1との接合部がT字状で、かつ全体
として格子に形成されたものであってもよい。このよう
な補強リブ2を備えた三次元繊維構造体Wを形成する場
合は、先ず、第1の実施の形態と同様にして所定の長さ
のT字状の三次元繊維構造体WTを製作する。次に、そ
の一部を切断して、図15に示す形状の三次元繊維構造
体WTを製作する。また、同様にして、図15に示す形
状の三次元繊維構造体WTと組み合わせることにより、
図14に示す形状の三次元繊維構造体WTが構成される
三次元繊維構造体WTを所定の長さのT字状の三次元繊
維構造体WTの一部を切断して形成する。そして、適切
な治具を使用して基板部1に接合した状態で支持して、
厚さ方向糸zを挿入することにより、三次元繊維構造体
Wが得られる。
【0068】○ 三次元繊維構造体Wを構成する基板部
1及び補強リブ2は、それぞれ複数の糸層を積層して形
成された面内3軸以上の配向となる積層糸群3と、その
厚さ方向に配列された厚さ方向糸zとを含む少なくとも
4軸で構成されていればよい。例えば、配向角が0°、
60°及び−60°に配列した糸で面内3軸の積層糸群
3を構成したり、面内4軸の積層糸群3を構成する場合
にバイアス糸B1 ,B2 の配向角を±45°以外の配向
角としてもよい。
【0069】○ 補強リブ2の形状は基板部1から垂直
に突出する部分が単純な平板に限らず、先端側がT字状
やL字状であってもよい。また、基板部1との接合部が
T字状に限らず、L字状としてもよい。
【0070】○ 厚さ方向糸zの配列は抜け止め糸と共
同で各糸層を締め付ける配列のものに限らず、例えば特
開平6−184906号公報に開示された繊維構造体の
ように、チェーンステッチ方式で厚さ方向糸z自身が抜
け止め機能を果たすように各糸層を貫通して締め付ける
構成としてもよい。また、厚さ方向糸zが積層糸群3の
表側から裏側へ挿通される工程と、裏側から表側へ挿通
される工程とが交互に繰り返された配列方法としてもよ
い。
【0071】○ 基板部1は必ずしも平板に限らず、曲
率の小さな円弧面であってもよい。 ○ 積層糸群3の厚さや繊維の種類によっては穿孔針3
1による孔開けを行わずに、直接挿入針23を挿入して
厚さ方向糸zを挿入してもよい。この場合は穿孔針31
及びその駆動装置が不要な分、厚さ方向糸挿入装置9の
構成が簡単になる。
【0072】○ 基板部1の幅が広い場合は、厚さ方向
糸zの挿入を1列同時に行わずに、複数回に分けて行っ
てもよい。 ○ 積層糸群3に対して挿入針23の突出側に配置され
るプレスブロック42,43は2個一組に限らず、1個
でもよい。1個とする場合はプレスブロックが作用位置
に配置された状態で挿入針23が積層糸群3に挿通され
たとき、挿入針23の突出側における厚さ方向糸zのル
ープの形成に支障を来さない側に配置する。
【0073】○ 基板部1及び補強リブ2を積層糸群3
を厚さ方向糸zで結合した三次元繊維構造体で形成する
代わりに、クロス(好ましくはユニ・ウィーブ織物)を
複数枚積層して形成したものを厚さ方向糸zで結合した
三次元繊維構造体で形成してもよい。また、基板部1及
び補強リブ2の一方をクロスから形成した三次元繊維構
造体で形成し、他方を積層糸群3から形成した三次元繊
維構造体で形成してもよい。
【0074】前記各実施の形態から把握できる請求項記
載以外の技術的思想(発明)について、以下にその効果
とともに記載する。 (1) 請求項3に記載の発明において、前記積層糸群
は互いに直交する状態で配列される第1及び第2の面内
配列糸と、前記第1及び第2の面内配列糸に対してほぼ
±45°の角度で交差するように配列されているバイア
ス糸とにより面内4軸で構成されている。この場合、バ
イアス糸を他の角度で配列した場合に比較して、斜め方
向からの力に対して最も有効に機能し、複合材としたと
きの物性が向上する。
【0075】(2) 三次元繊維構造体で構成された基
板部と、三次元繊維構造体で構成されるとともに基板部
との結合部がほぼT字状となる補強リブとが厚さ方向糸
により結合された三次元繊維構造体の製造方法におい
て、L字状に形成された積層糸群を2体形成するととも
にハンドリングが可能な程度の粗さで予備的に厚さ方向
糸を挿入し、その後、2体を接合するとともに接合部に
正規のピッチで厚さ方向糸zを挿入したT字状の三次元
繊維構造体を形成し、その三次元繊維構造体を基板部を
構成する平板状の積層糸群の所定位置に、治具を使用し
て配置した状態に保持し、補強リブの屈曲部と対応する
位置以外の箇所に所定ピッチで厚さ方向糸を挿入し、そ
の後、補強リブの屈曲部と対応する位置に基板部の厚さ
方向に対して交差する状態で屈曲部及び基板部を貫通す
るように厚さ方向糸を挿入する三次元繊維構造体の製造
方法。この場合、基板部との結合部がほぼT字状となる
補強リブを有する三次元繊維構造体を、全体を同時に製
織する方法に比較的して簡単に製造できる。
【0076】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1〜請求項4
に記載の発明によれば、基板部と補強リブとが厚さ方向
糸により結合された三次元繊維構造体の、補強リブと基
板部との接続部の強度が大きくなり、同じ要求物性であ
れば三次元繊維構造体を骨格材とした複合材を薄くでき
る。
【0077】請求項2に記載の発明によれば、補強リブ
は少なくとも基板部との結合部付近がT字状に形成され
ているため、横方向のどちら側から力が作用しても曲げ
に対して良好な強度を確保できる。
【0078】請求項3に記載の発明では、基板部及び補
強リブは、それぞれ複数の糸層を積層して形成された面
内3軸以上の配向となる積層糸群と、その厚さ方向に配
列された厚さ方向糸とを含む少なくとも4軸で構成され
ているため、物性(特に強度や耐衝撃性)の優れた複合
材を得ることができる。
【0079】請求項4に記載の発明では、基板部、補強
リブ及び厚さ方向糸が全てカーボン糸で形成されている
ため、他の糸やカーボン糸と他の糸とを組み合わせて使
用した場合に比較して、複合材としたときの物性が向上
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は第1の実施の形態の三次元繊維構造
体の模式断面図、(b)は(a)の部分拡大図。
【図2】 同じく模式斜視図。
【図3】 積層糸群を構成する糸の配列状態を示す模式
斜視図。
【図4】 積層糸群の形成に使用する枠体の概略斜視
図。
【図5】 枠体上に積層糸群を形成した状態の概略斜視
図。
【図6】 厚さ方向糸挿入装置の概略部分平面図。
【図7】 L字状三次元繊維構造体の支持状態を示す模
式端面図。
【図8】 T字状三次元繊維構造体の支持状態を示す模
式端面図。
【図9】 T字状三次元繊維構造体の模式図。
【図10】 (a)はT字状三次元繊維構造体の支持治
具を示す模式断面図、(b)は同じく厚さ方向糸挿入後
の状態を示す模式断面図。
【図11】 厚さ方向糸挿入装置の作用を説明する模式
斜視図。
【図12】 厚さ方向糸挿入装置の作用を説明する一部
破断模式側面図。
【図13】 別の実施の形態の治具の作用を説明する模
式斜視図。
【図14】 別の三次元繊維構造体の模式斜視図。
【図15】 同じく製作途中の補強リブを示す模式斜視
図。
【図16】 従来の三次元織物の製造方法を示す模式斜
視図。
【図17】 別の従来の三次元織物の製造方法を示す模
式断面図。
【符号の説明】
1…基板部、2…補強リブ、2a,2b,2z…板状
部、3…積層糸群、4…屈曲部、x…第1の面内配列
糸、y…第2の面内配列糸、z…厚さ方向糸、B1,B2
…バイアス糸、W,WT…三次元繊維構造体。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 三次元繊維構造体で構成された基板部
    と、三次元繊維構造体で構成された補強リブとが厚さ方
    向糸により結合された三次元繊維構造体であって、 前記補強リブはほぼ直角に屈曲された状態で連続する板
    状部を有し、前記板状部の一つが前記基板部に垂直とな
    るように基板部に結合されるとともに、前記補強リブと
    前記基板部とを結合する厚さ方向糸は、前記補強リブの
    屈曲部と対応する位置においては、前記基板部の厚さ方
    向に対して交差する状態で屈曲部及び基板部を貫通する
    ように配列されている三次元繊維構造体。
  2. 【請求項2】 前記補強リブは少なくとも前記基板部と
    の結合部付近がT字状に形成されている請求項1に記載
    の三次元繊維構造体。
  3. 【請求項3】 前記基板部及び前記補強リブは、それぞ
    れ複数の糸層を積層して形成された面内3軸以上の配向
    となる積層糸群と、その厚さ方向に配列された厚さ方向
    糸とを含む少なくとも4軸で構成されている請求項1又
    は請求項2に記載の三次元繊維構造体。
  4. 【請求項4】 前記基板部、補強リブ及び厚さ方向糸が
    全てカーボン糸で形成されている請求項3に記載の三次
    元繊維構造体。
JP06678098A 1998-03-17 1998-03-17 三次元繊維構造体 Expired - Fee Related JP3656395B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06678098A JP3656395B2 (ja) 1998-03-17 1998-03-17 三次元繊維構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06678098A JP3656395B2 (ja) 1998-03-17 1998-03-17 三次元繊維構造体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11269755A true JPH11269755A (ja) 1999-10-05
JP3656395B2 JP3656395B2 (ja) 2005-06-08

Family

ID=13325735

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06678098A Expired - Fee Related JP3656395B2 (ja) 1998-03-17 1998-03-17 三次元繊維構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3656395B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001208120A (ja) * 1999-11-02 2001-08-03 Toray Ind Inc 繊維強化プラスチック製衝撃エネルギー吸収部材
JP2013525140A (ja) * 2010-04-16 2013-06-20 コンポジテンス ゲーエムベーハー ノンクリンプ織物の製造装置および製造方法
CN107002319A (zh) * 2014-11-25 2017-08-01 株式会社丰田自动织机 纤维构造体以及纤维强化复合材料

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001208120A (ja) * 1999-11-02 2001-08-03 Toray Ind Inc 繊維強化プラスチック製衝撃エネルギー吸収部材
JP4491955B2 (ja) * 1999-11-02 2010-06-30 東レ株式会社 繊維強化プラスチック製衝撃エネルギー吸収部材
JP2013525140A (ja) * 2010-04-16 2013-06-20 コンポジテンス ゲーエムベーハー ノンクリンプ織物の製造装置および製造方法
CN107002319A (zh) * 2014-11-25 2017-08-01 株式会社丰田自动织机 纤维构造体以及纤维强化复合材料
US10544525B2 (en) 2014-11-25 2020-01-28 Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki Fibrous structure and fiber-reinforced composite material

Also Published As

Publication number Publication date
JP3656395B2 (ja) 2005-06-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3070428B2 (ja) 三次元繊維組織の製造装置
KR101219878B1 (ko) 트러스 구조의 심재를 구비한 샌드위치 패널의 제조방법
EP1883526B1 (en) Reinforcement of cellular materials
RU2419543C2 (ru) Способ армирования материала основы для композитных конструкций
RU2503757C2 (ru) Гибридные трехмерные тканые/слоистые распорки для применения с композитными конструкциями
JP3337511B2 (ja) 複合材料からなる部材のための繊維補強材を製造する方法、繊維補強材を有する複合材料からなる部材及びその部材を製造する方法
EP1412163B1 (en) Method of inserting z-axis reinforcing fibers into a composite laminate
US7105071B2 (en) Method of inserting z-axis reinforcing fibers into a composite laminate
US7758946B2 (en) Three-dimensional fiber structure, composite, and method for manufacturing three-dimensional fiber structure
JPH0781225B2 (ja) 結合部材用三次元織物
JP3396244B2 (ja) 織物部片を縫う方法、この方法によって得られる織物部片、および織物部片を用いて得た複合繊維母体片
JPH11269755A (ja) 三次元繊維構造体
JP2878259B1 (ja) 三次元繊維構造体及びその製造方法
JP3475609B2 (ja) 三次元繊維構造体及びその製造方法
JP3486033B2 (ja) 三次元繊維構造体
JPH0790605B2 (ja) 複合材製桁材のジョイント部補強用繊維構造体およびその製造方法
JPH06184906A (ja) 繊維構造体及びその製造方法
JP2591814B2 (ja) 複合材製桁材の補強用繊維構造体およびその製造方法
JP3341374B2 (ja) 三次元繊維組織の厚さ方向糸挿入装置
JPH111843A (ja) 三次元繊維組織の製造方法及び治具
JPH04370243A (ja) 結合部材用三次元織物の製造方法
JP4063175B2 (ja) 三次元繊維結合体及び複合材
CN116810959A (zh) 一种碳纤维木质基复合材料制作方法
CN116288877A (zh) 一种含斜向纱的加筋槽状三维整体织物及其织造方法
JPH04300343A (ja) 3次元織繊維構造体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041130

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050126

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050215

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050228

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080318

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110318

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120318

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130318

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees