JPH11269401A - 表面処理顔料の製造方法 - Google Patents

表面処理顔料の製造方法

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JPH11269401A
JPH11269401A JP7402098A JP7402098A JPH11269401A JP H11269401 A JPH11269401 A JP H11269401A JP 7402098 A JP7402098 A JP 7402098A JP 7402098 A JP7402098 A JP 7402098A JP H11269401 A JPH11269401 A JP H11269401A
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JP
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pigment
parts
resin acid
compound
water
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JP7402098A
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English (en)
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Seiji Funakura
省二 船倉
Yoshikatsu Seki
義勝 関
Fukue Go
富久恵 郷
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来より初期分散性が良好で、光沢が良好な
顔料を提供する。 【解決手段】 表面処理顔料を製造する方法において、
有機顔料の水性スラリー中に樹脂酸の水可溶性塩の水溶
液又は樹脂酸もしくは樹脂酸の水不溶性塩の水性エマル
ジョンの1種類以上を添加し、有機顔料表面に前記樹脂
酸、樹脂酸水可溶性塩又は樹脂酸水不溶性塩を充分に接
触させ、その後、陰イオン界面活性剤の1種類以上を添
加した後、水性スラリーを酸性とすることにより表面処
理を行い、該水性スラリーから表面処理顔料を分離する
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顔料に有機表面改
質剤により表面処理した、表面処理顔料の製造方法に関
する。さらに詳細には、電子トナー、プラスチック、塗
料、印刷インキ、ゴム、レザー、捺染、カラーフィルタ
ー、ジェットインキ、熱転写インキなどの色材用に適性
の優れた表面処理顔料を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】インキ、塗料等の色材分野において、分
散性、流動性、光沢、鮮明性、経時安定性等の適性を付
与するため、表面処理を施した顔料を用いることは一般
的である。
【0003】従来、この表面処理剤としては、たとえば
「ピグメント・ハンドブック(PIGMENT HANDBOOK)」第3
巻第157頁〜167頁(1973年発行)記載のロジ
ン、ロジン誘導体、アミン、顔料誘導体、合成樹脂が開
示されており、その表面処理方法としては、ロジンにお
いてはアルカリ金属塩として水に溶解させ、これを顔料
の水性スラリー中に添加し、その後不溶性のフリーの酸
又は金属塩として顔料表面に析出する方法、ロジン誘導
体、合成樹脂においてはその水性分散体を顔料の水性ス
ラリー中に添加する方法が開示されている。
【0004】また、特開平5−230390号公報で
は、ロジンを用い、エマルジョン化して水系での処理を
行う製造方法が開示されている。また、特開平6−31
3120号公報では、モノアゾレーキ顔料において、ス
ルホコハク酸塩をロジンの水可溶性塩中に分散して添加
し、ついでレーキ化することからなる製造方法が開示さ
れている。また、特開平7−331101号公報では水
と樹脂を予備的に混合し、高圧に加圧して流路径が縮小
された流路に導入することにより水と樹脂とを均一に分
散せしめた水系分散体と顔料とを混合する製造方法が開
示されている。以上のこれらの方法では、近年要求され
ている初期分散性及び光沢の良好な表面処理顔料を得る
ことは不可能であった。しかも、特開平7−33110
1号公報の方法では、初期投資額の大きい複雑な装置で
あるナノマイザーが必要であり、さらにナノマイザーの
一機当たりの生産性が低いため経済的にも問題である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、従来より初期分散性が良好で、光沢が良好
な顔料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、表面処理顔料を製
造する方法において、有機顔料の水性スラリー中に樹脂
酸の水可溶性塩の水溶液又は樹脂酸もしくは樹脂酸の水
不溶性塩の水性エマルジョンの1種類以上を添加し、有
機顔料表面に前記樹脂酸、樹脂酸水可溶性塩又は樹脂酸
水不溶性塩を充分に接触させ、その後、陰イオン界面活
性剤の1種類以上を添加した後水性スラリーを酸性とす
ることにより表面処理を行い、該水性スラリーから表面
処理顔料を分離することで、従来より初期分散性が良好
で、光沢が良好な顔料を得られること、ここで用いる有
機顔料としてはキナクリドン系化合物顔料、フタロシア
ニン系化合物顔料、スレン系化合物顔料、ペリレン系化
合物顔料、フタロン系化合物顔料、ジオキサジン系化合
物顔料、イソインドリノン系化合物顔料、メチン・アゾ
メチン系化合物顔料、ジケトピロロピロール系化合物顔
料からなる群から選ばれる1種類以上の有機顔料が好ま
しいこと、表面処理に使用される樹脂酸の使用割合が、
最終有機顔料100重量部に対して、3〜15重量部の
範囲が好ましいこと、表面処理に使用される陰イオン界
面活性剤の使用割合が、最終有機顔料100重量部に対
して、3〜15重量部の範囲が好ましいこと、表面処理
に使用される陰イオン界面活性剤が、スルホコハク酸塩
又はアルキルベンゼンスルホン酸塩からなる群から選ば
れる1種類以上の陰イオン界面活性剤が好ましいこと、
しかもこの製造方法は、1バッチ当たりの生産性も容易
に大きくすることが可能であることから、経済的に優れ
た方法であること等を見いだし、本発明を完成するに至
った。
【0007】即ち、本発明は、次の発明を提供するもの
である。 (1) 表面処理顔料を製造する方法において、有機顔
料の水性スラリー中に樹脂酸の水可溶性塩の水溶液又は
樹脂酸もしくは樹脂酸の水不溶性塩の水性エマルジョン
の1種類以上を添加し、有機顔料表面に前記樹脂酸、樹
脂酸水可溶性塩又は樹脂酸水不溶性塩を充分に接触さ
せ、その後、陰イオン界面活性剤の1種類以上を添加し
た後水性スラリーを酸性とすることにより表面処理を行
い、該水性スラリーから表面処理顔料を分離することを
特徴とする表面処理顔料の製造方法。
【0008】(2) 有機顔料が、キナクリドン系化合
物顔料、フタロシアニン系化合物顔料、スレン系化合物
顔料、ペリレン系化合物顔料、フタロン系化合物顔料、
ジオキサジン系化合物顔料、イソインドリノン系化合物
顔料、メチン・アゾメチン系化合物顔料、ジケトピロロ
ピロール系化合物顔料からなる群から選ばれる1種類以
上の有機顔料である(1)記載の製造方法、
【0009】(3) 表面処理に使用される樹脂酸の使
用割合が、最終有機顔料100重量部に対して、3〜1
5重量部の範囲にある(1)又は(2)記載の製造方
法、
【0010】(4) 表面処理に使用される陰イオン界
面活性剤の使用割合が、最終有機顔料100重量部に対
して、3〜15重量部の範囲にある(1)、(2)又は
(3)記載の製造方法。
【0011】(5) 表面処理に使用される陰イオン界
面活性剤が、スルホコハク酸塩又はアルキルベンゼンス
ルホン酸塩からなる群から選ばれる1種類以上の陰イオ
ン界面活性剤である(1)、(2)、(3)又は(4)
記載の製造法、
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法で使用する有機
顔料としては、公知慣用の有機顔料がいずれも使用でき
るが、例えば、キナクリドン系化合物顔料、フタロシア
ニン系化合物顔料、スレン系化合物顔料、ペリレン系化
合物顔料、フタロン系化合物顔料、ジオキサジン系化合
物顔料、イソインドリノン系化合物顔料、メチン・アゾ
メチン系化合物顔料、ジケトピロロピロール系化合物顔
料、アゾレーキ系化合物顔料、不溶性アゾ系化合物顔
料、縮合アゾ系化合物顔料等が挙げられ、なかでも、キ
ナクリドン系化合物顔料、フタロシアニン系化合物顔
料、スレン系化合物顔料、ペリレン系化合物顔料、フタ
ロン系化合物顔料、ジオキサジン系化合物顔料、イソイ
ンドリノン系化合物顔料、メチン・アゾメチン系化合物
顔料、ジケトピロロピロール系化合物顔料からなる群か
ら選ばれる1種以上の有機顔料が好ましい。
【0013】上記顔料の製造方法については、公知慣用
の製造方法がいずれも採用できるが、たとえば「インダ
ストリアル オーガニックピグメンツ(Industrial Orga
nicPigments)」(1993年発行)に記載されている方
法により得ることができる。
【0014】有機顔料の具体例を挙げるすると次の通り
である。キナクリドン系化合物顔料としては、例えば.
I.Pigment Violet 19、同42、
C.I.Pigment Red 122、同202、
同206、同207、同209、C.I.Pigmen
t Orange 48、同49等の顔料が挙げられ
る。
【0015】フタロシアニン系化合物顔料としては、例
えばC.I.Pigment Blue 15、15:
1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、
C.I.Pigment Green 7、同36等の
顔料が挙げられる。
【0016】スレン系化合物顔料としては、例えばC.
I.Pigment Blue 60、C.I.Pig
ment Yellow 24、同108、C.I.P
igment Red 168、同177、C.I.P
igment Orange40等の顔料が挙げられ
る。
【0017】ペリレン系化合物顔料としては、例えば
C.I.Pigment Violet 29、C.
I.Pigment Red 123、同149、同1
78、同179、C.I.Pigment Black
31、同32、C.I.Pigment Orang
e 43等の顔料が挙げられる。
【0018】フタロン系化合物顔料としては、例えば、
C.I.Pigment Yellow 138等の顔
料が挙げられる。
【0019】ジオキサジン系化合物顔料としては、例え
ばC.I.Pigment Violet 23、同3
7等の顔料が挙げられる。
【0020】イソインドリノン系化合物顔料としては、
例えばC.I.Pigment Yellow 10
9、同110、同173、C.I.Pigment O
range 61等の顔料が挙げられる。
【0021】メチン・アゾメチン系化合物顔料として
は、例えばC.I.PigmentYellow 13
9、同185、C.I.Pigment Orange
66、C.I.Pigment Brown 38等
の顔料が挙げられる。
【0022】ジケトピロロピロール系化合物顔料として
は、例えばC.I.PigmentRed 254、同
255等の顔料がある。
【0023】アゾレーキ系化合物顔料としては、例えば
C.I.Pigment Red48:1、同48:
2、同48:3、同48:4、同48:5、同49:
1、同49:2、同49:3、同50:1、同51:
1、同52:1、同52:2、同53:1、同57:
1、同58:2、同58:4、同60:1、同63:
1、同63:2、同64:1、同200、同211、同
238、同239、同240、同243、同245、同
247、C.I.Pigment Yellow 6
1、同62:1、同104、同133、同168、同1
69、同183、同190、同191、C.I.Pig
ment Orange 17、同17:1、同19、
同46等の顔料が挙げられる。
【0024】不溶性アゾ系化合物顔料としては、例えば
C.I.Pigment Yellow 1、同3、
同12、同13、同14、同17、同55、同73、同
74、同81、同83、同97、同130、同151、
同152、同154、同156、同165、同166、
同167、同170、同171、同172、同174、
同175、同176、同180、同181、同188、
C.I.Pigment Orange 16、同3
6、同60、C.I.Pigment Red5、同2
2、同31、同112、同146、同150、同17
1、同175、同176、同183、同185、同20
8、同213、C.I.PigmentViolet
43、同44、C.I.Pigment Blue 2
5、同26等の顔料が挙げられる。
【0025】縮合アゾ系化合物顔料としては、例えば
C.I.Pigment Yellow 93、同9
4、同95、同128、同166、C.I.Pigme
ntOrange 31、C.I.Pigment R
ed 144、同166、同214、同220、同22
1、同242、同248、同262、C.I.Pigm
ent Brown 41、同42等の顔料がある。
【0026】本発明においてこれら有機顔料は、2種以
上を併用することもできる。
【0027】本発明では、有機顔料の水性スラリーを用
いて、そこに含まれる顔料粒子表面の表面処理を行う。
【0028】顔料の表面処理においては、顔料を水性ス
ラリーにすることが必要である場合がある。この水性ス
ラリーとしては、例えば、水系で製造される顔料におい
ては、顔料化後の水性スラリー、顔料化後の水性スラリ
ーを濾過洗浄し、ミキサー、高速分散撹拌機、アジター
等を用いて再度水に解膠した水性スラリーを用いること
ができる。また、有機溶剤中で製造される顔料に関して
は、有機溶剤を除去し、水性スラリーに置換した水性ス
ラリーを用いることができる。さらに顔料の乾燥粉末
を、分散撹拌機、サンドミル、ボールミル、アトライタ
ー、ペイントコンデショナー、ハイスピードミキサー等
を用いて、水に分散した水性スラリーも用いることがで
きる。また、この時、アルコール等を添加して、乾燥粉
末を水に濡れやすくして行うことも可能である。
【0029】水性スラリー中の顔料の量は、特に制限さ
れるものではないが、水100重量部に対して通常1〜
20重量部で、3〜10重量部の範囲にあることが好ま
しい。
【0030】本発明では、第一に、表面処理が施されて
いない未処理の有機顔料の表面に、樹脂酸の水可溶性
塩、樹脂酸そのもの、樹脂酸の水不溶性塩のいずれかを
接触させる。
【0031】本発明の製造方法で使用する樹脂酸として
は、公知慣用のもの、例えば、ウッドロジン、ガムロジ
ン、トール油ロジン等の天然ロジン、重合ロジン、不均
化ロジン、水添ロジン、酸化ロジン、マレイン化ロジン
等の変性ロジン、ロジンアミン、ライムロジン、ロジン
アルキレンオキシド付加物、ロジンアルキド付加物、ロ
ジン変性フェノール等のロジン誘導体等を挙げることが
できる。本発明においてこれら樹脂酸は、2種以上を併
用することもできる。
【0032】上記樹脂酸の使用量は、樹脂酸又はその塩
と陰イオン界面活性剤の両方に基づく表面処理を行っ
た、最終有機顔料100重量部に対して、3〜15重量
部となる様にするのが好ましく、なかでも、5〜8重量
部とするのが特に好ましい。
【0033】顔料の表面処理においては、樹脂酸を、樹
脂酸の水可溶性塩とした水溶液、又は樹脂酸の水性エマ
ルジョンもしくは樹脂酸の水不溶性塩の水性エマルジョ
ンが用いられる。
【0034】上記の水溶液や水性エマルジョンは、適宜
公知慣用の方法により、調製可能であるが、例えば、次
の様な方法で調製することが可能である。
【0035】樹脂酸の水可溶性塩としては、樹脂酸のア
ルカリ金属塩、例えばナトリウム塩やカリウム塩等が挙
げられる。樹脂酸は、通常60〜95℃、好ましくは7
0〜85℃の湯の中で、塩基例えば水酸化ナトリウム又
は水酸化カリウムと反応させることで、樹脂酸の水可溶
性塩の水溶液を形成することができる。また、この樹脂
酸塩の水溶液に適当な有機溶剤、例えばトルエン又はキ
シレンを添加することも可能である。
【0036】樹脂酸の水可溶性塩の水溶液中の樹脂酸の
量は、水100重量部に対して通常0.5〜3.0重量
部で、1.0〜2.5重量部の範囲にあることが好まし
い。塩基の量は、水100重量部に対して通常0.2〜
2.5重量部で、0.5〜2.0重量部の範囲にあるこ
とが好ましい。有機溶剤の量は、水100重量部に対し
て通常0.0〜3.0重量部で、1.0〜2.0重量部
の範囲にあることが好ましい。
【0037】また、樹脂酸の水不溶性塩としては、樹脂
酸のアルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩、バリ
ウム塩、ストロンチウム塩等が挙げられる。樹脂酸もし
くは樹脂酸のカルシウム塩やバリウム塩やストロンチウ
ム塩等の水不溶性塩は、適当な有機溶剤に溶解し、水と
非イオン系界面活性剤添加して、ホモジナイザー等の乳
化機を用いて、水性エマルジョンとすることができる。
エマルジョン化する時の温度は、通常10〜80℃で、
20〜50℃の範囲にあることが好ましい。
【0038】樹脂酸もしくは樹脂酸の水不溶性塩の水性
エマルジョン中の、樹脂酸及び樹脂酸の水不溶性塩の量
は、水100重量部に対して通常2〜15重量部で、5
〜10重量部の範囲にあることが好ましい。有機溶剤の
量は、水100重量部に対して通常2〜15重量部で、
5〜10重量部の範囲にあることが好ましい。非イオン
系界面活性剤の量は、水100重量部に対して通常0.
1〜1.5重量部で、0.5〜1.0重量部の範囲にあ
ることが好ましい。
【0039】上記、非イオン界面活性剤の例としては、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソ
ルビタンアルキルエステル等を挙げられ、なかでもポリ
オキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテルが好ましい。
【0040】有機顔料の水性スラリーに、上記樹脂酸を
樹脂酸の水可溶性塩とした水溶液又は樹脂酸もしくは樹
脂酸の水不溶性塩の水性エマルジョンを添加する時の顔
料の水性スラリーの温度は、通常60〜95℃で、70
〜85℃の範囲にあることが好ましい。樹脂酸又はその
塩の添加後、温度を保持し、30分以上スラリーを撹拌
を行い、顔料表面に樹脂酸又はその塩を充分に接触させ
ることが好ましい。
【0041】本発明では、第二に、樹脂酸又はその塩と
充分接触された有機顔料の表面に、更に、陰イオン界面
活性剤を接触させる。本発明は、樹脂酸又はその塩を接
触させた後、陰イオン界面活性剤を接触させるという、
この表面処理の順序に第一の特徴を有する。
【0042】本発明は、有機顔料表面を、樹脂酸又はそ
の塩と接触させた後、陰イオン界面活性剤と接触させ、
酸性とする点に特徴を有する。即ち、樹脂酸又はその塩
のみ、陰イオン界面活性剤のみを接触して酸性とするの
では、初期分散性及び光沢が不十分な表面処理顔料しか
得られないので好ましくない。さらに、樹脂酸又はその
塩と陰イオン界面活性剤を組み合わせたとしても、有機
顔料表面に陰イオン界面活性剤を先に接触させてから、
次いで樹脂酸又はその塩と接触させて酸性とする場合
や、陰イオン界面活性剤と樹脂酸とを同時に有機顔料表
面に接触させて酸性としても初期分散性及び光沢が不十
分であり好ましくない。
【0043】さらに、本発明は界面活性剤として陰イオ
ン界面活性剤を用い、樹脂酸又はその塩を接触させた有
機顔料の水性スラリーに、これを添加後、酸性とし表面
処理を行い、該水性スラリーから表面処理顔料を分離す
る点に第二の特徴を有する。
【0044】第一工程で、有機顔料粒子表面に接触する
樹脂酸そのものや同水可溶性塩や同水不溶性塩、及び、
第二工程で有機顔料粒子表面に接触させる陰イオン界面
活性剤は、それらを含む水性スラリーの極性が酸性とな
ると、いずれも、酸析の原理で、顔料粒子表面に析出す
る。つまり、樹脂酸の上記各塩類は、酸性のもと、塩と
する前の樹脂酸に変換され顔料粒子表面に析出し、樹脂
酸そのものは、それより強い酸性のもとに、顔料粒子表
面に析出する。一方、陰イオン界面活性剤も、酸性のも
とに、界面活性能を失い、顔料粒子表面に析出すること
になる。
【0045】即ち、非イオン界面活性剤、陽イオン界面
活性剤、又は両性界面活性剤を、陰イオン界面活性剤に
代わりに添加しても、この酸析が機能しないか機能不充
分となるので、初期分散性及び光沢が不十分であり、好
ましくない。
【0046】本発明の製造方法で使用する陰イオン界面
活性剤としては、界面活性能が、親水性基としての陰イ
オンのみの効果で発現するもの、例えばスルホコハク酸
塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アルキ
ル硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、
アルキルリン酸塩等を挙げることができる。好ましく
は、スルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩
である。これら、有機酸塩という形態を取った陰イオン
界面活性剤は、酸性とすることで、有機酸そのものに変
換される。つまり、酸性とすることにより、有機顔料粒
子表面には、塩ではなく、上記したのに対応する有機酸
が析出することになり、それで表面処理がなされる。
【0047】本発明で使用するスルホコハク酸塩の市販
品としては、例えば、花王株式会社製の「ペレックスO
T−P」、「ペレックスTR」、「ペレックスCS」、
「ペレックスTA」、旭電化工業株式会社製の「アデカ
コールEC−3000」、「アデカコールEC−450
0」、「アデカコールEC−8600」、「アデカコー
ルEC−4300L」、日光ケミカルズ株式会社製の
「ニッコールOTP−100」、「ニッコールOTP−
75」、松本油脂製薬株式会社製の「マーポマーセC
T」、「マーポマーセPT」等が挙げられる。
【0048】アルキルベンゼンスルホン酸塩の市販品と
しては、例えば、花王株式会社製の「ネオペレックスN
o.25」、「ネオペレックスNo.6」、「ネオペレ
ックスF−25」、「ネオペレックスF−65」、「ネ
オペレックスNo.6Fパウダー」、旭電化工業株式会
社製の「アデカホープHAN−40」、「アデカホープ
SAN−40PD」、松本油脂製薬株式会社製の「ラバ
ジョン」、「ラバジョンC」、「ラバジョンT」等が挙
げられる。
【0049】上記陰イオン界面活性剤は、2種以上を併
用することもできる。上記陰イオン界面活性剤の使用量
は、樹脂酸又はその塩と陰イオン界面活性剤の両方に基
づく表面処理を行った、最終有機顔料100重量部に対
して、3〜15重量部となる様にするのが好ましく、な
かでも、5〜8重量部とするのが特に好ましい。
【0050】樹脂酸処理後の顔料の水性スラリーに上記
陰イオン界面活性剤を添加する時の顔料の水性スラリー
の温度は、通常60〜95℃で、70〜85℃の範囲に
あることが好ましい。この陰イオン界面活性剤の添加
後、温度を保持し、30分以上スラリーを撹拌を行うの
が好ましい
【0051】樹脂酸又はその塩及び陰イオン界面活性剤
とが両方とも含まれた上記水性スラリーは、酸性とする
ことにより、実質的な顔料の表面処理が行われる。
【0052】水性スラリーを酸性とするに当たっては、
この水性スラリー系内を有機酸や無機酸等で酸性とす
る。水性スラリーの酸性度を、好ましくはpH6.5〜
4.0とし、さらに温度を保持し、30分以上撹拌する
ことが好ましい。
【0053】この酸析に用いる無機酸や有機酸として
は、例えば塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、酢酸、プロ
ピオン酸等の有機酸等が挙げられる。
【0054】また、酸を添加する前に水酸化カルシウ
ム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム等を添加す
ることも可能である。
【0055】次いで、上記の酸性とされた顔料水性スラ
リーから、表面処理顔料のみを分離する。この場合に
は、例えばヌッチェ、フィルタープレス等の濾過機によ
って表面処理顔料を濾別することが出来る。次に、中
性、酸性、又はアルカリ性の湯、又は水で洗浄すること
が好ましい。
【0056】濾別、洗浄後の乾燥としては、例えば、乾
燥機に設置した加熱源による80〜120℃の加熱等に
より、顔料の脱水及び/又は脱溶剤をする回分式あるい
は連続式の乾燥等が挙げられ、乾燥機としては一般に箱
型乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライアー等があ
る。
【0057】また、乾燥後の粉砕としては、箱型乾燥
機、バンド乾燥機を用いた乾燥の場合のように顔料が塊
状等のとなった際に顔料を粉末化するために通常行うも
のであり、例えば、乳鉢、ハンマーミル、ディスクミ
ル、ピンミル、ジェットミル等による粉砕等が挙げられ
る。また、得られた粉末を篩い又は気流分級機等によ
り、粗粒を除くことが好ましい。
【0058】本発明の製造方法で得られる表面処理顔料
は、従来に比べて初期分散性が良好で、光沢が良好であ
るので、各種プラスチック、塗料、印刷インク、ゴム、
レザー、捺染、電子写真用トナー、カラーフィルター、
ジェットインキ、熱転写インキなどの着色に適するもの
である。尚、これら用途において、電子写真用トナー用
着色材として、本発明で得られた顔料を用いると、特に
優れた鮮明性が発揮される。
【0059】電子写真用トナーは、例えば本発明で得ら
れた表面処理顔料と結着剤樹脂とを一体化させることに
より得ることが出来る。勿論、この場合、本発明で得ら
れた表面処理顔料にその他の公知慣用の有機顔料を併用
して用いることもできる。より具体的には、例えば溶融
混練粉砕法などの乾式製法、重合法等の湿式製法で得る
ことが出来る。
【0060】乾式製法としては、例えば本発明の表面処
理顔料と結着剤樹脂とを必須成分として、必要に応じ
て、電荷制御剤やワックス等を含めて溶融混練して、粉
砕分級する方法が挙げられ、湿式製法としては、例えば
結着剤樹脂を形成しうる重合性モノマーを液媒体中、本
発明の表面処理顔料の存在下で、必要に応じて界面活性
剤や保護コロイド等を含めて重合した後、熟成してから
濾過乾燥する方法等が挙げられる。
【0061】結着剤樹脂としては、公知慣用のトナー用
熱可塑性合成樹脂、例えばポリスチレン、スチレン−
(メタ)アクリル酸エステル共重合体、フタル酸、ビス
フェノールA、ビスフェノールアルキレンオキシド付加
物等に由来する芳香族骨格を有するポリエステル樹脂、
エポキシ樹脂等が挙げられる。前記スチレン−(メタ)
アクリル酸エステル共重合体を構成する重合性モノマー
としては、例えば、スチレン、(メタ)アクリル酸エス
テル、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。必要に応じ
て、ジビニルベンゼン、N−メチロールアクリルアミド
等の架橋成分を少量併用して重合したのを用いることも
出来るし、アルミニウム化合物や亜鉛化合物でアイオノ
マーとして疑似架橋体としたのも使用できる。
【0062】結着剤樹脂と表面処理顔料とは、前者10
0重量部当たり、後者1〜50重量部となる様にするの
が好ましい。また、電子写真用トナーは、体積平均粒子
径3〜15ミクロンとなる様にするのが好ましい。
【0063】こうして得られる電子写真用トナーは、そ
のままで、非磁性一成分現像用現像剤として、或いはま
た、鉄粉等の未被覆キャリアやそれをシリコーン樹脂や
フッ素樹脂で被覆した樹脂被覆キャリアと併用して、二
成分型現像剤として用いることが出来る。
【0064】本発明の表面処理顔料は、光沢に優れるの
で、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーの
重ね合わせにより多色刷りが行われるカラートナーの用
途にあっては、結果的に鮮やかなが現像画像が得られ
る。しかも、結着剤樹脂への初期分散性が良好なため、
顔料と結着剤樹脂とのマスターバッチ等を予め調製して
からそれを更に結着剤樹脂で希釈するという、二段分散
手法を行う必要なく、一段階で充分に均一分散させるこ
とが出来る。
【0065】
【実施例】以下、実施例、参考例及び比較例を用いて、
本発明を更に詳細に説明する。以下の例において、
「部」及び「%」は、特に断りのない限り、夫々『重量
部』及び『重量%』を表わす。
【0066】(実施例1)80℃の湯300部に水酸化
ナトリウム2.5部を加え撹拌溶解させた後、ステベラ
イトロジン(水素化ロジン、ハーキュレス社製)6部を
加え撹拌溶解させた。次にキシレン6部を加え、ロジン
の水溶液を得た。
【0067】2,9−ジメチルキナクリドンを常法によ
る溶剤顔料化を行った後、溶剤を水置換して得たC.
I.Pigment Red 122の乾燥品換算で1
00部を水2000部に分散した80℃の水性スラリー
に、上記したロジン水溶液314.5部を加え、80℃
で30分撹拌混合した。
【0068】次に、ペレックスOT−P(ジオクチルス
ルホコハク酸ナトリウム70%含有、花王株式会社製)
8.5部を加え、80℃で30分撹拌混合した。
【0069】次に、50%硫酸5.9部を加え、pHを
6.0とし、80℃で30分撹拌混合後濾過した。濾取
した残渣を60℃の湯で洗浄し、乾燥させ、乳鉢を用い
て粉砕してC.I.Pigment Red 122の
表面処理顔料110部を得た。
【0070】(比較例1)実施例1のペレックスOT−
Pを添加しないで実験を行った。その結果C.I.Pi
gment Red 122の表面処理顔料105部を
得た。
【0071】(実施例2)ライムロジンNo.1(ロジ
ンのCa塩、荒川化学製)6部にキシレン6部を加えラ
イムロジンのキシレン溶液を得た。この溶液と、エマル
ゲン109P(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、
花王株式会社製)0.5部を水60部に加え、ホモジナ
イザーを用いて水性エマルジョンを得た。
【0072】銅フタロシアニンを常法によるニーダーで
の顔料化を行った後、ニーディング助剤を分離して得た
C.I.Pigment Blue 15:3の乾燥品
換算で100部を水2000部に分散した85℃の水性
スラリーに、上記した水性エマルジョン72.5部を加
え、85℃で30分撹拌混合した。
【0073】次に、ネオペレックスNo.6(ドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム、花王株式会社製)5.
0部を加え、85℃で30分撹拌混合した。
【0074】次に、50%硫酸1.0部を加えpHを
5.0とし、85℃で30分撹拌混合後濾過した。濾取
した残渣を60℃の湯で洗浄し、乾燥させ、乳鉢を用い
て粉砕してC.I.Pigment Blue 15:
3の表面処理顔料109部を得た。
【0075】(比較例2)実施例2の表面処理順を、ラ
イムロジンNo.1処理後にネオペレックスNo.6を
処理する方法から、ネオペレックスNo.6処理後にラ
イムロジンNo.1処理する方法に変えて実験を行っ
た。その結果C.I.Pigment Blue 1
5:3の表面処理顔料110部を得た。
【0076】(実施例3)実施例2の銅フタロシアニン
をインダントロンブルーに変えて実験を行った。その結
果C.I.Pigment Blue 60の表面処理
顔料109部を得た。
【0077】(比較例3)ライムロジンNo.1(ロジ
ンのCa塩、荒川化学製)6部にキシレン6部を加えラ
イムロジンのキシレン溶液を得た。この溶液と、5.0
部のネオペレックスNo.6部を水60部に加え、ホモ
ジナイザーを用いて水性エマルジョンを得た。
【0078】C.I.Pigment Blue 60
の乾燥品換算で100部を水2000部に分散した85
℃の水性スラリーに、上記した水性エマルジョン77.
0部を加え、85℃で30分撹拌混合した。
【0079】次に、50%硫酸1.0部を加えpHを
5.0とし、85℃で30分撹拌混合後濾過した。濾取
した残渣を60℃の湯で洗浄し、乾燥させ、乳鉢を用い
て粉砕してC.I.Pigment Blue 60の
表面処理顔料109部を得た。
【0080】(実施例4)80℃の湯300部に水酸化
カリウム2.0部を加え撹拌溶解させた後、トール油ロ
ジン5部を加え撹拌溶解させ、ロジンの水溶液を得た。
【0081】ペリレンマルーンを常法による硫酸顔料化
を行った後、溶剤を水置換して得たC.I.Pigme
nt Red 179の乾燥品換算で100部を水20
00部に分散した70℃の水性スラリーに、上記したロ
ジン水溶液307.0部を加え、70℃で30分撹拌混
合した。
【0082】次に、アデカコールEC−4500(ジア
ルキルスルホコハク酸ナトリウム、旭電化工業株式会社
製)5.0部を加え、70℃で30分撹拌混合した。
【0083】次に、50%硫酸5.5部を加えpHを
5.2とし、70℃で30分撹拌混合後濾過した。濾取
した残渣を60℃の湯で洗浄し、乾燥させ、乳鉢を用い
て粉砕してC.I.Pigment Red 179の
表面処理顔料108部を得た。
【0084】(比較例4)実施例4のアデカコールEC
−4500を、同量のエマルゲン909(非イオン系界
面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル)、花王株式会社製)に変えて実験を行った。その結
果C.I.Pigment Red 179の表面処理
顔料108部を得た。
【0085】(実施例5)実施例4のペリレンマルーン
をキノフタロンイエローに変えて実験を行った。その結
果C.I.Pigment Yellow 138の表
面処理顔料108部を得た。
【0086】(実施例6)実施例4のペリレンマルーン
をジオキサジンカルバゾールバイオレットに変えて、更
にアデカコールEC−4500の量を5.0部から8.
0に変えて実験を行った。その結果C.I.Pigme
nt Violet 23の表面処理顔料110部を得
た。
【0087】(実施例7)実施例4のペリレンマルーン
をイソインドリノンイエローに変えて実験を行った。そ
の結果C.I.Pigment Yellow 110
の表面処理顔料108部を得た。
【0088】(実施例8)実施例4のペリレンマルーン
100部をイソインドリノン50部とベンツイミダゾロ
ン50部に変えて、さらに水酸化カリウムの量を2.0
部から3.3部に、トール油ロジンの量を5.0部から
8.0部に変えて実験を行った。その結果C.I.Pi
gment Yellow 139と同154の混合表
面処理顔料110部を得た。
【0089】(実施例9)実施例4のペリレンマルーン
をジケトピロロピロールに変えて実験を行った。その結
果C.I.Pigment Red 254の表面処理
顔料108部を得た。
【0090】《電子トナー用顔料の初期分散性及び光沢
の試験方法》 (試験片の調製)ハイマーSBM−100(電子トナー
用スチレン−アクリル酸共重合体、三洋化成工業株式会
社製)1部と混合溶剤(トルエン20%、酢酸エチル5
0%、メチルエチルケトン30%)1部を撹拌混合し、
樹脂溶液を得た。この樹脂溶液22.0gを容量100
mlのポリ瓶に入れ、次に、各実施例及び各比較例で得
たいずれかの顔料1.50gを入れ、次に上記混合溶剤
5.50g及びガラスビーズ(3mmφ)20.0gを入
れる。次にペイントコンディショナーを用いて1分間分
散後、巻線径0.15mmのバーコーターで紙に塗布
し、試験片を得た。
【0091】<初期分散性及び光沢の評価>このように
して得た試験片を分光光度計(米国データカラーインタ
ーナショナル社製の「SPECTRAFLASH SF
500」)を用いて測色し、塗膜の彩度を表すC*値を
求め、対応する実施例と比較例について、以下のように
それぞれの差を算出して、初期分散性を評価し結果を表
1にまとめて示した。
【0092】 初期分散性差=(実施例のC*値)−(比較例のC*値)
【0093】また、このようにして得た試験片を光沢計
(ビック−ガードナー社製の「ヘイズ−グロス リフレ
クトメーター」)を用いて、塗膜の光沢を表す60°光
沢値を求め、対応する実施例と比較例について、以下の
ようにそれぞれの差を算出して、光沢を評価し結果を表
1にまとめて示した。
【0094】光沢差=(実施例の60°光沢値)−(比
較例の60°光沢値)
【0095】
【表1】
【0096】表1に示した結果から、各実施例で得た表
面処理顔料は、電子トナー用に用いた場合、対応する比
較例の表面処理顔料に比べて初期分散性及び光沢が良好
であることが明らかである。尚、実施例5〜9の表面処
理顔料も、対応する従来技術で製造したものに比べて良
好な初期分散性及び光沢を有していることが確認され
た。
【0097】(試験例2)《塩化ビニル初期分散性試
験》 (試験片の調製)各実施例及び比較例で得た各々の顔料
0.2g、塩化ビニル白マスターバッチ(大日本インキ
化学工業株式会社製の「プラストロンバッチ ホワイト
Z−103R」、チタン白の含有率:50%)3.2
g及び塩化ビニルコンパウンド(三菱化学MKV株式会
社製「ビニカコンパウンドC982クリヤー」)100
gを、加熱二本ロールを用いて、150℃で3分間ミリ
ングし、顔料分0.08%、顔料とチタン白との割合が
重量比で1:24の塩化ビニル粗シートとした後、加熱
プレスで3分間プレスして白希釈塩化ビニルシートを作
製した。
【0098】<塩化ビニルの初期分散性の評価> 評価方法:上記白希釈塩化ビニルシートを分光光度計
(米国データカラーインターナショナル社製の「SPE
CTRAFLASH SF500」)を用いて測色し、
白希釈塩化ビニルシートの彩度を表すC*値を求め、対
応する実施例と比較例について、以下のようにそれぞれ
の差を算出して、結果を表2にまとめて示した。
【0099】初期分散性差△C*=(実施例のC*値)−
(比較例のC*値)
【0100】
【表2】
【0101】表2に示した結果から、各実施例で得た表
面処理顔料は、塩化ビニルシートの着色に適用した場
合、対応する比較例の顔料に比べて、初期分散性が良好
でありことが明らかである。尚、実施例5〜9の表面処
理顔料も、対応する従来技術で製造したものに比べて良
好な初期分散性を有していることが確認された。
【0102】
【発明の効果】本発明の表面処理顔料の製造方法は、樹
脂酸と、陰イオン界面活性剤の塩部分のプロトン置換体
(アルキルベンゼンスルホン酸又はスルホコハク酸等)
とを、この順に表面処理するので、合成樹脂に分散させ
る際に、優れた初期分散性を示すとともに、優れた光沢
を示すという格別顕著な効果を奏する。
【0103】具体的には、例えばキナクリドン、フタロ
シアニン、スレン、ペリレン、フタロン、ジオキサジ
ン、イソインドリノン、メチン・アゾメチン、ジケトピ
ロロピロールンから成る群から選ばれる顔料について、
従来より初期分散性と光沢が良好であるという長所を有
する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C09D 11/00 C09D 11/00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面処理顔料を製造する方法において、
    有機顔料の水性スラリー中に樹脂酸の水可溶性塩の水溶
    液又は樹脂酸もしくは樹脂酸の水不溶性塩の水性エマル
    ジョンの1種類以上を添加し、有機顔料表面に前記樹脂
    酸、樹脂酸水可溶性塩又は樹脂酸水不溶性塩を充分に接
    触させ、その後、陰イオン界面活性剤の1種類以上を添
    加した後、水性スラリーを酸性とすることにより表面処
    理を行い、該水性スラリーから表面処理顔料を分離する
    ことを特徴とする表面処理顔料の製造方法。
  2. 【請求項2】 有機顔料が、キナクリドン系化合物顔
    料、フタロシアニン系化合物顔料、スレン系化合物顔
    料、ペリレン系化合物顔料、フタロン系化合物顔料、ジ
    オキサジン系化合物顔料、イソインドリノン系化合物顔
    料、メチン・アゾメチン系化合物顔料、ジケトピロロピ
    ロール系化合物顔料からなる群から選ばれる1種類以上
    の有機顔料である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 表面処理に使用される樹脂酸の使用割合
    が、最終有機顔料100重量部に対して、3〜15重量
    部の範囲にある請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 表面処理に使用される陰イオン界面活性
    剤の使用割合が、最終有機顔料100重量部に対して、
    3〜15重量部の範囲にある請求項1、2又は3記載の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 表面処理に使用される陰イオン界面活性
    剤が、スルホコハク酸塩又はアルキルベンゼンスルホン
    酸塩からなる群から選ばれる1種類以上の陰イオン界面
    活性剤である請求項1、2、3又は4記載の製造法。
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