JPH11269214A - 銅化合物を用いた重合体の製造方法 - Google Patents

銅化合物を用いた重合体の製造方法

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JPH11269214A
JPH11269214A JP7225098A JP7225098A JPH11269214A JP H11269214 A JPH11269214 A JP H11269214A JP 7225098 A JP7225098 A JP 7225098A JP 7225098 A JP7225098 A JP 7225098A JP H11269214 A JPH11269214 A JP H11269214A
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JP
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compound
copper
polymer
copper compound
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JP7225098A
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English (en)
Inventor
Koichi Shibayama
晃一 柴山
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成が容易であり、かつ安定な銅化合物を重
合触媒とする銅化合物を用いた重合体の製造方法を提供
する。 【解決手段】 ビニル系単量体を重合するに際して、触
媒及び/又は重合開始剤として、一般式CuXn 、LC
uXn 又はL(L')CuXn で表される銅化合物(式
中、L及びL’は配位子を示し、Xは、ハロゲン原子、
アルコキシ基、チオキシ基、アリロキシ基、アミノ基、
第2級アミノ基、第3級アミノ基、シアノ基、ニトロ
基、アルキル基又はアリル基を示す。nは0〜2の整数
である)、特定の有機金属化合物及び分子中にフェノー
ル基を有する化合物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は銅化合物を用いた重
合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビニル系単量体は、従来より様々の方法
で重合されている。工業的には、ビニル系単量体にラジ
カル発生剤を添加し、高温高圧下でラジカル重合する方
法が殆どである。また、最近では、分子量、分子量分布
を制御可能な重合方法として、例えば、アニオン重合、
配位重合、グループトランスファー重合等が実験室レベ
ルで提案されている。
【0003】しかしながら、これらの触媒系に用いられ
る化合物は遷移金属錯体であり、一般的に酸素や水分に
対して不安定で分解し易く、さらに多くの反応段階を経
て合成されている。しかも、その不安定性から合成も困
難なため低収率となり、結果として高価な触媒系となっ
ている。
【0004】一方、触媒系に用いられる遷移金属錯体の
金属については、前期遷移金属であるチタン、ジルコニ
ウム、ハフニウム等が一般的に用いられている。最近で
は、やや反応性は低下するものの、後期遷移金属である
ニッケル、パラジウムなども錯体の中心金属として使用
されている〔JACS 117,No23 6414
(1995)等〕。
【0005】また、銅を中心金属とする錯体は、安定性
に優れ合成も容易であるという利点はあるが、その安定
性のため活性が低く重合触媒としては検討されたことが
なかった。ところが、最近、発明者らは銅錯体を極性の
高いモノマーであるカルボジイミドの重合触媒として利
用でき、リビング重合体を得ることができることを発表
している〔Macromolecules 30,31
59(1997)〕。しかしながら、反応性を必要とす
る比較的低極性のモノマーについて、銅錯体が重合触媒
として適用された例はなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、合成
が容易であり、かつ安定な銅化合物を重合触媒とする銅
化合物を用いた重合体の製造方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、容易に合
成でき、安定な銅化合物を重合触媒成分として用いるこ
とにより、上記問題点を解消できるに至った。
【0008】本発明の請求項1記載の発明である銅化合
物を用いた重合体の製造方法は、ビニル系単量体を重合
するに際して、触媒及び/又は重合開始剤として、一般
式CuXn 、LCuXn 又はL(L')CuXn で表され
る銅化合物(式中、L及びL’は配位子を示し、Xは、
ハロゲン原子、アルコキシ基、チオキシ基、アリロキシ
基、アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、シア
ノ基、ニトロ基、アルキル基又はアリル基を示す。nは
0〜2の整数である)、有機金属化合物及び分子中にフ
ェノール基を有する化合物を用い、該有機金属化合物が
アルミノキサン、一般式AlRm 3-m (式中、Rは炭
素数1〜20の炭化水素基、Zは、水素原子、ハロゲン
原子、アルコキシ基、アリロキシ基又はシロキシ基を示
す。mは0〜3の整数である)で表される有機アルミニ
ウム化合物、硼素原子を有するルイス酸及び硼素原子を
有するイオン性化合物からなる群より選択される1種以
上であることを特徴とする。
【0009】本発明の請求項2記載の発明である銅化合
物を用いた重合体の製造方法は、ビニル系単量体がα−
置換オレフィンであることを特徴とする請求項1記載の
銅化合物を用いた重合体の製造方法である。
【0010】本発明の請求項3記載の発明である銅化合
物を用いた重合体の製造方法は、一般式CuXn 、LC
uXn 又はL(L')CuXn で表される銅化合物の配位
子のうち、少なくとも一つが、構造中に有するN原子の
不対電子により配位する配位子であることを特徴とする
請求項1又は2記載の銅化合物を用いた重合体の製造方
法である。
【0011】本発明の請求項4記載の発明である銅化合
物を用いた重合体の製造方法は、一般式CuXn 、LC
uXn 又はL(L')CuXn で表される銅化合物の配位
子のうち、少なくとも一つが、アミジナト基であること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅化
合物を用いた重合体の製造方法である。
【0012】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明で用いられるビニル系単量体としては、例えば、オ
レフィン;α−置換オレフィン等が挙げられる。これら
は単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよ
く、共重合されてもよい。共重合の場合、ランダム共重
合、ブロック共重合とも可能である。
【0013】上記オレフィンは、分子内に1個以上の炭
素−炭素二重結合を有するものであり、例えば、エチレ
ン;ブタジエン等のジエンが挙げられる。上記α−置換
オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテ
ン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−
オクテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0014】本発明の製造方法において、上記ビニル系
単量体から重合体を得るために、触媒として銅化合物、
有機金属化合物及び分子中にフェノール基を有する化合
物が併用される。
【0015】上記銅化合物は、一般式CuXn 、LCu
n 又はL(L')CuXn で表されるものである。式
中、L及びL’は配位子を示し、Xは、ハロゲン原子、
アルコキシ基、チオキシ基、アリロキシ基、アミノ基、
第2級アミノ基、第3級アミノ基、シアノ基、ニトロ
基、アルキル基又はアリル基を示し、好ましくは、塩
素、臭素などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ
基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基などのアルコキ
シ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などの第3
級アミノ基である。nは0〜2の整数である。
【0016】上記配位子L及びL’は特に限定されない
が、配位子の構造中に存在するN,S,O,P原子の不
対電子による配位や、シクロペンタジエニル基による配
位が例示できる。具体的には、アミン、2級アルキルア
ミン、3級アルキルアミンによる配位;アミジナト配位
などのN配位;アルコキシ、アリールオキシによる配位
などのO配位等を挙げることができる。
【0017】上記N配位化合物としては、例えば、ビピ
リジン、置換ビピリジン、ビスオキサゾリン、置換ビス
オキサゾリン、N,N’−ジメチルアミジナト、N,
N’−ジエチルアミジナト、N,N’−ジイソプロピル
アミジナト、N,N’−ジ−t−ブチルアミジナト、
N,N’−トリフルオロメチルアミジナト、N,N’−
ジフェニルアミジナト、N,N’−ジ置換フェニルアミ
ジナト、N,N’−ジトリメチルシリルアミジナト、
N,N’−ジメチルベンズアミジナト、N,N’−ジエ
チルベンズアミジナト、N,N’−ジイソプロピルベン
ズアミジナト、N,N’−ジ−t−ブチルベンズアミジ
ナト、N,N’−トリフルオロメチルベンズアミジナ
ト、N,N’−ジフェニルベンズアミジナト、N,N’
−ジトリメチルシリルベンズアミジナト、N,N’−ジ
置換フェニルベンズアミジナト配位化合物等である。
【0018】上記O配位化合物としては、例えば、8−
キノリノール2分子配位化合物が挙げられる。
【0019】上記銅化合物は、一分子中に2個以上の銅
原子を含む、一般式CuXn 、LCuXn 又はL(L')
CuXn の二量体、三量体又は複核錯体であってもよ
い。これらの錯体は、固体状態で二量体、三量体又は複
核錯体であっても、反応時の溶液中やモノマー中では単
量体として存在していることが多く、この単量体の状態
が、一般式CuXn 、LCuXn 又はL(L')CuXn
に相当するものであれば、本発明で用いることができ
る。
【0020】上記銅化合物は、安価なハロゲン化銅、例
えば、塩化銅から簡便に合成することができる。また、
上記N配位化合物、銅(II)アミジナト錯体の合成を例と
して挙げると、例えば、塩化銅(II)無水物に当量のアミ
ジン化合物を加え、乾燥有機溶媒中、常温で数時間撹拌
することにより合成することができる。
【0021】合成された銅化合物は、多くの場合、酸
素、水分に対して比較的安定であり、特に2価の銅錯
体、例えば、N,N’−ジメチルベンズアミジナト銅
(II)錯体は、対応するチタン錯体が、1%程度の酸素
濃度雰囲気で分解するのに対し、100%乾燥酸素下で
も安定に存在する。従って、取り扱いは、例えば、チタ
ン、ジルコニウム化合物等の遷移金属化合物に比して極
めて容易である。
【0022】上記銅化合物は、単独で用いられてもよ
く、2種以上が併用されてもよい。また、炭化水素又は
ハロゲン化炭化水素等で希釈して用いてもよい。
【0023】また、上記銅化合物は、粒子状担体に担持
させてもよい。粒子状担体としては、例えば、Si
2 、Al2 3 、MgO、CaO、TiO2 、Zn
O、MgCl2 などの無機担体;ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体などの
樹脂を用いることができる。
【0024】銅化合物と併用される有機金属化合物とし
ては、アルミノキサン、一般式AlRm 3-m (式中、
Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Zは、水素原子、ハ
ロゲン原子、アルコキシ基、アリロキシ基又はシロキシ
基を示す。mは0〜3の整数である)で表される有機ア
ルミニウム化合物、硼素原子を有するルイス酸及び硼素
原子を有するイオン性化合物からなる群より選択される
1種以上である。
【0025】上記有機金属化合物のうち、アルミノキサ
ンは、一般式R1(Al (R1)−O) p AlR1 2 、又は
下記一般式(1)で表される化合物である。式中、R1
は炭素数1〜3の炭化水素基を示し、pは2以上の整数
を示す。
【0026】
【化1】
【0027】上記アルミノキサンとしては、R1 がメチ
ル基であるメチルアルミノキサンであって、pが5以上
のものが好ましく、さらに好ましくはpが10以上のも
のである。アルミノキサンは、通常トルエン溶液として
市販されている。その製造方法については、トリアルキ
ルアルミニウムと水との直接的な反応や金属塩の水和物
との反応が知られている。
【0028】上記一般式AlRm 3-m で表される有機
アルミニウム化合物としては、種々のものが例示でき、
具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアル
ミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブ
チルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリ
アルキルアルミニウム;イソプレニルアルミニウムなど
のアルケニルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロ
ライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジイソプロ
ピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウ
ムクロライド、ジオクチルアルミニウムクロライド等の
ジアルキルアルミニウムモノクロライド;メチルアルミ
ニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキク
ロライド、イソプロピルアルミニウムセスキクロライ
ド、イソブチルアルミニウムセスキクロライド、オクチ
ルアルミニウムセスキクロライド等のアルキルアルミニ
ウムセスキクロライド;メチルアルミニウムジクロライ
ド、エチルアルミニウムジクロライド、イソプロピルア
ルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジク
ロライド、オクチルアルミニウムジクロライド等のアル
キルアルミニウムジクロライド;メトキシジエチルアル
ミニウム、ジイソプロポキシメチルアルミニウム、トリ
イソプロポキシアルミニウム等のアルコキシ基含有アル
ミニウム化合物などが挙げられる。
【0029】上記有機金属化合物のうち、硼素原子を有
するルイス酸としては、一般式BR 2 3 で表される化合
物が挙げられる。ここで、R2 は、フッ素原子、メチル
基、トリフルオロメチル基などの置換基を有してもよい
フェニル基;フッ素原子を示す。具体的には、トリフル
オロ硼素、トリフェニル硼素、トリス(4−フルオロフ
ェニル)硼素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)
硼素、トリス(4−フルオロメチルフェニル)硼素、ト
リス(ペンタフルオロフェニル)硼素、トリス(p−ト
リル)硼素、トリス(o−トリル)硼素、トリス(3,
5−ジメチルフェニル)硼素などが例示できる。この中
では、トリス(ペンタフルオロフェニル)硼素が好まし
い。
【0030】また、上記有機金属化合物のうち、硼素原
子を有するイオン性化合物としては、トリアルキル置換
アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、
ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウ
ム塩が例示される。具体的には、トリエチルアンモニウ
ムテトラ(フェニル)硼素、トリプロピルアンモニウム
テトラ(フェニル)硼素、トリ(n−ブチル)アンモニ
ウムテトラ(フェニル)硼素、トリメチルアンモニウム
テトラ(p−トリル)硼素、トリメチルアンモニウムテ
トラ(o−トリル)硼素、トリブチルアンモニウムテト
ラ(ペンタフルオロフェニル)硼素、トリプロピルアン
モニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)硼素、ト
リブチルアンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニ
ル)硼素、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフ
ルオロメチルフェニル)硼素、トリ(n−ブチル)アン
モニウムテトラ(o−トリル)硼素などのトリアルキル
置換アンモニウム塩;N,N−ジメチルアニリニウムテ
トラ(フェニル)硼素、N,N−ジエチルアニリニウム
テトラ(フェニル)硼素、N,N−2,4,6−ペンタ
メチルアニリニウムテトラ(フェニル)硼素などのN,
N−ジアルキルアニリニウム塩;ジ(1−プロピル)ア
ンモニウムテトラペンタフルオロフェニル硼素、ジシク
ロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)硼素などの
ジアルキルアンモニウム塩;トリフェニルホスフォニウ
ムテトラ(フェニル)硼素、トリ(ジメチルフェニル)
ホスフォニウムテトラ(フェニル)硼素などのトリアリ
ールホスフォニウム塩等が挙げられる。さらに、トリフ
ェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)ボロネート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ
キス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニ
ウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート等も例
示できる。
【0031】また、以下のようなアニオンの塩も、硼素
原子を有するイオン性化合物として例示できる〔なお、
以下に列挙するイオン性化合物において、対イオンは、
一般例としてトリ(n−ブチル)アンモニウムを示して
いるがこれに限定されない〕。上記アニオンの塩として
は、例えば、ビス〔トリ( n−ブチル)アンモニウム〕
ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウ
ム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニ
ウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)ア
ンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチ
ル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔ト
リ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボ
レート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバデ
カボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カル
バウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム
1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモ
ニウム1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレー
ト、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カル
バドデカボレートなど、さらに、例えば、ボラン及びカ
ルボラン錯化合物;カルボランアニオンの塩;カルボラ
ン及びカルボランの塩などが例示できる。
【0032】さらに、以下のような金属カルボランの塩
及び金属ボランアニオンも、硼素原子を有するイオン性
化合物として例示できる〔なお、以下に列挙するイオン
性化合物において、対イオンは一般例としてトリ(n−
ブチル)アンモニウムを示しているがこれに限定されな
い〕。上記金属カルボランの塩及び金属ボランアニオン
としては、例えば、トリ(n−ブチル)アンモニウムビ
ス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレー
ト)コバルテート(III) 、トリ(n−ブチル)アンモニ
ウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウ
ンデカボレート)フェレート(鉄酸塩)(III) 、トリ
(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライ
ド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルテート
(III) 、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデ
カハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)
ニッケレート(III) 、トリ(n−ブチル)アンモニウム
ビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデ
カボレート)キュプレート(銅酸塩)(III) などが例示
できる。
【0033】銅化合物及び有機金属化合物と併用される
分子中にフェノール基を有する化合物としては、例え
ば、フェノール、クレゾールなどの置換フェノールが挙
げられる。具体的には、2,6−ジ−t−ブチルフェノ
ール、ブチルヒドロキシアニソール、2,4−ジメチル
−6−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−t−
ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレ
ゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノー
ル、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフ
ェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N−ジ
メチルアミノメチル)フェノール、n−オクタドデシル
−β−(4’−ヒドロキシ3’,5’−ジ−t−ブチル
フェニル)プロピオネート、2,4−ビス(n−オクチ
ルチオ)−6−(4−ヒドロキシ3’,5’−ジ−t−
ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、スチレン
化フェノール、スチレン化クレゾール、トコフェロール
2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチ
ル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニル
アクリレート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−
6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス
(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’
−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェ
ノール)、2,2’−エチリデン−ビス(2,4−ジ−
t−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス
(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’
−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノー
ル)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−
t−ブチルフェノール)、1,6ヘキサンジオール−ビ
ス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート〕、4,4’−チオビス(4−
メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−ト
リス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフ
ェニル)ブタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、テトラキス
〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ヒドロ
キノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、3,9
−ビス〔2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ
−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1
−ジメチルエチル〕−2,8,10−テトラオキサスピ
ロ〔5,5〕ウンデカン等が挙げられる。
【0034】また、本発明における触媒系には、必要に
応じて、安息香酸エチル等の電子供与性化合物が添加さ
れてもよい。これらの化合物を加えると、著しく重合活
性が向上することがある。
【0035】本発明の製造方法における重合のメカニズ
ムの詳細については明らかでないが、銅化合物が触媒及
び/又は重合開始剤として働き、銅化合物、有機金属化
合物、分子中にフェノール構造を有する化合物及びビニ
ル系単量体(以下、モノマーという)の相互作用によ
り、モノマーの配位、挿入反応が加速されるものと考え
られる。
【0036】上記銅化合物、有機金属化合物及び分子中
にフェノール構造を有する化合物の反応系への添加時期
については、モノマー導入前、導入と同時又は導入後の
いずれであってもよいが、導入前が最も好ましい。重合
方法、条件等には、特に制限はなく、連続重合であって
もよく、非連続重合であってもよい。
【0037】上記重合体を得るための重合は不活性気体
雰囲気下にて行なうことが好ましい。不活性気体として
は、窒素、ヘリウム、アルゴン等が用いられる。
【0038】重合に使用される溶媒としては、例えば、
塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエ
タンのようなハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエ
ン、キシレンのような炭化水素類;テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド等が使用される
が、無溶媒でも重合可能である。
【0039】重合温度は、用いた溶媒の融点から沸点ま
での温度範囲が好ましく、また加圧下においては、常圧
での沸点以上の幅広い温度範囲において重合可能であ
る。例えば、室温においても、分子量分布の狭い重合体
を与えることができる。具体的な重合温度は、通常、−
20℃〜200℃が好ましく、より好ましくは0℃〜1
20℃である。また、具体的な重合圧力は、通常、大気
圧〜100kg/cm2 が好ましく、より好ましくは大
気圧〜50kg/cm2 である。
【0040】銅化合物、有機金属化合物及び分子中にフ
ェノール構造を有する化合物の使用量について以下述べ
る。
【0041】銅化合物については、重合容積1リットル
当たり、銅原子に換算して、通常、約0.00005〜
0.5ミリモルが好ましく、より好ましくは約0.00
01〜0.05ミリモルである。
【0042】有機金属化合物の使用量は、銅化合物の銅
原子1モルに対して、アルミニウム化合物の場合、アル
ミニウム原子が通常、約1〜10,000モルが好まし
く、より好ましくは10〜5,000モルである。ま
た、硼素原子を有するルイス酸もしくはイオン性化合物
の場合には、上記銅化合物の銅原子1モルに対して、硼
素原子が通常、1〜500モルが好ましく、より好まし
くは1〜100モルである。
【0043】分子中にフェノール構造を有する化合物の
使用量は、銅化合物の銅原子1モルに対して、フェノー
ル構造が通常、約1〜100モルが好ましく、より好ま
しくは1.5〜50モルである。
【0044】得られる重合体の分子量は、重合温度など
の条件を変更することや、公知の手段、例えば水素の使
用により調節が可能である。
【0045】上記のような重合触媒を用いて、他の遷移
金属錯体系触媒を用いたときと同様に、組成分布に優れ
る重合体を得ることができる。具体的にゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC)によるポリマーの
解析において、本発明の製造方法によって得られた重合
体の分子量分布(Mw/Mn)を求めると、1.1〜
3.5と狭く、精密に制御された重合が行われているこ
とが確認できる。
【0046】
【発明の実施の形態】以下に実施例を掲げて本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定
されるものではない。
【0047】(実施例1) (1)銅化合物の合成 以下において、特に記述するもの以外は、乾燥蒸留した
試薬を用いた。N,N’−ジトリメチルシリルベンズアミジナト銅(I
I)化合物の合成 N,N,N’−トリス(トリメチルシリル)ベンズア
ミジンの合成 充分アルゴン置換した250mlシュレンクフラスコに
テトラヒドロフラン40mlを加え、−78℃に冷却し
た。このフラスコに、1,1,1,3,3,3−ヘキサ
メチルジシラザン10mlを加え、市販の1.6M n
−ブチルリチウム−ヘキサン溶液30.5mlを20分
かけて滴下した。30分攪拌後、ベンゾニトリル4.9
mlを10分かけて滴下した。次いで、系の温度を常温
に戻した後10時間攪拌し、減圧により溶媒を留去した
後、フラスコ内に残った固体にトルエン50mlを加
え、トリメチルシリルクロライド12.2mlを滴下し
た。さらに、フラスコに冷却管を取り付け、加熱還流を
10時間行った後濾過を行い、濾液から溶媒を減圧にて
留去し、目的物を得た。目的物は、減圧蒸留により精製
し、白色結晶のN,N,N’−トリス(トリメチルシリ
ル)ベンズアミジン11gを得た。
【0048】N,N’−ジトリメチルシリルベンズア
ミジナト銅(II)化合物の合成 充分アルゴン置換した50mlシュレンクフラスコに、
上記で調製したN,N,N’−トリス(トリメチルシ
リル)ベンズアミジン1.3gと無水塩化銅0.28g
を加え、無水アセトニトリル(和光純薬工業社製)15
mlを加え、均一溶液とした。15時間経過後濾過した
濾液から、溶媒を減圧蒸留にて留去し、目的物を得た。
目的物は、テトラヒドロフラン/n−ヘキサン混合溶媒
中で再結晶させ、緑色結晶の銅錯体〔下記(2)式で表
される化合物。(2)式中、TMSはトリメチルシリル
基を表す〕0.65gを得た。同定は、IRおよび元素
分析により行った。
【0049】
【化2】
【0050】(2)ポリエチレンの合成 300mlの耐圧ガラス容器をアルゴン置換した後、ト
ルエン100mlを加え、上記(1)で調製したN,
N’−ジトリメチルシリルベンズアミジナト銅(II)化
合物16mg、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾー
ル60mg及びメチルアルミノキサン(アルドリッチ社
製)10%トルエン溶液3mlを加えた。次いで、エチ
レンガスを容器内に導入し、系内を1.1kg/cm2
Gに保ちながら、0℃で4時間重合を行った後、反応溶
液にメタノール150mlを加えて反応を停止させ、沈
殿した重合物を回収して、ポリエチレン1.2gを得
た。
【0051】得られたポリエチレンについてゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)及び示差走査
熱量計(DSC)によりポリマーの解析を行った。GP
Cの溶媒には、o−ジクロロベンゼンを用いた。重量平
均分子量は610,000、数平均分子量は315,0
00で、分子量分布を示す、重量平均分子量と数平均分
子量の比、Mw/Mnは1.93であった。また、DS
Cによる融解曲線のピークである融解温度は139℃で
あり、60℃以下には融解ピークは観測できなかった。
【0052】(実施例2)メチルアルミノキサン10%
トルエン溶液3mlの代わりに、N,N−ジメチルルア
ニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ
ート16.4mg及びトリイソブチルアルミニウム(ア
ルドリッチ社製)1Mトルエン溶液1mlを使用した以
外は、実施例1と同じ条件にて、重合を行いポリエチレ
ン1.3gを得た。
【0053】得られたポリエチレンにつき、実施例1と
同様の評価を行ったところ、重量平均分子量は530,
000、数平均分子量は280,000で、分子量分布
を示す、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/M
nは1.89であった。また、DSCによる融解曲線の
ピークである融解温度は138℃であり、実施例1と同
様に60℃以下には融解ピークは観測できなかった。
【0054】(比較例1)2,6−ジ−t−ブチル−p
−クレゾールを使用しなかったこと以外は、実施例1と
同じ条件にて、重合を行いポリエチレン0.2gを得
た。この結果を実施例1と比較すると、同条件、同時間
の重合で2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを使
用した場合の1/6相当しか反応が進行していないこと
が分かる。
【0055】
【発明の効果】本発明の銅化合物を用いた重合体の製造
方法は、上述の構成であり、重合触媒として、安定性に
優れると共に取り扱いが容易であり、かつ安価な銅系触
媒を使用するので、分子量分布の狭い重合体を容易かつ
安価に提供する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニル系単量体を重合するに際して、触
    媒及び/又は重合開始剤として、一般式CuXn 、LC
    uXn 又はL(L')CuXn で表される銅化合物(式
    中、L及びL’は配位子を示し、Xは、ハロゲン原子、
    アルコキシ基、チオキシ基、アリロキシ基、アミノ基、
    第2級アミノ基、第3級アミノ基、シアノ基、ニトロ
    基、アルキル基又はアリル基を示す。nは0〜2の整数
    である)、有機金属化合物及び分子中にフェノール基を
    有する化合物を用い、該有機金属化合物がアルミノキサ
    ン、一般式AlRm 3-m (式中、Rは炭素数1〜20
    の炭化水素基、Zは、水素原子、ハロゲン原子、アルコ
    キシ基、アリロキシ基又はシロキシ基を示す。mは0〜
    3の整数である)で表される有機アルミニウム化合物、
    硼素原子を有するルイス酸及び硼素原子を有するイオン
    性化合物からなる群より選択される1種以上であること
    を特徴とする銅化合物を用いた重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 ビニル系単量体がα−置換オレフィンで
    あることを特徴とする請求項1記載の銅化合物を用いた
    重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 一般式CuXn 、LCuXn 又はL
    (L')CuXn で表される銅化合物の配位子のうち、少
    なくとも一つが、構造中に有するN原子の不対電子によ
    り配位する配位子であることを特徴とする請求項1又は
    2記載の銅化合物を用いた重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 一般式CuXn 、LCuXn 又はL
    (L')CuXn で表される銅化合物の配位子のうち、少
    なくとも一つが、アミジナト基であることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅化合物を用いた
    重合体の製造方法。
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