JPH11267536A - ローラミルの粉砕部再生方法 - Google Patents

ローラミルの粉砕部再生方法

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JPH11267536A
JPH11267536A JP7771698A JP7771698A JPH11267536A JP H11267536 A JPH11267536 A JP H11267536A JP 7771698 A JP7771698 A JP 7771698A JP 7771698 A JP7771698 A JP 7771698A JP H11267536 A JPH11267536 A JP H11267536A
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JP
Japan
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crushing
roller
race
milling
pulverizing
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Application number
JP7771698A
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English (en)
Inventor
Kazunori Sato
一教 佐藤
Nobuyasu Meguri
信康 廻
Hiroaki Kanemoto
浩明 金本
Eiji Murakami
英治 村上
Hideo Mitsui
秀雄 三井
Kotaro Sakoda
光太郎 佐古田
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Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ローラミルの粉砕部の補修施工に要する作業
時間を大幅に短縮し、メンテナンス上のコスト低減化と
作業上の安全を確保すること。 【解決手段】 油圧シリンダ22の油圧力によって粉砕
ローラ4に粉砕荷重を付与し、この粉砕ローラ4と回転
テーブル3の粉砕レース5との間で原料1を粉砕するロ
ーラミルにおいて、粉砕部が摩耗変形した場合、油圧シ
リンダ22に逆油圧を加えて粉砕ローラ4を持ち上げて
粉砕レース5から離間させ、この状態で粉砕レース5と
粉砕ローラ4の粉砕面に硬化肉盛りする。その際、粉砕
レース5については、回転テーブル3を低速回転させな
がら、ハウジング8に開口したドア23からトーチ24
を挿入して硬化肉盛り施工を行う。また、粉砕ローラ4
については、停止させた回転テーブル3上に低速回転駆
動装置26を仮設置し、この低速回転駆動装置26で粉
砕ローラ4を低速回転させながら、ハウジング8に開口
したメンテナンス用ドア23やトーチ挿入用28からト
ーチ24を挿入して硬化肉盛りを施工を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テーブル外周側の
粉砕レース上で、回転するテーブルとそれに連動して回
転する粉砕ローラとにより石炭等の原料を微粉砕するロ
ーラミルに係り、特に、摩耗変形した粉砕ローラと粉砕
レースの粉砕部を再生更新するための粉砕部再生方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】石炭焚ボイラでは、低公害燃焼(低NO
x,低灰中未燃分)や広域負荷運用が行われ、それに伴
い微粉炭機(ミル)にも高い粉砕性能や信頼性が要求さ
れている。石炭、セメント原料あるいは新素材原料など
の塊状物を細かく粉砕するミルのひとつのタイプとし
て、最近では、回転するテーブルと複数個のタイヤ型ロ
ーラで粉砕を行う竪型のローラミルが広く用いられてお
り、特に日本国内では、代表機種として地位を固めてい
る。
【0003】図17は一般的なローラミルの概略構成を
示す断面図であり、この種のローラミルは、円筒型をし
たハウジング8と、ハウジング8の下部に配置された略
円台状の回転テーブル3と、回転テーブル3の円周方向
へ等分する位置に配置された複数個の粉砕ローラ4とを
備えている。回転テーブル3は、モータで駆動されて減
速機(いずれも図示省略)を介して低速回転するように
なっており、その上面外周部に粉砕レース5が形成され
ている。各粉砕ローラ4は、油圧あるいはスプリング等
により粉砕レース5に向けて荷重を付加されている。
【0004】原料供給管(センターシュート)2から回
転テーブル3の中央へ供給された原料は、回転テーブル
3上において遠心力によりうず巻状の軌跡を描いて回転
テーブル3の外周へ移動し、回転テーブル3の粉砕レー
ス5と粉砕ローラ4との間にかみ込まれて粉砕される。
ハウジング8の下部にはダクトを通して燃焼用空気の一
部ともなる熱風(一次空気)6が導かれており、この熱
風(一次空気)6が回転テーブル3とハウジング8の間
にあるエアスロートのスロートベーン7の間を通して吹
き上る。粉砕後の粉粒体は、エアスロートから吹き上る
熱風(一次空気)6によって、ハウジング8内を上昇し
ながら乾燥される。ハウジング8の上方へ輸送された粉
粒体は粗いものから重力により落下し(一次分級)、回
転テーブル3の上へ落下した粉粒体は粉砕部で再粉砕さ
れる。また、一次分級部を貫通したやや細かな粉粒体
は、ハウジング8の上部に設けた固定式分級機(サイク
ロンセパレータ)あるいは回転式分級機(ロータリーセ
パレータ)9で再度分級される。分級機を貫通した所定
の粒径より小さな微粉は気流により搬送され、ボイラで
は微粉炭燃焼用バーナへと送られる。分級機を貫通しな
かった所定粒径より大きな粗粉は回転テーブル3の上へ
重力により落下し、ミル内へ供給されたばかりの原料と
ともに再度粉砕される。このようにしてミル内では粉砕
が繰り返され、製品微粉が作り出されていく。
【0005】このようなローラミルにおいて、ミルを低
負荷で運用する場合や、負荷減少あるいはミルの停止操
作の際に問題となるのはミルの振動である。この振動現
象は、炭層と粉砕ローラのすべりに起因する一種の摩擦
振動であり、振動のタイプとしては自動振動である。普
通の石炭では、低負荷運用時(ミル内において石炭ホー
ルドアップの少ない条件)にこの振動が激しくなること
が多いが、石炭種によってはかなりの高負荷時にも振動
が発生することがある。かかる自動振動は、粉砕部の摩
耗変形が進むほど発生し易くなり、また、粉砕部の摩耗
変形が進むと粉砕動力(あるいはモータ電流)が過大に
なるという問題も生じる。したがって、従来より、粉砕
部に摩耗変形が生じた場合には、摩耗変形した粉砕ロー
ラや粉砕レースに硬化肉盛り材を溶着することにより、
粉砕部を再生するという方法が採用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、ロー
ラミルにおいては、粉砕ローラや回転テーブルの粉砕レ
ースの粉砕面が摩耗変形すると、粉砕ローラが粉砕レー
ス上の粉層上ですべるため、粉砕ローラの転動位置が安
定せず、自動振動が発生し易くなるという問題や、粉砕
ローラが多重点押圧状態となるため、粉砕動力が上昇す
るという問題が生じる。この場合、分級機の回転数や粉
砕ローラへの押圧荷重を低下させれば、自動振動が起き
にくくなり粉砕動力も低下するが、製品である微粉炭の
粒度が粗くなってしまう。
【0007】そこで、粉砕部に摩耗変形が生じた場合に
は、摩耗変形した粉砕ローラや粉砕レースに硬化肉盛り
による補修施工を行うことになるが、ローラミルの中で
も三角形の枠体の下に3個の粉砕ローラを懸架支持する
タイプのローラミルでは、かかる補修施工を行うのに際
し、各粉砕ローラの全てを取り外してハウジングから取
り出した後に、各粉砕ローラと粉砕レースの摩耗変形部
に硬化肉盛り材を溶着する必要がある。
【0008】しかしながら、このような従来の粉砕部再
生方法では、各粉砕ローラを枠体から取り外してからハ
ウジングの外へ取り出し、肉盛り施工後に再度組み立て
るという一連の作業に多くの時間を費すという問題があ
り、また、この作業は重畳物の着脱を伴うことから、安
全上も万全にしなければならないという配慮が必要であ
り、作業性も悪いという問題があった。
【0009】本発明の目的は、ローラミルの粉砕部の補
修施工に要する作業時間を大幅に短縮し、メンテナンス
上のコスト低減と作業上の安全確保に寄与する技術を新
しく提案することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、摩耗変形した
粉砕部を再生する際に、油圧シリンダに粉砕時とは逆方
向に油圧を付与することにより、粉砕ローラを持ち上げ
て粉砕レースから離し、この状態で摩耗変形した粉砕部
に硬化肉盛り材による溶着施工を行うこととする。この
ような方法で粉砕部を再生すると、粉砕ローラをわざわ
ざハウジングの外へ取り出さなくても、粉砕ローラ及び
粉砕レースの摩耗変形部に硬化肉盛り材による溶着施工
を行うことができるため、粉砕部の補修施工に要する作
業時間が大幅に短縮され、メンテナンス上のコスト低減
化と作業上の安全確保を実現することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明によるローラミルの粉砕部
再生方法では、円筒状ハウジングの内部に配置された複
数の粉砕ローラと、外周側に粉砕レースを有するテーブ
ルと、前記粉砕ローラを前記粉砕レース上に向けて押圧
付勢する油圧シリンダとを備え、前記テーブルを回転す
ることにより前記粉砕レースと前記粉砕ローラとの間で
原料を粉砕するローラミルにおいて、前記油圧シリンダ
に粉砕時とは逆方向に油圧を付与することにより、前記
粉砕ローラを持ち上げて前記粉砕レースから離し、この
状態で前記粉砕レースに硬化肉盛り材による溶着施工を
行うようにした。
【0012】また、上記構成において、前記粉砕レース
の外側の部位を母材により成形した新品時よりも深くな
る如き粉砕面形状に硬化肉盛り材による溶着施工を行う
ようにした。
【0013】また、上記構成において、前記粉砕レース
の外側の曲率半径を内側の曲率半径よりも小さくなる形
状に硬化肉盛り材による溶着施工を行うようにした。
【0014】また、本発明によるローラミルの粉砕部再
生方法では、円筒状ハウジングの内部に配置された複数
の粉砕ローラと、外周側に粉砕レースを有するテーブル
と、前記粉砕ローラを前記粉砕レース上に向けて押圧付
勢する油圧シリンダとを備え、前記テーブルを回転する
ことにより前記粉砕レースと前記粉砕ローラとの間で原
料を粉砕するローラミルにおいて、前記油圧シリンダに
粉砕時とは逆方向に油圧を付与することにより、前記粉
砕ローラを持ち上げて前記粉砕レースから離し、この状
態で前記粉砕ローラを一定低速駆動機構により回転させ
ながら該粉砕ローラの粉砕面に硬化肉盛り材による溶着
施工を行うようにした。
【0015】また、上記構成において、前記ハウジング
の各粉砕ローラと対向する位置に、硬化肉盛り材溶着用
トーチを挿入するための開口部をそれぞれ設けた。
【0016】
【実施例】実施例について図面を参照して説明すると、
図1は粉砕ローラ支持構造の要部断面図、図2はこの粉
砕ローラ支持構造を上方から見た平面図であり、これら
の図に示す粉砕ローラ支持構造は前述した図17のロー
ラミルに備えられるものである。
【0017】図1に示すように、本発明の対象となるロ
ーラミルでは、空回転時において、粉砕ローラ4と回転
テーブル3に固着された粉砕リング10の粉砕レース5
とが直接当たる(メンタルコンタクト)状態になる。粉
砕ローラ4はその背後に延びるシャフトがローラブラケ
ット15に回転自在に支持されており、ローラブラケッ
ト15にはピボット16を介して上部の加圧フレーム1
7から粉砕荷重が伝わる。図2に示すように、この加圧
フレーム17は三角形であり、その三角形の各辺に相当
する個所に3個の粉砕ローラ4が支持されている。ま
た、加圧フレーム17の三角形の各角に相当する部分か
ら外側にアーム19が延設しており、アーム19の先端
にジョイント20を介してロッド21が懸架されてい
る。このロッド21は油圧シリンダ22と直接つながっ
ており、ロッド21を油圧シリンダ22の油圧力によっ
て下方へ引っ張ることにより、最終的には粉砕荷重が粉
砕ローラ4に付与される。
【0018】前記ピボット16は粉砕ローラ4が振り子
運動をするときの支軸になるが、あまりに過度な振り子
動作は粉砕ローラ4の転動状態を不安定にするため、皿
バネを重ね合わせて高剛性の弾性作用を作り出すリンク
サポート18を加圧フレーム17とローラブラケット1
5との間に介設している。このリンクサポート18は粉
砕ローラ4の中心軸を挟んで左右対称に設けられてお
り、粉砕ローラ4とローラブラケット15を係止する役
割を果たす。
【0019】図3は実施例に係る方法で粉砕部を再生す
るための予備工程を示す説明図である。すなわち、粉砕
レース5や粉砕ローラ4の粉砕面を硬化肉盛り施工する
ために、その予備工程として粉砕ローラ4を粉砕レース
5から上方へ持ち上げて離間させるわけであるが、この
場合、まず油圧シリンダ22に逆油圧23を加え、ロッ
ド21を上方へ持ち上げる。このロッド21はジョイン
ト20を介してアーム19と加圧フレーム17に接合し
ているので、ロッド21を上方へ持ち上げようとする力
が加圧フレーム17に伝わる。フレーム17と粉砕ロー
ラ4は、リンクサポート18及びローラブラケット15
の両側面部と加圧フレーム17とを係止する「ステラッ
プ」と呼ばれる部材(この図では省略)によって連接し
ているため、粉砕ローラ4も3個同時に所定の傾斜角度
(キャンバー角度、この実施例では約15°)を保持し
たまま、粉砕レース5よりも上方へリフトアップする。
この場合、粉砕ローラ4を持ち上げストローク、すなわ
ち粉砕ローラ4と粉砕レース5の鉛直方向距離は100
〜200mm程度(この実施例では約150mm)とす
る。この程度まで粉砕ローラ4と粉砕レース5を離せ
ば、赤熱する溶接ビードからの輻射熱や溶融溶接棒から
発生する溶融物の飛散・粉砕ローラ4への付着といった
問題がほとんどなくなるからである。
【0020】このようにして粉砕ローラ4を粉砕レース
5から持ち上げた後、この状態で摩耗変形した粉砕レー
ス5と粉砕ローラ4の粉砕面に対し硬化肉盛りによる肉
盛り補修改善を行う。まず、粉砕レース5上に硬化肉盛
りする作業を説明すると、図4は粉砕レース5上に硬化
肉盛りをする状況を模式的に示す説明図、図5は図4を
上方から見た説明図である。ただし、図5では前述した
ローラブラケット15や加圧フレーム17等を省略して
ある。これらの図に示すように、粉砕ローラ4を持ち上
げた状態でハウジング8に開口したドア23からトーチ
24を挿入し、このトーチ24をトーチ位置決め固定用
治具25の調整によって少しずつ位置を正確にずらしな
がら、摩耗変形した粉砕レース5上に硬化肉盛り施工を
行う。このとき、硬化肉盛りの施工速度に合わせるため
に、回転テーブル3は圧縮空気を駆動源にして低速で回
転させる。なお、ドア23は粉砕ローラ4を取り出すこ
とも可能なメンテナンス用ドアであり、このメンテナン
ス用ドア23を部分的に開放し、その隙間からトーチ2
4を挿入する。
【0021】硬化肉盛りを行った粉砕部のローラミル
は、母材である鋳物により粉砕面を形成したときに比べ
て自励振動が幾分起こり易くなる。これは、これまでの
経験から知り得たものであって、硬化肉盛り粉砕面の形
状が母材で形成した場合と多少なりとも違っているため
と考えられる。粉砕レース5の外側を鋳物で成形した初
めの状態より深くなる形状にしておけば、粉砕ローラ4
がこの深いレース内に「はまり込む」状態となり、粉砕
ローラ5は外側へ滑らず安定な軌道上を転動することに
なる。図6に示す実施例は、粉砕レース5の外側が少し
深くなるように、すなわち、粉砕レース5の外側の曲率
半径rが内側の曲率半径Rよりも小さくなるように、硬
化肉盛りで仕上げをしようとするものである。このよう
に、粉砕レース5の内側粉砕面5aと外側粉砕面5bの
曲率を異ならせておけば、自励振動は発生しにくくな
り、ローラミルの安定運用が可能になる。
【0022】次に、粉砕ローラ4の粉砕面に硬化肉盛り
する作業について説明する。図7は粉砕ローラ4に硬化
肉盛りをする状況を模式的に示す説明図、図8は図7を
上方から見た説明図である。これらの図に示すように、
粉砕ローラ4を持ち上げた状態で停止させた回転テーブ
ル3の上部に台27と低速回転駆動装置26を仮設置
し、粉砕ローラ4のホイール部(摩耗変形した粉砕面も
含む回転部)と粉砕ローラ4のシャフトを圧縮空気を駆
動源とする低速回転駆動装置26でゆっくり回転させな
がら、摩耗変形した粉砕ローラ4の表面に硬化肉盛りを
施工を行う。この場合も、ハウジング8のドアを開放し
てトーチ24を挿入し、トーチ位置決め固定用治具25
により正確にトーチ24の位置の移動と位置決め固定を
行いながら硬化肉盛り施工を行う。ただし、粉砕ローラ
4の位置は固定しているため、各粉砕ローラ4の在る位
置へトーチ挿入用の開口部が必要になる。
【0023】図9に示すように、1つの粉砕ローラ4の
場所には粉砕ローラ4を取り出すことが可能な大きなメ
ンテナンス用ドア23を開口し、残り2つの粉砕ローラ
4の場所には小さなトーチ挿入ドア28を開口する。メ
ンテナンス用ドア23に対向する粉砕ローラ4について
は、このメンテナンス用ドア23を少し開けるだけでト
ーチ24の挿入とトーチ位置決め固定用治具25の設置
が可能であり、トーチ挿入ドア28に対向する他の粉砕
ローラ24については、小さなトーチ挿入ドア28を開
口すればよい。このように、各粉砕ローラ4毎にトーチ
24を挿入できるため、全ての粉砕ローラ4を一度に硬
化肉盛り施工することも可能となる。
【0024】図10に示すように、このトーチ挿入ドア
28は、粉砕ローラ4や回転テーブル3の回転方向から
見て微粉生成側に開放するようにする。これは、溶着し
た直後の肉盛りビードを上方へ移動させるためである。
逆に、粉砕ローラ4のかみ込み部において溶着を行う
と、万が一、油圧系のトラブル等によって粉砕ローラ4
が粉砕ローラ5上に降下して接触した場合、溶着ビード
によって粉砕ローラ4と粉砕レース5が固着したり、柔
らかい状態にある溶着ビード部が潰れるように塑性変形
してしまうからである。ただし、前記低速回転駆動装置
26を調整することで粉砕ローラ4の回転方向を逆にす
れば、トーチ挿入ドア28の位置には特にこだわる必要
はない。
【0025】このように、粉砕レース5と粉砕ローラ4
の粉砕面に対する硬化肉盛り終了後に、作業者がハウジ
ング8内に入り、粉砕面形状の最終的な仕上げをグライ
ンダにより行うことにより、粉砕面の形状を完成させ
る。そして、粉砕部の再生作業が終了したならば、粉砕
ローラ4を持ち上げている油圧シリンダ22の油圧をゆ
っくり抜き、粉砕ローラ4を粉砕レース5上にゆっくり
降ろす。各粉砕ローラ4は、硬化肉盛り施工前と同様に
キャンバー角15°で傾いているため、粉砕ローラ4を
粉砕レース5上にそのまま降ろすのみで良い。上記した
一連の施工行程の中で人手を要するミル内における作業
は、粉砕ローラ4の駆動機構と粉砕面のグラインダ仕上
げのみである。なお、グラインダによる仕上げ加工は、
粉砕ローラをハウジングの外部へ搬出して行う従来法に
おいても実施するものである。
【0026】図11は粉砕レースに硬化肉盛りを実施す
る施工時間を従来例と上記実施例とで比較したものであ
り、縦軸における粉砕レースの施工時間でTracは、従
来法における粉砕レースのTrac*で割ることにより無次
元化した。従来例で要する時間を「1」とすると、上記
実施例は「1.03」であるから、3%とわずかに長く
なっている。これは、従来例では、粉砕ローラを粉砕レ
ースから取り外した条件での施工であるから、施工上の
障害になるものはなくほぼ理想的な環境であるのに対
し、本実施例では、3個の粉砕ローラ4が粉砕レース5
から浮かしているとはいえ、粉砕レース5の上方に持ち
上げられた状態での施工だからである。したがって、わ
ずか3%の時間増大のみで施工を終了することができた
ことは大きな成果であるといえる。なお、従来法と本実
施例において、両施工によって溶着した硬化肉盛り部の
品質には全く差はない。
【0027】図12は粉砕ローラに硬化肉盛りを実施す
る施工時間を従来例と上記実施例とで比較したものであ
り、縦軸における粉砕ローラの施工時間Trolは、従来
法における粉砕ローラの施工時間Trol*で割ることによ
り無次元化した。従来法で要する時間が「1」であるの
に対し、本実施例では「0.61」となっている。これ
は、従来法では、粉砕ローラの着脱に多くの時間を要す
るのに対し、本実施例では、リフトアップした粉砕ロー
ラ4に低速回転駆動装置26を設けてハウジング8内で
施工を行い、硬化肉盛り施工終了後に粉砕ローラ4を粉
砕レース5上に降ろすだけで済むからであり、このよう
な作業の簡略化が施工時間の短縮に役立っている。
【0028】上記実施例において、硬化肉盛り材による
溶着施工を行う場合、凹形に窪んだ摩耗変形部を埋める
ようにする方法が最も簡単であるが、肉盛り層が薄い部
位では母材が露出し、ここが選択的に摩耗変形するおそ
れがある。
【0029】図13に示す実施例では、粉砕ローラ4及
び粉砕レース5における摩耗粉砕面をほぼ一様の厚さで
削り出し(それぞれ肉削部11及び13)、そこに均一
の厚みになるように硬化肉盛り部12及び14を溶着施
工する。このような溶着施工によれば、硬化肉盛りが薄
くて母材が露出し易い個所もなくなるため、偏摩耗を防
ぐことができ、施工も短時間のうちに効率良く行える。
【0030】次に、ハウジングからアームシャフトによ
って粉砕ローラを片持ちばり式に支持するタイプのロー
ラミルに、本発明による粉砕部再生方法を適用した実施
例について説明する。
【0031】図14に示すローラミルは、アームシャフ
ト30のレバー31を油圧シリンダ33のロッド34で
押圧することにより粉砕ローラ29に粉砕荷重を伝える
タイプのローラミルであり、アームシャフト30はジャ
ーナル36によってハウジング32に支持されている。
また、粉砕ローラ29と回転テーブルの粉砕レース64
の直接接触を防ぐために、アームシャフト30にストッ
パブロック51が設けてあり、この個所に油圧ジャッキ
35を取り付けている。粉砕部を再生するに際しては、
まず、油圧ジャッキ35に粉砕荷重とは逆方向の力を加
え(矢印b方向)、粉砕ローラ29を持ち上げる(矢印
c方向)。このとき、油圧シリンダ33の油圧ロッド3
4は後退させて引っ込めおく(矢印a方向)。そして、
3個の粉砕ローラ29が全てリフトアップしたならば、
ハウジング32の開口部37からトーチ38を挿入し、
粉砕レース64に硬化肉盛り39を実施する。
【0032】図15に示すローラミルは、アームシャフ
ト41のレバー43を引き上げるようにして粉砕ローラ
40に粉砕荷重を加えるタイプのローラミルであり、ア
ームシャフト41はジャーナル42によってハウジング
47に支持されている。レバー43とロッド44は機械
的に連接しており、このロッド44と油圧シリンダ46
のロッドはジョイント45によって機械的に連接してい
る。粉砕部を再生するに際しては、まず、油圧シリンダ
46に逆油圧を加え(矢印d方向)、粉砕ローラ40を
粉砕レース65から持ち上げる(矢印f方向)。そし
て、3個の粉砕ローラ40が全て持ち上ったならば、ハ
ウジング47の開口部48からトーチ49を挿入し、粉
砕レース65に硬化肉盛り50を実施する。
【0033】図16図に示すローラミルは、油圧シリン
ダ55のロッド54を下方へ懸引して粉砕ローラ51に
下方への押圧力を加えるタイプのローラミルであり、ロ
ッド54はジョイント53によりアームシャフト52と
連接し、アームシャフト52はジャーナル57によって
ハウジング58に支持されている。この場合も、粉砕部
を再生するに際しては、油圧シリンダ55に逆油圧を加
え(矢印g方向)、粉砕ローラ51を粉砕レース63か
ら持ち上げる(矢印h方向)。このローラミルでは、図
14に示す実施例と同様に、粉砕ローラ51と粉砕レー
ス63が直接接触しないように、ハウジング58にスト
ッパブロック59が設けられているため、このストッパ
ブロック59に図示せぬ油圧ジャッキを取り付けて粉砕
ローラ51を持ち上げることも可能である。ただし、こ
のローラミルでは、油圧シリンダ55とアームシャフト
52が連接しているので、油圧ジャッキを用いる場合に
は、ジョイント53においてロッド54をアームシャフ
ト52から切り離す必要がある。そして、3個の粉砕ロ
ーラ51が全て持ち上ったならば(矢印h方向)、ハウ
ジング58の開口部60からトーチ61を挿入し、粉砕
レース63に硬化肉盛り62を実施する。
【0034】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実
施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0035】油圧シリンダに粉砕時とは逆方向に油圧を
加えることで粉砕ローラを持ち上げ、この状態で摩耗変
形した粉砕部に硬化肉盛り材による溶着施工を行うよう
にすると、粉砕ローラをわざわざハウジングの外へ取り
出さなくても、粉砕ローラ及び粉砕レースの摩耗変形部
に硬化肉盛り材による溶着施工を行うことができるた
め、粉砕部の補修施工に要する作業時間が大幅に短縮さ
れ、メンテナンス上のコスト低減化と作業上の安全確保
を実現することができる。また、このように長期の間隔
を置かず時間的に小刻みに粉砕ローラと粉砕レースの補
修が可能となるため、常時、粉砕部をほぼ新品に近い状
態に保ちつつミルを運用することができ、したがって、
粉砕動力の上昇や振動の発生等の粉砕部の摩耗変形に伴
って発生する不具合が大幅に低減され、ミルを安定に運
用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例が適用されるローラミルに備え
られる粉砕ローラ支持構造の要部断面図である。
【図2】図1の粉砕ローラ支持構造を上方から見た平面
図である。
【図3】粉砕部を再生するための予備工程を示す説明図
である。
【図4】粉砕レース上に硬化肉盛りをする状況を模式的
に示す説明図である。
【図5】図4を上方から見た説明図である
【図6】粉砕レースの加工例を示す説明図である。
【図7】粉砕ローラに硬化肉盛りをする状況を模式的に
示す説明図である
【図8】図7を上方から見た説明図である。
【図9】各粉砕ローラに対する開口の位置関係を示す説
明図である。
【図10】トーチ挿入ドアと粉砕ローラの位置関係を示
す説明図である。
【図11】粉砕レースに硬化肉盛りを実施する施工時間
を比較した説明図である。
【図12】粉砕ローラに硬化肉盛りを実施する施工時間
を比較した説明図である。
【図13】粉砕部の加工例を示す説明図である。
【図14】本発明の実施例が適用される他のローラミル
に備えられる粉砕ローラ支持構造の要部断面図である。
【図15】本発明の実施例が適用される他のローラミル
に備えられる粉砕ローラ支持構造の要部断面図である。
【図16】本発明の実施例が適用される他のローラミル
に備えられる粉砕ローラ支持構造の要部断面図である。
【図17】本発明が対象とするローラミルの概略構成を
示す断面図である。
【符号の説明】
1 原料 3 回転テーブル 4,29,40,51 粉砕ローラ 5,63,64,65 粉砕レース 8,32,47,58 ハウジング 15 ローラブラケット 16 ピボット 17加圧フレーム 18 リンクサポート 19 アーム 20 ジョイント 21 ロッド 22,33,46,55 油圧シリンダ 23 メンテナンス用ドア 24,38,49,61 トーチ 26 低速回転駆動装置 28 トーチ挿入ドア 37,48,60 開口部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 英治 広島県呉市宝町3番36号 バブコツク日立 株式会社呉研究所内 (72)発明者 三井 秀雄 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日立 株式会社呉工場内 (72)発明者 佐古田 光太郎 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日立 株式会社呉工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状ハウジングの内部に配置された複
    数の粉砕ローラと、外周側に粉砕レースを有するテーブ
    ルと、前記粉砕ローラを前記粉砕レース上に向けて押圧
    付勢する油圧シリンダとを備え、前記テーブルを回転す
    ることにより前記粉砕レースと前記粉砕ローラとの間で
    原料を粉砕するローラミルにおいて、 前記油圧シリンダに粉砕時とは逆方向に油圧を付与する
    ことにより、前記粉砕ローラを持ち上げて前記粉砕レー
    スから離し、この状態で前記粉砕レースに硬化肉盛り材
    による溶着施工を行うことを特徴とするローラミルの粉
    砕部再生方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の記載において、前記粉砕レー
    スの外側の部位を母材により成形した新品時よりも深く
    なる如き粉砕面形状に硬化肉盛り材による溶着施工を行
    うことをことを特徴とするローラミルの粉砕部再生方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1の記載において、前記粉砕レー
    スの外側の曲率半径を内側の曲率半径よりも小さくなる
    形状に硬化肉盛り材による溶着施工を行うことをことを
    特徴とするローラミルの粉砕部再生方法。
  4. 【請求項4】 円筒状ハウジングの内部に配置された複
    数の粉砕ローラと、外周側に粉砕レースを有するテーブ
    ルと、前記粉砕ローラを前記粉砕レース上に向けて押圧
    付勢する油圧シリンダとを備え、前記テーブルを回転す
    ることにより前記粉砕レースと前記粉砕ローラとの間で
    原料を粉砕するローラミルにおいて、 前記油圧シリンダに粉砕時とは逆方向に油圧を付与する
    ことにより、前記粉砕ローラを持ち上げて前記粉砕レー
    スから離し、この状態で前記粉砕ローラを一定低速駆動
    機構により回転させながら該粉砕ローラの粉砕面に硬化
    肉盛り材による溶着施工を行うことを特徴とするローラ
    ミルの粉砕部再生方法。
  5. 【請求項5】 請求項4の記載において、前記ハウジン
    グの各粉砕ローラと対向する位置に、硬化肉盛り材溶着
    用トーチを挿入するための開口部をそれぞれ設けたこと
    を特徴とするローラミルの粉砕部再生方法。
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