JPH11266083A - 多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents

多層プリント配線板の製造方法

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JPH11266083A
JPH11266083A JP6694198A JP6694198A JPH11266083A JP H11266083 A JPH11266083 A JP H11266083A JP 6694198 A JP6694198 A JP 6694198A JP 6694198 A JP6694198 A JP 6694198A JP H11266083 A JPH11266083 A JP H11266083A
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JP
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cyanate ester
resin
weight
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ester compound
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JP6694198A
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English (en)
Inventor
Takeshi Sugimura
猛 杉村
Harumi Negishi
春巳 根岸
Yasuyuki Mizuno
康之 水野
Daisuke Fujimoto
大輔 藤本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シアネートエステル樹脂組成物により作製し
た多層プリント配線板の吸湿後のはんだ耐熱性を向上さ
せる。 【解決手段】 シアネートエステル類化合物、ポリフェ
ニレンエーテル樹脂、1価フェノール類化合物、シアネ
ートエステル類化合物と反応性を有しない難燃剤及び金
属系反応触媒を必須成分とする熱硬化性樹脂組成物を補
強基材に含浸乾燥させたプリプレグを加熱加圧すること
により作製される金属箔張積層板を使用した回路基板と
前記プリプレグとを加熱加圧接着する前に、前記回路基
板を酸処理する多層プリント配線板の製造方法。酸処理
の酸が硫酸であり、その濃度が0.1〜5規定であると
好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】本発明は、シアネートエステル樹脂、ポリ
フェニレンエーテル樹脂、1価フェノール類化合物、シ
アネートエステル類化合物と反応性を有しない難燃剤及
び金属系反応触媒を必須成分とする熱硬化性樹脂組成物
を使用する多層プリント配線板の製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂およびこ
れらの変性樹脂を使用したプリント配線板用材料は、多
層化接着前に回路パターンの銅箔を酸化、還元処理等の
内層回路処理を施し、回路パターンとプリプレグとの接
着強度を確保している。この際、前処理として油脂分除
去の為のアルカリ脱脂処理、濡れ性向上の為の界面活性
剤処理、銅表面の防錆剤除去の為の過硫酸アンモニウム
水溶液洗浄が実施されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、シアネートエ
ステル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、1価フェノ
ール類化合物、シアネートエステル類化合物と反応性を
有しない難燃剤及び金属系反応触媒を必須成分とする熱
硬化性樹脂組成物を使用した積層板と前記熱硬化性樹脂
組成物を使用したプリプレグを、従来の前処理を用い
て、多層プリント配線板を製造すると吸湿後のはんだ耐
熱性が極端に劣化してしまう。本発明は、この事情に鑑
みなされたものであり、従来のシアネートエステル樹脂
組成物のもつ多層プリント配線板の吸湿後のはんだ耐熱
性を向上させることを課題とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の多層プ
リント配線板の吸湿後のはんだ耐熱性を向上させるた
め、シアネートエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル
樹脂、1価フェノール類化合物、シアネートエステル類
化合物と反応性を有しない難燃剤及び金属系反応触媒を
必須成分とする熱硬化性樹脂組成物を補強基材に含浸乾
燥させたプリプレグを加熱加圧することにより作製され
る金属箔張積層板を使用した回路基板と前記プリプレグ
とを加熱加圧接着する前に、前記回路基板を硫酸水溶液
に浸漬させて処理することを特徴とする多層プリント配
線板の製造方法である。本発明の多層プリント配線板の
製造方法で使用する熱硬化性樹脂組成物は、シアネート
エステル類化合物、1価フェノール類化合物、ポリフェ
ニレンエーテル樹脂、シアネートエステル類化合物と反
応性を有しない難燃剤及び金属系反応触媒を必須成分と
する変性シアネートエステル樹脂組成物であり、ポリフ
ェニレンエーテル樹脂を芳香族炭化水素系溶剤に加熱溶
解し、次いで、その溶液中でシアネートエステル類化合
物と1価フェノール類化合物を金属系反応触媒の存在下
で反応させ変性シアネートエステル樹脂とし、この変性
シアネ−トエステル樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂
との相溶化樹脂溶液を製造した後、ケトン系溶媒を投入
攪拌して相溶化樹脂溶液を懸濁化し樹脂ワニスとし、こ
の樹脂ワニスを補強基材に含浸乾燥させたプリプレグを
作製し、このプリプレグと金属箔を積層して金属箔張積
層板を製造し、回路加工を施し回路基板とする。この回
路基板と前記プリプレグを用いて多層プリント配線板を
製造する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるシアネートエ
ステル類化合物は、2個以上のシアネートエステル基を
有する次の式(1)で表されるポリシアン酸エステル化
合物(式中、Rは芳香族の多価の有機基であり、シアナ
ト基は有機基Rの芳香族環に直接結合しており、mは2
以上、10以下の整数を表す。)及びその予備反応物か
ら誘導されるプレポリマーである。
【0007】
【化1】 R−(-OCN)m 式(1)
【0008】式(1)で表されるシアネートエステル類
化合物は、一般に、対応する多価のフェノール系化合物
をハロゲン化シアンと反応させる公知の方法(例えば、
特公昭41−1928号公報に教示)によって調製され
る。多官能性シアン酸エスル類としては、1,3−また
は1,4−ジシアナートベンゼン、1,3,5−トリシ
アナートベンゼン、1,3−、1,4−、1,6−、
1,8−、2,6−または2,7−ジシアナートナフタ
レン、1,3,6−トリシアナートナフタレン、4,4
−ジシアナートビフェニル、ビス(4−シアナートフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナトフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−
シアナートフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5
−ジブロモー4−シアナートフェニル)プロパン、ビス
(4−シアナートフェニル)エーテル、ビス(4−シア
ナートフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナート
フェニル)スルホン、トリス(4−シアナートフェニ
ル)ホスファイト、トリス(4−シアナートフェニル)
ホスフェート、およびフェノール樹脂とハロゲン化シア
ンとの反応により得られるベンゼン多核体のポリシアナ
ート化合物(例えば、特公昭45−11712号公報お
よび特公昭55−9433号公報に教示)などがある。
さらには特公昭41−1928号公報,特公昭43−1
8468公報,特公昭44−4791号公報,特公昭4
6−15516号公報,特公昭46−41112号公
報、および特公昭47−26853号公報あるいは特開
昭51−63149号公報などに記載されているシアネ
ートエステル類化合物も本発明で用いるシアネートエス
テル類の範疇に含まれる。入手容易であり、かつ最終樹
脂に良好な性質を与える点から、2,2−ビス(4−シ
アナトフェニル)プロパンまたはビス(3,5−ジメチ
ル−4−シアナトフェニル)メタンのような対象構造を
持ち、かつ橋絡部に縮合環を有しない2価のシアネート
エステル類化合物は、特に有用である。
【0009】本発明の方法において、上記ポリシアン酸
エステル化合物単独、あるいはこのポリシアン酸エステ
ル化合物から誘導されるプレポリマー単独で用いても良
く、またこれらを混合して用いてもよい。上記プレポリ
マーは、ポリシアン酸エステル化含物を鉱酸、ルイス
酸、炭酸ナトリウム或いは塩化リチウム等の塩類、トリ
ブチルホスフィン等のリン酸エステル類、ナフテン酸
鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉄(III)、ナフ
テン酸ニッケル、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸銅、ナフ
テン酸マンガン、2−エチルシクロヘキサンコバルト等
の触媒の存在下または不存在下に重合させて得られる。
この際、触媒が存在する場合としない場合では反応温度
が異なり、前者は100〜140℃、後者は140〜1
70℃で行われている。これらのプレポリマーは、前記
シアネートエステル類化合物中のシアナト基が三量化す
ることによって形成されるトリアジン環を分子中に有し
ており、平均分子量400〜6000を持っていること
が望ましい。
【0010】本発明に使用される1価フェノール類化合
物は、式(2)、式(3)で示される1価フェノール類
であり、耐熱性良好な化合物が望ましい(R2及びR
3は、水素原子または炭素数1〜4の低級アルキル基を
表し、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。ま
たnは1〜2の整数)。
【0011】
【化2】
【0012】
【化3】
【0013】式(2)で示される化合物としては、例え
ば、p−(α−クミル)フェノールが挙げられる。ま
た、式(3)で示される化合物としては、p−tert
−ブチルフェノール、p−tert−アミルフェノー
ル、p−tert−オクチルフェノールが挙げられ、そ
の中でもp−tert−オクチルフェノールがより好ま
しい。なお、1価フェノール類化合物は、一種類を単独
で用いてもよく、又は二種類以上を混合してもよい。
【0014】1価フェノール類の配合量は、シアネート
エステル類化合物100重量部に対して4〜30重量部
とすることが好ましく、5〜25重量部がより好まし
く、7〜20重量部とすることが特に好ましい。4重量
部未満では誘電正接が十分低くならず、30重量部を超
えるとかえって誘電正接が高くなる。
【0015】シアネートエステル樹脂は、極性の強いシ
アナト基を有していながら硬化時には対称で剛直なトリ
アジン構造を生成するので、熱硬化性樹脂としては最も
低い誘電率及び誘電正接の硬化物が得られる。しかし、
実際の硬化反応においては、シアネートエステル樹脂中
の全てのシアナト基が反応してトリアジン構造を生成す
るという事は不可能であり、硬化反応の進行に伴って反
応系が流動性を失い未反応のシアナト基として系内に残
存する事になる。その結果、これまでは本来の硬化物よ
り誘電率や誘電正接の高い硬化物しか得られなかった。
そこで本発明における1価フェノール類化合物は、シア
ネートエステル類化合物と反応させて得られる変性シア
ネートエステル樹脂として用いられる。すなわち、シア
ネートエステル類化合物のプレポリマ化とともに、シア
ネートエステル類化合物に1価フェノール類化合物を付
与させたイミドカーボネート化変性樹脂として用いられ
る。シアネートエステル類化合物と1価フェノール類化
合物を反応させる際には、1価フェノール類化合物を反
応初期から前記の適正配合量の全部を投入反応させても
良いし、又は反応初期は前記の適正配合量の一部を反応
させ、冷却後残りの配合量を投入して、Bステージ化時
あるいは硬化時に反応させて変性シアネートエステル樹
脂としても良い。
【0016】本発明に使用するポリフェニレンエーテル
樹脂は、一般式(4)で示される単環式フェノールの一
種類以上を重縮合して得られる。
【0017】
【化4】
【0018】(ここに、R5は炭素数1〜3の低級アル
キル基、R6,R7およびR8は水素原子または炭素数1
〜3の低級アルキル基であり、水酸基の少なくとも一方
のオルト位には必ず低級アルキル置換基が存在しなけれ
ばならない。)
【0019】ポリフェニレンエーテル樹脂は、このポリ
フェニレンエーテル樹脂にビニル芳香族化合物をグラフ
ト重合して得られる根幹にポリフェニレンエーテルを有
するグラフト共重合体をも意味する。このポリフェニレ
ンエーテル樹脂は、単独重合体であっても共重合体であ
ってもよい。
【0020】前記一般式(4)で示される単環式フェノ
ールとしては、2,6−ジメチルフェノール、2,6−
ジエチルフェノール、2,6−ジプロピルフェノール、
2−メチル−6−エチルフェノール、2−メチル−6−
プロピルフェノール、2−エチル−6−プロピルフェノ
ール、m−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、
2,3−ジプロピルフェノール、2−メチル−3−エチ
ルフェノール、2−メチル−3−プロピルフェノール、
2−エチル−3−メチルフェノール、2−エチル−3−
プロピルフェノール、2−プロピル−3−メチルフェノ
ール、2−プロピル−3−エチルフェノール、2,3,
6−トリメチルフェノール、2,3,6−トリエチルフ
ェノール、2,3,6−トリプロピルフェノール、2,
6−ジメチル−3−エチルフェノール、2,6−ジメチ
ル−3−プロピルフェノール等が挙げられる。
【0021】これらのフェノールの1種類以上の重縮合
により得られるポリフェニレンエーテル樹脂としては、
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテ
ル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エ
ーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレ
ン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4
−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロ
ピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチ
ル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、
2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチル
フェノール共重合体、2,6−ジメチルフェノール/
2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−
ジエチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノー
ル共重合体、2,6−ジプロピルフェノール/2,3,
6−トリメチルフェノール共重合体、ポリ(2,−6−
ジメチル−1,4−フェニレン)エ一テルにスチレンを
グラフト重合したグラフト共重合体、2,6−ジメチル
フェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合
体にスチレンをグラフト重合したグラフト共重合体が挙
げられる。特にポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェ
ニレン)エーテルとポリスチレンのアロイ化ポリマ、ポ
リ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル
とスチレン−ブタジエンコポリマのアロイ化ポリマが好
ましい。ポリフェニレン−テル樹脂中のポリ(2,6−
ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルの成分量は、
50重量%以上含有するポリマであることが硬化物の誘
電特性が良好であるため好まししいが、65重量%以上
含有するポリマであることがより好ましい。また、数平
均分子量で30000〜60000の樹脂を用いること
が機械的強度を確保するために好ましい。
【0022】本発明におけるポリフェニレンエーテル樹
脂の配合量は、シアネートエステル類化合物100重量
部に対して5〜300重量部とすることが好ましく、1
0〜200重量部とすることがより好ましく、10〜1
00重量部とすることが特に好ましい。配合量が、5重
量部未満では誘電特性の効果が得られず、300重量部
を超えるとシアネート樹脂組成物の粘度が高くなり流動
性・成形性が悪くなる。
【0023】本発明におけるシアネートエステル類化合
物と反応性を有しない難燃剤としては、例えば1,2−
ジブロモ−4−(1,2−ジブロモエチル)シクロヘキ
サン、テトラブロモシクロヘキサン、ヘキサブロモシク
ロドデカン、ポリブロモジフェニルエーテル、臭素化ポ
リスチレン、臭素化ポリカーボネート及び臭素化トリフ
ェニルイソシアヌレート系難燃剤等があるが、その中で
も1,2−ジブロモ−4−(1,2−ジブロモエチル)
シクロヘキサン、テトラブロモシクロヘキサン、ヘキサ
ブロモシクロドデカン、2,4,6−トリス(トリブロ
モフェノキシ)−1,3,5−トリアジンはシアネート
エステル樹脂組成物の硬化物の誘電特性が良好となるの
で好ましい。
【0024】本発明におけるシアネートエステル類化合
物と反応性を有しない難燃剤の配合量は、シアネートエ
ステル類化合物、1価フェノール類化合物及びポリフェ
ニレンエーテル樹脂の総量100重量部に対して5〜3
0重量部とすることが好ましく、8〜25重量部とする
ことがより好ましく、10〜20重量部とすることが特
に好ましい。配合量が5重量部未満では耐燃性が不十分
であり、30重量部を超えるとシアネートエステル樹脂
組成物の硬化物の耐熱性が低下する。
【0025】本発明の樹脂組成物は加熱あるいは加圧下
に反応して網状構造を形成し、耐熱性樹脂となるが、こ
の網状構造を促進する目的で、組成物中に触媒を含有さ
せる事ができる。このような触媒としては、ナフテン酸
鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉄(III)、ナ
フテン酸ニッケル、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸銅、ナ
フテン酸マンガン、2−エチルシクロヘキサンコバルト
等の有機金属塩、塩化スズ、塩化亜鉛、塩化アルミニウ
ム等の金属塩化物、トリエチレンジアミン等の有機塩基
等が有用である。特に、有機金属塩は、添加量が少なく
好ましい。シアネートエステル樹脂組成物を製造する際
の反応促進剤と積層板製造時の硬化促進剤で同一の金属
系反応触媒を単独で用いてもよく、又は各々別の二種類
以上のものを用いてもよい。
【0026】本発明の金属系反応触媒の配合量は、シア
ネートエステル類化合物1(g)に対して1〜300p
pmとすることが好ましく、5〜200ppmとするこ
とが好ましく、10〜100ppmとすることが特に好
ましい。配合量が1ppm未満の場合は反応性及び硬化
性に効果が見られず、300ppmを超えると反応性及
び硬化性が速くなりすぎる。また当該触媒の添加時期
は、シアネートエステル樹脂組成物を製造する際の反応
促進剤及び積層板製造時の硬化促進剤として必要な量を
同時にまとめて添加しても良いし、反応促進剤と硬化促
進剤とに分割して添加しても良い。
【0027】本発明の芳香族炭化水素系溶剤は、ポリフ
ェニレンエーテル樹脂を加熱溶解する溶剤であり、かつ
シアネートエステル類化合物と1価フェノール類化合物
の反応とポリフェニレンエーテル樹脂との相溶化を行う
際の反応溶媒となる。沸点は50〜170℃の範囲にあ
るのが好ましく、具体例としては、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、メシチレ
ン等が挙げられる。これらのうち一種類以上が用いられ
るが、特にトルエンが好ましい。
【0028】芳香族炭化水素系溶剤の沸点が50℃未満
であると、樹脂含浸工程で溶剤が揮発し易く、ワニス濃
度および粘度が変化し易くなり好ましくない。また沸点
が170℃を超えると、塗工布中の残存溶剤量が多くな
り易く、積層板製造後にボイドが発生したり耐熱性が低
下する。
【0029】芳香族炭化水素系溶剤の配合量は、ポリフ
ェニレンエーテル樹脂100重量部に対して100〜5
00重量部とするのが好ましく、150〜300重量部
が特に好ましい。
【0030】ケトン系溶剤は、ポリフェニレンエーテル
樹脂の芳香族炭化水素系溶剤中でシアネートエステル類
化合物と1価フェノール類化合物を反応させ、シアネー
トエステル樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂との相溶
化樹脂溶液を懸濁化するために添加するもので、相溶化
樹脂の溶解性が低い溶媒(以下、貧溶媒と略す)が用い
られる。添加の手順は相溶化樹脂溶液中にケトン系溶媒
を投入攪拌するが、逆にケトン系溶媒中に相溶化樹脂溶
液を投入攪拌しても良い。ケトン系溶剤は、その沸点が
50〜170℃の範囲にあることが好ましく、具体例と
しては、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノ
ン、3−ペンタノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘ
キサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、シクロ
ヘキサノン等が挙げられ、これらのうち一種類以上が用
いられ、メチルエチルケトンが好ましい。沸点が50℃
未満であると、樹脂含浸工程で溶剤が揮発し易く、ワニ
ス濃度および粘度が変化し易くなり好ましくない。また
沸点が170℃を超えると、塗工布中の残存溶剤量が多
くなり易く、積層板製造後にボイドが発生したり耐熱性
が低下する。
【0031】ケトン系溶剤の配合量は、芳香族炭化水素
系溶剤100重量部に対して50〜500重量部添加し
て懸濁化するのが好ましく、100〜200重量部が特
に好ましい。50重量部未満の場合は、懸濁化の効果が
少なく、相溶化樹脂の粘度が下がらず、500重量部よ
り多いと含浸工程で塗工布外観が悪くなる。
【0032】上記以外に必要に応じて、シアネートエス
テル樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂との相溶化溶液
の懸濁状態を変化させない範囲で他の溶剤を併用しても
よい。併用できる溶剤の具体例としては、トリクロロエ
チレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド等のアミド系やN−メチルピロリドン等の窒素
系溶剤が挙げられ、これらの溶剤は一種類又は二種類以
上を併用して用いることができる。
【0033】本発明のシアネートエステル樹脂組成物の
製造方法においては、シアネートエステル樹脂とポリフ
ェニレンエーテル樹脂との相溶化樹脂溶液を製造する際
に、シアネートエステル類化合物の反応率を直接測定す
ることなく、硬化時間を測定する事で反応終点を決定す
る。この際、相溶化樹脂溶液に1価フェノール類化合物
とケトン系溶剤を添加することで、相溶化樹脂溶液を擬
似的に最終配合と同等の状態にすることができ、この時
の硬化時間を測定することで反応率の経時変化を推定す
ることが可能となる。添加する1価フェノール類化合物
とケトン系溶剤の配合量は、相溶化樹脂溶液が懸濁化さ
れた時の成分比と同じになるように調整すれば良い。
【0034】以上説明したシアネートエステル樹脂組成
物は、プリント配線板用のプリプレグ及び積層板の製造
に供せられる。すなわち、本発明のシアネートエステル
樹脂組成物をガラス布などの基材に含浸乾燥することで
プリプレグを作製する。ついでこのプリプレグを任意の
枚数重ねその上下面又は片面に金属箔を重ねて加熱加圧
成形することにより両面または片面の金属箔張積層板と
することができる。
【0035】当該金属箔張積層板を用いて、多層プリン
ト配線板を製造する事ができる。この際、内層回路基板
として使用する場合、プリプレグとの接着強度を得る目
的で内層銅の酸化処理(以下、黒化処理と略す)が実施
されている。内層銅の酸化処理の前処理としては、油脂
分除去の為のアルカリ脱脂処理、濡れ性向上の為の界面
活性剤処理、銅表面の防錆剤除去の為の過硫酸アンモニ
ウム水溶液洗浄等が実施されている。
【0036】金属箔張積層板に使用される金属箔の多く
は、樹脂との接着強度を向上させる目的で、粗化処理面
に薬品処理をしている。処理剤としては、シランカップ
リング剤が多く中でもエポキシシランが好適である。し
かし、エポキシシランは金属箔をエッチングした後も基
材樹脂の表面に微量ながらも残っているため、多層化接
着時に基材−プリプレグでの硬化反応を阻害し、基材−
プリプレグ界面に未反応のシアナト基が残存し易くな
る。この為、煮沸処理やプレッシャークッカ処理などの
吸湿処理をすると基板内に進入した水が残存シアナト基
と結合し易くなり、その後基板が加熱等の熱履歴を受け
ると基材−プリプレグ界面がふくれを生じる。
【0037】基材面のシランカップリング剤を除去する
方法としては、機械研磨と薬液洗浄があるが、内層回路
基板製造プロセスにおいては特に後者が望ましい。薬液
洗浄に使用する薬品としては、酸が好ましく、特に硫酸
が望ましい。薬液濃度は、濃い方が処理時間を短くでき
るので有効であるが、特殊な設備を必要としない点から
0.1〜5規定濃度が好ましい。処理温度は、摂氏15
〜85度の範囲で効果的であり、特に高い方が好まし
い。
【0038】以上のような薬液洗浄した内層回路基板
に、黒化処理を施し、多層プリント配線板を製造した。
これにプレッシャークッカ処理をして、260℃、20
秒間はんだ浸漬した所、ふくれは発生しなかった。
【0039】
【実施例】シアネートエステル類化含物として2,2−
ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(旭チバ株式会
杜製商品名、ArocyB−10)100重量部に対
し、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(日本ジーイープ
ラスチックス株式会杜製商品名ノリル)20重量部、1
価フェノール類としてp−(α−クミル)フェノール
(サンテクノケミカル株式会社製)1重量部、シアネー
トエステル類化合物と反応性を有しない難燃剤として
2,4,6−トリス(トリブロモフェノキシ)−1,
3,5−トリアジン(第一工業製薬株式会杜製商品名、
SR−245)18重量部をトルエン54重量部に加熱
溶解し、金属系触媒としてナフテン酸マンガン(日本化
学産業株式会社製、ナフテン酸マンガン、マンガン含有
量10重量%)0.03重量部を添加後、液温120℃
で反応させ相溶化樹脂溶液を製造した。90℃に冷却後
メチルエチルケトン92重量部を投入溶解し懸濁化さ
せ、更に40℃以下に冷却後に前記、1価フェノール類
11重量部および金属系触媒(日本化学産業株式会社製
ナフテン酸亜鉛、亜鉛含有量8重量%)0.0125重
量部を添加投入しシアネートエステル樹脂組成物ワニス
を製造した。当該樹脂組成物ワニスをガラスクロス(M
1L品番7628)に含浸乾燥させ、銅箔(日本電解株
式会社製商品名、YGP−35)を介して、180℃、
2.5MPa、90分間加熱加圧後、230℃、2時間
加熱して銅箔張積層板を作製した。この銅張積層板を常
法による回路パターンを形成し、前処理として2規定濃
度の硫酸水溶液に4時間浸漬させ、水洗後黒化処理をし
内層回路基板を作製した。この内層回路基板の両側に当
該シアネートエステル樹脂組成物ワニスを含浸乾燥させ
たプリプレグと銅箔(古河サ−キットフォイル株式会社
製商品名、GTS−18)を介し、180℃、2.5M
Pa、90分間加熱加圧後、200℃、2時間加熱さ
せ、常法の回路パターン形成により4層プリント配線板
を作製した。プレッシャークッカ処理(121℃、0.
22MPa)後に、260℃、20秒はんだ浸漬後の目
視評価の結果を表1に示す。表1には、はんだ耐熱性を
3個の試験片で行い、それぞれの結果を示した。ふくれ
発生無しを数字の5で、ふくれ発生したものを数字の1
で示した。
【0040】(実施例2)実施例1において、前処理の
薬液濃度を0.1規定濃度の硫酸水溶液を用いたこと以
外は実施例1と同様に行い4層プリント配線板を作製し
た。プレッシャークッカ処理(121℃、0.22MP
a)後に、260度20秒はんだ浸漬後の目視評価の結
果を表1に示す。
【0041】(比較例1)実施例1において、前処理の
薬液を硫酸の代わりに水酸化ナトリウムを用いたこと以
外実施例1と同様に行い4層プリント配線板を作製し
た。プレッシャークッカ処理(121℃、0.22MP
a)後に、260℃、20秒はんだ浸漬後の目視評価の
結果を表1に示す。
【0042】(比較例2)実施例1において、前処理を
行わないこと以外は実施例1と同様に行い4層プリント
配線板を作製した。プレッシャークッカ処理(121
℃、0.22MPa)後に、260℃、20秒はんだ浸
漬後の目視評価の結果を表1に示す。
【0043】
【表1】 処理時間 実施例1 実施例2 比較例1 比較例2 0時間 5,5,5 5,5,5 5,5,5 5,5,5 0.5時間 5,5,5 5,5,5 1,1,1 1,1,1 1.0時間 5,5,5 1,1,1 1,1,1 1,1,1 1.5時間 5,5,5 1,1,1 1,1,1 1,1,1 5:ふくれ発生無し1:ふくれ発生
【0044】表1に示すように内層板となる回路基板を
酸処理することにより吸湿後のはんだ耐熱性が顕著に向
上していることが分かる。また、同じ条件で処理した場
合、酸処理の濃度が高い実施例1の方が長時間の吸湿処
理でも良好なはんだ耐熱性を示した。これに対し、比較
例1のアルカリ処理や比較例2の無処理では、吸湿処理
すると極度にはんだ耐熱性に劣る。
【0045】
【発明の効果】以上のように、本発明の多層プリント配
線板の製造方法により、誘電特性に優れた変性シアネー
トエステル樹脂を用いた熱硬化性樹脂組成物の多層プリ
ント配線板の吸湿による耐熱性の低下を改善することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤本 大輔 茨城県下館市大字小川1500番地 日立化成 工業株式会社下館研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シアネートエステル類化合物、ポリフェ
    ニレンエーテル樹脂、1価フェノール類化合物、シアネ
    ートエステル類化合物と反応性を有しない難燃剤及び金
    属系反応触媒を必須成分とする熱硬化性樹脂組成物を補
    強基材に含浸乾燥させたプリプレグを加熱加圧すること
    により作製される金属箔張積層板を使用した回路基板と
    前記プリプレグとを加熱加圧接着する前に、前記回路基
    板を酸処理することを特徴とする多層プリント配線板の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 酸処理の酸が硫酸であることを特徴とす
    る請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  3. 【請求項3】 硫酸の水溶液濃度が、0.1〜5規定で
    あることを特徴とする請求項2に記載の多層プリント配
    線板の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006120947A (ja) * 2004-10-22 2006-05-11 Hitachi Chem Co Ltd 接着層付き回路基板、並びに多層プリント配線板の製造方法及び多層プリント配線板

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006120947A (ja) * 2004-10-22 2006-05-11 Hitachi Chem Co Ltd 接着層付き回路基板、並びに多層プリント配線板の製造方法及び多層プリント配線板

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