JPH11265621A - 絶縁電力ケーブルおよびその接続部 - Google Patents

絶縁電力ケーブルおよびその接続部

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JPH11265621A
JPH11265621A JP10067399A JP6739998A JPH11265621A JP H11265621 A JPH11265621 A JP H11265621A JP 10067399 A JP10067399 A JP 10067399A JP 6739998 A JP6739998 A JP 6739998A JP H11265621 A JPH11265621 A JP H11265621A
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Shiyouichirou Nakamura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 絶縁電力ケーブル8およびその接続部におい
て、絶縁体4での水の発生を抑制し電気的特性の低下を
防ぐ。 【解決手段】 絶縁体4に、架橋ポリオレフィン100
重量部に対して、N-ブチル-N'-ステアリル尿素、N-
ステアリル-N'-ステアリル尿素、キシレンビスステア
リル尿素、トルイレンビスステアリル尿素の群から選ば
れる少なくとも一つの化合物0.005〜2重量部を添
加したものを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁電力ケーブル
あるいは絶縁電力ケーブルの終端接続部、中間接続部な
どの接続部に関する。
【0002】
【従来の技術】図1は、架橋ポリオレフィンを用いた絶
縁電力ケーブル(以下、CVケーブルと略記する場合が
ある。)の一例を示したものである。CVケーブル8
は、銅線などの素線1を複数本撚り合わせてなる導体2
の上に順次、内部半導電層3、絶縁体4、外部半導電層
5、金属遮蔽層6、防食層7が設けられてなるものであ
る。上記内部半導電層3および外部導電層5は、エチレ
ンー酢酸ビニル共重合体から構成されている。そして、
上記絶縁体4は、架橋剤として有機過酸化物を配合した
低密度ポリエチレンや超低密度ポリエチレン等の架橋ポ
リオレフィンをベース樹脂とした樹脂組成物を押出被覆
して、架橋することによって形成されている。
【0003】ところで、上記架橋ポリオレフィンを得る
ための架橋剤にはジクミルパーオキサイド(DCP)が
広く用いられている。このジクミルパーオキサイドを架
橋剤として用いると、その分解生成物としてクミルアル
コール(CA)が生成する。そして、このクミルアルコ
ールは加熱により下記化学式(III)に示すように、水
とアルコールに分解される。この反応は、ジクミルパー
オキサイドの二次分解反応と称されている。
【0004】
【化3】
【0005】このような、ジクミルパーオキサイドの二
次分解反応における水の発生は、これを含有する架橋ポ
リオレフィンからなるCVケーブルにおいても起こり、
CVケーブル接続部の組立時や、CVケーブル使用時の
ヒートサイクル等の加熱により、絶縁体4おいて架橋分
解残渣であるジクミルパーオキサイドの二次分解反応に
より水が発生する。電力ケーブル内での水の発生は、電
気絶縁性能の低下や水トリーの発生を誘発等の電気的に
有害な欠陥を増加させるために問題になっている。
【0006】そこで、例えば特願昭62−215783
号、特願昭63−289715号、特願平1−1013
37号等に、絶縁体を形成する樹脂に、二次分解反応防
止剤として脂肪酸アミド、イソシアン酸エステル、脂肪
族アミン等を添加して上記二次分解反応を抑制する方法
が提案されているが、これらの防止剤の添加だけでは効
果が不十分な場合があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】よって、本発明におけ
る課題は、架橋剤として有機過酸化物を用いてなる架橋
ポリオレフィンを絶縁体に用いた絶縁電力ケーブルおよ
び接続部において、架橋剤分解残渣に起因する絶縁体で
の水の発生を抑制し、電気的特性の低下を防ぐことを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる課題は、絶縁電力
ケーブルおよびその接続部の絶縁体に用いられる樹脂組
成物として、架橋ポリオレフィン100重量部に対し
て、下記化学式(I)に示される化合物、あるいは下記
化学式(II)に示される構造の化合物を0.005〜2
重量部添加したものを用いることによって解決される。
【0009】
【化4】 (式中、RおよびR1は炭素数C4以上の脂肪族炭化水素
あるいは芳香族炭化水素を示す。)
【0010】
【化5】 (式中、R3、R4、R5は、それぞれ脂肪族炭化水素あ
るいは芳香族炭化水素を示す。)
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の絶縁電力ケーブルの構造
は、例えば、図1に示した従来の絶縁電力ケーブルの構
造と同様にすることができる。以下、図1を利用して説
明する。この絶縁電力ケーブル8は、素線1を撚り合わ
せた導体2上に、順次内部半導電層3、絶縁体4、外部
半導電層5、金属遮蔽層6、防食層7が設けられてなる
ものである。
【0012】絶縁体4は、未架橋の架橋ポリオレフィン
100重量部に対して、上記化学式(I)に示される構
造の化合物、あるいは上記化学式(II)に示される化合
物を0.005〜2重量部添加してなる樹脂組成物から
なるものである。
【0013】上記化学式(I)で示される化合物として
は、N−ブチル−N’−ステアリル尿素、N−ステアリ
ル−N’−ステアリル尿素等が挙げられる。また、上記
化学式(II)に示される構造の化合物としは、キシレン
ビスステアリル尿素、トルイレンビスステアリル尿素等
が挙げられる。
【0014】これらの化合物は、架橋ポリオレフィンを
得るための添加剤として加えられるジクミルパーオキサ
イドの二次分解反応を抑制する。その発現機構について
の詳細はいまのところ明らかではないが、これらの化合
物には、ジクミルパーオキサイドから生じるジクミルア
ルコールの分解反応を阻害する作用があり、その結果、
加熱によるジクミルアルコールの分解反応による水の発
生が抑制されると考えられる。
【0015】上記化学式(I)に示される化合物、また
は上記化学式(II)に示される化合物の配合量として
は、架橋ポリオレフィン100重量部に対して、0.0
05〜2重量部が好ましい。配合量が0.005重量部
未満であると、分散不良により電力ケーブルの全長にわ
たり安定したジクミルパーオキサイドの二次分解反応の
抑制作用が発揮できず、2重量部を越えると、絶縁電力
ケーブルの絶縁体にブルームを生じる恐れがあり好まし
くない。
【0016】上記架橋ポリオレフィンとしては、一般に
絶縁電力ケーブルの絶縁体として使用されている架橋ポ
リエチレン等が好適に用いられるが特に限定されるもの
ではない。また、架橋剤としてジクミルパーオキサイド
が添加されたものが用いられる。上記架橋ポリオレフィ
ンには、上記架橋剤、上記化学式(I)または上記化学
式(II)に示される化合物のほか、老化防止剤などの添
加剤が含まれていても構わない。
【0017】本発明のCVケーブル8は、導体2上に順
次、内部半導電層3となる未架橋の半導電性組成物、絶
縁体4となる上述の未架橋の架橋ポリオレフィン等から
なる樹脂組成物、および外部半導電層5となる半導電性
組成物とを押出被覆により被覆し、架橋装置において架
橋させて、内部半導電層3、絶縁体4、外部半導電層5
を形成し、ついでこの外部半導電層5上に、金属遮蔽層
6、防食層7を常法により形成して得ることができる。
【0018】図2は、本発明の電力機器の一例としてC
Vケーブルの中間接続部におけるテープモールド型接続
部を示すもので、図中符号11は導体接続部である。こ
の導体接続部11の外周には、内部半導電層12が設け
られ、この内部導電層12上には半架橋状態のポリエチ
レンテープを巻回し、加熱して架橋し一体化された絶縁
体13が設けられ、この絶縁体13上には、外部半導電
体層14が設けられている。さらに、この外部半導電層
14上には、図示しない外部遮蔽層、保護金属管、防食
層などが順次設けられて接続部とされている。
【0019】この接続部にあっても、絶縁体13には、
架橋ポリオレフィン100重量部に対して、上記化学式
(I)または上記化学式(II)に示される化合物を0.
005〜1重量部添加したものが用いられ、絶縁体13
内での水の生成を抑制し、CVケーブルの電力的特性の
低下を防止している。
【0020】このような絶縁電力ケーブルおよびその接
続部にあっては、上述のように絶縁体を構成する樹脂
に、上記化学式(I)または上記化学式(II)に示され
る化合物が適用量添加されているので、架橋剤として添
加されているジクミルパーオキサイドから生じるジクミ
ルアルコールの分解反応が抑制されるために、加熱時に
おけるジクミルアルコールの分解反応による水の発生が
抑制される。よって、電力ケーブル内での水の発生によ
る電気絶縁性能の低下や水トリーの発生の誘発等の電気
的に有害な欠陥が起こることがない。
【0021】
【実施例】以下、本発明を具体例を示して詳しく説明す
る。架橋ポリオレフィンとして、比重が0.92の低密
度ポリエチレンを用い、この低密度ポリエチレン100
重量部に対して、架橋剤としてジクミルパーオキサイド
を2重量部、老化防止剤として4,4'-チオビス(3-メ
チル-6-t-ブチルフェノール)を0.3重量部添加した
ものに、上記化学式(I)または上記化学式(II)に示
される化合物として、N−ブチル−N’−ステアリル尿
素、N−ステアリル−N’−ステアリル尿素、キシレン
ビスステアリル尿素、トルイレンビスステアリル尿素を
用いてそれぞれ表1、表2に示す割合で添加して、実施
例1〜6、比較例1〜3の架橋性コンパウンドを調製し
た。ついで、これらを180℃にてロール混練したの
ち、これらを200℃の熱プレス機を用いて厚さ5mm
の架橋シートに成形した。
【0022】[水分発生量の測定]上述のようにして得
られた実施例1〜6、比較例1〜3の架橋シートを18
0℃のエアオーブンに2時間放置し、加熱前と加熱後の
上記架橋シートにおける水分量をカールフィッシャー法
にて定量分析し、結果を表1および表2に示した。
【0023】[押出加工性]上述のようにして得られた
実施例1〜6、比較例1〜3の架橋シートをペレット状
に加工し、これを単軸押出機(外径50mmφ、L/D
=22)にて押出し、それぞれの押出特性を評価した。
結果表1および表2に示す。押出特性の評価は、押出機
のシリンダー設定温度を140℃とし、スクリュー回転
数を10〜70rpmの間で10rpmごとに上げ、ス
クリュー回転数の上昇に比例して樹脂押出量が増加する
ものを○とし、スクリュー回転数の上昇に樹脂押出量が
比例せずに頭打ちとなるものを×とした。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】表1および表2に示す結果から、本発明の
実施例においては、比較例に比べて加熱による水分量の
発生を抑制することができるということがわかる。ま
た、押出加工性も良好であることがわかる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の絶縁電力
ケーブルおよび接続部用部品においては、その絶縁体を
構成する樹脂に、上記化学式(I)または上記化学式(I
I)に示される化合物を添加したものであるので、上記
架橋ポリオレフィンが架橋剤としてジクミルパーオキサ
イドを使用したものであっても、加熱時のジクミルパー
オキサイドの2次分解反応における水の発生を抑制する
ことができる。よって、上記水の発生が原因とされる絶
縁電力ケーブルおよびその接続部における電気的特性の
低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 絶縁電力ケーブルの一例を示した断面図であ
る。
【図2】 絶縁電力ケーブルの接続部の一例を示した断
面図である。
【符号の説明】
2…導体、4…絶縁体、8…絶縁電力ケーブル、11…
接続部、14…絶縁体

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁体に、架橋ポリオレフィン100重
    量部に対して、下記化学式(I)に示される構造の化合
    物を0.005〜2重量部添加してなる樹脂組成物を用
    いたことを特徴とする絶縁電力ケーブルおよびその接続
    部。 【化1】 (式中、RおよびR1は炭素数C4以上の脂肪族炭化水素
    あるいは芳香族炭化水素を示す。)
  2. 【請求項2】 絶縁体に、架橋ポリオレフィン100重
    量部に対して、下記化学式(II)に示される構造の化合
    物を0.005〜2重量部添加してなる樹脂組成物を用
    いたことを特徴とする絶縁電力ケーブルおよびその接続
    部。 【化2】 (式中、R3、R4、R5は、それぞれ脂肪族炭化水素あ
    るいは芳香族炭化水素を示す。)
  3. 【請求項3】 上記架橋ポリオレフィンが、ポリエチレ
    ンにジクミルパーオキサイドを添加したものであること
    を特徴とする請求項1または2記載の絶縁電力ケーブル
    および接続部。
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JP2010121056A (ja) * 2008-11-20 2010-06-03 Viscas Corp 架橋ポリエチレン組成物及び直流電力ケーブル

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EP1300447A1 (fr) * 2001-10-03 2003-04-09 Nexans Composition polymère supramoléculaire, ainsi que son procédé de fabrication et cable comportant une telle composition
JP2010121056A (ja) * 2008-11-20 2010-06-03 Viscas Corp 架橋ポリエチレン組成物及び直流電力ケーブル

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