JP2010121056A - 架橋ポリエチレン組成物及び直流電力ケーブル - Google Patents

架橋ポリエチレン組成物及び直流電力ケーブル Download PDF

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Abstract

【課題】XLPEケーブルの絶縁層において直流特性を改善する無機充填剤の凝集を抑制し、XLPE系ケーブルの長尺押出特性を改善する。
【解決手段】直流特性を改善させる無機充填剤が添加され、直流電力ケーブルの絶縁層に用いられる架橋ポリエチレン組成物であって、アミド系滑剤またはウレア系滑剤を0.01〜0.5重量含有する架橋ポリエチレン組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、架橋ポリエチレン組成物及びこれを絶縁体に用いた直流電力ケーブルに関する。
高電圧直流電力ケーブルとして、一般には油浸ケーブル(OFケーブル、MIケーブル)が使用されており、ACケーブルとして汎用されている架橋ポリエチレン(XLPE)系の組成物を絶縁体とする押出絶縁ケーブルの適用例は少ない。特に300〜500kVクラスの超高圧直流については、XLPE系ケーブルの実用化には至っていない。
XLPE系ケーブルでは、XLPEの通常の架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)の分解残渣(アセトフェノン、クミルアルコール)が直流高電圧の印加時に空間電荷を形成し、直流特性を顕著に低下させる。この空間電荷を抑制する手段として、ある種の無機充填剤を添加することが行われている。例えば、特許文献1には、ある種のカーボンブラックを添加することで直流特性を向上させることが記載されている。また、特許文献2には、酸化マグネシウムを添加することで直流特性を向上させることが記載されている。これらの無機充填剤粒子の表面へ架橋剤残渣が吸着されることや、有極性の充填剤粒子により形成される双極子ポテンシャルに電荷がトラップされることによる、空間電荷抑制作用が想定される。
このような作用は、充填剤粒子の表面積が大きいほど少量の添加量で効果を奏することから、XLPE中に充填剤の一次粒子径が平均10〜100nmとなるようにナノ分散させることによって特に大きい効果を奏する。
特許第3602297号公報 特開平11−86634号公報
しかし、無機充填剤自身の一次粒子径が数十nmレベルであっても、実際には一次粒子が凝集することにより、XLPE中には数十μmレベル以上の凝集粒子が含まれる。この凝集粒子は絶縁体中の半導電層近傍の突起となり、特にインパルス(Imp)破壊電圧を低下させる。このため、数十μmレベル以上の凝集粒子を除去することが重要である。
凝集物を除去するために、ケーブル押出前またはケーブル押出時に、押出機によりXLPE組成物を300〜500メッシュ以上のファインスクリーンメッシュに通過させることが行われる。しかし、凝集物によりファインスクリーンメッシュの目詰まりが生じ、長尺押出し特性に難点があった。高電圧直流電力ケーブルは海底ケーブル等の長距離ケーブルとして使用されるケースが多く、XLPE系ケーブルを高電圧直流電力ケーブルとして実用化するには、一連長で長尺押出する技術が必要となっていた。
本発明の課題は、XLPEケーブルの絶縁層において直流特性を改善する無機充填剤の凝集を抑制し、XLPE系ケーブルの長尺押出特性を改善することである。
上記課題を解決するために、本発明の一の態様は、直流特性を改善させる無機充填剤が添加され、直流電力ケーブルの絶縁層に用いられる架橋ポリエチレン組成物であって、アミド系滑剤またはウレア系滑剤を0.01〜0.5重量%含有することを特徴とする。
好ましくは、前記アミド系滑剤はオレイン酸アミドまたはステアリン酸アミドである。
好ましくは、前記ウレア系滑剤はN・N’ジオクタデシルウレアである。
アミド系滑剤またはウレア系滑剤を用いることで、直流電気特性や架橋特性への影響を与えることなく、無機充填剤粒子の凝集を抑制することができる。
好ましくは、前記無機充填剤の添加量は0.1〜5重量%であり、下記(1)または(2)のいずれかである。
(1)BET法で測定した比表面積(m2/g)に対する鉱物油の吸油量(cc/100g)の比が0.7以上、3.5以下であり、かつ、炭素含有率が97重量%以上であり、かつ、平均一次粒径が10〜100nm、粒径が300nm以上の粗粒カーボンブラックの存在割合が1重量%以下であるカーボンブラック。
(2)平均一次粒径が10〜100nmであり、かつ、純度95重量%以上の人工合成された酸化マグネシウム。
上記の無機充填剤を用いると、無機充填剤粒子の表面へ架橋剤残渣が吸着されることや、有極性の充填剤粒子により形成される双極子ポテンシャルに電荷がトラップされることによる、空間電荷抑制作用が想定される。これにより、直流特性を向上させることができる。
また、本発明によれば、上記架橋ポリエチレン組成物を絶縁層として用いる直流電力ケーブルが提供される。
本発明によれば、XLPEケーブルの絶縁層において直流特性を改善する無機充填剤の凝集を抑制し、XLPE系ケーブルの長尺押出特性を改善することができる。
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
本発明に係る架橋ポリエチレン(XLPE)組成物は、ベースとなる低密度ポリエチレン(LDPE)に、無機充填剤が添加されるとともに、充填剤の凝集を抑制する滑剤が添加されている。なお、本明細書中の各添加物の添加量「重量%」は、XLPE組成物に対する濃度である。
〔無機充填剤〕
無機充填剤としては、カーボンブラックや酸化マグネシウムが用いられる。
無機充填剤は、平均一次粒径が10〜100nmのナノ分散粒子であることが好ましい。このようなナノ分散粒子であれば、空間電荷抑制作用を発揮させるためである。
平均一次粒径は、各粒子径区間の粒子数をNi、粒径径区間の中心値をDiとしたとき、平均一次粒径=ΣNi・Di/ΣNi
で与えられる。
この平均一次粒径10〜100nmの大きさの無機充填剤が、ポリエチレンなどの絶縁体の結晶構造を乱さない最適の値である。結晶構造が乱されると絶縁体の電気的性能が低下する。また粒径がこれより大きいとカーボンブラックの分散や交じり具合が悪くなる。またこれより小さい場合は製造が難しく現実的でない。
これらの無機充填剤の添加量は、0.1〜5重量%であることが好ましい。0.1重量%未満では直流特性の改善効果が得られない。また、5重量%よりも多いと直流特性が低下するとともに、充填剤が多量となるため、長尺押出し特性を損ねる。
無機充填剤のうち、カーボンブラックは、粒径が300nm以上の粗粒カーボンブラックの存在割合が1重量%以下であることが好ましい。粒径が300nm以上の粗粒カーボンブラックの存在割合を1重量%以下にすることで、雷インパルス破壊電圧を向上させることができる。インパルス破壊は、導電性突起が破壊起点になるケースが多く、粒径300nm以上の大きいカーボン粒子の存在割合が多いと、カーボン粒子が凝集してできる粗粒子も当然大きくなり、これが内外導に接触又は近接する確率も増える。このような内外導付近の凝集粗粒子カーボンがインパルス破壊に影響を及ぼすと考えられるからである。
また、カーボンブラックは、BET法で測定した比表面積(m2/g)に対する鉱物油の吸油量(cc/100g)の比が0.7以上、3.5以下であることが好ましい。ここで、BET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
比表面積(m2/g)に対する鉱物油の吸油量(cc/100g)の比が0.7以上、3.5以下とすることで、空間電荷の漏れを促すことができる。以下、この理由を説明する。
架橋ポリエチレン組成物の抵抗率(比抵抗)をρ(Ω−m)とし、絶縁抵抗の温度係数をα(1/℃)、電界係数(絶縁抵抗のストレス係数)をβ(mm/kv)、絶縁体にかかる電界強度をE(kv/mm)とすれば、
ρ=ρ0exp−(αT+βE) ・・・(1)
なる関係が成り立つことが知られている。
そして、カーボンブラックを添加すると、電界係数βが増加する一方で温度係数αが減少し、絶縁体組成物での空間電の漏れを促進する。なぜならば、電界係数βが増加すると抵抗率ρが低下するため、高ストレス部(強い電界のかかる部分)の電界が緩和され、また、温度係数αが減少すると、導体温度が高いときに遮蔽側に現れていた最大電界Emaxが減少するからである。こうして絶縁体組成物内での電界分布が均一化の方向に動き、空間電荷の蓄積が低減される。
カーボンブラックの添加量を増加すると粒子間の距離が縮まり、高電界下においては粒子間にトンネル効果による電流が流れる。このため、電界係数βが必要以上に大きくなり、熱破壊を促す原因となる。したがって、少ない添加量で(1)式の抵抗率ρを低下させることが必須である。ところで、比表面積に対する吸油量の比が大きいカーボンブラックの方が、少量で抵抗率ρを下げることができ、この比が0.7以上ならば良好な結果が得られる。
一方、この比が3.5より大きくなると粒子の凝集度が増して見かけの粒子径が大きくなり、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂との混じり具合が悪くなる。特にアセチレンカーボンでは粒子が鎖状に連結しているので、この影響が大きい。
なお、ファーネス系カーボンブラックであるSAF、ISAF、I−ISAF、CF、SCF、HAFカーボンのいずれかのカーボンブラックを用いたときには、上記の比が0.7〜1.5の範囲で、特に良好なことが実験的に確かめられている。
さらに、カーボンブラックは、炭素含有率が97重量%以上であることが好ましい。カーボンブラックには、灰分、O、Hなどの不純物が含まれており、これらの不純物が多いと、電気的特性が低下する。したがって、カーボンの純度は高いほど良好である。
無機充填剤のうち、酸化マグネシウムは、平均一次粒径が10〜100nmのナノ分散粒子であることに加えて、純度95重量%以上の人工合成された酸化マグネシウムであり、純度99重量%以上であることがより好ましい。酸化マグネシウムはマグネサイドなどの天然物から得ることもできるが、天然物にはイオン性の不純物が多く含有され、直流電気特性を低下させるおそれがある。さらに、XLPE組成物中での分散性を改良するために、シランカップリング剤などで表面処理した酸化マグネシウムを使用することもできる。
以上のような無機充填剤を用いると、無機充填剤粒子の表面へ架橋剤残渣が吸着されることや、有極性の充填剤粒子により形成される双極子ポテンシャルに電荷がトラップされることによる、空間電荷抑制作用が想定される。これにより、直流特性を向上させることができる。
〔滑剤〕
本発明では、無機充填剤の凝集を抑制する効果がある滑剤をXLPE組成物に添加する。本発明に適用される滑剤としては、(1)カーボンブラック微粒子や酸化マグネシウム微粒子に対する凝集抑制効果が大きい、(2)直流電気特性(空間電荷特性、絶縁破壊特性)への影響がない、(3)架橋特性への影響がないという性質が求められる。これらの性質を満たす滑剤としては、アミド系またはウレア系の滑剤を用いることができる。
なお、架橋剤としてDCPを用いた場合には、アミド系またはウレア系の滑剤を添加することによって、DCPの分解残渣であるクミルアルコールの脱水分解反応を抑制する効果を付随して得ることができる。
アミド系滑剤としては、オレイン酸アミドやステアリン酸アミドを用いることができる。ウレア系滑剤としては、N・N’ジオクタデシルウレアを用いることができる。なお、アミド系滑剤とウレア系滑剤を併用しても、同様に無機充填剤の凝集を抑制する効果が得られる。
アミド系またはウレア系の滑剤の添加量は、0.01〜0.5重量%であることが好ましく、0.02〜0.2重量%であることがより好ましい。0.01重量%未満では無機充填剤の凝集効果が失われる。一方、0.5重量%よりも多いと直流電気特性が低下する。
〔粗粒凝集物の除去〕
本発明に係るXLPE組成物は、低密度ポリエチレンに、無機充填剤及び滑剤を添加した後、無機充填剤の粗粒凝集物が以下の手順により除去される。
すなわち、LDPE、無機充填剤及び滑剤、さらに必要に応じて酸化防止剤や滑剤の添加剤をバンバリーミキサー、二軸押出機などで十分に混練し、XLPE組成物となるコンパウンドを生成する。その後、押出機によりコンパウンドを300〜500メッシュ以上のファインスクリーンメッシュに通過させる。
その後、ファインスクリーンメッシュを通過したコンパウンドに架橋剤を加え、ケーブル押出被覆に供する。以上により、電力ケーブルを構成する導体の外周にXLPE組成物からなる絶縁層が形成され、電力ケーブルが形成される。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
通常のXLPEケーブル用ベースに用いる低密度ポリエチレン(LDPE)を用いてXLPE組成物となるコンパウンドを作成した。無機充填剤としては、カーボンブラックまたは酸化マグネシウムを用いた。また、滑剤としては、オレイン酸アミドを0.1重量%用いた。また、酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤である4,4’−チオビス−(6−第3ブチル−3−メチルフェノール)を0.2重量%用いた。
カーボンブラックとしては、BET法で測定した比表面積(m2/g)に対する鉱物油の吸油量(cc/100g)の比が0.7以上、3.5以下であり、かつ、炭素含有率が97重量%以上であり、かつ、平均一次粒径が10〜100nmであり、かつ、粒径が300nm以上の粗粒カーボンブラックの存在割合を1%以下であるカーボンブラック(以下略号で「CB」と称す)を用いた。
酸化マグネシウムとしては、平均一次粒径が10〜100nmであり、かつ、純度95%以上の人工合成された酸化マグネシウムに対しシランカップリング剤により表面処理を施したもの(以下略号で「MgO」と称す)を用いた。
無機充填剤の添加量、滑剤の添加の有無は表1に記載したとおりである。
LDPE、無機充填剤、滑剤、(所定量の酸化防止剤)を2軸押出機により十分混練した後、500メッシュのファインスクリーンメッシュを通過させて粗粒凝集物を除去した。その後、架橋剤としてDCPを2重量%添加し、500メッシュのファインスクリーンメッシュを具備したXLPEケーブル用押出機により48時間の連続押出を行った。押出量は3tであった。
連続押出品の一部は導体断面積400mm、絶縁厚9mmのXLPEケーブルとして、ケーブル評価用の試料とした。なお、絶縁厚には、絶縁層と導体との間の内部半導電体層、及び絶縁層の外側の外部半導電体層を含む。内部半導電体層、絶縁層、及び外部導電体層は3層同時に押出成形した。
〔評価〕
(1) 押出開始から48時間後に、XLPEケーブル用押出機の樹脂圧上昇(ΔP)を計測した。
(2)製造したXLPEケーブルの導体温度90℃での直流(DC)破壊電圧(kV)及び雷インパルス(Imp)破壊電圧(kV)を計測した。
(3)ケーブル絶縁体を空気中で160℃×5時間加熱し、その後の水分含有量(ppm)を計測した。
結果を表1に示す。
Figure 2010121056
表1に示すように、500メッシュのファインスクリーンメッシュを具備したXLPEケーブル用押出機による押出時にも、樹脂圧上昇が認められた。コンパウンド作成時には予め500メッシュのファインスクリーンメッシュを通過させているが、無機充填剤が再凝集するためである。樹脂圧上昇は無機充填剤の量が多いほど大きい。
No.3とNo4、No.9とNo.10を比較すると、滑剤を添加することで樹脂圧の上昇が抑制されることがわかる。
また、No.1及びNo.7より、無機充填剤の添加量が0.1重量%未満ではDC破壊電圧の低下があることがわかる。一方、No.6及びNo.12より、無機充填剤の添加量が5重量%を超えると、DC破壊電圧の低下及びImp破壊電圧の低下があることがわかる。
なお、No.3とNo4、No.9とNo.10を比較すると、滑剤を添加することで加熱後の水分含有量が低下することがわかる。これはDCPの分解残渣であるクミルアルコールの脱水分解反応が抑制されるためと考えられる。
通常のXLPEケーブル用ベースに用いる低密度ポリエチレン(LDPE)を用いてXLPE組成物となるコンパウンドを作成した。無機充填剤としては、CBを1重量%用いた。また、滑剤として、次の3種類を変量して添加した。
(1)オレイン酸アミド(以下、「滑剤A」と称す)
(2)ステアリン酸アミド(以下、「滑剤B」と称す)
(3)N・N’ジオクタデシルウレア(以下「滑剤C」と称す)
実施例1と同様にコンパウンドを作成し、連続押出品、XLPEケーブルを作成した。
また、実施例1と同様に、樹脂圧上昇(ΔP)、DC破壊電圧(kV)、Imp破壊電圧(kV)、加熱後水分含有量(ppm)を計測した。
結果を表2に示す。
Figure 2010121056
表2に示すように、滑剤A〜Cのいずれを用いた場合においても、0.01重量%以上添加することで樹脂圧上昇を1.0MPa以下に抑えることができた。一方、滑剤A〜Cのいずれも添加しない場合(No.13)や添加量が0.005重量%の場合(No.14〜16)には、1.9MPa以上の樹脂圧上昇がみられた。
また、滑剤A〜Cの添加量が0.50重量%以下においては、DC破壊電圧が1050kV以上に保たれるのに対し、0.70重量%添加した場合(No.26〜28)には、650kV以下に低下した。Imp破壊電圧についても低下がみられた。
さらに、滑剤A〜Cを0.01重量%以上添加した場合には、加熱後水分含有量を90〜180ppmに抑えることができた。これに対して、滑剤A〜Cのいずれも添加しない場合(No.13)や添加量が0.005重量%の場合(No.14〜16)には、加熱後水分含有量が350ppm以上となった。滑剤A〜Cを添加することでDCPの分解残渣であるクミルアルコールの脱水分解反応が抑制されるためと考えられる。
なお、No.1〜3及び5,6、No.7〜9及び11,12を比較すると、無機充填剤の添加量に応じて加熱後水分含有量が増加している。これは、無機充填剤そのものが親水性を有するためである。
以上説明したように、本発明によれば、XLPEケーブルに直流特性を向上させる無機充填剤を添加し、さらにアミド系またはウレア系の滑剤を添加することによって、ファインスクリーンメッシュを具備したXLPEケーブル用押出機の樹脂圧上昇を抑えることができる。このため、長時間押出特性が改善され、直流長距離ケーブルの製造が可能となる。さらに、アミド系またはウレア系の滑剤を添加することによって、DCPの分解残渣であるクミルアルコールの脱水分解反応を抑制する効果を付随して得ることができる。

Claims (5)

  1. 直流特性を改善させる無機充填剤が添加され、直流電力ケーブルの絶縁層に用いられる架橋ポリエチレン組成物であって、
    アミド系滑剤またはウレア系滑剤を0.01〜0.5重量%含有することを特徴とする架橋ポリエチレン組成物。
  2. 前記アミド系滑剤はオレイン酸アミドまたはステアリン酸アミドであることを特徴とする請求項1に記載の架橋ポリエチレン組成物。
  3. 前記ウレア系滑剤はN・N’ジオクタデシルウレアであることを特徴とする請求項1に記載の架橋ポリエチレン組成物。
  4. 前記無機充填剤の添加量は0.1〜5重量%であり、下記(1)または(2)のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の架橋ポリエチレン組成物。
    (1)BET法で測定した比表面積(m2/g)に対する鉱物油の吸油量(cc/100g)の比が0.7以上、3.5以下であり、かつ、炭素含有率が97重量%以上であり、かつ、平均一次粒径が10〜100nm、粒径が300nm以上の粗粒カーボンブラックの存在割合が1重量%以下であるカーボンブラック。
    (2)平均一次粒径が10〜100nmであり、かつ、純度95重量%以上の人工合成された酸化マグネシウム。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の架橋ポリエチレン組成物を絶縁層として用いることを特徴とする直流電力ケーブル。
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