JPH11329082A - 電気絶縁組成物及びそれを用いた電力ケーブル - Google Patents

電気絶縁組成物及びそれを用いた電力ケーブル

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JPH11329082A
JPH11329082A JP12579198A JP12579198A JPH11329082A JP H11329082 A JPH11329082 A JP H11329082A JP 12579198 A JP12579198 A JP 12579198A JP 12579198 A JP12579198 A JP 12579198A JP H11329082 A JPH11329082 A JP H11329082A
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JP
Japan
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weight
parts
fatty acid
lubricant
polyolefin
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Application number
JP12579198A
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English (en)
Inventor
Takeshi Okuyama
健 奥山
Terushi Katagai
昭史 片貝
Takanori Yamazaki
孝則 山崎
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Hitachi Cable Ltd
Original Assignee
Hitachi Cable Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】水トリーの発生、成長を低減できる耐ボウタイ
トリー性が優れた電気絶縁組成物及びそれを導体上へ直
接又は他の絶縁物層を介して被覆して成る電力ケーブ
ル。 【解決手段】ポリオレフィン又はエチレン共重合体から
成るベースポリマー100重量部に、脂肪酸金属塩0.
005〜1.000重量部と酸化防止剤0.01〜1.
00重量部と滑剤0.01〜1.00重量部を配合した
電気絶縁組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気絶縁組成物及び
それを用いた電力ケーブルに関するものである。更に詳
述すれば、本発明は耐ボウタイトリー性が優れた電気絶
縁組成物及びその電気絶縁組成物を導体上へ直接又は他
の絶縁物層を介して被覆して成る電力ケーブルに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンを代表とするポリオレフィ
ン又はエチレン共重合体は、典型的な炭化水素系高分子
材料であることから電気的特性が優れており、電線・ケ
ーブル及びそれらの付属品の絶縁材料として広く用いら
れている。そして、ポリエチレンを代表とするポリオレ
フィン又はエチレン共重合体の架橋物は、電気的特性に
加えて耐熱性も優れていることから高電圧用電線・ケー
ブル及びそれらの付属品の絶縁材料として高い信頼を得
ている。
【0003】しかし、ポリエチレンを代表とするポリオ
レフィン又はエチレン共重合体を絶縁被覆して成る電力
ケーブルは、水分若しくは高湿度、高温、高電圧、局所
的異常電界等の幾つかの要因が重なると絶縁体中に水ト
リーが発生し、酷いときには電気絶縁破壊するというこ
とが知られている。
【0004】このような水トリーは、まず疏水性のポリ
エチレンを代表とするポリオレフィン又はエチレン共重
合体から成る絶縁体に局所的異常電界部が発生し、その
局所的異常電界部に水分が集中し、それから上記要因等
が重なって水トリーが発生、成長するものと考えられて
いる。
【0005】この種の絶縁体の局所的異常電界部となる
のは、絶縁体中のボイドや異物、電力ケーブルの導体撚
線の直上に設ける内部半導電層の表面突起の不整部等で
あると考えられている。
【0006】これらの局所的異常電界部のうち内部半導
電層表面突起の不整部は、電力ケーブルの製造方法を改
善することにより皆無にすることができる。即ち、押出
機により導体撚線直上に内部導電層、その内部半導電層
上にポリオレフィン系絶縁体層、そのポリオレフィン系
絶縁体層上に外部導電層を一括同時押出しするときに
は、内部半導電層表面突起等の不整部の発生を完全に抑
止することができる。
【0007】一方、絶縁体中のボイドや異物といった局
所的異常電界部に対しては、ポリオレフィン系絶縁体内
に極性基を付与し、それによりある程度の親水性を持た
せて局所的異常電界部への水分集中を抑止することがで
きる。例えば、特開昭58−220304号公報には、
ポリオレフィン又はエチレン共重合体に分子中にOH基
を含む脂肪酸若しくはその金属塩を添加して成る耐ボウ
タイトリー性が優れた電気絶縁組成物及びその電気絶縁
組成物を導体上へ直接又は他の絶縁物層を介して被覆し
て成る電力ケーブルが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ポリオレフィ
ン又はエチレン共重合体に分子中にOH基を含む脂肪酸
若しくはその金属塩を添加して成る電気絶縁組成物で
は、配合した分子中にOH基を含む脂肪酸若しくはその
金属塩の分散性が悪いと局所的異常電界部への水分集中
が大きくなり、その結果水トリーの発生、成長が大きく
なるということが分ってきた。
【0009】本発明はかかる点に立って為されたもので
あって、その目的とするところは前記した従来技術の欠
点を解消し、ポリオレフィン又はエチレン共重合体への
分子中にOH基を含む脂肪酸若しくはその金属塩の分散
性を顕著に改善でき、その結果水トリーの発生、成長を
顕著に低減できる耐ボウタイトリー性が優れた電気絶縁
組成物及びその電気絶縁組成物を導体上へ直接又は他の
絶縁物層を介して被覆して成る電力ケーブルを提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、次の2点にある。
【0011】(1)ポリオレフィン又はエチレン共重合
体から成るベースポリマー100重量部に、分子中にO
H基を含む脂肪酸金属塩0.005〜1.000重量部
と酸化防止剤0.01〜1.00重量部と滑剤0.01
〜1.00重量部とから成る溶融物を配合して成ること
を特徴とする電気絶縁組成物。
【0012】(2)導体上へ直接又は他の絶縁物層を介
してポリオレフィン系電気絶縁組成物を被覆して成る電
力ケーブルにおいて、前記ポリオレフィン系電気絶縁組
成物はポリオレフィン又はエチレン共重合体から成るベ
ースポリマー100重量部に、分子中にOH基を含む脂
肪酸金属塩0.005〜1.000重量部と酸化防止剤
0.01〜1.00重量部と滑剤0.01〜1.00重
量部とから成る溶融物を配合して成るものであることを
特徴とする電力ケーブル。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明の電気絶縁組成物及
びそれを用いた電力ケーブルの実施の形態について説明
する。
【0014】本発明において、分子中にOH基を含む脂
肪酸金属塩、酸化防止剤及び滑剤の三者は、三者の一体
溶融物としてから配合する。
【0015】本発明において、ポリオレフィンとしては
超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポ
リエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリブテン等がある。
【0016】本発明において、エチレン共重合体として
はエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルア
クリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共
重合体、エチレン−プロピレン共重合体等がある。
【0017】本発明において、分子中にOH基を含む脂
肪酸金属塩としてはヒドロキシステアリン酸カルシウ
ム、ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、ヒドロキシ
ステアリン酸鉛、ヒドロキシステアリン酸バリウム、ヒ
ドロキシステアリン酸リチウム、ヒドロキシステアリン
酸マンガン、リシノール酸カルシウム、リシノール酸ア
ルミニウム、リシノール酸鉛、リシノール酸バリウム、
リシノール酸リチウム、リシノール酸マンガン等があ
る。
【0018】本発明において、分子中にOH基を含む脂
肪酸金属塩の配合量をベースポリマー100重量部に対
して0.005〜1.000重量部と限定したのは、
0.005重量部以下では耐ボウタイトリー性の向上効
果が小さく、逆に1.000重量部以上ではベースポリ
マーへの相容性の関係で析出するようになるためであ
る。
【0019】本発明において、酸化防止剤としてはジア
ミン系化合物、フェノール系化合物、硫黄系化合物等が
ある。
【0020】ここにおいて、ジアミン系化合物としては
フェニル・β・ナフチルアミン、N、N−ジフェニル・
P・フェニレンジアミン等がある。
【0021】フェノール系化合物としては4、4−チオ
ビス(3−メチル・6・t・ブチルフェノール)、ヒン
ダトフェノール等がある。
【0022】硫黄系化合物としてはテトラ・キス[メチ
レン・3・(ドデシルチオ)・プロピネート]メタン、
ジステアリルチオジプロピネート等がある。
【0023】本発明において、酸化防止剤の配合量をベ
ースポリマー100重量部に対して0.01〜1.00
重量部と限定したのは、0.01重量部以下では酸化防
止効果が小さく、逆に1.00重量部以上ではベースポ
リマーへの相容性の関係で析出するようになるためであ
る。
【0024】本発明において、滑剤としてはモノアマイ
ド類、ビスアマイド類等がある。
【0025】ここにおいて、モノアマイド類としてはラ
ウリル酸アマイド、ステアリン酸アマイド、オレイン酸
アマイド、エルカ酸アマイド等がある。
【0026】ビスアマイド類としてはメチレンビスヒド
ロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸
アマイド、N、N−ジオレイルアジピン酸アマイド等が
ある。
【0027】本発明において、滑剤の配合量をベースポ
リマー100重量部に対して0.01〜1.00重量部
と限定したのは、0.01重量部以下では滑剤効果が発
揮できなく、逆に1.00重量部以上ではベースポリマ
ーへの相容性の関係で析出するようになるためである。
【0028】本発明において、特に好ましい溶融物とし
ては、ヒドロキシステアリン酸カルシウム若しくはヒド
ロキシステアリン酸リチウムのいずれかの分子中にOH
基を含む脂肪酸金属塩と、4、4−チオビス(3−メチ
ル・6・t・ブチルフェノール)若しくはテトラ・キス
[メチレン・3・(ドデシルチオ)・プロピネート]メ
タンのいずれかの酸化防止剤と、ステアリン酸アマイド
若しくはN、N−ジオレイルアジピン酸アマイドのいず
れかの滑剤とから成るものである。
【0029】なお、本発明の電気絶縁組成物は、耐熱性
が要求されるときには架橋剤を適量配合し、架橋するこ
とが望ましい。
【0030】
【実施例】次に、本発明の電気絶縁組成物及びそれを用
いた電力ケーブルの実施例を従来の比較例と共に説明す
る。
【0031】(使用材料)a.ベースポリマー 低密度ポリエチレン(密度=0.920、MI=1
g/10min ) 線状低密度ポリエチレン(密度=0.937、MI
=3g/10min )b.分子中にOH基を含む脂肪酸金属塩 ヒドロキシステアリン酸カルシウム ヒドロキシステアリン酸リチウムc.酸化防止剤 4、4−チオビス(3−メチル・6・t・ブチルフ
ェノール) テトラ・キス[メチレン・3・(ドデシルチオ)・
プロピネート]メタンd.滑剤 ステアリン酸アマイド N、N−ジオレイルアジピン酸アマイドe.架橋剤 ジクミルパーオキサイド 2・(m・クメニル)イソプロピル・t・ブチルパ
ーオキサイド (材料の秤量、採取)まず、表1のベースポリマー組成
物表に従って実施例1〜8及び比較例1〜3の材料をそ
れぞれ秤量、採取した。
【0032】(脂肪酸金属塩、酸化防止剤、滑剤の溶
融)上記で採取した実施例1〜8の脂肪酸金属塩と酸化
防止剤と滑剤については、それぞれ一体的に混合してか
ら、170℃に加熱することにより熱溶融した。
【0033】(混練作業)次に、上記の材料を混練ロー
ルで混練し、シート状電気絶縁組成物として取り出し
た。
【0034】(ペレット化)次に、上記で得たシート状
物をペレタイザーにかけ、実施例1〜8及び比較例1〜
3のペレット化電気絶縁組成物とした。
【0035】(架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブルの製
造)次に、押出機により銅撚線導体上に上記で得られた
実施例1〜8及び比較例1〜3のペレット化電気絶縁組
成物樹脂組成物押し出し被覆することにより実施例1〜
8及び比較例1〜3の未架橋ポリエチレン絶縁電力ケー
ブルをそれぞれ得た。
【0036】次に、これらの未架橋ポリエチレン絶縁電
力ケーブルを高温の窒素ガス雰囲気中で架橋させ、実施
例1〜8及び比較例1〜3の架橋ポリエチレン絶縁電力
ケーブルを得た。
【0037】(架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブルの特
性試験方法)次に、上記で得られた実施例1〜8及び比
較例1〜3の架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブルについ
て耐ボウタイトリー性試験を行った。
【0038】[耐ボウタイトリー性試験]まず、供試架
橋ポリエチレン絶縁電力ケーブルを蒸溜水中に浸漬し、
それから銅導体撚線と蒸溜水温の間に交流12kvを課
電し、100日放置した。この際蒸溜水は、常温から9
0℃の温度間を12時間で変化するように調整した。
【0039】100日終了後、供試架橋ポリエチレン絶
縁電力ケーブルを取り出し、それから架橋ポリエチレン
絶縁層を剥がし取った。
【0040】次に、その剥がし取った架橋ポリエチレン
被覆層を薄くスライスした。
【0041】次に、その架橋ポリエチレンスライス物を
メチレンブルー水溶液に浸漬し、それから煮沸、染色さ
せた。
【0042】次に、その染色した架橋ポリエチレンスラ
イス物を光学顕微鏡により観察し、大きさが100μm
以上のボウタイトリーの発生数を調べた。
【0043】表1は電気絶縁組成物の材料の組成、耐ボ
ウタイトリー性試験結果を示したものである。
【0044】
【表1】
【0045】表1から分るように、比較例1の架橋ポリ
エチレン絶縁電力ケーブルはボウタイトリー数が12.
6と多い。
【0046】また、比較例2の架橋ポリエチレン絶縁電
力ケーブルもボウタイトリー数が13.3と多い。
【0047】比較例3の架橋ポリエチレン絶縁電力ケー
ブルはボウタイトリー数が100と最も多い。
【0048】これらに対して、実施例1〜実施例8の架
橋ポリエチレン絶縁電力ケーブルはボウタイトリー数が
10.2以下と顕著に少ない。
【0049】
【発明の効果】本発明の電気絶縁組成物は、ポリオレフ
ィン又はエチレン共重合体への分子中にOH基を含む脂
肪酸若しくはその金属塩の分散性を顕著に改善でき、そ
の結果その電気絶縁組成物を絶縁体とした電力ケーブル
は耐ボウタイトリー性を顕著に向上できるものであり、
工業上有用である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィン又はエチレン共重合体から
    成るベースポリマー100重量部に、分子中にOH基を
    含む脂肪酸金属塩0.005〜1.000重量部と酸化
    防止剤0.01〜1.00重量部と滑剤0.01〜1.
    00重量部とから成る一体溶融物を配合して成ることを
    特徴とする電気絶縁組成物。
  2. 【請求項2】一体溶融物が、ヒドロキシステアリン酸カ
    ルシウム若しくはヒドロキシステアリン酸リチウムのい
    ずれかの分子中にOH基を含む脂肪酸金属塩と、4、4
    0チオビス(3−メチル・6・t・ブチルフェノール)
    若しくはテトラ・キス[メチレン・3・(ドデシルチ
    オ)・プロピネート]メタンのいずれかの酸化防止剤
    と、ステアリン酸アマイド若しくはN、N−ジオレイル
    アジピン酸アマイドのいずれかの滑剤とから成ることを
    特徴とする請求項1記載の電気絶縁組成物。
  3. 【請求項3】導体上へ直接又は他の絶縁物層を介してポ
    リオレフィン系電気絶縁組成物を被覆して成る電力ケー
    ブルにおいて、前記ポリオレフィン系電気絶縁組成物は
    ポリオレフィン又はエチレン共重合体から成るベースポ
    リマー100重量部に、分子中にOH基を含む脂肪酸金
    属塩の0.005〜1.000重量部と酸化防止剤の
    0.01〜1.00重量部と滑剤の0.01〜1.00
    重量部とから成る溶融物を配合して成るものであること
    を特徴とする電力ケーブル。
  4. 【請求項4】一体溶融物が、ヒドロキシステアリン酸カ
    ルシウム若しくはヒドロキシステアリン酸リチウムのい
    ずれかの分子中にOH基を含む脂肪酸金属塩と、4、4
    −チオビス(3−メチル・6・t・ブチルフェノール)
    若しくはテトラ・キス[メチレン・3・(ドデシルチ
    オ)・プロピネート]メタンのいずれかの酸化防止剤
    と、ステアリン酸アマイド若しくはN、N−ジオレイル
    アジピン酸アマイドのいずれかの滑剤とから成ることを
    特徴とする請求項3記載の電力ケーブル。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108039244A (zh) * 2017-12-29 2018-05-15 成都新柯力化工科技有限公司 一种电缆绝缘层外用阻水填料及制造方法
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