JPH11264818A - 血栓症の検出方法 - Google Patents

血栓症の検出方法

Info

Publication number
JPH11264818A
JPH11264818A JP2241199A JP2241199A JPH11264818A JP H11264818 A JPH11264818 A JP H11264818A JP 2241199 A JP2241199 A JP 2241199A JP 2241199 A JP2241199 A JP 2241199A JP H11264818 A JPH11264818 A JP H11264818A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hgf
antibody
thrombosis
monoclonal antibody
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2241199A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3682571B2 (ja
Inventor
Akira Matsumori
昭 松森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Otsuka Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP02241199A priority Critical patent/JP3682571B2/ja
Publication of JPH11264818A publication Critical patent/JPH11264818A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3682571B2 publication Critical patent/JP3682571B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は血栓症の検出手段を提供する。 【解決手段】 ヒトの肝細胞増殖因子(HGF)を免疫
原として得られヒトHGFに特異反応性を有するモノク
ローナル抗体を用いて、血液中のHGFを免疫測定法に
より測定して、血栓症を検出する血栓症の検出方法及び
上記モノクローナル抗体を必須成分として含有する血栓
症診断剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト肝細胞増殖因
子に対するモノクローナル抗体を免疫測定法に利用して
血栓症を検出する方法及び該方法に利用される血栓症診
断剤に関する。
【0002】
【従来の技術】血栓症とは、血液の性状変化、血流のう
っ滞、血管壁の変化等により、心臓又は血管内で血液が
凝固し、血流が止まり、その血管等で養われている部分
に生じる病変をいう。その原因は動脈硬化であることが
多く脳血栓症や心筋梗塞がその極めて重要な疾患であ
る。
【0003】しかして、上記血栓症の最も代表的な一つ
である心筋梗塞につき詳述すれば、そのうち、急性心筋
梗塞は、その基本的病変として、冠状動脈の比較的近位
部に粥状硬化が生じている部分において粥腫が崩壊し、
その内容物が血管内に一部流出し、内膜面が不安定状態
になり、そこに続発的に血栓が形成され、本来あった狭
窄と相まって比較的容易に内腔閉塞が生じるものと考え
られている。また、上記血栓ができれば、そこにTXA
2(トロンボキサンA2)が形成され、それがまた血小板
凝集を惹起し、一方、冠状動脈の攣縮(スパスム)を生
じさせることが知られており、この悪循環が上記心筋梗
塞や狭心症の基本的な病態をなすとも考えられている。
【0004】急性心筋梗塞がCCUにて治療されるよう
になり、心電図モニターや心肺蘇生術の導入、抗不整脈
薬や心臓ペースメーカーの応用等が急性期死亡率の減少
に大きく貢献した。また、近年急性期死亡の大部分を占
める急性心不全、あるいはショック症候群に対しても、
より効果的な治療法開発のための努力がなされている。
【0005】心筋梗塞に伴う急性心不全に対してより合
理的且つ有効な治療を行い、虚血の進展を予防しつつ心
機能の維持、改善を図るには、まず個々の梗塞例におけ
る血行力学的障害の程度を正しく把握することが必要で
あり、また心筋障害の推移をモニターしつつ、変遷する
障害の程度に応じて適切な治療法を選択する慎重さが要
求される。
【0006】最近まで、心筋梗塞剖検症例での冠動脈血
栓頻度が21%から97%と研究者により著しい差が見
られる故に、両者の因果関係について議論が絶えなかっ
た。それは、当然のごとく検索対象及び方法上に差があ
ることは勿論のこと、臨床的な意味での心筋梗塞と剖検
上形態学的に確認されたそれとのギャップ、更に病理学
的にも種々の梗塞型があること等が絡み合っての結果で
あると推考される。
【0007】しかしながら、最近になって、急性心筋梗
塞に対する積極的な臨床的診断法・治療法の開発により
この議論には終止符が打たれようとしている。即ち、ド
ウッド(DeWood)らによると、発症後24時間以内の5
17例の貫壁性心筋梗塞例での冠動脈造影等による臨床
的検索で、冠動脈血栓が73%に認められ、6時間以内
例では80%、6〜12時間例では59%、12〜24
時間例では54%であり、冠動脈血栓溶解療法の広い応
用の妥当性をも含めて、心筋梗塞発症因子としての冠動
脈血栓の重要性が改めて認識されている。
【0008】急性心筋梗塞の発症に伴って、壊死心筋よ
り血中に流出する物質、特に心筋逸脱酵素をとらえて生
化学的診断を行うという試みは、心筋梗塞時に血清中の
GOT(glutamic oxaloacetic transaminase)、LD
H(lactic deydrogenase)等が上昇することを、19
54年にカーメン(karmen)らが初めて報告したことに
始まる。その後、HBD(α-hydroxybutyrate dehydro
genase)、CPK(creatine phosphokinase、国際呼
称:creatine kinase, CK)等の酵素の上昇が知られる
ようになり、臨床診断に広く応用されている。
【0009】しかしながら、診断確度の向上と重症度の
推定のためには、更に改善が求められ、CPKアイソザ
イムであるCPK−MBや構造蛋白であるミオシン軽鎖
等の測定が行われるようになってきている。
【0010】GOTは心臓と肝臓に最も多く含まれてい
る酵素であり、更に、骨格筋、腎、膵臓等にも存在す
る。GOTの上昇は心筋梗塞の診断には欠かせないが、
肝疾患との鑑別が問題となることがある。最高値は12
〜30時間後に出現し、3〜5日間上昇する。しかしG
OTは肝炎、肝鬱血、外科手術でも上昇することから、
之を指標とする心筋梗塞診断の特異性は低い。
【0011】LDHは腎、心臓に最も多く含まれている
が、骨格筋、赤血球、膵、脾、肝、脳、肺にも広く分布
するため、GOTと同様に他疾患との鑑別が必要であ
る。LDHはGOTと同様に90%以上の症例で上昇す
るが、肝臓、骨格筋、赤血球にも多く含まれるため、同
様に特異性が低い。
【0012】HBDはLDHアイソザイムの内、α−hy
droxybutyrateに親和性の高い分画で、LDH1、LDH
2とほぼ同様の酵素であり、心筋に対する特異性が高
い。HBD/LDH比が0.81以上の時は心筋梗塞の
可能性が高いといわれている。
【0013】CKは骨格筋に最も多く、次に心臓、脳、
腸管、胃の順に多く含まれているが、肝、腎、血液には
殆ど含まれていないことより、之を指標とする検査は、
心筋梗塞の診断に最も特異的な検査法と考えられ、梗塞
サイズの推定も可能である。該CKは心筋梗塞の診断以
外で、筋肉注射、電気ショック、外科手術、心原性ショ
ック等で上昇をきたし問題となるが、之等の場合、CK
のアイソザイムであるCK−MBを測定することによ
り、鑑別可能である。
【0014】上記CKのアイソザイムには、MM、B
B、MBの3つが知られていて、MMは骨格筋、BBは
脳、MBは心筋にそれぞれ特異的である。心筋には、1
0〜40%のCK−MBが含まれ、残りがCK−MMで
あるが、骨格筋のCK−MBの含量は3%以下である。
CKの上昇が見られる場合、成人では、総CK値に対し
てCK−MBが5%以上あれば心筋由来と考えてよいと
いわれている。
【0015】しかしながら、該CKの値は、測定法と測
定用の分析器によって大きく異なり、同一サンプルを測
定しても、施設間の測定値の差はときに4倍程度にもな
ることが知られており、それ故、異なる施設で測定され
た値を比較することはできない欠点がある。
【0016】上記のように心筋梗塞を始めとする血栓症
を簡便に、より確実に検出する方法は、いまだなく、か
かる検出法の確立が斯界で要望されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は上記斯界で要望されている血栓症の検出法を確立する
ことにある。
【0018】本発明者らは、上記目的より鋭意研究を重
ねた結果、ヒトの肝細胞増殖因子(HGF)を免疫原と
して得られヒトHGFに特異反応性を有するモノクロー
ナル抗体を利用して、例えば患者血清中のHGFを測定
するときには、測定値がよく血栓症を反映することを見
いだし、ここに本発明を完成するに至った。
【0019】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明によれば、
ヒトHGFを免疫原として得られヒトHGFに特異反応
性を有するモノクローナル抗体を用いて、血液中のHG
Fを免疫測定法により測定して、血栓症を検出すること
を特徴とする血栓症の検出方法、及びヒトHGFを免疫
原として得られヒトHGFに特異反応性を有するモノク
ローナル抗体を必須成分として含有することを特徴とす
る血栓症診断剤が提供される。
【0020】本発明は、心筋梗塞や脳血栓で代表される
血栓症患者の検出、特に早期診断を初めて可能としたも
のであり、その臨床的価値は非常に高い。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明に利用するモノクロ
ーナル抗体及び該抗体の利用による免疫測定法につき順
次詳述する。
【0022】本発明に利用する抗体は、ヒトHGFを免
疫原として得られ、ヒトHGFに特異反応性を有するモ
ノクローナル抗体より適宜選択することができる。ここ
で免疫抗原として利用されるヒトHGFは、ヒト由来の
天然のHGFである必要はなく、遺伝子工学的手法によ
り得られる組み換え型HGFやそれらの部分構造を有す
る同効物(断片)であってもよい。また上記HGFやそ
の断片をハプテンとして利用して、通常の免疫抗原の製
造技術に従って之等を結合試薬により担体と結合させて
得られるものも利用することができる。之等は適当なヒ
ト細胞等より別途単離、調製してもよく、また公知のも
のを適宜入手、利用することもできる。
【0023】之等を免疫抗原として利用した所望モノク
ローナル抗体の製造は、より具体的には、例えば上記免
疫抗原で免疫した哺乳動物の形質細胞(免疫細胞)と哺
乳動物の形質細胞腫細胞(ミエローマ細胞)との融合細
胞(ハイブリドーマ、hybridoma)を作成し、これより所
望のHGFを認識する抗体(モノクローナル抗体)を産
生するクローンを選択し、該クローンを培養することに
より実施できる。かかるモノクローナル抗体の製造は、
基本的には常法に従うことができる〔例えばHanfland,
P., Chem.Phys.Lipids, 15, 105 (1975) : Hanfland,
P., Chem.Phys.Lipids, 10, 201 (1976) : Koscielak,
J., Eur.J.Biochem., 37, 214 (1978)等参照〕。
【0024】該方法において、免疫抗原で免疫される哺
乳動物としては、特に制限はないが細胞融合に使用され
る形質細胞腫細胞との適合性を考慮すれば、一般には、
マウス、ラット等が有利に用いられる。免疫は一般的方
法により、例えば上記免疫抗原を哺乳動物に静脈内、皮
内、皮下、腹腔内注射等により投与することにより実施
できる。より具体的には、例えばマウスの場合、免疫抗
原を生理食塩水含有リン酸緩衝液(PBS)や生理食塩
水等で適当濃度に希釈し、所望により通常のアジュバン
トと併用して、供試動物に2〜14日毎に数回投与し、
総投与量が約100〜500μg/マウス程度になるよ
うにするのが好ましい。上記アジュバントとしては、百
日咳ワクチン、完全フロインドアジュバント、アラム等
を好ましく利用できる。また免疫抗原としては、上記最
終投与の約3日後に摘出した脾細胞を使用するのが好ま
しい。
【0025】上記免疫細胞と融合される他方の親細胞と
しての哺乳動物の形質細胞腫細胞としては、既に公知の
種々のもの、例えばp3/×63−Ag8(X63)
〔Nature, 256, 495-497 (1975) 〕、p3/X63−A
g8.U1(P3U1)〔Current Topics in Microbio
logy and Imunology, 81, 1-7 (1978)〕、P3/NSI
−1−Ag4−1(NS−1)〔Eur. J.Immunol., 6,
511-519 (1976) 〕、Sp2/0−Ag14(Sp2/
0)〔Nature, 276, 269-270 (1978) 〕、FO〔J. Imm
unol. Meth., 35, 1-21 (1980) 〕等や、ラットにおけ
る210.RCY3.Ag1.2.3.(Y3)〔Natu
re,277, 131-133 (1979) 〕等の骨髄腫細胞等を使用で
きる。
【0026】上記免疫細胞と形質細胞腫細胞との融合反
応は、公知の方法、例えばマイルスタイン(Milstein)
らの方法〔Method in Enzymology, 73, 3 (1981)〕等に
準じて行なうことができる。より具体的には、上記融合
反応は、通常の融合促進剤、例えばポリエチレングリコ
ール(PEG)、センダイウイルス(HVJ)等の存在
下に、通常の培地中で実施され、培地には更に融合効率
を高めるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を必要
に応じて添加することもできる。また、電気処理(電気
融合)による方法等を適宜採用することもできる。免疫
細胞と形質細胞腫細胞との使用比は、通常の方法と変り
はなく、例えば形質細胞腫細胞に対して免疫細胞を約1
〜10倍程度用いるのが普通である。融合反応時の培地
としては、上記形質細胞腫細胞の増殖に通常使用される
各種のもの、例えばRPMI−1640培地、MEM培
地、その他のこの種細胞培養に一般に利用されるものを
例示でき、通常之等培地は牛胎児血清(FCS)等の血
清補液を抜いておくのがよい。融合は上記免疫細胞と形
質細胞腫細胞との所定量を、上記培地内でよく混合し、
予め37℃程度に加温したPEG溶液、例えば平均分子
量1000〜6000程度のものを、通常培地に約30
〜60W/V%の濃度で加えて混ぜ合せることにより行
なわれる。以後、適当な培地を逐次添加して遠心分離
し、上清を除去する操作を繰返すことにより所望のハイ
ブリドーマが形成される。
【0027】得られる所望のハイブリドーマの分離は、
通常の選別用培地、例えばHAT培地(ヒポキサンチ
ン、アミノプテリン及びチミジンを含む培地)で培養す
ることにより行なわれる。該HAT培地での培養は、目
的とするハイブリドーマ以外の細胞(未融合細胞等)が
死滅するのに充分な時間、通常数日〜数週間行なえばよ
い。かくして得られるハイブリドーマは、通常の限界希
釈法により目的とする抗体の検索及び単一クローン化に
供される。
【0028】目的抗体産生株の検索は、例えばELIS
A法〔Engvall,E., Meth.Enzymol.,70, 419-439 (198
0)〕、プラーク法、スポット法、凝集反応法、オクタロ
ニー(uchterlony )法、ラジオイムノアッセイ(RI
A)法等の一般に抗体の検出に用いられている種々の方
法〔「ハイブリドーマ法とモノクローナル抗体」、株式
会社R&Dプラニング発行、第30-53 頁、昭和57年3
月5日〕に従い実施することができ、この検索には前記
免疫抗原が利用できる。
【0029】かくして得られるHGFを認識する所望の
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常
の培地で継代培養することができ、また液体窒素中で長
期間保存することができる。上記ハイブリドーマからの
モノクローナル抗体の採取は、該ハイブリドーマを常法
に従って培養してその培養上清として得る方法やハイブ
リドーマをこれと適合性のある哺乳動物に投与して増殖
させ、その腹水として得る方法等が採用される。前者の
方法は、高純度の抗体を得るのに適しており、後者の方
法は、抗体の大量生産に適している。
【0030】上記方法に従い得られる抗体産生ハイブリ
ドーマ培養上清やマウス腹水は、之等をそのまま粗製抗
体液として用いることができ、また之等は常法に従っ
て、硫酸アンミモニウム分画、塩析、ゲル濾過法、イオ
ン交換クロマトグラフィー、プロテインAカラムクロマ
トグラフィー等のアフィニテイクロマトグラフィー等に
より精製して、精製抗体とすることができる。特に好ま
しい、上記モノクローナル抗体の一具体例としては、例
えば特公平5−60359号公報記載のものを例示する
ことができる。
【0031】次いで、本発明の血栓症検出のための免疫
測定法につき詳述すれば、これは、例えば通常の酵素免
疫検定法としてのサンドイッチ法等に従うことができ、
また通常の競合法、サンドイッチ法等によるRIA法、
ELISA法、凝集法等に従うこともできる。之等各方
法の操作、手順等は常法に従うことができる。
【0032】殊に本発明方法は、HGFモノクローナル
抗体を用いた3ステップサンドイッチ法によるのが、高
感度であり好ましい。この方法は、例えば代表的には以
下の如くして実施される。即ち、96ウェルプレート等
の適当な担体に固相化させたHGFモノクローナル抗体
を第1抗体として用い、これとHGF標準溶液及び測定
物質(実験サンプル等の検体)とを、室温にて一夜静置
反応させ〔第1ステップ〕、次いで、第2抗体としての
抗HGF家兎血清(家兎抗HGFポリクローナル抗体)
を上記プレートに加え、室温で2時間程度反応させるこ
とにより、該第2抗体と第1ステップでの反応物(モノ
クローナル抗体と被測定物質との反応物)とを反応させ
〔第2ステップ〕、更に酵素標識抗家兎IgG抗体等の
標識抗体の一定量を、上記第2ステップでの反応物(モ
ノクローナル抗体と被測定物質と第2抗体との反応複合
体)と室温にて2時間程度反応させ〔第3ステップ〕、
次いで上記第3ステップで得られた反応複合体と標識抗
体との結合体から非結合標識抗体を分離除去した後、発
色溶液を加えて発色反応させ、2N硫酸にて発色反応を
停止させ、得られる発色反応液の吸光度を測定すること
により実施される。かくして検体中のHGFを定量する
ことができる。
【0033】上記において、用いる各抗体の固相化(不
溶化)は、常法に従い之等の抗体を不溶性担体に物理的
又は化学的に結合させることにより実施できる。上記不
溶化のための担体としては、例えばポリスチレン、セフ
ァデックス、イオン交換樹脂、プラスチックチューブ、
アミノ共重合体等を使用でき、不溶化は共有結合法とし
てのジアゾ法、ペプチド法、アルキル化法、架橋試薬に
よる担体結合法、Ugi反応による担体結合法等の化学
反応、或はイオン交換樹脂のような担体を用いるイオン
結合法、ガラスビーズ等の多孔性ガラスを担体として用
いる物理的吸着法等によって行なうことができる。
【0034】上記ポリクローナル抗体としては、HGF
を認識するものである限り、特に限定はなく、前記した
本発明抗体もしくは該抗体の製造において開示した免疫
抗原を哺乳動物に投与して生体内に産生される抗血清を
利用でき、これは常法に従い採取できる。
【0035】また、上記において標識に用いられる標識
抗体としては、公知のものでよく、例えば既に市販のマ
ウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ウ
マ、ウシ等の動物に免疫して得られる抗血清を、パーオ
キシダーゼ(POD)、アルカリホスファターゼ、β−
D−ガラクトシダーゼ、酸性ホスファターゼ等で酵素で
標識した抗イムノグロブリン抗体、即ち、POD標識抗
家兎IgG抗体、POD標識抗マウスIgG抗体等を使
用することができる。この酵素標識は、常法に従って実
施できる。
【0036】本発明検出法において、検体としては、例
えば血清もしくは血漿形態の血液が好ましいが、他に細
胞組織液、リンパ液、胸腺水、腹水、羊水、胃液、尿、
膵臓液、骨髄液、唾液等の各種体液を用いることもでき
る。また、上記血漿は、クエン酸血漿、EDTA血漿、
メシル酸ナフアモスタット血漿等であってもよい。
【0037】上記測定系に利用される溶媒としては、反
応に悪影響を与えない通常の各種のものをいずれも利用
でき、例えばクエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス塩
酸緩衝液、酢酸緩衝液等のpHが約5.0〜9.0程度
の緩衝液の利用が好ましい。尚、本発明においては、上
記溶媒に、約0.1〜30w/v%程度の血清(測定対
象のHGFが含まれていないもの)及び/又は約0.1
〜2M程度のNaClを含ませるのが、上記検定法の目
的により合致していて好ましい。
【0038】免疫検定の際の免疫反応条件は、特に制限
はなく、通常のこの種測定法と同様のものとすることが
できる。一般には約45℃以下、好ましくは約4〜40
℃程度の温度条件下に、約1〜80時間程度を要して免
疫反応を行なえばよい。
【0039】本発明検出法では、免疫反応終了後の固相
−液相(前記3ステップサンドイッチでの反応複合体と
標識抗体との結合体−非結合標識抗体)の分離を、例え
ば遠心分離、濾別、デカンテーション、洗浄等の通常の
方法により行なうことができる。
【0040】またかくして分離された各物質の酵素標識
活性の測定は、使用した酵素の種類に応じて、公知の各
種方法に従い実施することができる。その際用いられる
発色溶液としては、通常のもの、例えばパーオキシダー
ゼを用いる場合には、o−フェニレンジアミン(OP
D)等を用いることができ、発色反応の停止も常法に従
い例えば反応液に1〜4Nの硫酸等の適当な酵素活性阻
害剤を添加することにより実施できる。
【0041】かくして、本発明方法によれば、検体中の
HGFを高精度、高感度をもって、しかも簡便な操作で
定量でき、これによって血栓症を検出することができ
る。
【0042】即ち、健常人のHGF値は平均0.19±
0.05ng/mlであり、男女間での有意差は認めら
れず、劇症肝炎での平均値は10.17±24.77n
g/mlであり、劇症肝炎「亜急性型」と類似の病態を
呈する亜急性肝炎での平均値は2.71±2.52ng
/mlであり、更に急性肝炎(0.40±0.16ng
/ml)、慢性肝炎(0.35±0.16ng/m
l)、肝硬変(0.60±0.35ng/ml)、肝ガ
ン(0.56±0.36ng/ml)等は低値を示すの
に対して、本発明方法に従い測定された心筋梗塞患者の
結果によれば、該患者では16.39±16.05ng
/mlと高値を示し、しかもこの値は約15時間持続
し、2日後でもなお1.91±1.72ng/mlであ
った。また、本発明方法によれば、上記心筋梗塞患者に
限らず、各種血栓症患者でも、略同様の高値を示した。
【0043】これらのことから、本発明方法によれば、
血栓症患者の検出が行い得ることは勿論のこと、心筋梗
塞患者において、発作後時間の経過した症例の場合も容
易にその診断が可能であり、各種血栓症の診断、予後の
経過の観察をも行い得る利点のあることが明らかとなっ
た。
【0044】本発明はまた上記免疫測定に適した血栓症
診断剤をも提供する。
【0045】該診断剤は、HGFモノクローナル抗体を
必須の試薬成分として含有し、他に例えば前記3ステッ
プ法を例にとれば、標識抗体や第2抗体を含有すること
ができる。該診断剤中のモノクローナル抗体試薬中に
は、例えばグリセロールや牛血清蛋白等の安定化剤及び
/又は保存剤を添加存在させることもできる。この抗体
試薬は、好ましくは凍結乾燥したものであるのがよく、
診断剤中には水溶性もしくは水と混和し得る溶媒を含有
させることもできる。更に抗体試薬には再構成された試
薬系を一定のpHに保つための緩衝液や試料が悪化する
のを防止するための保存剤及び/又は安定剤を配合する
ことができる。緩衝液としては本測定法を実施する際に
pHを約5.0〜9.0とするものを用いるのが好まし
い。また再構成剤は、好ましくは水を含んだものである
が、該水の一部又は全部を水と混和し得る溶媒で置き換
えることもできる。この水と混和し得る溶媒としては、
よく知られている例えばグリセリン、アルコール類、グ
リコールエーテル類等を例示できる。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、心筋梗塞や脳血栓等の
血栓症の診断、検出、特に早期診断の可能な診断剤及び
検出法が提供される。
【0047】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述する
が、本発明は之等に限定されるものではない。
【0048】
【実施例1】 心筋梗塞患者の検出 30分以上続く胸痛、心電図上2つの誘導異常でのST
の0.1mV以上の上昇及び血清中のCPKの上昇をも
とに心筋梗塞と判断された患者9名について、胸痛発症
後、3、9、15、24及び48時間後にそれぞれ採血
し、得られた血清中のHGFを次の通り測定した。
【0049】即ち、96ウェルの抗体プレートの各ウェ
ルに、洗浄液350μlを加えて3回洗浄し、ペーパー
タオルの上に載せて充分に水分を取り除いた。次に各ウ
ェルにリン酸緩衝液50μlを加え、更にHGF標準液
又は上記検体50μlをそれぞれ加え、シールで密封し
た後、シェーカーで振盪しながら室温(25℃)で1時
間反応させた。反応後、反応液を吸引除去し、洗浄液で
5回洗浄した。洗浄後、第1抗体(抗HGFモノクロー
ナル抗体)を100μlずつ各ウェルに加え、シールで
密閉した後、シェーカーで振盪しながら室温(25℃)
で1時間反応させた。反応後、反応液を吸引除去し、洗
浄液で5回洗浄した。次に、第2抗体液(抗HGFポリ
クローナル抗体、ウサギ)を100μlずつ各ウェルに
加え、シールで密閉した後、シェーカーで振盪しながら
室温(25℃)で1時間反応させた。反応液を吸引除去
し、洗浄液で5回洗浄した。洗浄後、各ウェルにOPD
基質液を100μlずつ加えて、室温(25℃)で10
分間反応させた。この反応液に反応停止液100μlを
加えて反応を停止させ、マイクロプレート用吸光度計を
用いて波長492nmで各ウェルの吸光度を測定した。
【0050】上記の結果を下記表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】該表より、本発明HGFモノクローナル抗
体を利用したELISA系によって、心筋梗塞患者の検
出を行い得ることが明らかである。
【0053】
【実施例2】雄ラット(250〜300g)をペントバ
ルビタールナトリウムで麻酔させ、開胸後、左冠動脈走
行部を結紮し、1時間の虚血の後に再灌流して心筋梗塞
を惹起させ、結紮後1時間、再灌流後1,3,6,12
及び24時間後に、血漿を採取し、特殊免疫研究所社製
のラットHGF EIAキットにより、HGFの測定を
行なった。
【0054】結果(n=3の平均±SE)を、下記表2
に示す。
【0055】
【表2】
【0056】尚、表2には、結紮、再灌流を行わなかっ
たコントロールの同測定値を併記する。
【0057】表2より、ラット心筋梗塞モデルにおける
血漿HGF量は、再灌流3時間後という非常に早期にお
いて、その最大値を示し、この測定によって、心筋梗塞
の検出、早期診断を行い得ることが明らかとなった。
【0058】
【実施例3】この試験には、ラット頚動脈内皮細胞を剥
離し狭窄を加えることで血栓を形成させた血栓モデル
(SIATモデル)を使用した〔Circulation Researc
h, Vol.77, No.2, August 1995, pp.310-316〕。 上記施術前(Pre)、施術(内皮細胞剥離+狭窄処
置)15分後、60分後及び120分後に、各ラット
(1群4〜5匹)の血漿HGF量を、特殊免疫研究所社
製のラットHGF EIA測定キットにより、測定し
た。
【0059】また、各ラットにつき、頚動脈13mm当
りの処置血管重量(L)及び無処置血管重量(R)をそ
れぞれ求め、下式に従って血栓重量(n=5の平均±S
E)を算出した。
【0060】 血栓重量(mg/13mm,平均±SE)=〔L−R〕 かくして得られた結果を、下記表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】表3より、血栓症モデルラットの血漿HG
F量と血栓重量とは、よく相関しており、従って、血漿
HGF量の測定によって、血栓症の検出、診断が可能で
あることが判る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒトの肝細胞増殖因子を免疫原として得ら
    れヒト肝細胞増殖因子に特異反応性を有するモノクロー
    ナル抗体を用いて、血液中の肝細胞増殖因子を免疫測定
    法により測定して、血栓症を検出することを特徴とする
    血栓症の検出方法。
  2. 【請求項2】血栓症が脳血栓症である請求項1に記載の
    検出方法。
  3. 【請求項3】ヒトの肝細胞増殖因子を免疫原として得ら
    れヒト肝細胞増殖因子に特異反応性を有するモノクロー
    ナル抗体を必須成分として含有することを特徴とする血
    栓症診断剤。
  4. 【請求項4】血栓症が脳血栓症である請求項3に記載の
    診断剤。
JP02241199A 1995-05-17 1999-01-29 血栓症の検出方法 Expired - Lifetime JP3682571B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02241199A JP3682571B2 (ja) 1995-05-17 1999-01-29 血栓症の検出方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7-118582 1995-05-17
JP11858295 1995-05-17
JP02241199A JP3682571B2 (ja) 1995-05-17 1999-01-29 血栓症の検出方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28693295A Division JP2958510B2 (ja) 1995-05-17 1995-11-06 血栓症の検出方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11264818A true JPH11264818A (ja) 1999-09-28
JP3682571B2 JP3682571B2 (ja) 2005-08-10

Family

ID=26359629

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP02241199A Expired - Lifetime JP3682571B2 (ja) 1995-05-17 1999-01-29 血栓症の検出方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3682571B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012515336A (ja) * 2009-01-16 2012-07-05 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー 肝硬変の重症度の評価方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012515336A (ja) * 2009-01-16 2012-07-05 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー 肝硬変の重症度の評価方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3682571B2 (ja) 2005-08-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH06237786A (ja) 人フィブリンiiのnh2 末端フラグメントに対するモノクロナール抗体
JPH037597A (ja) 心筋トロポニンtに対する特異的抗体、その製造方法および心筋壊死の判定用試薬
KR20040025931A (ko) 변성 리포단백질의 정량법, 변성 리포단백질의 정량용시약, 순환기 질환의 검출방법 및 순환기 질환의 검출시약
FI109204B (fi) Immuunimäärityksiä ja monoklonaalisia vasta-aineita protrombiiniaktivaatiopeptideille ja niiden hajoamistuotteille
US4780410A (en) Sandwich enzyme immunoassay for PIVKA-II with monoclonal anti-PIVKA-II antibody
WO1995012617A1 (fr) Hybridome d'anticorps anti-fibrine soluble humaine, et procede d'immunodosage
JP3491748B2 (ja) 血液中の低比重リポ蛋白(ldl)もしくは変性低比重リポ蛋白の検出方法
JP3307422B2 (ja) ヒトpivka−iiの免疫学的測定方法
US5827673A (en) Method of detecting myocardial infarction
JPH0231958B2 (ja)
JP2958510B2 (ja) 血栓症の検出方法
JPH0648994B2 (ja) ヒトの心房ナトリウム排泄増加性ペプチドに対するモノクローナル抗体
JP3682571B2 (ja) 血栓症の検出方法
JP4414023B2 (ja) 関節炎関連メラノトランスフェリンの測定方法および試薬
JPH06205692A (ja) 新規な抗ヒトトロンボモジュリンモノクロ−ナル抗体およびその抗体を用いたヒトトロンボモジュリンの高感度測定方法
JP3345507B2 (ja) アシアログリコプロテインレセプターの測定法及びこれに用いる測定試薬
JP3477832B2 (ja) 肝疾患の検出方法
JPH0753757B2 (ja) モノクローナル抗体及びその使用方法
JP2004026805A (ja) 酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ5bに特異的なモノクローナル抗体およびその用途
JPS60253871A (ja) 抗アポa−1抗体
JP2003227837A (ja) 血液中の低比重リポ蛋白(ldl)もしくは変性低比重リポ蛋白の検出方法
JP4451518B2 (ja) ハイブリッド細胞、モノクローナル抗体、製造方法および測定方法
US20030003515A1 (en) Monocloral antibody-based diagnostic assay for gamma fibrinogen
JPH02236452A (ja) 活性化ヒトプロテインcとヒトプロテインcインヒビターの複合体の測定方法および測定試薬
JP2003503425A (ja) 血栓性又は血栓塞栓性疾患のための診断的試験

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040714

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040729

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050427

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050509

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100603

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100603

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110603

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120603

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130603

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130603

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140603

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term