JP3682571B2 - 血栓症の検出方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒト肝細胞増殖因子に対するモノクローナル抗体を免疫測定法に利用して血栓症を検出する方法及び該方法に利用される血栓症診断剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
血栓症とは、血液の性状変化、血流のうっ滞、血管壁の変化等により、心臓又は血管内で血液が凝固し、血流が止まり、その血管等で養われている部分に生じる病変をいう。その原因は動脈硬化であることが多く脳血栓症や心筋梗塞がその極めて重要な疾患である。
【0003】
しかして、上記血栓症の最も代表的な一つである心筋梗塞につき詳述すれば、そのうち、急性心筋梗塞は、その基本的病変として、冠状動脈の比較的近位部に粥状硬化が生じている部分において粥腫が崩壊し、その内容物が血管内に一部流出し、内膜面が不安定状態になり、そこに続発的に血栓が形成され、本来あった狭窄と相まって比較的容易に内腔閉塞が生じるものと考えられている。また、上記血栓ができれば、そこにTXA2(トロンボキサンA2)が形成され、それがまた血小板凝集を惹起し、一方、冠状動脈の攣縮(スパスム)を生じさせることが知られており、この悪循環が上記心筋梗塞や狭心症の基本的な病態をなすとも考えられている。
【0004】
急性心筋梗塞がCCUにて治療されるようになり、心電図モニターや心肺蘇生術の導入、抗不整脈薬や心臓ペースメーカーの応用等が急性期死亡率の減少に大きく貢献した。また、近年急性期死亡の大部分を占める急性心不全、あるいはショック症候群に対しても、より効果的な治療法開発のための努力がなされている。
【0005】
心筋梗塞に伴う急性心不全に対してより合理的且つ有効な治療を行い、虚血の進展を予防しつつ心機能の維持、改善を図るには、まず個々の梗塞例における血行力学的障害の程度を正しく把握することが必要であり、また心筋障害の推移をモニターしつつ、変遷する障害の程度に応じて適切な治療法を選択する慎重さが要求される。
【0006】
最近まで、心筋梗塞剖検症例での冠動脈血栓頻度が21%から97%と研究者により著しい差が見られる故に、両者の因果関係について議論が絶えなかった。それは、当然のごとく検索対象及び方法上に差があることは勿論のこと、臨床的な意味での心筋梗塞と剖検上形態学的に確認されたそれとのギャップ、更に病理学的にも種々の梗塞型があること等が絡み合っての結果であると推考される。
【0007】
しかしながら、最近になって、急性心筋梗塞に対する積極的な臨床的診断法・治療法の開発によりこの議論には終止符が打たれようとしている。即ち、ドウッド(DeWood)らによると、発症後24時間以内の517例の貫壁性心筋梗塞例での冠動脈造影等による臨床的検索で、冠動脈血栓が73%に認められ、6時間以内例では80%、6〜12時間例では59%、12〜24時間例では54%であり、冠動脈血栓溶解療法の広い応用の妥当性をも含めて、心筋梗塞発症因子としての冠動脈血栓の重要性が改めて認識されている。
【0008】
急性心筋梗塞の発症に伴って、壊死心筋より血中に流出する物質、特に心筋逸脱酵素をとらえて生化学的診断を行うという試みは、心筋梗塞時に血清中のGOT(glutamic oxaloacetic transaminase)、LDH(lactic deydrogenase)等が上昇することを、1954年にカーメン(karmen)らが初めて報告したことに始まる。その後、HBD(α-hydroxybutyrate dehydrogenase)、CPK(creatine phosphokinase、国際呼称:creatine kinase, CK)等の酵素の上昇が知られるようになり、臨床診断に広く応用されている。
【0009】
しかしながら、診断確度の向上と重症度の推定のためには、更に改善が求められ、CPKアイソザイムであるCPK−MBや構造蛋白であるミオシン軽鎖等の測定が行われるようになってきている。
【0010】
GOTは心臓と肝臓に最も多く含まれている酵素であり、更に、骨格筋、腎、膵臓等にも存在する。GOTの上昇は心筋梗塞の診断には欠かせないが、肝疾患との鑑別が問題となることがある。最高値は12〜30時間後に出現し、3〜5日間上昇する。しかしGOTは肝炎、肝鬱血、外科手術でも上昇することから、之を指標とする心筋梗塞診断の特異性は低い。
【0011】
LDHは腎、心臓に最も多く含まれているが、骨格筋、赤血球、膵、脾、肝、脳、肺にも広く分布するため、GOTと同様に他疾患との鑑別が必要である。LDHはGOTと同様に90%以上の症例で上昇するが、肝臓、骨格筋、赤血球にも多く含まれるため、同様に特異性が低い。
【0012】
HBDはLDHアイソザイムの内、α−hydroxybutyrateに親和性の高い分画で、LDH1、LDH2とほぼ同様の酵素であり、心筋に対する特異性が高い。HBD/LDH比が0.81以上の時は心筋梗塞の可能性が高いといわれている。
【0013】
CKは骨格筋に最も多く、次に心臓、脳、腸管、胃の順に多く含まれているが、肝、腎、血液には殆ど含まれていないことより、之を指標とする検査は、心筋梗塞の診断に最も特異的な検査法と考えられ、梗塞サイズの推定も可能である。該CKは心筋梗塞の診断以外で、筋肉注射、電気ショック、外科手術、心原性ショック等で上昇をきたし問題となるが、之等の場合、CKのアイソザイムであるCK−MBを測定することにより、鑑別可能である。
【0014】
上記CKのアイソザイムには、MM、BB、MBの3つが知られていて、MMは骨格筋、BBは脳、MBは心筋にそれぞれ特異的である。心筋には、10〜40%のCK−MBが含まれ、残りがCK−MMであるが、骨格筋のCK−MBの含量は3%以下である。CKの上昇が見られる場合、成人では、総CK値に対してCK−MBが5%以上あれば心筋由来と考えてよいといわれている。
【0015】
しかしながら、該CKの値は、測定法と測定用の分析器によって大きく異なり、同一サンプルを測定しても、施設間の測定値の差はときに4倍程度にもなることが知られており、それ故、異なる施設で測定された値を比較することはできない欠点がある。
【0016】
上記のように心筋梗塞を始めとする血栓症を簡便に、より確実に検出する方法は、いまだなく、かかる検出法の確立が斯界で要望されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は上記斯界で要望されている血栓症の検出法を確立することにある。
【0018】
本発明者らは、上記目的より鋭意研究を重ねた結果、ヒトの肝細胞増殖因子(HGF)を免疫原として得られヒトHGFに特異反応性を有するモノクローナル抗体を利用して、例えば患者血清中のHGFを測定するときには、測定値がよく血栓症を反映することを見いだし、ここに本発明を完成するに至った。
【0019】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明によれば、ヒトHGFを免疫原として得られヒトHGFに特異反応性を有するモノクローナル抗体を用いて、血液中のHGFを免疫測定法により測定して、血栓症を検出することを特徴とする血栓症の検出方法、及びヒトHGFを免疫原として得られヒトHGFに特異反応性を有するモノクローナル抗体を必須成分として含有することを特徴とする血栓症診断剤が提供される。
【0020】
本発明は、心筋梗塞や脳血栓で代表される血栓症患者の検出、特に早期診断を初めて可能としたものであり、その臨床的価値は非常に高い。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に利用するモノクローナル抗体及び該抗体の利用による免疫測定法につき順次詳述する。
【0022】
本発明に利用する抗体は、ヒトHGFを免疫原として得られ、ヒトHGFに特異反応性を有するモノクローナル抗体より適宜選択することができる。ここで免疫抗原として利用されるヒトHGFは、ヒト由来の天然のHGFである必要はなく、遺伝子工学的手法により得られる組み換え型HGFやそれらの部分構造を有する同効物(断片)であってもよい。また上記HGFやその断片をハプテンとして利用して、通常の免疫抗原の製造技術に従って之等を結合試薬により担体と結合させて得られるものも利用することができる。之等は適当なヒト細胞等より別途単離、調製してもよく、また公知のものを適宜入手、利用することもできる。
【0023】
之等を免疫抗原として利用した所望モノクローナル抗体の製造は、より具体的には、例えば上記免疫抗原で免疫した哺乳動物の形質細胞(免疫細胞)と哺乳動物の形質細胞腫細胞(ミエローマ細胞)との融合細胞(ハイブリドーマ、hybridoma)を作成し、これより所望のHGFを認識する抗体(モノクローナル抗体)を産生するクローンを選択し、該クローンを培養することにより実施できる。かかるモノクローナル抗体の製造は、基本的には常法に従うことができる〔例えばHanfland,P., Chem.Phys.Lipids, 15, 105 (1975) : Hanfland,P., Chem.Phys.Lipids, 10, 201 (1976) : Koscielak,J., Eur.J.Biochem., 37, 214 (1978)等参照〕。
【0024】
該方法において、免疫抗原で免疫される哺乳動物としては、特に制限はないが細胞融合に使用される形質細胞腫細胞との適合性を考慮すれば、一般には、マウス、ラット等が有利に用いられる。免疫は一般的方法により、例えば上記免疫抗原を哺乳動物に静脈内、皮内、皮下、腹腔内注射等により投与することにより実施できる。より具体的には、例えばマウスの場合、免疫抗原を生理食塩水含有リン酸緩衝液(PBS)や生理食塩水等で適当濃度に希釈し、所望により通常のアジュバントと併用して、供試動物に2〜14日毎に数回投与し、総投与量が約100〜500μg/マウス程度になるようにするのが好ましい。上記アジュバントとしては、百日咳ワクチン、完全フロインドアジュバント、アラム等を好ましく利用できる。また免疫抗原としては、上記最終投与の約3日後に摘出した脾細胞を使用するのが好ましい。
【0025】
上記免疫細胞と融合される他方の親細胞としての哺乳動物の形質細胞腫細胞としては、既に公知の種々のもの、例えばp3/×63−Ag8(X63)〔Nature, 256, 495-497 (1975) 〕、p3/X63−Ag8.U1(P3U1)〔Current Topics in Microbiology and Imunology, 81, 1-7 (1978)〕、P3/NSI−1−Ag4−1(NS−1)〔Eur. J.Immunol., 6, 511-519 (1976) 〕、Sp2/0−Ag14(Sp2/0)〔Nature, 276, 269-270 (1978) 〕、FO〔J. Immunol. Meth., 35, 1-21 (1980) 〕等や、ラットにおける210.RCY3.Ag1.2.3.(Y3)〔Nature,277, 131-133 (1979) 〕等の骨髄腫細胞等を使用できる。
【0026】
上記免疫細胞と形質細胞腫細胞との融合反応は、公知の方法、例えばマイルスタイン(Milstein)らの方法〔Method in Enzymology, 73, 3 (1981)〕等に準じて行なうことができる。より具体的には、上記融合反応は、通常の融合促進剤、例えばポリエチレングリコール(PEG)、センダイウイルス(HVJ)等の存在下に、通常の培地中で実施され、培地には更に融合効率を高めるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を必要に応じて添加することもできる。また、電気処理(電気融合)による方法等を適宜採用することもできる。免疫細胞と形質細胞腫細胞との使用比は、通常の方法と変りはなく、例えば形質細胞腫細胞に対して免疫細胞を約1〜10倍程度用いるのが普通である。融合反応時の培地としては、上記形質細胞腫細胞の増殖に通常使用される各種のもの、例えばRPMI−1640培地、MEM培地、その他のこの種細胞培養に一般に利用されるものを例示でき、通常之等培地は牛胎児血清(FCS)等の血清補液を抜いておくのがよい。融合は上記免疫細胞と形質細胞腫細胞との所定量を、上記培地内でよく混合し、予め37℃程度に加温したPEG溶液、例えば平均分子量1000〜6000程度のものを、通常培地に約30〜60W/V%の濃度で加えて混ぜ合せることにより行なわれる。以後、適当な培地を逐次添加して遠心分離し、上清を除去する操作を繰返すことにより所望のハイブリドーマが形成される。
【0027】
得られる所望のハイブリドーマの分離は、通常の選別用培地、例えばHAT培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含む培地)で培養することにより行なわれる。該HAT培地での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(未融合細胞等)が死滅するのに充分な時間、通常数日〜数週間行なえばよい。かくして得られるハイブリドーマは、通常の限界希釈法により目的とする抗体の検索及び単一クローン化に供される。
【0028】
目的抗体産生株の検索は、例えばELISA法〔Engvall,E., Meth.Enzymol.,70, 419-439 (1980)〕、プラーク法、スポット法、凝集反応法、オクタロニー(uchterlony )法、ラジオイムノアッセイ(RIA)法等の一般に抗体の検出に用いられている種々の方法〔「ハイブリドーマ法とモノクローナル抗体」、株式会社R&Dプラニング発行、第30-53 頁、昭和57年3月5日〕に従い実施することができ、この検索には前記免疫抗原が利用できる。
【0029】
かくして得られるHGFを認識する所望のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培地で継代培養することができ、また液体窒素中で長期間保存することができる。上記ハイブリドーマからのモノクローナル抗体の採取は、該ハイブリドーマを常法に従って培養してその培養上清として得る方法やハイブリドーマをこれと適合性のある哺乳動物に投与して増殖させ、その腹水として得る方法等が採用される。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適しており、後者の方法は、抗体の大量生産に適している。
【0030】
上記方法に従い得られる抗体産生ハイブリドーマ培養上清やマウス腹水は、之等をそのまま粗製抗体液として用いることができ、また之等は常法に従って、硫酸アンミモニウム分画、塩析、ゲル濾過法、イオン交換クロマトグラフィー、プロテインAカラムクロマトグラフィー等のアフィニテイクロマトグラフィー等により精製して、精製抗体とすることができる。特に好ましい、上記モノクローナル抗体の一具体例としては、例えば特公平5−60359号公報記載のものを例示することができる。
【0031】
次いで、本発明の血栓症検出のための免疫測定法につき詳述すれば、これは、例えば通常の酵素免疫検定法としてのサンドイッチ法等に従うことができ、また通常の競合法、サンドイッチ法等によるRIA法、ELISA法、凝集法等に従うこともできる。之等各方法の操作、手順等は常法に従うことができる。
【0032】
殊に本発明方法は、HGFモノクローナル抗体を用いた3ステップサンドイッチ法によるのが、高感度であり好ましい。この方法は、例えば代表的には以下の如くして実施される。即ち、96ウェルプレート等の適当な担体に固相化させたHGFモノクローナル抗体を第1抗体として用い、これとHGF標準溶液及び測定物質(実験サンプル等の検体)とを、室温にて一夜静置反応させ〔第1ステップ〕、次いで、第2抗体としての抗HGF家兎血清(家兎抗HGFポリクローナル抗体)を上記プレートに加え、室温で2時間程度反応させることにより、該第2抗体と第1ステップでの反応物(モノクローナル抗体と被測定物質との反応物)とを反応させ〔第2ステップ〕、更に酵素標識抗家兎IgG抗体等の標識抗体の一定量を、上記第2ステップでの反応物(モノクローナル抗体と被測定物質と第2抗体との反応複合体)と室温にて2時間程度反応させ〔第3ステップ〕、次いで上記第3ステップで得られた反応複合体と標識抗体との結合体から非結合標識抗体を分離除去した後、発色溶液を加えて発色反応させ、2N硫酸にて発色反応を停止させ、得られる発色反応液の吸光度を測定することにより実施される。かくして検体中のHGFを定量することができる。
【0033】
上記において、用いる各抗体の固相化(不溶化)は、常法に従い之等の抗体を不溶性担体に物理的又は化学的に結合させることにより実施できる。上記不溶化のための担体としては、例えばポリスチレン、セファデックス、イオン交換樹脂、プラスチックチューブ、アミノ共重合体等を使用でき、不溶化は共有結合法としてのジアゾ法、ペプチド法、アルキル化法、架橋試薬による担体結合法、Ugi反応による担体結合法等の化学反応、或はイオン交換樹脂のような担体を用いるイオン結合法、ガラスビーズ等の多孔性ガラスを担体として用いる物理的吸着法等によって行なうことができる。
【0034】
上記ポリクローナル抗体としては、HGFを認識するものである限り、特に限定はなく、前記した本発明抗体もしくは該抗体の製造において開示した免疫抗原を哺乳動物に投与して生体内に産生される抗血清を利用でき、これは常法に従い採取できる。
【0035】
また、上記において標識に用いられる標識抗体としては、公知のものでよく、例えば既に市販のマウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウシ等の動物に免疫して得られる抗血清を、パーオキシダーゼ(POD)、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、酸性ホスファターゼ等で酵素で標識した抗イムノグロブリン抗体、即ち、POD標識抗家兎IgG抗体、POD標識抗マウスIgG抗体等を使用することができる。この酵素標識は、常法に従って実施できる。
【0036】
本発明検出法において、検体としては、例えば血清もしくは血漿形態の血液が好ましいが、他に細胞組織液、リンパ液、胸腺水、腹水、羊水、胃液、尿、膵臓液、骨髄液、唾液等の各種体液を用いることもできる。また、上記血漿は、クエン酸血漿、EDTA血漿、メシル酸ナフアモスタット血漿等であってもよい。
【0037】
上記測定系に利用される溶媒としては、反応に悪影響を与えない通常の各種のものをいずれも利用でき、例えばクエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、酢酸緩衝液等のpHが約5.0〜9.0程度の緩衝液の利用が好ましい。尚、本発明においては、上記溶媒に、約0.1〜30w/v%程度の血清(測定対象のHGFが含まれていないもの)及び/又は約0.1〜2M程度のNaClを含ませるのが、上記検定法の目的により合致していて好ましい。
【0038】
免疫検定の際の免疫反応条件は、特に制限はなく、通常のこの種測定法と同様のものとすることができる。一般には約45℃以下、好ましくは約4〜40℃程度の温度条件下に、約1〜80時間程度を要して免疫反応を行なえばよい。
【0039】
本発明検出法では、免疫反応終了後の固相−液相(前記3ステップサンドイッチでの反応複合体と標識抗体との結合体−非結合標識抗体)の分離を、例えば遠心分離、濾別、デカンテーション、洗浄等の通常の方法により行なうことができる。
【0040】
またかくして分離された各物質の酵素標識活性の測定は、使用した酵素の種類に応じて、公知の各種方法に従い実施することができる。その際用いられる発色溶液としては、通常のもの、例えばパーオキシダーゼを用いる場合には、o−フェニレンジアミン(OPD)等を用いることができ、発色反応の停止も常法に従い例えば反応液に1〜4Nの硫酸等の適当な酵素活性阻害剤を添加することにより実施できる。
【0041】
かくして、本発明方法によれば、検体中のHGFを高精度、高感度をもって、しかも簡便な操作で定量でき、これによって血栓症を検出することができる。
【0042】
即ち、健常人のHGF値は平均0.19±0.05ng/mlであり、男女間での有意差は認められず、劇症肝炎での平均値は10.17±24.77ng/mlであり、劇症肝炎「亜急性型」と類似の病態を呈する亜急性肝炎での平均値は2.71±2.52ng/mlであり、更に急性肝炎(0.40±0.16ng/ml)、慢性肝炎(0.35±0.16ng/ml)、肝硬変(0.60±0.35ng/ml)、肝ガン(0.56±0.36ng/ml)等は低値を示すのに対して、本発明方法に従い測定された心筋梗塞患者の結果によれば、該患者では16.39±16.05ng/mlと高値を示し、しかもこの値は約15時間持続し、2日後でもなお1.91±1.72ng/mlであった。また、本発明方法によれば、上記心筋梗塞患者に限らず、各種血栓症患者でも、略同様の高値を示した。
【0043】
これらのことから、本発明方法によれば、血栓症患者の検出が行い得ることは勿論のこと、心筋梗塞患者において、発作後時間の経過した症例の場合も容易にその診断が可能であり、各種血栓症の診断、予後の経過の観察をも行い得る利点のあることが明らかとなった。
【0044】
本発明はまた上記免疫測定に適した血栓症診断剤をも提供する。
【0045】
該診断剤は、HGFモノクローナル抗体を必須の試薬成分として含有し、他に例えば前記3ステップ法を例にとれば、標識抗体や第2抗体を含有することができる。該診断剤中のモノクローナル抗体試薬中には、例えばグリセロールや牛血清蛋白等の安定化剤及び/又は保存剤を添加存在させることもできる。この抗体試薬は、好ましくは凍結乾燥したものであるのがよく、診断剤中には水溶性もしくは水と混和し得る溶媒を含有させることもできる。更に抗体試薬には再構成された試薬系を一定のpHに保つための緩衝液や試料が悪化するのを防止するための保存剤及び/又は安定剤を配合することができる。緩衝液としては本測定法を実施する際にpHを約5.0〜9.0とするものを用いるのが好ましい。また再構成剤は、好ましくは水を含んだものであるが、該水の一部又は全部を水と混和し得る溶媒で置き換えることもできる。この水と混和し得る溶媒としては、よく知られている例えばグリセリン、アルコール類、グリコールエーテル類等を例示できる。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、心筋梗塞や脳血栓等の血栓症の診断、検出、特に早期診断の可能な診断剤及び検出法が提供される。
【0047】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明は之等に限定されるものではない。
【0048】
【実施例1】
心筋梗塞患者の検出
30分以上続く胸痛、心電図上2つの誘導異常でのSTの0.1mV以上の上昇及び血清中のCPKの上昇をもとに心筋梗塞と判断された患者9名について、胸痛発症後、3、9、15、24及び48時間後にそれぞれ採血し、得られた血清中のHGFを次の通り測定した。
【0049】
即ち、96ウェルの抗体プレートの各ウェルに、洗浄液350μlを加えて3回洗浄し、ペーパータオルの上に載せて充分に水分を取り除いた。次に各ウェルにリン酸緩衝液50μlを加え、更にHGF標準液又は上記検体50μlをそれぞれ加え、シールで密封した後、シェーカーで振盪しながら室温(25℃)で1時間反応させた。反応後、反応液を吸引除去し、洗浄液で5回洗浄した。洗浄後、第1抗体(抗HGFモノクローナル抗体)を100μlずつ各ウェルに加え、シールで密閉した後、シェーカーで振盪しながら室温(25℃)で1時間反応させた。反応後、反応液を吸引除去し、洗浄液で5回洗浄した。次に、第2抗体液(抗HGFポリクローナル抗体、ウサギ)を100μlずつ各ウェルに加え、シールで密閉した後、シェーカーで振盪しながら室温(25℃)で1時間反応させた。反応液を吸引除去し、洗浄液で5回洗浄した。洗浄後、各ウェルにOPD基質液を100μlずつ加えて、室温(25℃)で10分間反応させた。この反応液に反応停止液100μlを加えて反応を停止させ、マイクロプレート用吸光度計を用いて波長492nmで各ウェルの吸光度を測定した。
【0050】
上記の結果を下記表1に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0003682571
【0052】
該表より、本発明HGFモノクローナル抗体を利用したELISA系によって、心筋梗塞患者の検出を行い得ることが明らかである。
【0053】
【実施例2】
雄ラット(250〜300g)をペントバルビタールナトリウムで麻酔させ、開胸後、左冠動脈走行部を結紮し、1時間の虚血の後に再灌流して心筋梗塞を惹起させ、結紮後1時間、再灌流後1,3,6,12及び24時間後に、血漿を採取し、特殊免疫研究所社製のラットHGF EIAキットにより、HGFの測定を行なった。
【0054】
結果(n=3の平均±SE)を、下記表2に示す。
【0055】
【表2】
Figure 0003682571
【0056】
尚、表2には、結紮、再灌流を行わなかったコントロールの同測定値を併記する。
【0057】
表2より、ラット心筋梗塞モデルにおける血漿HGF量は、再灌流3時間後という非常に早期において、その最大値を示し、この測定によって、心筋梗塞の検出、早期診断を行い得ることが明らかとなった。
【0058】
【実施例3】
この試験には、ラット頚動脈内皮細胞を剥離し狭窄を加えることで血栓を形成させた血栓モデル(SIATモデル)を使用した〔Circulation Research, Vol.77, No.2, August 1995, pp.310-316〕。
上記施術前(Pre)、施術(内皮細胞剥離+狭窄処置)15分後、60分後及び120分後に、各ラット(1群4〜5匹)の血漿HGF量を、特殊免疫研究所社製のラットHGF EIA測定キットにより、測定した。
【0059】
また、各ラットにつき、頚動脈13mm当りの処置血管重量(L)及び無処置血管重量(R)をそれぞれ求め、下式に従って血栓重量(n=5の平均±SE)を算出した。
【0060】
血栓重量(mg/13mm,平均±SE)=〔L−R〕
かくして得られた結果を、下記表3に示す。
【0061】
【表3】
Figure 0003682571
【0062】
表3より、血栓症モデルラットの血漿HGF量と血栓重量とは、よく相関しており、従って、血漿HGF量の測定によって、血栓症の検出、診断が可能であることが判る。

Claims (4)

  1. ヒトの肝細胞増殖因子を免疫原として得られヒト肝細胞増殖因子に特異反応性を有するモノクローナル抗体を用いて、血液中の肝細胞増殖因子を免疫測定法により測定して、血栓症を検出することを特徴とする血栓症の検出方法。
  2. 血栓症が脳血栓症である請求項1に記載の検出方法。
  3. ヒトの肝細胞増殖因子を免疫原として得られヒト肝細胞増殖因子に特異反応性を有するモノクローナル抗体を必須成分として含有することを特徴とする、血液中の肝細胞増殖因子を免疫測定法により測定して血栓症を検出するための血栓症診断剤。
  4. 血栓症が脳血栓症である請求項3に記載の診断剤。
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