JP3481706B2 - 肝細胞癌判定用マーカー及び該マーカーを用いる肝細胞癌の判定方法 - Google Patents

肝細胞癌判定用マーカー及び該マーカーを用いる肝細胞癌の判定方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は肝細胞癌を生化学的な
検査法によって判定する方法に関する。詳しくは、Gl
a不全血液凝固第VII因子を本態とする肝細胞癌判定用
マーカー及び該マーカーの存在を確認することにより肝
細胞癌を判定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術並びに発明が解決しようとする課題】肝臓
に原発する悪性腫瘍には、肝細胞に発生する肝細胞癌
と、胆管上皮細胞に発生する胆管癌の二型が存在する
が、両者の混合型とみるべきものもある。また、幼少児
に発生する肝癌は肝細胞癌の一種ではあるが、成人型の
ものとは異なり、一種の過誤牙腫とみられ、肝牙腫と呼
ばれる。成人型肝細胞癌の80〜90%には肝硬変症が
先行するといわれ、肝炎ウイルスとの因果関係が深い。
肝臓に発生する癌の約半数は他の臓器に発生した癌が肝
臓に転移したもので、特に胃、腸管、膵臓、胆道などに
原発した癌が門脈血流によって肝臓に転移する場合が多
い。
【0003】現在、α1フェトプロティン(以下、AFP
と称することがある)が判定に有効な肝細胞癌の腫瘍マ
ーカーとして臨床的に汎用されている。AFPとは、電
気泳動的にα1-グロブリン領域に泳動される胎児性タン
パク質の意であり、1956年に胎児血清のα1領域に
母体血清には観られない血漿タンパク質成分として見出
された。AFPは沈降定数4.5S,分子量約7万の一
本鎖のタンパク質で、約4%の糖を含み、等電点は4.
7で血清アルブミンと非常に類似した物理化学的性状を
示す。その後1960年代の初めに、胎生期に特有なタ
ンパク質と思われていたAFPが肝細胞癌患者の血清中
に出現してくることが認められ、肝細胞癌のマーカーと
して注目されるに至った("肝癌" 服部 信著、"生化学
辞典"第1版 東京化学同人)。
【0004】また、1984年にLiebmanらが、肝細胞
癌の腫瘍マーカーとしてPIVKA-IIが有用であるこ
とを報告(New Eng.J.Med.,310:p.1427-1431(1984))して
以来、PIVKA-IIの有用性が臨床的に注目されるよ
うになった。PIVKA-IIとは、プロトロンビン前駆
物質およびプロトロンビン前駆物質のグルタミン酸残基
についてのγカルボキシル化体(γカルボキシルグルタ
ミン酸:Gla)に関して、当該カルボキシル化の程度が
不完全なものを言う。これに対して、プロトロンビン前
駆物質のグルタミン酸残基についてのカルボキシル化体
に関して、当該カルボキシル化の程度が完全なものを正
常プロトロンビン(血液凝固第II因子)という。従って、
PIVKA-IIとは正常プロトロンビンのγ-カルボキシ
グルタミン酸残基についての脱カルボキシル化体である
ということもできる。他方、PIVKA-IIは生理的、
臨床的にはビタミンKの不足する状態あるいはビタミン
K拮抗剤の投与によってビタミンK作用の抑制された状
態に出現することが判明している。即ち、プロトロンビ
ン前駆物質はそのグルタミン酸残基がビタミンK及びカ
ルボキシラーゼの存在下においてカルボキシル化され、
活性体正常プロトロンビンになるのであるが、ビタミン
Kの不足状態あるいは抑制状態においては当該カルボキ
シル化が不完全となり、その結果PIVKA-IIが血液
中に出現する。PIVKA-IIとはProtein Induced by
Vitamin K Absence or Antagonist-IIの略称であり、こ
れは上記生理的観点に基づいて命名されたものである。
【0005】AFPとPIVKA-IIの検出は肝細胞癌
の判定においては相補的である。つまりAFP陰性例を
PIVKA-II陽性でカバーし、逆にPIVKA-II陰性
例をAFPでカバーする例が多い("肝癌" 服部 信
著)。相補的なAFPとPIVKA-IIの検出の出現によ
り、1970年代の肝細胞癌の判定スクーニング率に比
較すると現在のスクリーニング率は確実に高くなった。
しかし、AFPとPIVKA-IIの両者を併用しても、
肝細胞癌の判定スクリーニング率は60〜70%であ
り、なお満足できる状況ではない。
【0006】肝癌細胞の腫瘍マーカーとしてのPIVK
A-IIに関する知見を契機に、PIVKA-II以外のGl
a不全血液凝固関連因子について、これらが肝細胞癌に
特異的な新しい腫瘍マーカーに成り得るかどうかが検討
されたが、可能性は示唆されたものの単一で良好な肝細
胞癌スクリーニング用マーカーとなり得るものは見いだ
されていない(1988年度日本消化器病学会大会)。
【0007】かかる状況に鑑み、本願発明者らはGla
不全血液凝固関連因子の一種であるPIVKA-VIIが他
の肝細胞癌のマーカーよりも特異性の高いマーカーと成
り得るかどうかを検討した。PIVKA-VIIは、Gla
不全血液凝固第VII因子である。血液凝固第VII因子は、
Glaドメイン、第1及び第2EGF様ドメイン、セリ
ンプロテアーゼドメインから構成され、分子量約50,
000を有する外因系血液凝固に主要な役割を演ずる一
本鎖糖蛋白質である。Glaドメインにはヒトでは10
個のGla残基を含み、実際には、例えば血液中におい
ては前述の定義に属しながらカルボキシル化の程度の異
なる複数の物質が混在した状態で存在しており、当該混
在物質群についてこれを包括的にPIVKA-VIIと呼
ぶ。
【0008】その結果、驚いたことに生物学的試料中の
PIVKA-VIIの存在はAFP陽性かつPIVKA-II
陽性患者では100%、AFP陰性PIVKA-II陽性
患者でも100%の陽性率を示した。さらに、AFP及
びPIVKA-II両マーカー陰性患者(6例)においても
5例(83%)の患者で陽性を示した。なお、肝細胞癌以
外の肝臓疾患である肝炎(B型,C型肝炎)及び肝硬変例
については全て陰性であった。また、正常人についても
陰性を示した。これらの結果から、発明者らはPIVK
A-VIIが肝細胞癌に特異的であり、肝細胞癌患者を極め
て高い確立でスクリーニング可能な腫瘍マーカーである
ことを見出し、この知見を基に本願発明を完成した。
【0009】肝細胞癌の進展の測定や肝細胞癌の判定
に、肝細胞癌マーカーとしてPIVKA-VIIが有用であ
ることは以下に述べる方法で確認することができる。血
漿または血清等の生物学的試料中のPIVKA-VIIの存
否を確認する方法としては、酵素免疫測定法、放射免疫
測定法、ウェスタンブロット法、凝集法、免疫比濁法、
免疫拡散法等免疫学的測定方法を用いてPIVKA-VII
を直接的もしくは間接的に検出する。また、高速液体ク
ロマトグラフィーを用いて抗体カラムとゲルろ過、イオ
ン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、
等電点クロマトグラフィー及びキャピラリー電気泳動等
の生化学的分析方法を組み合わせてPIVKA-VIIを検
出し、本願発明を達成することもできる。
【0010】しかしながら、PIVKA-VIIを正確に、
かつ簡便に測定することができ、とりわけ臨床検査の場
において多数の生物学的試料を同時に処理することので
きる実用的な方法の観点から、二抗体サンドイッチ法に
基づく酵素免疫測定法及び放射免疫測定法が推奨され
る。血液凝固第VII因子には反応せずPIVKA-VIIに
対してのみ反応性を有するモノクーナル抗体を調製し、
二抗体サンドイッチ法に基づく酵素免疫測定法もしくは
放射免疫測定法における固相抗体あるいは標識抗体とし
て使用し、PIVKA-VIIを直接的に定性あるいは定量
的に検出する方法。あるいは、血液凝固第VII因子及び
PIVKA-VIIが混在する生物学的試料に対して、両者
に反応性を有する抗体を用いた系で先ず両者を総合的に
測定し、次に血液凝固第VII因子のみに反応する抗体を
用いた第二の測定系で同じ生物学的試料を測定して二つ
の測定値の差によって間接的に定性あるいは定量的にP
IVKA-VIIを検出する方法等が実際上可能であり、P
IVKA-VIIの存在を検出するという究極の目的が達成
されさえすれば、本願発明はいずれの方法に限定される
ものではない。
【0011】以下に、本願発明の生物試料中のPIVK
A-VIIの存否を確認するに際しての好適な実施態様であ
る二抗体サンドイッチ法を利用する酵素免疫測定法を例
示し、その概説を試みる。
【0012】直接的PIVKA-VII検出系 測定系全体の構成要素は固相、固相コート用抗体(第一
抗体)、標準抗原または被検血漿、標識用抗体(第二抗
体)、酵素及び基質である。固相としてはエンザイムイ
ムノアッセイ用のマイクロタイタープレートのウエルを
用いればよい。測定に先立ち、モノクローナル抗PIV
KA-VII抗体を細胞融合法によるハイブリドーマより調
製し、これを第一抗体として例えば炭酸緩衝液(pH8.
5)のような好適な緩衝液に溶解し、例えばポリスチロ
ール製エンザイムイムノアッセイ用ウエルに入れ、4℃
で一夜靜置すれば固相表面はコートされる。次に、未コ
ート部分のブロッキングとして、牛血清アルブミンをリ
ン酸緩衝液に溶解してウエルに加え同様に静置して牛血
清アルブミンをコートする。
【0013】標準抗原または被検血漿をコートされたウ
エルに加えて反応させ、引続き洗浄する。標識用抗体
(第二抗体)としては適当な抗ヒト凝固第VII因子抗体を
選択すればよく、例えば抗ヒト凝固第VII因子ウサギI
gGが用いられ得る。第二抗体に標識される酵素として
は、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダー
ゼ、ペルオキシダーゼ等を使用することができる。測定
に先立ち、グルタールアルデヒドに代表される結合剤に
よって、第二抗体に酵素を結合させコンジュゲートと
し、本願発明測定方法の実施のための試薬の一部として
予め準備しておく。基質は選択した酵素に応じて適宜使
用すればよい。例えば、酵素としてアルカリホスファタ
ーゼを選択した場合はp-ニトロフェニルホスフェート
を使用することができる。
【0014】測定は二抗体サンドイッチ法を利用する酵
素免疫測定法における通常の手順に従って行なう。即
ち、第一抗体をコートしたウエルに標準抗原または被検
血漿を加えてインキュベートし、続いて酵素標識抗体を
加えてインキュベートし、最後に基質を加えてインキュ
ベート後、反応を停止してから基質の反応量を分光光度
計によって測定する。なお、本検出系においては第一抗
体と第二抗体の種類を逆にすることも可能である。即ち
第一抗体に抗ヒト凝固第VII因子抗体を、第二抗体にモ
ノクローナル抗PIVKA-VII抗体を用いることもでき
る。
【0015】間接的PIVKA-VII検出系 基本的な構成並びに手順は直接的検出系と同じである
が、構造的に類似する血液凝固第VII因子とPIVKA-
VIIの双方に反応性を有する抗体を用いて両者を総合的
に検出する測定系(A)と、血液凝固第VII因子のみを選
択的に検出し得る測定系(B)の二つからなり、測定系
(A)の数値から測定系(B)の数値を減じた値を指標とし
てPIVKA-VIIの存否を確認する。直接的検出系に比
較してより煩雑な操作を要求されるが、PIVKA-VII
の多様性を考慮すると実際的な数値が得られることが期
待される。
【0016】本願発明によって、肝細胞癌の進行度や発
病の危険性を知るための簡便性並びに正確性を満足する
検査方法が提供される。以下に実施例により本発明を詳
述するが、本発明は該実施例によって何等限定されるも
のではない。
【0017】
【実施例】調製例 1 (ヒト血液凝固第VII因子の調製)新鮮凍結血漿を37℃
で迅速に融解した後、4℃で緩やかに撹拌しながら、1
/10容の塩化バリウムを滴加し、2時間放置した。4
℃で4,000rpm、5分間遠心処理を行ない沈澱を回収
して、Tris-塩酸緩衝液に懸濁した。この溶液を3
0%〜70%の硫酸アンモニウム塩析沈澱を行ない、得
られた沈澱を再懸濁後、DEAE-セファローズクロマ
トグラフィーを行なった。pH6.0のリン酸緩衝液で
0.05M〜0.5Mの塩化ナトリウムの濃度勾配で血液
凝固第VII因子を含有する画分を得た。当該画分を透析
後、QAE-セファデックスカラムに通液し、洗浄後塩
化カルシウム含有緩衝液で溶出した。さらにセファデッ
クスG-100カラムでゲル濾過処理し、精製後、アミ
コンの限外濾過器で濃縮した。精製した血液凝固第VII
因子はSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で単
一バンドを示した。
【0018】調製例 2 (ヒト血液凝固第VII因子に対するポリクローナル抗体の
調製)ヒト血液凝固第VII因子に対するポリクローナル抗
体を調製するために、常法に従い、調製例1で得られた
ヒト血液凝固第VII因子をフロイントの完全アジュバン
ト(DIFCO社製)と混合し、ウサギの皮下に初回投与し以
後2〜3週間毎にフロイントの不完全アジュバントと混
合したヒト血液凝固第VII因子を皮下投与して、抗ヒト
血液凝固第VII因子抗血清を調製した。抗ヒト血液凝固
第VII因子抗体は、先ず、抗血清からプロテインAゲル
(Pharmacia-LKB)によるアフィニティークロマトグラフ
ィーで常法により精製し、さらにヒト血液凝固第VII因
子に対する特異抗体を調製するために、ヒト血液凝固第
VII因子を結合させたゲル(2mgヒト血液凝固第VII因子
/mlゲル)によるアフィニティークロマトグラフィーを
行なった。
【0019】調製例 3 (ヒト血液凝固第VII因子に対するモノクローナル抗体の
調製)調製例1で得られた精製ヒト血液凝固第VII因子の
50μgを50μlの生理食塩水に溶解し、アジュバント
としてフロイントの完全アジュバント(DIFCO社製)10
0μlを加えて油中水滴型としたものを基礎免疫抗原と
した。また、追加免疫抗原として前述の精製ヒト血液凝
固第VII因子50μgを50μlの生理食塩水に溶解し調
製したものを用いた。7週齢のBALB/Cマウス(雌)
を用い、基礎免疫原を接種後、追加免疫用抗原を60日
目に免疫したマウスより得られた脾臓細胞を、通常の方
法によりマウスミエローマ細胞(P3-X63-Ag8-U1)と融合
させクローニングして血液凝固第VII因子特異性モノク
ローナル抗体を産生するハイブリドーマ5種を得た。各
々をマウス腹腔内で増殖させることによってハイブリド
ーマを大量に調製し、これより各モノクローナル抗体
(クローンNo.1〜5)を得た。
【0020】得られたモノクローナル抗体の抗原特異性
をELISA法を用いて検討したところ、全てのクロー
ンは、2価のカルシウムイオンの存在下で、ヒト血液凝
固第VII因子のみに結合し、他のビタミンK依存性凝固
因子(プロトロンビン、凝固第IX因子、凝固第X因子、プ
ロテインC、プロテインS)およびウシ血清アルブミン
との反応性は示さなかった。なお、金属キレート剤を用
いて系からカルシウムイオンを除去すると、クローンN
o.3〜5のヒト血液凝固第VII因子に対する反応性は消
失し、これらが金属イオン依存的に凝固第VII因子に反
応していることが判明した。クローンNo.3のモノクロ
ーナル抗体を産生するハイブリドーマは、工業技術院微
生物工業技術研究所(微工研:現、工業技術院生命工学工
業技術研究所)に10834号(FERM P-1083
4)の寄託番号で寄託されている。
【0021】実施例 1 (測定系の構築)ヒト凝固第VII因子を認識するポリクロ
ーナル抗体を用いたサンドイッチELISAを構築し、
ヒト凝固第VII因子とGla不全の凝固第VII因子の両物
質を検出できる測定系を作製し、この測定から得られる
凝固第VII因子値をA%とした。 96穴マイクロプレ
ートに調製例2で得られたヒト凝固第VII因子特異的ポ
リクローナル抗体を10μg/mlの濃度で100μlを加
え、4℃で16時間インキュエートすることで一次抗体
を固相化した。次に、4倍希釈したブロックエース溶液
200μlを加え同様にインキュベーションしてウエル
をマスキングした。このように調製したプレートに、
0.1%BSA(ウシ血清アルブミン)、5mM塩化カルシ
ウム、100mMベンズアミジンを含有するTBS緩衝
液で希釈した血漿検体を100μl加え、37℃で2時
間インキュベートした。その後、0.05%Tween20と
5mM塩化カルシウムを含有するTBS緩衝液で4回洗
浄し、次に二次抗体としてHRP(Horse Radish Peroxi
dase)ラベルしたヒト凝固第VII因子特異的ポリクローナ
ル抗体を0.1%BSAと5mM塩化カルシウムを含有す
るTBS緩衝液で10μg/mlに希釈した溶液を100
μl添加して37℃で2時間インキュベートした。反応
終了後、再度洗浄し、OPDA(Ortho Phenilen DiAmin
e)基質を添加して、常法により発色させた。3N硫酸で
反応を停止し、波長492nmでの吸光度で発色量を測定
した。
【0022】次に、ヒト凝固第VII因子を認識するポリ
クローナル抗体を1次抗体としてコートし、2次抗体と
して調製例3で得られたヒト凝固第VII因子のみ認識
し、Gla不全の凝固第VII因子は認識しないモノクロ
ーナル抗体を用いてサンドイッチELISAを構築し、
ヒト凝固第VII因子は検出するがGla不全の凝固第VII
因子は検出しない測定系を作製した。この測定から得ら
れる凝固第VII因子値をB%とした。操作手順は前記に
準ずる。
【0023】各々のELISAでGla不全凝固第VII
因子(PIVKA-VII)が検出されるかどうかを確認し
た。凝固第VII因子のGla領域の1〜30番目のアミ
ノ酸配列のペプチドにおいてGla残基をGluに変換
したGla不全合成凝固第VII因子ペプチドを合成し、
上記2種のELISAで該Gla不全合成凝固第VII因
子ペプチドが検出されるかどうかを確認したところ、二
次抗体にポリクローナル抗体を用いたELISA(系A)
ではGla不全ペプチドが検出されたが、モノクローナ
ル抗体を用いたELISA(系B)では検出されることは
なかった。これは、系Aでは凝固第VII因子とPIVK
A-VIIの両者を検出するが、凝固第VII因子特異的モノ
クローナル抗体を用いた系BではPIVKA-VIIは検出
しないことを意味する。そこで、系Aで得られる凝固第
VII因子値をA%とし、系Bでの凝固第VII因子値をB%
として、PIVKA-VII値はA%−B%から得られる値
とし、正常人の場合0〜6%を示すことから、上記A%
−B%値が7%以上をPIVKA-VII陽性の基準とし
た。なお、凝固第VII因子値100%は正常人プール標
準血漿を用いた。
【0024】実施例 2 (肝細胞癌患者血漿を用いたPIVKA-VIIの検出)上記
のELISAを用いて実際に、肝細胞癌患者の血漿中に
含まれるPIVKA-VII量を測定した。また、対照測定
検体として、正常人、肝炎患者(B型、C型)、肝硬変患
者の血漿についても調べ、結果を表1に示した。表1に
示した結果から明らかなように、PIVKA-VIIは、肝
細胞癌に特異的に陽性を示した。
【0025】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−313186(JP,A) 特開 平4−217996(JP,A) 特開 平7−209297(JP,A) 特開 平7−20127(JP,A) 臨床病理,1992年,第40巻第7号,p 783−788 Pediatric Researc h,1985年,Vol.19, No.4, p357−357 Journal of Hepato logy,1987年,Vol.4,p357 −363 肝臓,1990年,Vol.31, No. 1,p110 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/48 - 33/98

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Gla不全血液凝固第VII因子を本態
    とする肝細胞癌判定用マーカー。
  2. 【請求項2】 生物学的試料中のGla不全血液凝固第
    VII因子の存否を確認し、該物質の存在により陽性と
    判断することを特徴とする肝細胞癌の判定方法。
  3. 【請求項3】 生物学的試料中のGla不全血液凝固第
    VII因子を測定するにあたり、酵素免疫測定法、放射
    免疫測定法、ウェスタンブロット法、凝集法、免疫比濁
    法および免疫拡散法より選択される測定方法により構成
    される請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 生物学的試料中のGla不全血液凝固第
    VII因子を測定するにあたり、二抗体サンドイッチ法
    を利用する酵素免疫測定法を用い、Gla不全血液凝固
    第VII因子と反応するが正常血液凝固第VII因子と
    は反応しないモノクローナル抗Gla不全血液凝固第V
    II因子抗体を使用することを特徴とするGla不全血
    液凝固第VII因子の測定方法。
  5. 【請求項5】 生物学的試料中のGla不全血液凝固第
    VII因子を測定するにあたり、二抗体サンドイッチ法
    を利用する酵素免疫測定法に基づき正常血液凝固第VI
    I因子とGla不全血液凝固第VII因子の双方に反応
    性を有する抗体を用いて両者を総合的に検出する測定系
    (A)と、正常血液凝固第VII因子と反応するがGl
    a不全血液凝固第VII因子とは反応しないモノクロー
    ナル抗正常血液凝固第VII因子抗体を使用する正常血
    液凝固第VII因子のみを選択的に検出し得る測定系
    (B)の二つの測定系を構築し、測定系(A)の測定値
    から測定系(B)の測定値を減じた値を指標としてGl
    a不全血液凝固第VII因子を測定する方法。
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肝臓,1990年,Vol.31, No.1,p110
臨床病理,1992年,第40巻第7号,p783−788

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JPH08184594A (ja) 1996-07-16

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