JPH11264671A - 焼結原料の装入方法および装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スローピングシュートからパレット上に装入
される焼結原料の落下速度を低減する。 【解決手段】 スローピングシュートの下端部裏面に当
接しているカム10がカム軸13を中心とする回転するの
で、スローピングシュート６が上端部に設けた支持軸11
を支点として揺動される。このため、給鉱ホッパ１から
ドラムフィーダ３を介して切り出された焼結原料２は、
スローピングシュート６上を滑りつつ揺動され、パレッ
ト５上に落下する焼結原料２の落下速度が低下する。こ
れにより焼結原料層７の嵩密度を大幅に低下でき、焼結
原料層８の通気性が向上し、焼結鉱の歩留りおよび生産
性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ドワイトロイド式
焼結機において、スローピングシュートからパレット上
に装入した焼結原料層の嵩密度を低減することができる
焼結原料の装入方法および装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ドワイトロイド式焼結機で焼結鉱を製造
する際、図６に示すように、給鉱ホッパ１内の焼結原料
２は、ドラムフィーダ３を介して切り出され、傾斜配置
した板状のスローピングシュート４に供給される。焼結
原料２がスローピングシュート４上を滑り落ちるときの
パーコレーション（濾過、浸透）作用により粒度偏析が
生じ、スローピングシュート４上において下層部に細粒
が、また、上、中層部に粗粒が偏析した状態になる。

【０００３】このようにして、上下に粒度偏析した焼結
原料２は、スローピングシュート４の下端部から矢印方
向に連続的に移動するパレット５上に装入される際に、
上下の粒度偏析が反転し、相対的に上層部に細粒が、
中、下層に粗粒が偏析した状態で所定厚みの焼結原料層
７を形成する。パレット５は矢印方向に移動して行き、
点火炉（図示せず）に配設した点火バーナで焼結原料層
７の表層部に存在するコークス粉に着火し、焼結原料層
７の上方から空気を下方に吸引し、順次に上層から下層
に向かって燃焼域を形成しながら焼結が行われる。その
際、焼結原料層７の嵩密度が、焼結過程における通気性
を左右し、嵩密度の低減が焼結鉱の生産性向上に有効で
あることが知られている。

【０００４】そこで、近年、焼結原料の装入方法とし
て、パレット上に堆積した焼結原料層の嵩密度を意識的
に低下させる偏析装入法が積極的に採用され、問題点の
解決に役立ってきた。例えば、特開昭61-223136 号公報
には、パレット上に装入している焼結原料の流れに沿っ
て延びる複数の条材からなるフルイを設ける。このフル
イで焼結原料を分散させることによって落下速度を低下
し、パレット上に堆積される焼結原料層を低密度にし、
上層部に細粒を、中、下層部に粗粒を堆積させる方法で
ある。

【０００５】また、特開昭58-133333 号公報には、焼結
原料装入装置に電磁石を配設し、この電磁石から焼結原
料に対して磁力を作用させつつ、パレット上に装入する
方法が開示されている。具体的には、スローピングシュ
ートの裏側に電磁石を取り付け、この電磁石により、装
入中の焼結原料に存在する鉄分に磁力を及ぼし、その落
下速度を弱めて焼結原料層の嵩密度低減を図るものであ
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開昭61-223136 号公報に開示された方法では、複数の条
材からなるフルイに７％程度の水分を含有する焼結原料
が付着し、当初期待した焼結原料の偏析を維持すること
が困難である。また、特開昭58-133333 号公報に開示さ
れた方法は、電磁石を使用するため、その冷却設備等が
必要で、過大な設備設置スペースを要し、他の設備との
取り合いが困難で点火炉等を排鉱部側に寄せる必要が生
じ、焼結面積を小さくするという問題点があった。

【０００７】また、スローピングシュート上で焼結原料
は重力によって滑り落ちるため、スローピングシュート
上の磁束密度を一定にすると、スローピングシュート上
部では焼結原料の落下速度が遅いので、そこに大きな磁
束密度をかけると、焼結原料が停滞し、落下しなくな
る。そのため大きな磁束密度をかけることができなくな
り、スローピングシュート下部における落下原料に電磁
ブレーキが効かず、焼結原料層の十分な嵩密度低減が得
られないという問題点があった。

【０００８】本発明は、前記の課題を解決するために膨
大な設備投資をせず、スローピングシュートの簡単な改
造によって、パレット上に装入される焼結原料層の嵩密
度低減を図り、焼結鉱の生産性を向上する焼結原料の装
入方法および装置を提供することを目的とするものであ
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】図７は、焼結原料層の嵩
密度を変化させる実験操業を行った場合における焼結原
料の嵩密度と焼結原料の生産率との関係を示したもので
ある。通常の操業では、焼結原料の嵩密度が1.9 程度で
あることから、焼結原料層の嵩密度を低下させることに
より、焼結鉱の生産率向上が可能であることが分かる。
また、この時の焼結原料の落下速度と焼結原料層の嵩密
度との関係は、図８に示すように、焼結原料の落下速度
を低下させることにより、焼結原料層の嵩密度を低減で
きることが分かる。

【００１０】本発明は、スローピングシュート上を滑る
焼結原料がパレット上に落下する速度を低下させる手段
について種々実験を重ねた結果達成されたものである。
前記目的を達成するための請求項１記載の本発明は、給
鉱ホッパからドラムフィーダを介して切り出された焼結
原料を、スローピングシュート上を滑らせてパレット上
に装入する焼結原料の装入方法において、前記スロピン
グシュートを、上端部に設けた支持軸を支点として下端
部裏面に配置した揺動駆動装置の駆動により揺動させつ
つ装入することを特徴とする焼結原料の装入方法であ
る。

【００１１】請求項２記載の本発明は、前記スローピン
グシュートを、該スローピングシュートの下端部裏面に
当接するカムをカム軸を介して回転駆動させる揺動駆動
装置により揺動させつつ装入することを特徴とする請求
項１記載の焼結原料の装入方法である。請求項３記載の
本発明は、給鉱ホッパ、ドラムフィーダおよびスローピ
ングシュートを備えた焼結原料装入装置において、前記
スローピングシュートの下端部裏面に当接して配置され
た複数のカムと、該複数のカムを軸受を介して回転自在
に支持するカム軸と、このカム軸に連結された電動モー
タとからなる揺動駆動装置を備えたことを特徴とする焼
結原料の装入装置である。

【００１２】請求項４記載の本発明は、給鉱ホッパ、ド
ラムフィーダおよびスローピングシュートを備えた焼結
原料装入装置において、前記スローピングシュートの下
端部裏面に一端部を接続されたクランクシャフトと、こ
のクランクシャフトの他端部を偏心した側面部位に接続
されたロータと、該ロータを軸受を介して支持する回転
軸に連結された電動モータとからなる揺動駆動装置を備
えたことを特徴とする焼結原料の装入装置である。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。本発明では、ドワイトロイド式焼
結機の焼結原料装入装置に、図１に示すような構造のス
ローピングシュート６を揺動させる。このスローピング
シュート６は、上端部に設けた支持軸11を支点にして揺
動可能に支持されており、下端部にスローピングシュー
ト６とは別の支持構造物に設置したカム10がスローピン
グシュート６の下端部裏面に当接した状態になってい
る。

【００１４】詳細には、図２に示すように支持軸11は、
スローピングシュート６の上端部裏面に、その幅方向に
配設した複数個（図面では中央部に１個、両端部に１個
づつの計３個）のブラケット８に固定されており、その
両端部は、支持構造物９に設置した軸受12に回動自在に
支持されている。一方、長径と短径を包含する曲線から
形成されたカム10は、カム軸13に同じ角度位相で固定配
置され、例えば、スローピングシュート６の下端部裏面
における幅方向の中央部および両端部に対応して３個が
当接されている。また、カム軸13は、両端部が支持構造
物９に設置した軸受14に回転自在に支持されており、そ
の一端部に従動プーリ15が取り付けてある。一方、支持
構造物９に減速機付きの電動モータ16が設置され、その
駆動軸17には駆動プーリ18が取り付けてあり、さらに、
従動プーリ15と駆動プーリ18との間には、Ｖベルト19が
掛け渡してある。なお、減速機付きの電動モータ16をカ
ム軸13に直結して、カム10を回転することも可能であ
る。

【００１５】次に、本発明の焼結原料の装入手順につい
て説明する。本発明では、焼結原料を装入するに際に、
減速機付きの電動モータ16を駆動し、回転軸17を介して
駆動プーリ18を回転すると、Ｖベルト19を介して従動プ
ーリ15が回転され、軸受14に支持されたカム軸13を介し
てカム10が回転される。カム10は、偏心位置のカム軸13
を中心として回転するので、スローピングシュート６
は、上端部に設けた支持軸11を支点として、カム10の長
径がスローピングシュート６の裏面に直角になった時に
上限位置に達し、逆にカム10の短径位置がスローピング
シュート６の裏面に直角になった時に下限位置に達する
という揺動運動を繰り返す。

【００１６】したがって、給鉱ホッパ１からドラムフィ
ーダ３を介して切り出された焼結原料２は、スローピン
グシュート６上を滑りながら揺動運動を受けるので、細
粒を下層部に、粗粒を上下層部に偏析するのを助長す
る。そして、スローピングシュート６の下端部で最大幅
の揺動を受け、焼結原料２は落下速度を減じてパレット
５上へ装入される。

【００１７】ここで、前記のようなスローピングシュー
ト６の上端部を支点とする揺動運動により、焼結原料２
の落下速度が低減される理由について説明する。図３に
示すように、カム10の短径ｒがスローピングシュート６
の下端部裏面に直角に当接した時には、焼結原料２のシ
ュート表面に平行な落下速度をＡとすると、落下速度Ａ
は垂直下向き速度成分A1と水平速度成分A2に分割でき
る。カム10の回転により、図４に示すように、カム10の
長径Ｒがスローピングシュート６の裏面に直角に当接し
た時には、シュート表面に平行な落下速度Ａにスローピ
ングシュート６の表面に直角な上向速度成分Ｆが加わ
り、焼結原料２は落下速度Ａと上向速度成分Ｆとを合成
した落下速度Ｂに変化する。

【００１８】これにより、垂直下向き速度成分はA1から
B1に低減され、水平速度成分はB2になる。このようなス
ローピングシュート６からパレット５上に装入される焼
結原料２の垂直落下速度の低減により、装入面での衝突
エネルギーが低下する。これにより、矢印方向に移動す
るパレット５上に堆積される焼結原料層６の嵩密度を低
下でき、その通気性が向上する。

【００１９】前記実施の形態では、スローピンシュート
６の下端部裏面に当接したカム10を回転して揺動する場
合について説明したが、揺動駆動装置はこれに限定する
ものではなく、周知の各種揺動駆動装置が適宜に使用で
き、同様の作用、効果を得ることができる。例えば、図
５に示す揺動駆動装置では、減速機を備えた電動モータ
20を駆動し、駆動軸21に取り付けた駆動プーリ22を回転
させ、Ｖベルト23を介して軸受26に支持された従動プー
リ24を回転させる。従動プーリ24の回転により、軸受26
の外側に配置されたロータ27が回転軸25を中心にして回
転され、ロータ21の偏心した側面部位にセットしたクラ
ンクシャフト29の一端部が、クランク軸28を介して回転
軸25を中心にして回転する。クランクシャフト29の他端
部は、スローピングシュート６の下端部裏面に設けた軸
受31に支持軸30を介して支持されているため、クランク
シャフト29が往復移動し、スローピングシュート６を揺
動する。

【００２０】図１に示すスローピングシュートをカムを
用いて揺動する本発明法と、図６に示すスローピングシ
ュートを固定配置した従来法との比較実験を行った。比
較実験では、表１に示す配合割合の焼結原料を用いると
共に、表２に示す焼結操業条件により焼結鉱を製造し
た。本発明法および従来法を行った場合の焼結原料の嵩
密度（ton/m³）、焼結鉱の歩留りおよび生産性（ton/hr
・m²）を図９に比較して示す。

【００２１】

【表１】

【００２２】

【表２】

【００２３】本発明では、給鉱ホッパ１からドラムフィ
ーダ３を介して切り出された焼結原料２は、スローピン
グシュート６上を滑り落ちる間にカム10の回転により揺
動を受ける。このため、スローピングシュート６上を滑
りつつ揺動されるのでパレット５上に落下する焼結原料
２の落下速度が低下し、装入面への衝突エネルギーが低
減できる。また、焼結原料２の粒度偏析が助長されと共
に落下する焼結原料２がパレット５の進行方向の広い範
囲に分散される。このため、パレット５上への原料堆積
時の混合が少なくなり、焼結原料層７の上層部に細粒
を、中、下層部に粗粒を堆積させる粒度偏析が増大す
る。さらに、カム10の回転数を制御することで高密度、
粒度偏析の効果を容易に調整でき、焼結原料の変化に応
じた制御も可能である。

【００２４】その結果、本発明法では図９に示すよう
に、焼結原料層７の嵩密度（ton/m³）を大幅に低下でき
るため、焼結原料層８の通気性が向上し、焼結鉱の歩留
り（％）および生産率（ton/hr・m²）の増大が達成され
た。

【００２５】

【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
給鉱ホッパからドラムフィーダを介して切り出された焼
結原料は、上端部に設けた支持軸を支点として下端部裏
面に配置した揺動駆動装置によって揺動されているスロ
ーピングシュート上を滑らせながらパレット上に装入さ
れる。このため、スローピングシュートからパレット上
に落下する焼結原料の落下速度が低下すると共に、焼結
原料がパレット走行方向の広い範囲に分散され、焼結原
料層の嵩密度の低下による通気性が向上する。また、焼
結原料層の高さ方向の粒度偏析が増大する効果も得ら
れ、焼結鉱の歩留りおよび生産率の向上が達成される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の焼結原料装入装置を備えた焼結機を示
す側面図である。

【図２】本発明の焼結原料装入装置を示す正面図であ
る。

【図３】本発明のスローピングシュートを揺動するカム
の作動状況を示す説明図である。

【図４】本発明のスローピングシュートを揺動するカム
の作動状況を示す説明図である。

【図５】本発明のスローピングシュートを揺動するクラ
ンクシャフト・ロータの作動状況を示す説明図である。

【図６】従来の焼結原料装入装置を備えた焼結機を示す
側面図である。

【図７】焼結原料の嵩密度と生産率との関係を示すグラ
フである。

【図８】焼結原料の落下速度と嵩密度との関係を示すグ
ラフである。

【図９】焼結原料層の嵩密度、焼結鉱の歩留りおよび焼
結鉱の生産率を従来法と本発明法とについて比較して示
すグラフである。

【符号の説明】 １ 給鉱ホッパ ２ 焼結原料 ３ ドラムフィーダ ４、６ スローピングシュート ５ パレット ７ 焼結原料層 ８ ブラケット ９ 支持構造物 10 カム 11 支持軸 12、14、26、31 軸受 13 カム軸 15、24 従動プーリ 16、20 電動モータ 17、21、駆動軸 18、22 駆動プーリ 19、23 Ｖベルト 25 回転軸 27 ロータ 28 クランク軸 29 クランクシャフト 30 支持軸

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 給鉱ホッパからドラムフィーダを介して
   切り出された焼結原料を、スローピングシュート上を滑
   らせてパレット上に装入する焼結原料の装入方法におい
   て、前記スローピングシュートを、上端部に設けた支持
   軸を支点として下端部裏面に配置した揺動駆動装置の駆
   動により揺動させつつ装入することを特徴とする焼結原
   料の装入方法。
2. 【請求項２】 前記スローピングシュートを、該スロー
   ピングシュートの下端部裏面に当接するカムをカム軸を
   介して回転駆動させる揺動駆動装置により揺動させつつ
   装入することを特徴とする請求項１記載の焼結原料の装
   入方法。
3. 【請求項３】 給鉱ホッパ、ドラムフィーダおよびスロ
   ーピングシュートを備えた焼結原料装入装置において、
   前記スローピングシュートの下端部裏面に当接して配置
   された複数のカムと、該複数のカムを軸受を介して回転
   自在に支持するカム軸と、このカム軸に連結された電動
   モータとからなる揺動駆動装置を備えたことを特徴とす
   る焼結原料の装入装置。
4. 【請求項４】 給鉱ホッパ、ドラムフィーダおよびスロ
   ーピングシュートを備えた焼結原料装入装置において、
   前記スローピングシュートの下端部裏面に一端部を接続
   されたクランクシャフトと、このクランクシャフトの他
   端部を偏心した側面部位に接続されたロータと、該ロー
   タを軸受を介して支持する回転軸に連結された電動モー
   タとからなる揺動駆動装置を備えたことを特徴とする焼
   結原料の装入装置。