JP2735839B2 - 焼結原料の装入装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高炉装入原料として使用される焼結鉱を製
造する際に、焼結機のパレットに焼結原料を装入する装
置に関する。

〔従来の技術〕

粉鉱石等の製鉄原料から焼結鉱を製造する場合、たと
えば粒径約10mm以下の鉄鉱石に適度な粒度のコークス及
び必要に応じて石灰石を混合し、この混合物を焼結機の
パレットに供給し、パレット上に形成された原料充填層
の表層にあるコークスに点火し、下方に向けて空気を吸
引しながらコークスを燃焼させ、このときに発生する燃
焼熱により鉄鉱石を焼結する。このようにコークスの燃
焼により焼結反応が進行することから、原料充填層の下
部ほど高温となり、通気抵抗が増加する。その結果、焼
結反応が不均一に進行し易くなる。

この欠点を解消するために、焼結原料の粒度が下層で
粗く上層で細かくなるように、且つコークス量も上層に
多くなるように装入する方法が従来から種々提案されて
いる。

本発明者等も、焼結原料をその粒度に応じて分散させ
てパレットに送り、均一な焼結反応を可能にする装入方
法を開発し、これを特願昭60−64677号として出願し
た。

第３図は、この出願で提案した装入方法を説明するた
めの図である。焼結原料70は、ホッパー71に蓄えられて
おり、逐次ドラムフィーダ72等の搬送手段によって、傾
斜板73等のシュートを経て装入装置74に送られる。この
装入装置74は、傾斜板73の下位側に取り付けられた複数
の棒材75を備えている。これらの棒材75群は、全体とし
て平面的には末広がり状であり、下位側で単数又は複数
の山型等の曲面状のフルイ面を形成するように、下方に
傾斜して配置されている。つまり、各棒材75間に形成さ
れる間隙は、水平方向及び垂直方向共に下位側に向かっ
て大きくなるフルイが形成されているので、傾斜板73を
経てフルイに落下した原料70は、粒径の小さなものから
フルイ面を通過して、パレット76上に原料充填層77とな
って堆積する。ここで、焼結原料70はパレット76の移動
方向と逆の方向から供給されるので、原料の粒度分布は
上層に行くに従って小さな粒径となる粒度偏析をもち、
原料中のコークスは上層ほど量的に多い分布となって、
表層部の熱不足対策に効果を発揮し、表層部の温度低下
が防止される。その結果、原料充填層77の厚み方向に関
し焼結性が均一化され、生産性良く焼結鉱を製造するこ
とができる。

〔発明が解決しようとする課題〕

焼結機に装入される焼結原料70には、微粉が含まれて
おり、水分も含まれている場合が多いので前記フルイを
形成する棒材75に原料粒子が付着し易い。棒材75の相互
間隔が10〜30mmと小さいために、ここに原料粒子が付着
すると、相互間隔が更に狭まり焼結原料70の分級性能に
支障を来す。また、棒材75に付着した焼結原料70が成長
すると、棒材75がフルイとしての機能を果たさなくな
る。更に、傾斜板73を滑走した焼結原料70は、棒材75上
の一定個所に集中して落下するので、棒材75の折損，局
部摩耗等が生じ易くなる。

したがって、従来にあっては、焼結機を定期的に停止
させ、付着物を除去したり、折損或いは局部摩耗した棒
材75を交換する作業を行っていた。しかし、この作業
は、狭隘な個所で行われるものであるために、手数を要
し、また棒材等の材料が充分にその寿命を全うしないま
まで廃棄を余儀無くされ、多くの無駄が発生する。ま
た、焼結機を停止することから、生産効率も低下する。

そこで、本発明は、このような問題点に鑑みて案出さ
れたものであって、装入原料が棒材に付着するのを防止
すると共に、棒材の寿命を延長できる装入装置を提供す
ることを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の装入装置は、その目的を達成するために、傾
斜配列した複数の棒材で構成されるフルイ面と、該フル
イ面に焼結原料を導くシュートからなる装入装置におい
て、前記各棒材を回転させる機構と、前記焼結原料の滑
走方向に沿って前記各棒材を往復動及び／又は傾動させ
る機構とを備えていることを特徴とする。

〔作用〕

複数の棒材を配列してフルイ面を構成した装入装置に
おいて、傾斜板を滑走した焼結原料は、フルイ面の棒材
に衝突して、ここで分級作用及び分散作用を受けて、焼
結機のパレット内に下層から上層に向けて粒度は順次大
から小に、炭材濃度は小から大へと連続的に偏析し、理
想的な原料充填層を形成する。ところが、棒材が局部的
な摩耗を受けたり、逆に原料粒子が付着すると、このよ
うな偏析のプロセスが阻害される。

この点、本発明の装入装置においては、複数の棒材で
構成されるフルイ面が常時或いは任意に前後進する。ま
た、各棒材も、その軸を中心として自転運動し、しかも
この回転速度は数十回転から数千回転を超える高速度ま
で自由に選択することが可能であり、更に必要に応じ傾
斜角度も変化させる。そのため、焼結原料の棒材への当
り面は、常時或いは任意に変化し、棒材が集中的で且つ
局部的な摩耗を受けることがない。また、焼結原料が棒
材に付着した場合にあっても、初期の段階で大きな運動
エネルギーをもった原料に洗い流される作用を受ける。
その結果、棒材の上で付着物が雪ダルマのように大きく
成長することがない。

したがって、棒材で構成されたフルイ面は、初期の分
級機能及び分散機能を保持し、各棒材の間を通過すると
きに生じる偏析のプロセスは円滑に進行し、大きな粒度
偏析をもつ原料充填層が焼結機のパレット上に形成され
る。

〔実施例〕

以下、図面を参照しながら、実施例により本発明の特
徴を具体的に説明する。

第１図は本実施例の装入装置を使用して焼結原料を焼
結機のパレットに装入している状態を示し、第２図は装
入装置を構成する支持枠を示す。

焼結原料１は、サージホッパー２に収容されており、
サージホッパー２の下部からドラムフィーダ３を経て装
入装置４の傾斜板（スローピングシュートともいう）５
上に落下する。傾斜板５の先端側下方には複数の棒材６
が設けられており、この棒材６が先願と同様に単数又は
複数の山型を形成するフルイ面７を構成する。傾斜板５
を滑走した焼結原料１は、棒材６の隙間を落下して、矢
印Ｘ方向に進行している焼結機のパレット８上に原料充
填層９となって装入される。フルイ面７を通過する過程
で焼結原料１が粒度分級され、原料充填層９の下層から
上層に向けて粒径が小さくなる粒度分布を持ったものと
なる。

この装入装置４は、まず装置全体を納めた装入装置支
持枠25,そして、その中に収納されているフルイ装置支
持枠33,更にその中に納められている棒材支持枠14の３
個の支持枠で構成されている（第２図参照）。

この装入装置４において、各棒材６は、以下に述べる
回転機構によって、個々の軸心を中心として回転され
る。すなわち、モータ基台10に複数のモータ11を取り付
け、それぞれの出力軸にカップリング12を介してフレキ
シブルシャフト13を接続している。そして、これらフレ
キシブルシャフト13の他端を、棒材支持枠14にセットさ
れている各棒材６の上端に接続する。これにより、個々
の棒材６は、互いに独立して回転する。この回転は、焼
結原料１の態様に応じて連続回転，間歇回転のみなら
ず、揺動を伴った回転運動とすることもできる。勿論、
回転数も自由に選定できる。この回転により、棒材６の
偏摩耗が防止され、また棒材６表面に付着した堆積物が
新たに落下してくる焼結原料１によって剥離される。そ
の結果、各棒材６の間隔が常時所定値内に維持される。

なお、本実施例では、個々の棒材６が独立して回転す
るように、それぞれの棒材６に回転力を与えるモータ11
を備えさせている。しかし、本発明は、これに拘束され
るものではなく、たとえば実願昭62−138862号で提案し
たような歯車機構を採用することにより、一つの駆動源
で多数の棒材６を回転させることもできる。或いは、歯
車機構をブロック化して、ブロック毎に棒材６を回転さ
せる駆動用モータを設けることもできる。

また、棒材６は、以下に述べる往復動機構によって、
焼結原料１の滑走方向に前後進する。すなわち、傾斜板
５の下部に取り付けたレール18に沿って移動するリニア
ベアリング17を、前後進用上枠16に設ける。また、装入
装置支持枠25にもレール32を取り付け、このレール32に
沿って移動するリニアベアリング31を台座30に設けてい
る。そして、台座30に立設したブラケット19に、ピン20
を介して基台24に設けられた油圧シリンダ22のシリンダ
ブロック21を連結する。

油圧シリンダ22を駆動してシリンダロッド21を矢印Ｙ
方向に伸縮させると、台座30は、レール32に沿って矢印
Ｚ方向に前後進する。したがって、台座30と一体構造の
前後進用上枠16も同じ方向に移動し、傾斜板５上を転動
する焼結原料１の滑走方向に沿って棒材６を前後進させ
る。この棒材６の滑走方向に関する移動によって、傾斜
板５から落下する焼結原料１が当たる棒材６の位置を変
えることができる。この棒材６の移動は、連続的或いは
間歇的ないずれであっても良い。

棒材６の前後進によって、棒材６の一箇所に焼結原料
１が落下することがなくなり、棒材６の偏摩耗が防止さ
れる。また、付着物が成長し易い棒材６の部分に、傾斜
板５から落下する焼結原料１が大きな運動エネルギーで
当たるように、棒材６を周期的に前後進させるとき、付
着物の剥離が促進される。このようにして、各棒材６の
間隔が常時所定値内に維持され、初期の分級性能が保た
れる。

この装入装置４においては、更に棒材6,つまりフルイ
面７の傾斜角度を変更する機構を組み込むこともでき
る。この確度変更機構を説明する。

まず、台車30に立設するブラケット19にピン26を介し
て設けられた油圧シリンダ27のシリンダロッド28がピン
29を介して棒材支持枠14に連結されており、この棒材支
持枠14はピン15を介して前後進用上枠16の一端に連結さ
れている。なお、台座30と前後進用上枠16及びブラケッ
ト19は、側板34,前板35等によって一体化された剛構造
で、フルイ装置支持枠33を形成している。したがって、
油圧シリンダ27を駆動して、シリンダロッド28を伸縮さ
せると、その伸縮に応じて棒材支持枠14はピン15を回転
中心として傾動する。この傾動により、棒材支持枠14に
設けられている棒材６の傾斜角度が変更される。

この傾斜角度の変更は、連続的又は間歇的に行っても
良い。たとえば、棒材６に付着物の堆積がみられる場
合、棒材６の傾斜角度を大きくして、大きな運動エネル
ギーをもった焼結原料１を、棒材６の隙間を通過させ
る。この焼結原料１の衝突によって、付着物が棒材６か
ら剥離する。また、付着性の高い焼結原料１を使用する
とき等には、傾斜角度を連続的に変え、すなわち棒材６
を傾動させることにより、付着物が成長することなく棒
材６から落下することを促進させる。

以上まとめると、本発明の装入装置は、フルイ面７を
構成する棒材６に関して４通りの運動を行っていること
になる。すなわち、棒材６の一本毎の回転運動（棒軸
を中心とした自転），フルイ面７の前後進運動，フ
ルイ面７の傾動運動であり、加えて原料の落下衝突に
よって発生する複雑な振動運動の４通りである。

原料の付着性が小さい場合には、棒材６の一本毎の回
転だけで良く、しかも回転速度の範囲は数十回転から数
千回転を超える高速度まで自由に選択できるので、それ
だけでも付着に対する対応力は充分あり、フルイ面７の
前後進運動と傾動運動は、むしろ原料充填層の偏析度や
通気性をみながら、これを最適に保つためのコントロー
ル手段として使う方が好ましい。しかし、原料の付着性
が著しい場合には、フルイ面７の前後進と傾動とによっ
て原料の付着，成長を防止し、フルイ機能を維持するこ
とが第一で、フルイ面７の前後進と傾動によってもたら
される原料粒度の偏析の変化や通気性の変動は止むを得
ないことと考える。そうした場合でも、従来のシュート
方式よりは、充分に本装置によって歩留りの向上や通気
性の向上効果は得られる。

〔発明の効果〕

以上に説明したように、本発明においては、フルイ面
を構成する複数の棒材を回転させ、且つ前後進あるいは
傾動させることにより、棒材の表面に付着物が堆積し、
成長することを防止している。また、この回転，前後
進，傾動は、傾斜板から落下する焼結原料が棒材に当た
る個所を種々変えることにもなり、棒材の偏摩耗防止に
も効果を奏する。このようにして、本発明の装入装置に
おいては、棒材の寿命延長が図られると共に、フルイ面
の初期分級性能を長期間にわたって維持することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明実施例の装入装置を使用して焼結原料を
焼結機のパレットに装入している状態を示し、第２図は
該装入装置を構成する支持枠を説明するための図であ
る。他方、第３図は、本発明者等が先に提案した焼結原
料の装入装置を示す。 1:焼結原料、2:サージホッパー 3:ドラムフィーダ、4:装入装置 5:傾斜板（スローピングシュート） 6:棒材、7:フルイ面 8:パレット、9:原料充填層 10:モータ基台、11:モータ 12:カップリング 13:フレキシブルシャフト 14:棒材支持枠、15:ピン 16:前後進用上枠、17:リニアベアリング 18:レール、19:ブラケット 20:ピン、21:シリンダロッド 22:油圧シリンダ、23:ピン 24:基台、25:装入装置支持枠 26:ピン、27:油圧シリンダ 28:シリンダロッド、29:ピン 30:台座、31:リニアベアリング 32:レール、33:フルイ装置支持枠 34:側板、35:前板

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仲 俊也 福岡県北九州市八幡東区枝光１丁目１番 １号 新日本製鐵株式會社設備技術本部 内 (72)発明者 佐原 宗夫 福岡県北九州市戸畑区大字中原46番地の 59 日鐵プラント設計株式会社内 (72)発明者 二木 亨 福岡県北九州市戸畑区大字中原46番地の 59 日鐵プラント設計株式会社内 (72)発明者 稲角 忠弘 福岡県北九州市八幡東区枝光１丁目１番 １号 新日本製鐵株式會社第三技術研究 所内 (72)発明者 藤本 政美 福岡県北九州市八幡東区枝光１丁目１番 １号 新日本製鐵株式會社第三技術研究 所内 (72)発明者 末村 芳信 福岡県北九州市八幡東区枝光１丁目１番 １号 新日本製鐵株式會社八幡製鐵所内

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】傾斜配列した複数の棒材で構成されるフル
   イ面と、該フルイ面に焼結原料を導くシュートからなる
   装入装置において、前記各棒材を回転させる機構と、前
   記焼結原料の滑走方向に沿って前記各棒材を往復動及び
   ／又は傾動させる機構とを備えていることを特徴とする
   焼結原料の装入装置。