JPH11264043A - アルミニウム合金ばね材、このばね材からなる磁気記録テープカセット用板ばね、この板ばねを具備するテープカセット、および前記ばね材の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金ばね材、このばね材からなる磁気記録テープカセット用板ばね、この板ばねを具備するテープカセット、および前記ばね材の製造方法

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JPH11264043A
JPH11264043A JP36706998A JP36706998A JPH11264043A JP H11264043 A JPH11264043 A JP H11264043A JP 36706998 A JP36706998 A JP 36706998A JP 36706998 A JP36706998 A JP 36706998A JP H11264043 A JPH11264043 A JP H11264043A
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晃一 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 初期へたりとばね力の経時劣化が改善された
アルミニウム合金ばね材、このばね材からなる磁気記録
テープカセット用板ばね、この板ばねを備えた磁気記録
テープカセット、および上記ばね材を製造する方法を提
供すること。 【解決手段】 0.3重量%以上で2.0重量%未満の
Mg、0.1〜1.5重量%のSi、および0.1〜
3.0重量%のCuを含有し、必要に応じて0.01〜
1.5重量%のMnを含有し、更に必要に応じて0.0
1〜0.5重量%のCr、0.01〜0.2重量%のZ
r、0.01〜0.2重量%のV、0.01〜0.2重
量%のSc、0.001〜0.2重量%のTi、および
0.0001〜0.05重量%のBからなる群から選ば
れた少なくとも1種を更に含有し、残部Alおよび不可
避的不純物からなるアルミニウム合金ばね材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、初期へたりとばね
力の経時劣化が改善された、磁気記録テープカセットな
どの電子機器用に適したアルミニウム合金ばね材、この
ばね材を用いた磁気記録テープカセット用板ばね、およ
び前記ばね材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図1に示すように、磁気記録テープカセ
ットの一対のリール1の空転防止用板ばね2を構成する
材料には、従来より、非磁性でさび難いSUS304な
どのステンレススチールが使用されている。しかし、ス
テンレススチールは重く、しかも高価格であるため、軽
くて低価格であるアルミニウム合金ばね材により板ばね
2を構成することが望まれている。
【0003】しかし、磁気記録テープカセットでは、使
用中、デッキ内の温度が40〜70℃に上昇するため、
3003合金や5182合金などの通常のアルミニウム
合金ばね材では、ばね力が経時的に劣化するという問題
がある。
【0004】この使用温度の上昇は、磁気記録テープカ
セットに限らず、電子機器の小型・軽量化に伴う全般的
な傾向である。
【0005】使用温度の上昇に伴う、このばね力の経時
劣化に対しては、アルミニウム合金の固溶元素を増加さ
せること、析出物を微細分散させることなどの対策が講
じられているが、未だ十分な効果が得られていない。
【0006】アルミニウム合金ばね材には、前記ばね力
の経時劣化以外に、ばね形成後にばねを数回押した段階
で、ばねが局部的に塑性変形する「初期へたり」と称す
る問題がある。
【0007】この初期へたりは、耐力を上げることで改
善されるが、従来材では、冷間加工により耐力を上げた
場合は、ばね成形後の残留応力が増加して、ばね力の経
時劣化がひどくなるという問題が生ずる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、初期
へたりとばね力の経時劣化が改善されたアルミニウム合
金ばね材を提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、上記アルミニウム合
金ばね材からなる磁気記録テープカセット用板ばねを提
供することにある。
【0010】本発明の更に他の目的は、上記磁気記録テ
ープカセット用板ばねを備えた磁気記録テープカセット
を提供することにある。
【0011】本発明の更にまた他の目的は、上記アルミ
ニウム合金ばね材を製造する方法を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】以上のような目的を達成
するため、本発明者等は、合金元素を過飽和に固溶させ
ておき、これを使用中の温度上昇で時効析出させてばね
力の経時劣化を抑える方法について検討し、その中でA
l−Mg−Cu系またはAl−Mg−Si系の析出物が
ばね力の経時劣化防止に有効なことを見出し、この知見
を基にAl−Mg−Si−Cu系合金のばね材について
研究を進めた。
【0013】その結果、合金元素のCuの量を増やす
か、所定条件で時効処理して耐力を高めた場合は、ばね
力の経時劣化を伴なうことなく、初期へたりを防止でき
ることを見出した。また、この合金系にMnを添加する
と、初期へたりとばね力の経時劣化がさらに改善される
ことを見出した。
【0014】これらの知見を踏まえ、本発明者等は、鋭
意研究を重ねた結果、初期へたりとばね力の経時劣化の
両方を改善したアルミニウム合金ばね材、このばね材を
用いた磁気記録テープカセット用板ばね、この板ばねを
具備するテープカセット、および前記ばね材の製造方法
を発明することに成功した。
【0015】即ち、本発明は、0.3重量%以上で2.
0重量%未満のMg、0.1〜1.5重量%のSi、お
よび0.1〜3.0重量%のCuを含有し、必要に応じ
て0.01〜1.5重量%のMnを含有し、更に必要に
応じて0.01〜0.5重量%のCr、0.01〜0.
2重量%のZr、0.01〜0.2重量%のV、0.0
1〜0.2重量%のSc、0.001〜0.2重量%の
Ti、および0.0001〜0.05重量%のBからな
る群から選ばれた少なくとも1種を更に含有する、残部
Alおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金ば
ね材を提供する。
【0016】また、本発明のアルミニウム合金ばね材の
表面に、化成皮膜、樹脂皮膜、または化成皮膜と樹脂皮
膜の両者を形成してもよい。
【0017】また、本発明によると、上述のアルミニウ
ム合金ばね材からなる磁気記録テープカセット用板ばね
が提供される。
【0018】更に、本発明によると、磁気記録テープが
巻回される一対のリールと、これらリールに取り付けら
れた、上述の板ばねとを具備する磁気記録テープカセッ
トが提供される。
【0019】また、本発明によると、0.3重量%以上
で2.0重量%未満のMg、0.1〜1.5重量%のS
i、および0.1〜3.0重量%のCuを含有し、必要
に応じて0.01〜1.5重量%のMnを含有し、更に
必要に応じて0.01〜0.5重量%のCr、0.01
〜0.2重量%のZr、0.01〜0.2重量%のV、
0.01〜0.2重量%のSc、0.001〜0.2重
量%のTi、および0.0001〜0.05重量%のB
からなる群から選ばれた少なくとも1種を更に含有す
る、残部Alおよび不可避的不純物からなるアルミニウ
ム合金板を400〜550℃の温度で溶体化処理する工
程、前記溶体化処理されたアルミニウム合金板を、10
0℃/分以上の冷却速度で100℃以下の温度まで冷却
する工程、および前記冷却されたアルミニウム合金板を
冷間圧延する工程を具備するアルミニウム合金ばね材の
製造方法が提供される。
【0020】上記アルミニウム合金ばね材の製造方法
は、冷間圧延されたアルミニウム合金板に80〜180
℃の温度で1時間以上10時間未満加熱する時効処理を
施す工程を更に具備してもよい。
【0021】本発明のアルミニウム合金ばね材の製造方
法は、冷間圧延工程が、冷間圧延後の圧延材の表面温度
が70℃以上となるような条件で行われ、冷間圧延後の
圧延材をコイル状に巻取る工程を更に具備してもよい。
【0022】また、本発明のアルミニウム合金ばね材の
製造方法は、冷間圧延後の圧延材に、化成処理および2
60℃以下の温度で焼付ける樹脂塗工処理のうちの少な
くとも一方の処理を施す工程を更に具備してもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明のアルミニウム合金ばね材
は、Mg、Si、Cuを必須元素として含有する。これ
ら必須元素は、いずれも使用中の温度上昇で析出して、
ばね力の経時劣化を抑える効果がある。
【0024】Mgの含有量は、0.3重量%未満ではそ
の効果が十分に得られず、2.0重量%以上では強度が
高くなりすぎて、冷間加工性が低下して量産性が悪化す
る。従ってMgの含有量は0.3重量%以上、2.0重
量%未満に規定される。Mgの含有量は、好ましくは
0.6〜1.8重量%、更に好ましくは、0.8〜1.
8重量%である。
【0025】Siの含有量は、0.1重量%未満ではそ
の効果が十分に得られず、1.5重量%を超えると強度
が高くなりすぎて冷間加工性が低下し、量産性が悪化す
る。従って、Siの含有量は0.1〜1.5重量%に規
定される。
【0026】Cuは前述のように最も重要な合金元素で
あり、その含有量は、0.1重量%未満ではその効果が
十分に得られず、3.0重量%を超えると冷間加工性が
低下して量産性が悪化する。従って、Cuの含有量は、
0.1〜3.0重量%に規定される。 Cuの含有量
は、好ましくは0.4〜2.0重量%、更に好ましくは
0.4〜1.2重量%である。
【0027】本発明のアルミニウム合金ばね材は、必要
に応じてMnを含有することが好ましい。
【0028】Mnは耐力を上げて初期へたりを防止し、
その際、ばね力の経時劣化を伴わない。その含有量は、
0.01重量%未満では耐力を十分向上させることがで
きず、初期へたりの改善に役立たない。一方、1.5重
量%を超えると巨大晶出物が生成して疲労特性が悪化す
る。従って、Mnの含有量は、0.01〜1.5重量%
に規定される。
【0029】本発明のアルミニウム合金ばね材は、さら
に必要に応じて選択元素として、Cr、Zr、V、S
c、Ti、Bのうちの1種または2種以上を含有するこ
とが好ましい。
【0030】前記選択元素のCr、Zr、V、Sc、T
i、Bはいずれも再結晶粒を微細にする効果があり、ば
ね形状にプレス成形するときの肌荒れを防止する。
【0031】これら合金元素の含有量は、Cr0.01
〜0.5重量%、Zr0.01〜0.2重量%、V0.
01〜0.2重量%、Sc0.01〜0.2重量%、T
i0.001〜0.2重量%、B0.0001〜0.0
5重量%に規定される。その理由は、各々が下限値を下
回ると十分な微細化効果が得られず、上限値を超えると
耐食性および加工性が悪化するためである。
【0032】本発明において、0.2%耐力は、300
MPa以下では初期へたりが多少大きくなる傾向にあ
り、450MPa以上ではばね力の経時劣化が多少大き
くなる傾向にあるので、300MPaを超え、450M
Pa未満とするのが望ましい。
【0033】以上説明した本発明のアルミニウム合金ば
ね材の表面に、化成皮膜、または樹脂皮膜、或いは化成
皮膜と樹脂皮膜の両者を形成することにより、耐食性、
およびプレス成形性を向上させたることが可能である。
【0034】化成皮膜は、クロム酸クロメート処理、リ
ン酸クロメート処理などにより形成することが出来る。
【0035】樹脂皮膜は、エポキシ系、アクリル系、塩
化ビニール系、ウレタン系などの樹脂皮膜あるいはそれ
にワックスなどの潤滑剤を混入させた樹脂皮膜である。
【0036】前記皮膜の両者を形成する場合は、通常、
化成皮膜の上に樹脂皮膜が形成されるが、このように両
皮膜を重ねて形成することにより、耐食性およびプレス
成形性が一層向上する。
【0037】化成皮膜、または樹脂皮膜、或いは両皮膜
が表面に形成されたアルミニウム合金ばね材は、プレス
成形時の潤滑油に揮発油を用いることができ、潤滑油の
洗浄工程を省略することができる。
【0038】化成皮膜、または樹脂皮膜、或いは両皮膜
を形成したものの厚さは、10μm以下にするのが、プ
レス成形時にカスが着き難いので望ましい。
【0039】次に、以上説明した本発明のアルミニウム
合金ばね材の製造方法について説明する。
【0040】本発明の方法では、まず、アルミニウム合
金板に対し、溶体化処理が施される。溶体化処理が施さ
れるアルミニウム合金板は、所定の合金組成を有する任
意の鋳塊または圧延板である。すなわち、DC鋳造鋳
塊、この鋳塊の熱間圧延板、この熱間圧延板の冷間圧延
板、連続鋳造圧延板、この連続鋳造圧延板の冷間圧延板
などである。
【0041】本発明の方法は、合金元素を溶体化処理工
程で過飽和に固溶させ、この過飽和固溶元素の一部を、
溶体化処理後の所定の冷却速度での冷却により、或いは
規定された処理条件での時効処理により析出させて、耐
力を高めて、初期へたりを防止し、残りの過飽和固溶元
素を使用中の温度上昇(例えば40〜70℃)で析出さ
せて、ばね力の経時劣化を防止するものである。
【0042】本発明の方法において、溶体化処理温度を
400〜550℃に規定する理由は、溶体化処理温度が
400℃未満では合金元素が十分過飽和に固溶されず、
550℃を超えると合金板が局部的に溶融するためであ
る。
【0043】溶体化処理後、100℃以下の温度まで1
00℃/分以上の冷却速度で急速冷却する理由は、この
条件を外れると過飽和固溶量が不足して、ばね力の経時
劣化を抑えることができないためである。
【0044】本発明の方法では、冷間加工によっても耐
力を高めることが出来るが、耐力は時効処理によりさら
に高めることが可能である。
【0045】本発明の方法において、時効処理を80〜
180℃の温度で1時間以上10時間未満加熱して施す
ことが好ましい理由は、温度が80℃未満でも時間が1
時間未満でも、耐力を十分高めることが困難であり、温
度が180℃を超えても時間が10時間を超えても過飽
和度が低下する傾向にあり、使用中の析出量が減少し、
ばね力の経時劣化を抑えることが困難であるためであ
る。
【0046】時効処理前に、30〜70℃の温度で1時
間以上保持する自然時効を施しておくと、時効処理によ
り耐力がより向上するので、より望ましい。
【0047】本発明の方法では、冷間圧延時の発熱を利
用して圧延材を70℃以上の温度でコイルに巻取り、コ
イルの徐冷過程で時効処理する方法を用いることが出来
る。
【0048】圧延材のコイル巻取時の表面温度を70℃
以上にするには、複数パスの冷間圧延パス間の時間を短
くするか、1パスの圧延率を大きくすればよい。冷間圧
延を複数パス行う場合、高温巻取りは1パスでだけ行え
ば良い。
【0049】以上説明した本発明の方法により得られた
アルミニウム合金ばね材に、更に、化成処理または26
0℃以下の温度で焼付ける樹脂塗工処理のうちの少なく
とも1処理を施すことが出来る。
【0050】化成処理には、クロム酸クロメート処理、
リン酸クロメート処理などが適用される。
【0051】樹脂塗工皮膜処理は、エポキシ系、アクリ
ル系、塩化ビニール系、ウレタン系などの樹脂塗料ある
いはそれにワックスなどの潤滑剤を混入させた樹脂塗料
を塗工することにより行われる。
【0052】樹脂塗工処理の焼付け温度を260℃以下
にする理由は、260℃を超えると合金元素の過飽和固
溶量が減少し、ばね力の経時劣化が改善されなくなるた
めである。
【0053】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に詳細に説明
する。
【0054】実施例1 下記表1に示す本発明の範囲内の組成のAl合金(N
o.a〜f)を常法により溶解、鋳造、均質化処理、熱
間圧延を順に施して、厚さ4mmの熱間圧延板を得た。
次いで、この熱間圧延板を3パスの冷間圧延で厚さ1.
0mmの冷間圧延板とした。次に、この冷間圧延板に、
連続焼鈍炉(CAL)により、到達温度500℃、50
0℃到達後100℃までの平均冷却速度800℃/分の
溶体化・焼入処理を施した。
【0055】その後、2パスの冷間圧延で厚さ0.40
mmの板材とし、この板材を60℃で3時間保持(自然
時効)したのち、120℃で3時間時効処理して、ばね
材とし、このばね材をプレス成形して、図2および図3
に示すような、立上がり高さhが14mmの板ばね2
を得た。
【0056】プレス成形は、粘度が15cstの潤滑剤
を用いて行ったが、いずれも問題なくプレス成形を行う
ことが出来た。
【0057】比較例1 下記表1に示す本発明の組成範囲を外れるAl合金(N
o.g〜j)を用いた他は、実施例1と同じ方法により
板ばねを製造した。
【0058】実施例1と比較例1で得られた板ばねにつ
いて、引張強さ、0.2%耐力、伸び、初期へたり(ば
ね立ち上がり高さ)、ばね力の経時劣化を調べた。
【0059】初期へたりは、重さ1kgの重りを5秒間
乗せ降ろしするサイクルを10回繰返し、その後のばね
の立ち上がり高さを求めて評価した。なお1kgの重り
を乗せた状態では、ばねは、立ち上がり高さ0mmの平
板状になっている。
【0060】ばね力の経時劣化は、ばねを高さ2mmま
で押し下げた時のばね力Fを測定し、次にこのばねに
重さ1kgの重りをのせ、70℃の温度に14日間保持
したのち、上述と同じ方法でばね力Fを測定し、P=
[(F−F)/F]×100%の式に代入してP
(ばね力低下率)を求め評価した。ばね力低下率が20
%を超えると実用不可と見なされる。
【0061】その結果を下記表2に示す。従来例とし
て、厚さ0.3mmのSUS304製板ばねの特性を併
記する。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】上記表2より明らかなように、本発明例の
試料No.1〜6は、いずれも機械的性質に優れ、初期
へたり(ばね立ち上がり高さ)とばね力の経時劣化(ば
ね力低下率)が小さく、本発明のばね材は、従来のSU
S304製ばね材に代替できるものである。
【0065】これに対し、比較例の試料No.7は、S
iが含有されていないため、ばね力の経時劣化が大きか
った。試料No.8は、Mgの含有量が少なく、試料N
o.9はCuが含有されていないため、いずれも耐力が
低く、それに伴い初期へたりが大きくなった。また、ば
ね力の経時劣化も大きかった。
【0066】実施例2 上記表1に示す本発明の組成範囲のAl合金のうち、合
金No.aに常法により溶解、鋳造、均質化処理、熱間
圧延を順に施して、厚さ4mmの熱間圧延板に加工し、
この熱間圧延板を第1冷間圧延して厚さ1.4、1.
0、0.4mmの板材とし、これらを種々の条件で溶体
化処理し、厚さ1.4と1.0mmの板材はさらに第2
冷間圧延して、厚さ0.4mmの板材とした。
【0067】第2冷間圧延では圧延後の温度を70℃以
上としてコイルに巻取った。さらに一部の板材に自然時
効処理と時効処理(本発明条件)、または/および化成
処理と樹脂塗工処理を施した。
【0068】溶体化処理条件などは下記表3に示した。
【0069】比較例2 実施例2において、溶体化処理または時効処理の条件を
本発明の条件外とした他は、実施例2と同じ方法により
ばね材を製造した。溶体化処理条件などは下記表3に併
記した。
【0070】実施例2および比較例2により製造した厚
さ0.40mmの各々のばね材を60℃で3時間保持し
た後、120℃で3時間時効処理し、次いでプレス成形
して、図2および図3に示す立上がり高さhが14m
mの板ばね2に成形した。
【0071】得られた各々の板ばねについて、引張強
さ、0.2%耐力、伸び、初期へたり(ばね立ち上がり
高さ)、ばね力の経時劣化(ばね低下率)を、実施例1
と同じ方法により調べた。その結果を下記表4に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】上記表4より明らかなように、本発明例の
試料No.11〜16はいずれも、機械的性質に優れ、
また初期へたり(ばね立ち上がり高さ)およびばね力の
経時劣化(ばね低下率)が小さく、実用上問題のないも
のであった。これにより、本発明のばね材は、従来のS
US304製ばね材に代替できることが判明した。
【0075】更に、潤滑油に揮発油を用いても良好な成
形性が得られ、洗浄工程を省略できることが実証され
た。
【0076】特に、試料No14は、コイル時効処理を
含め適正な時効処理を2度に渡って行ったため、初期へ
たりが著しく改善された。また、試料No.15,16
は、溶体化処理後冷間圧延しなかったため、耐力が低め
となって初期へたりが若干大きくなったが、ばね力の経
時劣化は極めて小さくなった。
【0077】これに対し、比較例の試料No.17は、
溶体化処理後の冷却速度が遅かったため、また試料N
o.18は、時効処理温度が高かったため、いずれも固
溶元素が減少してばね力が大幅に経時劣化した。また、
試料No.17は、耐力が低かったため、初期へたりが
大きかった。
【0078】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
初期へたりとばね力の経時劣化が改善されたアルミニウ
ム合金ばね材を得ることが出来る。この、アルミニウム
合金ばね材は、磁気テープカセットのリール空転防止用
板ばねなどに好適であり、さらに本発明のばね材は、常
法を用い、その条件を規定することにより容易に製造す
ることができる。従って、本発明は、工業上顕著な効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気テープカセットのリール空転防止用板ばね
の説明図。
【図2】磁気テープカセットに用いられている板ばねを
説明する平面図および側面図。
【図3】磁気テープカセットに用いられている板ばねを
説明する側面図。
【符号の説明】
1…リール 2…空転防止用板ばね
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G11B 23/087 507 G11B 23/087 507M // C22F 1/00 602 C22F 1/00 602 630 630F 661 661D 682 682 686 686A 691 691B 692 692A 692B 694 694B (72)発明者 鈴木 晃一 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 新妻 利夫 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】0.3重量%以上で2.0重量%未満のM
    g、0.1〜1.5重量%のSi、および0.1〜3.
    0重量%のCuを含有し、必要に応じて0.01〜1.
    5重量%のMnを含有し、更に必要に応じて0.01〜
    0.5重量%のCr、0.01〜0.2重量%のZr、
    0.01〜0.2重量%のV、0.01〜0.2重量%
    のSc、0.001〜0.2重量%のTi、および0.
    0001〜0.05重量%のBからなる群から選ばれた
    少なくとも1種を更に含有し、残部Alおよび不可避的
    不純物からなるアルミニウム合金ばね材。
  2. 【請求項2】表面に化成皮膜、樹脂皮膜、または化成皮
    膜と樹脂皮膜の両者が形成されている請求項1に記載の
    アルミニウム合金ばね材。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載のアルミニウム合金
    ばね材からなる磁気記録テープカセット用板ばね。
  4. 【請求項4】磁気記録テープが巻回される一対のリール
    と、これらリールに取り付けられた、請求項3に記載の
    板ばねとを具備する磁気記録テープカセット。
  5. 【請求項5】0.3重量%以上で2.0重量%未満のM
    g、0.1〜1.5重量%のSi、および0.1〜3.
    0重量%のCuを含有し、必要に応じて0.01〜1.
    5重量%のMnを含有し、更に必要に応じて0.01〜
    0.5重量%のCr、0.01〜0.2重量%のZr、
    0.01〜0.2重量%のV、0.01〜0.2重量%
    のSc、0.001〜0.2重量%のTi、および0.
    0001〜0.05重量%のBからなる群から選ばれた
    少なくとも1種を更に含有し、残部Alおよび不可避的
    不純物からなるアルミニウム合金板を400〜550℃
    の温度で溶体化処理する工程、 前記溶体化処理されたアルミニウム合金板を、100℃
    /分以上の冷却速度で100℃以下の温度まで冷却する
    工程、および前記冷却されたアルミニウム合金板を冷間
    圧延する工程を具備するアルミニウム合金ばね材の製造
    方法。
  6. 【請求項6】前記冷間圧延工程は、前記冷間圧延後の圧
    延材の表面温度が70℃以上となるような条件で行わ
    れ、前記冷間圧延後の圧延材をコイル状に巻取る工程を
    更に具備する請求項5に記載のアルミニウム合金ばね材
    の製造方法。
  7. 【請求項7】前記冷間圧延後の圧延材に、化成処理およ
    び260℃以下の温度で焼付ける樹脂塗工処理のうちの
    少なくとも一方の処理を施す工程を更に具備する請求項
    5に記載のアルミニウム合金ばね材の製造方法。
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